メールマガジン・ゲンさんの新聞業界裏話・バックナンバー

第173回 ゲンさんの新聞業界裏話

発行日 2011.9.30


■新聞勧誘が消える日 その1 確実に忍び寄る、その跫(あし)音


9月18日。

善意なのか悪意なのか、あるいは、どこかの書き込みを見てそう信じられただけなのか、ワシらとしては理解に苦しむ内容の投稿が寄せられてきた。


当回答の、下記部分に「間違い」があるので、一言。

<抜粋>

因みに、ワシらも一戸建ての住宅地で門扉にインターフォンの付いてない家を叩く(訪問)場合、やはり、門扉を開けて玄関口まで行くことがある。

これ自体は、正当な訪問行為ということで罪に問われることはない。ワシらの訪問営業は、これでも公認された正当な仕事やさかいな。

<間違い>

当時(過去)は分かりませんが、現在はこれも「犯罪」として認定されます。
(「住居不法侵入」)「法律がない」のではなく、法律の解釈が住民寄りに変わった」ためです。

少なくとも、多くの首都圏集合住宅(公営/UR含む)では、下記状況となっています。

「過去」の判例等法解釈では「営業行為の自由」を重視していましたが、現在では、(少なくとも首都圏では)許可(が明記)されていない限り、「セールス/勧誘等のために」住居に立ち入る事は「不法侵入」に当たる、と専門家の共通認識となっています。(その他、「地方自治体の条例」がある場合)

<「合法」/「違法」のケース分類>

(1)戸建(邸宅)の門扉より内側にポスト/新聞受けがある場合
・ポスト/新聞受けへの「投函」行為は「合法」(チラシ含む)
・勧誘/セールスは「違法」(個別訪問は基本的に「全て違法」となった)

(2)集合住宅において、
オートロック/管理人が常駐する場合等を除き、「何者でも立ち入る事が可能な、公開されている集合ポスト」への「投函」行為は「合法」

(3)下記警告を無視すると全て「違法」
・各ポスト(集合ポストの場合世帯毎)に「チラシ禁止」明記の場合
・「郵便受け取り拒否」明記の場合
(*)「受け取り拒否」の場合、郵便局も配達不可。
「住民側の自由」が認められている。(ポスト閉鎖など含む)
ただし、裁判所/警察等からの「法的通知」は基本的に「受け取り拒否不可」
・勧誘/セールス等の行為禁止が明記されている場合(戸建/集合住宅共通)

(4)集合住宅での玄関先/廊下への「営業行為」目的での来訪は、「拒否」の明記がなくとも、全て違法。

(セールス/宗教含む勧誘行為全般)
(*)上記ケースで言うと、「廊下に立ち入った」瞬間に違法。
但し、地方自治体/自治会/管理者から「特に許可されているケース(業者)」を除く。

<上記禁止ケース以外の「合法」行為>
・郵便物の投函
・新聞(契約済み)の投函
・チラシ・パンフレットの投函
(*)ピンクチラシ等、「青少年に悪影響を与える」チラシは無条件で「違法」

<明記がなくても「違法」なケース>
・集合住宅の場合、各戸(玄関先/廊下)への「営業行為」(勧誘/セールス)での訪問は、「拒否」の明記がなくても「不可」となった。(ただし、自治会等の取り決めで、「業種により許可」されている場合は別)

以上です。

<追伸>
「過去は違法でなかったが、現在は違法」「地方により違法」な事は多々あります。

よく確認してください。

(注)
法律専門家の間で意見が分かれている場合は、地域により(裁判所毎に異なる判例のケースあり)多少異なる場合があります。


というものや。

当サイトに書かれている間違いを指摘して頂けるのは有り難い。

しかし、その根拠の良く分からない、示されていない指摘というのは正直、困る。

この投稿者に対してハカセは、


『新聞拡張員ゲンさんの嘆き』のサイト管理者、白塚博士(ハカセ)と申します。

メールを寄せて頂き、まことにありがとうございました。

頂いた内容について、当方でも調べてみたいと思います。

ただ、そちらのソース(情報の出所)が分かりにくいので、それについて教えて頂けませんか。

また、そちらが引用されている当サイトの記述は、おそらくQ&Aのどこかのものだとは思いますが、そのページのナンバーを教えて頂けないでしょうか。

教えて頂くのは本当に有り難いのですが、違法と指摘する限りは、せめてどの法律に触れているから違法、あるいはこういう判例があるから違法という具合に具体的に示して頂かないと私どもには分かりません。

そちらも、その根拠があるからこそ違法と断定されておられるだと思いますので、是非、その法的根拠をお示しください。

残念ですが、あなたの指摘のすべてに「違法」「合法」の文字があるだけで、その具体的な根拠が何も示されていません。

もちろん、当方でもこれから調べますが、そちらからも是非、教えてください。お願いします。

ただ、お忙しい時間を割いて、教えて頂いたことには本当に感謝していますので、失礼があればお詫びします。

それでは、上記の件、よろしくお願い致します。


と返信したという。

それから10日以上経つが未だに何の返答もない。

ハカセの返信メールに気を悪くされたのかも知れんが、相手に疑念を抱かせる指摘をしておいて、そのままというのはどうかと思う。

答える気がないのか、答えられんのかは知らんが。

過去、多くの読者からサイトの記述に対して法的なものも含めていろいろと指摘をして頂いてきたが、それらのすべてにはその根拠が示されてあった。

例えば5年以上前の2006年2月22日、同時に二人の方から寄せられた『NO.221 民法761条の夫婦相互の代理権について』(注1.巻末参考ページ参照)というのが、その典型なものや。

このとき、ワシは、


お二人のご指摘には、本当に感謝する。ワシは、正直言うて、民法761条のことは知らなんだ。

それについては、日頃、偉そうに法律論をぶっとる癖に恥ずかしい限りやと思う。

所詮、拡張員やからという逃げは利かんわな。

『このサイトは、すでに公共性を有するレベルなので』というのは別にしても、公に言うてることは事実で、少なからずワシの意見を信用して、あるいは参考にされている読者の方も、おられるからな。


と言うた。

このときは、その法律の条文まで示されていたので明らかな間違いと分かったさかい、素直に反省することができた。

そして、具体的に間違いを指摘して頂けるということが本当に有り難いと知った瞬間やった。

それがなかったら延々と間違ったままの解釈で回答を続けていたやろうしな。

ただ、指摘にもいろいろあって、『NO.588 残念ながら、サイトにあきれています』(注2.巻末参考ページ参照)のように、何を勘違いされとるのか良う分からんような見当外れの質問をする人もおられた。

今回の投稿者は、サイトに対して特に不満があるような記述もなく、文面だけを見ると親切心から寄せられた情報のようにも見える。

前者か後者かが良う分からんかったから、冒頭で『善意なのか悪意なのか、あるいは、どこかの書き込みを見てそう信じられただけのか、ワシらとしては理解に苦しむ内容』と言うたわけやが、ハカセのメールに無反応というところからして、あまり好意的ではないように見受けられる。

しかも、その内容は正確性、および信憑性に著しく欠けるものばかりやさかい、よけいにそう思える。大半は、「違う」と言えるものが多い。

まず、


当回答の、下記部分に「間違い」があるので、一言。

<抜粋>

因みに、ワシらも一戸建ての住宅地で門扉にインターフォンの付いてない家を叩く(訪問)場合、やはり、門扉を開けて玄関口まで行くことがある。

これ自体は、正当な訪問行為ということで罪に問われることはない。ワシらの訪問営業は、これでも公認された正当な仕事やさかいな。

<間違い>

当時(過去)は分かりませんが、現在はこれも「犯罪」として認定されます。
(「住居不法侵入」)「法律がない」のではなく、法律の解釈が住民寄りに変わった」ためです。


についてやが、これは、こちらで苦労して調べた結果、どうやら2008年の1月に掲載した『NO.506 プライバシーの侵害になるのでは無いですか?』(注3.巻末参考ページ参照)の中の記述やと分かった。

まったく同じ文章があったさかいな。

『現在はこれも「犯罪」として認定されます』ということやが、それで罪に問われたという事案はどこにもななかった。むろん判例にも見当たらない。

少なくともワシらが調べた限りではな。

ただ、『門扉を開けて』というのが、その門扉にインターフォンがあって、それを押さずに入るとか、鍵の掛かった門扉を乗り越える、開けにくい門扉を無理矢理開けて入るというのは、さすがにまずいとは思うがな。

その現場を家人に見咎められて通報されたら、住居不法侵入と疑われても仕方ないかも知れん。

それ以外で普通に入る分には営業目的ということが客観的に実証されたら、罪に問われるようなことなどないはずや。

拡張員の多くは身分証を携帯しとるから、たいていはそれを見せれば済むと思う。

それで尚、逮捕された、罪に問われたという事例は、少なくともワシらは知らんし、見つけることはできんかった。

ネットでいくら検索しても、判例集を見てもそれらしき事案がなかったから、おそらくはないのやろうと思う。

まあ、それでも、それと疑われるようなことはせん方がええのは確かやがな。

ワシの場合、門扉にインターフォンのない家では、一応、その門扉の前で「○○さん、おられますか」と大きめの声で呼びかけるようにしとる。

しばらく待って返答がなく、鍵の開いている門扉なら開けて、「失礼します」と声をかけながら入る。

鍵のかかっている門扉なら、当然やが、あきらめて他へ行く。

門扉にインターフォンのない家というのは、その門扉を開けっ放しにしている場合が多いから、そのまま入れる。

そういう家では玄関横にインターフォンがついているのが普通やから、そのインターフォンを押す。

それで誰も出なければ、そのまま帰る。

その程度のことは常識やと考えとったから、敢えて触れんかったが、こういう指摘があるということを考えると、そこまで言うとかなあかんかったのやろうかと迷う。

ハカセの日頃の弁やないが、つくづく書くこと、言うことの難しさを痛感する。

『(「住居不法侵入」)「法律がない」のではなく、法律の解釈が住民寄りに変わった」ためです』というのは何を根拠にそう断言されておられるのが良う分からん。

「住居不法侵入」が適用されるのは刑法だけが、最近になって刑法がそのように改正されたという事実はない。

『専門家の共通認識となっています』に至っては、この方の憶測で言うてることにすぎんとしか思えん。

法律の解釈というものは、例え法律家であっても、それを扱う人の立場でそれぞれ違うのが普通や。

検事と弁護士は正反対の弁論をするし、法律番組を見ても分かるように弁護士によっても、その法的解釈が違うということはいくらでもある。

裁判官ですら、同じ事件の裁判で下級審と上級審で法律の解釈の違いにより、一方は無罪、他方は有罪という判断を下すのは日常茶飯事にあることやさかいな。

急にあるときを境に、すべて画一的な解釈になるということの方が考えにくい。

それがあるとすれば、最高裁の判例が出たときくらいなものやが、いくら調べても、それについての具体的なものは何も見当たらんかった。

もし、それがあったとしても、人ひとりを罪に問うには、それ相当の悪質性、違法性の実証が必要やさかい、この人の主張には無理があるとしか言いようがない。

せめて、専門家の共通認識と主張するのなら、それを名言している法律団体および個人の法律家の方を教えて頂きたいもんやと思う。

そういう団体、個人の法律家はおらんとは思うが、もし、いればワシらの方から直接、質問したいしな。

さらに、『多くの首都圏集合住宅(公営/UR含む)では』と言うておられるので、ハカセはUR都市機構に『「セールス/勧誘等のために」住居に立ち入る事は「不法侵入」に当たるのですか』という質問をぶつけてみた。

返ってきた答は、「違法性の高い訪問販売については、それぞれの業者に注意をしたり、悪質な場合は警察に通報したりするということはありますが、当方が不法侵入と断じることはありません。それは警察の判断ですので」ということやった。

まあ、それは当然のことで、この場合は東京都やったら、都営住宅条例にその記述がないと法律として機能せんが、そのどこにもその条文はないし、それがそのように改正されたという事実もない。

「それでは、新聞営業などをする場合、許可が必要なのですか」と聞くと、「特にそういうものは必要ありません」とのことやったという。

この方の言われる『集合住宅での玄関先/廊下への「営業行為」目的での来訪は、「拒否」の明記がなくとも、全て違法』、『「廊下に立ち入った」瞬間に違法』についても確認をとったが、「当方では、そんな乱暴な考えはありません」ということやった。

ただ、「それぞれの自治会などで決められていることがありますので、それは、それぞれの自治会にお任せしています」ということやった。

そういうことなら分かる。

集合住宅の住民で組織される自治会の中には「訪問販売禁止」としとるケースは昔からあるさかいな。

しかし、それは法律とは違う。それにより、何かの罰則があるわけではなく、たいていはその場を立ち去れば済む問題やと思う。

違法というのはあくまでも法律に違反した行為で、個別の事案に対して、それと認定されて初めて確定されるものや。

この投稿者がいみじくも『「過去」の判例等法解釈では「営業行為の自由」を重視していました』と言うておられるが、それは今も立派に生きている。

後でも言うが、この「営業行為の自由」を無視することは憲法を無視することに通じるさかいな。

法律がそこまで踏み込むというのは考えにくい。

例外は、あくまでも悪質な営業に関してのみということになる。

それにしても、この情報提供者の意図がワシらには良う分からん。

単純に考えられるのは、「訂正しろ」ということやが、どんなサイト、ブログの管理人でも、間違っているという指摘については一応、それなりに調べるはずや。

鵜呑みにすることはない。

そして、今回のケースでは、ちょっと調べるだけで、その指摘がおかしいということに誰でも気づく。

それとも、何も調べず「訂正」するものと考えとったのやろうか。

または、頭から新聞勧誘は「悪質な営業」、「迷惑をかける営業」と思い込むあまり、そうされたのやろうか。

未だに、その情報提供者から何の音沙汰もないから、その真意は分からんままや。

ただ、調べを進めるうちに、今後ということになると、この情報提供者の言うのも、あながち的外れやないという気はしてきたけどな。

このままやと本当に、新聞勧誘を含めた『勧誘/セールスは「違法」(個別訪問は基本的に「全て違法」』という日が訪れかねんと。

そうなると、新聞勧誘ができんようになる日も近いかも知れん。

それについては悪質な訪問販売が後を絶たんからやと言うしかない。

新聞勧誘においても同じで、例え一部にしろ未だに「喝勧」や「ヒッカケ」といったあきらかな違法行為をする者がいとるさかい、他人事(ひとごと)やない。

容認できるレベルを超えてしまったと判断されても仕方ないほど悪質な事例も多い。

悪質な勧誘がなくならんのなら、強力な法律を作るしかないと考えたとしても不思議はないわな。

そして、それは水面下で作られつつある。しかも、それは今まさに最終段階にきていると言うても過言やない。

ワシらは、早くからそうなることを危惧していたからこそ、悪質な勧誘に対して警鐘を鳴らし続け、このメルマガやサイトのQ&Aで、その対処について数多く言及してきたわけや。

悪質な勧誘をなくすことが、結果的にこの業界を救うことになるという信念のもとに。

そうすることで、いつの日にか一般新聞読者に理解して貰える時が来るやろうと信じていた。

しかし、ワシらのやっている程度のことでは時代の変化、スピードにはとても追いつけそうにない。

そう感じさせるものがあった。

消費者基本計画というのが、それや。

2009年9月1日に消費者庁と消費者委員会が創設された。

それにより初めて、消費者の立場に立つ国の行政機関ができたという。

それには消費者が主役となる社会の実現に向け、これまでの施策や行政の在り方を積極的に見直す目的があると。

新しい消費者行政は、行政の在り方を事業者優先から国民一人ひとりの立場
に立ったものに転換していくことが重要やと謳われている。

おそらく、これが、この投稿者の言う『法律の解釈が住民寄りに変わった』という根拠なのやないかという気がする。

これは2004年に消費者基本法が施行されたことを受けて、政府が2005
年から2010年の5年間を対象とした「消費者基本計画」を閣議決定して、消費者利益の擁護、増進に関する重要課題に政府全体として取り組んできたとされている。

さらに、2006年から2008年にかけて毎年1回検証・評価・監視を行ってきたと。

そして、2010年から2014年度までの5年間を対象として新たな「消費者基本計画」を定め、政府を挙げて消費者政策の計画的な推進に取り組んでいくという。

主な取り組みとしては、「改正特定商取引法の厳正な執行」、「消費者契約の不当勧誘・不当条項規制の在り方」、「消費者団体訴訟の対象拡大の検討」、「住宅リフォームに関する被害防止の取組」、「未公開株取引等に関するトラブルに対する取組の強化」、「食品表示関連法令の統一的運用」などが挙げられている。

それらを含めた一元的な法律の制定など法体系の在り方を検討するということらしい。

消費者センターに寄せられる相談事例には、「訪問販売に対し、本意ではないものの、恐怖を感じたり、契約しないとかえってくれないような雰囲気だったなどの理由により、やむなく契約をしてしまったなどの事例が見受けられる」として、その方面での法律を強化を考えとるという。

これなんかは、サイトのQ&Aにありがちな事例そのものや。

新聞営業だけは別やと言える状況にはない。

法律の制定には、是認するか規制するかの二者択一しかない。現在の流れで進むと規制に踏み切る可能性の方が大やと思う。

今はまだ文字どおり計画の段階やが、このままやと近い将来、本当に『勧誘/セールスは「違法」(個別訪問は基本的に「全て違法」』という日が訪れかねんという所以が、そこにある。

その流れに、かろうじて待ったをかけているのは『営業の自由』やと思う。

営業の自由とは、人が自己の選んだ職業を営む自由であり、経済的自由権の一つとされている。

職業選択の自由を保障する憲法22条が、営業の自由も保障しているというのが一般的な法解釈であるとされている。裁判所も、それを踏襲してきた。

職業選択の自由を認めても、営業の自由、職業遂行の自由を認めなければ、職業選択の保障自体が無に帰する、意味のないものになるさかいな。

つまり、職業選択の自由と営業の自由は対のものやということや。いずれが、おざなりにされても憲法の精神に反することになる。

そのため、営業行為そのものを安易に規制することはできんわけや。今のところ、勧誘行為そのものを違法にできん理由が、そこにある

ただ、改正特定商取引法がそうであるように、その営業行為に縛りをかけることはできる。

つまり、営業の自由を担保しつつ、規制の輪を拡大しようというのが、『消費者基本計画』の狙いやないかと思う。

悪質な勧誘営業を駆逐するには、それしかないと。

確かに、悪質な訪問勧誘営業は多い。それで泣かされている人をなくす、あるいは救済する必要がある。

それについては否定せんし、同感や。

ただ、それが過度になりすぎて営業の灯を消すようになったら、日本は滅ぶ。終いや。

営業の自由が、有名無実のものになりかねん。

経済は営業で成り立っている。世の中には新聞に限らず「売り込まな売れん」物というのは多い。

訪問販売で売っている大半の物がそうや。

物が売れれば経済は確実に活性化する。特に今のような経済の低迷期には営業はなくてはならんものやと思う。

当然やが、新聞の勧誘営業も例外やない。

新聞は、そのものの価値もそうやが、経済的に占めるウェートも大きい。

新聞を発行することで、製紙会社は利益を得、インク会社は潤う。運送会社もいくばくかの恩恵にあずかっている。

印刷機メーカー、パソコンメーカー、文房具メーカーにとっても新聞社はお得意先や。テレビ局も新聞社の後ろ盾がなかったらアウトや。古紙業界も集める物がなくなり消滅する。

当然やが、新聞がなくなったら新聞販売店に勤める45万人の人が職を失う。現在は推定で1万人余りにまで減ったという拡張員も同じく路頭に迷う。

新聞社の影響力の強い野球などのスポーツや将棋なども危機に瀕する。

他にも挙げたらいくらでもあると思うが、新聞に関わる数多くの人の生活に直結する問題なのは間違いない。

新聞が勧誘できんがために消滅すると、この経済の低迷期に輪をかけて深刻な事態に日本全体が陥ることになる。

少し大袈裟やと思われる方もおられるかも知れんが、新聞の勧誘営業をできんようにするということは、そういう危険も孕んどるわけや。

まあ、実際、そういう事態になりそうになったら、新聞社も黙っとらんやろうけどな。

5年前の公正取引委員会による新聞特殊指定(注4.巻末参考ページ参照)のときように、反対のための一大キャンペーンを張るはずや。

現在は様子見に徹しとるのか、それらしき動きは、まだないがな。

新聞一つをとってもそれやのに、他のすべての訪問販売ができんようになったらと考えると、その影響は計り知れんと思う。

ワシらとしても、時代の流れに間に合うかどうかは分からんが、例え「牛歩の歩み」であっても、悪質な勧誘を撲滅するために頑張りたいと思う。

それさえなくなれば、また違った方向になるやろうしな。

そやないと、まじめに勧誘しとる者が救われん。

ここで、多少の希望を持って終わりたいところやが、どうもそうもいきそうにない。

今回の件で調べていて、さらに新聞勧誘にとって窮地に立たされることになるやろうと思われるものが見つかったからや。

それについては、もっと詳しく調べた上で近いうちに知らせたいと思う。その対策も併せてな。



参考ページ

注1.NO.221 民法761条の夫婦相互の代理権について

注2.NO.588 残念ながら、サイトにあきれています

注3.NO.506 プライバシーの侵害になるのでは無いですか?

注4.第85回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■新聞特殊指定について


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