メールマガジン・ゲンさんの新聞業界裏話・バックナンバー
第322回 ゲンさんの新聞業界裏話
発行日 2014. 8. 8
■安倍内閣の「集団的自衛権の行使容認閣議決定」についての読者意見
前回からの続きになるが、今回は、どちらかと言うと「集団的自衛権の行使容認閣議決定」に肯定的な意見から掲載させて頂く。
その前に肝心の「集団的自衛権の行使容認閣議決定」の報道に対する記事が欠落しているとのご指摘を受けたので、今更ではあるが、その記事を先に紹介したいと思う。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140701/plc14070117250020-n1.htm より引用
安倍内閣、集団的自衛権の行使容認閣議決定 戦後の安全保障政策大転換
2014.7.1 17:25
政府は1日夕の臨時閣議で、従来の憲法解釈を変更して限定的に集団的自衛権の行使を容認することを決定した。
これに先立ち、安倍晋三首相(自民党総裁)は公明党の山口那津男代表と与党党首会談を開き、限定容認を確認した。
集団的自衛権の行使を否定してきた戦後日本の安全保障政策が大きく転換されることになった。
閣議決定は、他国に対する武力攻撃が発生した場合に自衛権発動を認める要件として、わが国や「わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃」が発生し、国の存立や国民の権利が「根底から覆される明白な危険」がある場合、必要最小限度の武力を行使することは「自衛のための措置として憲法上許容される」とした。
日本を取り巻く安全保障環境が変容し、他国に対する武力攻撃でもわが国の存立を脅かし得るとも指摘した。
そのほかにも、国連平和維持活動(PKO)に参加する自衛隊が離れた場所の他国部隊や国連職員を助ける「駆け付け警護」を可能とするため武器使用基準を緩和する方向性を示した。
首相は党首会談で「自民党と公明党は長年の風雪に耐え、意見の異なる課題でも国家、国民のため大きな結果を残してきた。与党とともに法整備していきたい」と述べた。
政府は、自衛隊法や武力攻撃事態法などの改正を秋の臨時国会以降に進める方針で、引き続き日本への攻撃に対する抑止力強化の必要性を訴え、国民に理解を求める。
というものや。
続けて、その「閣議決定最終案の要旨」についても紹介しとく。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140628/plc14062809220011-n1.htm より引用
集団的自衛権 閣議決定最終案の要旨
2014.6.28 09:22
集団的自衛権行使を可能とする憲法解釈変更の閣議決定最終案の要旨は次の通り。
【はじめに】
わが国は戦後一貫して日本国憲法の下で平和国家として歩んだ。専守防衛に徹し、軍事大国とはならず、非核三原則を守るとの基本方針を堅持し、安定して豊かな国民生活を築いてきた。
一方、わが国を取り巻く安全保障環境が根本的に変容し、変化し続けている。日米同盟の抑止力を向上させることにより、武力紛争を未然に回避し、脅威を防止することが必要不可欠だ。
「積極的平和主義」の下、切れ目のない対応を可能とする国内法制を整備しなければならない。
【武力攻撃に至らない侵害への対処】
離島の周辺地域などで外部から武力攻撃に至らない侵害が発生し、近傍に警察力が存在しない場合や警察機関が直ちに対応できない場合、手続きの迅速化のための方策を具体的に検討する。
【国際社会の平和と安定への一層の貢献】
(1)後方支援と「武力の行使との一体化」
他国が「現に戦闘行為を行っている現場」ではない場所で実施する補給、輸送などの支援活動は、武力行使と一体化するものではないとの認識の下、他国軍隊に必要な支援活動を実施できるよう法整備を進める。
(2)国際的な平和協力活動に伴う武器使用
国連平和維持活動(PKO)での「駆け付け警護」に伴う武器使用や、領域国の同意に基づく邦人救出などの「武力の行使」を伴わない警察的活動ができるよう法整備を進める。
【憲法9条の下で許容される自衛の措置】
安保環境の変化を踏まえれば、他国への武力攻撃であっても、目的・規模・態様によっては、わが国の存立を脅かすことも現実に起こり得る。
わが国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず、わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合に、これを排除し、わが国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないときに、必要最小限度の実力を行使することは、従来の政府見解の基本的な論理に基づく自衛のための措置として憲法上許容される。
わが国による「武力の行使」が国際法を順守して行われることは当然だが、国際法上の根拠と憲法解釈は区別して理解する。憲法上許容される「武力の行使」は国際法上、集団的自衛権が根拠となる場合がある。
【今後の国内法整備の進め方】
これらの活動を自衛隊が実施するに当たっては、国家安全保障会議(NSC)の審議などに基づき内閣として決定する。
あらゆる事態に切れ目ない対応を可能とする法案の作成作業を開始する。
以上のことを踏まえた上で、読者からの投稿を紹介したいと思う。
まずは、現在、アメリカにお住まいの読者からや。
ご無沙汰しております。
さて、メルマガで安部首相になってからに関して読者の方はどう思っておられるのかと書かれていたので、私の意見を書いてみたいと思います。
私は概ね集団的自衛権には賛成です。手放しで賛成しているわけではありません。本来なら、憲法改正し、軍隊を持つべきだと思っております。
しかし、尖閣諸島並びに沖縄、五島列島までも狙っている中国や対馬を狙っている韓国を考えれば、早急に動く必要があり、本当に自衛隊が攻撃するかどうかは分かりませんが、「何か仕掛けてきた際は、その銃口が在日米軍に向いていても、日本は本気で対応するぞ」という態度を表明しておくことが抑止力につながると思うからです。
相手が撃ってこないと自衛隊は撃てないとか、友軍が攻撃されていても自衛隊は撃てないということは、自衛隊員を見殺しにしているように思えてなりません。
彼らも戦争を望んでいるわけでもなく、災害も含め、同胞である日本人の生命を守ろうという志で隊員になっており、決して私利私欲で隊員になっている人は一人もいないと思います。本当に立派な職業だと思います。
御存知の通り、ロシアや中国から領空侵犯しようとする航空機に何度もスクランブル発進をし、警告をしていますが、現行のルールではたとえ領空侵犯しても自衛隊は攻撃することはできません。
パイロットにできることは、機体の羽を揺らし、近くの基地に誘導することだけです。ミサイル一発で自衛隊員の命はなくなり、地上攻撃されれば、日本人も死にます。人が良すぎるにも程があるように思います。
日本国憲法ができたときのような宣戦布告を行ってから戦争が始まるというのは現代ではありえません。
911ニューヨーク同時多発テロや最近では親ロシア派によるウクライナのクリミア領占領に見る通り、テロリストやテロリストを利用した、あるいは武装民兵などというような相手がはっきりしない形で戦争が始まる時代です。
だから憲法第9条の改正は必須事項だと思っております。
実際、中国から武装漁民と主張するどうみても中国軍人が尖閣や沖縄に攻め込んできた場合、どうするのでしょうか?
民間人(自称)に自衛隊員は銃口を向けられないとかいう議論が出てくるような気がしてなりません。
安部総理も他の日本人と同様、戦争を望んでいるのではなく、むしろ日本人の生命を守るために集団的自衛権の制定を急いだのだと思います。
左派の方の大半は、目の前に命の危険にさらされている人がいると放っておけない優しい人だと私は感じています。
A新聞も自分たちは正義だと信じ、安部体制を批判しているのだと思いますが、中立を謳っている新聞が一方の意見を掲載するのは報道体制に問題があるように感じます。
中立を主張するなら、右派の意見も掲載するべきであり、社の意見に反する記事は載せたくないのなら、最初から「A新聞は左派新聞です」と公言しなければアンフェアではないでしょうか?
私はアメリカに住んでおりますが、日本はほんとうに良い国でこれからどんな時代になっても良い国として子孫に継承していきたいと思っています。
自分と意見を異なろうと、右派だろうと左派だろうと手段は違えど国を良くしたいという気持ちがあれば、目的が同じなので良い国になっていくと信じています。
そのため、公平と主張しながら自社の意見しか載せないA新聞は世論誘導をしているように感じ危惧しています。
前回のメルマガで、この方の意見に対して返信できない旨を掲載したところ、すぐにメールを頂いた。
しかし、そのメールに返信したところ、また「返信不可」というブロバイダーからのメッセージがあったとハカセが嘆いていた。
今まで、この方のメールに返信できなかったことはなかったのになぜなのか分からないと。
ブロバイダーに問い合わせたところ、他のPCメールの返信は問題ないので、おそらく、この方のブロバイダー、またはメールボックスで、当方のメールが「迷惑メール」とでも認識され、ブロックされている可能性が考えられるとのことやった。
この方は古くからの読者で、今までにもアメリカでの情報を数多く教えて頂いている大切な読者の一人なので、こんな形で連絡できないのは辛い。何とかならないものやろうかと思う。
他の読者の方には関係のない話で迷惑かも知れないが、この方は必ずといって良いくらいメルマガを見ておられるので、敢えてこの話をさせて貰っていると理解して頂きたい。
話を戻す。
この方の意見にかかわらず、今回寄せられた投稿に対してコメントはしないつもりや。
ありのままの意見を見て読者の方に判断して頂ければと思う。
ただ、この方は、
A新聞も自分たちは正義だと信じ、安部体制を批判しているのだと思いますが、中立を謳っている新聞が一方の意見を掲載するのは報道体制に問題があるように感じます。
中立を主張するなら、右派の意見も掲載するべきであり、社の意見に反する記事は載せたくないのなら、最初から「A新聞は左派新聞です」と公言しなければアンフェアではないでしょうか?
と疑問を投げかけておられるので、それについてのみ答えたいと思う。
『中立を謳っている新聞が一方の意見を掲載するのは報道体制に問題があるように感じます』と言われるのは、ごもっともや。
ただ、日本の新聞は所詮、事件や事故のニュース情報を発信することで利益を上げている営利企業にすぎんさかい、どの読者層にアピールするかにより、その報道に違いが出ているのが普通やと思う。
この方の言われるように安倍内閣の『集団的自衛権の行使容認閣議決定』に批判的な報道は、全国紙ではA新聞の他にM新聞があり、逆に肯定的な新聞にはY新聞とS新聞がある。
この問題に関して比較的中立な報道をしているのがN経新聞や。地方紙については、まちまちで話し出したらキリがないさかい、ここでは割愛させて頂く。
新聞それぞれの世論調査の結果に、その傾向が現れている。
Y新聞とS新聞は与党系の読者が多いためか、容認が反対を大きく上回っている。A新聞とM新聞では、その真逆になっている。N経新聞では、ほぼ半々や。
新聞の世論調査の真偽については、ここでは触れんが、概ね、自社の報道に沿ったものが多いと考えて貰うたら間違いない。
『中立を謳っている新聞』というのは建前で、実際は右派、左派いずれかの読者に阿った報道が多いのが実態やと思う。
昔から、Y新聞とS新聞は政府よりの右派が好み、A新聞とM新聞は反政府派の左派が好むといったことは常識的なことでもあるしな。
『中立を主張するなら、右派の意見も掲載するべきであり、社の意見に反する記事は載せたくないのなら、最初から「A新聞は左派新聞です」と公言しなければアンフェアではないでしょうか?』と言われる、この方の気持ちはよく分かるが、『A新聞が左派系の新聞』というのは周知の事実でええのやないかと思う。
Y新聞とS新聞についても同じように右派よりの記事を多く載せ、左派よりの意見は載せないということもあるしな。
その答は、『日本の新聞は所詮、事件や事故のニュース情報を発信することで利益を上げている営利企業にすぎん』ということで分かって頂けるものと考える。
『報道体制に問題があるように感じます』というのも、そういう意味ではA新聞に限らず、すべての日本の新聞が抱えている構造的な問題やと思う。
なまじ新聞は「公器」であろうとするために、中立を主張するしかなく、正論を吐き続けようとするわけや。そこに大きな矛盾を孕んでいるとは気づかずに。
ちなみに海外の新聞報道では、安倍内閣の『集団的自衛権の行使容認閣議決定』については、比較的好意を持って伝えられているが、それは国の事情が違うからやと思う。
憲法で「戦争放棄」を謳っている国は世界では日本だけや。
永世中立国と言われているスイスにしても軍隊はあるし、戦争を放棄しているわけではない。単に、他国のいずれの味方もしないと広言しているにすぎんさかいな。
大半の国、あるいは国連でさえ『集団的自衛権行使』が当たり前の世界では、安倍内閣の『集団的自衛権の行使容認閣議決定』の反対意見など出るはずもなく、好意的に受け止められるのが自然やと思う。
もっとも、中国や韓国あたりでは日本の軍国主義の復活を懸念して反対声明を発してはいるが、それらの国でも『集団的自衛権行使』そのものを反対しているわけやない。
しかし、日本は事情が違う。
憲法で「戦争放棄」を明確に謳っている以上、その憲法に沿った行動を政治家は取らなあかんと思うのやが、安倍内閣の『集団的自衛権の行使容認閣議決定』は、真っ向から憲法に背いた決定をしたとして日本国内で賛否両論が渦巻いているわけや。
他にも、「集団的自衛権の行使容認閣議決定」の賛成意見として、
私の意見です。
私は憲法の改正によって集団的自衛権の行使を可能にすべきだと考えていますが、それが難しく時間がかかるようですので、当面は解釈の変更も仕方ないのかなと思います。
中国の日本に対する尖閣諸島や南シナ海に対する強引な海洋進出、北朝鮮の核ミサイル開発などの動きから、今すぐにでも集団的自衛権の行使を可能にし、日米同盟を強化して、抑止力を高める必要があると考えます。
安倍総理は記者会見で、行使容認の意義について「万全の備えをすること自体が、日本に戦争を仕掛けようとするたくらみをくじく大きな力を持つ」と述べられていますが、私もそう思います。
というのも頂いた。
今度は、「集団的自衛権の行使容認閣議決定」の反対意見や。4人の方から頂いたので続けて紹介する。
私は安倍内閣の「集団的自衛権の行使容認の閣議決定」には反対です。
ゲンさんの言う通り、憲法改正が無理だから解釈の変更を閣議決定でやってしまえというのはとても乱暴なやり方だと思います。
憲法は国民の権利を守り、国家の権力を制限するために存在するものです。国家が簡単にその解釈を自由に変更して良いものではけっしてありません。
憲法を内閣の決定により勝手に変更することができてしまえば、憲法は骨抜きになってしまいます。
本当にその必要があると考えるのなら、こんな無理矢理な決め方をするのではなく、堂々と憲法を改正すればいいじゃないですか。
憲法の改正を断念したということは、国民の支持が得られそうもないと自ら曝露しているのも同じです。
憲法第9条で、日本は軍隊を持たない国、戦争をしない国であることを明確に規定しています。
しかし、他国からの侵害があった場合、国民の生命と財産を守るために、必要最小限度の武力行使は認めるべきであるという理由で自衛隊が作られ容認されてきました。
憲法学者の説では、未だに自衛隊は憲法9条のもとでは許されない存在であるという意見が大勢を占めています。
そのために、たとえ我が国と密接な関係にある国であっても集団的自衛権の発動など許されないとして歴代の日本政府は認めませんでした。
つまり、これまでの歴代の日本政府は自衛隊が合憲であるための要件として我が国に対する他国からの武力攻撃があった場合に限り、武力行使が許されるとしたわけです。
そのことから安倍内閣の「集団的自衛権の行使容認の閣議決定」は、どう言いくるめても憲法違反以外の何物でもないと思います。
これをするのであれば憲法改正の手続をもって憲法を変える必要があります。
憲法の改正には衆参両院の総議員の3分の2以上の賛成が必要で、その上で有権者の過半数の賛成票を得なければいけません。
そうした手続きを取らずに閣議決定で憲法9条の内容を変えてしまう解釈をするというのは一体どんな神経をしているのか疑います。
戦争をすることを前提とする今回の閣議決定には絶対に反対です。
日本国憲法の前文に、「日本国民は恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して我が国の安全と生存を保持しようと決意した」とあります。
日本国憲法は戦争放棄をすることで平和主義を貫いています。人類が追い求めるべき究極の憲法ではないでしょうか。しかも世界に一つしかない素晴らしいものです。
それを安倍総理は軍隊を持てるようにするために憲法を改正しようとし、それができないと悟ると、今度は「集団的自衛権の行使容認閣議決定」といった暴挙に打って出たのです。
そうすれば事実上、自衛隊を軍隊として使うことが可能になると判断したのでしょう。
軍隊は国民を守るために存在しているのではありません。世界中の紛争を見ても分かるように、軍隊は政府に反対する自国民を攻撃して殺しているのが実態なのです。
軍隊によって守られるのは国家という名の統治機構だけなのです。なにしろ軍隊に命令できるのは国家権力を握っている一部の人たちだから当然ですよね。
昔の日本が、そうだったように軍隊を持てるようになれば、その分戦争へと突き進む危惧が高まります。
私は日本の未来のために断固、安倍内閣の「集団的自衛権の行使容認閣議決定」には反対します。
「集団的自衛権の行使容認閣議決定」というのは、あまりにも馬鹿げていて話にもなりません。
自衛の目的以外で、同盟国への攻撃を日本への攻撃とみなして武力行使を認めることなど、戦争放棄を高らかに宣言している日本国憲法のどの条文を引用すれば、そんな解釈が可能だと言えるのか、全く理解に苦しみます。
安倍首相の「従来の憲法解釈の基本的な考え方と変わらない」という発言がありましたが、それで騙される国民がいるとは到底思えません。
安倍首相の「集団的自衛権の行使容認閣議決定」と従来の憲法解釈は全く違います。
今までは自衛権が発動される要件として政府の統一した解釈では、「わが国に対する急迫不正の侵害があること」とされ、「わが国への攻撃があった場合」と明確な基準がありました。
しかし、今回の3要件の1つには「明白な危険」とあるだけで、どんな場合が「明白な危険」なのかという具体的な説明は何もありません。また誰が「明白な危険」だと判断するのかという点も説明されていません。
おそらく、その判断を下すのは首相になるのだとは思いますが、それだと時の権力者の判断次第でどうにでもなるということになりかねません。とんでもない話です。
このような危険な解釈は、時の政治権力の恣意的支配に対抗し権力を制限する立憲主義に反し許されることではありません。
以下は、ネットで見つけた意見の引用です。
○自民党は、これまで、集団的自衛権については憲法改正が必要との立場を貫いてきたのであって、解釈の変更で可能になるなどとする意見はなかった。
○1980年10月14日、当時の鈴木善幸首相は、「集団的自衛権の行使は、憲法の認めている所ではないと考えている」と国会答弁。
○1994年6月13日、当時の内閣法制局長官の答弁でも、「集団安全保障に関わる措置のうち憲法9条によって禁じられている武力の行使、または武力の威嚇に当たる行為については、我が国としてはこれを行なうことが許されない」としている。
○名古屋高裁は、2008年「イラクにおいて行われている航空自衛隊の空輸活動は、政府と同じ憲法解釈に立ち、イラク特措法を合憲とした場合であっても、武力行使を禁止したイラク特措法2条2項、活動地域を非戦闘地域に限定した同条3項に違反し、かつ、憲法9条1項に違反する活動を含んでいることが認められる」との違憲判断を下した。
これらのことから、安倍首相の「集団的自衛権の行使容認の閣議決定」は憲法に違反し無効であると考えます。
以上や。
これらの意見を見られて、どう思われるかは、それぞれにお任せする。
ただ、ほぼすべての方の意見に共通して言えることは、憲法の解釈を変更するのなら「憲法を改正した方が良い」という点や。
今回の問題点は、まさにその一点に集約されるものと思う。
ワシらは、前回のメルマガで「集団的自衛権の行使容認の閣議決定」に対しては否定的なコメントをしたが、せやからと言うて容認するという意見を封殺するようなことはしたくない。
また、ワシらの意見を一方的に押しつけるつもりもない。
反対意見であっても、なるほどと納得できるものであれば素直に聞き、こちらが間違っていると気づけば訂正するくらいの度量は持っているつもりや。
願わくば、こういった問題について若い人たちには積極的に参加して考えて欲しいと思うがな。
もっとも、一部ではすでに「集団的自衛権の行使容認の閣議決定」に関して、若い人たちの動きが活発になっているようやがな。
例えば、
http://www.j-cast.com/2014/07/04209659.html より引用
集団的自衛権「子どもは自衛隊で最低2年訓練」 中高生中心に「LINE」でデマ広がる 2014/7/ 4 18:31
政府が集団的自衛権の行使を容認する閣議決定をした後、無料通信アプリ「LINE」であるデマが中高生を中心に広がっている。
集団的自衛権によって子どもは最低2年、自衛隊で訓練しなければならなくなる、という内容だ。
まったく根拠のない話だが、「子どもの未来を壊さないでと訴えたい!」などと感情的な文面で、ツイッターでもデマが拡散している。
「この思いを安倍総理に届けるために!協力して下さい!」
自民党所属の元衆議院議員・長尾敬氏が2014年7月2日、「こんなメチャクチャな文章の拡散依頼がありました」と長女のLINEのタイムラインに流れてきたという文章をツイッターに投稿した。
大阪のある中学校周辺で出回っているという。子どもが自衛隊の訓練に駆り出され、戦場に行く可能性もあると煽る内容だ。
「集団的自衛権ができたら子供は最低でも二年、自衛隊の訓練をしないといけなくなる!もしこの訓練期間中に戦争があったら戦場に行かないといけないんだって!戦争が始まって反対しても間に合わない」
そして、「安倍総理は軽い気持ちでやってたとしたらこれから未来を作るのは子供たちなのに、子供の未来を壊さないでと訴えたい!!本当に平和を望むものなら、集団的自衛権に賛成する人はいないと思う」と批判を展開した。
最後に情報拡散を求める言葉が、繰り返し書かれていた。
「本当に日本、平和を愛してる」ならば、この文章をコピーしてLINEやツイッターに掲載してほしいと述べ、「この思いを安倍総理に届けるために!協力して下さい」「戦争したくない人まわせ」などと念を押している。
「集団的自衛権の行使容認」によって子どもが自衛隊で訓練させられるというのはデマにもかかわらず、騙されたユーザーがツイッターに同じ文章を投稿している。
プロフィールを見ると中学生や高校生が多く、自画撮りやプリクラの画像をアイコンに使っているユーザーが目立った。
冷静に見る人々からは、「解釈変わるだけだから徴兵されんし、間違った情報流すなよ」「2年間の兵役義務って韓国と全く同じじゃねえか」とツイッターで突っ込まれていた。
また、集団的自衛権の閣議決定があった7月1日から、「自衛官等募集案内」が続々と高校3年生のもとに届き始め、ツイッターで「自衛隊から私の名前宛に手紙届いたんだけど何事なの?こわすぎ」「おっと、自衛隊から名指しでお手紙が来たよ。 これが赤紙と呼ばれるアレか」などと写真をアップし始めた。
集団的自衛権の閣議決定のタイミングに合わせたものではないかという憶測まで一部で飛び交っている。
しかし防衛相の報道室は「毎年実施しているもので、集団的自衛権とはまったく関係ありません。7月1日に実施したのは、文部科学省の初等中等教育長と、厚生労働省職業安定局長の連名による通知に従ったからです」と否定した。
という報道があった。
『「集団的自衛権の行使容認」によって子どもが自衛隊で訓練させられるというのはデマにもかかわらず』というのは、現時点では、そう言えるかも知れんが、未来に目を向けけば、あながちデマとばかりは言えんのやないかと思う。
起こり得る可能性のある未来としてな。
『子どもが』という部分を『若者が』と置き換えれば、それがより現実的になる。
「集団的自衛権の行使容認」により、自衛隊員たちの離職が増える傾向にあるのは確かで、それに加えて自衛隊への入隊希望が減りつつあるという。
それを証明する一例として、こんな記事がある。
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=76498 より引用
集団的自衛権で辞職 元自衛官インタビュー
2014年7月14日 04:55
命は惜しい―。政府が集団的自衛権の行使を容認するために、憲法解釈を変える閣議決定をしてから約2週間。海外での武力行使が現実になろうとしています。自衛隊が「軍隊」化することを危惧し、3月に辞職した20代の元自衛官に、集団的自衛権について、どう考えているのか、聞きました。
―いつ入隊しましたか。
18歳で自衛隊に入って、沖縄県内の基地に配属されました。
―なぜ自衛官を辞めたんですか。
今回の集団的自衛権容認の閣議決定で、海外の「戦闘」に加わることが認められるようになります。自衛隊は、人を殺すことを想定していなかったのでまだ、「仕事」としてやれましたが、今後はそうはいきません。
昇任試験も合格したばかりで、自衛官を続ける道もありましたが、戦争に加わって命を落とすかもしれません。命は大事です。
今後、自衛隊が軍隊化されて、辞めることを決断するのが例えば40代だった場合、社会に出たとしても、通用しないと思いました。
自衛隊の組織内のことしか知らず、世の中のことが分からないから。それなら、自衛隊以外の社会で、自信を持って生きていきたかったです。
―今回の集団的自衛権行使容認をどう捉えていますか。
戦争への参加宣言で、自衛隊の軍隊化だと思っています。自国が攻撃されていないのに、他国の争いに参加して、相手を撃つことになり、日本がテロの標的になる恐れもあります。
今は容認に反対意見が多いですが、政府が容認してしまったことで、仕方ないと考えた国民の支持が少しずつ広がっていくのではないでしょうか。今後は、さらに憲法解釈が拡大していくと考えています。
去年の終わりごろ、秘密保護法が成立して、友人関係や家族についての調査がありました。国に管理されることに違和感がありました。統制のために政府が強引に法案を通したようにしかみえませんでした。
秘密保護法の成立で、集団的自衛権の行使容認への流れはできていたと思います。日本が主体となる戦争が今後、起こることも否定できません。
―自衛官になった経緯は?
小学生のころから、かなりの貧困生活でした。働きながらスポーツをしていた時、「自衛官募集」のポスターをたまたま見かけました。
衣食住を保証するとの趣旨の内容が書かれていたので、すぐに飛びつきました。給料は家族に仕送りしました。
―辞める直前まで、元同僚たちと集団的自衛権についてどんな話をしていましたか。
話題にも出ませんでした。自衛官は死ぬことは考えていません。自衛官も一生活者。先輩たちからは、「定年まで国に面倒を見てもらえるよ」と何度も言われましたし、ある先輩は「自分たちが自衛隊にいる間は何も起きないよ」と言っていました。
でも、そんなに楽観的に考えられませんでした。政権や世界情勢によって、自衛隊の立ち位置は変わります。
10年後、どうなっているのか分かりません。定年まで無事という言葉は信用できませんでした。仕事としての自衛官なので、全ての自衛官が、24時間、国を守るという気概があるかは疑問が残ります。
―訓練内容は、入隊したころと辞める直前で変わりましたか。
安倍政権になってから、内容が大幅に変わりました。人を標的とする訓練が始まりました。これまでは、相手を捕獲することが基本でしたが、もう今までと違います。軍隊としか思えません。
1年に2回だった実戦訓練は実際、増えました。人殺しは嫌です。これからは、自衛隊をやめる人がもっと増えるかもしれません。
―集団的自衛権の行使で懸念することは。
元自衛官を政府がどう扱うかという点です。
今は、自衛隊を辞める時に、予備自衛官や即応予備自衛官になるか、何の関わりも持たないかを選びます。でも、集団的自衛権の行使で、自衛官のなり手が少なくなっていった場合、予備自衛官にならなかった人も有事の場合は召集されるのではないかと考えています。
もう自衛官は、安定した仕事ではありません。
―集団的自衛権の行使で、自衛隊はどう変わると考えていますか。
仲の良い国から要請があれば、多くの自衛官が紛争地域に行くことになります。でも、今の自衛隊は人を殺すことを基本的には想定していません。
米軍との共同訓練が、年に数回あるが、余りにも米軍と力に差があると思いました。防衛が主の日本は、大勢の自衛官が犠牲になる可能性があります。
米兵でも、イラク戦争に行った人が、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しんでいます。集団的自衛権が行使されれば、自衛官たちは精神的にも大きな影響が出ると思います。
亡くなった場合の弔慰金も気になります。イラク復興で派遣された時は、殉職した場合、政府は家族に最大で1億円給付するとしていました。
でも、集団的自衛権の行使で多くの人が亡くなった場合、税金で全てを賄うことは難しくなって、額も減るのではないでしょうか。
2年前、自民党は自衛隊を「国防軍」や「防衛軍」に名前を変えることを議論した経緯もあります。
そうなると、もう軍隊です。政府は、秘密保護法、集団的自衛権を強行してきています。自衛隊が軍隊に変わる日は、そう遠くないと思います。
現在、この自衛官のような考えの人が確実に増えているという。
安倍総理の「集団的自衛権の行使容認」の背景には自衛隊を軍隊にしたいという思いがあるのは、本人の弁から間違いない。
将来、安倍首相の願いが叶って自衛隊が正式な軍隊になった場合、自衛隊員が減りすぎていれば軍隊の体をなさんさかい、「徴兵制」というのもあながち考えられんことではない。
少なくともそういった危惧を抱く人は多いさかい、まったくのデマ情報とは言えんのやないかと思う。
昔流行った「不幸の手紙」ほどの悪質性はないと考えるし、そういった危惧を抱くのも、この問題に対する一つの意見表示だと考えることもできる。
そうであれば、この記事のように頭から否定するのは、どうかとは思うがな。
起きる可能性のあることを先読みして警告を発するのは何も間違ったことでもないしな。
例え、その予測が当たっていなかったとしても未来は、その時になってみな分からんわけやから、現時点で間違い、デマやと言い切ることは誰にもできんと思う。
『これから未来を作るのは子供たちなのに、子供の未来を壊さないでと訴えたい!!』、あるいは『本当に平和を望むものなら、集団的自衛権に賛成する人はいないと思う』というのも立派な意見やさかいな。
そのメールは『中学生や高校生』の間で流行っているということやが、近い将来を考えた場合、彼らにとっては切実な問題になる可能性があるわけや。
むしろ、その記事のように、それをデマとして片付ける感覚の方が怖いと思うがな。
その情報の拡散を是が非でも抑えつけたいようにワシには見えるさかいな。
いずれにしても、今回の安倍首相の「集団的自衛権の行使容認の閣議決定」については、過去にも類を見ないほど政治に対して若い人たちが関心を持つようになっているのは確かなようや。
それ自体は、ええことや。
政治は、所詮他人事、別世界の話と考えるから関心がないだけで我が身に降りかかってくる可能性のある問題の場合は、誰でもそれなりに考えるものやというのが、このことでよく分かる。
そして、政治は国民の多くが真剣に考えることで変わるのやと思う。
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