メールマガジン・ゲンさんの新聞業界裏話・バックナンバー

第244回 ゲンさんの新聞業界裏話

発行日 2013.2. 8


■秘密録音の是非について


ハカセから電話がかかってきた。

「ゲンさん、心配をおかけして済みませんでした」と。

「それはええけど、どうなんや具合は?」

「もう退院しましたので、しばらく安静にしていれば大丈夫とのことです」

先週の初め、ハカセがインフルエンザに罹って辛いという話は聞いて知っていた。

ただ、その時期に定期検査で三重大付属病院の通院日と重なっていたということもあり、担当医師に相談を兼ねて連絡したところ、緊急入院するよう指示されたという。

検査の結果、肺炎を併発していた。ハカセのような慢性の狭心症を患っている人の中にはインフルエンザから肺炎を発症して死に至るケースがあるとのことで、それを危惧しての処置やったと。

現在は39度前後あった熱も下がり、肺炎の症状も緩和されてきたということで自宅療養に切り替えている。

ワシに連絡があったのは退院してからやった。

「実は、次のメルマガのことなんですが……」

「ハカセ、あんたの気持ちは分かるが、こんな時やから1回くらいメルマガの発行を休んだらどうなんや?」

「大丈夫ですよ。私は文章を書く事は苦になりませんから。むしろ、書いていた方が楽なくらいですので。それに一週間は十分休養しましたから」

「そうか……」

ワシは、それ以上は何も言わんかった。

言うても無駄やというのもあるが、好きな事を止めさせることが果たしてハカセのためになるのかと考えると自信が持てんからや。好きにさせるしかない。

「実は、ある読者から、こんなメールがありまして……」


件名 今日のクローズアップ現代

ハカセさん、こんにちは。

Q&Aで、日頃「言質を取る」ことを勧められている場面がありますので、この番組が参考になるかもしれないと思い、ご連絡するものです。

▼広がる“秘密録音”社会
http://www.nhk.or.jp/gendai/yotei/index_yotei_3305.html より引用


今、相手に告知することなく無断で会話や電話を記録する「秘密録音」が社会に急速に広がっている。

ICレコーダーなど小型録音機の技術革新に伴い、職場内の会話、いじめ、家庭内DVや離婚協議、警察の取り調べなど様々なやりとりを、市民みずからが記録し証拠として活用し始めているのだ。

ビジネスの現場でも、客との電話を録音する企業が急増、クレーム対応やトラブル防止に役立てている。

現在の法律では、こうした秘密録音に対して明確な規定や制限はなく、最高裁の判例でも証拠能力が認められている。

しかしその一方、録音データを改ざんして悪用したり、これまで暗黙の了解だった関係に“ヒビ”が入り信頼が損なわれたりするケースも相次いでいる。

秘密録音はなぜこれほど広がり、我々の生活にどんな影響を及ぼしているのか、その現状と課題を描く。


ご参考になれば幸いです。


と。

こういった情報は本当に有り難い。常にサイトやメルマガを読んでいてくださるからこそ、教えて頂けるわけやさかいな。

その時間帯は仕事をしているということもあり、その番組は録画して見た。

秘密録音については有効かつ効果的な方法やと考え、サイトの開設当初からQ&Aの回答で日常的に勧めていることでもある。

隠し録りになるのは違法やないのかという声もあったが、違法性がないということも確認していた。

少なくとも相手との会話を黙って録音するのは現時点の法律に抵触することはないと。もっとも、それが盗聴という手段によるものなら違法性が問われるかも知れんがな。

ただ、モラルとしてどうなのかという問題はあるが、直接、その相手に対して対抗する術のない弱者と言われる人たちにとっては、やむ得ない選択やないのかと考える。

今はそれほどでもないが、サイトを開設した当初は、「そんなことを言うた覚えはない」、「どこにオレが言うたという証拠があるんだ」といった調子の悪質な勧誘員に悩まされ困っている人からの相談が多かったこともあり、一つの方法として言い出したことや。

そのヒントは、 2004年8月15日にアップした『トピックス NO.1 『愉快な神父さん』というHPで当サイトの面白い紹介記事がありました』(注1.巻末参考ページ参照)というブログ記事を知ってからやった。

その当時のコメントとしてワシは、


この話のように『念のため会話はドア越しの時点からボイスレコーダーで記録し、正面から写真を取らせて頂き、販売員証明書、免許書をスキャニングさせて頂き、携帯番号を聞き、親指の指紋を取らせて頂きました』というのはすごい。

ワシも長いことこの世界でメシ食うてきたが、こういうお人は初めてや。聞いたことがない。こういう時代になって来たんやなと思う。

こういう人が増えたら、ええ加減な奴は住み辛い世界になるかも知れへんな。


と言うたが、その事が頭の片隅に残っていて、必要と思われる人に勧誘員や新聞販売店との会話を言質として録音するよう勧め始めたわけや。

それを言い出して、もう9年以上になる。

ただ、やはりというか、勧誘員や販売店の従業員の方からは不評で、それについて反論される方もおられる。

『NO.779 録音すれば言質を取れる!の考えは卑怯やと思います』(注2.巻末参考ページ参照)というのが、その典型的なものやった。

ここで、そのページを全文紹介するので、それを見てもらえれば、ワシが『録音して言質を取れ』と言う意味が良く分かって貰えるのやないかと思う。


新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.779 録音すれば言質を取れる!の考えは卑怯やと思います

投稿者 start さん 某新聞拡張員  投稿日時 2009.9.13 AM 1:08


録音すれば言質を取れる! の考えは卑怯やと思います。

録音する方は誘導尋問で有利に立ったつもりやけど、それとは知らぬ録音された方は必死になって自分が間違っていないことの説明をしても、録音に「恐わかった」と言われたらなすすべもありません。

ゲンサンは良く両方の意見を聞くまでは判断できんと能書きを垂れますが、録音される方が正論正解でも不利になるのは解りますよね?!


回答者 ゲン


あんたが、『録音すれば言質を取れる! の考えは卑怯やと思います』と言いたい気持ちは分からんでもないが、ワシとすればその主張は間違っていると言うしかない。

根本的な事が何も分かってないと。

それを言う前になぜ「録音されたら困るような言質を避けよう、言わないでおこう」という発想にならんのか不思議でならん。普通はそう考えると思うがな。

もっとも、あんたは『録音される方が正論正解でも』と言うとるところからすると、それは分かっておられるのかも知れんが。

ただ、その後の『不利になるのは解りますよね?!』というのは拡張員のワシが、その仲間であるはずの同じ拡張員に不利なことを言うてどうするのかという疑問と怒りがあってのことやと推察する。

そこには、「一体誰の味方なんや」という思いがあるのやろうと思う。

言うとくが、ワシは、新聞社や拡張団、販売店の味方でもなければ、一般読者や特定の組織、人間の味方をするつもりもない。

ワシが、このQ&Aで味方するのは、無法な行為や手口、理不尽な行いに泣かされて困っている人たちや。

悪質な拡張員、販売店が相手の場合は、それで困っている一般読者のためになるアドバイスをするし、えぐい新聞読者に困っている販売店の人や拡張員から相談があれば、その味方になって助言する。

それがワシの、ここでの立ち位置や。

確かにワシは拡張員やが、その前に一人の人間やという気持ちの方が強い。その一人の人間として、困っている人から相談を受ければ、できることなら、その力になりたいと思う。

ただそれだけのことにすぎん。

まあ、それには多分にハカセに感化されたということもあるけどな。もともと、ワシがこのサイトに協力しとるのもハカセに頼まれたからやさかいな。それ以外に理由はない。

ここでのワシは「気のええ、親切なおっさん」と勘違いされとる人が多いようやが、現実のワシは、このQ&Aでアドバイスしとるような親切な人間やない。

よほど懇意にしていて、これはと認めた人から頼まれれば別やが、少なくとも積極的にそうするつもりはないさかいな。

せやから、現実の世界では、このQ&Aで言うてるような内容の話を他人にすることは、ほとんどない。

それでも、あくどいことをする人間は許せんという気持ちは常に持っとる。その思いが、このQ&Aでのアドバイスという形になって表れとるということなのやと思う。

ワシが、Q&Aで「録音するように」というアドバイスをしとるのは、そうせな、そういったあこぎな連中に対抗するのが難しいと考えるからや。

ワシも拡張員を長く続けとるから良う分かるが、拡張員の中には平気で前言を翻し「そんなことは言うた覚えはないで」と、言うた言わんの水掛け論に持ち込み、それで良しとする輩がいとるのは事実や。

水掛け論になれば、どこまで行っても平行線のままや。それを証明する術のない人にとってはどうしようもない。

その対処法としての「会話の録音をするように」と推奨しとるわけやが、実はこれにはもう一つ狙いがある。

それは、このサイトでそれを言うことによって、不用意な言動やええ加減な事を言う勧誘員たちの警告にもなると考えとるからや。

新聞の勧誘員、拡張員というのは、言わずと知れた「新聞」という商品を売る営業員なわけや。

本来、営業員というのは客を騙したり、脅したりして商品を売ったらあかん。言葉使いも「お客さん」という意識を持って「購読して頂く」という気持ちで丁寧に接するのが当たり前や。

そんな基本的で当たり前の事さえ心得ていたら「録音」されることに神経質になる必要も言質を取られたと怒る理由もないはずや。

しかし、残念ながら、それが分からん者がいとる。その言い分は「そんな甘いこと言うてたんでは拡張なんかできるかい」というものやが、はっきり言うがワシはそんな戯言(たわごと)を言う者を相手にするつもりはない。

そういう連中が幅を利かせる限りは、この業界に未来はないと断言できるさかいな。

このサイトのQ&Aは、おかげで世の中に広く認知されつつある。少なくとも、勧誘の揉め事で困った人の多くはここに訪れるさかいな。

せやから、ここで言うた事にはそれなりの影響があると考えとる。実際にも、その「録音」が効果あると知って多くの人が実践しとることでもあるしな。

一般の人にそれが広まれば、当然やが、そういった連中でも用心して勧誘するようになるから、そのトラブルも減るはずやと考えたということがある。

勧誘のトラブルが減れば世間の目も確実に変わってくる。今でも、このサイトに訪れ、ワシの話に耳を傾けてくれた読者からは「拡張員さんに対する見方が変わりました」と言うて貰えるケースが確実に増えとるさかいな。

そう考えて「録音」を勧めとるわけや。

『録音する方は誘導尋問で有利に立ったつもり』ということを気にするより、最初から何を録音されても構わんという姿勢で普通に勧誘していれば問題はないのと違うやろうか。

要は目先の一本に拘(こだわ)って、どんな手を使ってでも契約を上げたら勝ちやと思うのか、広く業界全体のためを考えて勧誘するのかという違いが、そこにあるのやと思う。

それについては、個人個人が好きなように結論を下してすればええことや。そこまでワシは立ち入ろうとは思わんさかいな。

ただ、このQ&Aでは誰にどう思われようと、不正や無法な勧誘を正すために正論を吐き続けるし、貫くつもりや。

そのためのアドバイスに尽力する。それが結果として業界全体のためになると信じとるさかいな。

もっとも、この「録音」するというのはワシの発案やないがな。

このサイトを開設した当初、『愉快な神父さん』というブログで当サイトを紹介して頂いた記事があった。

その管理人さんが新聞の勧誘を受けた際、『念のため会話はドア越しの時点からボイスレコーダーで記録し、正面から写真を取らせて頂き、販売員証明書、免許書をスキャニングさせて頂き、携帯番号を聞き,親指の指紋を取らせて頂きました』と言うておられた。

結果は、それでも騙されたとのことやが、その録音を含めた証拠をその販売店に突きつけたところ簡単に解決したということやった。

それを見て、「なるほど、そんな手があるのか」と気がついたわけや。言わばバクリやな。

また、その頃、今でもあるのかは知らんが、「これが悪質な勧誘の実態」と題して頻繁に、ええ加減な拡張員とのやりとりを録音したものが、しきりにネット上で流されていたということもあった。

そういう事実があれば百万遍の弁解を費やしても誰もが「悪質や」と思う。またそう思われても、その確かな証拠がある限り仕方ないわな。

こういうことが広まれば、ただでさえ評判の悪い新聞営業がさらに悪くなるのは当然や。

何とかそれを押さえたいという気持ちが働き、その後、現在に至るまで、このQ&Aで「録音」するようにとのアドバイスを続けてきたわけや。そして、それはこれからも続けるつもりにしとる。

それが功を奏したという証しになるのかどうかは定かやないが、現在は、そういった類のものがネット上で流されるケースが、その頃に比べて激減しとるのは確かやさかいな。

『ゲンサンは良く両方の意見を聞くまでは判断できんと能書きを垂れますが』というのは、少なくともこのQ&Aでは、そんなことを言うた覚えはない。

このQ&Aは、基本的には、相談者の言う事はすべて事実として受け止め回答するようにしとる。

実際問題として、相談者が本当の事を言うとるのかウソを言うとるのかを調べることなんかできんさかいな。

況(いわん)や、揉めた、あるいは揉めると思われる相手の意見など、どうして回答前に聞いて知ることができるというのやろうか。

そんなことは不可能や。その相手については、こちらが経験則に基づいて想像するしかない。実際にも、そうしとるしな。

それに、その相談者の言う内容に即したものでないと、そもそもQ&Aなどというものは成立せんわな。

しかし、現実に遭遇するトラブルのアドバイスとか助言については違う。

あんたの言う『ゲンサンは良く両方の意見を聞くまでは判断できんと能書きを垂れますが』というのは、おそらく、旧メルマガ『第6回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■拡張員の災難』(注3.巻末参考ページ参照)の一節を見られてのことやと思う。

そこには、


ワシは暫く様子を見ることにした。トラブルに介入する場合、注意せなあかんのは一方からの話だけを鵜呑みにせんことや。

例え、その一方が親しい人間であってもな。せやないとえらい目に遭う。経験者は語るや。


と言うてる部分があるからな。

これは、その内容を読めば明白やと思うが、実際のトラブルを処理するための心得として言うたものや。

実際のトラブルでは、一方だけの話を信用して動くのは拙い。聞いた話と違うというケースはざらにあるからな。リスクが大きすぎる。

その意味で言うてることや。せやから、その言を引き合いに出されても困る。まったく質の違うものやさかいな。

言葉には、T(時)P(場所)O(場合)というのがある。ワシはそれを弁えて言うてるつもりや。同じことを言うてても、時と場所と場合が違えば、まったく違った意味の言葉になるさかいな。

人の言うた言葉は、その言うた場所を示して話して貰わなあかん。

その部分だけを勝手に切り取り、自身の主張する都合に合わせて、ワシがそう言うてたと決めつけるのは止めといてほしいと思う。

まあ、ただの勘違いか、誤解されたのなら仕方ないがな。


その回答にすべてが集約されとると思う。

ただ、今頃になってNHKが『広がる“秘密録音”社会』と題して特集報道するのは少し遅れとるのやないかという気にはなるがな。

ワシらは、すでに9年以上も前から、その効果に気づき、公然とそうするようアドバイスし続けてきとるわけやさかいな。

少なくとも、このメルマガやサイトの読者にとっては目新しい事ではないはずや。

そのワシらにしても、他の人のアイデアを採用したにすぎん。ネット上では、それ以前から「秘密録音」については広く知られていた方法でもあるしな。

日本トップクラスの情報を報道していると豪語する割には、その情報を得るのが遅すぎる。

その番組の冒頭での、『今、相手に告知することなく無断で会話や電話を記録する「秘密録音」が社会に急速に広がっている』というナレーションを聞くと、つい最近のことかと誰でも考えるさかいな。

そうは言うても、ワシらが何年もかけて発言するより、NHKの30分番組の方が、はるかに効果はあるやろうがな。

ワシらは当初から、その言質を証拠として使えると言い続けてきたが、実際、裁判の場でも証拠能力が高いと認められてきとるから、それを再認識するための報道ということなら意味があったと思う。

次からは、この報道の内容も参考にして話せるさかいな。

ただ「秘密録音」と言うと何やら怪しげに聞こえるが、弱い立場の人が強い立場の人間や権力者に対抗し得る唯一とも言える方法であることには違いないと思う。

その報道の中で『しかしその一方、録音データを改ざんして悪用したり、これまで暗黙の了解だった関係に“ヒビ”が入り信頼が損なわれたりするケースも相次いでいる』と指摘して、その現場を紹介しているのは、さすがや。

ワシらは、「秘密録音」の効果面しか取り上げていなかったから、大いに参考になった。

『録音データを改ざんして悪用』というのは録音データそのものをパソコンの専用ソフトで調べれば簡単に分かるとの事やった。

また裁判資料として退出された録音データの改ざんは、おかしな点、例えば「その場で言ったはずの音声」が抜け落ちていたり、「言ってない言葉が挿入されている」といった事を裁判所に指摘すれば専門の解析機関で調べて貰えるという。

それらの事を知っているのと知らないのとでは大きな違いやから、その点についての解説も有り難かったと思う。

『これまで暗黙の了解だった関係に“ヒビ”が入り信頼が損なわれたりするケースも相次いでいる』ということに関しては、ある会社で従業員が「秘密録音」していたという事実が発覚して、社内の空気がおかしくなり、ギクシャクしているというものやった。

結果、社内で冗談も交わせないようになり、社員同士が疑心暗鬼に陥って、まるで通夜のようになってしまったと。

挙げ句には辞めていく社員も多いと、その経営者は嘆かれていた。

もちろん、その従業員が「秘密録音」をするにはするなりの理由があってのことやろうから、一概に責めるのはどうかとは思うが、それにより人間関係が壊れ仕事に支障をきたすというのではあかんわな。

正直、そんなケースは考えていなかった。

もともと、ワシらが「秘密録音」を推奨する場合は、その相手が信用できん、人間関係が崩れてしまっているという前提があってのことやった。

言うたことでも平気で言うてないと言い張る者には、その証拠を突きつけるしか手がない。「秘密録音」とはそのための手段やと。

ワシは、その相手との関係修復までは考えていなかった。というより、「秘密録音」でもしなければどうにもならんような相手との関係など最初から修復不可能やと思うていたさかいな。

その場限りで終わる相手やと。その後の付き合いなど、まずしないだろうと。

ただ、そういう人間と毎日顔をつき合わせて仕事をするとなると、その疑心暗鬼からくるストレスは相当なものやというのが分かる。

ついには、その会社では盗聴器を仕掛けられているのではないかと考え、経営者は出社する度に盗聴器発見器を使って社内を調べることまでしているという。

そうなったら救いがない。従業員が信用できん会社など最早、会社の体をなしてないさかいな。

報道では、そういう場合の対処にも触れていた。

社則に、社内での「秘密録音」を禁止し、違反すると某かのペナルティを下すと明記すればええと。

「秘密録音」自体は法律で規制されてもいないし、違反行為にもなっていないが、社則を作り、それに従わせることは法律的にも認められている。

学校の校則などと同じで、多少変な規則があったとしても、それに従うのは仕方のないことやと広く認知されていることでもある。

さらに、社内で揉め事が起きた場合は、お互いの了解のもとで目の前で録音するようにすればええとも言うてた。

それはそれで、一つの方法やと思う。それができるのであれば、それに越したことはない。

ただ、世の中全体について言えることやが、何か不具合な事があれば、それについて規制すればええ、規則で縛ればええという風潮が根強くあるが、それですべて解決できるとは思えない。

その報道では肝心な事が抜け落ちているように感じた。

それは「秘密録音」されては困る事など言うべきではないという基本的なことや。

もちろん愚痴や不満の一つも言えない社会というのでは息苦しい限りではあるがな。

例え、そうであっても、そういった本音は心を許せる相手にだけに限定して話すことや。

会社や公の場では、言うてええ事か悪い事なのかくらいの分別を持って日々、仕事や人との付き合いをするよう心がけていれば問題はないと思う。

そう言うと何か大層で面倒くさい事のように感じるかも知れんが、心を許せる相手以外には不満を言わず、人の悪口や暴言、あるいは良からぬ計画やいじめと受け取られるような言動を避けるようにするだけのことや。

普通の常識のある人にとっては、それほど難しいことには思えんがな。そう聞けば理解できるはずや。社会とは、そうしたところやと。

きついようやが、人に知られては困るような言動、人を傷つけるような言葉を吐いた者が悪い。「秘密録音」した相手を責めるより、そんな自分を反省するべきやと思う。

何時如何なる時でも言うたらあかんことは言うべきやないと。そして言うた言葉には責任を持つべきやと。

人間として基本的な事さえ守っていれば、どこで誰に「秘密録音」されようと困ることなどないし、慌てる必要もないと思う。

要するに、人に後ろ指をさされるような言動はしないと自身で戒めることやな。

現代は、「秘密録音」に限らず、街に出れば、そこら中に防犯カメラが設置されていて、犯罪を犯した者は、たちどころに逮捕されるような世の中や。

まさに「壁に耳あり障子に目あり」と考えて日々生活せなあかんようになったと言える。それがええか悪いかは別にして、そういう社会になったと理解して生活するしかないと思う。

もっとも、暴言や負い目となる言動、相手を傷つける言葉など言わなければ何も怖がる必要はないのやけどな。



参考ページ

注1.トピックス NO.1 『愉快な神父さん』というHPで当サイトの面白い紹介記事がありました

注2.NO.779 録音すれば言質を取れる!の考えは卑怯やと思います

注3.第6回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■拡張員の災難


追記 アメリカでの秘密録音事情

投稿者 Tさん アメリカ・ロスアンゼルス在住 投稿日時 2013.2.8 AM 8:57


ご無沙汰しております。インフルエンザは大丈夫ですか?

録音についての今回のテーマ興味深かったです。というのは、アメリカは訴訟や犯罪が多いので、録音についてはすでに非常に細かく決められています。

良くも悪くもアメリカというのは日本よりも進んでいる部分があります。

例えば、電話での会話で録音する際は、必ず「これから録音します」という同意が必要となります。同意がなければ証拠として裁判で使うことができません。

慎重な会社になると、電話するとまず自動音声で「この会話は研修目的のため、録音されます」と流れその後に担当者につながるというシステムをとっているところもあります。

研修目的というのは単なる方便だったりします。研修目的ではなく「サービス向上のため」というセリフになっているところもあります。

録音を認めないという選択はないので、その場合は、すみやかに電話を切れということです。

私のこの見解が正しいかどうか裏を取るために少し調べたら、このようなサイトがあったのでリンクを張っておきます。

州によって異なるというのをここで知りましたが、5年も前のブログなので、すでに法律がそれぞれの州で変わっているかもしれません。


http://i2bconsulting.com/blog/?p=140
http://i2bconsulting.com/blog/?p=143 より引用

会話の録音(前、後編)


私が日本にいた頃は、電話の会話録音は何の問題もなく行われていたが、今は規制されるようになったのだろうか。

こちらアメリカには、会話の録音に関しては明確な法令がある。これには、連邦法と州法が絡んだ問題もあり、面白いトピックなので、今回はこの話題について触れてみたい。

電話による会話の場合、例えばカリフォルニア州などでは、会話者全員の同意がなければ録音することは許されない。

もちろん、バレなければいいということであれば、同意なしでも録音することは出来るが、「許されない」というのは、当該録音行為が違法ということだけでなく、それが故に証拠として裁判で用いることが出来ないという重大な意味合いを含んでいる。

一方、ニューヨーク州などでは、会話者一人の同意があればよい。つまり、自分が電話をしているのであれば、相手に内緒で勝手に録音しても構わないのである。

しかし、当たり前だが、電話による会話は大陸を跨ぐこともあるので、その場合はどの州の規定が適用されるのかということになるが、そこで登場してくるのが連邦法だ。

連邦法では、会話者一人の同意があれば録音してもよいとなっているから、州を越えた会話の録音には、この規定が適用されるというのが主流意見である。

ただ、この点に関してしっかりと議論された判例はまだなく、州を挟んだ会話の録音について、会話者がいるいずれかの州の規定が尊重されるのか、連邦法がそのまま適用されるのかどうかの明確な司法判断はなされていない。

我々PI(私立探偵)にとっては、電話の会話録音に関する法令は非常に大事で、また、カリフォルニア州を拠点としている私にとっては、やりにくいことも多い。

会話をテープに録音しますよ言えば、相手が身構えてしまうのは明らかだし、身分を隠して電話する場合などに、そんなことが言えるわけもない。

そんなときにどうするかというと、数時間で到着することの出来る隣州ネバダに行って、そこから電話する。州を越えてしまえば連邦法が適用される(はず)から、相手の同意なしで会話を録音しても問題ないということになる。

では、電話ではなく、日常会話の録音についてはどうだろうか?これについては、次回に話をさせて頂きたいと思う。


電話ではなく、日常会話の録音についてはどうだろうか。これには、「プライバシーの予期(Expectation of Privacy)」の問題が大きく関係してくる。

ケースバイケースだが、基本的な考え方としては、プライバシーが予期される場所での会話録音には会話者の同意が必要で、そうでない場合には、同意は必要ないということになる。

例を挙げよう。公園や道端のバス停での会話については、同意なしでも録音は可能だ。そういった場所には誰でも立ち入ることができ、第三者に立ち聞きされる可能性が十分に想定されるからである。

一方、個人宅内はプライバシーが予期される場所であり、部外者に会話が漏れることは想定されていないことが普通である。従って、会話者の同意なしでは、録音することはできない。

客として会社のオフィスに出向き、そこの従業員との会話を録音するような場合は、グレーゾーンだろう。オフィスの造りや一般人のアクセス状況から個別に判断しなければならない。

我々PI(私立探偵)が尾行調査を行う場合、カムコーダーを使ってビデオ撮影をすることが多い。通常、カムコーダーにはマイク機能が付いている。

対象者はどこに行くか分からないし、その度にいちいち「プライバシーの予期」について判断することは出来ないので、どんなときも音を拾わないように、カムコーダーを設定しておかなければならない。

アメリカでは、いまだにデジタル映像を証拠として認めない裁判所もあるので、我々は撮影の際にテープ媒体を使う。最新のDVD式のビデオレコーダーでは、マイク機能をオフにすることができるのかもしれないが、旧式のカムコーダーではそれができないことがある。

そんなときは、マイクを差し込むところに、適当なジャックを差し込んでおくことで対応する。こうしておけば、音を拾わなくてすむ。

裁判では、オリジナルのテープを証拠として提出するように求められることもあり、それに音声が入っていたりしたら、特にそれが「プライバシーの予期」が存在する場所での撮影(+録音)あれば、相手側弁護士に詰め寄るきっかけを与えることになってしまう。

ビデオのマイク機能をオフにしておくことは、犯罪捜査でも鉄則である(例外はメモ代わりに使うボイスレコーダー)。

犯罪現場では、後の分析のために必ずといっていいほどビデオ撮影が行われるが、捜査官達というのは、現場で色々な会話をするものなので、それが映像と共に裁判で流れてしまうとマズイことになる。

私の知り合いの刑事はこんなことを言っていた。ある殺人事件で遺体の状況を撮影をしているとき、彼らがドーナツを食べながら冗談を言って笑っている声をビデオが拾ってしまい、そのテープが遺族が傍聴している裁判で流されてしまった。

不謹慎ということになったらしいのだが、捜査官達の言い訳は、「我々はいつも腐敗したり、切断された遺体ばかりを扱うので、気持ちが沈まないように、冗談を言い合って精神を安定させるのだ」というもの。

いずれにしても、こういった事態を避けるためにも、音声の録音については、常に敏感になっておく必要があるだろう


最近はスマートフォンの普及により、秘密録音というのが増えています。よく聞くのは交通違反をした時にスマホをカムコーダーにし、警官から死角になる車のドアの手すりのところにおいて撮影するという行為です。

法的にこれがプライバシーの問題に抵触するかどうかはわかりませんが、増えているそうです。(補足)アメリカで交通違反をした場合、一般に車から降りることはなく、車に乗ったままで、チケットを切られるのを車内で待ちます。


http://irorio.jp/yuimahanazono/20120709/17448/ より引用

警察官の取り調べの様子を録音・録画するアプリ「ポリス・テープ」が米で新登場!! 人権団体開発


日本では、大阪地検特捜部の一連の不祥事を受け、取調べの様子を録音、録画する「可視化」が試行されているが、米国ニュージャージー州では警察の取調べ中に発生する会話や行動をスマートフォンで記録するアプリが登場した。

これは米国自由人権協会(American Civil Liberties Union-ACLU)のニュージャージー支部がリリースしたアンドロイド用アプリ、「ポリス・テープ」。

これを使用すると、もし警察官に呼び止められることがあっても、相手に悟られることなく取り調べ中の会話や尋問内容、態度などを記録することが出来る。

相手が警察といえども信頼をおいていない市民は多い。このアプリにより市民の権利を守り、警官の行動を監視することが可能だ、と、関係者は語る。

ほとんどのスマートフォンにはカメラ機能がついているが、この「ポリス・テープ」 には一度録画が始まるとスクリーン上から消える『極秘モード』 がついていて、警察側に録画していることはほとんどバレないという。

そして、この録音、録画された記録はACLUに直接送られファイルを自動的にバックアップ、後に訴訟問題などになったときに使用することが出来る。

このアプリは今のところ警察とのを記録が法的に許されているニュージャージー州でのみ使用可能となっている。

出典元:ACLU Police App Lets People Police The Police - Huff Post(7/8)


お体お大事にしてください。木曜日の更新(LA時間)がないと「どうしたんだろう?」とは思いますが、お気になさらずに無理しないでくださいね。

これからも楽しみにしております。


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