メールマガジン・ゲンさんの新聞業界裏話・バックナンバー

第194回 ゲンさんの新聞業界裏話


発行日 2012. 2.24


■大阪維新の会「維新八策」についての正しい認識とは


どうも、世の中はワシらが予測したとおりの動きになりつつあるようや。

去年、2011年12月2日発行の『第182回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■報道のあり方 その2 消された「原発国民投票」CMについて』(注1.巻末参考ページ参照)での最後に、


現時点では、ネットが唯一、テレビや新聞といった巨大マスメディアに対抗しうる媒体なのは間違いない。

そのためにも、多少なりとも発信力のあるワシらが、脱原発を叫び続けることが必要やないかと気がついた。

一過性で言うて終わりではあかんと。

加えて、今時代が大きく変動しようとしとるというのも追い風になりつつある。

それは、先の大阪の知事選、市長選のダブル選挙で橋下徹氏率いる「大阪維新の会」が圧勝したことにある。

この意味は大きい。

今までなら、ただの地方選の結果やと中央の政界もタカを括っていられたが、今やその勢いは、どの政党も無視できんようになっとる。

おそらく政界再編も含めて、日本の政治が大きく変わる最大のキャスティングボードを握ることになるのは間違いないと考える。

その橋下徹氏は、早々と「脱原発」を掲げとる。今回の選挙でも、その思いを込めて投票した人も多いはずや。

その思いは必ず大きなうねりになるものと信じとる。またそうなるよう微力ながら、ワシらも力添えをして応援したいと思う。


と言うた。

ワシらは、その時分から、橋下徹氏は近い将来、国政を視野に入れて動き出すのは間違いないやろうと見ていた。

理由は簡単。

現在の国の統治機構では橋下徹氏が目指す、大阪都構想や中央集権からの脱却、教育制度の改革は限りなく難しいからや。

それらの政策をやろうと思えば国の統治機構を変えるしかない。そういう結論に至るやろうというのは容易に予想できた。

しかし、そういう結論に至っても普通は、一地方の首長になったくらいで実行しようとは思わない。

普通の首長なら、その座で安泰を図る。楽だからだ。しかし、橋下徹氏は違った。

先日の2月13日に橋下徹氏率いる「大阪維新の会」から「維新八策(たたき台)」なるものが発表され、本格的に国政に参加する意志を見せたことで、それが明らかになった。

しかも、国政に参加する意志を持って、開講されるという「維新塾」に応募した人たちが3千人以上も集まったという。

その「維新八策(たたき台)」について賛否両論が渦巻いている。褒めちぎる人、貶(けな)し捲る人、いろいろや。

それはええ。発言したいことがあって発言するのは民主主義国家で認められいる正当な権利やさかいな。

ただ、新聞にしろテレビにしろメディアの多くは、「大阪維新の会 維新八策(たたき台)」が発表したものを、そのまま報じてはいない。

批判している人たちの意見を見ていると、その一部を抜き出して、あるいはメディアの報道にあるものをもとに勝手に想像を膨らませて、書いてないことでも、さも書いてあるかのように吹聴して批判しているケースが目立つ。

そういうのは頂けない。

「大阪維新の会」が「維新八策(たたき台)」として骨子内容を発表しているので、ここで、その全文を掲載したいと思う。

賛同するにせよ、批判するにせよ、正しい情報を知ってから、そうするべきやと考えるさかいな。


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120221-00000546-san-soci より引用

大阪維新の会 維新八策(たたき台)の全文


日本再生のためのグレートリセット

これまでの社会システムをリセット、そして再構築

給付型公約から改革型公約へ〜今の日本、皆さんにリンゴを与えることはできません。リンゴのなる木の土を耕し直します。


■「維新八策」の骨子全文

〈維新八策の目的〉

・決定でき、責任を負う民主主義

・決定でき、責任を負う統治機構

・自立する個人

・自立する地域

・自立する国家

・日本の一人勝ちの時代は終わった

・今の日本のレベルを維持するには国民総努力が必要

・国全体でのオペレーションから個々の創意工夫による活性化

・現役世代の活性化

(1)統治機構の作り直し

・国の仕事を絞り込む=国の政治力強化

・内政は地方に任せる=地方・都市の自律的経営に任せる

・被災地復興は、被災地によるマネジメントで→復興担当大臣などは被災地首長

・国家の面的全体運営から点と点を結ぶネットワーク運営

・中央集権型から地方分権型へ

・国と地方の融合型から分離型へ

・地方交付税の廃止

・自治体破綻制度

・税源の再配置

・国の仕事は国の財布で、地方の仕事は地方の財布で=権限と責任の一致

・地方間財政調整制度=地方共有税制度の創設

・地方間で調整がつかない場合に国が裁定

・都市間競争に対応できる多様な大都市制度=大阪都構想

・道州制

・首相公選制

・参議院改革→最終的には廃止も視野

 参議院議員と地方の首長の兼職=国と地方の協議の場の発展的昇華、衆議院の優越の強化

(2)財政・行政改革

・プライマリーバランス黒字化の目標設定

・国会議員の定数削減と歳費その他経費の削減

・国会改革=役人が普通のビジネス感覚で仕事ができる環境に

・首相が100日は海外へ行ける国会運営

・政党交付金の削減

・公務員人件費削減

・大阪方式の徹底した究極の行財政改革を断行

(3)公務員制度改革

・公務員を身分から職業へ

・価値観の転換

・安定を望むなら民間へ、厳しくとも公の仕事を望むなら公務員へ

・大阪式公務員制度改革を国に広げる

・外郭団体改革

・大阪職員基本条例をさらに発展、法制化

(4)教育改革

・格差を世代間で固定化させないために、最高の教育を限りなく無償で提供

・教育委員会制度の廃止論を含む抜本的改革

・首長に権限と責任を持たせ、第三者機関で監視

・教育行政制度について自治体の選択制

・学校を、校長を長とする普通の組織にする

・大学も含めた教育バウチャー(クーポン)制度の導入

・生徒・保護者による学校選択の保障

・大阪教育基本条例(教育関連条例)をさらに発展、法制化

(5)社会保障制度

・受益と負担の明確化(世代間格差の是正)

・年度毎のフローでの所得再分配だけでなく、一生を通じてのストックによる所得再分配

・一生涯使い切り型人生モデル

・現行の年金制度は一旦清算=リセット

・年金の積立方式への移行(最低ライン)

・さらに、資産のある人は、まずはその資産で老後の生活を賄ってもらう→掛け捨て方式(ストックでの所得再分配)

・何歳まで努力をしてもらうのか、老後いくらを保障するのかを設定=事前告知→それに合わせた保険料を設定

・保険料は強制徴収(税化)

・リバースモーケージ(所有不動産を担保に年金のような融資を受ける仕組み)の制度化

・持続可能な医療保険制度の確立=混合診療解禁による市場原理メカニズムの導入

・持続可能な生活保護制度の確立=就労義務の徹底

・ベーシックインカム(最低生活保障)制度の検討

(6)経済政策・雇用政策・税制

・新エネルギー、環境、医療、介護などの特定分野に補助金を入れて伸ばそうとするこれまでの成長戦略と一線を画する「既得権と闘う」成長戦略〜成長を阻害する要因を徹底して取り除く

・岩盤のように固まった既得権を崩す

・徹底した規制緩和による新規参入、イノペーション

・現在存在する社会インフラの徹底した選択と集中

・ストックの組み替え=高度成長時代に造られたストックを成熟した国家にふさわしい形へ

・経済活動コストを抑え、国際競争力を強化

・マーケットの拡大=自由貿易圏の拡大→TPP/FTA

・大きな流れ(円高、海外移転など)に沿った対策=大きな流れを人工的には変えられない

・労働集約型製造業の海外移転は止められない

・貿易収支から所得収支、サービス収支の黒字を狙う

・円高による輸入業の儲けを輸出業の損失へ=円高による為替差損益の調整制度(ソブリンデリバティブ)

・高付加価値製造業の国内拠点化

・サービス産業の拡大=ボリュームゾーンの雇用創出→IR型リゾートなど

・医療・介護・保育の分野では一方的な税投入による雇用創出をしない=ユーザーの選択に晒す

・産業の淘汰を邪魔しない=産業の過度な保護は禁物

・人は保護する=徹底した就労支援

・労働市場の流動化、自由化→衰退産業から成長産業へ、外国人人材の活用

・教育機関による人材養成=グローバル人材の養成

・女性労働力の徹底活用

・フローを制約しない税制=民間でお金を回す(使わせる)税制

・一生涯使い切り型人生モデル

・資産課税=固定資産税は現金化、死亡時に精算(フローを制約しない)

・使った分(設備投資、給料、消費)は消費税以外は非課税

・国民総背番号制によるフロー・ストックの完全把握

・(全商取引の把握=非課税となる要件)

・国民総確定申告制

・超簡素な税制=フラットタックス

・減免、特措法などは原則廃止

・夫婦、障害者、事業承継が課題(方策の一例〜一定規模の事業で雇用創出をしている場合のみ、事業承継を認める?それとも原則通り一代限り?資産の売却?)

・脱原発依存、新しいエネルギー供給革命

(7)外交・防衛

・自主独立の軍事力を持たない限り日米同盟を基軸

・加えてオーストラリアとの関係強化

・日米豪で太平洋を守る=日米豪での戦略的軍事再配置

・2006年在日米軍再編ロードマップの履行

・同時に日本全体で沖縄負担の軽減を図る更なるロードマップの作成着手

・日米地位協定の改定=対等

・国際標準の国際貢献の推進

・国際貢献する際の必要最低限の防衛措置

(8)憲法改正

・憲法改正要件(96条)を3分の2から2分の1に緩和する

・首相公選制

・参議院の廃止をも視野に入れた抜本的改革

・衆議院の優越性の強化


というものや。ただ、これは方向性を示したもので、現段階では、たたき台にしかすぎないという。

趣旨としては、これらの問題を「維新塾」に集まった塾生で議論して中身のあるものにしようと言うてるわけや。

橋下徹大阪市長が独断で決めているものでも何でもない。もちろん、氏の影響力は大きいやろうが。

もっとも、各メディアや批判する人たちは、これを決定事項として異論を唱え始めているようやがな。

反対する人たちにとっては、とんでもない発想だと言うのは分かる。

現行の政治形態で恩恵を受けている政治家や官僚、公務員たちが自身の生活、権益を守るために必死になるのも当然と言えば当然やろうと思う。

その立場での反対意見なら、それはそれでええ。発言するのは自由や。

その意見をどう判断するかは、ワシら国民がそれぞれで決めたらええことやさかいな。

しかし、ある大物ジャーナリストが、「維新八策には、実現が難しいと思われる問題が多い。一方でTPP交渉参加や消費税増税については賛成としている」(注2.巻末参考ページ参照)と書いてあったのには首を傾(かし)げざるを得ない。

上記の項目を見て貰うたら分かるが、維新八策では消費税増税については何も触れられていない。

おそらくは、その大物ジャーナリストが橋下徹大阪市長との会談か何かで、そういう感触を得ていたのかも知れんが、書いてないことを、さもそうであるかのように公に記述したらあかんわな。

『維新八策』について批判するのなら、公に示された内容のものでするべきや。勝手に創作したらあかん。

せっかくの名声に傷がつくと老婆心ながら忠告しとく。

TPP交渉参加にしても、維新八策では『・マーケットの拡大=自由貿易圏の拡大→TPP/FTA』とあるだけで、TPPに参加すると記しているわけではない。

そこに『TPP/FTA』とあるように、『TPP交渉参加』は一つの選択肢という意味や。それくらいは誰でも分かる。

『TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)』だけではなく『FTA(自由貿易協定)』を選択する可能性も、それには含まれているという記述になっている。

要するに『・マーケットの拡大=自由貿易圏の拡大』のためには、あらゆる可能性を削除しないで議論すると言うてるわけや。

ワシの個人的な意見としては、『第184回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■TPPの参加により新聞の再販制度は守られるのか?』(注3.巻末参考ページ参照)の中でも、TPP参加するのは懐疑的やと言うて、その理由も詳しく列挙したが、本格的に議論すれば、その問題点もよく分かるやろうと思う。

いやすでに分かっているからこそ、議論の対象にして国民に示したいのやないかと推察する。何事も逃げないという意志を示すために。

その大物ジャーナリストの場合は『TPP交渉参加』とあるから決定事項と言うてないだけ、まだええが、2月15日付けのA新聞の第4面には『船中八策の主な政策』と題された表に『TPPへの参加』と、はっきり記載してある。

そして、他紙でも皆、同じやった。

単なる間違いとしても、あまりにも大きすぎるミスやが、テレビなどでも繰り返し、そう報道されているところを見ると、『TPP/FTA』とあるのを拡大解釈して、『TPPへの参加』と記述しているとも考えられる。

何も知らない一般国民の中には『消費税増税』や『TPPへの参加』とあるだけで嫌悪感を示す人もおられるさかいな。

国民の離反、人気の下落を狙って、わざとそう掲載したのなら、あまりにもあざといと言うしかない。

当たり前のことやが、新聞は正しく報道する義務がある。それについては今まで何度も言うてきたが、何でこんなことをするのやろうかと思う。

これについて新聞不要論者から歪曲された報道と指摘されても、ワシらには返す言葉もない。それが事実やさかいな。

情報というのは、いくら新聞やテレビなどのメディアが歪めて報道しても、今の時代は必ず、それと分かってしまうのにな。ホンマ、理解に苦しむ。

新聞を売る身としては本当に情けないとしか言いようがない。

ただ、これで言えるのは、新聞の制作サイドの中には、維新八策を潰したい、国民に評価させたくないという者がいとるということや。

それも有力上層部のごく一部に。

それがために、「大阪維新の会 維新八策(たたき台)」で発表されたものを報じないで、そんな報道をしているのだと考えれば、辻褄は合う。

しかし、そんなことをすればするほど「大阪維新の会 維新八策(たたき台)」で発表されたものが際立つということくらい分かりそうなもんやと思うがな。

ここで、『大阪維新の会 維新八策(たたき台)の全文』に示されているものから、主なものを抜き出して、ワシらの考えを示したいと思う。

まずは『(1)統治機構の作り直し」から。

『・中央集権型から地方分権型へ』というのは、できるものならばそうするべきやと思う。

これ一つ実現できるだけでも、中央省庁の官僚の力がかなり減退でき、官僚国家日本の脱却にもつながるさかいな。

『・都市間競争に対応できる多様な大都市制度=大阪都構想』というのは、橋下徹大阪市長が選挙公約に掲げ、既存政党のほぼすべてを敵に回し、圧倒的民意を得て勝利した以上、否定するべきやないと思う。

二重行政という無駄を排除できるだけでも賛成する意義があると、個人的には考える。

『・道州制』は、その延長やから、同じや。

『・首相公選制』というのは大賛成や。

県知事や市長が直接選挙で選ばれて民意が反映されるのに、何で総理大臣だけが違うのかというのは子供の頃からの大きな疑問やった。

民主主義国家のすべては直接投票で、その国のトップを選んでいるのにと。

国民に最も支持される人物が、その国のトップになることが当然やと。

はっきり言うて、毎年のように、ころころ総理大臣が代わるというのは、その職責があまりにも軽い、お飾りやからと言われても仕方がない。

お飾り的な人間が国のトップにいて、まともな政治なんかできるわけがないわな。

正月やクリスマスツリーなどのお飾りは、その時だけのイベントに利用されて捨てられるものと相場が決まっとる。

そのお飾り総理大臣、お飾り大臣を利用して操ってきたのは間違いなく官僚で、それも一部の省庁の上層部だけやと思う。

数十人の少数派が、実質的にこの日本を動かしてきたと。

それでもまだ、お飾り総理大臣、お飾り大臣は責任を取るだけマシやが、官僚は誰一人、何をしようが責任も取らず、裕福すぎる老後が約束されとる。

まあ、無責任でいられて裕福すぎる老後が約束されとるから、是が非でも自分たちの権益を守ろうとするのやろうがな。

ふざけるなと思う。いつまでもそんな時代が続いてたまるか。

しかし、既存政党に任せていたら、いつまでも官僚支配の政治は確実に続く。

いずれ日本の国が破綻に追い込まれるまで、このまま突き進むのは、ほぼ間違いない。

じわじわ真綿で首を絞められるように。

奴さんたちのことやから、例えそうなっても自分たちだけの身は守り切ろうとするやろうがな。泣きを見るのは一般国民だけになる。

既存政党では、橋下氏、大阪維新の会の提唱する『これまでの社会システムをリセット、そして再構築』などできわけがないということや。

それができん限り、官僚支配の政治から脱却することは難しい。

今の日本で、それができそうな人は橋下氏とその意志に賛同する人たちくらいしかいないやろうと思う。

座して死を待つくらいなら、少しでも可能性のある人にかけてみたくなるのは当然や。

どれだけ叩かれようと、どれだけ貶されようと、一向に橋下人気が下落しないのは、そういう国民の期待感からなのは間違いない。

現民主党には多くの国民が、その期待をかけたのやが、選挙の時には裏に隠れていた連中が小沢氏降ろしに成功するや、半ば公然と国民の期待を裏切る道を突き進み始めた。

さりとて自民党に任せていたのでは、過去の責任すら認めようとしない体質の党では、今よりも、もっと酷いことになりかねん。

何しろ官僚にとっては自民党など扱いやすい存在やさかいな。もっと言えば自民党政治が今日の官僚を育てたと言うてもえくらいやとワシは思う。

この国を変えるには、少なくとも官僚が嫌がる人間がトップに立つ必要がある。それも、その彼らをバッサリ切れる人間が。

その人物は、現在のところ橋下氏以外には見当たらないということや。

ただ、問題がないわけではない。

橋下氏のもとに集まった人たちが純粋に国民のことを第一に考えているのかというのが、それや。

人間は、その立場に就くと往々にしてその地位を守りたくなり妥協を重ねるようになるものやさかいな。

現在、橋元氏を批判する際、盛んにやり玉に挙げられる堺市市長の造反が、そのええ例やと思う。

大阪維新の会のバックアップにより堺市長になれたにも関わらず、その地位に就くや、何かと理由をつけ、当初の理念など忘れたがごとく造反する人間が現れんとも限らんわけや。

残念ながら、人間には美味しそうな果実に群がる習性のようなものがある。そこに某かの利益があるから集まる者が多いと。

そして、一旦、それを手にすると、なかなか手放そうとはしない者も多い。

ただ、その懸念があったとしても官僚に操られている既存政党よりかは数段マシやとは思う。

そう言えるのは、橋元氏や大阪維新の会のメンバーに、古賀茂明氏がブレーンとしておられるからや。

古賀茂明氏はもと経済産業省の官僚で、官僚組織の改革を提唱し、国民目線で考える正義感溢れる方やったが、長く窓際部署に追いやられた挙げ句に、組織から弾かれてしまった。

その古賀茂明氏を民主党政府はむろんのこと、どの既存政党も迎え入れることすらしなかった。

理由は簡単。そうすれば官僚たちから睨まれるからや。官僚を敵に回したくないという人間に、この日本を変えて再生させることなど絶対にできんと断言する。

それを橋元氏、大阪維新の会は快く迎え入れた。その一点だけでも大いに評価できると思う。

『・首相公選制』を採用すると、天皇制が否定される危惧があるとバカなことを言うとる知識人とやらがいとるが、そんなことがあるわけがない。

世界で唯一、日本だけが元首としての天皇が2千数百年という長きに渡って存続している国なわけや。

日本人すべてにとって唯一共通して尊敬できる対象が天皇陛下やと思う。

また、それだけの人格者でもあられる。そんなことの分からん日本人は存在せんと考えるがな。当然、橋下氏も同じや。

よく考えれば分かるが、橋下大阪市長は市立学校の教職員に君が代の起立斉唱を義務づける条例案を出すと名言した人や。

国歌は国の象徴で、その最たる象徴である天皇陛下をないがしろにすることなどあるわけがない。

もっとも、その知識人とやらは、それを引き合いに出すことで橋下氏を貶めて攻撃したいのやろうが、見当外れもはなはだしいと言うしかない。

ええ加減、人を批判することで自身の論調を正当化するのは止めろと言いたい。
それも見当外れ、創作込みでは話にもならん。

自身の論調を正当化するのは、自身の揺るぎない信念に基づいてするべきや。

人を批判することで、それよりは良しと見せかける姑息なやり方はするべきやない。

『・参議院改革→最終的には廃止も視野』、というのが、既存政党の一番のネックになっとるようや。

国会議員は昔から、自分たちに有利に働き得する法律は、あっという間に可決させてきたが、一円でも減らされるとなると相当な抵抗感を示したきた。

それには選挙には金がかかり、議員になってそれを取り返さなあかんと考えとるからに外ならんと思う。

成るか成らんか分からん議員定数削減というかけ声よりも、国会議員自らの給料を半減させて歳費も大幅にカットさせるべきや。

それが本当の痛みを伴うということやないのか。それができんようでは国民の支持など得られるわけがない。

議員になることで儲けなあかんと考えとる連中に政治を任せていて良うなるわけがない。

現在のシステムのままやと、汚職議員や私腹を肥やす議員が出ても当然やと思う。

それをなくすには、ただ一つ、国会議員を美味しくない職業にするしかない。

高給官僚たちの給料もそうや。1割、2割カットなどいうのは生ぬるい。一般公務員に準じた給料で十分や。

国会議員にしろ高級官僚にしろ、いずれも世界最高水準の報酬を得ている連中ばかりや。それをせめて外国並か、それ以下にせんことにはあかんやろうと思う。

そうすれば利権やら儲けに走る輩は議員や官僚にはなりたがらんようになる。当たり前やが儲からんのやさかいな。

儲けるために議員や官僚になる人間は近寄らんようになる。

そうすると、良い人材が集まらなくなるという戯言を言う者がいとるが、そんなことはない。

逆や。国会議員や高級官僚が美味しいからこそ、碌でもない連中が集まり、この日本という国を食い物にしてきたわけや。このままほっとけば、まだその状態が続くのは、ほぼ確実で間違いない。

経済は一流だが政治は三流と外国はおろか、日本国民の多くがそれを認めなあかんという悲しい事態になり下がっとるわけや。

まずは、そういう連中を是か非でも排除せなあかんと考える。

心配せんでも大した金を貰えなくても、世のため人のためと考える人間は絶対に現れる。

極端なことを言えばボランティアであってもやろうという志の高い者が絶対にいとるはずや。

現在はシステムとして、そういった人材の台頭が無理なようになっとるだけの話でな。現在のシステムが壊れれば、必ず高い志を持った人間が現れるものと確信しとる。

それが時代の変革期に見られる歴史の大きな流れでもある。

その意味では、『(4)教育改革』での『・格差を世代間で固定化させないために、最高の教育を限りなく無償で提供』というのは、素晴らしい提案やと思う。

特にワシは金がないために夜間高校しか行けんかったから、よけいにそう思う。

金がなくても勉強したい人に、その場を提供するのが本来の国のあり方やないかと。

ワシの僻みかも知れんが、現在は、比較的裕福な家庭で何不自由なく育った人間のみが高い学費を払って一流大学に行き、官僚や政治家になっとる者が多いように思う。

大学に行けんかった人間でも図抜けた人間は世の中には、いくらでもいる。

橋下氏自身、母子家庭で育って楽な生活をして来なかったというから、それがよく分かっておられるのやろうと思う。

『・格差を世代間で固定化させないために、最高の教育を限りなく無償で提供』というのは、それがあったためやと考えれば納得できる。

もっとも、それだけやなく、純粋に広く人材を育てたい、発掘したいという思いがあるからこそやとは思うがな。

『(6)経済政策・雇用政策・税制』の『・岩盤のように固まった既得権を崩す』についても大賛成や。

橋下氏について最近よく言われていることに、小泉元総理の手法に似ているというのがある。だから、結局言うだけで何もできないと。誤った道に進むと。

それはない。

それは橋下氏と小泉元総理には決定的な違いがあるからや。

橋下氏には既存政党の縛りが何もない。配慮する組織も団体もない。

対して小泉元総理は、言うても当時の与党、自民党の一員でしかなかったわけや。当然、やりたいことがあっても相当に政党の制約を受けていた部分が多かったと考えられる。

政党として、さまざまな組織、団体票を得たいがために、それぞれに配慮せなあかんということもあったはずや。

その点だけを取っても橋下氏とは大きく違う。

橋下氏が唯一頼りにするのは国民の支持しかない。国民の支持を失えばそれまでや。そうならないためには国民のための政治をするしかない。

本来、政治家とは、そういうもんやないとあかんのと違うかな。

『・脱原発依存、新しいエネルギー供給革命』というのが、原発不要論者のワシらとしては最も共感できる部分や。

その一点だけを公約に掲げとっても支持すると思う。

まあ、その点については、この『維新八策の骨子』が発表される以前に予測できたことではあるがな。

橋下氏は、はっきり『脱原発依存』を言い続けていたさかいな。

政府が『脱原発依存』ということをはっきり打ち出せば、東京電力や他の電力会社も原発の再稼働などあきらめて、さっさと『新しいエネルギー供給』の方向にシフトするはずなんやけどな。

当たり前やが、そうせな生き残っていけんわけやさかいな。

そして、日本の技術を持ってすれば原発なんかに頼らんでも、また化石燃料に頼らんでも必ず、電力を安定的に確保できる発電方法を確立するものと信じている。

そのためにも既存の電力会社の独占と利権構造はなくすべきやと考える。

しかし、与党は国民の支持率は気になるが、さりとて電力会社につながる経済界の組織や団体を無視することができん。

どちらを向いとるのかと言えば、その手の組織や団体しとか思えない。

今、利権構造をなくすことができる可能性があるのは橋下氏率いる大阪維新の会しかないやろうと思う。

もっとも、今回のものは、叩き台ということやから、ちゃんとしたものが出れば、その時にでも言うべきことがあれば発言するつもりや。

そして、間違っているということがあれば、それも指摘していくつもりにしとる。

何事も盲目的に支持するようなことだけはせんつもりやさかいな。

今回示された『維新八策の骨子』については、概ね賛同できるということで終わりたいと思う。

ただ、いつものことやが、ワシらは持論を読者に押しつけるつもりはないし、反対意見も聞く耳を持っているつもりや。

せやから、もし何か意見や疑問に思うことがあれば、ワシらのできる範囲で
答えさせて頂きたいと思うので遠慮なく言うてきて欲しい。


参考ページ

注1.第182回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■報道のあり方 その2 消された「原発国民投票」CMについて

注2.橋下市長の「維新八策」に期待すること

注3.第184回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■TPPの参加により新聞の再販制度は守られるのか?


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