メールマガジン・ゲンさんの新聞業界裏話・バックナンバー
第233回 ゲンさんの新聞業界裏話
発行日 2012.11.23
■混迷を極める総選挙への考え方について
過去、これほど分かりにくい総選挙があったやろうかと思う。少なくともワシの記憶にはない。
今の日本には問題が山積している。
原発問題。消費税増税問題。政治改革及び官僚統治機構問題。経済問題。TPP問題。外交問題等々、いずれの問題も危機的状況にあり、何一つ好転していると言えるものがない。
ここまで酷い状態を招いた原因が政治にあるのは間違いない。
政府民主党は当然のことながらが、その政治の下地を延々と築いてきた自民党やそれに手を貸してきた公明党も同罪や。
どちらの勢力もお互いを詰り合っているが、その資格などない。
日本をここまで酷い状態にした既存の政党が、再び実権を握るようにでもなれ救いがない。果てしない底なし沼に落ちていくだけや。
本来なら、それらの既存の政党に対抗できる勢力として国民の多くが期待していたはずの「日本維新の会」も政策そっちのけで結集しているように見えるから、よけい分かりにくくなっとる。
口の悪い連中は、それを「野合」、「烏合の衆」と呼んでいる。
また、小さな政党が雨後の竹の子の如く乱立しているのも有権者にとっては、さらに混乱を深めるもとになっている。
巷間、「自民党はこりごり、民主党にはがっかり、第三極は良う分からん。少数政党の乱立はもっと分からん」と言われているのも仕方がないと思う。
そういう人たちのために、それぞれの問題について話すので参考にして頂ければと思う。
次期総選挙の争点と問題点について
1.原発問題。
これを第一に考えておられる人が最も多いやろうと思う。
そして、福島第一原発事故が起きた後の最初の総選挙であるという点にも大きな意味があると考える。
当メルマガ『第225回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■原発に関するアンケート結果と、その主な意見』、『ゲンさんのお役立ち情報 その13 原発に関するアンケート結果情報』(注1.巻末参考ページ参照)に寄せられた意見は圧倒的に「脱原発」、「原発反対」が多かった。
そういう方々の思いでもある「脱原発」、「原発の再稼働は容認しない」ということを謳っている政党には、「国民の生活が第一」、「民社党」、「共産党」、「緑の党」、「反TTP」、「新社会党」、「新党日本」、「新党きづな」、「新党大地・真民主」がある。
確実な「脱原発」を望むのなら、それらの政党に投票するしかないやろうと考えている。
理由としては、それらの政党は「日本原子力村」、および高級官僚から嫌われている、相手にされていないからや。
原発推進勢力の息のかかっていない政党にしか本当の意味での「脱原発」をなし遂げることはできんと思う。
ただ、それらの政党は今のところ力も勢いも弱く人気もないから、このままでは日本での「脱原発」は望み薄やと考える。
次に「減税日本」やが、ここは現在「反TTP」とくっついて「脱原発」を掲げとるようやが、一時は原発容認派の「太陽の党(現、日本維新の会)」とも合流を表明しとったから、どちらなのかが見極めにくい。
その点で言えば「みんなの党」も似たようなものやと思う。今まで原発問題には触れて来なかったが、ここにきて「脱原発」、「原発の再稼働は容認しない」という方向になった。
この2党をどう見るかは有権者の判断に任せるしかない。
「日本維新の会」は、ちょっと前までは「脱原発」色が強かったが、石原慎太郎氏が代表に就くと、その文言が消えた。「日本維新の会」の顔でもあった橋下大阪市長は徹底した「脱原発」論者やった。
しかし、ここにきて「原発はさじ加減」と言うに及んでは、最早、「脱原発」とは言い難い存在になっとる。
橋本氏の動向については『第224回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■脱原発は本当に成るのか?』(注2.巻末参考ページ参照)の中で、
『「日本維新の会」については、もう少し様子を見る必要がありそうや。ブームとか風といった不確かなものやなく、その実態を見極めることが肝心や』と言うたが、「脱原発」に関しては容認に傾きつつある中間派やと考えた方が良さそうや。
ただ、原発稼働への厳しいルールを作り、結果として原発が減るだろうと言っているのをどう評価するかやが、「脱原発」を宣言するまでには至っていない。
現政権与党の民主党も「2030年までに原発ゼロ」を掲げているが、言うてる事とやっている事が矛盾しとるのは誰もが知っているから、いくらこんなことを言われても使用できんわな。
現実問題として安全がまったく確認されていない大飯原発の再稼働や新たな原発施設の建設も容認してやらせとるのやさかいな。
政権を維持できれば、官僚の操り人形と化した政府では原発の再稼働が進むのは明らかや。
完全なる原発推進派は「自民党」、「公明党」、「国民新党」、「新党日本」ということになる。
特に「自民党」、「公明党」が政権与党に返り咲くようになれば「脱原発」の動きは完全に止められてしまう。そう考えてなあかんと思う。
もっとも、「自民党」、「公明党」も、完全な原発推進では選挙で戦いにくいと判断したのか、ここにきて「脱原発」を匂わせる発言もしとるようやが、そんなものを信用する有権者はどこにもいとらんやろうと思う。
民主党以上に原発が推進される。
いずれにしても原発推進派が政権を取った場合、「脱原発」を望む人たちにとっては辛いことになるものと思う。
2.消費税増税問題。
この消費税増税問題については、『第214回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■マイナーワーカー同盟座談会 その7 脱原発と消費税増税について』、および『第215回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■小沢新党『国民の生活が第一』の支持率と期待度について』(注3.巻末参考ページ参照)でも話したが、国民の関心も大きい。
この消費税増税問題は、原発問題にも関係してくる。原発推進派と反対派がまったく同じ構図になっている。
はっきり言うて、現在のような景気の悪い時に消費税増税をするのは狂気の沙汰と言うしかない。増税しても税収は増えない。
消費税増税が成れば確実に消費が冷え込み、景気も悪くなるのは確実や。効果など、まったく期待できない。
その愚策を、民主党、自民党、公明党の三党で強引に決めたわけや。
そうまでして、消費税増税をやろうとしている理由とは何か。
それは消費税増税による余禄が官僚および経団連といった原子力ムラのトップたちに入るからに外ならない。
財務省を中心とした増税を押し進める官僚たちにとっては、その分自由に使える税金が増えると考えとる。老後の心配もいらないし、天下り先も法律の目をかいくぐり自由にできると。
もっとも、その恩恵に預かるのは一部の高級官僚のみやがな。
経団連は、もっとタチが悪い。
企業が輸出する場合、外国が相手では消費税が取れんということで、輸出企業には仕入れや下請けに払った消費税分が国から還付されることになっている。
ある大手の自動車メーカーの1社だけで、現在でも年間約2000億円の消費税の還付金があると言われている。
それが消費税が10%に跳ね上がれば還付金も倍の約4000億円になるという計算や。その構図が経団連を中心とした日本原子力ムラに荷担している企業全体にある。
正確にはそれらの企業の一部のトップたちの懐具合が良くなるだけの話やがな。
そこで働く一般社員は原発事故があれば真っ先に被害を受け、消費税増税に喘ぐだけで、ええことは何もない。
むしろ、景気が低迷すれば給料も更に安くなり、リストラも活発になる。
そのため、一部の企業では消費税増税により景気が低迷することで堂々とリストラできるさかい大幅なコスト削減ができると喜んでいる経営者すらいるという。
そんなバカなと思いたいが、十分あり得る話ではある。
日本原子力ムラの連中の考えには、自分たちだけが良ければ、それでええというのが、はっきり透けて見えとるさかいな。
おそらく連中は、明日大金が入るのなら、将来、国民の大多数がどんな犠牲を払おうとお構いなしに、その明日の大金のために迷わず消費税増税に荷担するはずや。
私腹を肥やせたら、それでええと。自分たちだけ安泰でいられたらそれでええと。
はっきり言うが、民主党、自民党、公明党の三党が過半数を取れば、確実にそういう連中だけが甘い汁を吸うことになる。
福祉のための目的税というのは所詮はかけ声だけで、震災復興増税と同じで、何やかやと理由をつけて、あっという間に食い物にされる。
そして、待っているのは更なる増税である。
まさしくシロアリそのものや。そのシロアリ連中のご機嫌を伺っているのが、民主党、自民党、公明党の三党やとワシは見ている。
また本来はその対立軸にと期待されていた「日本維新の会」も消費税増税容認派やから、消費税増税を望まない人はそれ以外の政党に票を投じるしかない。
特に小沢氏の「国民の生活が第一」は、消費増税阻止には執念を燃やしているさかい、勢力が大きくなれば消費税増税はしにくくなるのは間違いないと思う。
消費税増税が嫌な人にはお勧めの政党ということになる。
3.政治改革及び官僚統治機構問題。
良く身を切る改革と言うが、民主党、自民党、公明党といった政党が政権を担いながら、遅々としてできんかったわけやから、今後も期待するのは無理や。
本当に身を切る改革とやらをする気があるのなら、定数削減などという小手先の改革やなく、世界一飛び抜けて高いと言われている自らの議員報酬を半減以下にするくらいのことをせなあかんと思う。
それでも欧米諸国にすれば、まだ高水準の報酬なんやがな。スエーデン、デンマークといった北欧の国会議員たちは日本の国会議員の3分の1程度の収入しかないが、それで十分やっとるさかいな。
政治に金がかかると言われとるが、そんなものやり方次第で何とでもなる。
要はやる気があるかないかの問題やが、既存の政党連中にそれができるわけがない。特に政治家がおいしい仕事と考えとるような輩にはな。
バカ高くなった公務員の給料、優遇されすぎている宿舎などの待遇面での改革にも、それらの党は、まったくの無力や。手を付ける形だけで本気でやろうとはしない。
その点、政治改革の期待値ということで言えば「日本維新の会」が、最も期待できるとは思う。
政治改革及び官僚の統治機構を変えるという一点のためだけに、既存の政党に対抗するために自らの政策や主張を曲げてまで合流した政党やさかいな。
その賛否については、有権者それぞれで判断すればええが、「日本維新の会」が政権与党になれば政治改革及び官僚の統治機構を変えられる可能性があるのは確かやと思う。
「日本維新の会」以外の少数政党の核になると考えられている「国民の生活が第一」なども同様や。
ただ、現「日本維新の会」の代表石原氏は「国民の生活が第一」の代表小沢氏を毛嫌いしとるから一致協力することは考えられんかも知れんがな。
ワシは個人的には石原氏は嫌いやない。むしろ好きや。
その昔、ワシがまだ某建築会社に勤めていた時、会社が当時衆議院議員やった石原氏の後援会に入っていた関係で個人的に面識もあるし、一緒に酒を飲んで話したこともある。
その人間性のええ面も悪い面も良う知っとるつもりや。それについての詳しい話は控えさせて頂くが、個人的には愛すべき人やと考えとる。
それでも敢えて言わせて貰うが、大同団結を謳っているワリには個人的な好き嫌いで一緒にやれんと言うのでは、あまりにも器が小さいと言うしかない。
そんな人にいくら大同団結やと言われても説得力はないやろうと思う。実際、合流を断念しとる政党も幾つかあるしな。
ちなみに小沢氏は一言も、そんなことを言うてない。器の大きさの違いがそこに表れとると思う。おそらく目的が果たせるのなら、小沢氏は鬼とでも悪魔とでも手を結ぶはずや。
こう言えば小沢氏との方とのつながりの方が強そうに思われるかも知れんが、ワシは個人的には面識もないし、どんな人なのかもまったく知らん。
あくまでもその行動で判断しとるだけや。
ハカセもメルマガで氏のことについて書く際、その意見を聞きたくて小沢氏の事務所へメールを送ったが、簡単な返事が返ってきただけやったという。
肝心の質問には何も答えて貰えず、ほぼ門前払い状態やったと。
もちろん、過去のメルマガでワシらが小沢氏寄りの論調をしていたことなど、当のご本人はまったく知らんはずや。
ワシらも別に分かって貰うというつもりはないさかい、それはそれでええがな。
ただ、その人間性云々は別にして賛同できることはできると言うてるにすぎんと読者の方に分かって貰えればええ。
その意味では、選挙後、「日本維新の会」に「国民の生活が第一」が力を貸すことで政治改革及び官僚の統治機構を変えられる可能性があると踏めば、小沢氏なら喜んで協力するやろうと思う。石原氏がどうするかは未定やが。
「民社党」、「共産党」といった何でも反対政党でも政治改革及び官僚の統治機構を変えるといったことには反対はせんやろうから、その意味では一定の力にはなる。
つまり、この問題に関して言えば、民主党、自民党、公明党の既存の政党対その他すべての政党の戦いと見てええやろうと思う。
4.経済問題。TPP問題。
TPP問題については、『第184回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■TPPの参加により新聞の再販制度は守られるのか?』(注4.巻末参考ページ参照)で触れたことがあるが、一般の人には分かりにくい問題やろうと思う。
新聞、テレビの報道ではTPPを黒船に喩えて、参加することを「開国」、参加しないと「鎖国」になるかのような論調を盛んに展開してきたが、明らかにそれは間違った認識やと言うとく。
それらのメディアにあるように例え、日本がTPPに参加せずとも「鎖国」にはならんし、「世界から孤立する」ということもあり得んと。
なぜなら、TPPに参加している国よりも参加していない国の方が圧倒的に多いからや。
アジア諸国の中でも、日本が主に貿易している国々にそういう傾向が強い。
そして、今後も日本以外での有力な国の参加は望めそうもない状況にあると言える。
韓国は当初参加に前向きやったが、TPPへの参加が自国に不利に働くとみるや早々と取り止めた。
中国も関心を示し情報収集などを行っていたようやが、結局参加しないことに決めとる。
日本と関係の深いタイは参加しておらずTPPへの警戒感を公然と表明している。
インドネシアも不参加の意向を明らかにしている。台湾やフィリピン、インド、パキスタンといった国々も参加の意思は今のところなさそうや。
交渉のテーブルについているベトナムも、本格的に加入するのかとなると疑問視する見方の方が強いという。
発起国の一つであるニュージーランド政府でさえ「TPPにそれほどメリットがあるとは考えていない」という公文書まで残っていて、それが公にされたとのことや。
アメリカを除けばTPPに参加している、また参加を表明している国々は、言うて悪いが、日本にとってそれほど重要な貿易相手国とは思えない。
こんな状況のTPPに参加しないことが、何で「鎖国」することになるのか、どこをどう理屈をつければ「世界から孤立する」という報道になるのか、まったくもって意味が分からん。
むしろ、日本が参加を表明しない場合、TPPそのものが意味のないものになるのは、ほぼ間違いないと言える。
加盟国・交渉国に日本を加えた10か国のGDP(国内総生産)を比較すると、その91%を日本とアメリカの2か国が占めることになる。
残念ながら、日本の新聞、テレビ報道には、上記に掲げたような事実についての説明が、殆どなされていない。
誰が調べても、すぐに分かる簡単なことでありながら、それでもTPPに参加することがバラ色の未来やと言わんばかりの論調に終始しとる。
TPPへの参加のメリット、デメリットは、それぞれあるので、その主なものを比較する。
○農業について
推進派の主張
関税が撤廃されると海外の廉価な農産物との間に、競争激化が予想されるが、ヨーロッパ諸国のように農家への戸別補償の実施によって、ある程度までの農業の保護は可能である。
また日本の農業は価格・効率面で欠点はあるが、集約型で独自の発展を遂げた為、特に米に関して味覚的に決して劣るものではない。
社会面での対策・質面両方を掛け合わせれば、長期的には輸入農産物に対して対抗が可能である。
反対派の主張
米国・豪州・東南アジアから廉価な農作物が国内に無関税で流入すれば、日本の農作物はその価格差から対抗ができない。
放置すれば、NAFTA締結後のメキシコのように壊滅し、日本は食糧自給力を完全に喪失、以後、国民の食生活は投機の対象になるだろう。
また農家は戸別補償が不十分なら、収穫品の価格低下により収入を減らし失職、日本全体の失業率を上げ、社会不安の要因にもなる。
完全な戸別補償は可能だが、それは農業従事者(340万人)の数だけ公務員を増やすことと同義になり、国家にとって大きな負担になる。
○食の安全について
推進派の主張
非関税障壁の定義がまだ曖昧である以上、TPP参加を即、遺伝子組み換えに始まる食品の安全表記義務の撤廃と結びつけるのはナンセンスである。
また仮に撤廃されたとしても、自然食品等に対するNon-GM表記は可能であり、選択に多少手間をかけることで、消費者には対策が可能である。
さらには遺伝子組み換え食品の危険性は、まだ立証されていない。
反対派の主張
TPP以前から、米国は日本にBSE疑惑のある食品や遺伝子組み換え食品、多数の食品添加物、食品農薬残留値に対する規制の緩和を要求しており、TPPの原則「非関税障壁の撤廃」と、日本の食品の安全基準がリンクされる可能性は極めて高い。
TPP参加後は従前の基準が「障壁」として、海外のメーカーに政府や自治体は提訴される恐れがあり、日本は高確率で規制の大幅な緩和を強いられる。
一部の米国産牛肉や遺伝子組み換え食品の安全性は未知数で、EU全国を始め世界各国が厳しく規制しているところを考えると、こうした選択は食の安全の軽視と言える。
○関税について
推進派の主張
TPPの最大の目的は、多国間の貿易自由化であり、一義的には関税の撤廃である。
日本がTPPに参加をすれば、他の加盟国全てにおいて日本製品に対する関税は撤廃されることになり、日本製品の輸出能力は強化される。
それは日本の製造業を活性化させる機会になる。
反対派の主張
日本は既に米国を除くTPP参加国の殆どとFTA・EPAといった貿易協定を締結済みであり、関税面での実質的なメリットは、米国内における対日関税(2.5%等)の撤廃のみである。
ところで、日本は内需88%の内需依存国であり、かつ対外貿易における米国のシェアは14%に過ぎない。
よってTPPによって米国内での関税が撤廃されたところで、日本経済への波及効果は限定的である。
○医療について
推進派の主張
TPPにおける非関税障壁の定義は曖昧であり、日本の国民健康保険がそれによってサービスの縮小を求められたり、混合診療の解禁に繋がるとは限らない。
また混合診療の解禁は、患者の選択の自由の向上に繋がり、難病患者はそれを克服する機会が増えるだろう。
反対派の主張
米政府は、日本にTPPの関心事として日本の医療を挙げており、TPPへの参加によって日本の医療・医療保険が自由化を迫られる可能性は極めて高い。
具体的には、病院の株式会社化(日本では違法、米では合法)、国民健康保険制度の縮小が挙げられる。
民間保険の圧迫(貿易障壁)として、混合診療の解禁などを招く可能性があり、前者は医療サービスの質の低下、後者二つは国民一人当たりの医療費の大幅な高騰を招くと予想される。
○労働者・移動の自由化
推進派の主張
ある程度の海外からの労働者の流入は起こるだろうが、それは日本の製造業に活力を与える。
それだけでなく、国内で低賃金労働力の雇用が可能になることにより、これまで日本で進んでいた工場・会社の海外移転、産業の空洞化は減速する。
反対派の主張
TPPへの参加により、参加国間の労働者の「移動の自由化」が促進されれば、TPP参加の東南アジアや南米諸国から低賃金労働者や技術者が多量に流入することになり、それは必然的に日本人の賃金の低下、失業率の増大を招く。
また国内には外国人街が形成され、かつてのヨーロッパ諸国で起きたような治安問題や文化間の摩擦は必ず発生する。
大体こんなところや。
このTPPを積極的に推進しようとしているのが、民主党、自民党、日本維新の会であると言える。
ここで特筆すべきなのが、自民党と長年タッグを組んできた公明党がTPP参加には猛反対しとることや。そのため最近では自民党も参加をして様子を見るという方向にトーンダウンしつつある。
国民の生活が第一、民社党、共産党は反対、その他の少数政党も大半が反対に回っている。一部まだ態度を表明していない党もあるがな。
いずれにしてもTPPをどの程度重要視するかは、それらの情報から判断して貰うたらええ。
5.外交問題。
現在、中国とは尖閣列島、韓国とは竹島の領土問題で一触即発の状態が続いている。少なくとも今後、両国との政治や経済交流は厳しい状況になるものと思われる。
これについて、自民党、および日本維新の会は中国、韓国に対して強硬な姿勢を打ち出している。
TPPの参加についてはアメリカの影響、圧力があると言うたが、推進派はTPPに参加することでアメリカとの同盟関係をより強固なものにできると考えとるようや。
そう考えれば、TPPの参加派が中国に対して強気な姿勢になっているというのも頷ける。
自民党の安倍総裁に至っては自衛隊を「国防軍」にするべきやと言うてるし、日本維新の会の石原氏は核兵器を持つことを検討すべきとまで発言している。
その真意については周りの取り巻き連中が必死に沈静化を図っているが、それが彼らの本音には違いない。
そのためには憲法を改正せなあかんと言うてるわけや。自民党が圧倒的多数を取れば、その方向に進むのはほぼ間違いない。
自民党、民主党、日本維新の会には、中国、韓国と上手く交渉できる人材が見当たらんさかい、本当の意味での外交などできんのやないかと思う。
良くて今の状態が続く程度や。現実には悪化の一途を辿るやろうと考える。
仮定の話やが、もし小沢氏が国の代表として中国と交渉すれば、過去の実績、つながりからして丸く収まるような気がする。日本で最も中国に顔の利く人物なのは間違いないさかいな。
今更遅いが、小沢氏がまだ民主党に在籍していた時に、特使として中国に派遣していれば、ここまで反日感情が悪化することはなかったのやないかという気がする。
少なくとも現民主党政府や自民党の連中に対するよりかは聞く耳を持つはずや。
もっとも、中国政府には民衆の不満を反日感情に向けさせることで回避させようという狙いも見え隠れするさかい、事はそれほど簡単やないかも知れんがな。
中国側としては単に、反日運動のキッカケが欲しかっただけとも受け取れる。
ただ、自衛隊を「国防軍」にするとか、核兵器を持つことを検討すべきというのは中国の感情を逆撫でるだけやなく、国際社会からも「日本の考えは危険」、「右翼化傾向にある」と思われるだけ損やと思う。
世界のどこの国にも受け入れられる考え方やないさかいな。そんな言葉を吐くこと自体が一番の国益を損ねる行為やないのかと考える。
強気な外交が好みなら日本維新の会、自民党に与すればええし、嫌ならそれらの政党には投票せんとけばええ。
以上が、今回の総選挙の主な争点、問題やと思う。
その中から何を最重要視するかは、あくまでも有権者個人が考えるしかない。
いずれにしても、良う考えて各自悔いのない投票をして頂きたいと思う。
参考ページ
注1.第225回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■原発に関するアンケート結果と、その主な意見
ゲンさんのお役立ち情報 その13 原発に関するアンケート結果情報
注2.第224回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■脱原発は本当に成るのか?
注3.第214回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■マイナーワーカー同盟座談会 その7 脱原発と消費税増税について
第215回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■小沢新党『国民の生活が第一』の支持率と期待度について
注4.第184回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■TPPの参加により新聞の再販制度は守られるのか?
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