メールマガジン・ゲンさんの新聞業界裏話・バックナンバー
第329回 ゲンさんの新聞業界裏話
発行日 2014. 9.26
■新聞販売店物語……その13 身勝手な言い分の内容証明郵便
「何や、これは?」
ドウジマ新聞販売店の店主ドウジマは、一通の郵便物を受け取って怪訝そうにそう呟いた。
それは内容証明郵便だった。正しくは配達証明付きの書き留め郵便やが、封筒の表に赤文字で印刷された「内容証明書在中」とあったので、それと分かったわけや。
差出人はミヤケ。3ヶ月の試用期間終了後、契約の延長はしないと通告した男だった。
慢性的な人手不足に悩んでいたドウジマは、なるべくならミヤケを辞めさせたくはなかった。
しかし、使えない男を雇っておけるほど店に余裕はない。
もっとも、使えないと言ってもミヤケが特段仕事ができない、他の者より劣るというわけではない。
誤配や遅配はあっても許せる範囲内で、仕事ぶりもどちらかと言えば真面目な方だった。風邪で休んだ以外は欠勤もしていない。
労働力という面では、まずまずの及第点を与えられるレベルにはあった。
ただ、性格に難があった。何かにつけ反抗的な態度を取る。それは店主であるドウジマに対してだけやなく、専業仲間に対しても同じやった。
自分勝手な正義感を振りかざし、相手を押さえつけようとする。迎合するということを知らない。
ミヤケは40歳を超えていて店では最年長ということもあるのか態度が大きい。新入りという謙虚さが、まるでない。
当然のように、他の専業たちから嫌われていた。
それだけやなく、顧客とも、ちょっとしたことから揉めて喧嘩をするような男やった。それで取り消された契約が幾つもあった。
とにかく他人との折り合いが悪い。新聞販売店は客商売やから、それでは勤まらないし、困る。トラブルを招く人間は雇えない。
それがミヤケを正規雇用の正社員にしなかった理由だった。
ただ、そのことは本人には言っていない。言えば、ミヤケのことだから大声で怒鳴り散らし文句を言ってくるのは分かり切っていたので、面倒だったからだ。
そんな説明をするよりも3ヶ月の試用期間終了後、契約の延長はしないと通告する方が簡単で揉めないだろうと、ドウジマは考えた。
事実、ミヤケは不承不承ながら引き下がった。ドウジマは、それで終わったと思っていた。
しかし、そのミヤケから内容証明郵便が届けられた。
ドウジマは、その内容証明郵便を開けた。
それには、
通知書
平成○○年○月○日。私、ミヤケは貴社、ドウジマ新聞販売店を不当に解雇されたので、ここに解雇予告手当、および慰謝料として金百万円を請求するものである。
貴社の言い分は3ヶ月の試用期間終了後の契約の延長はしないということだったが、それは解雇に当たる。
当然解雇するには解雇するだけの理由がなければならない。よって、解雇理由証明書の提出を求める。
また、私、ミヤケは貴社、ドウジマ新聞販売店の従業員であったと同時に長い間購読者でもあった。
その私の住む地域への○○社の広告チラシが毎回意図的に入れられていないため、私は不公平ではないかと抗議したが聞き入れてはもらえなかった。
その理由についても説明を求める。その返答次第では新聞社に告発することを考えている。これは新聞の信用を失墜させる行為だからである。
私、ミヤケは貴社、ドウジマ新聞販売店の従業員時代、店主ドウジマ氏より再三に渡りパワーハラスメントを受け精神的に参っている。
例えば、私の配達受け持ち区域で些細な問題から顧客と揉め、その顧客が悪いにも関わらず私だけが一方的に責められたことがあった。
購読者から苦情の電話があり、ドウジマ氏はその購読者との対応の中で「当方の配達員ミヤケが悪い」という趣旨のこと言い続けて謝っていた。
その時、私からの状況説明に対して「言い訳はしないで下さいよ」と不誠実な対応をされた。
なぜ正しいことをした私が悪者にされないといけないのか。私はいたくプライドを傷つけられた。
よって店主ドウジマ氏のパワーハラスメントを受けたことによる精神的苦痛に対する慰謝料も合わせて請求するものである。
と、あった。
メルマガの読者でもあったドウジマは、ワシらに相談してきた。
ハカセさん、ゲンさん、お久しぶりです。
今日は、ちょっと相談に乗ってもらいたくてメールしました。
実は先月、試用期間終了後に契約を解除した者から内容証明郵便が届いたのですが、それについて、お二人のご意見をお聞かせください。
試用期間が終った後に契約を解除したことは、通常の社員と同じような解雇に当たるのでしょうか?
その従業員の言うように解雇理由証明書の提出をしなくてはならないのでしょうか?
私のしたことはパワーハラスメントになるのでしょうか?
以上宜しくお願いします。
回答者 ゲン
『試用期間が終った後に契約を解除したことは、通常の社員と同じような解雇に当たるのでしょうか?』ということやが、近年の判例ではそういう流れになっているようやな。
試用期間中は本採用とは違うから使用者側の裁量で、試用期間が終了すれば簡単に労働者を辞めさせることができると考えている経営者は多い。
一般にも、そういう認識の人が大半やろうと思う。
正直、ワシもそう考えていた。試用期間後の採用不採用の決定権は使用者側にあると。
しかし、実際は違うようや。採用後の数ヵ月を試用期間とした場合、よほどの理由がない限り、継続採用を拒否するのは解雇と見なされる場合がある。
試用期間中の労働契約は法律上、「解約権留保付き労働契約」と言う。
その名の通り解約権が留保されているさかい、試用期間中に社員としての適格性を見て、適性がないと判断した場合、使用者は留保した解約権を行使することになる。
それについては、一見何の問題もなさそうに思えるが、使用者側の一方的な意思によって試用期間中または試用期間終了後の本採用拒否をすると、法律上は解雇したと見なされるようや。
近年の判例では、さしたる理由もなく一方的な使用者側の判断だけで、試用期間中または試用期間終了後の解雇が認められるような流れにはなってはいないという。
試用期間中であろうがなかろうが通常の解雇と同等の重大な事由がない限り解雇は認められないということになっているわけや。
試用期間中または試用期間終了後の解雇のハードルは世間で考えられているよりも高いと。
ただ、あんたの場合は、
『ただ、性格に難があった。何かにつけ反抗的な態度を取る。それは店主であるドウジマに対してだけやなく、仲間の専業同士でも同じやった』
『顧客とも、ちょっとしたことから揉めて喧嘩をするような男やった。それで取り消された契約が幾つもあった』
ということのようやから、その状況次第では正当な解雇事由に該当する可能性もある。
それを教えて貰えんやろうか。第三者の立場で判断したいと思うので。
『その従業員の言うように解雇理由証明書の提出をしなくてはならないのでしょうか?』というのは、そうした方がええやろうな。
そのミヤケとかいう人間が裁判を起こした場合、単に試用期間終了により契約の継続をしなかったというより、確固たる理由があった方がええさかいな。
『私のしたことはパワーハラスメントになるのでしょうか?』というのも、その状況次第やな。
すべては、その経緯を聞かせて貰ってから判断したいと思うので、その時の状況を教えて頂きたい。
と回答した数日後、ドウジマから返答があったので、それにも答えた。
回答ありがとうございました。
私の記憶している限りの経緯をお知らせします。
ある日、突然、ミヤケが「どうして俺の配る地域にだけ、いつも○○量販店のチラシが少ないんや。同じ新聞代を払っている者に対して不公平やないか」と怒ったような口調で言ってきました。
それに対して私は「あんたは、そんなことを気にしなくて良いから配達してくれ」と言いました。
正直言って、いつも反抗的な態度のミヤケには辟易していましたので、詳しい事情を話す気にはなれなかったのです。
どうせ話しても理解しないだろうという思いもありました。話すことでチラシの依頼主に迷惑がかかるかも知れないと考えました。
実は、○○量販店のチラシはミヤケが言うように他と比べて少ないのです。
当店では3千部を扱っているので最低でも3千枚のチラシを納入してくれないと、すべての顧客に配れないと言ったのですが、当店に割り当てられるのは2千5百枚しかないので、それで配れるだけ配って欲しいということでした。
○○量販店の担当者が言うには、経費の関係で刷れるチラシの枚数が決まっていて、地域の販売店すべての希望どおりのチラシは渡せないとのことでした。
そこで、その○○量販店の担当者と相談して、ある特定の地域だけは入れなくても良いということになったのです。
こういうケースは○○量販店に限らず、よくあることです。
極端な例では千枚のチラシだけ持ってきて特定の地域だけに配布してくれというケースまであります。
ミヤケが不公平だと言うのはわからなくもありませんが当店としては依頼主の意向ですから、どうしようもないのです。
それをミヤケに説明すれば良かったのでしょうが、彼にその説明をすると、その内容を他で喋られるおそれがありますので、できませんでした。
実は、その時ミヤケは「俺だけやなく、俺の家の周りの人らも不公平だと言うとるんや」と言いました。
私が「なんで、客がそんなことを知っているんや?」と訊くと、なんと「その客たちは昔からの知り合いだから俺が知らせた」と言うのです。
私は、かっとなり「なんちゅうことをするんや。言うてええことと悪いことの区別もつけられんのか」と怒鳴りました。
すると、ミヤケは「本当のことを言うて何が悪い」と開き直る始末です。こんな人間には何も言えないと思いました。
ミヤケに契約の延長を断った直後、その地域の客数名が解約すると言ってきました。理由はチラシの入れが不公平だからということでした。
そのうちの一人に確認を取ると、やはりミヤケから「チラシの入りが他とは不公平になっている。あんな店からの新聞を取るのは止めた方がええ。損をするぞ」と言われたとのことでした。
他にもミヤケが顧客と揉めたことが原因で顧客を失ったことが何度かありました。
ある朝、ミヤケの配達区域の客から店に苦情の電話がかかってきました。
「雨で新聞がびしょ濡れやないか」というものです。
私は今年は雨が多いということもあり、ちょっとでも天気が怪しいと思えば新聞をビニールでラッピングするようにと配達員たちに通達していました。
その日は前日の天気予報では明け方から、かなりの高確率で雨が降るという予報があったので私は配達員全員に新聞を1部ずつビニールでラッピングするように指示しました。
しかし、ミヤケだけは、それをしなかったのです。
他の者が、それとなく注意をしたそうですが、「俺はええんや。雨が降っても、ちゃんと濡れんようにしとるさかい」と言って聞かなかったそうです。
その注意した人間も、あまりしつこく言うとミヤケにキレられると考え、面倒なのでそれ以上は何も言わなかったとのことです。
そのことを知った私は「あんたがラッピングせんかったから、こんなことになったんやろ。○○さん宅に新しい新聞を持って謝りに行け」と指示しました。
普通、そう言えば殆どの従業員は素直に言うことを聞くものですが、ミヤケは「○○の所に謝りに行くのは嫌だ。悪いのは○○の郵便受けで俺やない」と言い張りました。
私は「ごちゃごちゃ言わんと新しい新聞と詫びの品を持って謝りに行け。これは業務命令や」ときつい調子で言いました。
「ええか、どんな理由があろうと客宅に濡れた新聞を届けた側に責任があるさかい、くれぐれも客には逆らうなよ」と念を押し釘を刺しておきました。
しかし、ミヤケは、その客と揉めて喧嘩になり、その客は怒って契約を解除すると通告してきました。
ミヤケは、その客の郵便ポストは雨漏れがするから悪いのだと言い張りました。
ミヤケは最後まで新聞の落とし込みをしていたから、通常のポストなら雨で濡れるはずはないと言い、ポストに問題があるから買い替えた方が良いとまで言ったそうです。
それで、その客と口喧嘩になったようです。
その客は「以前ならビニールで包装され雨に濡れることなどなかったのに、それをせず、うちのポストが悪いから取り換えろと何事だ。解約する」と怒って電話をかけてきました。
そう言われると、どうしょうもありませんでした。
それに似たようなことが他にもいくつかありました。そして、これでは使えないと判断して本採用をしないことにしたのです。
私はミヤケに対して不始末をしたことで怒ったことはありますが、それがパワーハラスメントということになるのでしょうか。
私には到底納得できません。
以上が、私の覚えている経緯です。
それでは、宜しくお願いします。
回答者 ゲン
ワシは、ミヤケから送られてきたという内容証明郵便の内容から正規の雇用関係にある従業員であっても解雇に相当する理由がありそうに感じた。
それもあり、あんたに『状況次第では正当な解雇事由に該当する可能性もある。
それを教えて貰えんやろうか。第三者の立場で判断したいと思うので』と頼んだわけやが、あんたからの返事を見て、ワシの判断は正しかったと確信した。
前回の回答で、『試用期間中であろうがなかろうが通常の解雇と同等の重大な事由がない限り解雇は認められないということになっている』と言うたが、裏を返せば『通常の解雇と同等の重大な事由』があれば問題ないということになる。
そして、あんたのケースは、その重大な事由があるものと考えられる。
それを今から説明する。
特定のチラシが少ないことについてミヤケは内容証明郵便の中で『○○社の広告チラシが毎回意図的に入れられていないため、私は不公平ではないかと抗議したが聞き入れてはもらえなかった』と言っているが、これは、あんたの言われるように、やむを得なかったと解することができる。
『チラシが不足している』ということについては、あんたの説明しているとおり、チラシ納入業者が販売店の指定する部数より少なく納入しとるからや。
チラシが余っていて、そのチラシをわざとその地域にだけ入れていないというのなら問題やが、そうでなければ「ないものは配達できん」わけやさかい、どこかの地域で、そのチラシが不足するのは避けられんことやと思う。
その不足分が、その販売店では、あんたが配達する地域に集中しとるということになる。
普通なら、チラシの枚数が足りないというケースの方が少ないのやが、最近はそうとばかりは言えんようになっとる。
一般的な販売店では予備紙、押し紙、積み紙といった余剰紙と呼ばれる配達されない新聞があり、販売店はその分を含めたチラシの納入を依頼業者に納入するように伝えとるはずや。
そのため、チラシが余るのが普通や。
しかし、中には、その○○量販店のようにチラシの制作費用の問題でチラシ納入業者が少なめにしかチラシを届けてないというケースも結構多いと聞く。
チラシの制作費が高くつくため、チラシの枚数そのものを最初から少なく作っている場合が、それや。
例えばそのチラシ納入業者が、そのチラシを1万枚しか制作していなかったとする。
それを配布することで効果が上がると見込まれる地域に該当する新聞販売店が5軒あったとする。
その場合、その5軒の新聞販売店の納入依頼部数の合計が1万1千部あれば、1千部はどうしても納入できないということになる。
足りない1千部の振り分けは、その納入業者の判断次第なわけや。それが数百部になるか、数十部になるかは、それぞれの販売店毎に違うてくる。
あんたは、そのチラシが少ないことに関しては、そのチラシ納入業者である○○量販店に、『当店では3千部を扱っているので最低でも3千枚のチラシを納入してくれないと、すべての顧客に配れない』と言っている。
それを言うておかな、購読客から直接、その○○量販店に「あんたのところの折り込みチラシが新聞に入っていない」という苦情が行った場合、困ることになるさかいな。
『あんたの店に割り当てられるのは『2千5百枚しかないので、それで配れるだけ配って欲しい』と言っていて、『その○○量販店の担当者と相談して、ある特定の地域だけは入れなくても良いということになったのです』ということなら、
その苦情に対しては、その○○量販店も『まことに申し訳ありませんが、当店ではそちらの地域には今回は新聞には折り込みチラシを入れていませんので、ご理解ください』と言って対応するはずや。
少なくとも、その苦情を新聞販売店に持ち込むことはない。
ミヤケの言うように『私の住む地域への○○社の広告チラシが毎回意図的に入れられていないため、私は不公平ではないかと抗議した』というのは、確かに正論ではあるが、「ないものは配れない」のも、また事実で実情なわけや。
この問題は、チラシが余分にあれば起きていないことやと思う。しかし、現実には、それが起きている。その場合、販売店としては最善の方法を採るしかない。
それが、ミヤケの受け持ち区域へのチラシ削減という形で表れた。
ひょっとして、ミヤケは特定の地域への折り込みチラシが入っていないということが不法行為に該当するとでも思ったのかも知れんな。
それを公表すれば、何かの罪に問えると。もしくは、それを脅しの材料に使えると。
『その返答次第では新聞社に告発することを考えている』と内容証明郵便に書かれている文言から、そう推察することができる。
これは警告、もしくは脅しとしか考えようがないさかいな。
しかし、この件に関しては、あんたの行為には何の違法性もない。
新聞の購読契約には、その新聞を契約期間中、遅滞なく配達するという義務が新聞販売店に課せられているだけで、折り込みチラシを公平に配布する事とは決められてないさかいな。
もちろん、そうすることがベストではあるが、それができない状況なら、その販売店の裁量でどうするかを決めるしかない。
折り込みチラシの配布は、同じ新聞系列の販売店であっても、その販売店により多い場合もあれば少ないケースもある。
例え、それが同じ販売店内であっても、そのチラシの絶対数が少なければ、当然のことながら、そのチラシが入らん地域があるのも、やむ得ないということになる。
それにチラシ納入業者の意向が加われば、販売店としては、その意に沿うしかない。
そして、新聞販売店の店主である、あんたがミヤケに、そこまでの説明をする義務はない。
ましてや、あんたはミヤケを信用していないということなら、よけや。
その詳しい説明をすればチラシ納入業者に迷惑がかかるというのも後のミヤケの行動で実証されとるしな。
あんたが業務命令として『そんなことは気にせず配ってくれ』と言うたのは正解やった。
労働に関して、労働者は使用者の指図どおりに仕事するしかない。それでしか報酬は得られない仕組みになっている。
それが許されないのは、使用者の指示が明らかに法律に違反していると思われる不正行為くらいなものやが、今回の件は、それには当たらないということや。
裁量の範囲で認められていることは、その使用者のやり方に従うしかない。
それが業務命令や。その業務命令に従えない者に対して使用者は、それ相応のペナルティを科すこともできる。
そのミヤケは、あんたのその業務命令に反して、抗議しただけやなく、その秘密も曝露しとる。
あんたの話にあった、
実は、その時ミヤケは「俺だけやなく、俺の家の周りの人らも不公平だと言うとるんや」と言いました。
私が「なんで、客がそんなことを知っているんや?」と訊くと、なんと「その客たちは昔からの知り合いだから俺が知らせた」と言うのです。
私は、かっとなり「なんちゅうことをするんや。言うてええことと悪いことの区別もつけられんのか」と怒鳴りました。
すると、ミヤケは「本当のことを言うて何が悪い」と開き直る始末です。こんな人間には何も言えないと思いました。
ミヤケに契約の延長を断った直後、その地域の客数名が解約すると言ってきました。理由はチラシの入れが不公平だからということでした。
そのうちの一人に確認を取ると、やはりミヤケから「チラシの入りが他とは不公平になっている。あんなからの新聞を取るのは止めた方がええ。損をするぞ」と言われたとのことでした。
ということが、事実ならミヤケは大きな背信行為をしとることになる。
『新聞の購読契約には、その新聞を契約期間中、遅滞なく配達するという義務が新聞販売店に課せられているだけで、折り込みチラシを公平に配布する事とは決められてないさかいな』と言うたことに間違いはないが、
それは法律的にはという意味で、購読者に対しては不公平であることは明らかやさかい、法律で裁かれないとしても解約理由にされる場合がある。
それをミヤケは購読者に知らせ、そのために解約者が続出した。
そのミヤケの行為は刑法第233条および第234条に規定されている「信用毀損罪、業務妨害罪」に問われる可能性がある。
これには、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金という規定がある。
その罪で、逆にミヤケを告訴することも損害賠償を請求することも可能やろうと思う。
これは、そのことが事実であろうがなかろうが関係なく、それを言うことによって、その販売店および店主は確実に信用がなくなり、客が減ることで業務を妨害したということになるからや。
まして、ミヤケの立場やと、業務上知り得た事実の曝露をしたと見なされ、守秘義務違反に問われることすら考えられる。
「契約更新を断られた腹いせ」に、そう吹聴したと認定される可能性が高い。
つまり、悪意を持ってそうしたと考えられるわけや。
もちろん、その結果については、ワシは裁判官やないから確かなことは言えんが、ミヤケが罪に問われる可能性があるとだけ言うとく。
もちろん、これも試用期間後の契約延長を拒否する重大な事由になる。これは例え正社員であっても立派な解雇理由になるさかいな。
雨に濡れた新聞を届けた件に関してもミヤケは業務命令違反をしている。
あんたが『私は配達員全員に新聞を1部ずつビニールでラッピングするように指示しました』という業務命令を無視して、客宅に濡れた新聞を配っていることが、それになる。
新聞の配達員は単に新聞を配達すればええというだけではあかん。きちんと読める状態で客宅にまで新聞を配達する義務がある。それが配達員の仕事や。
それについては、ミヤケの思慮が足らんかったと言うしかない。そのことに対しては素直に謝って次からは、そういうことのないように気をつけようとするのが普通や。
しかし、ミヤケは『悪いのは○○の郵便受けで俺やない』とすぐに反論しとる。
さらに、そのことを客に謝って来いというあんたの指示を無視して、その客と喧嘩して、その客から解約を通告され、店に損害を与えている。
これも立派な解雇事由になる。
それら一連の出来事で、あんたがミヤケを叱ったことについては、当然のことながら、パワーハラスメントになるわけがない。
単なる業務指導や。
以上のことから、そのミヤケの主張には何の根拠も裏付けもなく、あんたの業務命令に、ことごとく逆らっているわけやから、あんたが取った試用期間後の契約延長を拒否したというのは間違った選択やなかったと言える。
一般的に相手に、いきなり内容証明郵便を送り付けるのは、裁判も辞さずという気持ちがあるからやと思うが、念のためワシが言うたようなことを、そのミヤケに知らせて、そちらがその気なら、こちらもミヤケの行為で客を失ったことに対する損害賠償請求をするとでも言えばええ。
普通の神経の持ち主なら、自分の非に気がついて矛を収めるはずや。
万が一、それでも訴訟してきたら受けて立ったらええ。あんたの話とミヤケの内容証明郵便の内容を読む限り、あんたが敗訴する可能性は殆どないと考えるしな。
もっとも、ワシは裁判官やないから保証はできんがな。
以上やが、何かまた動きがあれば知らせて欲しい。
こういった問題というのは結構多い。
結局、ドウジマはワシから聞いたことを中心にミヤケに話すと、ミヤケも非を悟ったらしく和解したとのことや。
その点で言えば、ミヤケはまだ救われる人やったということになる。
中には何を言っても聞く耳を持たん人もいる。
過去、サイトのQ&Aで非公開を希望してきた相談の中に、そういう人がいた。
もっとも、非公開やから、その内容については読者の方が目にする機会はないがな。
今回は、ミヤケという自分勝手な思考の持ち主に原因の大半があったが、逆に新聞販売店店主の身勝手なものもある。
いずれの場合も、自分のしたことに間違いはないという思い込みが強い人が多い。
相手は間違いを犯すが、自分は絶対に間違ったことはしないという変な自信があるわけやが、残念ながら、そういった人にいくら諭しても、その心に響くことはなかった。
ワシらは、何も相談者を腐したいわけやなく、その相談者のためを考えて客観的な立場で諌言しているのやが、それが気に入らないのか、こちらの回答に不満だからという理由で非公開を希望してくる。
ワシらは非公開にするのは別に何の痛痒もない。今回のように似た相談があれば、その時に回答したものが生きることもあるさかい、まったく無駄になるということもないしな。
ただ、苦言こそが本当に相手のためを考えて言っているということが分かって貰えないのは残念やと思うだけでな。
もっとも、そういった人は過去数千人の人たちから寄せられた相談の中のゼロコンマ、数パーセントのごく僅かでしかないがな。
まあ、すべての人に分かって貰えることなど世の中にはあり得んさかい、それはそれで割り切って、これからも多くの人の相談に乗っていくつもりやけどな。
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