メールマガジン・ゲンさんの新聞業界裏話・バックナンバー

第318回 ゲンさんの新聞業界裏話


発行日 2014. 7. 11


■HP『新聞拡張員ゲンさんの嘆き』、10年の足跡 Part2


さっそくやが、前回の続きから始めさせて頂く。


2008年。

2月20日。Q&Aに『NO.530 なぜ、女性専用の新聞が発行されないのですか?』(注1.巻末参考ページ参照)という一風変わった質問があった。

女性向けの新聞というのは面白い発想やとは思うが、具体的にどんな内容、情報がええのやろうか。

子供新聞はすでにあり、将来を見据えた戦略の一環として考え出されたものやから方向性は、はっきりしている。

子供新聞の場合、毎日のニュース記事を子供向けにやさしく解説するというコンセプトになるのは分かるが、女性向けの新聞では女性に特化したニュース解説ということなのやろうか。

そのあたりのところが、ワシにはもう一つ理解できん。

新聞というのは、事実を事実のままに伝えるというのが最大の使命やと考える。そこには、いかなる見方や思想も入る余地のない客観性がなかったらあかんものや。

もっとも、そうは言うても、記事を書いてそれを載せるのは人間やから、イデオロギー(思考傾向)抜きで客観的に書けというのは難しいのかも知れん。

新聞各紙、同じ事件、出来事であっても、その記事の扱いが微妙に違うというのは普通にある。

また、イデオロギー(思考傾向)の強い偏向報道と受け取られても仕方ない記述や表現があるのも確かや。

ただ、そうであっても、女性受けする記事を書く必要性というのには疑問を感じる。もちろん、それが男性向けであっても同じや。

ワシら勧誘員にとっても圧倒的に女性客が多いから、女性専用と銘打った新聞があれば売り込みやすいとは思う。

しかし、それで新聞としての役目が果たされるのかと考えたとき、どうしても疑問符がつく。発想としては面白いが。

もっとも、そんな懸念がワシらにあるように新聞社にも同じ思いがあるから、今まで女性向けの新聞ができんかったのやろうがな。

3月31日。『NO.546 新聞のメガ文字導入はどのように感じますか?』(注2.巻末参考ページ参照)というのもある。

これは4月1日から新聞の文字が拡大された。具体的には、それまで14段編成で書かれていた文字が12段になることによって、その分、文字が大きくなるというものや。

2000年12月にも似たようなことがあった。

その折り、それまでより22・4%文字を拡大し、50年続いた15段組みを14段組みとしたことで、見やすさ、読みやすさが格段にアップしたとの触れ込みがあった。

そのことで客が喜び拡張しやすくなったかというと、それほどでもなかった。

確かに、その当初こそ、その話題性をネタにはできたけど、効果のほどはもう一つやったと記憶しとる。

その裏付けとして、それ以降、現実には新聞の購読部数は伸びていないし、じり貧状態のまま減少傾向に向かい、今日に至っているからや。

過去にも、1983年にそれまでの文字の26・5%、1989年には、さらにその18・5%拡大したということがあった。

そのいずれの時も話題性があったのは、その当初だけや。結果は、横ばい状態が続いた程度で、そうしたことにより目立って部数が増えたという事実はない。

何のことはない、その頃から、部数減の特効薬には文字を拡大するしかないと考えていただけのことや。単にそのやり方を踏襲したにすぎん。

安易と言えば、これほど安易なやり方はない。加えて、「メガ文字」と呼称することで、その頃の流行に乗ろうとしているのが見てとれる。

まあ、昔から他業種に比べて新聞各社には独自のセンスというものが感じられんかったが、これはまさしくそれを象徴しているようなネーミングやと思う。

4月18日。Q&Aに『NO.558 飛び込み勧誘全面禁止の新聞報道について』(注3.巻末参考ページ参照)という質問が寄せられたのを機に、サイトでこれに関したアンケートを募った。


アンケート依頼内容

1.秋田県の飛び込み勧誘全面禁止条例案について(賛成・どちらでもない・反対)

2.関連業界の特に問題の大きい商品・サービスに規制対象を絞るべき(賛成・どちらでもない・反対)

3.これについての意見


というものや。

その結果は『ゲンさんのお役立ち情報 その9 飛び込み勧誘全面禁止アンケート結果情報』(注4.巻末参考ページ参照)にある。

『秋田県の飛び込み勧誘全面禁止条例案について』賛成が31.1%。反対が52.7%。どちらでもないが16.2%やった。

ちなみに、賛成、反対とも一般読者の方が圧倒的に多く、業界関係者から寄せられた意見は少なかった。

万が一、こんなものが決まったら新聞業界は大変なことになると考えていたが、
結局、この条例案は廃案になり事なきを得た。

その後、類似の法案すら、どこからも提出されていない。

日本のように経済中心の社会では、営業の制限につながる『飛び込み勧誘全面禁止』というのは無理がありすぎたということやろうな。

4月28日。サイトで『ゲンさんのちょっと聞いてんか』(注5.巻末参考ページ参照)というのを始めた。

これは、


このコーナーでは、拡張の話ばかりではなく、読者から寄せられた様々な体験談や新聞とは関係のない話題、および他ではちょっと知られていないような話など、読者のためになると思われる投稿を取り上げるつもりでいます。

ここでも他と同じく特定の企業名、個人名の記載は基本的には避けさせて頂きます。但し、公共団体、公人でその必要ありと当サイトが認めた場合はその限りではありません。

もちろん、特定の他者を攻撃したり誹謗中傷したりする内容のものは基本的に掲載はしません。

ただ、それが明らかな事実と判明した場合で、その事を多くの人に知って頂くことにより有意義だと認められるものについては、ケースにより掲載させて頂くことはあります。


という趣旨のものや。

これはいつでも受け付けているので、読者の方で、訴えたい事、あるいは知って欲しいという事などがあったら、是非このコーナーまで投稿して頂きたいと思う。

『NO.583 青少年ネット規制法案について』(注6.巻末参考ページ参照)というのもあった。

これも根は『飛び込み勧誘全面禁止』と似たようなものやと思う。

その質問の回答で、


今回の『有害サイト規制』でもそうやが、『飛び込みセールスを禁じた秋田県の条例案』にしても、日本の行政は何でこれほどまでに規制、法律作りにやっきになるのやろうかなというのが印象としてある。

国のまさに亡びんとするや、必ず制多し。

という教えが、今から2800年ほど前の中国で書かれた『春秋左氏伝』にある。

国が亡び去ろうとする時は、必ず法律による締めつけばかりが多くなるという戒めの言葉とされているものや。

今の日本の現状が、まさに、そうやと思えてならん。

法律というのは、本来、民衆にそれとすぐ分かるものやないとあかん。

それを、日本の法律は、わざとそうしとるのかと思えるほど難解な言語を駆使して分かりにくく書かれている。そう思えてならん。

まるで、理解して貰っては困るとでも言いたげに。しかも、その受け取り方で、どうとでも取れるようなものも数多い。

法律の専門家ですら、異なった解釈をすることがいくらでもあり、裁判ですら、同じ事件やのに、裁く裁判官次第ではまったく違った判決が下されるというケースも、それほど珍しいことやないさかいな。

それについて、おかしいやないかという声がなぜか聞こえてこん。どこかで誰かが、それを憂いて言うてるのかも知れんが、現実として、それがまかり通っている。

法律が悪いとは言わん。なければ、悪人のやりたい放題の世界になるさかいな。

ただ、法律を作ればそれで良しという考えには賛同できん。

現在の日本、特に行政や政治に携わる人間は、とにかく法律を作りたがるように見える。

ワシには、それで民衆を守ろうとしとるのやなしに、法律を作ること自体が目的になってしもうとるように思えてならん。

法律を作れば、それで終わり。そんな風潮すら感じる。

これは、ある意味、危機的状況やと言えるのやないやろうか。


と答えたが、それがワシらの考えや。

6月18日。『NO.588 残念ながら、サイトにあきれています』(注7.巻末参考ページ参照)といった感じのサイトを否定するか投稿もあった。

以前から批判的な意見がサイトに寄せられ、その都度掲載してきたが、これは極めつけやった。

ここで、それに対して意見を言えば、その投稿者を否定しているように受け取られる恐れがあるので、それは控えさせて頂く。

興味がおありの方は、そのページをじっくり見て頂きたい。その上で、それぞれが、どう思うか、考えるかの判断をして貰えれば、それでええと思う。

ただ、一つ言えることは、世の中にはいろいろな見方がり、さまざまな意見があるが、それを尊重する人もいれば、それを否定する人もいるということや。

他人の意見や考えを静観する人もいれば、批判せずにはいられない人もいる。どちらがどうとは言わんが、考えさせられることではある。

6月28日。『NO.591 四国の新聞配達員、殺害事件のその後について教えて下さい』(注8.巻末参考ページ参照)というのがあった。

これは、前回のメルマガの中で話した2006年11月3日に発生した事件『NO.332 新聞配達員、殺される』のその後の結果について質問されたものや。

この手の事件は起きた時は大々的に報じられるが、少年犯罪のためか、その後の報道が少なく分かりにくい。そのための質問やと思われる。

『NO.591 四国の新聞配達員、殺害事件のその後について教えて下さい』(注8.巻末参考ページ参照)では、2008年3月25日、高松地裁で無期懲役の判決があり、少年側が控訴したというところまで伝えた。

最終的な結末は、2009年2月25日。最高裁第2小法廷において被告の上告を棄却する決定が下され無期懲役が確定している。

9月7日。『NO.623 本日の「新聞詐欺事件」報道について』(注9.巻末参考ページ参照)というのもあった。


はじめまして。Yahoo!ニュースのトップニュースで紹介されていたリンク先 から貴HPを拝見させて頂きましたが、他のQ&Aなどをいくつか拝見して新聞の勧誘員さんにしては、あまりの見識の高さに驚きました。(失礼!)

そこで、本日の「新聞詐欺事件」報道について貴兄の忌憚のない感想をお聞かせ願えないでしょうか。


と。それに対して、


見識が高いと褒めて頂くのは有り難いが、それはちょっと違うのやないかと思う。単にこの道の専門家として答えとるだけの話やさかいな。

それにしても、Yahoo! Japanのトップニュースで紹介されるというのは大きなことやと今更ながらに知らされた思いがする。


と言うたが、そのとおりやと思う。今更ではあるが、再度、その思いを強くした。

ちなみに、その質問に対しては、


この事件の被害者がどの程度おられるのか良う分からんが、この報道記事にあるようなことで本当に騙される人がおられるのかなというのも、正直な気持ちとしてあった。

ワシら業界関係者からしたら、ちょっと信じられんような話やさかいな。

購読して貰えれば購読料を安くしてサービス品も付けると言うケースは結構ある。

しかし、その場で購読券と引き換えに現金を寄越せというのは絶対にない。考えられんことや。

新聞の集金は1ヶ月の毎の後払いが新聞販売店の原則やさかいな。

中略。

しかし、現実に被害者がおられるからこそ詐欺罪で逮捕ということになったはずやさかい、事実は事実として受け入れんわけにはいかん。

この記事にはなかった話で、その真偽もまだはっきりとはせんが、その購読券の金だけ受け取り「車から購読券を持ってくる」と言って、そのままトンズラしたということがあったと聞く。

この容疑者は「新聞勧誘の仕事はしたが詐欺ではない」と容疑を否認しているというが、それが事実やとしたら言い逃れのできん立派な詐欺罪ということになる。

この業界で騙しや詐欺のような事はないのんかと聞かれたら、それはあるとしか答えられん。

しかし、それでも今回のような客から金銭を巻き上げるようなことは今までなかったと思う。少なくとも、ワシの記憶にはない。

新聞業界において詐欺被害に遭うというのは、たいていは新聞販売店というのが多い。

犯人は、その販売店の従業員、出入りの拡張員、そして悪質な購読者などというところになる。


と答えた。

それにしても業界としては前代未聞の事件やったと思う。世間一般では、ありがちなことかも知れんがな。


2009年。

2月7日。『NO.687 「クライマーズ・ハイ」において描かれた報道と特ダネの問題について』、『NO.688 マーケティング的な発想について』、『NO.689 インターネットのニュース・サイトの問題』、『NO.690 報道の煽情性について』(注10.巻末参考ページ参照)といった質問が同時に同じ人から寄せられた。

過去、当サイトに批判的な投稿は数多くあったが、この質問のように率直で建設的なものは長くQ&Aをやっているが、あまり記憶にはない。

質問がサイトの姿勢に関するものということで、回答はハカセがしたが、そのハカセが意義深い内容のものになったと言うてた。

一つ一つの質問と回答が長いので、そのすべてをここに示すわけにはいかんさかい、是非一読されることを勧める。それなりに得るものが多いと思うので。

3月12日。『ゲンさんのちょっと聞いてんか NO5. 裁判員制度に反対』(注11.巻末参考ページ参照)というのがあった。

これは、この年の5月21日から施行された裁判員制度に対しての投稿やった。

最近、裁判員制度の議論は下火になったとはいえ、今以て何かと問題のある制度で賛否両論の多いテーマやと思う。

8月18日。『NO.764 競馬新聞の流通ルートについて』(注12.巻末参考ページ参照)という質問があった。

同じ「新聞」ということで質問されたわけやが、ワシらの言う「新聞」とは日刊で宅配されいる、俗に「一般紙」と呼ばれ、「日本新聞販売協会」に属する新聞社が発行しているものや。

それに対して「競馬新聞」は、「日本競馬新聞協会」という別組織が運営していて、基本的には土日の週2回発行しとるものや。ジャンル的には業界紙、専門紙の類になる。

そのため形態やシステムが大幅に違うが、同じ「新聞」という括りで、この質問者のように誤解されていた人も多かったのやないかと思う。

こういった質問で一般の人にも、その違いをアピールすることができたと思うので、その意味では、意義のある質問やったと言える。

11月6日。『NO.801 こういう場合、保険などは適用にならないですよね?』(注12.巻末参考ページ参照)というのも別の意味で歓迎する質問やった。

この相談者は、「配達中に事故を起こしてしまい歩行者にも軽傷でしたが怪我を負わせてしましました。こういう場合は保険などは適用にならないですよね?」と言われていた。

この手の質問をされる方は、新聞販売店から「事故は自分の責任で処理しろ」と言われて保険を使うことを拒否されて困っているというケースが多いが、その心配はせんでもええ。

歩行者へのケガの治療費ということなら、最低でもバイクの自賠責保険から支払われる。

これは使える使えんという類のものやなく、強制的にケガをした被害者のために支払われるものやから、その点での心配はない。

念のため、自賠責保険について説明しとく。

自賠責保険の目的は、人身事故による最低限度の保障を確保し、死亡やケガなどをした被害者の救済を図るためということになっとる。対人専用保険ということやな。

例え、ごくまれに車検切れなどで、この自賠責保険に加入していなかったという事があったとしても、自賠責法により政府が自賠責保険に準じた給付を行うことが法律で定められとるから、その面での心配もいらん。

ちなみに、ひき逃げなどで相手が不明の場合でも摘要される。もっとも、被害者に故意の過失がない限りという注釈はあるがな。

被害者の故意の過失とは、詐欺目的の当たり屋や自殺目的で自動車の前に飛び込むケースなんかのことや。

つまり、交通事故であれば、一部の例外を除いて、すべて摘要され被害者は救済されるということになるわけや。

但し、その救済には限度がある。

ケガなどの傷害の場合は、治療関係費、休業損害、慰謝料などを含めて上限が120万円までと決められている。

死亡事故については、葬儀費、逸失利益、慰謝料などを含めて3千万円が上限や。後遺障害の場合は、逸失利益、慰謝料などを含めて4千万円となっとる。

それ以上の場合は、任意保険や加害者本人の負担ということになる。

普通は、こういった事故を起こせば黙っていても、その手続きは新聞販売店がするはずや。またせなあかん。

他の任意保険と違って、それをいくら使おうと保険代金が上がるということはないし、保険会社から文句を言われるようなこともないから、使用者側にとっても使うことでの不利益というのは何もないしな。

もちろん、その販売店所有のバイクでの事故なら、その運転者が従業員であるか、アルバイトであるかも関係ない。そのバイクを乗っての事故の場合、すべての人に適用される。

尚、この請求は被害者側からでも被害者請求を直接、自賠責保険会社に起こすことができる。

その支払額から、治療を継続するための費用や、紛争処理、またはその民事裁判へ向けての準備費用に廻すことも可能やとされとる。

こういうことは常識にならなあかんが、残念ながら業界では、まだそこまで認知されとることではなさそうや。

11月27日。『NO.808 マスコミの支持率操作、偏向報道について』(注13.巻末参考ページ参照)というのでは、掲示板に書き込みをしている人についての質問に対して回答した。


人の思い込み、物の見方、捉え方というのは実に恐ろしいもんやというのが、この書き込みから良く伝わってくる。

本人としては、その意図とは違う意味で発した言葉でも、真逆に受け取られることがある。

この書き込みをされたマスコミ憎しで凝り固まっているような人は、ちょっとした発言を拡大解釈して攻撃するケースが多いが、まさにこれはその典型のようなものやと思う。

そのyoutubeとやらの動画にこれをアップした者もそうやが、恐ろしいまでの悪意と見識のなさを感じる。

僅かでも、その言葉の意味を、その人間の立場に立って考えれば簡単に分かりそうなもんやけど、それができんのやろうな。かわいそうな人たちやと言うしかない。

まあ、事あればマスコミの欠点を突きたがる人間には、今回のような発言は鬼の首を取ったほど誇らしいことなんやろうが、それは逆にそういう行動を取った人間の浅はかさを暴露しただけのことやとワシは思う。


と。

ワシらのサイトには書き込みのできる掲示板はない。そのため、書き込みの好きな人は集まって来ない。

その分、訪問者も少ないわけやが、ワシらはそれでええと思うとる。

訪問者が少ないというても10年間の平均でトップページのアクセスが1日450ほどもあるから、それで十分すぎるほど多いと考えとるしな。

ワシらは偏見があるのかも知れんが、掲示板サイトの多くでは節度のない毒のある言葉、言動というのが、あまりにも多く氾濫していて好きにはなれん。

言い方は悪いが、ただの悪口、詰り合いをしているとしか思えんさかいな。それでは建設的な意見交換などできるわけがない。


2010年。

4月12日。『NO.887 魅せる文章を考えてみては如何でしょうか?』(注14.巻末参考ページ参照)という投稿があった。

『テキストをインデントも無く、つらつらと書くレイアウトは、読む意欲を削ぎます』と、かなり辛辣なものや。

インデントというのは、書き出しの一字下げのことで文章を書くことを生業としている者にとっては常識と言って良い。

ただ、ハカセは、それを知りながら、敢えてインデントなしの文章に取り組んだという。

その理由を、


decさんのお仕事が何かは分かりませんが、『インデント』という言葉を使われるというのは、文章を良くお書きになられる方だとお見受け致します。もしくは書物などを読まれる機会の多い方だと。

そういった方からすると、まるで何も知らない素人が書いた作文のように感じられたかも知れませんね。

この『インデント(書き出しの一字下げ)』というのは、文章を書く上での決まり事のようなものですから。それすらしてない。できないのかと。

これが、縦書きでしたら、私も迷わず、そうしたでしょう。

実際、私の拙書『新聞拡張員ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集』では縦書きということもありますが、当然のことながら『インデント』は改行の都度、ちゃんとしていますので。

ついでに言えば、その本には文章だけではなく、1コマ、4コマ漫画といったものを随所に挿入して、それなりに見せる工夫もしているつもりです。

それが、なぜこのサイトではそうしていないのか―。

それには、私なりの拘(こだわ)りと理由があります。すべてを承知の上で、敢えて『インデント』のない文章に取り組んだわけが。

ご存知のように、ネット上に存在する多くのHP、ブログというのは横書きです。

私は、このサイトを開設する前に、まず「はじめに」「拡張員とは」「拡張員になる者」「拡張の仕組み」「拡張の歴史」「拡張員の1日」などを、その横書きで書き上げました。それをオープニングとするために。

当初は、ジャーナリストや文筆家の多くの方々が、そうされているように、私も5、6行毎に『インデント』を挿入した文章にしていました。

お気づきのように、私の書く文章には長文が多いという特徴があります。

もっとも、これでも下書きの段階から比べればかなり短くはしているのですが、書いている業界の内容があまり一般的ではないということもあり、初めて読まれる人にも分かって貰える文章にするためには、どうしても説明の部分が長くなる傾向にありますので、ある意味、やむを得ないことだと思っています。

まあ、その辺は、私の筆力のなさ、弱さという点も加わって、そうなっている部分もあるわけですが。

A4サイズで40字×40字の1ページから2ページくらいまでの文書量ですと、『インデント』を挿入した文章でも十分読んで貰えるとは思うのですが、これが、私の場合、悠に5、6ページ、場合によれば10ページを超えるものもザラにありますので、それも難しいのではないかと考えました。

書き上げたものを見ると、それこそ字面で埋まっているという印象しかありませんでしたからね。

これでは、だめだと直感しました。読んで貰えないと。

文章を読み慣れた人なら、その内容次第で読み進めて貰えるでしょうが、私は「文章を読む習慣のない人でも楽しく読んで貰う」ということを目標の一つにしていましたので、見た目にそれでは、面白い、面白くないという以前に、パッと見の第一印象で敬遠されると考えたわけです。

名の売れた流行作家やジャーナリストの書いたものなら、それでも、その内容に期待して読み進めて頂けるでしょうが、私のように無名の一般人の書いたものでは、それを期待するのはとても無理な相談です。

中略。

文章は人に読んで貰えなくては何の意味もありません。ですから読んで貰うための努力は惜しまず、するべきです。

そうは考えてみたものの、私には、絵や写真といった視覚的なものを用いて訴えるというセンスは持ち合わせていませんので、文章をいかに読ませるかという工夫をするしかありませんでした。

そこで、字面で埋まっているという印象を和らげるために、空行をいくつか挿入する工夫をしました。そうすると、若干、見やすくはなりましたが、読みにくさの解消までには至りませんでした。

次に考えたのが、その『インデント』をなくすということでした。

これは、普段のメールのやり取りがきっかけでした。メール文に『インデント』を使われる方は、ほとんどおられませんからね。

なぜか。それは、そうする方が読みやすいからだと思うのです。ならば、それを普通の文章に取り入れて書けばいいのではないか―。

そんな単純な発想から、試行錯誤を始めました。

段落のことを気にせず、ただひたすら読みやすさだけを考えて、長くても3行で空行を入れるというスタイルにしたわけです。

ポイントの文は、例え、どんなに短くても1行で済ます。

そうして、空間を保つようにすると、それまでのものと比べて格段に読みやすくなったと感じました。

後は、文そのものの技量が問われるわけですが、こればかりは、ありのままを見て読んで頂いて評価して貰うしかありません。

中略。

ただ、大変申し訳ありませんが、今となっては、このスタイルを変えることは、ほぼ不可能だと考えていますし、そのつもりもありません。

何しろ、このサイトにはページ数にして1500以上もの長文ページが存在しますので、それを今更『インデント』にした文に再構築するには、途方もない時間と労力を要します。

心中。というと少し大袈裟かも知れませんが、サイトとしては、そのくらいのつもりで、このまま続ける覚悟をしています。

他にないものなら、私がそういう先鞭をつける―。これは私なりの挑戦だと思ってください。

つまり、私なりの確固たる信念のもとに、敢えて『インデント』のない文章、段落のない文章を書いているのだと。そうご理解頂ければと思います。


と、ハカセは話している。

辛辣な意見ではあったが、ハカセの思いを説明するキッカケになったわけやから、この投稿者の方には感謝しているという。

4月22日。『NO.890 民事訴訟と揉め事の対処法の違い』(注15.巻末参考ページ参照)というのも、それなりに読者の方にとって役立つ考え方やないかと思う。


つまり、『これは通常の揉め事の場合と、民事訴訟の対応の仕方はまるっきり違うということなのでしょうか?』というあんたの質問の答えは、「イエス」になるということや。

揉め事なら、まだ話し合いで解決がつく可能性が残されている。しかし、裁判になれば、勝つか負けるかでしか決着のつけようがない。

あんたは、『実は民事訴訟をこの先予定しているのですが』ということのようやが、まだ話し合いで解決のつくことなら、そうした方が賢いと言うとく。

裁判に持ち込むというのは、話し合いでは解決のつかん、どうしようもない最後の手段と考えといた方がええと。

それで例え勝ったとしても、民事の場合、得られるものは金銭や名誉といった程度のもので、相手と仲直りができるというようなことは期待するべきやない。お互いの人間関係も確実に悪化する。

勝っても負けても、そこから生まれるのは怨嗟(えんさ)や蟠(わだかま)りでしかないのが普通やさかいな。

裁判は勝つことがすべてで、負けた者には何も残らん。せやから、そのためには、どんなに卑劣と思われる手段であろうと、法律で許される範囲内なら迷わず使うというくらいの覚悟が必要になる。


といった具合や。

5月1日。『ゲンさんのちょっと聞いてんかNO.12 私がM新聞の講読を止めたくなった理由……頑張れ小沢一郎さん』(注16.巻末参考ページ参照)という投稿をキッカケに小沢一郎氏の検察審査会による強制起訴について言及することが多くなった。

それについては後日、『メルマガ編、10年の歩み』の中で話すつもりやが、これは陰謀やったと確信している。

本来、罪に問われるはずのない罪を捏造された「えん罪」やったと。

その当初から、ワシは小沢一郎氏には無罪しかあり得んと言い続けてきて、結果もそうなった。

12月28日。『NO.969 新聞拡張と同じような手法で他の訪問販売の営業は可能ですか?』(注17.巻末参考ページ参照)という変わった質問もあった。

新聞拡張と同じような手法で、他の訪問販売の営業は、人によってという注釈はつくが可能やと思う。

訪問販売の営業というのは基本的に「物」を売り込む仕事で、それが「新聞」であるか、「ミシン」であるか、「浄水器」であるかの違いで、営業すること自体にはそれほどの変わりはない。

そのための基本的なことが分かっている者なら、どんな営業をしても、そこそこはやれると思う。

ただ、新聞営業しか知らんというのであれば難しいかも知れん。

この業界しか知らん者の中には、誤った営業しかできん人間がおるのも事実で、そういう者は、はっきり言うて他の営業では使い物にはならんやろうと思う。

そうではなく、何事にも勉強熱心な者は新聞拡張員の中にも多いさかい、そういう人なら、それなりの営業はできるはずや。

それが、ワシの『人によっては可能や』という理由になる。


今回は、ここまでにしとく。

本当は、この『Part2』で『HP「新聞拡張員ゲンさんの嘆き」、10年の足跡』は終わりにしたかったんやが、如何せん話すことが多すぎる。

これでもQ&Aにありがちな『新聞購読契約関連』、『勧誘・拡張の営業関連』、『苦情・トラブル』、『拡張団・拡張員関連』、『新聞販売店関連』といった相談や質問は除外しとるのやけどな。

いくら過ぎ去った過去は早いと言うても、10年間の足跡を振り返る作業は半端やなかったということやな。

次回も『Part3』として残りの2011年〜2014年現在について話すつもりや。

ワシらも、それらを振り返り、新たな発見が幾つかできたので、これを読まれている読者の方も同じやないかと思う。



参考ページ

注1.NO.530 なぜ、女性専用の新聞が発行されないのですか?

注2.NO.546 新聞のメガ文字導入はどのように感じますか?

注3.NO.558 飛び込み勧誘全面禁止の新聞報道について

注4.ゲンさんのお役立ち情報 その9 飛び込み勧誘全面禁止アンケート結果情報

注5.ゲンさんのちょっと聞いてんか

注6.NO.583 青少年ネット規制法案について

注7.NO.588 残念ながら、サイトにあきれています

注8.NO.591 四国の新聞配達員、殺害事件のその後について教えて下さい

注9.NO.623 本日の「新聞詐欺事件」報道について

注10.NO.687 「クライマーズ・ハイ」において描かれた報道と特ダネの問題について

NO.688 マーケティング的な発想について

NO.689 インターネットのニュース・サイトの問題

NO.690 報道の煽情性について

注11.ゲンさんのちょっと聞いてんか NO5. 裁判員制度に反対

注12.NO.801 こういう場合、保険などは適用にならないですよね?

注13.NO.808 マスコミの支持率操作、偏向報道について

注14.NO.887 魅せる文章を考えてみては如何でしょうか?

注15.NO.890 民事訴訟と揉め事の対処法の違い

注16.ゲンさんのちょっと聞いてんかNO.12 私がM新聞の講読を止めたくなった理由……頑張れ小沢一郎さん

注17.NO.969 新聞拡張と同じような手法で他の訪問販売の営業は可能ですか?


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