メールマガジン・ゲンさんの新聞業界裏話・バックナンバー

第238回 ゲンさんの新聞業界裏話


発行日 2012.12.28


■ゲンさんのよろず相談あれこれ Part 8


メルマガを始める前に読者の方にお詫びをせなあかんことがある。

前回のメルマガで今年の総括をする予定やったが、急遽取り止めて、代わりにこのシリーズを掲載させて頂くことにした。

ハカセがアップする直前になって、書き上げていたデータがパソコンの不調によってすべてアウトになったからや。ハカセも自身の不注意を悔いて反省しとるので分かって頂きたい。

ちなみに、パソコンの復旧は過去にも幾度か経験があるので心配は無用とのことや。直せると。ただ時間がそれなりにかかるようやがな。

そのため今回のメルマガは急遽、コウ君のパソコンを使って作成しているので、読者の方には本当に申し訳ないと思っている。

後日、今回話す予定やった内容は、来年以降のそれぞれのメルマガの中で、必要に応じて話すつもりにしとる。

ただ、言い残したことをそのままにしておくのは何とも歯がゆいので、その内の一つ、年末の総選挙についてだけ簡単に話しておきたいと思う。

選挙は自民党圧勝、民主党惨敗、日本維新の会、みんなの党の躍進、日本未来の党の惨敗、その他の党の伸び悩みという結果に終わった。

しかし、この結果は自民党が国民から圧倒的に支持されたからやない。

それどころか、前回、自民党が惨敗を喫した時より、小選挙区、比例区とも200万票以上も票が少ないのである。

本来なら同じように惨敗していてもおかしくはないのやが、なぜそんなことになったのかと言えば、理由は一つ。

ワシらが前回のメルマガでも懸念していた投票率が低かったからや。それも60%にも届かないという戦後最低の最低率やったという。

あまりにも低すぎることが、国民の総意に背く結果になったと言うても過言やないと思う。

今回、自公の得た議席は325議席で3分の2を超えていて、これは法案が参議院で否決されても衆議院で再可決可能な議席ということになる。

自公の獲得総数は有権者の約32%でありながら、圧倒的多数の議席を占め、残り68%の大多数の有権者は少数派に甘んじなあかんわけや。

何でこんないびつなことになるのかと言えば40%超の人が選挙に行かんかったからや。それに尽きる。

つまり60%の内の32%を占めたことで、32%対28%ということになり、僅か4%の差で過半数どころか3分の2の議席を得られたわけや。

小選挙区制というのは当選者が一人で、勝つか負けるかで大きく結果に違いが出るから、そういうことになる。

小選挙区制では国民の意志が反映されにくいということで、いろいろ問題も指摘されているが、その点については後日、じっくりと語りたいと思う。

選挙に行かんかった人の大半は、自民党は懲り懲り、民主党は期待はずれ、その他の党は多すぎて良う分からんから嫌になったからやと思う。

けっして、この選挙結果に満足はしていないはずや。しかし、選挙に行かんかったら、自らの意志とは関係なく、こういう結果を招くというのは忘れないで頂きたい。

その人たちにも、それぞれの言い分があるやろうが、選挙に行かないということだけで、今回の場合は自公にとって有利に働いたと。

そうは言っても、選挙の結果は議会制民主主義の国に生きる者として認めるしかない。例え、それがどのような結果になろうともな。

自民党もこの選挙結果が支持された結果やないというのは、どうやら分かっているようやからヘタな事はできんと思う。

それをすれば次の選挙では真反対の結果になるさかいな。

ワシらは、あくまでも事の是非で賛同もするし、批判もするようにしとるから、その点は政権与党になった自公の方々は良う留意して頂きたいと思う。

ワシらの他にも、そういう考えの人は数多くおられることでもあるしな。

それでは本題にはいらせて頂く。


ゲンさんのよろず相談あれこれ Part 8


事例1 文章の書き方について  

相談内容

ハカセは文章の達人です。A新聞の天声人語にも優り、勉強させていただいております。

私も少し文章を書いています。

そこで 質問です。

@ 「チカラ ちから 力」「カタチ かたち 形」ですが、どうも漢字を使うと、しっくりしません。

ハカセは、これらをどのようにされていますか?

願わくば、力 形 のしっくりする漢字が国字で出来たら、なんて考えます。

Aいわゆる ら 抜き言葉です。

ら は受身、可能、敬語、など

多彩な助詞ですから、文脈で判断するしかない面があるようで、若い世代が ら 抜き言葉を使うのも仕方ないかな、と考えたりします。

ハカセは、日常会話ではどうされていますか?


回答者 ハカセ


『ハカセは文章の達人です。A新聞の天声人語にも優り、勉強させていただいております』というのは言い過ぎではないでしょうか。

私の文章を高く評価して頂いているのは嬉しいのですが、そのようなレベルにはあるとは思っていません。

単純な誤記や誤字、脱字も多く、読者の方に指摘されることも度々ありますので。

ただ、メルマガやサイトの文章は分かりやすさと読みやすさ、面白さには拘って書いているつもりですが。

私は文章の達人と言われるより、分かりやすい文章を書く人間と言って貰う方が嬉しいです。目指しているところは、そこですので。

特に関西弁という特殊な方言を使っての文章だけによけい、その思いが強くあります。正直言って、初期の頃は苦労しました。方言を理解されない人にも分かりやすく書かなければいけませんから。

ですので、『@ 「チカラ ちから 力」「カタチ かたち 形」ですが、どうも漢字を使うと、しっくりしません』、『ハカセは、これらをどのようにされていますか?』についても読まれる人の立場に立って、どう書けば分かりやすいのかという点を重視します。

私の場合は、「チカラ ちから」といった書き方はあまりしません。「力」という漢字自体が難しくありませんので、書き換えてまで表現する意味がないのではないかと思っています。

もちろん文脈次第というのはありますが。

私だったら「力」だけにします。ただ『どうも漢字を使うと、しっくりしません』ということであれば、その「力」の意味する熟語で表現されたらどうでしょうか。

「腕力」、「権力」、「胆力」、「眼力」などといった熟語を使えば、その力の持つ意味が表せるのではないかと思います。

「カタチ かたち」の場合の場合も似たようなもので、あまり普段は使いません。「形」はそのまま使うことの方が多いですが。

私は別に「しっくりこない」という感覚にはなりませんので。

『願わくば、力 形 のしっくりする漢字が国字で出来たら、なんて考えます』ということでしたら、「能力」と書いて「ちから」、あるいは「形容」と書いて「かたち」とルビを振って読ませるという方法もあります。

これは小説的な書き方で、正しい使い方ではありませんが、造語としてならアリかと思います。そう考えれば、いくらでもバリエーションがあるのではないでしょうか。

書かれる文章の形態次第ですが。

『Aいわゆる ら 抜き言葉』には気をつけています。文章を書くのであれば、やはり間違った使い方は極力避けるべきだと思います。

それがあるだけで、文章全体が軽薄な感じに見えてしまいますので。

『若い世代が ら 抜き言葉を使うのも仕方ないかな、と考えたりします』というのは、「食べられる」を「食べれる」と言うようなことだと思いますが、言葉というのは時代と共に変わっていくという性質がありますので、止めようがないと考えています。

ただ、現時点では、まだ「食べれる」ではなく「食べられる」が正しい表記とされていますので文章を書くのであれば、正しく記述することを心がけるべきだと思います。

『ハカセは、日常会話ではどうされていますか?』というのは特に意識はしませんね。ただ、文章を書く段になれば、意識的に言葉の使い方を間違わないようには注意しているつもりですが。

文章というのは生きています。どう書けば良いのかという正解も実はありません。人によって違って当然なのです。それが個性でもありますから。

基本的な文法、言葉の使い方さえ間違わなければ問題はないと私は考えています。

そして、自分で満足できる文章に拘るより、読み手にどう伝わるのかという点を重視して書いています。

文章は読み手に正確に伝わってこそ意味のあるものですからね。

その意味で言えば、「チカラ ちから 力」「カタチ かたち 形」のいずれを使っても間違いではないということになります。


事例2 個々の高齢者にどの様な具合なのか、尋ねるのは「プライバシーの侵害」に当たるのでしょうか?
  
相談内容


築40年のマンションです。後期高齢者が多く、理事会、自治会、老人会で状況を把握したいと考えております。

個々の高齢者にどの様な具合なのか、尋ねるのは「プライバシーの侵害」に当たるのでしょうか?


回答者 ハカセ


法律家の間でも「プライバシーの侵害」に関しての判断については意見が別れています。一般的には「社会通念上」に照らして正否が争われるケースが多いようです。

ただ、一口に「社会通念上」とは言っても人により様々な受け取り方がありますので、それが意見の別れる原因になっているのだと思われます。

プライバシー権に関しては「私生活をみだりに公開されないという法的保障ないし権利」という判例(東京地裁1964年9月28日判決)があり、「プライバシーの侵害」要件としては、「人がみだりに公開されることを欲せず,それが公開されると精神的苦痛を与える性質の私生活上の事実が記述されている場合はプライバシを侵害するものと解すべき」という最高裁(2002年9月24日判決)の判例があります。

それらはすべて、得られた個人情報を他者に公開したことにより発生する侵害ですので、『個々の高齢者にどの様な具合なのか、尋ねるのは「プライバシーの侵害」に当たるのでしょうか?』という段階では「プライバシーの侵害」には当たらないと考えられます。

今回の場合、『築40年のマンションです。後期高齢者が多く、理事会、自治会、老人会で状況を把握したいと考えております』というのは、高齢者の安全、ケアを目的にしておられると思いますので、その事を承知して頂いてお尋ねになられる分には問題はないと思います。

しかし、それで得られた個人情報を質問者に許可なく、関係者以外の不特定多数の方に知らせた場合、「プライバシーの侵害」に該当するケースも考えられますので、十分な注意が必要かと思います。

その際には、尋ねられる事項と理由を明確にし、「万が一の連絡、対処のためだけに使います」と説明されておかれた方がよろしいでしょう。

具体的には、その高齢者の方と定期的に連絡を取る約束を交わされていて、突如として連絡が取れなくなった場合などに、室内への立ち入りの許可、病院への連絡、ご家族への連絡を取らして頂くために必要だと説かれて納得されていれば、それほど問題にはならないと思います。

実は、現在、新聞販売店の多くでも数年前から同様の試みを地域サービスの一環としてやっています。

それについては『第65回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■ある新聞販売店の取み その1 哀しき孤独死をなくせ』、『第117回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■新聞販売店による高齢者見守りサービスへの取り組みと、その問題点』(注1.巻末参考ページ参照)で詳しく話していますので参考にして頂ければと思います。

今のところ、そのサービスにより「プライバシーの侵害」といった問題は起きていないと聞き及びます。

それらの新聞販売店さんが心がけておられるのは、如何にして「顧客(高齢者)の立場に立って考えてあげられる」ことができるのかという点です。

もっとも、新聞の場合は契約して頂く段階で、ある程度の情報を得ることができますし、日々の見回りという点でも注意していれば、それほど難しいということではありませんが。

本当は、地域で常に交流を保てる環境にあれば、こんな事で悩む必要はないとは思うのですが、昨今は地域より個人を主体に考える人が増え、また社会もその風潮にあり、その人のために良かれと思ってしたことでも反発を受けるケースがあります。

昔のような「村社会」的な感覚が失われています。だからこそ、こういったご質問をされたのだと思いますが。

ですので、「プライバシーの侵害」といったリスクを避けるという観点で考えられるのなら、基本的には聞き取り調査に応じて協力して頂ける方のみ、その情報を収集するようにされた方が無難だと考えます。

こういった事をお尋ねになる場合、相手が快く応じて頂くには人間関係が大事です。

その際、営業的なセンスがあればよろしいのですが、その自信のない場合は、できるだけソフトな優しい感じで尋ねられるだけでもかなり違いますので、そうされるようお勧めします。

「これは、あなたのために聞いている事」だからという意識が強すぎると、上から目線、押しつけのように感じられる人もおられますので。

簡単に応じて頂ける方は問題ありませんが、そうでない方には、その方と懇意にしている人に協力して頂くという方法もあります。

結論として、情報をお尋ねになるだけでしたら「プライバシーの侵害」にはなりませんが、その後の扱いを間違えられると罪に問われ、また損害賠償の対象になり得る可能性がありますので十分な注意が必要だということです。


今回は以上や。

今年1年、お付き合い頂き、まことに感謝している。

それでは、来年2013年は、それぞれに良いお年でありますように。



参考ページ

注1.第65回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■ある新聞販売店の取り組み その1 哀しき孤独死をなくせ

第117回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■新聞販売店による高齢者見守りサービスへの取り組みと、その問題点


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