メールマガジン・ゲンさんの新聞業界裏話・バックナンバー

第185回 ゲンさんの新聞業界裏話


発行日 2011.12.23


■サンタさん、お母さんにあわせて


今年もまたクリスマスがやってくる。

場違いな話と承知しつつも、毎年、クリスマスに因んだ話をしてきた。今回で8回めになる。(注1.巻末参考ページ参照)

そもそもは、ハカセの下の子供、当時小学3年生だったコウ君に向けて話し始めた事が、その起こりやった。

子供向けに優しい語り口で話したということもあるのかも知れんが、その翌年から、時折、小学生の子からメールを貰うようになった。

6年前の2005年12月、小学校の低学年と思われる女の子から、


投稿者 カナちゃん 投稿日時 2005.12. 3 PM 3:46


サンタクロースについてがんばってかいているんですが。

サンタクロースは何歳ですか? おしえてください。


という一通の短いメールが届いたのが、最初やった。

ハカセが、その答えを返信した。


カナちゃん、こんにちは。おじさんは、ハカセといいます。

おじさんにも、小学4年生の男の子がいますが、カナちゃんは何年生かな。

このホームページは、ヤフーやグーグルのけんさくサイトでしらべたのだと思うけど、カナちゃんにしたら、むずかしかったでしょ。

おとなの人に書いたものだからね。でも、がんばり屋だね。ちゃんと読んで、こうしてメールくれたんだからね。

だから、おじさんも、できるだけがんばって答えるね。

『サンタクロースについてがんばってかいているんですが。サンタクロースは何歳ですか?おしえてください』

ということで、サンタクロースの歳を知りたいようだけど、カナちゃんはいくつに見える?

白くて長いひげをのばした、おじいさんだから、60歳?くらいかな。それとも70歳、80歳に見えるかもしれないね。

実はね、サンタクロースは歳をとらないんだよ。

不老不死(ふろうふし)ということばは、聞いたことがあるかな。歳をとらないで死なないということだよ。

そんなの人間じゃない? そうだね。おじさんも、サンタクロースは人間じゃないと思うよ。

こども好きな神様という気がするね。だから、歳もとらず死なないんだよ。だって、神様が死んだら、アクマの世界になっちゃうだろ。

西暦(せいれき)270年から西暦342年まで、生きていた人で、トルコという国にニコラスという、こどもの好きなえらい人がいたんだけど、その人がサンタクロースだといわれているんだ。

その人の死んだ歳が72歳だから、サンタクロースの歳は72歳ということになるかな。

それとも、今も生きつづけているのなら、1735歳ということになるね。


というのが、それや。

拡張話にクリスマスは関係ないと言われてしまえば、それまでやけど、なぜかこのシリーズは評判がええ。

感動したと言って頂くことも多い。

古くからの読者で、現在、アメリカのロサンゼルスに住んでおられる方から、先日、


今年も恒例のクリスマス関係の話題を書かれるのですよね?

アメリカにおりますと年の瀬というものを感じることができませんので、毎年楽しみにしています。


というメールを頂いた。

そういうのを毎年のように頂く度に、今更止めるわけにはいかんなという気になる。

Yahoo!JapanやGoogleでの検索でも、それぞれの回の題名、もしくはそれに関係した語句で検索すれば、当メルマガのバックナンバーが上位でヒットする確率が高い。

それを子供たちが見て、何のサイトなのかメルマガなのかが良く分からなくても、そうした質問をしてくるのやろうと思う。

そして、今年も、その例に洩れず、一通のメールが寄せられてきた。


まおちゃん  投稿日時 2011.12.11 PM 10:33


サンタさん、お母さんにあわせて。


たったこれだけの短いメールやが、ワシらにとっては身につまされる一文やった。

これが、大人やったら、その理由を詳しく聞かせて貰わんとアドバイス、または返答のしようがないということで、根掘り葉掘り尋ねることもあるが、「まおちゃん」には、それはできない。

それをすれば、間違いなく「まおちゃん」は心を閉ざす。

おそらく、このメールをしてくるのでも必死な思いでしてきたはずや。

文章から、明らかに小学生で低学年の子だというのが分かる。

このメールからは、何らかの理由で、すでにお母さんが他界されている可能性が考えられる。

病気かも知れないし、事故かも知れない。また、今年だったら震災による被害に遭ってということも考えられる。

両親が離婚したのやないかという意見があるかも知れんが、それは考えにくい。

それだと子供は、こんな願いはまずしない。

子供でも母親が生きていれば、いつかは会えるかも知れない、必ず会えるという希望を持つことができるからや。

どうしても会いたければ、自分で会おうとする。

子供に大人の事情は分からないし、通用しない。母親が生きているのなら会える。死んでいて会えない場合は神(サンタ)に頼るしかないと考える。

ワシらには、それが痛いほど良く分かる。

ワシらは二人とも、生まれてから母親というものを知らずに生きてきた。

ワシには母親の写真があったから顔くらいは知っていたが、ハカセには写真すらなかった。あっても見せては貰えなかったという。

それらの事情について話し出すと長くなるので、過去の話(注1.巻末参考ページ参照)の中で言うてるから、それらを見て頂ければ分かると思う。

今では様々な経験をして、お互いええ歳をしたおっさんになっとるから、そういう人生もあると達観もできるが、子供の頃はそうやない。

その理不尽さに思い悩んだもんや。泪したことも多い。

幼い頃、そのメールにある「まおちゃん」と同じく、母親恋しさのあまり神に祈ったことも一度や二度やない。

母さんに一目でええから会わせてほしいと。

もちろん、そんな夢は叶わんかったがな。

ワシが神仏を信じなくなったというのも案外、それが原因かも知れんな。

ワシには、何と言って「まおちゃん」を慰めてええのか見当もつかんかった。

まさか、サイトのQ&Aの回答でアドバイスしとるように、小さな子に現実を受け入れて頑張れとも言えんしな。

そうかと言って、ただ同情するだけではあかん。難しい。

こういうのは、ハカセに任せた方がええ。

ハカセは、一つの物語を「まおちゃん」に送ったという。


まおちゃん、こんにちは。

メールを送ってくれて、ありがとう。

『サンタさん、お母さんにあわせて』ということだけど、まおちゃんと同じ、ねがいごとをした男の子の話を、いまからするね。

男の子のなまえは、ヒロシというんだ。

ヒロシは、お父さんもお母さんもいない、ようちえん児だった。

おじいちゃんがいるけど、きびしい人で、あまやかしてもらったことなんか、いちどもなかった。

お父さんは、そのおじいちゃんとけんかをして出ていったんだ。

おじいちゃんは「お前の父親は二度と帰ってはこない」と言うだけだった。

お母さんは、ヒロシがまだ赤ちゃんのときに死んでしまっていた。

それを知らないヒロシは、「どうしてぼくには、お父さんもお母さんもいないの?」ときくと、おじいちゃんは、いつもきまって、いやな顔をしておこるんだ。

だけど、ヒロシは、まだ小さいから、他の子にはお父さんやお母さんがいて、なぜ自分にはいないのかが、わからない。

ヒロシはサンタクロースがこどもにプレゼントをくれるというのを知って、なんでもねがいをきいてくれるとおもった。

そこでクリスマス・イブの夜、寝るまえに「お母さんにあいたい」と書いた紙をまくらの下に入れて眠ったんだ。

その夜。

「ヒロシ、ヒロシ」と、女の人がよぶ声がきこえてきた。

ヒロシが目をあけると、そこには見たこともない、きれいなおばさんが立っていた。

「おばさん、だれ?」

そうヒロシがきいても、そのおばさんは、笑っているだけだった。

「お母さん?」

ヒロシは、サンタクロースが、ねがいをきいてくれたとおもって、そうきいた。

「そうよ」と、そのおばさん、いや、お母さんはそう答えた。

ヒロシは、うれしくなった。

すぐにでも、お母さんにだきつきたかったけど、おきあがれなかった。

なんどやってもダメだった。

ヒロシはおきあがるのをあきらめて、「お母さん、いままでどこにいたの?」ときいた。

すると、「お母さんは、どこにもいっていないよ。いつもヒロシといっしょにいたわよ」と、笑って答えた。

「でも……」

そんなはずはない。見えないじゃないかとヒロシは言った。

「見えなくても、お母さんはいつもヒロシのそばにいるんだよ」

それをきいたヒロシはなっとくした。そうなんだと。

つぎの朝からヒロシはあきるとすぐ、「おはよう」と言うようになった。

その日から、ヒロシには、いつも笑っているお母さんが見えるようになった。

まおちゃんにも、ヒロシと同じことが、きっとおこるよ。

だって、まおちゃんのお母さんは、いつも近くにいるんだから。

でも、まおちゃんが、そう信じなければお母さんは、すぐそこにいても見えないよ。

まおちゃんが強くねがえば、きっと、そのねがいはかなうと、おじさんはおもうんだ。

それじゃ、クリスマスの夜をたのしみにね。

ちょっとはやいけど、メリー・クリスマス。


もう、気付かれた読者の方がおられるやろうが、ヒロシというのは、ハカセのことや。

人というのは不思議なもので、その思いの深さで、どんなにあり得ないものでも見えてしまうし、その存在を信じれば、それが実在するようにもなる。

もちろん、他の人には何も見えないが、それは問題ではない。その人だけに見えればええことやからな。

特に、純粋な子供の頃は信じれば、それが現実か夢の中かは分からなくても、必ず見ることができると思う。

ハカセ自身が、そうやったからと。

ハカセが、そうしたことに関して懐疑的な人がおられるかも知れん。子供にウソを教えるのかと。

確かにウソはあかん。

しかし、「嘘も方便」ということわざがあるとおり、ウソをつくことで救われるケースがあるのなら、誰も傷つかないという条件さえクリアできれば、そうしても別に構わんと思う。

ワシは、子供にはウソでもええから夢や希望を持たしてやるべきやと考えとる。

今の子供は精神的に弱い。それについては一々説明せんでも、いじめにより自殺する子供の報道が多いことでも分かるはずや。

ワシらの子供頃も、いじめというのは普通にあった。しかし、いじめられたからといって自殺したという話は、あまり聞かんかった。

もっとも、そういう報道がされてなかったと言えば、それまでかも知れんが、少なくともワシの周りでは、そんな話は皆無やった。

今は、ちょっと嫌なことに遭遇するだけで簡単に自殺を選択する子供が多いように思えてならん。

その事情については、そのケース毎でいろいろあるやろうが、大半はその辛い状況が、その子供にとっては永遠に続くものと考えるからやろうと思う。

子供の時間は長い。

『第96回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■ボクは新聞配達員になるのが夢なんだ……ヘンリーくんの挑戦』(注2.巻末参考ページ参照)の中で、ヘンリー・ハギンズという10歳の少年の思いについて話したことがある。


キャパーさんには、ヘンリーのような子供にとって1年か2年というのは、ほとんど永遠と同じだということが分からないのだろうか。

ヘンリーには、そのことが不思議で不満やった。

大人の1年は早い。それも歳を重ねる毎に加速度的に、その早さを増していく。

「光陰矢のごとし」という時の過ぎる早さについて形容された格言があるが、それは大人だからこそ思いつき、大人だからこそ納得する言葉やと思う。

しかし、子供には、その1年はとてつもなく長い。それに気がつく大人は少ない。

「1年や2年なんかすぐだよ」と大人であるキャパーさんは考え、子供であるヘンリーはその長さに絶望するということが。


というものや。

ワシらのような、おっさんになると年月の経つのが異常に早い。あっという間や。

大人の感覚からすれば、早い時間の流れであっても、子供にとっては、ほとんど永遠に続く時間だというのを、この時、知った。

いや、思い出したと言うべきかな。

大人になれば、たいていの場合、子供の頃に悩んでいたことは他愛もない事だと気付くし、忘れることが多い。

しかし、子供にとっては、当然やが、生きている今がすべてなわけや。

それが永遠に続くと感じれば、その苦しみから逃れたいと考えても何の不思議もない。

その苦しみを和らげてやれるのなら、ワシらは大ウソつきと詰られようが、誹られようが、甘んじて受けるつもりや。

今を否定して閉ざしてしもうたら、未来は絶対に来んさかいな。

ワシらのような境遇の人間を気の毒にと思われる方が、ときたまおられる。

その気持ちは嬉しいが、過去があったからこそ、現在があるわけや。過去の辛さ苦しみの数が、現在のワシらを作っているとも言える。

何が幸いし、何が不幸を呼ぶか分からんのが世の中や。

必要なのは、それでも生き抜いてきたという事実や。生きてさえいれば、どんなことでも必ず好転する。

ワシらは、現在をそれなりに幸せやと思うとる。

過去の境遇や出来事は、現在に至るまでの重要なファクターであり、なくてはならんかった事やと、今ではそう理解できる。

それに気付くまでの間は、ウソでも錯覚でもええから、子供には夢を与えるべきやと思う。

良く、サンタクロースを信じている子供に向かって、「バカやなあ。そんなものいるはずがないやないか」という人間がおる。

ワシから言わせれば、その人間こそ、バカで本当は可哀想やと言うしかない。

サンタクロースは本当にいる。

もうすぐ60歳に手が届こうとしとるワシのようなおっさんでさえ、そう信じとるんやからな。

それについては7年前、


確かに、サンタクロースの存在の多くは商業利用されているもんや。件の、サンクロースの手紙と称するものも、しかりや。

子供へのプレゼントも、親が買い与えている。 そういう意味で言えば、サンタクロースは確かに実在せんし、ただのおとぎ話の一つに思える。

しかし、その親が、なぜクリスマスの日に子供にプレゼントを贈るのかということを考えて欲しい。

単に、そういうイベントが根付いただけのことやからやろうか。ワシにはそれだけやとは思われん。

親が、寝た子の枕元にそのプレゼントを置く瞬間は、誰でも間違いなく、心はサンタクロースに変身してると思う。

親の子を思う心がサンタクロースを生んだ。 ワシはそう信じとる。

つまり、真のサンクロースは、子供を愛する親の数だけ存在している。

実在のそういう親たち、総てがサンクロースやと思う。

その心が失われん限り、サンタクロースは滅ぶことはない。

未来永劫、不老不死の老人として存在し続ける。愛の心が生んだものが、サンタクロースの姿になった。

これが、ワシのサンクロースは実在するという理由や。


と言うた。

これについてどう思われるかは、それぞれの判断に委ねるしかないが、不用意な一言で、サンクロースの存在を信じている子供の夢だけは破って欲しくないと思う。

誰にも、そんな権利はない。

それに、サンクロースが実在しないと否定することも絶対にできんさかいな。

なぜなら、それを信じるか信じないかは、それぞれの心の領分やからや。

例え目に見えなくても、それが存在すると信じる人には存在するわけや。

目に見えない空気が存在することも事実やし、目に見えない音があるのも誰もが知っている。

目には見えない何億光年先の彼方に星がある事を疑う者はおらんやろうし、目に見えない原子や素粒子の存在を否定するバカもおらんやろうと思う。

世の中は、目に見える物だけがすべてやない。

人の心も同じで、何人といえども他人の心の領分に踏み込むことはできんし、許されん。

くれぐれも自身の狭い了見での否定だけはしないで欲しいと思う。

それよりも、サンクロースの存在を信じる子供に「良い子にしてたらサンタさんからプレゼントが貰えるよ」と、笑って言える方が、幸せな気分に浸れてええと思うがな。

今年は、どうやら多くの地域でホワイト・クリスマスになりそうや。

それぞれの人にとって幸せな日でありますようにとの願いを込めて、メリー・クリスマス。



参考ページ

注1.第20回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■サンタクロースは実在する?

第72回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■サンタクロースは何歳ですか?

第124回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■真っ赤なお鼻のトナカイさんの話

第176回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■天国からのクリスマスプレゼント

第28回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■クリスマスソングが歌いたい

第80回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■誰にでも訪れるクリスマス・イヴの小さな奇跡の話

第133回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■クリスマスに永遠の命の話を

注2.第96回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■ボクは新聞配達員になるのが夢なんだ……ヘンリーくんの挑戦


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