メールマガジン・ゲンさんの新聞業界裏話・バックナンバー
第193回 ゲンさんの新聞業界裏話
発行日 2012. 2.17
■新聞販売店漫画「かなめも」とは?
先日、久しぶりにハカセの家に行った。
「ゲンさんは漫画のことには詳しかったですよね?」
「別に詳しいというほどでもない。子供頃から読んでいるというのと、今やったら漫画喫茶に出入りしているから、まあ、そこらのオッサンよりかは多少知っているという程度かな」
「それでは、これはどうです?」
ハカセがそう言うて一冊の漫画本を差し出した。
「うわっ!!」
ワシは、その表紙の絵柄を見て、受け取ろうと出していた手を思わず引っ込め、後ずさりした。
ナントそれは少女漫画、しかも俗に「萌え系」と言われている絵柄の漫画だったからや。セーラー服姿の少女が上目使いに微笑みかけている。
萌(も)えとは本来、草木の芽が出ている様子を指した文学的な表現やったんやが、それが転じて「萌え系」という言葉が生まれ、今ではオタク文化独特の俗語として使われている。
いくらワシが漫画好きやと言うても還暦間近のオッサンの読むようなものやない。
はっきり言うて、ワシには精神的に受け付けられない。当然、その手の漫画は読んだこともないし、読みたいとも思わない。
また、そんな姿を誰も想像したくないやろうと思う。
ただ、少女漫画が、まったく苦手ということでもない。
若い頃は、「リボンの騎士」とか「ひみつのアツコちゃん」、「アタックNO.1」くらいは見ていたし、比較的近いところでは「ちびまる子ちゃん」や「地獄少女」というのを見ていたことがある。
それぞれなかなか面白かった。
しかし、あってもそんな程度や。
「ハカセ、あんた、そんなものを読んどるのか?」
「ええ、資料としてね」
「資料?」
「ええ、この漫画は新聞販売店の日常がベースになっているんですよ」
なるほど、そう言えば、その表紙の少女は後ろ手に新聞を持っている。
そして、ハカセはその漫画のあちこちに、やたらと付箋を貼り付けている。
ハカセが何かを調べる際に、よくやっていることや。
「とはいえ、その新聞販売店にいるのが全員若い女性なんです。主人公のかなという子が中学生で、所長代理が小学2年生。後は万年二浪の予備校生、パティシエ志望の専門学校生たちで、かなを除いた従業員が全員、新聞奨学生だけという無茶苦茶な設定になっていますけどね」
「まあ、漫画なんややから、その辺は突っ込んでもしゃあないやろう」
「私もそう思います。それは面白い話を作る一つの手法でもありますからね」
ハカセ曰く、面白い話を作る場合には、本来結びつくはずのなさそうな世界を、いかにして上手く融合させるかが重要で、そうすることがその作者の腕の見せどころでもあるという。
「宇宙戦艦ヤマト」なら、実際の戦艦大和を宇宙戦艦にするという発想。「銀河鉄道999」なら蒸気機関車を宇宙航行列車に。「ドラゴンボール」も西遊記のキャラクターをベースにした異世界の話にしているなど、大ヒットを飛ばした作品の多くがそうで、挙げればキリがないくらい、その手の手法が使われているのだと。
ハカセも人知れず、そういう話をコツコツと書いているので、それがよく分かるから、とてもバカげているとは言えないのやと。
「それに、この作品は4コマ漫画形式にしていて、なかなか面白いですよ」
「まあ、『かなめも』という題名からして、主人公のかなという女の子がメモった話という駄洒落が込められていることから考えても何となく分かるがな」
「えっ? そうなんですか?」
「知らんがな。違うのか?」
「ええ、その漫画には、そんな解説はどこにもありませんでしたので。でもそう言われてみれば、そうですよね。さすが漫画好きの駄洒落名人」
「それ、褒めて貰うてんのやろうな」
「とにかく、ちょっとだけでいいので、この付箋を貼った箇所だけでも見てやって貰えませんか」
「それは読者からの依頼か?」
「いえ、直接、この作品を薦められたわけではありませんが」
ハカセの話やと、数週間前に『新聞販売店の話を書いた漫画を知っていますか。知っていたら見られた感想を聞かせてください』という短いメールが届いたという。
正直、ハカセはそうものがあるとは知らんかったという。
そこでどんな作品なのかを聞くために、そのメールを送った来られた方に返信したのやが、何も応答がないので、自分で調べた結果、その「かなめも」という作品に行き着いて買ったとのことや。
「本屋でか?」
「いえ、行きつけの本屋で探したのですが、なかったのでアマゾンで取り寄せました」
「もし、それが本屋にあったら買えたか?」
「別に買えますよ。いけませんか?」
ハカセは、どんなものでもそれが資料で、書くために必要な知識がその中にあるのなら何でも見るし、必要なら買うという。
例えそれがアダルト・ビデオであろうと、卑猥なエロ本であろうと、若い女性の店員がいる店だとしても気にはならないと。
気になるとしたら、その値段くらいやと。
まあ、ワシの場合も、それが営業トークやネタに使えるようなものであれば、萌え系の漫画であろうとアダルト・ビデオや卑猥なエロ本であっても見て、その内容を披露する気になるかも知れん。
それで契約が取れそうな客に出会えるのならな。
せやけど、ええ歳をした拡張員のオッサンが、そんな話を始めたら、その時点で普通はアウトやわな。
例え、それの好きな人間でも胡散臭いと考えて敬遠するのは、ほぼ間違いない。
何より、それ以前にワシ自身が生理的に、その手のものを受け付けんということの方が大きいから、まず手に取ることすらないと思う。
「別に、それは構わんけど、そんなものを外に持ち出さん方がええで」
ハカセは一旦、本を読み始めると公園であろうと、電車の中であろうと、所構わず読む癖がある。
人目につかん場所なら、それでもまだええが、ええ歳をしたオッサンがそんなものを堂々と衆目の集まる所で見ていたら、変態と間違われるで、ホンマ。
ワシなら、電車に乗って横にそんな人間がいたら、例え満員で他に座る場所がなくても、その場から黙って立ち去る。
「ああ、それで、ですかね」
「何がや?」
先日、ハカセは、いつもの定期検診のため三重医大付属病院に行った。
その時、待合い廊下の椅子に座ろうと席を探していた。
すると、一人の派手な鷲柄の刺繍が施された赤いジャンパーを着込んだ二十歳くらいの若者が両手を広げ、ふんぞり返って座っていた。
悠に三人分くらいの席を独占している。誰も敬遠して近づかないようやった。立って順番待ちしている人が何人かいたさかいな。
ハカセは他に空いた席が見当たらないということもあって、その横に座った。
もちろん、その広げた手をどけて貰えないと座れないので、一応、「済みません」と断って。
暗にその手をどけろと低姿勢で言っているわけだ。
その若い男が、一瞬、睨みつけるような仕草をしたが、ハカセにそんな威嚇じみた真似をしても無駄や。
そんなものに怖がる男でもないし、下手に「あっちへ行け」とでも言えば、そこが修羅場になる。
ハカセは、その覚悟があって「済みません」と断っとるのやさかいな。
結局、ハカセが座ると、その若い男も広げていた手を組んだ。
問題は、その後や。
ハカセは、おもむろに読みかけの「かなめも」を取り出した。読みながら、それに付箋を貼りだした。
それを見た赤いジャンパーの男は何を思ったか、その場をすっと立ち上がって、離れた場所に行ったという。
その後、約二人分の席が空いたにも関わらず誰も、その横には座らなかったと。
ハカセは、それがなぜなのか分からなかったが、ワシの話で「そういうことか」と気付いたと言っているわけだ。
「そんなに変ですかね」
「ああ、変や」
その横柄気味な態度云々は別にして、ワシは断然、赤いジャンパーの若い男の方を支持する。まだ、まともやと。
「そう言われると、お願いしにくいのですが、ちょっとだけでいいので目を通してくれませんか。できれば感想も少し……」
このメルマガは、一応、ワシとハカセの合作ということになっとるから、どうしてもワシの意見を無視するわけにはいかないのやと言う。
そう言われると仕方ない。
仕方なく読み始めると、意外にもこれがなかなか面白い。営業トークに使えそうなものも幾つかある。ちょっとした発見もあった。
何でも、そうやが先入観で物事を判断するというのはあかんなと、つくづくそう思うた。
また、先入観を取り去るのは、例えそれと分かっていても難しいのやとも痛感した。
そうして見ると、ハカセの方が正しいということになる。
もちろん見倣おうとは思わんが。
ここで、せっかくやから、その漫画「かなめも」の中で見つけた営業トークに使えそうな場面を紹介しようと思う。
漫画を言葉で紹介するわけやから、その面白さがどこまで伝わるかは分からんがな。
「かなめも」第1巻 2008年9月11日発行
作者 岩見翔子 発行元 株式会社芳文社 より引用
主な登場人物の紹介
中町 かな……祖母が死んで身寄りがなくなって行くあてがなかったとき、ひょんなことで、風新新聞の専売所に住み込みで働くことになった中学生。
根はマジメだが超天然。料理は得意だが他は残念な感じ。最初は食事の賄いさんとして務める。学力は低く、一般常識に欠ける。貧乏性だが他人に甘える事をよしとしない性格の女の子。
天野 咲妃……風新新聞の専売所の所長代理。ロングヘアをツインテールにしている。かなの通う中学校の隣にある小学校に通う小学2年生。
メンバーからは「代理」と呼ばれる。 所長不在の専売所を一人で切り盛りし、歯に衣着せぬ物言い、容赦ないツッコミ、お客様向けの猫かぶりで自分の居場所を守っている。
メンバーの中では一番の常識人。仕事に関しては部下のわがままを却下する融通の効かない性格。
東 ひなた…… お金が大好きな万年二浪の予備校生。もみあげの長いショートヘアが特徴。ボーイッシュな女の子。様々なアルバイトを経験。はるか相手のツッコミとセクハラストッパー担当。
北岡 ゆめ……パティシエ志望の専門学校生。癖っ毛をツーサイドでまとめた髪型で、いつもショートパンツをはいている。元気娘。甘いものとユーキが大好き。 実家は旧家で凄いお金持ち。
素直で明るいムードメーカー。かなが来るまで消去法で賄いを担当していた。調理技術は高いが、作る料理の全てが甘い。
南 ゆうき……クールビューティでスタイル抜群。普段は感情の起伏が乏しいが、ゆめ限定で独占欲、嫉妬心が強い。髪型は前髪を切りそろえた一本結び。
作中では「ユーキ」と呼ばれている。意外と不器用。ゆめとは幼馴染みで、元はゆめに仕える立場にいたらしい。
西田 はるか…… ロングヘアで眼鏡をかけている。酒が大好きでよく酔っぱらっていて、7歳から15歳の幼女好き。代理とかな(特にかな)によくセクハラを行っている。
久地院 美華……かなが仕事の途中で出会ったワケあり元お嬢様。花日新聞の専売所で働く中学生。時代がかった口調で喋る。かなの事が大好き。代理の本性を見抜くほど勘が良い。
プライドが高く自信満々で素直になれない性格。かなとは別の意味で常識に欠ける。そのため素でボケが入る事がある。
主なエビソード
【壁のメアリー】
かなに与えられた部屋の壁に穴が空いていた。その穴から隣の部屋のゆめが「見ーたーなー」と言って脅かす。
これは、「壁に耳あり、障子に目あり」の駄洒落が込められているのだと思われる。
【勧誘は縁者友人から】
かな「代理お友達多いんですね」
ひなた「友達つーか、あそこの生徒はこの辺の子供だろ?」
かな「はあ……」
ひなた「そっから親と顔を合わせておけば子供の手前なかなか嫌とは言えなくなるって訳だ」
かな「……そこまでしますか」
代理「んなの基本よ、基本。アンタもやるの」
そう言って代理が現れる。
親を落とすには、その子供と仲良くしろ。それを知って同級生と仲良くする小学2年生の代理。なかなか営業の本質、核心を突いている。
【世にはばかるのは】
かな「他にもいろんな種類のチケットがあるんですね」
ゆめ「ただ全顧客分ある訳じゃないから、どうしても声の大きい客に配りがちだけど」
はるか「そうよ世の中大きな声で言ったもん勝ち。だから私はいつでも言うわあ。自分に正直ってステキな事ね」
ひなた「あんたは少し黙れ」
声が大きいと同時に、うるさい客にも、そういうことになりそうや。本当はおとなしく文句の言わない気のいいお客にサービスするべきなのやが、現場では往々にしてこういうことが起きる。
【つめ甘い】
みんなで夏休みにプールに行く計画を立て、水着を買って帰る。
ゆめ「ただいまーっ」
代理「全員仕事放り出していい度胸ね」
はるか「いやーあはは」
ゆめ「水着買ったんだ。皆でどっか行こうよ」
代理「あんたら自分の休み言ってみな?」
「え、水、土だよ」、「火、金」、「月、水」、「日曜日です」と、それぞれが同時に言う。
代理「はい皆。仕事、仕事」
【だれか訂正してあげて】
ひなた「え? 金がない?」
ユーキ「あー賄いは配達員より給料少ないのよーね」
と、かなを気の毒がる。
かな「いろいろお金がかかっちゃって……」
はるか「あら? かなちゃん奨学生じゃないの?」
かな「えっ、中学生ですよ」
ひなた「そーなんか? 僕たちは全員奨学生でココ来ているからなあ」
かな「えええ? そうなんですか」
かなは頭の中で、全員が黄色い安全帽を被ってランドセルを背負っている姿を想像する。奨学生と小学生を間違えて。
【深夜三時の住人】
配達見習いとしてかなが、ゆめについて配達の練習を始める。
かな「あ、コンビニ」
ゆめ「ルートのあちこちにあるの覚えておくと便利だヨー」
かな「お腹すいた時とかー、甘い物欲しい時とかー」
ゆめ「襲われた時とかー。交番はだめだよ。夜、人いないからネー」
かな「!!!」
【お客様は神様仏様】
古くさくて不気味な公団を配る場面。
ゆめ「ここでラストね」
かな「うーわー。な、なんか出そうな……」
ゆめ「えー? ここは大丈夫だョ」と安心させて、「お金さえ払えばどんなモノでも顧客って名前になるんだヨー」
かな「いやーっ、帰るーっ」
【こんな世の中じゃ】
代理「おかえり、どうだった?」
かな「……外は危険でいっぱいです」
代理「何をいまさら。はい、これをあげるわ」と言って犬のマスコットを取り出す。
かな「わっ、可愛いマスコット」
代理「これね、首を抜くと鳴るから」
そう言って代理が犬のマスコットの首を引き抜くと、防犯ブザーになっていて、その音が鳴り響く。
代理「そしたら『火事だー』って叫ぶのよ。『助けてー』じゃ誰も助けてくれないからね」
かな「うわーん、わんちゃん、しっかりー!!」
これについては、5年以上前の2006年11月17日発行の『第119回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■新聞配達は危険がいっぱい……その安全対策への考え方』(注1.巻末参考ページ参照)の中でも言うとるので参考にして欲しい。
特に配達員の方々には切実な問題やと思うので。
【皆騙されるなよ?】
バレンタインデー。
かな「気持ちは金額じゃないよね。うん!!」
かながそう思った時、代理とはるかの会話が偶然耳に入る。
はるか「あれ? 代理そんなにたくさんのチョコどうするのさ」
代理「クラスの子と顧客用よ」
はるか「へーやっぱ……、あれか?」
代理「もちろんよ。こーんな20円分のチョコを『心を込めて』とか言って渡せば心証がアップするわ。1ヶ月後には高額お返し……なんてチョロい人達」
はるか「人は1%でも良いから本気だと思い込みたい悲しい生き物だからな」
それを聞いた、かな「うわあああん!!」と泣いて走り出す。
【お世話になっているかも知れない】
バレンタインデーの続き。
代理「客じゃなくても顔見知りになっている近所の人達にも渡すのよ。日頃の積み重ねが大事なんだからね」
かな「とか言われても、この深夜に誰と会うと言うのーっ」
と、配達中にそう思う、かなが、ふとお地蔵さんに気がついて、その前にチョコを置いて立ち去る。
この作者は、営業の機微についてよく心得ておられる。そんなエピソードやった。
【惨事】
大雪の日。
代理「もしもし、ひなた? 今のところ何か不具合はない?」
ひなた「やーはーあのさ、僕はイケると思ったんたよねー。ほらだって結構バランス感覚いい方だし、雪国出身だから雪道もへっちゃら。どーんとこいってさー」
代理「端的に」
ひなた「……すいません、やりました……」
ひなたは雪道で自転車を滑らせ、携帯電話を持ったままひっくり返っていた。
新聞をそこら中に散乱させて。
【価値観】
代理とひなたが花見の場所取りに公園に行く。そこに代理のクラスの子供たちがついてくる。
そのうちの一人の子供を母親が迎えに来た。
母親「まさきちゃん、帰るわよ。あら、咲妃(代理)ちゃん、こんばんは」
代理「こんばんは、お久しぶりです」
母親「まあまあ! あいかわらずお行儀がいいわね。ウチの子なんか全然ダメなのよ。まいっちゃうわぁ」
代理「そんな事ないですよ。学校では、ずい分助けていただいて……」
母親「ママがおうちにいないのに本当すごいわねー。さ、まさきちゃん。ママと一緒に帰りましょうね」
まさき「咲妃ちゃん、ばいばーい」
ひなた「……なんかエライ、ムカツクんだが」
代理「札束だと思えば腹も立たないわよ」
【営業のよくある話】
ライバル店、花日新聞販売所に5000円分の米をサービスされて客を取られ、憤る代理。「何それ、ウチは新聞屋よ」と。
代理「あとチラシの量が少ないからとか、なんとか」
ひなた「ウチの倍くらい入っている量が違うもんなあ」
かな「でもチラシでしたら折り込みたいんですけどって言ってみたらいいんじゃないですか?」
代理「ウフ、ウフフフフ。おたくの所、配達軒数少ないからチラシ入れるの花日だけで十分て言われたわよ」
ひなた「わーデス・スパイラル?」
かな「卵と鶏ですね……」
【性善説の人】
代理「ちょっとかな!! ここの家、3ヶ月も集金できてないじゃない」
かな「そこのお宅、いつ行ってもご不在なんです」
代理「まったく……こういう家に限って絶対に銀行振り込みにしてくれないのよね。バッくれるつもりかしら……春は転入出が多いから注意してよ」
かな「そんな!! きっと、お忙しいんだと思います。毎日、電気をつけっぱなしで外出されちゃうくらいですから!!」
代理・ひなた「それは居留守!!」
【ビンゴ】
ピンポーンと、かなが玄関チャイムを押す。
応答がないので、玄関ドアに張り付いて中の様子を窺う、かな。
美華「ピーポー、ピーポー」
驚く、かな。
美華「何をしとるのだ、お主は」
かな「なーんだ、みかちゃんか」
美華「気軽に呼ぶでないわ、この不審者が!!」
かな「ち……違うもん」
美華「ほぉー? では何をしてた?」
かな「中に人がいるかどうか確かめてただけだもん!!」
美華「それ……泥棒のやる事と、どこか違いがあるのか?」
かな「違わないね……」
この辺にしとく。後、詳しく知りたければ漫画の方を見て頂ければと思う。
書店で買う勇気があればの話やがな。ちなみに1冊850円や。
ハカセもさすがに文章だけでは、その面白さを伝えるのは難しいと言うとるしな。
「こういう漫画があるとは知りませんでしたね。そして、無条件に面白かったです。でも、こういうものがあるというのは、いくらアンテナを広げているつもりでも見つけるのは難しいですね」
「まあ、ワシらオッサンが目にするようなものでもないさかいな」
とはいえ、これはアニメ化もされていて人気のある漫画やという。まあ、どの層に人気があるのかは分からんがな。
現在は、そのアニメや漫画の連載は終わっているが、芳文社発行の『まんがタイムきららMAX』というので2012年4月号からの連載再開が予告されているという。
ハカセもそれに期待しているという。それまでに後3巻を読み切るのやと言うてるところを見ると、どうやらその雑誌を買うて読むつもりらしい。
まあ、それにつしては止めるつもりはない。好きにすればええ。ワシをその現場に引き込もうとせん限りはな。
ナンボええもんでも、オッサンには、ちょっと敷居が高すぎる。
「でも、こういう形で世の中に業界の話を広めていって貰えるのはいいことですよね。内容的にも悪意も感じられませんし。それに私には、とてもできないことでから」
「せやけど、現在、売り出しとる『新聞拡張員ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集』の書籍の中にも確か4コマ漫画があったやろ?」
「そんなに多くはないですけどね。アイデアくらいは考えられますけど、私には絵心というのが皆目ありませんので、『かなめも』レベルの作品を書くのはまず無理ですね。あの書籍の4コマ漫画にしてもライターの人に依頼して書いて貰ったものですから」
「あんたは、そういうところがえらいな。自分というのを客観的に見ることができる。ええものはええと素直に賞賛もできるし、それから必死に学ぼうとする姿勢もええ。それも人目も気にせずに」
「そんなことは何でもありませんよ。そうした方が得でしょ」
「確かに」
この「かなめも」にしても、ハカセならいくらでも批判できる点は見つけられると思う。現に見つけとるかも知れん。
世に評論家という類の人は多いが、ケチをつけることは誰にでもできる。それでは、それから何も得られることはできん。
欠点を指摘するよりも、ええ部分だけに目をやり、それを必死になって学ぼうという姿勢は大切や。ハカセにはそれがある。
「止めてくださいよ。変に持ち上げるのは。私はゲンさんや読者の方が思っておられるほどの人間ではありませんから」
実際、送られてくるメールには、ハカセは何でも知っている物知りだと考えておられる方があまりにも多くて困ることもあるという。
そのためやと思うが、『新聞販売店の話を書いた漫画を知っていますか。知っていたら感想を聞かせてください』という短いメールを送って来られた方に、それについて分からないから教えて欲しいと返信しても、なしのつぶてやという。
「おそらく、そんなことも知らないのかと、がっかりされたのでしょうね」と、ハカセ。
どんな人間も専門外のことには疎いものや。すべてを知っている人間など世の中に存在するはずがないと断言してもええ。
何でも知っているような顔をする者は五万といとるがな。
知らないことは知らない。分からないことは教えて欲しいと素直に言える者が、本当の賢者やないかと思う。ハカセのように。
「ゲンさん、もう止めましょうよ」
「そやな」
こんな話を続けても身内の褒め合いに終始するだけで意味がないし、面白くもないわな。
ただ、ハカセから最後に分からないことがあるというで、読者の方にお尋ねしたい。
これも先日貰ったメールに『実録漫画で新聞拡張員のことが書かれていましたが本当ですか?』とあったんやが、これについてはいくら調べてもハカセには、どんな作品なのかが分からんかったということや。
それを例によって教えて欲しいと、その方に返信したのやが、返事がないという。
それについて知っておられる方がおられたら、是非教えて頂きたいと思う。
参考ページ
注1.第119回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■新聞配達は危険がいっぱい……その安全対策への考え方
ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集 電子書籍版パート1
2011.4.28 販売開始 販売価格350円
書籍販売コーナー 『新聞拡張員ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集』好評販売中