メールマガジン・ゲンさんの新聞業界裏話・バックナンバー
第224回 ゲンさんの新聞業界裏話
発行日 2012.9.21
■脱原発は本当に成るのか?
7月20日から9月15日まで約2ヶ月に渡り、読者の方々から『原発および消費税増税に関するアンケート』の募集をさせて頂いた。
数多くの意見が寄せられ、予想以上の反響に正直、驚いている。特に『脱原発』に関する意見が、その大半を占めた。
今更ながらに関心の高い問題やと痛感した。
現在、そのアンケートについては集計中なので集計でき次第、このメルマガとサイトの『ゲンさんのお役立ち情報』で、その結果を発表し、寄せて頂いたすべての意見を公開したいと思う。
今までのアンケート結果がそうであったように。
予定としては次週あたりにしたいと考えている。
ただ何分にも集計作業はハカセ一人でやっているので、多少のずれ込みはあるかも知れんが、それは分かって頂きたい。
『脱原発』についての意見やが、賛成意見が多いやろうというのは、現在の社会状況を考えれば当初から、ある程度は予想はしていたことやったが、まさかほぼ100%に近い人たちが脱原発賛成、原発推進反対を唱えるとは正直、想像の埒外やった。
過去のどんなアンケートでも必ず賛否両論があったからや。殆どの人の意見が一致しているというのは珍しい。
特に、このメルマガやサイトで行ったアンケートでは。
もっとも、過去のメルマガで散々、『脱原発』について話してきたから、それに同調された方々が多かったということも考えられるがな。
また、原発推進派の人たちは、もっと大きな影響力のある経済産業省が行った『エネルギー・環境の選択肢に関する意見聴取会等に係る要請』のような衆目の集まるアンケート(注1.巻末参考ページ参照)に参加する方が効率的と判断したということもあるやろうと思う。
個人のメルマガ程度のアンケートに参加して、原発推進をいくら主張しても仕方ないと。効果など期待できないと。
もっとも、いくらその人たちが力を入れても経済産業省が行った『エネルギー・環境の選択肢に関する意見聴取会等に係る要請』のアンケート、正確には意見聴取会でのパブリックコメントの募集ですら8割強の人たちが『脱原発』を希望しているという結果が出てしまったがな。
それも、全国各地の電力会社の社員を総動員し、「やらせ」をした上での、それや。
他にも経団連などの原発推進派が多数参加していたやろうというのは容易に想像できる。
当初、この公聴会は国民の意見を聞いたという既成事実作りだけのために行うつもりやったようやが、結果として民主党政府、および原発推進派にとっては大誤算になったと思う。
ちなみに、この意見聴取会でのパブリックコメントの募集には、選択の制限があった。
原発の依存率を2030年までに「0%」、「15%」、「20〜25%」にするということで、その中から選べというものや。
意見聴取会でのパブリックコメントやアンケートの募集で意見を制限するなど聞いたことがない。あまりにもバカげたやり方や。
ここは言論の自由が保障されている日本で、言論統制しているどこかの国とは違うで。そう言いたくもなる。
主催者側が勝手なシナリオを作って、それに沿った意見のみを言えというのでは、自由なコメントやアンケートとは言えんさかいな。
意図とすれば、現在、国民の脱原発への機運が盛り上がっているから、その中間の「15%」に決定して譲歩した形を見せて反対運動を沈静化させたいという狙いがあったのやろうと思う。
結果は「0%」というのが圧倒的に多かった。国民の大多数は、はっきりと「原発ノー」の姿勢を打ち出したと言える結果や。
これに政府や原発推進派が慌てるかと思いきや、そうでもなかった。姑息な仕掛けを作っていたからや。
原発依存率を2030年までに「0%」にするというのは、今から18年後ということになる。
それまでは現在ある原発は稼働するので、よろしくと暗に国民に言質を迫っていたわけや。
こんな稚拙なペテンを良う考えたなと思う。これで国民を欺けるとでも考えたのやろうか。そこまで国民はアホやと。
ふざけるなと言いたい。
2030年という数字がどこから出てきたのか意味不明やが、これはどう考えても、現在、脱原発で騒いでいる人たちも、そう結論を提示しておけば納得するやろうという意図が働いたとしか思えん。
一旦はこうしておいて、頃合いを見計らって原発を徐々に押し進めれば良いというのがミエミエや。
現在、いつ総選挙があってもおかしくない状況ではある。少なくとも衆議院議員の任期満了になる来年の8月までには嫌でもそうなる。
そんな時期に「原発を推進する」とは言い出しにくくなった民主党政府は、その原発依存率を2030年までに「0%」するという意見が多かったことを逆手に取る作戦に出たものと考えられる。
その報道がある。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120914-00000985-yom-pol より引用
「原発ゼロ」政府エネ戦略…示せぬ道筋、矛盾も
政府は14日、エネルギー・環境会議(議長・古川国家戦略相)を開き、「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」との目標を掲げた「革新的エネルギー・環境戦略」を決定した。
使用済み核燃料の再処理事業を継続するなど、原発ゼロと矛盾する方針も盛り込まれた。再生可能エネルギー普及の具体策など、原発ゼロを実現するための道筋は示せていない。
原発に依存しない社会の実現に向け、〈1〉原発の40年運転規制を厳格に適用する〈2〉原子力規制委員会が安全を確認した原発のみ再稼働する〈3〉原発の新設・増設は行わない――との原則を示した。その一方で、「(ゼロへの過程で)原発は、重要電源として活用する」と再稼働を進める方針を明記した。
この記事にも『原発ゼロと矛盾する方針』とあるように、『2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する』と言いながら、
その舌の根が乾かない翌日に、信じられないような政府の発表があった。
それは政府が断言した『原発の新設・増設は行わない』というのと真逆の報道である。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120915-00000402-yom-bus_all より引用
経産相、大間原発・島根3号機の建設を容認
枝野経済産業相は15日、青森県の三村申吾知事や原子力施設のある市町村の首長らと青森市で会談し、東日本大震災後に工事を中断した電源開発大間(おおま)原子力発電所(青森県大間町)と中国電力島根原発3号機(松江市)の建設再開・稼働を事実上、容認する考えを伝えた。
両原発の建設が再開されれば、震災後初めての原発建設となる。
政府は14日に決めた「革新的エネルギー・環境戦略」に、2030年代に原発の稼働をゼロにする目標を明記した。運転期間を40年とする政府の原則に従えば、建設を再開した原発は50年代まで稼働できることになり、新たなエネルギー戦略の矛盾を早くも露呈する形となった。
枝野氏は会談で「原子炉の設置と工事計画許可が与えられている原発について、経産省の立場として変更は考えていない」と述べ、19日に発足する原子力規制委員会が安全を確認すれば、建設再開・稼働を認める方針を示した。
建設中の原発は、大間、島根3号機のほか、東京電力東通(ひがしどおり)原発1号機(青森県東通村)がある。ただ、東通1号機について、枝野氏は「東電が原子力について議論できる段階ではまだない」と述べており、建設再開の対象にはならないとみられる。
こういうのを「火に油を注ぐ」と言うんや。こんな事を言えば脱原発運動を煽るだけの結果にしかならんわな。
これほど国民を愚弄して感情を逆撫でする行為はないと断言する。
今更、民主党政府のええ加減な発表やウソに対して目の色を変えて言及するのもバカらしい話やがな。
こんな発表すればするほど国民からの信用は、益々失墜していくことになる。
以前、民主党の幹部が「原発を止めるのは集団自殺になる」と言うた事があるが、それは「今、原発の新規建設を容認するのは民主党の集団自殺になる」とそのまま言い換えておく。
何を考えとるのか、まったく理解に苦しむ。
先の『「原発ゼロ」政府エネ戦略』という記事を見た時には、選挙になれば「民主党は脱原発方針です」とでも言い出すつもりかいなと思うたが、これではとてもそんなことは言えんわな。
例え言うたとしても、そんな戯れ言は誰も信用せんやろうがな。
世間では「嘘つきは民主党の始まり」と揶揄されとるようやが、笑う気にもなれん。
3年前、国民からあれほど期待されていた民主党が、なぜここまで酷い状態になったのか。
その分岐点は、鳩山元総理による普天間での移設問題に絡んだ不手際の道連れで、小沢一郎氏が幹事長職を解かれた頃からやと思う。
その後、小沢氏は代表選挙で負け、党での実権を失っていった。
それと前後して、国民との約束でもあるマニュフェストが次々、反故にされた。
その代表的なものが、「沖縄米軍基地の国外または県外移転」、「高速道路無料化」、「衆議院の比例代表定数を80削減」、「国家公務員の総人件費を2割削減」、「年金制度改革」、「子供手当」、「八ッ場ダム中止」などや。
それらはことごとく破られ、実行されずにいる。
反対にマニュフェストになかった「消費税増税」法案は成立させた。自民党や公明党と組んで。
しかし、その法案を政治生命を賭けるとまで言い切って成立させた野田総理も3年前の選挙では、当時の自民党の「消費税増税論」を批判した街頭演説をしていたにもかかわらずや。
「消費税を引き上げる話はおかしいんです」と、声を大にして。
その時の演説内容がユーチューブにある。
http://www.youtube.com/watch?v=y-oG4PEPeGo より引用
野田総理 マニフェスト 書いてあることは命懸けで実行
マニフェスト、イギリスで始まりました。ルールがあるんです。書いてあることは命懸けで実行する。書いてないことはやらないんです。それがルールです。
書いてないことを平気でやる。これっておかしいと思いませんか。書いてあったことは四年間何にもやらないで、書いてないことは平気でやる。
それはマニフェストを語る資格がないというふうに、ぜひみなさん思っていただきたいと思います。
その一丁目一番地、税金の無駄遣いは許さないということです。天下りを許さない、渡りは許さない。それを、徹底していきたいと思います。
消費税1%分は、二兆五千億円です。十二兆六千億円ということは、消費税5%ということです。
消費税5%分のみなさんの税金に、天下り法人がぶら下がってる。シロアリがたかってるんです。
それなのに、シロアリ退治しないで今度は消費税引き上げるんですか?
消費税の税収が二十兆円になるなら、またシロアリがたかるかもしれません。
鳩山さんが四年間消費税を引き上げないといったのは、そこなんです。シロアリを退治して、天下り法人をなくして、天下りをなくす。
そこから始めなければ、消費税を引き上げる話はおかしいんです。徹底して税金の無駄遣いをなくしていく。それが民主党の考え方です。
ワシも今まで数多くのええ加減な政治家たちを見てきたが、これほど180度主張を変えて、正反対の政策を実行に移した政治家は見たことがない。
しかも、選挙で国民の信託を受けたわけでもなく、鳩山氏、管氏の後に3人目の総理として居座っただけの人物やで。
そして、現在行われている民主党の代表選でも最有力候補で、今日21日の投開票で再選濃厚やという。
その野田総理は、「近いうちに解散する」というエサをちらつかせ自民党、公明党と手を組んで、身内であった小沢グループの反対を押し切ってまで消費税増税法案を成立させた。
その法案が可決した途端、まるでそんな約束などなかったかのように振る舞っている。
つまり、解散などせず、まだまだ当分総理の座に居座る魂胆のようや。言葉もない。
唯一の救いは、その民主党のマニュフェストを作る際、中心的な役割を果たした小沢氏とそのグループが、国民との約束を破るわけにはいかんと言って、消費税増税に反対して離党したことや。
近来、希に見る筋の通し方やと思う。
未だに、いわれもない裁判の被告人に仕立てられ続けているせいで国民からの人気はもう一つのようやが、少なくとも「言ったことは絶対に守る政治家」ということが証明されたのは確かやと言える。
その小沢氏は現在、「国民の生活が第一」という政党を立ち上げて「脱原発」を掲げとるから、政権を担う立場になれば間違いなくそれを実行するはずや。
小沢氏は自民党時代は原発を推進した側で、民主党時代にも「脱原発」など一度も言ったことなどないやないか、そんなのは単なる選挙が近いための方便やないか、という批判があるが、その頃と今とでは、まったく状況が違う。
自民党、民主党時代ともその支持母体の中核でもあった日本原子力村の総本山、経団連に逆らうことができなかったということがある。
また、日本原子力村によって作られた原発安全神話により絶対安全なものやと信じ込まされていたということもあるやろうと思う。
しかし、去年の東日本大震災での福島第一原発の事故により、その神話が打ち砕かれた。本当は危険なものやったということが分かったわけや。
それにより考えを変えたというのは、むしろ自然やないかと思う。
多くの国民がそうであったように。
その事故があったからこそ、国民の多くは脱原発を願うようになったんやさかいな。
利権、権益のためなら少々の危険や国民の犠牲など仕方ないと考えて、今尚、原発を推進しようという方が異常なことやと誰もが気づいてしまった。
小沢氏は、原発推進派の経団連や連合から、今後一切支援しないと三行半をつきつけられている。縁を切ると。
つまり、原発を推進、容認しても小沢氏には何のメリットもないわけや。
それよりも「国民の生活が第一」という政党名からして、脱原発を選択するのは自然な流れやと思う。
選挙のための人気取りという打算があるのは認めるが、打算であれ何であれ、日本有数の実力者である小沢氏が「やる」と言った限りは、間違いなく実行するはずやから、結果として民意に沿うことになるのは間違いないと考える。
自民党はどうか。
こちらも現在、総裁選挙とかで騒がしいが、事、原発に関しては誰一人「脱原発」を掲げている候補者はいない。
それどころか、総裁候補者全員が『「原発ゼロ」5候補とも見直し方針…自民総裁選』という報道があるところからすると、自民党自体が原発推進政党と見て間違いない。
まあ、そんなことは今更な話で、最初から分かっていたことではあるがな。
その自民党の総裁候補者たちは、原発問題や消費税増税問題を争点にすることを避けるかのように、もっぱら尖閣諸島、竹島といった領土問題を中心に街頭演説をしとる。
領土問題が軽いとは言わんが、国民の関心事、優先順位からすると低いと言わざるを得ない。
しかも、現在の領土問題を招いたのは長期政権下での自民党の政策に原因があったわけや。
もっとも、民主党のお粗末な対応が、さらにその上塗りをしとるわけやがな。
民主党は民主党で、人気、支持率を回復させようとして、最悪なタイミングで尖閣諸島を国有化するという愚を犯して、中国の反日感情を煽ってしまった。
その後、中国各地で反日デモが起き、暴徒と化した群衆により、日本企業の工場や百貨店、スーパーなどが襲われ、焼き討ち、略奪の限りを尽くされた。
聞けば日本人も複数襲われ暴力を振るわれとるという。このまま続けば取り返しのつかない犠牲者が出る可能性すらある。
あるスーパーでは店内に暴徒と化した群衆が入って来たために金庫室に籠城して難を逃れたという話まであるくらいや。
まあ、これに関しては民主党のせいとばかりは言えんがな。
如何なる理由があろうと、焼き討ち、略奪の限りを尽くしている者たちが悪いのは当然のことや。
やってることは間違いなく全世界共通の犯罪やさかいな。どんな犯罪も正当化することは絶対にできん。
そういうのを愛国者と呼ぶのなら、中国は所詮、その程度の国家、民族でしかないという事になる。
それを全世界に公表しているだけにしかならん。実際、この騒ぎを肯定的に報じているメディアは世界のどこにもないさかいな。
もっとも、この反日デモには何やら裏がありそうやがな。
日本が尖閣諸島を国有化したことに真剣に抗議している人たちより、現中国政府への不満分子と、どさくさに紛れて略奪行為目的に集まった者たちの方が圧倒的に多いというさかいな。
その証拠に略奪しているのは日本製品ばかりやなく、日系百貨店に出店している海外の高級ブランド店でもかなりの被害が出ている。
こんなのは反日デモに名を借りた、ただの強盗集団やさかい、いずれそれらの略奪者は逮捕されるのは間違いないと思う。
そうせな中国政府の面子が丸つぶれになるさかいな。
結局のところ、中国政府は反日デモを容認することで日本政府に圧力をかけたかったらしいが、それが裏目に出てしもうたというのが、今回の事の顛末やないのかと思う。
中国政府が、この後、反日デモを収束させる方向に舵を取るのは間違いない。
9月19日に北京市公安局が一部の市民に対して携帯電話のショートメッセージで「抗議活動は一段落した。大使館地区を再び訪れて抗議活動を行ってはいけない」と一斉に通知したという事実が、その表れでもあると思う。
問題をこじらせないための最善の方法は、これ以上、尖閣諸島の領土問題に関わる発言を日本の政治家たちがせんことやと思う。
このまま日本側が騒ぎ立てんかったら、また以前のように収まるはずや。
尖閣諸島の領土問題については、お互いが冷静になって政治の場で決着をつけたらええことやと思う。
その落としどころなら、いくらでも考えられるはずや。
それを自民党の連中は、選挙の人気取り、票欲しさのために領土問題を声高に主張して国民を煽っているとしか思えん。
そんなことをすれば、せっかく矛を収めたがっている中国政府も、おいそれとは手が引けんようになる。
それがもたらす結果は誰にも予測がつかない。最悪の場合、戦争も起こり得る。
そんな危険な真似を自民党の総裁候補たちはやっとるわけや。
それは民主党政府も同じで、政府が何かやればやるほど深みに嵌っているとしか思えん愚策の連続やさかいな。
まあ、それは「脱原発」、「消費税増税」から国民の目を背けさせるための方便に使っただけのつもりかも知れんがな。他にめぼしい主張が何もないさかい。
いずれにしても自民党は「原発は推進」、「消費税増税は実行」するものと判断して間違いはないと思う。
さらに言えば、未だに派閥や長老といった旧態依然とした政治を引きずっている政党やというのも付け加えとく。
3年前、それに飽き飽きした国民に見捨てられたにもかかわらず同じことを凝りもせず国民の前で堂々と披露しとるわけや。
総裁選挙で如実にそれが表れている。
ワシは下野したことで、自民党も大きく変わるのやないかと多少は期待していたが、これではどうしようもないわな。
第三極の中心と目されている橋下徹大阪市長率いる新党「日本維新の会」はどうか。
民主党や自民党といった既存政党による政治を打破する存在として国民からの期待と人気が高い。
本当に既存政党による政治を打破する存在なら、ワシらも約7ヶ月のメルマガ『第194回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■大阪維新の会「維新八策」についての正しい認識とは』(注2.巻末参考ページ参照)でも話したように期待したいと思う。
ただ、最近の橋下氏には首を傾げざるを得ないような言動が増えてきたように思えてならん。
以前はあれほど大飯原発の再稼働反対と言っていたのが、夏前になると関西電力や需給検証委員会、および関西の財界、中小企業経営者たちから「再稼働しないと電力不足になって困る」と指摘されたことで、折れて容認に回った。
ワシらは、それでも大飯原発の再稼働反対を貫いて欲しかったが、「夏場だけですよ。夏が終われば即時停止を申し入れる」と力強く言っていたさかい、まだ良しと考えていた。
しかし、現在に至っても未だに大飯原発の即時停止について言及も要求もしていないというのは頂けない。
今年の夏は過去最大の電気受給量を記録した2010年とほぼ同じ程度の酷暑やったのにも関わらず、大飯原発を再稼働しなくても余裕で電力が足りたということが証明された(注3.巻末参考ページ参照)にもかかわらず何も言わないという理由は何なのかが分かりにくい。
しかも、そのことは結果論ではなく、今年の5月4日の当メルマガ『第204回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■日本復興への提言 その6 危険な日本原子力村をなくせ』(注4.巻末参考ページ参照)でその証拠と数字を挙げて論証していたように、冷静に判断すれば誰にでも分かっていたことや。
橋下氏が、その程度のことを知らんかったというのは考えられん。
それどころか、橋下氏は今まで言ってなかったようなことを言い出した。
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/120809/waf12080923240036-n1.htm より引用
橋下市長「2030年原発ゼロ」を支持、次期衆院選で争点化
大阪府市エネルギー戦略会議が9日開かれ、2030(平成42)年の電源構成に占める原発比率をめぐり政府が検討している「0%」「15%」「20〜25%」の3つの選択肢について、政府担当者の説明を聞いた大阪市の橋下徹市長は、「原発ゼロの実現に可能性を感じる」と述べ、次期衆院選で争点化すべきだとの意向を示した。
橋下市長は、原発ゼロへ移行する工程を詰めた上で、自ら率いる大阪維新の会で策定中の維新八策に盛り込む考えも示唆した。
懸念される電気料金の上昇は、政府試算で一般家庭の負担が1カ月あたり1・6〜2・3万円とされる「0%」と、1・3〜1・8万円の「15%」や「20〜25%」を比較。その上で「そんなに変わらない。国民は許容してくれると思う」と発言した。
一見、原発ゼロを次期衆院選で争点化すると言うてるから問題なさそうに思える。
しかし、なぜそれが「2030年原発ゼロ」かということがワシには疑問や。
原発は再稼働さえせんかったら、現時点でもゼロは可能なはずや。
しかも、そうしても何の支障もない。電力不足に陥る心配はもうないと証明されたわけやからな。
そうされて困るのは電力会社や原子力村の連中だけや。
今までの橋下氏なら、「まずは原発の再稼働は容認しない。止めたまま原発ゼロから廃炉にする」と言うてたはずや。
その方がインパクトも強いし、ウケもええはずや。国民も期待をかけやすい。
そんな程度の事が分からん橋下氏やないと考えるがな。
「2030年原発ゼロ」ということになれば、民主党の主張と同じになる。
まあ、橋下氏の場合は民主党のような嘘つきというレッテルが貼られてないだけ、そう言うてもまだ信用があるかも知れんがな。
ただ、脱原発に関してはトーンダウンしていると見られても仕方ないのやないかと思う。
以前の大阪維新の会「維新八策」で『脱原発依存、新しいエネルギー供給革命
』やったものが、新党「日本維新の会」の新しい「維新八策」では『先進国をリードする脱原発依存体制の構築』に変わっているというところにも、それが言える。
両者は似ているようで微妙に違う。
『脱原発依存』と言い切れば、すぐにでも脱原発に持っていくというニュアンスが強いが、『脱原発依存体制の構築』となると、「原発を止めるような組織を作りましょう」ということやから脱原発までには「時間がかかますよ」と暗に仄めかしていると思う。
橋下氏本人はまだ何も言うてないが、自民党の総裁候補の安倍氏、および党の実力者の元幹事長、中川秀直氏らと頻繁に接触しているという報道があるのが気になる。
自民党と仲良くしたいと考えているのなら、脱原発に関して急にトーンダウンしたのも、消費税増税に関しての是非についても「維新八策」でまったく触れないという理由も分かる。
触れていないということは容認とワシは見る。反対なら反対と言えば、ええことやさかいな。
まさかとは思うが、万が一にも総選挙後、自民党と組むということになると、話が違うてくる。
それでは『民主党や自民党といった既存政党による政治を打破する存在』になりようがないさかいな。
間違いなく老練な政治家集団でもある自民党に取り込まれる。ヘタをすると自民党の傘下政党に成り下がる懸念すら出てくる。
そうなると、途端に『脱原発依存体制の構築』とやらも怪しくなり、すべての「維新八策」は絵に描いた餅になってしまう。
それらは本来、自民党とは相容れない政策ばかりやからな。
新党「日本維新の会」には、橋下氏以外、これといった人材は見当たらん。
傍からは、橋下氏の人気にあやかって選挙に当選したいという人たちが、新党「日本維新の会」に集まったとしか見えない。
橋下氏の人気で相当数の当選者は出るやろうが、その彼らが国民の期待に応えられるか、どうかというのは如何にも心許ないと思う。
まだ橋下氏本人が国政に打って出るというのなら、彼の器量で何とかなるかも知れんが、今のところ出馬の意思はないようや。
出馬したらしたで、市政を途中で投げ出したと見られ肝心の人気も急降下しかねんさかい、本人や陣営も頭の痛いところやないかと思う。
新党「日本維新の会」については、もう少し様子を見る必要がありそうや。ブームとか風といった不確かなものやなく、その実態を見極めることが肝心やと。
結論として、原発推進派は、民主党、自民党、公明党、国民新党、新党日本あたりということになる。
中間派は、みんなの党、立ち上がれ日本。両党は明確に賛成とも反対とも言っていない。脱原発に関しては触れることすらない。
国民の脱原発意識の高いこの時期になっても態度を表明しないというのは、原発推進に比重が傾いていると見てええやろうと思う。
新党「日本維新の会」は今後の動静次第。橋下氏本人は脱原発派やと思いたいが、ここにきて分からんようになったというのが正直なところや。
完全な脱原発派は、社民党、共産党、緑の党、新社会党、新党日本、みどりの風、新党きづな、新党大地・真民主などの少数政党があるが、どれも小粒で求心力に欠ける。
やはり、脱原発の中心的な役割を果たすのは小沢一郎氏率いる「国民の生活が第一」ということになるやろうと思う。
脱原発を望むのなら、それらの政党に票を投じるしかない。
それ以外の民主党、自民党、公明党、国民新党、新党日本が政権を取れば、このまま原発推進に突き進むのは、ほぼ間違いはないさかいな。
ただ、小沢一郎氏自身に人気がないのが、どう出るかやな。
もっとも、小沢氏は国民に人気がないかも知れんが、官僚や原子力村からの人気はもっとない。新聞やテレビなどのマスメディアからもな。
裏を返せば、原発推進派に嫌われている小沢氏こそ、脱原発の旗振り役には最適な人物やと言える。
ワシも小沢氏が清廉潔白な人物とは考えていない。魑魅魍魎が跋扈する政界に長年生き続け、いつの時代にも中心的な存在やったわけやから、それなりの毒も強いと思う。
選挙に勝つためなら手段を選ばないというのも良く知っている。民主党時代も政権を奪取するということのためだけに全勢力を傾けた人物でもあるさかいな。
しかし、だからこそ、この時代、小沢氏が脱原発を掲げたことには意味があると言える。
はっきり言うて、民主党、自民党、公明党といった既存政党の連中と五分以上に渡り合える人物は小沢氏以外には存在しないと思う。またその彼らから怖がられている人物は小沢氏の他にはいないと。
分かりやすく言えば、「毒を以て毒を制す」ということやな。
その毒で原発という大きな毒を消すことができれば、結果として多くの国民の望みが叶い救われるものと考える。
まずは、原発をなくし、それによって官僚や電力会社、原子力村の力が弱めることができれば、日本も少しは住みやすくなるという気がするがな。
その選択は国民がするしかない。
ワシら日本国民は近い将来、好むと好まざるにかかわらず日本の未来を選択するために、その一票を投じる日が必ず訪れる。
後々悔いを残さないためにも慎重に、そのことを考えて欲しいと思う。
参考ページ
注1.エネルギー・環境の選択肢に関する意見聴取会等に係る要請
注2.第194回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■大阪維新の会「維新八策」についての正しい認識とは
注3.大飯原発を動かさなくても電気が十分足りたのはなぜだろう?(モーニングバード・そもそも総研)
注4.第204回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■日本復興への提言 その6 危険な日本原子力村をなくせ
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