メールマガジン・ゲンさんの新聞業界裏話・バックナンバー

第287回 ゲンさんの新聞業界裏話


発行日 2013.12. 6


■ついにその正体を見せた『特定秘密保護法』の実態と真の狙いについて


予想どおり、政府与党は、その数に物を言わせて衆議院で『特定秘密保護法』を強行裁決させた。

それについては、当メルマガ『第284回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■『特定秘密保護法案』が21世紀最大の悪法と言われる理由について』(注1.巻末参考ページ参照)の中で、


残念ながら今回は、どんなに反対側に理があろうと、この『特定秘密保護法』が成立してしまう可能性が極めて高いとしか思えんような状況や。

反対する野党は最後まで反対するやろうとは思う。しかし、如何せん議員の絶対数が少ない。

衆議院でも参議院でも与党が過半数を得ている。多数決の勝負に持ち込まれれば、それまでや。どうしようもない。

与党の議員の中には、以前の谷垣法務大臣がそうやったように、その手の法案に反対している者も多いとは思うが、小選挙区制で公認を得ようと思えば党に逆らってまで公然と反旗を翻すことができんという弱さがある。

最後には数の力で強引に決められてしまう可能性が高いということや。

これは誰のせいでもない。国民自身のせいや。特に、去年の総選挙と今年の参議院選挙に行かんかった者の責任が大きい。

ワシらは選挙で誰かに投票してくれと言って呼びかけたことはない。ただ選挙には行って欲しいと毎回呼びかけとるだけや。

選挙にさえ多くの国民が行って投票していれば、こんなことにはならんかったはずやと確信しとる。

去年の総選挙は自民党圧勝、民主党惨敗、日本維新の会、みんなの党の躍進、日本未来の党の惨敗、その他の党の伸び悩みという結果に終わった。

しかし、この結果は自民党が国民から圧倒的に支持されたからとは違う。

それどころか、前回、自民党が惨敗を喫して政権を追われた時より、小選挙区、比例区とも200万票以上も票が少ないのである。

これは自民党支持者ですら、多くの人たちが見限ったということを意味している。

本来なら同じように惨敗していてもおかしくはなかったのやが、なぜ圧勝することになったのかと言えば、理由は一つ。

投票率が低かったからや。それも60%にも届かないという戦後最低の最低率やったという。いずれの選挙ともにである。

あまりにも低すぎたことが、国民の総意に背く結果になったと言うても過言やないと思う。

自公の得た議席は325議席で3分の2を超えていて、これは法案が参議院で否決されても衆議院で再可決可能な議席や。

自公の獲得総数は有権者の約32%でありながら、圧倒的多数の議席を占め、残り68%の大多数の有権者は少数派に甘んじなあかんわけや。

何でこんないびつなことになるのかと言えば40%超の人が選挙に行かんかったからや。それに尽きる。

その流れは今年の参議院選挙でも続き、ついに参議院でも与党が過半数を占めるに至った。

それにしても『自民党支持者ですら、多くの人たちが見限った』という事実がありながら、自民党が圧勝してしまうというのは、どう考えても納得がいかんし、釈然としない。

まあ、選挙に行かないというのも国民の選択で、政府に好き勝手にしてくれという意思表示かも知れんが、そんな理屈ではとても納得することなどできんわな。

ワシらは、基本的には「悪法も悪法。法に従うべき」という考えやが、どう考えてもこの『特定秘密保護法』だけはあかん。

例えこの法律が成立しようと、こんな悪法を認めることなどできん。とことん戦う。

数の力で悪法を作ることができたのなら、数の力でその悪法を葬ることもできるはずや。

そう信じて、これからも訴え続けていくつもりや。そう決意している人も多いと思う。

今はまだ『特定秘密保護法』の怖さが分からん人もおられるかも知れんが、いずれ分かる時が必ず来る。


と言うた。

しかし、『今はまだ『特定秘密保護法』の怖さが分からん人もおられるかも知れんが、いずれ分かる時が必ず来る』と言うた現実が、これほど早く来ようとは予想していなかった。

自民党の石破幹事長が、とんでもないことを言い出したのが、それや。


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131130-00000046-asahi-pol より引用

「絶叫デモ、テロと変わらぬ」 石破幹事長、ブログで


 自民党の石破茂幹事長は11月29日付の自身のブログで、特定秘密保護法案に反対する市民のデモについて「単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらないように思われます」と批判した。

 表現の自由に基づく街頭での市民の主張をテロと同一視したことは問題になりそうだ。

 石破氏はブログで「議員会館の外では『特定機密保護法絶対阻止!』を叫ぶ大音量が鳴り響いています」と紹介。

「人々の静穏を妨げるような行為は決して世論の共感を呼ぶことはない」とも批判した。

 石破氏は30日、朝日新聞に「ルールにのっとったデモを介して意見を言うのはかまわないが、大音量という有形の圧力で一般の市民に畏怖(いふ)の念を抱かせるという意味で、本質的にテロ行為と同じだと申し上げた」と話した。

 自民党の石破茂幹事長が、自身のブログで特定秘密保護法案への反対デモを批判した部分は次の通り。

 今も議員会館の外では「特定機密保護法絶対阻止!」を叫ぶ大音量が鳴り響いています。

 いかなる勢力なのか知る由もありませんが、左右どのような主張であっても、ただひたすら己の主張を絶叫し、多くの人々の静穏を妨げるような行為は決して世論の共感を呼ぶことはないでしょう。

 主義主張を実現したければ、民主主義に従って理解者を一人でも増やし、支持の輪を広げるべきなのであって、単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらないように思われます。


さすがに、この発言はまずいと思ったのか、すぐに、


http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20131202-00000000-nnn-pol より引用


石破幹事長、“テロ”表現撤回の考え示す


 自民党の石破幹事長は、特定秘密保護法案に反対する国会周辺のデモを取り上げ「絶叫戦術はテロ行為と本質であまり変わらない」などとブログに書き込んだことについて、「テロ」との表現は撤回する考えを示した。

 石破幹事長「(デモを)『テロ』と同じとみたという風に受け取られる部分があったとすれば、そこは撤回する」

 石破幹事長は先月29日付の自らのブログに、特定秘密保護法案に反対する国会周辺のデモについて「単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質であまり変わらないように思われる」などと書き込んでいた。

 これについて石破氏は1日、「人が恐怖を感じるような音で『絶対にこれを許さない』という形で訴えることが、民主主義にとって正しいことか」と述べ、現在の国会周辺のデモには問題点があると重ねて指摘した。

 その上で、「表現が足りなかったところがあればおわびしないといけない」と述べた他、「テロ行為と変わらない」との表現は撤回する考えを示した。


と撤回したが、時すでに遅しの感がある。失言としてごまかすには、あまりにも無理がありすぎる。

普通、自己の発言について撤回すれば謝罪するものやが、石破幹事長のそれは謝罪にはなっていない。

それどころか、『「人が恐怖を感じるような音で『絶対にこれを許さない』という形で訴えることが、民主主義にとって正しいことか」と述べ、現在の国会周辺のデモには問題点があると重ねて指摘した』とあるように、自分の考えに間違いはなかったと強調しているだけにすぎん。

言葉尻こそ撤回と称しているが、その気などさらさらないというのが、ありありとしている。

デモが『大音量という有形の圧力』と言うが、1万人以上の人たちが集まれば、その声が大きくなるのは当然や。

市民の抗議デモというのは昔からそうしたもんや。今に始まったことやない。

民主党時代の首相官邸前で行われた脱原発に向けた抗議行動は、もっと大がかりなものやった。音響の大きさも人数の多さに比例して、今回の比やない。

その時に、同じ発言をしていたのなら、まだ分からんではないが、今回に限り『単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらない』と言うてる。

もちろん、こんな見解など自民党に限らず、日本の政治家すべてが、未だかつてしたことなど一度もなかった。

一般的なデモ行為をテロと断じる、また同列にみなすという発言が出るというのは本当に耳を疑う。

普通は、そんなことを与党の幹事長が言えば個人の信用は疎か、党の信頼を失墜しかねない大失態になると思う。

しかも、『特定秘密保護法案』を衆議院で強行可決した直後というタイミングでの発言であれば、尚更や。

強行採決したことへの市民の怒りに気圧され過剰反応して、つい本音が出たのやろうと思う。

「これからは市民のデモもテロ行為に指定するぞ」と。「デモをテロ行為に指定すれば、いつでも逮捕できるのだぞ」と。

そう考えた方が自然や。

石破幹事長と言えば、政府与党の中でも比較的、発言には慎重な人だという評判が高い。

その人の発言やさかい、よけい問題やと思う。慎重な人の吐く言葉は限りなく本音と見て間違いないさかいな。

おそらく、参議院でも、このまま強行裁決できると確信し、安心した上で、こんな発言が出てきたのやろうと思う。

人は、そういう時に、つい本音が表れるもんなんや。

石破幹事長は『いかなる勢力なのか知る由もありませんが、左右どのような主張であっても、ただひたすら己の主張を絶叫し、多くの人々の静穏を妨げるような行為は決して世論の共感を呼ぶことはないでしょう』と言うてるが、多くの国民から共感を呼ぶ発言でないのは、ご自身やとは気付かれてないようや。

デモの映像を見れば一目瞭然やが、どこからどう見ても一般市民たちやと誰にでも分かる。

過激派でもなければ狂信的な団体でもない。誰かに煽動されているのでもない。
脱原発の抗議デモと同じく、自然発生的に集まった人たちや。

それも映像を見る限り、女性やお年寄りが多い。

その人たちのどこを見て『にテロ行為と同じだ』と言い切れるのか、理解に苦しむ。

さらに『いかなる勢力なのか知る由もありませんが』とくくる認識の怖さが際立っている。

善良な一般市民の抗議デモを無理にでも、そうした枠に嵌め込もうとしているわけや。

『多くの人々の静穏』というが、デモが行われていた国会議事堂周辺には一般市民と呼ばれる人たちは殆ど居住していない。

国会前でのデモに「畏怖」を感じ、「平穏を妨げ」られていると感じているのは、一般の人々ではなく石破幹事長たち政府関係者以外にはいない。

その国民の声に耳を貸さそうともせず、強行採決しておきながら、自分たちが脅かされているからテロやと決めつけているわけや。

これほど国民を愚弄してバカにした物言いはない。

こんな連中が国を動かしているのかと思うと、腹立たしさを通り越して情けなくなってくる。

物を知らんにも、ほどがある。

日本国憲法第21条第1項に、『集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する』とはっきり明記されている。

政治的な意味合いの抗議行動、デモはまさしくこれに該当する。それに異論を唱える者は、石破幹事長以外には与党政府関係者の中にもおらんはずや。

この石破幹事長の発言に狼狽えて、やっきに打ち消そうとしている連中ばかりやさかいな。

そもそも国会議員とは立法府、つまり国会で十分に審議した上で法律をつくるのが仕事や。

それらの法律はすべて憲法に沿ったものやないとあかん。当たり前のことや。

その当たり前のことが違うからこそ、多くの人たちが反対してるわけや。

そんなことすら分かっていないにもかかわらず、憲法を否定するかのような主張を平然としている。

もっとも、彼らには現日本国憲法、そのものの遵守すら眼中にはないのやろうがな。

そもそも、この『特定秘密保護法案』の先にあるのは現日本国憲法の破棄やさかいな。

そう言える根拠は、『自民党憲法改正案』(注2.巻末参考ページ参照)にある。

その象徴的な部分を紹介する。


現『日本国憲法』

第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。


『自民党憲法改正案』

(人としての尊重等)
第十三条 全て国民は、人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公益及び公の秩序に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大限に尊重されなければならない。


この二つを見比べて見ると、現『日本国憲法』では『個人として』となっているのが、『自民党憲法改正案』では単に『人として』となっている。

この『個』という一文字が削除されている意味は大きい。

基本的人権とは説明するまでもなく個人に属する権利のことで、『人として』と語れるのは道徳や主義主張などの人の行為、行動に関する場合であって、基本的人権という権利については「個人」に帰属しなければならない。

権利とは個人が有するものやさかいな。

つまり、この条文で『個』という一文字を取り去ることで、基本的人権そのものを否定していると読み取れることができる。『個人』を消してしもうとるわけやさかいな。

それを裏付けているのが、現『日本国憲法』で『公共の福祉に反しない限り』という部分が、『自民党憲法改正案』では『公益及び公の秩序に反しない限り』となっている点や。

『公共の福祉』と『公益及び公の秩序』とでは大きな違いがある。

『公共の福祉』とは、個別の利益に対して、多数の人々の利益を意味する。

個人の利益と社会の利益が矛盾する場合、両者の調和、調整が必要になるために『公共の福祉』という概念が必要になるわけや。

常識がその物差しになる。つまり『公共の福祉に反しない限り』とは、個人の権利が大多数の常識、および利益の前では限定されるということやな。

対して『公益及び公の秩序』はどうなのかということなるが、実は何を以て『公益』とするのかという定義自体が難しい。

公益とは、一言で言えば社会の利益のことやが、どの程度の組織、どのくらいの規模のコミュティ以上に、どのような利益が出れば公益とするのかといった定義には曖昧なところがある。

社会を構成する単位には、企業や団体などの組織、市町村、都道府県、国家まで幅広く存在する。

それらすべての利益を公益と呼ぶとすれば『公の秩序』の範囲もそれに準ずるものと考えられる。

つまり、『公益及び公の秩序に反しない限り』とは、企業や団体などの組織、市町村、都道府県、国家まで幅広く存在するものすべての利益や秩序に反する場合は、『国民の権利』は保証されないと言うてるのと同じになるわけや。

誰が、何が、その『公益及び公の秩序』とやらを決めるのか。

ここに大きな問題があると思う。

企業に損失を出せば『国民の権利』が失われるのか、団体などの組織の不利益になれば『国民の権利』がないがしろにされてもいいのか、市町村、都道府県、国家に損失を与えれば『国民の権利』を主張できないのか、ということになる。

現在の常識をもとにする、現『日本国憲法』の『公共の福祉に反しない限り』では、そんなことは絶対にあり得ない。

しかし、『自民党憲法改正案』では『公益及び公の秩序』に反すれば『国民の権利』、つまり基本的人権は認めない、剥奪すると言うてるのに等しいことになる。

極端なことを言えば、国のトップ及び機関が、曖昧な公益や公の秩序についての判断を盾に「あなたは公益や公の秩序に反しています」と言えば基本的人権など認めなくてもええということになるわけや。

つまり、今回の石破幹事長の「テロ発言」は、今回のデモが公の秩序に反しているという意味で言うたわけや。

ワシが失言でも何でもない、本音やと言う所以がここにある。

『自民党憲法改正案』では、それらの文言に変えたとだけ記されているだけで、なぜ変えたのかまでは言及されていない。

まさか一般国民のデモ行為をテロ扱いするとは書けんわな。しかし、本音は政府を批判するデモ行為は「テロ行為と判断する」と言うてるわけや。

本音は、常日頃思っていることが、つい口をついて出るもんや。そういうのを「馬脚を顕す」と言う。

『特定秘密保護法案』の全文(注3.巻末参考ページ参照)は長すぎるので、とてもここでは掲載できんが、法律として不十分なものであるのは間違いない。

『特定秘密』とは、ごく限られた秘密のことやというのは誰にでも分かる。

そういったごく限られた秘密だけが『特定秘密保護法案』で守られるというのなら、まだ分からんでもない。

しかし、この『特定秘密保護法案』は名ばかりで、そうはなっていない。果てしなく、その範囲が拡がっていく懸念の大きい条文が並んでいる法律や。

例えば、防衛に関しては、「自衛隊の運用」「防衛力の整備に関する見積り若しくは計画又は研究」「武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物の種類又は数量」は全部秘密にできるとある。

ここで見落としがちなのが、『その他の防衛の用に供する物』という言葉や。

それまでの記述で特定の事柄だけを指しているように見せながら、どさくさに紛れて「その他」という言葉を忍び込ませている。

これを分かりやすく言えば『防衛に関しては、すべての防衛の用に供する物の種類又は数量は全部秘密にできる』と言うてるに等しいことなわけや。

これほどストレートに言えば反発を受けるさかい、官僚の得意とする霞ヶ関文学では、所々に「その他」という文言を忍ばせてごまかしている。

すべての秘密を「その他」とすればええわけやさかいな。

こういったごまかしのような「その他」の記載が『特定秘密保護法案』の中には実に30数ヶ所もある。

それを一々を取り上げるのは面倒やさかい『特定秘密保護法案』の全文を確認して頂ければ分かるが、要するに政府の意向で秘密にしたいものは何でもできるという条文になっていると理解して貰うたらええ。

罰則規定が設けられたことで、それについてモニタリングや情報収集を行えば処罰対象にするとある。

『特定秘密保護法案』第二十一条で、 


この法律の適用に当たっては、これを拡張して解釈して、国民の基本的人権を不当に侵害するようなことがあってはならず、国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由に十分に配慮しなければならない。


と国民の知る権利を担保しているかのように見せかけてはいるが、続く、


2 出版又は報道の業務に従事する者の取材行為については、専ら公益を図る目的を有し、かつ、法令違反又は著しく不当な方法によるものと認められない限りは、これを正当な業務による行為とするものとする。


という条文で、前項を打ち消している。

『専ら公益を図る目的を有し、かつ、法令違反又は著しく不当な方法によるものと認められない限り』というのは、要するに『特定秘密保護法』を運用する政府が『公益を図る目的』を有していないと判断すれば、国民の知る権利は保障しないと書いてあるわけや。

しかも、政府が『法令違反又は著しく不当な方法によるもの』と判断した場合は、その企てをしたと発覚しただけで罰することができるとなっている。

外交についても「安全保障上重要なもの」とさえすれば何でもは秘密指定できる。

政府答弁によれば、TPP交渉もここに含まれるのを否定できないという。

この「否定できない」という言い方は政治の世界では「そのとおりにする」という意味で使われているものやと理解してええ。

つまり、『TPP交渉も秘密指定にします』ということやな。

「テロ」に関してはテロ防止のためとさえすれば、その計画の可能性があるとするだけですべてを秘密裏に監視、処罰の対象にできるわけや。

また、原発関連も「テロ」の危険に含まれるということにすれば、原発の設計や構造、安全性などもすべて「テロ対策」として秘密に指定することができる。

要するに『特定秘密保護法案』というのは、軍事、外交、テロ対策のすべて「秘密」とし、それを知ろうとする国民を処罰することが目的の法律なわけや。

できれば政府与党は、『特定秘密保護法案』が成立するまでは慎重に事を運びたかったと思う。

その意味で言えば、今回の石破幹事長の発言は『特定秘密保護法案』を参議院でも強行可決しようと目論む政府与党にとっては大きなマイナスになったことだけは間違いない。

その発言があったことで、各界から異論が噴出しとるさかいな。


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131203-00000045-mai-pol より引用

<秘密保護法案>参考人全員が懸念 石破氏発言に批判も


 参院国家安全保障特別委員会は3日午前、特定秘密保護法案に関する参考人質疑を行った。意見陳述した3人の参考人全員が法案への慎重姿勢を表明。

 自民党の石破茂幹事長が自らのブログで法案に反対する市民団体らのデモを「テロと本質的に変わらない」と批判したことについて、日本弁護士連合会の江藤洋一秘密保全法制対策本部長代行は「言論弾圧、政治弾圧に利用される可能性を示唆している」と述べ、廃案にすべきだと主張した。

 新聞労連の日比野敏陽委員長も「石破氏は(ブログを)撤回したが、事の本質が解決したとは思えない。当局が処罰対象を恣意(しい)的に運用するのは確実だ」と懸念を表明。法案にある取材・報道の自由への配慮規定については「捜査当局に配慮してもらうため、『良い子でいろ』と記者に言っているようなものだ」と語り、法案を廃案にするよう訴えた。

 全国地方銀行協会元会長の瀬谷俊雄・東邦銀行相談役は「国家権力に対して、民間までが処罰の対象になるのは疑問だ」と述べ、法案が民間人を処罰対象としていることに疑問を呈した。

 その上で「国益の範囲を極力絞って、集中的に適用されたらいいのではないか」と述べ、法案の慎重審議を求めた。

 一方、菅義偉官房長官は3日午前の記者会見で、石破氏のブログによる特定秘密保護法案審議への影響について「今後の進行に影響はない」と強調。

 森雅子同法案担当相は3日の記者会見で「市民のデモは法案の『テロリズム』に当てはまらない。表現の自由は何より大切だ」と説明した。

 与党側は参院国家安全保障特別委員会での参考人質疑を終え、採決の環境は整ったと主張し、今国会会期末の6日までの法案成立を目指している。

 自民党は3日午前の同特別委理事会で、採決の前提として、4日午前に安倍晋三首相が出席する質疑を行い、同日午後からさいたま市で地方公聴会を開催する日程を提案。

 野党側は「聞いていない」と応じず、引き続き協議することになった。


これでも政府与党は『菅義偉官房長官は3日午前の記者会見で、石破氏のブログによる特定秘密保護法案審議への影響について「今後の進行に影響はない」と強調』している。

まあ、どうあっても強行採決に持ち込むつもりやから「今後の進行に影響はない」と言えば、そうかも知れんがな。

『自民党は3日午前の同特別委理事会で、採決の前提として、4日午前に安倍晋三首相が出席する質疑を行い、同日午後からさいたま市で地方公聴会を開催する日程を提案』したというが、これなどは強行採決をするための儀式のようなものやと思う。

なぜなら、衆議院で強行採決される前日、福島で公聴会が開かれ、


http://www.asahi.com/articles/TKY201311250097.html より引用

特定秘密保護法案、原発情報の扱いに懸念 福島で公聴会


衆院国家安全保障特別委員会は25日、特定秘密保護法案をめぐる地方公聴会を福島市で開いた。福島県浪江町長や地元の弁護士ら7人の意見陳述者から、東京電力福島第一原発事故を踏まえ、特定秘密の指定の範囲があいまいな点などに懸念や批判が相次いだ。


この時、意見陳述した7人全員から懸念や批判が相次いだにも、かかわらず翌日、衆議院で強行裁決している。

こんな茶番はないで、ホンマ。それをまた繰り返そうとしているわけや。

何で、そんな真似ができるのか。

それは、後3年は、もう衆議院選挙も参議院選挙もないからや。それに尽きる。

今どれほどの失点をしようが、国民から反感を受けようが、そんなものは3年後には何とでもなる。

バカな一般大衆は、その時になれば、今回のことなどすっかり忘れているはずやと。

現在、どれだけ批判されようが叩かれようが関係ないと。

そんな先の選挙のことなど心配するよりも、法案が通せる今のうちに通せということなのやろうと思う。

法案さえ通れば、後はその法案で言論など、どうとでも取り締まれると。

それしか考えられない。

しかもなるべく早いうちに通さないと、国民が『特定秘密保護法案』の内容を知ってしまうと反対の世論が盛り上がって、まずいことになるからやと指摘する識者も多い。

これほど国民を愚弄した話はないが、現時点では残念ながら、その政府与党の愚行を止める手立てはない。

最後の抵抗とも言えるデモの抗議すら、政府は「テロ」に仕立て上げようとしているわけや。国民の声を奪うために。

それが『特定秘密保護法案』の紛れもない実態であり、真実の姿やと断言する。それ以外の何ものでもないと。

そして、まもなく参議院でも強行採決され法制化するはずや。

選挙が3年先やと考えて安心しとるのかも知れんが、少なくともワシらは今回の『特定秘密保護法案』での強行裁決された事実は絶対に忘れない。

どんなことがあっても風化させない。この非道とも言える愚行の責任は必ず取って貰う。

時折、読者の方から「ゲンさんやハカセさんは、どうしてそこまで政治に関して剥きになるのですか」という、ご意見を頂くことがある。

「もっと、新聞に関係した話をして欲しい」と。

それについて言えば、読者のおかげもあり、長年メルマガやサイトを続けてきたことで、それなりに発言権が得られたと考えているからやと、それぞれの方には返信している。

その発言権は、多くの人の役に立てたい。それ以外には何もないと。

具体的には、ワシらが、このメルマガで話したことは、この先何年経ってもネット上には比較的上位表示され記録として残るということがある。

過去の記事、すべてがそうやったように。

残念ながら、ネット上の新聞記事は半月もすれば大半が消える。

新聞紙面も過去のものを引っ張り出してまで読む人は少ない。たいていは古紙回収に出されて消える。

その意味では、政府与党の目論見どおり時が経てば風化するかも知れん。次の選挙の頃には忘れていると。

しかし、ネット上の記録は、その情報を欲している人が調べればヒットする。またヒットさせるべき情報を残さなければならない。

3年経っても色褪せない情報として。

それに、これは常に言うてることやが、ワシは拡張員である前に、日本国民の一人や。

言いたい事や訴えたい事、考えている事が言えて多くの人に読んで貰える環境があるのに、何も言わないのは、むしろ罪深いことやないかと考えとる。

正義感からかどうかは別にして、ワシらは何者にも縛られたくない。自由でいたいという気持ちが強い。

それを侵害する圧力には、例え日本政府であろうと抵抗して戦うくらいの気概は持っているつもりや。

今回、『特定秘密保護法案』は参議院でも強行採決されるのは、ほぼ確実やが、まだ憲法が残っている。

現日本国憲法が存在する限り、『特定秘密保護法』に対抗することができる。

現日本国憲法の理念と『特定秘密保護法』は、その内容において真逆のものやさかいな。

同じ法律なら、現日本国憲法の方が上や。そう信じるしかない。

それに官僚たちが考えた『特定秘密保護法』にも穴がある。それを利用する術もある。それは、そういう局面が近づいて来た時に話す。

ワシらが、いつも言うてるように、どんな状況になろうと方法はあるということや。悲観したり絶望したりする必要はない。

あきらめさえしなかったら、物事は必ず好転する。少なくともワシらは、そう信じている。



参考ページ

注1.第284回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■『特定秘密保護法案』が21世紀最大の悪法と言われる理由について

注2.第254回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■自民党憲法改正案の是非 その1 憲法第96条、および第9条の改正について

第255回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■自民党憲法改正案の是非 その2 基本的人権が危ない

注3.特定秘密保護法案全文


特定秘密保護法案の全文


 第一章 総則

 (目的)

 第一条 この法律は、国際情勢の複雑化に伴い我が国及び国民の安全の確保に係る情報の重要性が増大するとともに、高度情報通信ネットワーク社会の発展に伴いその漏えいの危険性が懸念される中で、我が国の安全保障に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるものについて、これを適確に保護する体制を確立した上で収集し、整理し、及び活用することが重要であることに鑑み、当該情報の保護に関し、特定秘密の指定及び取扱者の制限その他の必要な事項を定めることにより、その漏えいの防止を図り、もって我が国及び国民の安全の確保に資することを目的とする。

 (定義)

 第二条 この法律において「行政機関」とは、次に掲げる機関をいう。

 一 法律の規定に基づき内閣に置かれる機関(内閣府を除く。)及び内閣の所轄の下に置かれる機関

 二 内閣府、宮内庁並びに内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項及び第二項に規定する機関(これらの機関のうち、国家公安委員会にあっては警察庁を、第四号の政令で定める機関が置かれる機関にあっては当該政令で定める機関を除く。)

 三 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関(第五号の政令で定める機関が置かれる機関にあっては、当該政令で定める機関を除く。)

 四 内閣府設置法第三十九条及び第五十五条並びに宮内庁法(昭和二十二年法律第七十号)第十六条第二項の機関並びに内閣府設置法第四十条及び第五十六条(宮内庁法第十八条第一項において準用する場合を含む。)の特別の機関で、警察庁その他政令で定めるもの

 五 国家行政組織法第八条の二の施設等機関及び同法第八条の三の特別の機関で、政令で定めるもの

 六 会計検査院

 第二章 特定秘密の指定等

 (特定秘密の指定)

 第三条 行政機関の長(当該行政機関が合議制の機関である場合にあっては当該行政機関をいい、前条第四号及び第五号の政令で定める機関(合議制の機関を除く。)にあってはその機関ごとに政令で定める者をいう。第十一条第一号を除き、以下同じ。)は、当該行政機関の所掌事務に係る別表に掲げる事項に関する情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるもの(日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法(昭和二十九年法律第百六十六号)第一条第三項に規定する特別防衛秘密に該当するものを除く。)を特定秘密として指定するものとする。

 2 行政機関の長は、前項の規定による指定(附則第四条を除き、以下単に「指定」という。)をしたときは、政令で定めるところにより指定に関する記録を作成するとともに、当該指定に係る特定秘密の範囲を明らかにするため、特定秘密である情報について、次の各号のいずれかに掲げる措置を講ずるものとする。

 一 政令で定めるところにより、特定秘密である情報を記録する文書、図画、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録をいう。以下この号において同じ。)若しくは物件又は当該情報を化体する物件に特定秘密の表示(電磁的記録にあっては、当該表示の記録を含む。)をすること。

 二 特定秘密である情報の性質上前号に掲げる措置によることが困難である場合において、政令で定めるところにより、当該情報が前項の規定の適用を受ける旨を当該情報を取り扱う者に通知すること。

 3 行政機関の長は、特定秘密である情報について前項第二号に掲げる措置を講じた場合において、当該情報について同項第一号に掲げる措置を講ずることができることとなったときは、直ちに当該措置を講ずるものとする。

 (指定の有効期間及び解除)

 第四条 行政機関の長は、指定をするときは、当該指定の日から起算して五年を超えない範囲内においてその有効期間を定めるものとする。

 2 行政機関の長は、指定の有効期間(この項の規定により延長した有効期間を含む。)が満了する時において、当該指定をした情報が前条第一項に規定する要件を満たすときは、政令で定めるところにより、五年を超えない範囲内においてその有効期間を延長するものとする。

 3 行政機関(会計検査院を除く。)の長は、前項の規定により指定の有効期間を延長しようとする場合において、当該延長後の指定の有効期間が通じて三十年を超えることとなるときは、政府の有するその諸活動を国民に説明する責務を全うする観点に立っても、なお当該指定に係る情報を公にしないことが現に我が国及び国民の安全を確保するためにやむを得ないものであることについて、その理由を示して、内閣の承認を得なければならない。この場合において、当該行政機関の長は、当該指定に係る特定秘密の保護に関し必要なものとして政令で定める措置を講じた上で、内閣に当該特定秘密を提供することができる。

 4 行政機関の長は、指定をした情報が前条第一項に規定する要件を欠くに至ったときは、有効期間内であっても、政令で定めるところにより、速やかにその指定を解除するものとする。

 (特定秘密の保護措置)

 第五条 行政機関の長は、指定をしたときは、第三条第二項に規定する措置のほか、第十一条の規定により特定秘密の取扱いの業務を行うことができることとされる者のうちから、当該行政機関において当該指定に係る特定秘密の取扱いの業務を行わせる職員の範囲を定めることその他の当該特定秘密の保護に関し必要なものとして政令で定める措置を講ずるものとする。

 2 警察庁長官は、指定をした場合において、当該指定に係る特定秘密(第七条第一項の規定により提供するものを除く。)で都道府県警察が保有するものがあるときは、当該都道府県警察に対し当該指定をした旨を通知するものとする。

 3 前項の場合において、警察庁長官は、都道府県警察が保有する特定秘密の取扱いの業務を行わせる職員の範囲その他の当該都道府県警察による当該特定秘密の保護に関し必要なものとして政令で定める事項について、当該都道府県警察に指示するものとする。この場合において、当該都道府県警察の警視総監又は道府県警察本部長(以下「警察本部長」という。)は、当該指示に従い、当該特定秘密の適切な保護のために必要な措置を講じ、及びその職員に当該特定秘密の取扱いの業務を行わせるものとする。

 4 行政機関の長は、指定をした場合において、その所掌事務のうち別表に掲げる事項に係るものを遂行するために特段の必要があると認めたときは、物件の製造又は役務の提供を業とする者で、特定秘密の保護のために必要な施設設備を設置していることその他政令で定める基準に適合するもの(以下「適合事業者」という。)との契約に基づき、当該適合事業者に対し、当該指定をした旨を通知した上で、当該指定に係る特定秘密(第八条第一項の規定により提供するものを除く。)を保有させることができる。

 5 前項の契約には、第十一条の規定により特定秘密の取扱いの業務を行うことができることとされる者のうちから、同項の規定により特定秘密を保有する適合事業者が指名して当該特定秘密の取扱いの業務を行わせる代表者、代理人、使用人その他の従業者(以下単に「従業者」という。)の範囲その他の当該適合事業者による当該特定秘密の保護に関し必要なものとして政令で定める事項について定めるものとする。

 6 第四項の規定により特定秘密を保有する適合事業者は、同項の契約に従い、当該特定秘密の適切な保護のために必要な措置を講じ、及びその従業者に当該特定秘密の取扱いの業務を行わせるものとする。

 第三章 特定秘密の提供

 (我が国の安全保障上の必要による特定秘密の提供)

 第六条 特定秘密を保有する行政機関の長は、他の行政機関が我が国の安全保障に関する事務のうち別表に掲げる事項に係るものを遂行するために当該特定秘密を利用する必要があると認めたときは、当該他の行政機関に当該特定秘密を提供することができる。ただし、当該特定秘密を保有する行政機関以外の行政機関の長が当該特定秘密について指定をしているとき(当該特定秘密が、この項の規定により当該保有する行政機関の長から提供されたものである場合を除く。)は、当該指定をしている行政機関の長の同意を得なければならない。

 2 前項の規定により他の行政機関に特定秘密を提供する行政機関の長は、当該特定秘密の取扱いの業務を行わせる職員の範囲その他の当該他の行政機関による当該特定秘密の保護に関し必要なものとして政令で定める事項について、あらかじめ、当該他の行政機関の長と協議するものとする。

 3 第一項の規定により特定秘密の提供を受ける他の行政機関の長は、前項の規定による協議に従い、当該特定秘密の適切な保護のために必要な措置を講じ、及びその職員に当該特定秘密の取扱いの業務を行わせるものとする。

 第七条 警察庁長官は、警察庁が保有する特定秘密について、その所掌事務のうち別表に掲げる事項に係るものを遂行するために都道府県警察にこれを利用させる必要があると認めたときは、当該都道府県警察に当該特定秘密を提供することができる。

 2 前項の規定により都道府県警察に特定秘密を提供する場合については、第五条第三項の規定を準用する。

 3 警察庁長官は、警察本部長に対し、当該都道府県警察が保有する特定秘密で第五条第二項の規定による通知に係るものの提供を求めることができる。

 第八条 特定秘密を保有する行政機関の長は、その所掌事務のうち別表に掲げる事項に係るものを遂行するために、適合事業者に当該特定秘密を利用させる特段の必要があると認めたときは、当該適合事業者との契約に基づき、当該適合事業者に当該特定秘密を提供することができる。ただし、当該特定秘密を保有する行政機関以外の行政機関の長が当該特定秘密について指定をしているとき(当該特定秘密が、第六条第一項の規定により当該保有する行政機関の長から提供されたものである場合を除く。)は、当該指定をしている行政機関の長の同意を得なければならない。

 2 前項の契約については第五条第五項の規定を、前項の規定により特定秘密の提供を受ける適合事業者については同条第六項の規定を、それぞれ準用する。この場合において、同条第五項中「前項」とあるのは「第八条第一項」と、「を保有する」とあるのは「の提供を受ける」と読み替えるものとする。

 3 第五条第四項の規定により適合事業者に特定秘密を保有させている行政機関の長は、同項の契約に基づき、当該適合事業者に対し、当該特定秘密の提供を求めることができる。

 第九条 特定秘密を保有する行政機関の長は、その所掌事務のうち別表に掲げる事項に係るものを遂行するために必要があると認めたときは、外国(本邦の域外にある国又は地域をいう。以下同じ。)の政府又は国際機関であって、この法律の規定により行政機関が当該特定秘密を保護するために講ずることとされる措置に相当する措置を講じているものに当該特定秘密を提供することができる。ただし、当該特定秘密を保有する行政機関以外の行政機関の長が当該特定秘密について指定をしているとき(当該特定秘密が、第六条第一項の規定により当該保有する行政機関の長から提供されたものである場合を除く。)は、当該指定をしている行政機関の長の同意を得なければならない。

 (その他公益上の必要による特定秘密の提供)

 第十条 第四条第三項後段及び第六条から前条までに規定するもののほか、行政機関の長は、次に掲げる場合に限り、特定秘密を提供することができる。

 一 特定秘密の提供を受ける者が次に掲げる業務又は公益上特に必要があると認められるこれらに準ずる業務において当該特定秘密を利用する場合(次号から第四号までに掲げる場合を除く。)であって、当該特定秘密を利用し、又は知る者の範囲を制限すること、当該業務以外に当該特定秘密が利用されないようにすることその他の当該特定秘密を利用し、又は知る者がこれを保護するために必要なものとして政令で定める措置を講じ、かつ、我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたとき。

 イ 各議院又は各議院の委員会若しくは参議院の調査会が国会法(昭和二十二年法律第七十九号)第百四条第一項(同法第五十四条の四第一項において準用する場合を含む。)又は議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律(昭和二十二年法律第二百二十五号)第一条の規定により行う審査又は調査であって、国会法第五十二条第二項(同法第五十四条の四第一項において準用する場合を含む。)又は第六十二条の規定により公開しないこととされたもの

 ロ 刑事事件の捜査又は公訴の維持であって、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第三百十六条の二十七第一項(同条第三項及び同法第三百十六条の二十八第二項において準用する場合を含む。)の規定により裁判所に提示する場合のほか、当該捜査又は公訴の維持に必要な業務に従事する者以外の者に当該特定秘密を提供することがないと認められるもの

 二 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第二百二十三条第六項の規定により裁判所に提示する場合

 三 情報公開・個人情報保護審査会設置法(平成十五年法律第六十号)第九条第一項の規定により情報公開・個人情報保護審査会に提示する場合

 四 会計検査院法(昭和二十二年法律第七十三号)第十九条の四において読み替えて準用する情報公開・個人情報保護審査会設置法第九条第一項の規定により会計検査院情報公開・個人情報保護審査会に提示する場合

 2 警察本部長は、第七条第三項の規定による求めに応じて警察庁に提供する場合のほか、前項第一号に掲げる場合(当該警察本部長が提供しようとする特定秘密が同号ロに掲げる業務において利用するものとして提供を受けたものである場合以外の場合にあっては、同号に規定する我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めることについて、警察庁長官の同意を得た場合に限る。)、同項第二号に掲げる場合又は都道府県の保有する情報の公開を請求する住民等の権利について定める当該都道府県の条例(当該条例の規定による諮問に応じて審議を行う都道府県の機関の設置について定める都道府県の条例を含む。)の規定で情報公開・個人情報保護審査会設置法第九条第一項の規定に相当するものにより当該機関に提示する場合に限り、特定秘密を提供することができる。

 3 適合事業者は、第八条第三項の規定による求めに応じて行政機関に提供する場合のほか、第一項第一号に掲げる場合(同号に規定する我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めることについて、当該適合事業者が提供しようとする特定秘密について指定をした行政機関の長の同意を得た場合に限る。)又は同項第二号若しくは第三号に掲げる場合に限り、特定秘密を提供することができる。

 第四章 特定秘密の取扱者の制限

 第十一条 特定秘密の取扱いの業務は、当該業務を行わせる行政機関の長若しくは当該業務を行わせる適合事業者に当該特定秘密を保有させ、若しくは提供する行政機関の長又は当該業務を行わせる警察本部長が直近に実施した次条第一項又は第十五条第一項の適性評価(第十三条第一項(第十五条第二項において準用する場合を含む。)の規定による通知があった日から五年を経過していないものに限る。)において特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者(次条第一項第三号又は第十五条第一項第三号に掲げる者として次条第三項又は第十五条第二項において読み替えて準用する次条第三項の規定による告知があった者を除く。)でなければ、行ってはならない。ただし、次に掲げる者については、次条第一項又は第十五条第一項の適性評価を受けることを要しない。

 一 行政機関の長

 二 国務大臣(前号に掲げる者を除く。)

 三 内閣官房副長官

 四 内閣総理大臣補佐官

 五 副大臣

 六 大臣政務官

 七 前各号に掲げるもののほか、職務の特性その他の事情を勘案し、次条第一項又は第十五条第一項の適性評価を受けることなく特定秘密の取扱いの業務を行うことができるものとして政令で定める者

 第五章 適性評価

 (行政機関の長による適性評価の実施)

 第十二条 行政機関の長は、政令で定めるところにより、次に掲げる者について、その者が特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないことについての評価(以下「適性評価」という。)を実施するものとする。

 一 当該行政機関の職員(当該行政機関が警察庁である場合にあっては、警察本部長を含む。次号において同じ。)又は当該行政機関との第五条第四項若しくは第八条第一項の契約(次号において単に「契約」という。)に基づき特定秘密を保有し、若しくは特定秘密の提供を受ける適合事業者の従業者として特定秘密の取扱いの業務を新たに行うことが見込まれることとなった者(当該行政機関の長がその者について直近に実施して次条第一項の規定による通知をした日から五年を経過していない適性評価において、特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者であって、引き続き当該おそれがないと認められるものを除く。)

 二 当該行政機関の職員又は当該行政機関との契約に基づき特定秘密を保有し、若しくは特定秘密の提供を受ける適合事業者の従業者として、特定秘密の取扱いの業務を現に行い、かつ、当該行政機関の長がその者について直近に実施した適性評価に係る次条第一項の規定による通知があった日から五年を経過した日以後特定秘密の取扱いの業務を引き続き行うことが見込まれる者

 三 当該行政機関の長が直近に実施した適性評価において特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者であって、引き続き当該おそれがないと認めることについて疑いを生じさせる事情があるもの

 2 適性評価は、適性評価の対象となる者(以下「評価対象者」という。)について、次に掲げる事項についての調査を行い、その結果に基づき実施するものとする。

 一 特定有害活動(公になっていない情報のうちその漏えいが我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるものを取得するための活動、核兵器、軍用の化学製剤若しくは細菌製剤若しくはこれらの散布のための装置若しくはこれらを運搬することができるロケット若しくは無人航空機又はこれらの開発、製造、使用若しくは貯蔵のために用いられるおそれが特に大きいと認められる物を輸出し、又は輸入するための活動その他の活動であって、外国の利益を図る目的で行われ、かつ、我が国及び国民の安全を著しく害し、又は害するおそれのあるものをいう。別表第三号において同じ。)及びテロリズム(政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊するための活動をいう。同表第四号において同じ。)との関係に関する事項(評価対象者の家族(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下この号において同じ。)、父母、子及び兄弟姉妹並びにこれらの者以外の配偶者の父母及び子をいう。以下この号において同じ。)及び同居人(家族を除く。)の氏名、生年月日、国籍(過去に有していた国籍を含む。)及び住所を含む。)

 二 犯罪及び懲戒の経歴に関する事項

 三 情報の取扱いに係る非違の経歴に関する事項

 四 薬物の濫用及び影響に関する事項

 五 精神疾患に関する事項

 六 飲酒についての節度に関する事項

 七 信用状態その他の経済的な状況に関する事項

 3 適性評価は、あらかじめ、政令で定めるところにより、次に掲げる事項を評価対象者に対し告知した上で、その同意を得て実施するものとする。

 一 前項各号に掲げる事項について調査を行う旨

 二 前項の調査を行うため必要な範囲内において、次項の規定により質問させ、若しくは資料の提出を求めさせ、又は照会して報告を求めることがある旨

 三 評価対象者が第一項第三号に掲げる者であるときは、その旨

 4 行政機関の長は、第二項の調査を行うため必要な範囲内において、当該行政機関の職員に評価対象者若しくは評価対象者の知人その他の関係者に質問させ、若しくは評価対象者に対し資料の提出を求めさせ、又は公務所若しくは公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。

 (適性評価の結果等の通知)

 第十三条 行政機関の長は、適性評価を実施したときは、その結果を評価対象者に対し通知するものとする。

 2 行政機関の長は、適合事業者の従業者について適性評価を実施したときはその結果を、当該従業者が前条第三項の同意をしなかったことにより適性評価が実施されなかったときはその旨を、それぞれ当該適合事業者に対し通知するものとする。

 3 前項の規定による通知を受けた適合事業者は、当該評価対象者が当該適合事業者の指揮命令の下に労働する派遣労働者(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)第二条第二号に規定する派遣労働者をいう。第十六条第二項において同じ。)であるときは、当該通知の内容を当該評価対象者を雇用する事業主に対し通知するものとする。

 4 行政機関の長は、第一項の規定により評価対象者に対し特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められなかった旨を通知するときは、適性評価の円滑な実施の確保を妨げない範囲内において、当該おそれがないと認められなかった理由を通知するものとする。ただし、当該評価対象者があらかじめ当該理由の通知を希望しない旨を申し出た場合は、この限りでない。

 (行政機関の長に対する苦情の申出等)

 第十四条 評価対象者は、前条第一項の規定により通知された適性評価の結果その他当該評価対象者について実施された適性評価について、書面で、行政機関の長に対し、苦情の申出をすることができる。

 2 行政機関の長は、前項の苦情の申出を受けたときは、これを誠実に処理し、処理の結果を苦情の申出をした者に通知するものとする。

 3 評価対象者は、第一項の苦情の申出をしたことを理由として、不利益な取扱いを受けない。

 (警察本部長による適性評価の実施等)

 第十五条 警察本部長は、政令で定めるところにより、次に掲げる者について、適性評価を実施するものとする。

 一 当該都道府県警察の職員(警察本部長を除く。次号において同じ。)として特定秘密の取扱いの業務を新たに行うことが見込まれることとなった者(当該警察本部長がその者について直近に実施して次項において準用する第十三条第一項の規定による通知をした日から五年を経過していない適性評価において、特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者であって、引き続き当該おそれがないと認められるものを除く。)

 二 当該都道府県警察の職員として、特定秘密の取扱いの業務を現に行い、かつ、当該警察本部長がその者について直近に実施した適性評価に係る次項において準用する第十三条第一項の規定による通知があった日から五年を経過した日以後特定秘密の取扱いの業務を引き続き行うことが見込まれる者

 三 当該警察本部長が直近に実施した適性評価において特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者であって、引き続き当該おそれがないと認めることについて疑いを生じさせる事情があるもの

 2 前三条(第十二条第一項並びに第十三条第二項及び第三項を除く。)の規定は、前項の規定により警察本部長が実施する適性評価について準用する。この場合において、第十二条第三項第三号中「第一項第三号」とあるのは、「第十五条第一項第三号」と読み替えるものとする。

 (適性評価に関する個人情報の利用及び提供の制限)

 第十六条 行政機関の長及び警察本部長は、特定秘密の保護以外の目的のために、評価対象者が第十二条第三項(前条第二項において読み替えて準用する場合を含む。)の同意をしなかったこと、評価対象者についての適性評価の結果その他適性評価の実施に当たって取得する個人情報(生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。以下この項において同じ。)を自ら利用し、又は提供してはならない。ただし、適性評価の実施によって、当該個人情報に係る特定の個人が国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第三十八条各号、同法第七十五条第二項に規定する人事院規則の定める事由、同法第七十八条各号、第七十九条各号若しくは第八十二条第一項各号、検察庁法(昭和二十二年法律第六十一号)第二十条各号、外務公務員法(昭和二十七年法律第四十一号)第七条第一項に規定する者、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第三十八条第一項各号、第四十二条各号、第四十三条各号若しくは第四十六条第一項各号、同法第四十八条第一項に規定する場合若しくは同条第二項各号若しくは第三項各号若しくは地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第十六条各号、第二十八条第一項各号若しくは第二項各号若しくは第二十九条第一項各号又はこれらに準ずるものとして政令で定める事由のいずれかに該当する疑いが生じたときは、この限りでない。

 2 適合事業者及び適合事業者の指揮命令の下に労働する派遣労働者を雇用する事業主は、特定秘密の保護以外の目的のために、第十三条第二項又は第三項の規定により通知された内容を自ら利用し、又は提供してはならない。

 (権限又は事務の委任)

 第十七条 行政機関の長は、政令(内閣の所轄の下に置かれる機関及び会計検査院にあっては、当該機関の命令)で定めるところにより、この章に定める権限又は事務を当該行政機関の職員に委任することができる。

 第六章 雑則

 (特定秘密の指定等の運用基準)

 第十八条 政府は、特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関し、統一的な運用を図るための基準を定めるものとする。

 2 政府は、前項の基準を定め、又はこれを変更しようとするときは、我が国の安全保障に関する情報の保護、行政機関等の保有する情報の公開、公文書等の管理等に関し優れた識見を有する者の意見を聴かなければならない。

 (関係行政機関の協力)

 第十九条 関係行政機関の長は、特定秘密の指定、適性評価の実施その他この法律の規定により講ずることとされる措置に関し、我が国の安全保障に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるものの漏えいを防止するため、相互に協力するものとする。

 (政令への委任)

 第二十条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。

 (この法律の解釈適用)

 第二十一条 この法律の適用に当たっては、これを拡張して解釈して、国民の基本的人権を不当に侵害するようなことがあってはならず、国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由に十分に配慮しなければならない。

 2 出版又は報道の業務に従事する者の取材行為については、専ら公益を図る目的を有し、かつ、法令違反又は著しく不当な方法によるものと認められない限りは、これを正当な業務による行為とするものとする。

 第七章 罰則

 第二十二条 特定秘密の取扱いの業務に従事する者がその業務により知得した特定秘密を漏らしたときは、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役及び千万円以下の罰金に処する。特定秘密の取扱いの業務に従事しなくなった後においても、同様とする。

 2 第四条第三項後段、第九条又は第十条の規定により提供された特定秘密について、当該提供の目的である業務により当該特定秘密を知得した者がこれを漏らしたときは、五年以下の懲役に処し、又は情状により五年以下の懲役及び五百万円以下の罰金に処する。同条第一項第一号ロに規定する場合において提示された特定秘密について、当該特定秘密の提示を受けた者がこれを漏らしたときも、同様とする。

 3 前二項の罪の未遂は、罰する。

 4 過失により第一項の罪を犯した者は、二年以下の禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

 5 過失により第二項の罪を犯した者は、一年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。

 第二十三条 人を欺き、人に暴行を加え、若しくは人を脅迫する行為により、又は財物の窃取若しくは損壊、施設への侵入、有線電気通信の傍受、不正アクセス行為(不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成十一年法律第百二十八号)第二条第四項に規定する不正アクセス行為をいう。)その他の特定秘密を保有する者の管理を害する行為により、特定秘密を取得した者は、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役及び千万円以下の罰金に処する。

 2 前項の罪の未遂は、罰する。

 3 前二項の規定は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用を妨げない。

 第二十四条 第二十二条第一項又は前条第一項に規定する行為の遂行を共謀し、教唆し、又は煽動した者は、五年以下の懲役に処する。

 2 第二十二条第二項に規定する行為の遂行を共謀し、教唆し、又は煽動した者は、三年以下の懲役に処する。

 第二十五条 第二十二条第三項若しくは第二十三条第二項の罪を犯した者又は前条の罪を犯した者のうち第二十二条第一項若しくは第二項若しくは第二十三条第一項に規定する行為の遂行を共謀したものが自首したときは、その刑を減軽し、又は免除する。

 第二十六条 第二十二条の罪は、日本国外において同条の罪を犯した者にも適用する。

 2 第二十三条及び第二十四条の罪は、刑法第二条の例に従う。

 附則

 (施行期日)

 第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (経過措置)

 第二条 この法律の公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日の前日までの間においては、第五条第一項及び第五項(第八条第二項において読み替えて準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定の適用については、第五条第一項中「第十一条の規定により特定秘密の取扱いの業務を行うことができることとされる者のうちから、当該行政機関」とあるのは「当該行政機関」と、同条第五項中「第十一条の規定により特定秘密の取扱いの業務を行うことができることとされる者のうちから、同項の」とあるのは「同項の」とし、第十一条の規定は、適用しない。

 (自衛隊法の一部改正)

 第三条 自衛隊法の一部を次のように改正する。

 目次中「自衛隊の権限等(第八十七条―第九十六条の二)」を「自衛隊の権限(第八十七条―第九十六条)」に、「第百二十六条」を「第百二十五条」に改める。

 第七章の章名を次のように改める。

 第七章 自衛隊の権限

 第九十六条の二を削る。

 第百二十二条を削る。

 第百二十三条第一項中「一に」を「いずれかに」に、「禁こ」を「禁錮」に改め、同項第五号中「めいていして」を「酩酊(めいてい)して」に改め、同条第二項中「ほう助」を「幇(ほう)助」に、「せん動した」を「煽動した」に改め、同条を第百二十二条とする。

 第百二十四条を第百二十三条とし、第百二十五条を第百二十四条とし、第百二十六条を第百二十五条とする。

 別表第四を削る。

 (自衛隊法の一部改正に伴う経過措置)

 第四条 次条後段に規定する場合を除き、この法律の施行の日(以下この条及び次条において「施行日」という。)の前日において前条の規定による改正前の自衛隊法(以下この条及び次条において「旧自衛隊法」という。)第九十六条の二第一項の規定により防衛大臣が防衛秘密として指定していた事項は、施行日において第三条第一項の規定により防衛大臣が特定秘密として指定をした情報と、施行日前に防衛大臣が当該防衛秘密として指定していた事項について旧自衛隊法第九十六条の二第二項第一号の規定により付した標記又は同項第二号の規定によりした通知は、施行日において防衛大臣が当該特定秘密について第三条第二項第一号の規定によりした表示又は同項第二号の規定によりした通知とみなす。この場合において、第四条第一項中「指定をするときは、当該指定の日」とあるのは、「この法律の施行の日以後遅滞なく、同日」とする。

 第五条 施行日前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。旧自衛隊法第百二十二条第一項に規定する防衛秘密を取り扱うことを業務とする者であって施行日前に防衛秘密を取り扱うことを業務としなくなったものが、その業務により知得した当該防衛秘密に関し、施行日以後にした行為についても、同様とする。

 (内閣法の一部改正)

 第六条 内閣法(昭和二十二年法律第五号)の一部を次のように改正する。

 第十七条第二項第一号中「及び内閣広報官」を「並びに内閣広報官及び内閣情報官」に改める。

 第二十条第二項中「助け、」の下に「第十二条第二項第二号から第五号までに掲げる事務のうち特定秘密(特定秘密の保護に関する法律(平成二十五年法律第 号)第三条第一項に規定する特定秘密をいう。)の保護に関するもの(内閣広報官の所掌に属するものを除く。)及び」を加える。

 (政令への委任)

 第七条 附則第二条、第四条及び第五条に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

 別表(第三条、第五条―第九条関係)

 一 防衛に関する事項

 イ 自衛隊の運用又はこれに関する見積り若しくは計画若しくは研究

 ロ 防衛に関し収集した電波情報、画像情報その他の重要な情報

 ハ ロに掲げる情報の収集整理又はその能力

 ニ 防衛力の整備に関する見積り若しくは計画又は研究

 ホ 武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物(船舶を含む。チ及びリにおいて同じ。)の種類又は数量

 ヘ 防衛の用に供する通信網の構成又は通信の方法

 ト 防衛の用に供する暗号

 チ 武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物又はこれらの物の研究開発段階のものの仕様、性能又は使用方法

 リ 武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物又はこれらの物の研究開発段階のものの製作、検査、修理又は試験の方法

 ヌ 防衛の用に供する施設の設計、性能又は内部の用途(ヘに掲げるものを除く。)

 二 外交に関する事項

 イ 外国の政府又は国際機関との交渉又は協力の方針又は内容のうち、国民の生命及び身体の保護、領域の保全その他の安全保障に関する重要なもの

 ロ 安全保障のために我が国が実施する貨物の輸出若しくは輸入の禁止その他の措置又はその方針(第一号イ若しくはニ、第三号イ又は第四号イに掲げるものを除く。)

 ハ 安全保障に関し収集した条約その他の国際約束に基づき保護することが必要な情報その他の重要な情報(第一号ロ、第三号ロ又は第四号ロに掲げるものを除く。)

 ニ ハに掲げる情報の収集整理又はその能力

 ホ 外務省本省と在外公館との間の通信その他の外交の用に供する暗号

 三 特定有害活動の防止に関する事項

 イ 特定有害活動による被害の発生若しくは拡大の防止(以下この号において「特定有害活動の防止」という。)のための措置又はこれに関する計画若しくは研究

 ロ 特定有害活動の防止に関し収集した外国の政府又は国際機関からの情報その他の重要な情報

 ハ ロに掲げる情報の収集整理又はその能力

 ニ 特定有害活動の防止の用に供する暗号

 四 テロリズムの防止に関する事項

 イ テロリズムによる被害の発生若しくは拡大の防止(以下この号において「テロリズムの防止」という。)のための措置又はこれに関する計画若しくは研究

 ロ テロリズムの防止に関し収集した外国の政府又は国際機関からの情報その他の重要な情報

 ハ ロに掲げる情報の収集整理又はその能力

 ニ テロリズムの防止の用に供する暗号

 理由

 国際情勢の複雑化に伴い我が国及び国民の安全の確保に係る情報の重要性が増大するとともに、高度情報通信ネットワーク社会の発展に伴いその漏えいの危険性が懸念される中で、我が国の安全保障に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるものについて、これを適確に保護する体制を確立した上で収集し、整理し、及び活用することが重要であることに鑑み、当該情報の保護に関し、特定秘密の指定及び取扱者の制限その他の必要な事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。


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