メールマガジン・ゲンさんの新聞業界裏話・バックナンバー

第198回 ゲンさんの新聞業界裏話


発行日  2012. 3.23


■新聞販売店にできる事、するべき事について


読者からあるニュース記事を知らせて頂いた。


▼高齢男女の遺体発見、病死か 新聞2週間分たまる 東京・足立
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120311-00000533-san-soci より引用


 11日午前11時半ごろ、東京都足立区西新井のアパートの一室で、70〜80歳代とみられる男女が亡くなっているのを、警視庁西新井署員が発見した。

 同署によると、この部屋に住む男女とみられ、死後2週間程度が経過していた。同署は、どちらかが病死した後、もう1人も高齢で動けず死亡した「孤立死」の可能性があるとみて身元の確認などを急いでいる。

 同署によると、男性は和室の布団近くであおむけに倒れ、女性は別室の畳で下着姿で死亡していた。下着は汚物で汚れていた。目立った外傷はなく、玄関は施錠され、室内に物色された形跡もなかった。財布などに現金約1万6千円があったほか、冷蔵庫に食料品も入っていたという。

 近所の男性が、この部屋に住む男女と連絡が取れないことを不審に思い、11日午前、アパートを訪問。新聞が約2週間分たまっており、風呂場の窓から室内に入ったところ、2人を発見。通報で、駆けつけた西新井署員が死んでいるのを確認した。

 近隣住民は「生活保護を受け、2人暮らししていたようだ。女性はここ2、3年姿を見ていない。男性も昨年7月ごろから、姿を見ていなかった」と話した。

 東京都内では今月7日、親子とみられる高齢の女性2人の遺体が見つかり、2月にも母親と障害を持つ男児が死んでいるのが見つかった。

 現場は東武伊勢崎線西新井駅から北西約1キロの住宅地。


この記事は、例の見守りサービスの話(注1.巻末参考ページ参照)に関係してきます。

結果的には、たとえ翌日に異変に気がついても手遅れで、新聞販売店にはどうすることもできなかったかもしれませんが、もう少し早く異変に気づかなかったのだろうかと思ってしまいました。


というものや。

難しい問題やな。

一般的に言うて、留守にしながら新聞販売店に連絡し忘れて長期間旅行などに行かれる方というのが結構多いから、新聞を取り込んでいないというだけでは異変に気づきにくいとは思う。

それにしても2週間も新聞が溜まったまま入れ続けたというのは、どうなのかという気はするがな。

新聞配達員に購読者の安否について配慮する義務はないと言われて終えば、それまでやが、普通に考えて異常なことやと察知せなあかんわな。

しかもこの事件は、その新聞販売店からではなく、『近所の男性』の通報というところに同じ業界の人間としては残念な気持ちになる。

配達員の中には配達をさっさ済ませることしか考えん者もいとるから、そうなる。

面倒な事に巻き込まれて時間を取られるのが嫌やから、ほっとけと。

これは単に、その配達員だけやなく、その販売店全体の風潮にも関係しとるのやないかと思う。

少なくとも、この記事を投稿された読者が言っておられる『例の見守りサービスの話(注1.巻末参考ページ参照)』のことなど微塵も考えていない、知らないのやろうと。

ワシには、それ以外の理由は考えられんが、それ以外に何かあるのなら、今回の事件関係者の方に、ぜひ教えて貰いたい。

たいていは3、4日分も新聞を取り込まない状態が続けば、留守にしているのやないかというくらいの事は誰でも気づく。

多くの新聞販売店なら、「配達休止」処置をとるためにもその家に連絡くらいはするもんや。

朝早くから懸命に配達されている方を責めたくはないが、我関せずというのは、あこぎな勧誘や無神経な対応をするより罪作りやと個人的には思う。

結果論やと言われるかも知れんが、それと知って放置するのは人として褒められたことやないさかいな。

想像して貰いたいが、こういう事件があった家に配達していたと知ったご本人気分はどうなのかと。堪らない気持ちになるはずや。

そんな後悔をして欲しくないから敢えてきつく言うてるわけや。

後悔せん人に何を言うても無駄やが、こういうことがあった後に悔いを残したくなければ、せめて気持ちの負担を減らす意味でも、店長あたりの責任者に「○○さんは、ここ2、3日の間、新聞を取り込んでいませんよ」と教えといて貰いたい。

それでその店長が何もアクションを起こさなければ店長の責任と考えられるさかい、自身の心の負担が軽くなるさかいな。

この読者の方が言われるように『結果的には、たとえ翌日に異変に気がついても手遅れ』になるというケースが実際には多いやろうとは思う。

しかし、この事件の場合は『どちらかが病死した後、もう1人も高齢で動けず死亡した』ということのようやから、早期に気がついて早く通報されていれば
少なくとも一人は助かった可能性がある。

それ故に残念やと言うてるわけや。

もちろん、基本的には、そういった高齢者の家族が常に気遣ってあげることが最良の方法やとは思う。

ところが、現代はその高齢者の親を除外するという意味合いの強い核家族化が進んだ時代でもあるから、単身高齢者というのがむしろ自然になっている。

核家族という言葉は、第二次大戦後、アメリカがビキニ環礁で核実験を行った頃から、そう言われ始めたという。

何やこれだけを聞くと、家族が核爆弾で崩壊したかのような印象を受ける。

まあ、戦前の三世代同居というのが当たり前という時代では最早なくなったから、そういう意味では家族、家長制度の崩壊と言えんでもないがな。

日本では、高度経済成長期に人口が都市部に移動したため核家族の比率が上昇し、1963年に流行語になったと言われている。

ただ、日本において昔から核家族は最も一般的な家族形態であり、戦後に広まったという認識は誤りであるという見方も一部ではある。

日本は古くから直系家族で構成された国であり、親元には長男だけが残り次男以下は独立するため、広義の意味ではそれが核家族になるという。

もちろん、現在言われている核家族化というのは、それとは違う。

現在の核家族化とは昔は親元に残っていた長男も独立して、個別の家族を作ることを言う。

舅や姑と同居するのを嫌う女性が増加したことで、俗に「家付きカー付き婆抜き」という言葉が生まれた。

女性が男性との結婚の条件として親との同居を嫌がったからと。

ワシもその時代に生きてきたから良う分かるが、当時は新しい風習、考え方が良いともてはやされた。

極端に言えば、結婚したさに親を遠ざける子供が増えたわけだ。当時はそれが当たり前とされ、誰もそれによる弊害など考えもしなかった。

しかし、平均寿命が長くなったことで、夫婦二人もしくは一人暮らしの高齢者が増加する事態となり、それによる弊害が顕著になった。

昔は、家事や子育てなども両親と祖父母が分担していたから、その分、直接的な労働や精神的な負担も軽減できていた。

核家族化になるということは、当然、その負担を夫婦がすべて負わなあかんわけやが、それに耐えられん親が続出するようになった。

経験者に学ぶということができんようになったからや。

子供を虐待するというのが、その最たるもので、昔の祖父母がいた時代には考えられんかったようなことが、今や日常の事件として報じられとる。

自分たちだけが良ければ良いというのは究極のエゴで、そういう考えの者に本当の意味での幸せなど訪れることなどないと考える。

幸せとは欲して得られるものではなく、人に与えることで得られるものやということを考えて欲しい。

親には感謝を。子供には慈しみを。それができる人間にしか真の幸せなど訪れることはないと。それを分かって欲しい。

また、現在は、長引く不況ということもあり生活のために夫婦共稼ぎの増加が著しく、そのために親に構って貰えない子どもたちが家で独りきりになるケースが多い。

そのことにより寂しさのあまり非行に走るケースも増え、問題が深刻化しているという。

反対に祖父母のいる家庭では子供の非行率は低いということや。

核家族化の基本的な考えは自分たち以外には関知しない、関係ないということだから、他人に対しても無関心になりやすい。

昔の子供は、外で悪さをしていれば叱る大人が普通だったから、悪い事をすれば怒られるものと考えていた。今はそんな大人の方が珍しい。

今の子供たちが非行に走ると嘆く前に、そういう社会になっていることを嘆く必要がある。

いつの時代でも子供は社会を映す鏡やと思う。子供の心が荒んだ社会は確実に荒廃しとる。

当然やが、叱られなければ子供は何をしてもええと考えるようになる。

それが進むと叱る大人が悪い、極端なことを言えば子供を叱った学校の教師が悪いと考えるような子供まで現れる。

そんな子供たちが大人になったのが現代であり、近い未来やと思う。

因果応報というのがある。人は良い行いをすれば良い報いがあり、悪い行い をすれば悪い報いがあるという意味に使われる四字熟語、ことわざや。

親との同居を嫌えば、将来自分の子供からも同居を嫌われるのは必然やということになる。

現在、高齢者と同居するのを嫌がる人は、その高齢者が将来の自分の姿やと思えばええ。

そう考えれば、どうすればええか分かるはずや。その高齢者の立場になってから分かったんでは遅いさかいな。

もちろん、それでええという人には何も言うことはない。

しかし、それではあかんという人は、いろいろ問題や事情はあるやろうが、事は命に関わることやから高齢者との同居について考え直して貰いたいと切に願う。

そうすることが、この事件のような悲惨な高齢者の惨状をなくす一番の近道やという気がするさかいな。

一度根付いた考えを変えるというのは容易なことやないのは百も承知や。

ただ、昨年の東北大震災以降、絆ということが盛んに言われていて、核家族化に疑問を呈する人も増えたと聞くから、これからは以前よりかはマシになるような気がする。

そして、新聞販売店の人たちも、せっかく地域に根ざした店舗を構えているのやから、もっとその利点を活かして欲しいと思う。

新聞販売店は、その地域の読者に支持して貰えなやっていけん仕事や。地域を守ることが、そのまま新聞販売店自身を守ることらにつながる。

その事が分かれば20日間も新聞が取り込まれなくて溜まったままになっているにも関わらず、新聞を入れ続けて何のアクションも起こさんという愚を冒すことはなくなるはずや。

実際に、高齢者の見守りを実施されている販売店も複数あるので、以前話したそのための方策をもう一度ここで言うとく。


新聞販売店による独居老人の見守り対策サービスの心得


1.独居老人、独身者専用の名簿を作る。

まずは独身の購読者本人から聞き取り調査をする。

万が一の場合の連絡先、携帯の電話番号、勤め先、病気の有無、趣味などをその集金時、もしくは止め押し(継続契約依頼)時に雑談がてらといった気楽な感じで聞き出すようにする。

特に、過去に心筋梗塞や脳溢血などの急性の疾病に罹って発作などを起こした経験、糖尿病などの慢性疾患で気を失って倒れたことなどがあれば洩らさず書き留める。

それを尋ねると「なぜ、そんなことを聞くのか」と訝(いぶか)る人もいるから、その説明をきちんとする。

「実は以前、こんなことがありまして……」と、独身の購読者の方が亡くなられたことがあったという話などをして、「販売店として、その防止に努めたいので」と説明する。

その経験がなければ、『第189回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■新聞販売店員奮闘記 その1 集金秘話』(注2.巻末参考ページ参照)の話を引用するのでもええのやないかと思う。

そして、「そういう病歴のある方で、新聞の配達時に前日の新聞が取り込んでなく、連絡が取れなければ異変があったと考え、救急(119番)に通報することもありますので」と伝え、事前に許可を得る。


2.新規勧誘時にも、情報の収集を義務付ける。

出入りの拡張員、従業員の勧誘時にも、その趣旨を説明して、例え、契約が取れなくても、「当店では、こういった試みをしています」とアピールし、1.の情報を多く集めさせる。

これをさせるのは、サボリ防止にもなる。当たり前やが、それは実際に廻らな掴めん情報やさかいな。

勧誘に廻らず、どこかの喫茶店やパチンコ店で日長(ひなが)サボッていて、「今日は1日中、頑張って廻りましたけどダメでした」と、いけしゃあしゃあと言う勧誘員も中にはおるさかいな。

それが、この情報を取らせることで、サボリにくくなる。そういう人間には例え契約ゼロで帰って来ても理解を示す。

まあ、まじめにそれをやって契約ゼロ、坊主というケースは、まずないとは思うがな。

そうしようという気持ちになった時点で、相手にも気持ちが伝わるもんやさかいな。それが必ず好結果を生むはずや。

加えて、無理な勧誘も減る。実際、これを義務付けとる販売店では客とのトラブルが極端に減少したというさかいな。

しかも、軒並み勧誘員の成績も向上したと。

その取り組みの目新しさと真摯な姿勢に共感を呼ぶというのもあるが、それ以上に、各勧誘員が真面目に廻るということが大きいと思う。

昨今、契約の獲得をするのが厳しい状況になっとるのは確かやが、その反面、どこまで真面目に仕事をしとるのかとなるとハテナマークがつくことも多いさかいな。

昔も今もそうやが、勧誘員たちの成績を上げるためには、いかに真面目に仕事をさせることができるかという一点に尽きるのやないかと思う。


3.従業員、アルバイトを問わず、朝刊の配達時には前日の夕刊、朝刊が、夕刊の配達時には朝刊が取り込まれていない場合、必ず責任者への通報を義務付けさせる。

具体的には、その場で電話をかけさせる。尚、ポイント制などを導入して、その通報に対して某かの報酬を与えるというのも効果があると思われる。


4.従業員にはエリアを決めて、その連絡のあった家に配達終了後、確認させる。その際、必ず契約者と連絡を取るということを徹底させる。

まずは電話で確認し、それでもだめな場合はその家に行って確かめさせる。


5.僅かでも異変を感じたら店長、所長などに連絡し、その指示を仰ぐ。

連絡を受けた店長、所長は、あらゆる手段を講じ、どうしても本人と連絡がつかない、緊急性を要すると判断した場合は、なるべく早く救急(119番)に連絡する。

幸い、それをしている販売店では、1.で得た情報により徹底した確認と連絡を心掛けているので、その救急(119番)に連絡するまでに至ったケースが、まだないという。


ということや。

これに加え、最近では高齢者から自宅のスペアキーまで渡されとるケースもあるという。

もちろん、そうなるには相当信用されなあかんが、新聞販売店が地域のコミュニティの中心的な役割を果たすという考えを持っていれば、必ずそれと認知され、人は自然と頼りにするもんやと思う。

その気になれば新聞販売店はそうなる可能性の高い仕事、業種なわけや。

そして、人の為がそのまま自分の為にもなる。まさに情けは人の為ならず、である。

現在、新聞業界は厳しい状況に置かれとる。長引く不況のため新聞の購読契約を止めたいという人も多い。金を払うのが勿体ないからと。

しかし、世の中に必要なものであれば廃れることなど絶対にない。勿体ないという気持ちにもなりにくい。

相変わらず、昔と同じように契約者と揉めてでも「新聞を取らしてやる」というアホなことを考えとる販売店があるが、そんなことしか考えられん人間は必ず後悔することになる。

地域を守れる立場にありながら守ろうとせん。役に立とうとせん者に何が残るというのか。誰が考えても分かりそうなもんや。

あこぎな方法で新聞を取らすことに成功したとしても、それでは怨嗟、恨みを買うだけにしかならん。

人は受けた恩を忘れることがあっても、受けた恨みは絶対というてええくらい忘れんもんや。

それが例え、どんなに些細な言葉であっても傷ついた人間から、その思いを払拭することはできん。

それが積み重なれば当然のように地域限定の商売しかしてへん新聞販売店は客を減らすしかないことになる。

あこぎな勧誘を続けること自体、自分で自分の首を絞めることにしかならんわけや。

ワシは、そのことをずっと言い続けてきた。そして、世の中は実際にそうなろうとしとる。

はっきり言う。新聞販売店が生き残る道は一つ。地域で役立つコミュニティの中心として認知して、それに相応しい行動を採ることや。

それ以外に生き残る道はないと思う。



参考ページ

注1.第65回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■ある新聞販売店の取り組み その1 哀しき孤独死をなくせ

第117回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■新聞販売店による高齢者見守りサービスへの取り組みと、その問題点

注2.第189回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■新聞販売店員奮闘記 その1 集金秘話


読者感想 全く同感です

寄稿者 duplo さん  投稿日時 2012. 3.23 PM 2:56


最新メルマガに、

はっきり言う。新聞販売店が生き残る道は一つ。地域で役立つコミュニティの
中心として認知して、それに相応しい行動を採ることや。

とありましたが、全く同感です。

身近なお客様の中でも、地域貢献や、街興しに奮闘されている新聞店さんが増えてきました。

既にご存知とは思いますが、WBSでも取り上げられた「野崎参り商店街」の振興組合理事長は部数追求の最も厳しい系統新聞店の若手代表でありながら、ITを駆使して、殆どお金をかけず3年でシャッター商店街を、注目される面白い商店街に変身させてしまいました。

周囲の若手新聞店主も、福島で今自分達は何ができるかを確認しに行くなど、できることは何でもやろう、という雰囲気に満ちています。

誰も発行本社の部数政策に逆らいはしませんが、現地会も円満に機能させ、業界としての協業で地域貢献を果たそうとしています。

まだまだ新聞業界も捨てたもんじゃありません。

バンバン前向きなネタを発信して下さい。

楽しみにしております。


読者感想 新聞販売の仕組みそのものを変える必要があると思います

投稿者 奥本さん 兵庫県在住 投稿日時 2012. 3.23 PM 7:58


さて今回の「新聞販売店にできる事、するべき事について」を読んでいた折、
奇しくも下記のようなニュースを目にしました。

既にご存知であった場合、差し出口をたたくようですが、ご紹介いたします。

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ヤクルト販売員、障害ある男性を保護 埼玉
http://ceronjp.tumblr.com/post/19778191245/nnn-yahoo より引用


 22日、埼玉・入間市の住宅で、「ヤクルト」の販売員が、新聞がたまっているのを心配して警察に通報したところ、部屋の中で75歳の女性が死亡しているのが見つかった。一緒に住んでいた、重い障害のある45歳の男性は無事に保護された。

 警察などによると、22日午前9時30分頃、入間市の住宅で、約10日前から新聞がたまっているのを心配したヤクルトの女性販売員が交番に届け出た。

 埼玉県警狭山署の警察官が駆けつけると、1階で75歳の女性が病死しているのが見つかり、2階では重い障害のある男性が栄養失調の状態で布団に横たわっており、保護された。

 狭山署と地元のヤクルト販売店は先月10日、ヤクルト販売員が高齢者の異変を感じた時は通報するよう協定を結んでいた。


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何かあると、すぐに権利だ義務だと騒がれる世知辛い昨今には珍しく心温まるニュースだと思います。

これは、新聞配達員とヤクルト販売員の「人の質」の問題ではなく、その販売システムの違いから生じる明暗だと思います。

我が家もヤクルトを購買しておりますが、ヤクルト販売員(女性)は毎週何かと、「割引チケット」「ヤクルト会員旅行のご案内」「オリジナル商品の案内」などのチラシ類を配りながら、できるだけ長居するような営業手法をとります。

また、同マンションの住人にも気さくに声を掛け、我が家に訪問してからマンションをでるまでかなりの滞在時間を過ごしています。

その甲斐あってか、我が家が購買始めた時は、80世帯ほどのマンション内に
ヤクルトを買っているのは我が家だけでしたが、ここ3年ほどで、管理人のオジさんの他に5世帯ほどが購買しているということです。

ヤクルト販売所は、託児所付の施設が多く割安で利用できるため、小さな子どもをもつ母親が、その販売員の大半を占めているということです。

しかし、あのヤクルトはまず本人(販売員)に買い取らせているため、自分の顧客から全額集金して、初めて適正なフィーが受け取れる仕組みだそうです。(私が住んでいる地域だけのシステムかもしれませんが・・・)

私は、新聞販売の仕組みがよく理解できておりませんが、毎回メルマガを拝読しておりますと、「売る人」「配る人」「集金する人」が分業しており、それぞれにノルマが課せられているように見受けられます。

これでは、確かに個人の能力はアップするかもしれませんが、残念ながらいつまで経っても今回のような悲しい事故が防げるようになるとは思えません。

新聞が、ほぼ毎日宅配されているにも係わらず、その特異性を発揮できずに部数至上主義を続けることは、販売店はもとより各新聞社にとっても非常に悲しむべき事態であり、その未来さえ危ぶまれると予想できます。

ではどうすればいいのか? に対する明確な回答を思い付いた訳ではありませんしメルマガにご提案されている内容に集約されることになると思いますが、人はその環境により様々な色に染まることを考えるなら、責任者を啓蒙するだけでなくやはり、新聞販売の仕組みそのものを変える必要があると思います。


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