メールマガジン・ゲンさんの新聞業界裏話・バックナンバー

第319回 ゲンさんの新聞業界裏話


発行日  2014. 7.18


■HP『新聞拡張員ゲンさんの嘆き』、10年の足跡 Part3


前回からの続きや。

2011年。

3月11日。東北地方太平洋沖で日本の観測史上最大級の東日本大震災が発生した。

震源域は、岩手県沖から茨城県沖までの南北約500キロメートル、東西約200キロメートルのおよそ10万平方キロメートルという広範囲におよんでいる。

地震の規模を示すマグニチュードは9.0。阪神淡路大震災の約180倍の破壊力やったという。

気象庁の震度速報では宮城県北部で震度7、福島、茨城、栃木県などで震度6強、岩手、群馬、埼玉、千葉県で震度6弱を記録したと発表されている。

直後、岩手、宮城、福島県などの海岸を中心に広範囲に渡って津波が押し寄せた。

場所により10メートル超、最大遡上高40メートルの大津波が押し寄せ、道路が冠水、海岸数百メートルから数キロメートルの範囲で車や住宅が押し流され、火災が起きるなど、地獄絵図とも言える未曾有の被害が発生した。

被害状況は、2014年1月10日の時点で、震災による死者、行方不明者は1万8,524人、建築物の全半壊は合わせて39万9,284戸。

震災発生直後のピーク時においては避難者は40万人以上、停電世帯は800万戸以上、断水世帯は180万戸以上だったことが分かった。

そして、2013年12月12日時点の復興庁の発表では実に27万4,088人もの人たちが3年近く経っても避難生活を余儀なくされておられるという。

この大震災は自然災害の外に福島第一原発事故という未曾有の人災を引き起こした。それが未だに復興が遅れている大きな要因になっている。

福島第一原発事故についてはメルマガで数多く発信をしているので、来月予定している『メルマガ10年の歩み』の中で詳しく話したいと思う。

4月30日。東日本大震災に関した投稿で『ゲンさんのちょっと聞いてんかNO.16 日本人の心に、唇に、ふたたび…』(注1.巻末参考ページ参照)という投稿があった。

秀逸な投稿文だったということもあり、サイトに掲載したが、この投稿者の方は、特にワシらへというのではなく、主立った人気サイト、ブログに同様の投稿文を送っていたことが後に分かった。

手当たり次第やったのかも知れんが、影響力のある投稿先の一つとして当サイトを選ばれたと考えて好意的に受け取ることにした。

5月14日。『NO.1018 浜岡原発の発電停止のみを評価するのは如何なものでしょうか』(注2.巻末参考ページ参照)というのがあった。

『総理大臣の浜岡原発全停止を評価するゲンさんの発言がありましたが、核燃料が原形を留めないメルトダウンを起こした福島原発の事例を考慮すれば、浜岡原発の発電停止のみを評価するのは如何なものでしょうか』というものや。

これは当時の民主党菅直人総理大臣が浜岡原子力発電所のすべての号機について運転停止の要請を表明したことに対して、ワシが、


過去、サイトやメルマガ誌上では、菅直人首相への批判めいた記事が多かったが、今回の要請については素直に、正しい英断やったと認めたい。


と言うたことへの質問やった。

投稿者の方は、


緊急原子炉停止は、電源が喪失しても、高圧の窒素ガスと水圧により、核分裂の連鎖反応は止められるし、福島原発でも実際支障なく行われました。

問題はその後の非常用炉心冷却装置が、全電源喪失により作動が途絶えたことが、今回の福島原発の事故の発端となりました。

ならば現在原発が発電しているいないに関わらず、放射能汚染事故を防ぐとの観点から論じれば、全電源喪失の危険がより少ない場所に、速やかに放射性物質の移送が行わなければならないのではないでしょうか。

放射性物質をそのまま海沿いの原発施設に置いたままの原発発電停止は、あまりにも今回の震災からの教訓を活かしていない、短絡的施策だと私は思いますが、如何でしょうか。


と、菅直人首相が、今後予想される東南海大地震で福島第一原発事故と同じ危険があるとされている浜岡原子力発電所のすべての号機について運転停止の要請を表明したが、それだけでは不十分だと言われている。

しかし、今まで日本政府が原発推進一辺倒の姿勢やったことを考えれば大きな変化やし、原発廃止の方向に向かう貴重な第一歩になるという意味で評価できるとワシは答えた。

まずは最初の一歩がなければ何事も前には進まんさかいな。

そして、この菅直人首相の要請以降、世論が脱原発に大きく傾き「定期点検中」の原発の再稼働が難しくなったのは事実や。

2014年7月現在、稼働している原発はゼロやさかいな。

原発についての詳しい仕組みについて説明できんが、いくら素人でも、原発の稼働中より完全停止した状態の方が、地震や津波に見舞われた場合、被害が少なくて済むというくらいのことは分かる。

今回の福島第一原発事故も稼働中に突然の地震と津波に襲われ、あらゆる装置が壊れたことにより、パニックに陥った東京電力のお粗末な対応が原因の大半やったということが、はっきりしたさかい、よけいそう思う。

人はパニックに陥ると判断を狂わす、ミスを冒すというのは、幾多の事故の現場で証明されとることや。

その点、浜松原発は大地震と津波を想定しての停止なわけやから、突然のバニックによる操作ミスや手順を誤るケースは少ないはずやと思う。

6月3日。『NO.1028 でたらめな借金返済請求の保証人になって困っています』(注3.巻末参考ページ参照)という相談があった。

昔とは違い、最近の新聞拡張団の多くでは誰でも雇うようなことはない。住民票の提示は絶対やし、保証人を必要とするというのも一般の会社と同じようにある。

その質問に対して、


どういった理由であれ、あんたが友人A氏の連帯保証人になっているのなら、その友人A氏が返済不能になった場合は、その責任を負わなあかんようになる。それは、分かっておられると思う。

但し、その友人A氏が『借金は認めていますが、金額はでたらめだと言っております』というのなら、その裁判でとことんそう主張して争い、正当かつ納得のいく返済額を導き出す必要がある。

その際、あんたも、その友人A氏のために、今回の裁判では精一杯の助言なり助力した方がええ。

裁判で認められた返済額を、その友人A氏が支払えないということになったら、連帯保証人であるあんたに、その支払い義務が生じるさかいな。

『私に対して訴訟が起こされた場合も、出来る事なら個人で対抗したいと思っております』ということで、そのときになっても遅くないと考えておられるのなら、それは甘いと言うとく。

その友人A氏の返済額が決まってしまったら、その後のあんたの裁判でそれをひっくり返す、あるいは減額に持っていくのは、限りなく難しいやろうと思うさかいな。

今回の裁判は、『その団は解散手続きを取り(一年程前)、清算人は元社長になっています』ということからすると、任意整理する団の債権回収が目的のすべてということになる。

その請求額は、ちゃんとした裏付けがあってというより、その元社長の一方的な主張を、管財人である弁護士が、そのまま聞いて請求、訴訟したものと思う。

そこにつけいるチャンスは十分あると考えられる。


と答えた。

以前にも同様の相談があり、その場合は2年余りの時を要した。その際、裁判で160万円の請求が結果的に80万円に減額されたが、このケースは、それよりもはるかに多い減額が期待できるのやないかとアドバイスした。

相談者から送られてきた関連書類を見る限り、相当ええ加減な新聞拡張団のようやさかいな。突っ込みどころ満載やった。

その結末については、まだ報告がなく継続中やと思うので、これ以上の事は今は伏せておく。

6月13日。『ゲンさんのちょっと聞いてんかNO.17 新聞のデジタル版について』(注4.巻末参考ページ参照)という投稿があった。

これは新聞のチラシ折り込み機メーカーの重役の方からのもので、専門的な話で一般の方には難しい箇所があるかも知れんが、文章が分かりやすく書かれているので、業界関係者の方は是非一読されることをお勧めする。


2012年。

1月6日。『NO.1092 カミとの戦い』(注6.巻末参考ページ参照)という面白い投稿があった。

カミという言い方はワシらの業界では「新聞」を意味する隠語やさかい、てっきりそうやとばかり思うていたが、頭髪のことやった。

投稿者は頭髪の薄毛で悩んでいるらしく、サイトでワシらの頭髪が薄いのを知って意見を聞きたいということやった。

それに対して、


『薄毛対策をしているのでしょうか?』ということやが、ワシらはそんなものは何もしていない。というより、今更そんなことをしても手遅れやし、その気もさらさらない。

それに、ワシは今年還暦、つまり60になるから頭が薄くても別に恥ずかしいという歳でもないしな。年相応という感が強い。

何でもそうやが、恥ずかしいと思えば恥ずかしいとなるし、頭が薄いのもブルースウィルスみたいで格好がええと思えば、そう思えるもんなんや。

ある学者が言うには、人類は進化の過程で体毛がどんどん退化していっとるということやから、それからすると頭が薄いのも進化の証しと言えんでもない。

このまま人類が進化を重ねていけば頭髪を含めて体毛の殆どが退化するという説が有力らしいしな。

その説が正しければ、頭髪がフサフサしとる人間は原始人に近いということになって、未来ではその方が恥ずかしいという風潮になるはずや。

そう考えれば、頭髪が薄いくらいで悩む必要などない。単なる進化の一過程にすぎんことやと。要するに心の持ち方次第やということやな。

中略。

要するに頭髪のあるなしなど、気にすることはないということや。人間は自然のままが一番ええ。所詮、物事はなるようにしかならんのやさかいな。

もちろん、あんたがそうはなりたくないと抗う気持ちに水を差すつもりもケチをつけるつもりもない。

精一杯、悔いのない戦いをされたらええ。それで、刀折れ矢尽きたとしても、ワシらのような仲間がいるさかい大丈夫や。


と答えた。

人は誰しも劣等感を持っているもんやが、それは考え方一つでどうとでもなるということや。

恥ずかしいと思えば恥ずかしいし、それをプラスと考えればブラスになる。人生すべてが、そうやと思う。

3月17日。『NO.1117 強引な勧誘での逮捕者が出た事件について』(注7.巻末参考ページ参照)というのを掲載した。

以前にも似たようなことが千葉県であり、大きな反響を呼んだが、今回の京都市の事件もYahoo!ニュースに掲載されたことで、例によってサイトへのアクセスが集中した。

以前の事件以降、サイトのQ&Aでは何度も、あこぎな勧誘をすると、逮捕されるかも知れんと警告してきたが、本当にそうなった。

「ホンマに情けない」の一語に尽きるような事件やった。

3月26日。『NO.1119 新聞印刷のインキの呼び方について』(注8.巻末参考ページ参照)というのがあった。

『お尋ねしますが・・・インキはブラック・シアン・マゼンタ・イエローですが、ブラックとイエローは解りますがシアン・マゼンタは何故ブルー・レッドと言わないのですか?』という素朴な質問やった。

これについては、


『シアン・マゼンタ』と『ブルー・レッド』とは似ているというだけで根本的には違う色や。

色の3原色とはシアン(藍緑色)、マゼンタ(紅紫色)、イエロー(黄色)のことを指す。

小中学時代にシアン(藍緑色)を青、マゼンタ(紅紫色)を赤と教えられたことで、大半の人が誤解しているが、学術的には青、赤、黄は色の3原色ではない。

昔から文部省(現、文部科学省)では義務教育で教える分には問題がないやろうということで、教えやすさもあって、青、赤、黄を色の3原色として教科書に載せていた。

厳密に言えば、そのこと自体間違って教えられていたということになる。大ウソとまでは言わんが。

今はパソコンのプリンターなどのインキには普通にシアン、マゼンタという名称が使われとるが、当時はまさか世の中にそんな名称が広まるとは考えんかったのやろうな。

中略。

あんたは件名に『新聞印刷のインキの呼び方について』と言われているので、新聞で使用するインキについてのウンチクを一つ言うとく。

色の3原色をすべて混ぜると理論上は黒になると言われとるが、実際には純粋な黒にはならん。それではくっきりとした文字が印字されんので、新聞紙面を作成する場合はスミを加えた4色の配合で黒を作って文字の印刷をしとるわけや。

カラー印刷の場合もスミを加えた4色の配合で行う。ちなみに、これは『プロセスカラー印刷』と呼ばれている。

作業の工程としては、まず原稿の色情報を3種類にカラー分解し、色の3原色であるシアン、マゼンタ、イエローのフィルムに起こす。これを刷版の子版と呼んでいる。

これにスミのP版を加えた版が順番に輪転機という新聞を印刷する機械にかけられることで、それぞれ適量のカラーインキが乗って重なり会い写真やロゴマークなどの色が再現される仕組みになっとるわけや。


と、説明した。

何ということもない知識やが、意外に知られていないようや。

5月7日。『NO.1128 貴兄が小沢一郎を擁護する根拠が知りたい』(注9.巻末参考ページ参照)という投稿があった。

この投稿者は、よほど小沢一郎氏嫌いなのか、小沢一郎氏を応援していること自体が許せないようやった。

その質問について、


メルマガ読者の方なら、よくご存知のことやがワシらは『小沢信者』でも何でもない、ただの拡張員と一般市民や。小沢氏とは縁もゆかりもない。

ワシらは好き嫌いで物事を判断するようなことはせん。同じ人間であっても良い行いをすることもあれば悪い行いをすることもある。人間とはそういうものやと思うとる。

せやから、その時々の事象、行いで「これはええ」、「これはあかん」と言うつもりにしとる。

分かりやすく言えば「罪を憎んで人を憎まず」ということやな。

今回の小沢氏の問題に関しては、いろいろな角度から、数々の証拠をもとに検証したところ、どう考えても新聞やマスコミの報道の方が間違っていると感じたさかい、新聞を売る身として道を誤って欲しくないという思いで2年前からメルマガ誌上でシリーズ化して小沢氏の無実を訴えているわけや。

昨日今日、いきなり言い出した事とは違う。

今回の小沢氏への東京第5検察審査会による強制起訴決定と、それに関する報道がおかしいと言い続けてとるだけのことやと。

えん罪という言葉を使うたのは、本来罪に問われるような事案でもないことで無理矢理裁判に持ち込んだからや。

そして、その2年前から、それらのメルマガでワシらは、はっきり無罪になって当然やと自信を持って言うとる。そもそも裁判沙汰にしたこと自体が大間違いやったと。

この裁判の判決は、どこまでいっても無罪しかありえない。先頃、無罪判決が出たが、それは当然やと考えとったから、それについての感想は特にない。

万が一にも有罪になれば、日本は法治国家として終わるとは考えとったがな。それくらいの問題やった。

そして、この裁判の狙いは有罪、無罪とは関係なく、あくまでも小沢氏に復権して欲しくない連中の画策によって政治的に進められたものやとワシは確信しとる。

仕掛けた連中も無罪になる事など初めから分かりきっていたはずやと。

その理由も数多く、それらのメルマガの中で言うてきた。

『さしたる根拠もなく愚にもつかないこと』を書いているつもりはない。その根拠と証拠、あるいは状況を冷静に分析して発言しとるつもりや。

小沢氏の無罪としか考えられんという結論に至ったのは、そのためや。

もっとも、小沢氏に対して批判的な人の多くは、長年に渡る新聞やマスコミの煽動的な報道で「小沢氏は悪人」というイメージを刷り込まれたために、そこから抜け出せんのやろうと思う。

これは、何もあんたを責めているわけやない。新聞だけの一面的な報道を鵜呑みにすれば、そういう結論に至っても無理はないと考えるさかいな。あんたのような意見になる人も珍しくはない。

ワシらは、どんな意見であれ尊重する主義やから、あんたの考えが間違っておられるとまでは言わん。


と、答えた。

良くも悪くも新聞の影響力が強いということを今更のように痛感させられた質問やったと思う。

6月29日。『NO.1142 この新聞社の不祥事をどう思いますか?』(注10.巻末参考ページ参照)というのがあった。

これは新聞社の税金の申告漏れに関することや。

税金の申告漏れというのは故意であれミスであれ、殆どの新聞社で起きとることで、それ自体は珍しいことやないが、新聞社にそれがあるというのは法律的な問題が解消されたとしても道義的な面では拙いわな。

「常日頃から、他業者のそういった税金の申告漏れ、脱税行為に関しては厳しく追及しとるくせに、自分の事は棚に上げて何やっとんねん」と言われても返す言葉はないやろうと思う。

襟を正して欲しいとは思うが、当の新聞社は事件の詳細はおろか、謝罪文の掲載すらされていないような状況では、それを望んでも無理かなという気がする。

7月25日。『原発および消費税増税に関するアンケート募集』(注11.巻末参考ページ参照)というのを行った。

その中の『質問1.今後原発を推進することに賛成ですか、反対ですか?』の結果は、『ゲンさんのお役立ち情報 その13 原発に関するアンケート結果情報』(注12.巻末参考ページ参照)で発表している。

案の定と言うべきか、221名中219名が『原発を推進することに反対』やった。

98名もの人たちから、それについての意見を貰っているので是非読んで頂きたいものやと思う。

12月1日。『白塚博士の有料メルマガ長編小説選集』(注13.巻末参考ページ参照)というのを始めた。

これはハカセが以前から望んでいたもので、やっと実現した。


小説は面白くなくては小説ではありません。

そのことを念頭にHP『新聞拡張員ゲンさんの嘆き』という新聞販売業界随一とも言える人気サイトを運営することで得られた膨大な情報、資料を基にエンターティーメント性の高い作品を読者にご提供したいと思っています。

一風変わった推理サスペンス小説をお届けします。謎が謎を呼び、推理する楽しみをご提供するのは当然として、事件の中に事件が潜み、謎の中に謎が隠れているといった驚きに満ちています。

通常の推理小説のように事件が起きて謎解きの末、犯人捜しをするといったふうに考えておられると必ず裏切られます。


というコンセプトのもと、現在、第4話まで発表している。

発行毎週土曜日。月額210円。登録にはクレジットカードが必要。

第4話までの初回分を掲載しているので、それを読まれて面白そうやと感じられた方は是非登録して頂ければと思う。

サイトやメルマガでは絶対に言えないコアな情報が詰まっているしな。


2013年。

9月4日。『NO.1243 理想の新聞像を、お聞かせください』(注14.巻末参考ページ参照)という投稿があった。

これについてワシは、


ワシの理想を言えば「売りやすい新聞を作ってくれ」ということに尽きる。

残念ながら日本の新聞に「売りやすい新聞」というのは見当たらん。

その地域毎にシェアNO.1の新聞はあるが、それは地域に根差した新聞で昔からの読者が固定されているとか、新聞社や地域の販売店が営業に力を注いだ結果、そうなったというのが多い。

新聞社が思っているほど、新聞にブランド力というものはない。

なぜなら、その地域で販売されている新聞に無名の新聞などないからや。すべて名が通っていて、それなりにブランド力も高い。それでも実際のシェアの差は大きく開いている。

そして、これが一番致命的かも知れんが、それぞれの新聞に差別化というものを一般の人は、ほとんど感じとらんということが挙げられる。

細かい点を指摘すれば、それぞれの新聞に特徴や良い面はあるのやが、そういうものはあまり知られていない。

もっとも、新聞の良さを新聞の勧誘員がいくら力説しても、どこか嘘臭く聞こえるのか、まともに聞いてくれる人が少ないから、勢いそうなるのかも知れんがな。

中略。

ワシの考える理想ということなら、A新聞には詳しい政治情勢の記載があり、B新聞は経済の情報が多く、C新聞には事件や事故報道中心で、D新聞には地域の情報が網羅されていて、E新聞には企業や公人の曝露記事が満載し、F新聞には各界の有名人のコラムが多いといった具合に、名前を知らせるだけで、それと分かって貰える新聞を作ることやと思う。

そうすれば、「A新聞を読むと詳しい政治情勢が分かりますよ」、「C新聞には事件や事故の詳しい解説がありますよ」、「D新聞を読めば、この地域のことがよく分かりますよ」、「E新聞の曝露記事は面白いですよ」、「F新聞には有名人のコラムが多くためになりますよ」といった営業トークが使えるさかいな。

明確な差別化により、ターゲットも絞れる。それらの新聞を好む読者を捜せばええことやしな。あるいは、その読者が読んでいる新聞以外の他分野の新聞の良さを伝えて契約にこぎつけることもできると思う。


と答え、ハカセは、


「理想の新聞」とのことですが、購読者の立場から言わせて頂ければ、「読みたくなる新聞」が、「理想の新聞」になるということに尽きるのではないかと思います。

私は仕事柄、新聞などの情報媒体は必要ですので、読みたい読みたくないにかかわらず毎日、目を通しています。

新聞紙面が、いろいろ工夫されて作られているということは知っています。私のような必要に迫られた人間であれば、情報さえ確かなら、今のままの新聞で十分です。

新聞紙面には、ネット上にない情報も数多くありますので、その意味でも重宝しています。

こんなことがあるのか、そういうことだっのかと気づかせて貰える記事が数多くあり助かっています。

しかし、一般の人には、ゲンさんの言うとおり、「どの新聞も同じ」という感はぬぐえないのではないかと思います。

では「読みたくなる新聞」にするのは、どうしたら良いのでしょうか。

これは難しいようで、実は案外簡単かも知れません。もっとも、新聞社が、その気になればの話ですが。

新聞には署名記事が結構ありますが、熱心な読者以外で、署名記者の名前を知っている方が、どれだけおられるでしょうか。

残念ながら、署名記事を書いている記者の方で、一般に人気があると言えるような人はいないと言って良いでしょう。

現在、絶大な人気を誇る「東進ハイスクール」の講師、林修氏のような存在の人が、新聞記者さんの中にいれば、その新聞の書名記事を「読みたい」と多くの人が考えるのではないかと思います。

海外には、ニューヨーク・タイムズ社のデイヴィッド・ハルバースタム記者のような人がいます。

あまりに辛辣な記事を書くことで人気を博しているため、当時のジョン・F・ケネディ大統領が、デイヴィッド・ハルバースタム記者の配置換えをニューヨーク・タイムズ社に求めたと言われているほどの人です。

他にも数え上げたらキリがないくらい、有名な署名記者がいます。

もっとも、アメリカにはピューリッツァー賞という世界的に有名な賞があり、それを署名記者たちが目標にしているという背景もあるわけですが。


と回答した。


2014年。

4月21日。販売店関係者の読者から『NO.1276 消費者啓発チラシについて』(注15.巻末参考ページ参照)という投稿が寄せられた。

これは、去年の2013年11月21日に日本新聞協会、および新聞公正取引協議会が「新聞購読契約ガイドライン」(注16.巻末参考ページ参照)なるものを決めた一環やった。


購読契約ガイドライン発表 新聞協会・公取協、解約トラブル防ぐ


 新聞協会と新聞公正取引協議会は11月21日、読者から解約の申し出があった場合の対応の指針となる「新聞購読契約に関するガイドライン」を発表した。

 新聞公正競争規約のほか、特定商取引法、新聞訪問販売自主規制規約を順守し、解約に関してもガイドラインを設けることで、読者とのトラブルを防いで公正な販売活動を目指す。

 ガイドラインは、長期契約をめぐる高齢者からの苦情が目立つとして国民生活センターから改善要望が寄せられたことを踏まえ、策定した。

 解約に応じるべき場合と、丁寧に話し合って解決すべき場合に分け、具体的な事例を列挙している。

 長期や数か月先の契約を抑制するため、公正競争規約の上限を超える景品を提供していた場合は、解約に当たって景品の返還を求めてはならないと定めた。

 また、クーリングオフ期間中の書面による申し出や規約違反、相手の判断力不足、購読が困難になる病気・入院・転居、購読者の死亡、未成年者との契約などを、解約に応じるべき場合として挙げた。

 これらに該当しない読者から都合により解約したいとの申し出があった場合も、丁寧に話し合い、双方が納得できる解決を図らなければならないとしている。

 消費者へは、ウェブサイトを開設して広く周知するほか、各支部協が折り込みチラシを作成し、読者へ配布する。


というものや。

この最後に『消費者へは、ウェブサイトを開設して広く周知するほか、各支部協が折り込みチラシを作成し、読者へ配布する』とあるのが、「消費者啓発チラシ」というわけや。

そのチラシの中に、


購読契約は読者と販売店の合意によって成立し、お互いに守る必要がありますが、契約期間中に購読が困難なやむを得ない理由があれば解約できる場合があります。お困りの事情があれば、ご購読の販売店にご相談ください。


と書かれていた。

この投稿者の方は、その「消費者啓発チラシ」が配布されることで『きっと読者と販売店とのトラブルもこのことによって、今より以上に増える気がして不安でなりません』と言うておられたが、ワシは、


確かに、その折り込みチラシをすべての読者が読めば『生活に大変さを感じている多くの読者はたぶん気を良くし、販売店に申し出てくる方もでてくると思われます』となるかも知れんが、折り込みチラシというのは、あんたが思うほど一般の人は見ない。

一般的に折り込みチラシを、よく見るのは専業主婦で、地域性にもよるが購読者全体の1割〜2割程度のものやと思う。たいていはスーパーや量販店での安売り広告や。

現在、消費税率が上がって生活が苦しくなったから、新聞を止めるやろうというのは短絡的な考えで、苦しくなったからこそ、少しでも安売り情報やお買い得クーポンなどが付いている折り込みチラシが必要だとも言える。

その折り込みチラシを上手く活用している人からすると、新聞代程度の出費はそれほど苦にはならないという。

つまり、折り込みチラシをよく見る層は、『「消費者啓発チラシ」(正常化チラシ)』を見て新聞の購読を止めるのは考え辛いということや。

その他の人で折り込みチラシを読む人は極端に少ない。その証拠と言うては何やけど、古紙回収に出されている新聞の束には、配達時に挿入された折り込みチラシが、ほぼそのままの形で入っているさかいな。読まれた形跡が、殆ど見受けられない。

地域にもよるが、現在、購読者の7割が高齢者やと言われている。高齢者が新聞を止めるのも、まずないやろうと思う。高齢者にとって新聞は生活の一部と化しているさかいな。

そんな高齢者は、例えその『「消費者啓発チラシ」(正常化チラシ)』を見たとしても止めるというアクションを起こす人は少ないはずや。


と答えた。

以上で、計3回を費やした『HP『新聞拡張員ゲンさんの嘆き』、10年の足跡』を終わる。

駆け足で紹介してきたため、語り尽くせなかった部分も多いが、それは分かって頂きたい。10年の積み重ねというのは半端やないしな。

これでも、Q&Aについてはかなり端折っているつもりなんや。

本来なら『その1.新聞購読契約についてのQ&A』、『その2.勧誘・拡張の営業についてのQ&A』、『その3 苦情・トラブルについてのQ&A』、『その4 拡張団・拡張員についてのQ&A』、『その5 新聞販売店についてのQ&A』、『その8 新聞全般についてのQ&A』(注17.巻末参考ページ参照)といった相談や質問を数多く取り上げるべきやったが、できんかった。

それらを掲載するには、あまりにも事例が膨大すぎるさかいな。それらについては申し訳ないが、各自で見て頂きたいと思う。



参考ページ

注1.ゲンさんのちょっと聞いてんかNO.16 日本人の心に、唇に、ふたたび…

注2.NO.1018 浜岡原発の発電停止のみを評価するのは如何なものでしょうか

注3.NO.1028 でたらめな借金返済請求の保証人になって困っています

注4.ゲンさんのちょっと聞いてんかNO.17 新聞のデジタル版について

注5.NO.1059 ゲンさんの回答はあまり参考になりません

注6.NO.1092 カミとの戦い

注7.NO.1117 強引な勧誘での逮捕者が出た事件について

注8.NO.1119 新聞印刷のインキの呼び方について

注9.NO.1128 貴兄が小沢一郎を擁護する根拠が知りたい

注10.NO.1142 この新聞社の不祥事をどう思いますか?

注11.原発および消費税増税に関するアンケート募集(NO.1153 メルマガで小沢氏の妻の手紙について触れられていませんが、なぜですか? の末尾)

注12.ゲンさんのお役立ち情報 その13 原発に関するアンケート結果情報

注13.白塚博士の有料メルマガ長編小説選集

注14.NO.1243 理想の新聞像を、お聞かせください

注15.NO.1276 消費者啓発チラシについて

注16.新聞購読契約ガイドライン発表 新聞協会・公取協、解約トラブル防ぐ

注17.その1.新聞購読契約についてのQ&A

その2.勧誘・拡張の営業についてのQ&A

その3 苦情・トラブルについてのQ&A

その4 拡張団・拡張員についてのQ&A

その5 新聞販売店についてのQ&A

その8 新聞全般についてのQ&A


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