メールマガジン・ゲンさんの新聞業界裏話・バックナンバー

第327回 ゲンさんの新聞業界裏話


発行日  2014. 9.12


■ゲンさんのよろず相談あれこれ Part13


先々月と先月、および前回まで、サイトとメルマガの10年を振り返っていたために、予定していた掲載分が遅れて、かなり溜まってきた。

また、その間に新たな新聞業界の問題が起きたということもあり、話さなあかん事案が幾つもできた。

読者の方々には申し訳ないが、それらをこれから順次話していくつもりなので、ご理解頂きたいと思う。

今回は、


この回答は、当メルマガの『■ゲンさんのよろず相談あれこれ Part13』で掲載させて頂く予定にしています。

尚、掲載日につきましては今のところ未定です。予定としましては9月上旬頃になるかと思います。

また、投稿者の特定、および業者の特定に繋がる記述は削除、変更していますので、その点ご理解して頂ければと思います。


と、相談者の方には早くから約束していたので、そうさせて頂く。


事例1.ネットオークションで中古エアコンを落札し、トラブルになった


相談内容

ネットで『第105回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■ネットの危険 その1 ネットオークション訴訟について』(注1.巻末参考ページ参照)を拝見しました。

私がこれから小額訴訟行うのに大変参考になると感謝しています。


当然やが、目の前で商品を手に取っての判断ができんインターネット・オークションで購入するからには、そういった危険やトラブルは覚悟しとく必要があるとは思う。

せやからと言うて、そんなあこぎな連中を野放しにしてええとは言わんがな。

泣き寝入りすれば、そんな連中をつけ上がらせ増殖させることになるだけやから、正当な権利を主張して訴えるべきものは訴えたらええ。

民事訴訟というのは、そのためにあるわけやさかいな。


私も同じ思いです。下記に私の事例を記します。 

と言っても素人がくどくど記すとかえって分かりにくく、誤解を与えますので出来る限りYAHOOオークション取引、出品者、私=落札者のコピーを貼り付け、随時補足等したいと思います。

中古○○○○ルームエアコンを落札 

2008年製  
冷房能力 2.2kw 〜9畳程度(コンクリート)
暖房能力 2.2kw   6畳程度 単相 100V 
付属 室外機 リモコン 取り付けパネル 架台 
別途 配管、配線等が必要となります。配管エンド処理済み。


出品者による商品状態説明

取り外し時に動作確認済み、ポンプダウンにてガス回収済み動作確認済みでポンプダウン済みの商品ですがガスの残量に関しましては不足の場合があり補充を要する場合があります。

初期不良の場合受け取り後7日以内で返金対応致します。万が一初期不良の場合は返品、返金対応します。


返品条件

専門業者さん取り付けの場合。

受け取り後7日以内のみとなり8日目以降には如何なる場合も対応出来ません。

返金などは商品代金及び送料のみとなり工事費用等は対象外となります。ガス補充費用は初期不良対象外となります。


上記のような内容の保証問題で出品者と私の見解が大きく違いもめてます。 

その内容、経過説明をするより、この出品者の評価YAHOOシステム利用で、非常に悪い。現在は小額訴訟手続き完了をふまえ判決まで中立評価=どちらでもない。

この評価の書き込みを参考にしたほうが分かると思います。

オークション検索して頂ければ、この出品者の評価閲覧できると思いますので貴殿の率直なコメントをお願いします。


コメント一例


評価システムは応札の参考に役立てる。情報提供してきましたが、類似する保証問題を明確にする為訴訟手続きをしています。

初期不良保証を受けるには、ガス補充に関する以外の故障に限るのか、この見解が論点に。

判決が下りるまで中立とし後、結果記載します。


補足

商品受け取り後、ガスが入ってないと確認。後に交渉するがガスに関して保証しないを出品者が主張。

順序として7日以内に初期不良保証を受ける為返品。しかし、受け取り拒否された。

その後メール電話などで拒否理由確認をするが全て回答なし。

後、電話が通じたので理由を聞くと「初期保証はガス補充に関する以外の故障のみ保証する」と返答。 

素人考えで商品の性質上、クーラーはガスが何らか関係してるのでこの出品者は初期不良保証する気が無いと思った。

以上です。
 

回答者 ゲン


『私がこれから小額訴訟行うのに大変参考になると感謝しています』と言うて貰えるのは嬉しいが、このケースは、あんたが考えておられるほど簡単に済むような問題やないと思う。

少額訴訟は即日結審が基本やから、ややこしく難しい判断が必要な事案は通常裁判になる可能性が高い。

あんたが見られたという当メルマガ『第105回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■ネットの危険 その1 ネットオークション訴訟について』(注1.巻末参考ページ参照)の中の『少額訴訟のポイントあれこれ』で、

『少額訴訟制度とは、日本の民事訴訟において、60万円以下の金銭の支払請求について争う裁判制度のこと』

と言うてるように、客観的に判断して明らかに損害を受けている状態だと分かる事案でないと、少額訴訟での審理、および裁定が下るのは難しいのやないかと思う。

今回の争点は、『商品受け取り後、ガスが入ってないと確認』したから初期不良保証の対象になり返品して代金を返還して欲しいと主張するあんたと、

『ガスの残量に関しましては不足の場合があり補充を要する場合があります』

と事前に説明しているため『ガスに関して保証しない』から初期不良保証の対象にはならず保証もしないし、返金もしないという業者の言い分との争いになるものと思う。

まず、あんたの言われる『商品受け取り後、ガスが入ってない』と確認したというのが誰かという点が問題になる。

この場合、第三者の証言が必要になる。具体的にはそのエアコンの取り付けを請け負った業者の証明やな。

それがあれば初期不良を主張できる可能性もあるが、あんたは業者にガスの充填作業は依頼していないようやから、おそらくその証明は得ていないのやろうと思う。

業者も実際にフロンガスの充填をしないと完全に抜けているのか、僅かでも残存していたのかが分からんさかいな。

分かっているのは、このまま取り付けてもガスが抜けているのでエアコンとして機能しないということや。

そのため業者の多くは、再設置時にはフロンガスの充填を勧める。

いくら『ポンプダウンにてガス回収済み』であっても取り外しから取り付けまで1年以上を経過している場合、フロンガスが抜けている可能性が高く、ガスの充填をしないと使い物にならないケースが多いさかいな。

但し、フロンガスが完全に抜けているとは言えない場合も多いとのことや。

僅かでも残存していれば『ガスの残量に関しましては不足の場合があり補充を要する場合があります』という『出品者による商品状態説明』があるため初期不良とは言えないと主張するものと考えられる。

そのことを事前に出品者側が告知する必要があるのか、またその程度の知識はネットで調べてもすぐに入手できるから知らない者が悪いとされるのかは、裁判所、およびYAHOOオークション運営側の判断でも違うてくるとは思うがな。

ただ、法律的な面だけで言えば『ガスの残量に関しましては不足の場合があり補充を要する場合があります』とあれば、フロンガスを充填しないとエアコンが作動しないケースであっても免責される可能性は高いとのことや。

ちなみに、その出品者である業者は、一般家庭から無料、もしくは低価格で中古エアコンの取り外しと回収を請け負っているリサイクル業者のようやから、その点で言えばプロということになる。

おそらく、『ポンプダウンにてガス回収済み』というのは、きちんとしているものと思う。YAHOOオークションに出品するためにな。

あんたが言われているように、『初期不良保証を受けるには、ガスの補充に関する以外の故障に限るのか、この見解が論点』になるものとワシも思う。

そして、その結論は『即日結審』で裁判官が判断するのは難しいやろうから、あんたが提起した少額訴訟にはそぐわない可能性が高く、通常裁判に移行するものと考えられるということや。

通常裁判に移行した場合、個人でも訴訟はできるが、相手がその道のプロの場合は専門の弁護士がいないと、かなり難しい闘いになるやろうと思う。

少額訴訟で決着がつくのなら、それほどでもないが通常裁判になり裁判費用、弁護士費用などを考えると費用対効果という点では割に合わんのやないかと考えるがな。

もっとも、結果については裁判やから何とも言えんので、どうするかはあんたの判断次第やと思うので納得される方法を選ばれたらええ。

『貴殿の率直なコメントお願いします』と言われるのであれば、以上が、ワシの正直な感想ということになる。


事例2.町長名義の「町営住宅における大・猫の対応について」の通知書がきて困っています。


相談内容

その節はありがとうございました。

『第125回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■公営住宅でのペット飼育の是非について』(注2.巻末参考ページ参照)を見て勇気が出て何人かで今いる犬猫が死ぬまで面倒をみるということで署名活動をしてこの団地内では8割以上の賛成をしてもらい提出しました。

4月位まで何も言われませんでしたが、それから又寄ってくださいということでいったところ11月までに対処しないと家賃を2倍にするとか強制退去させるとか言われました。

何が抵触するのか聞いたところあとから入居した人がアレルギーだと困るから迷惑をかけていると言われました。

こんなことはおかしいと思います。現在迷惑をかけているのが前提だと思うのですが博士はどう思われますか。

テレビを見ていると暴力団が脅したりしたら罪になるのに役場の職員や副町長が言ってもいいのでしょうか。

文を書くことがあまりないのでまだまだ言いたいことはあるのですが上手く表現できませんので書類を添付しておきます。

よろしくお願いします。


町営住宅における大・猫の対応について(通知)


説明会又は在宅訪間でもお話しさせていただきましたように「町営住宅では大く猫を飼うことはできません」のでその主旨をご理解いただき、ご協力をお願いいたします。

なお、今後は、下記により対応を進めてまいりますので、通知いたします。



○ 犬、猫は町営住宅で飼育することはできませんので、平成26年10月31日(金)までに対応してください。

○ 対応目標期日をお知らせください。(8月末から別紙の対応状況報告書により毎月末に報告ください)

○ 平成26年10月31日(金)までに対応されない場合は、条例及び規則により期日を定め明渡し請求を行うこととなります。

家賃については明渡し請求日の翌日から毎月近傍同種家賃の2倍相当額を徴収することとなります。

また、期日を過ぎても対応いただけない場合は強制退去・していただくこととなります。

町営住宅は入居要件はあるもののみんなの住宅です。

身体状況等についても様々な方が入居されることを前提に居住環境を整えなければなりません。

このことは皆さまもご理解いただいておりますので、10月末までに対応いただきますようよろしくお願いいたします。


以上です。


回答者 ハカセ


『町営住宅における大・猫の対応について(通知)』の内容には法的拘束力はないものと考えられます。

それに従わないからと言って『期日を過ぎても対応いただけない場合は強制退去・していただくこと』などできませんし、自治体がペットを飼っていることのみを理由に裁判所に強制退去を求めることなど考えられません。

少なくとも、そういった事例は皆無ですので。

実際に、そういうことになれば全国の動物愛護団体、市民団体から突き上げられて大変なことになるでしょうね。

そのくらいはどの自治体でも承知しているはずです。

ですので、そちらが言われるように、ただの脅しだと思われます。

おそらく、そうきつく言えば驚いてすぐに対応するだろうと考えてのことでしょう。自ら退去してくれるだろうと。

それに『町営住宅における大・猫の対応について(通知)』というのは公文書にもかかわらず、町のHPには記載されていません。

ひた隠しにしているようです。そのことだけも町の自信のなさが見て取れます。

もっとも、町では『ご協力をお願いいたします』と書いているので、あくまでも「お願い事」だと言って、脅しではないと逃げるでしょうがね。

ただ、「お願い事」は所詮「お願い事」でしかありません。その「お願い事」を理由に強制退去などできるはずはないと考えます。

公団が入居者に対して強制退去を執行できるのは家賃の不払いがあった時くらいのものです。

それにしても『あとから入居した人がアレルギーだと困るから迷惑をかけていると言われました』というのは無茶苦茶な論理ですね。

そんなことを自治体の公務員の方が仰ったというのは信じ難いことです。

もっとも、それを言うのは差し障りがあるということで、『町営住宅における大・猫の対応について(通知)』では『身体状況等についても様々な方が入居されることを前提に居住環境を整えなければなりません』という和らげた表記をしているのでしょうけどね。

日本の法律は事が起きてからでないと罪に問うことはできません。裁判にすら持ち込むことはできません。

これから起きることを予想して、先に罰を下すというのは私刑に該当します。そして、日本の法律は私刑を認めていません。

日本は民主主義国家、法治国家なのです。まして公僕である公務員は、その法を遵守する必要があります。

それだけを取ってみても、その『町営住宅における大・猫の対応について(通知)』なるものが、如何に無法な言い分であるかということが分かると思います。

過去のメルマガを見て貰っているので分かって頂いていると思いますが、その『町営住宅における大・猫の対応について(通知)』にあるようなことが本当にできるのなら、すべての公団でそうしているはずですよ。

しかし、現実にはペットを飼っているというだけの理由で強制退去させられた例はありません。

もっとも、強制退去に追い込むような有言無言の圧力をかけられ泣く泣く、自ら退去された方は数多くおられるようですがね。

今回も、それを狙ってのことでしょう。

行政が、ペットを飼っているということを理由に強制退去をさせるには、そのペットが具体的に誰かに危害を加えた、あるいは重大な損害を与えたといった事案と証拠があり、裁判所がそれを悪質だと認めた場合のみです。

何度も言いますが、ペットを飼っているというだけでは絶対に罪には問えません。公団での「ペット飼育禁止法」という法律でもできない限りは。

そして、罪に問えない人を行政が強制退去になどできません。当たり前のことです。

『家賃については明渡し請求日の翌日から毎月近傍同種家賃の2倍相当額を徴収することとなります』というのも馬鹿げています。

それだと、まるでペットも家賃を払えと言っているのと同じですからね。

日本の法律では、犬猫などのペット動物は「物」でしかありません。犬猫などのペットに危害を加えても「器物損壊」にしかなりませんからね。

どんなに思慮の足らない人でも「物」に家賃を払えとは言いませんよね。私もそんな話は今回初めて聞きました。

ちなみに、これも私刑に相当する愚行です。

そんなことを本気で町がするとは思えませんが、万が一、そんな愚策に出た場合は裁判の場で堂々と戦えばよろしいでしょう。

はっきり言って、町は町営住宅に住んでペットを飼っている人たちを甘く考えすぎているのだと思います。

毅然として受けて立つだけで、そんな無謀な町のやり方に負けることはないと考えますが、不安であれば、同じような悩みを持っておられる団体に連絡されて協力を依頼されてはどうかと思います。

また、メルマガで度々紹介している、その道の専門家、植田勝博法律事務所(注3.巻末参考ページ)に相談されれるのもよろしいのではないかと考えます。

他にもネットで探せば、力になってくれそうな法律家の方、および市民団体の方々が多数おられますので、できるだけ多くの方の協力を得て、町と立ち向かわれた方がよろしいかと思います。

一人一人は弱くても集まれば大きな力になりますので。


以上や。

このシリーズもすっかり定着した感がある。

ネットには様々な相談サイトがあるとは思うのやが、ワシらのような者にまで畑違いの相談をして来られる方が後を絶たんという現状がある。

それらの相談サイトが物足りないのか、自分の悩みをどこに相談して良いのか分からないのか、あるいは藁にでも縋りたい一心なのか。

そのいずれかやとは思うが、切実な悩みについては、ワシらのおよぶ範囲で答えてあげたいと考えている。

ただ、相談内容が特殊なためか、やはり非公開を希望される方が多い。

そのため、このシリーズに掲載しているのは、その中の一部にすぎんわけや。

ここに掲載すれば、同じような悩みを持たれている方々の役に立つからと説得はしとるのやけど、無理強いするわけにはいかんから仕方ないがな。

例えそうであってもこれからも長く続けていきたいシリーズであることには変わりはないがな。



参考ページ

注1.第105回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■ネットの危険 その1 ネットオークション訴訟について
http://www3.ocn.ne.jp/~siratuka/newpage19-105.html

注2.第125回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■公営住宅でのペット飼育の是非について
http://www3.ocn.ne.jp/~siratuka/newpage19-125.html

注3.植田勝博法律事務所
http://www.hou-nattoku.com/lawyers/lawyer_detail.php?lawyer_id=15674


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