メールマガジン・ゲンさんの新聞業界裏話・バックナンバー

第3回 ゲンさんの新聞業界裏話     

発行日 2008.6.27


■『特定商取引に関する法律』の改正案成立について


「予想どおり、今国会で成立しましたね」

「まあ、当然の結果やな。与党も野党も、このややこしい時期にこの手の法案に反対することはできんわな」

ワシとハカセが言うてるのは、第169回通常国会で、3月7日に閣議決定を受け提出されていた特定商取引法と割賦販売法の改正法案が、6月11日参議院本会議において原案通り全会一致で可決、成立したことについてや。(巻末
注1.参考ページ参照)

このことについては、以前、2008年1月18日発行の旧メルマガ『第180回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■『特定商取引に関する法律』の改正への動きについて』(巻末注2.参考ページ参照)の中で言及したことがある。

その中で、


この改正案は近い将来、ほぼこのまま法制化され、施行されることになるはずや。

一般消費者を悪質な勧誘から守るという大義名分がある限り、これが法案となって国会に提出されたら、与野党とも反対することなく可決されるのは間違いないやろうと思う。

今までの類似の法律がすべてそうやったようにな。


と、言うてたことが現実になったわけや。

ここで『特定商取引に関する法律』て何やねん、という人のために簡単に説明しとく。

これは、旧訪問販売法のことで、2004年6月1日から施行されとる、法律名称や。

訪問販売に関係した規制をする法律やな。

ワシら拡張員も、その訪問販売により新聞を売り込むわけやから、当然、その法律は遵守せなあかん立場ということになる。

この法律の第9条に新聞業界の人間なら誰でも知っている『訪問販売における契約の申し込みの撤回等』、つまり、俗にクーリング・オフと呼ばれる規定がある。

契約日を含む8日間以内に文書による通知を出せば、その理由を告げる必要もなく消費者側から一方的に契約を解除できる法律のことや。

ただ、その法律の条文のどこにも「クーリング・オフ」という言葉は使われてはおらんがな。

これは、英語のCooling−off(頭を冷やす)からきとる俗語や。頭を冷やして考え直すことのできる法律という意味になる。

それが一般に広く認知され、法律家も使うことが多いから、法律用語と思われとる人もおるようやけどな。

訪問販売従事者にとって、このクーリング・オフを含む『特定商取引に関する法律』というのは、今のままでも結構きつい足かせとなっている法律や。

それが、さらに強化されたことになる。

ここでは、そのすべてを解説するのはとても無理やから、ワシら新聞業界に関係の深いと思われる箇所だけを重点的に話していきたいと思う。

まず、「勧誘の意志の確認」というのがある。

第3条ノ2第1項で、

販売事業者又は役務提供事業者は、訪問販売をしようとするときは、その相手側に対し、勧誘を受ける意志があることを確認するよう努めなければならない。

と、規定された。

つまり、「これから、新聞の勧誘をさせて頂きますけど、よろしいでしょうか」と確認してからでないと勧誘したらあかんということになるわけや。

但し、これは努力規定ということになっていて、これに違反したとしても、特に罰則規定が設けられてはいない。

ワシらが、旧メルマガ『第180回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■『特定商取引に関する法律』の改正への動きについて』で、この問題について取り上げたとき、あまり業界関係者からは深刻な意見や問い合わせが少なかった。

業界全体的に、この法律の改正に対して楽観している印象が強かった。

そのええ例として、ある新聞販売店の経営者が「特商法の改正案だが、新聞に関しては努力義務ということになり、罰則は受けないことにほぼなりそうだ」などという楽観論をそこの従業員に話していたという報告があった。

もちろん、その新聞販売店の経営者にしても、独断での考えやなく、その地域の新聞販売店の協力会などの総意として言うてることやとは思う。

そして、おそらくは新聞社からその情報を仕入れたのやろうが、「努力義務」というところだけをクローズアップしとるわけや。

努力義務に罰則なしとなれば、一見すると骨抜き法律なように思える。

それもあり、その考えは広範囲に拡がっとるようや。

確かに、結果としては、その販売店の経営者の言うとおり努力規定ということになり、罰則もないという見方は当たっていた。

しかし、そうやからと言うて安心してたらあかんと思う。

つい最近のことやが、ある新聞社の苦情受付センターでの対応が従来とは一変したのやないかと思われるケースがあった。

そう感じたのは、サイトのQ&Aで回答した際のある読者からの返礼メールやった。

その一部を紹介する。


先日は、ご丁寧なアドバイスをしていただき有難うございました。

その後、Y新聞社の読者センターに試しに相談してみたところ、「こちらで調査し折り返し掛け直します」とのこと・・・。

その数分後に販売店から電話があり、「初めて聞いた話で正直驚いている。こちらも拡張員に騙された被害者だ」と話す一方、新聞本社の読者センターを介したのが良かったのか、証拠をだせと言われることもなく無事に解約することができました。

読者センターにも「うちは関係ない」と言われるのを覚悟して電話してみたのですが、とても親身に話を聞いて下さって、「もっと早く電話してみるんだった」と後悔するくらいです。

また、「いつか新聞をとることがあったらY新聞も悪くないかな」と思わせる程の対応でした。


というものや。

これは、「いつでも解約できると勧誘員に口頭で言われた契約を解除することができますか」という類の良くある相談やった。

これに対してのワシの考えとして、


あんたとその販売員との間で交わされた会話は、当事者同士しか分からんということで、最悪、追い詰められると「そんなことは知らんで」と白を切られる可能性が高い。

そうなれば言うた言わんの水掛け論になる。そうなった場合、それを証明することのできんあんたの方が立場的には不利や。

ワシらのような専門家が聞けば、あんたの言うてるとおりやろうというのは分かるが、第三者には判定のしようがないさかいな。

この場合の第三者とは、新聞社の苦情係りや消費者センターあたりということになる。訴訟に発展した場合は、裁判所がそれになる。

それらに共通しとるのは法的にどうかという見方や。せやから、不確かなことが認められることはまずないと考えてた方がええ。

その契約を反故(ほご)にされたくない販売店にすれば、そんなことは認めたくないというのが本音やから、おいそれとは、その説明をしたくらいでは納得はせんと思う。

事実、『残りの契約を解約することはできない』と言うてることでもあるしな。


と伝えていた。

実際、今までやったら、この手の苦情を新聞社に言うても「それは、販売店とお話ください」と逃げられるか、良くて「販売店に伝えておきます」程度の返答で茶を濁されることがほとんどやった。

今回のように『その数分後に販売店から電話があり』という素早い対応で、しかも、一度は『残りの契約を解約することはできない』とまで言うてた販売店が、何の文句を言うでもなく解約に応じたというケースは今までなかったと思う。

そこには、それなりの圧力があったと考えるしかない。

ハカセも過去に、同類の質問を新聞各社の苦情センターにぶつけたことはあるが、たいていは埒があかんことの方が多かったという。

それからすると『とても親身に話を聞いて下さって、「もっと早く電話してみるんだった」と後悔するくらいです』と、相談者に言わしめるほどやったというのは、正直、驚くべき変わりようやという外はない。

もっとも、苦情係りの担当者というのもいろいろおるから、たまたまその人間が親切やったのかも知れんが、この時期ということで、その姿勢が一変した、あるいは、そういう方針、マニュアルに切り替えたと考えた方が自然やという気がする。

ワシも、以前から新聞社の苦情係りの対応には苦言を数多く呈してきた。

もっと親身になって対応すれば、この相談者のように新聞社に好感を抱き、結果的に読者が戻るのにという思いが強かったからな。

つまり、法律上は努力義務と比較的軽そうなイメージやが、実際の新聞社の対応は相当厳しいものやと業界関係者は心得とった方がええということや。

この姿勢は強化されることはあっても緩むことはないと思われる。

この業界は自社の従業員に対して、その法律や規制があっても、極力、事を大きくしたくないという考えが働くことが多いようや。

新聞販売店の経営者とすれば、『努力義務ということになり、罰則は受けないことにほぼなりそうだ』と言うとくことで従業員を大したことがないと安心させられると踏んどるのやと思う。

その背景には、いらん心配をせんで、どんどん契約を取って来いという思いがあるからやろうがな。

しかし、その考えは結果として、逆効果になり、その従業員のためにも販売店のためにもならんと考える。

そういう風に聞かされれば、今までのやり方を改めるようなことはせんやろうから、その手の苦情が減ることもなく、結局は自分の手で自分の首を絞めることにつながりかねん。

そんなことを考えるより、真実を真実として伝え、ごまかしたり過小評価したりせず、その対処法を模索することの方が、よほど建設的でええと思う。

楽観論から何も生まれることはないさかいな。

この「勧誘の意志の確認」の中には、当然やが身分を明らかにしてということも含まれるから、それに外れたことをする者にとっては、さらに辛くなるやろうと考えられる。

「宅配便です」「古紙回収の者です」「同じマンション(アパート)の住人です」などと言うて勧誘をするのは、当然、この法律に抵触することになる。

あるいは、他紙などの名前を騙って勧誘する「ヒッカケ」と呼ばれる手口も同じや。

今までは、こういうことをする者がいても、それ自体を直接規制する法律がなかったため、取り締まる、ペナルティを与えるということまではなかった。

感心せんやり方やなで済んでいた部分もかなりあった。

しかし、この法律の改正が施行されるようになると、それが通用せんようになるのは明らかや。

努力義務とは言え、そう言うて勧誘するのは明らかな違反行為やから、それがあるだけで不法行為と認定されて、その契約の解除理由になることは十分考えられる。

そして、その事実を新聞社の苦情センターに言えば、立場上、ほぼ確実にそれを認める判断を下し、その販売店にそれなりの指示をするものと考える。

つまり、そんな真似をする拡張員を入店させれば、どんな契約も解除されてしまいかねんということを意味するわけや。

現在、新聞に関する消費者センターあたりへの苦情の第1位がそれやと言うから、そのことも、この法律の改正の蔭にはいくらか影響しとるのやないかと思う。

正体を偽って勧誘しているという苦情は、この新聞業界がダントツやと言うしな。

これも、普段、ワシが良う言うてることやが、客に嫌がられる真似をすればするほど、それが法律の規制となって跳ね返ってくるというええ証やと思う。

次に、「再勧誘の制限」の導入というのがある。

第3条ノ2第2項に、

販売事業者又は役務提供事業者は、訪問販売に係る売買契約又は役務提供契約を締結しない旨の意志を表示した者に対し、当該売買契約又は当該役務提供契約の締結について勧誘をしてはならない。

とあるのがそれや。

分かりやすく言えば、「一度契約を締結しない旨の意志を表示した消費者に対して、その断られた当該の契約について勧誘を行ってはならない」ということや。

現行の『特定商取引に関する法律』の第17条で、すでに電話勧誘販売について導入されているものを、他のすべての訪問販売業者にも摘要したということになる。

これは基本的には口頭でも可ということや。

訪問販売の特殊性として、1対1での対面というのが多く、文書で交わしたやり取り以外ということになると、言うた言わんという水掛け論になるケースがままあり、その違反の実証が難しかったが、この改正ではそれが緩やかになる。

相当、曖昧な言い方であっても、契約の締結拒絶意志だと認定されることになるという。

つまり、その拒絶の意志を伝えた、伝えてないという水掛け論になれば、消費者側の言が採用される可能性が高くなったということや。

これについては、努力規定やなく、罰則も設けられとる。

これに違反すると、業者は業務停止命令などの行政処分が下されることになる。

新聞業界の場合は、新聞販売店のみがその対象とされる。

ワシら拡張員は、表向きその新聞販売店の要請で勧誘営業をするし、勧誘時には、その販売店の社員証を所持しとるから、立場上は、そこの社員ということになる。

したがって、本来、拡張員が所属する拡張団には、この法律上の責任はおよびにくいと考えられる。

もっとも、そうやからと言うて、その拡張団がええ加減に考えてたら、どうしようもなくなるがな。

新聞販売店の多くは拡張員を信用してない傾向にある。

拡張員の取ってきた契約は、ほぼそのすべてで監査することでも、それは分かる。

ちなみに、自店の従業員の取ってきた契約なら甘い確認で済ますケースが多い。

今までは、客からの苦情はケース・バイ・ケースという面もあったが、これからは今まで以上に客からの苦情を重視せなあかんことになる。

先に言うた、新聞社の苦情係りの対応の変化が、そのええ例や。

当然、その可能性のある拡張員には入店してほしくないとなる。

拡張団の販売店への入店日程は、新聞社の担当と呼ばれる販売部の人間が決め、各販売店は、今までそれを拒否しづらい状況にあった。

それが、この法律の改正で新聞販売店の責任と罰則がより強くなったことで、その違反行為をする拡張員、拡張団の入店を拒否しやすくなると考えられる。

そうせな、新聞販売店が責任を問われるのやからな。新聞社も、それがあれば認めざるを得んわな。

まじめで節度ある勧誘に終始しとる拡張員、拡張団にはあまり関係のない話やが、それを今まで改めてない所にとっては、相当きつくなるということや。

もっとも、そうなって当然なのやがな。

ただ、難しいケースもある。

それは拡張員が一人とは限らんということや。

消費者は、ある新聞販売店の拡張員の一人に対して、「契約の拒絶」をしたから、次からはその通告が有効と考えやすくなるが、その同じ販売店の違う拡張員は、そのことを知らんというケースが多い。

新聞の勧誘というのは、断られるということの方が圧倒的に多い仕事なわけや。

普通は、断られると「そうですか」と言うて、次の客を求めて他へ行く。それを勧誘の拒絶とまでは考えん。良くあることや受け取る。

また、それらをすべて覚えていて逐一販売店に報告するということもまずせん。その場で忘れることがほとんどや。

当然、所属の拡張団や仲間にすら、そんな話をすることはないと言える。

拡張員が話すのは、上がった契約の自慢話くらいなものやさかいな。

その消費者にとって、その意志を伝えた拡張員は限られた存在でも、拡張員にとってそういう断りを入れる消費者は、大勢いとる中の一人なわけや。

おそらく、その消費者の名前はおろか顔も覚えとらんと思う。言われた言葉も、その場の勧誘を断られたという程度やから、心に残ることもない。

加えて、その販売店に入店する拡張員は、同一拡張団に所属する者ばかりとは限らんということがある。

通常、一つの販売店には複数の拡張団が入店するのが普通やさかいな。

その競争相手である他拡張団同士の連携などあるはずもない。

したがって、その消費者が、「契約の拒絶」の意志で言うたつもりであっても、その販売店に伝わらんことの方が圧倒的に多いやろうと思う。

すると、当然のように、その断った拡張員以外の他の拡張員が勧誘に何度も訪れるということは十分あり得る。

この法律の改正で言うと、それは違反行為になると考えられるが、果たして、どこまでそれで販売店の責任を問え、行政処分を下せるのかとなると難しいのやないかなと考える。

当たり前やが、その責任を問うのなら、それなりの証拠、根拠が必要やさかいな。

消費者が確実にその販売店に「契約の拒絶」を伝えるためには、クーリング・オフと同じく内容証明郵便などの文書での通達をするか、もしくは販売店に直接電話なりして、その意志を明確に伝え、同じく文書などでの確認を取るくら
いしかなさそうに思える。

実際、その改正案の審議段階では、それを義務づける意見も出されていたしな。

それがあれば、販売店としては勧誘員にその客の所へ行かせんような処置を嵩じるしかなくなるわけや。

具体的には拡禁(拡張禁止)リストへ掲載するというのが、それになる。

新聞販売店の多くは、拡張員に対して勧誘してほしくないリスト、俗に言う拡禁リストというのを毎回、その入店時に渡す。

拡張員は、そのリストに載っている客から契約を上げても一銭にもならんから勧誘に行くことはない。

一般の消費者は、新聞販売店は誰にでも新聞の勧誘をしとるように思うとるようやが、意外に契約をしてほしくないという客も多い。

金払いの悪い人間、ヤクザや右翼団体、特定の地域、特定の職業、特定のアパート・マンションなどがそうや。

金払いの悪い人間やヤクザ、右翼団体などを嫌がるというのは、特に説明するまでもないわな。

特定の地域というのは、同和地区と呼ばれとる所なんかがそうや。

まさか、その拡禁リストにあからさまに同和地区とは書いてないが、その地域を良う知っている者なら住所でそれと見当がつく。

これなんかは、個人的には止めといた方がええと思う。発覚すれば、差別問題にまで発展しかねんほど大変なことやさかいな。

まあ、そういう地域で問題が多いということやからとは思うが、その場合は、その問題を起こす個人に限定しとくことや。悪いことは言わん。

特定の職業というのは、期間工と呼ばれる短期労働者などがそうや。もちろん、他紙の拡張員なんかもそれに該当する。

特定のアパート・マンションというのは、短期滞在型の所はまずそうやし、例え普通の所であっても、問題の多いアパート・マンションは、それ自体を拡禁扱いにしとるケースもある。

外国人居住者の多いアパート・マンションもそうしとる所がある。

もっとも、すべての販売店がそれらを拡禁扱いにするとは限らんがな。

それぞれの事情でも大きく違うてくる。単に、そういうケースが多いというこ
とや。

要は、その新聞販売店にとって必要ないという客は、すべて拡禁扱いになると考えてたらええ。

この拡禁扱いの中には、顧客からの希望というのもある。

その法律に規定されるまでもなく、それなりの理由さえあれば、「いつでも拡禁にしまっせ」てなもんで、昔から多くの販売店で実行されとることでもある。

多くはトラブルが原因でそうなる。

一般購読客もやが、新聞販売店の多くも揉め事を歓迎する所はないし、トラブルになると分かっとる客は敬遠したくなるもんやさかいな。

その利害が一致するということや。

また、特に拡禁というわけでもないのやが、近所への勧誘を嫌がる販売店もある。

過去に、その近所と揉めてたとなれば尚更や。

こんな例がある。

その新聞店の飼うてる犬を散歩させとったら、その近所の家の塀に小便をしたということがあったらしい。

犬なら良うあることや。それがもとで、その家の住人と販売店の経営者が喧嘩になったという。

バカげた話や。笑い話にもならん。もっとも、人に話すネタくらいにはなるかも知れんがな。

しかし、例え、どんな理由があるにせよ、拡張員はその販売店の指示は守らなあかん。

指示を無視した契約は上げても金にならんどころか、ヘタしたら、その販売店から入店禁止などのペナルティを喰らいかねんからな。

当初、この改正案の審議段階では、日本新聞協会としても反対の主張をしてきたが、決まったとなると一転して、その体制作りを強化する動きになっとる。

日本新聞協会としては、立場上、法令を遵守するという姿勢を貫くしかないさかいな。

その表れとして、日本新聞協会は6月18日、新聞セールスインフォメーションセンターの全国展開などを柱とする「訪問販売にかかわるさらなる自浄努力の具体策」というのを発表した。(注3.巻末参考ページ参照)

その一部を抜粋する。


訪問販売にかかわるさらなる自浄努力の具体策


○新聞セールスインフォメーションセンター(旧・新聞セールス近代化センター)の全国展開

「新聞セールス近代化センター」(平成5年設立)は東京に事務所を置き、在京6社東京本社管内のセールススタッフの登録と教育指導、新聞セールス証の発行などによりセールススタッフの質的向上を目指すとともに、読者からの苦情の受付と処理を業務としている。違法行為が顕著なセールススタッフは登録を抹消され、どの系統も雇用できない。

 こうしたセンターの機能を全国に拡充すべく販売委員会(※1)で検討の結果、京阪神・近畿地区と九州地区で同センターが設立されることとなった。あわせて「新聞セールス近代化センター」を「新聞セールスインフォメーションセンター」と改称することとした。これにより、全国紙のセールススタッフについては、北海道から九州(沖縄を除く)までの全国で登録が行われることになる。

 地方紙などは、これまでの支部協への登録を継続し、センターへの参加については、賛同した系統から始める。


○読者からの苦情・相談に関する新聞社ごとの窓口組織の充実

 新聞各社の苦情・相談窓口をいっそう充実させるため、以下のとおり、必要とされる条件のモデルを定め、今後、各社はこれらを参考に、窓口組織の充実に努めることとする。

・ 平日は読者からの苦情・相談を24時間受け付ける体制を整備する。土曜日についても、必ず電話に出る体制を完備する。

・ 専用の電話、ファクス、メールアドレスを設ける。

・ 窓口組織の名称はわかりやすいものにする。

・ 紙面の目立つところに窓口組織について記載するなど、読者への周知に努める。

・ 読者からの問い合わせは、当該販売所に連絡し、対応結果を必ず本社に連絡
する。


○全国の消費生活センターとの連携強化

・ 新聞協会が加盟各社の苦情・相談窓口一覧を作成し、全国各地の消費生活センターに改めて周知する。

・ 消費生活センターと支部協、訪問販売委員会(※3)との懇談は、今後も定期的に開催するよう、販売・中央協委員長から指示する。

・ 各支部協と二枚看板である訪問販売委員会を積極的に活用し、最低でも毎月1回は、訪問販売委員会を開催するよう義務付ける。その際、特定商取引法の順守、支部協事務局に寄せられた苦情・相談およびその処理結果について報告
する。


これは、日本新聞協会として公示しとることやから、まず、そのとおりに実行するのは間違いない。

これを見れば、拡張員もやが、新聞販売店も、罰則規定のない努力目標やなどという甘い気持ちや軽い考えでは取り返しのつかんことになると、ワシが言うてる意味も分かるやろうと思う。

特に、「今まではこうやったからこれでええんや」ちゅうなことを考えとるようやと救いはない。

時代は、今、急速な変化を迎えつつある。時代に取り残され、ついていけん人間は、いつのときもそうやが、悲惨なもんやで。

この法律の施行は、官報で公表された6月18日から1年6ヶ月以内に完全施行することが義務づけられている。

遅くとも来年中ということになる。実際はもっと早いやろうがな。

これをまだ時間があると見るか、それしか時間がないと受け取るかは、それぞれの判断やが、いずれにしても、そのときまで座して待っているだけやと、その後が辛い結果になるだけやと思う。

すでに、日本新聞協会では、その取り組みに着手しとるわけやしな。

その対策は早めに。これは、何にでも有効な考え方や。

ワシも、この法律の改正を受けて、営業のやり方について変えなあかんことや気がつくことがあれば、このメルマガ誌上で随時、提案していきたいと考えとる。

ただ、基本的には、サイトの『ゲンさんの勧誘・拡張営業講座』(注4.巻末参考ページ参照)にあるやり方でええとは思うがな。

もともと、ワシ個人としては「勧誘の意志の確認」というのは普通にやってたし、「再勧誘の制限」にしても、こらあかんなと考えた客の所へは行く気もせんから、わざわざそう言われるまでもなく実行してたことや。

ただ、この法律の改正により、勧誘を断られる頻度が今より多くなるのは避けられそうにないから、やはり、営業する上では何らかの対策は必要やという思いはある。

また、業界関係者を含む読者の方の中で、何かええ意見、方法などがあれば教えて頂きたいとも思う。


参考ページ

注1.特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律について
http://www.no-trouble.jp:80/houkaisei/tokusyo.htm

注2.旧メルマガ『第180回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■『特定商取引に関する法律』の改正への動きについて』
http://www3.ocn.ne.jp/~siratuka/newpage13-180.html

注3.社団法人日本新聞協会  2008年6月19日
http://www.pressnet.or.jp/

注4.『ゲンさんの勧誘・拡張営業講座』
http://www3.ocn.ne.jp/~siratuka/newpage9.html


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