メールマガジン・ゲンさんの新聞業界裏話・バックナンバー

第333回 ゲンさんの新聞業界裏話


発行日 2014.10.24


■読者からの提案 その1 新聞屋さんのサービスについて


ある読者から、新聞業界について大変有意義な意見が寄せられた。

最初は、2014年10月10日発行のメルマガ『第331回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■苦境を乗り切るために……その1 「元気を出しなさい」ヘレン・ケラー』(注1.巻末参考ページ参照)についての読後の感想やと思った。


拝啓

ゲンさん、そして博士、抱腹絶倒の『新聞拡張員ゲンさんの嘆き』からの大ファンです。

(大分後で知ったので、メルマガ購読はこのゲンさんの新聞業界裏話からですが)

この度のヘレンケラーのお話、大変心に沁み入り、ここの処、悩み事を抱えて居りました私の、目を覚まして頂きました。


と。

ここまでは、読後の感想だと思っていたので、いつものようにHPのバックナンバーに転載する際、追記として掲載する予定にしていた。

しかし、読み進めているうちに、それで済ませては勿体ないと気づき、今回『読者からの提案』として紹介しようと考えたわけや。

投稿されたのは一般読者の方やが、新聞業界のことをよく考えておられるというのが伝わってくる提案やった。

まずは、その全文を紹介する。

その後で、この投稿者の方の提案が実現可能なものなのかどうかを、ワシらなりに検証してみたいと思う。


元気と勇気を頂いたお礼と言っては何ですが、新聞販売店や新聞拡張会社について考えてみました。

今回のA新聞の騒ぎについては一過性のもので、時間が経つに連れ忘れられて行く事と思われますが、時代の変遷と共に、この業界が厳しい現状になっているのは、紛れもない事実ですね。

そこで、まさに、この度のヘレンケラーのお話の中にあった、「ひとつの幸せのドアが閉じる時、もうひとつのドアが開く。

しかし、よく私たちは閉じたドアばかりに目を奪われ、開いたドアに気付かない」なんです。

パソコンやスマホの登場により、新聞をとる家庭は激減しているのが現実です。

それは、そうです。だってこの不況の中、無料で見ることのできるものにわざわざお金を出してまで買う人は少ない訳ですから。

ただ、見逃している点があるんです。

現在、核家族化と高齢化社会の問題が大きくクローズアップされています。

孤独死、老老介護、買い物難民など、そこには、たくさんの問題が山積しています。

そこで、新聞販売店の登場です。

新聞販売店は新聞を配るだけでなく、他のサービスも配ればいいんです。

例えば、高齢家庭でしたら、新聞を配る時、ちょっとした挨拶を交わし、安否確認をする。

(この時、一般家庭と高齢家庭と一緒に配っていたのでは、挨拶と安否確認に時間を取られるので高齢家庭専用と分けて配達すれば時間にも影響せず、効率的かと思います。)

買い物を代行する。

要は、お年寄りが困ってお金を払って便利屋さんに頼むような事を、月何回までは無料、それ以上は格安で引き受けますよ、というようなサービスを開始するのです。

もちろんこうしたサービスは高齢家庭だけではありません。

この不況の中、共働き家庭はどんどん増えています。

買い物、家事、育児と、特に主婦には重く負担がのしかかっています。

そこで、新聞屋さんのサービスの出番です。

買い物代行、家事、託児所(これは有資格者が必要ですが)などを安全に格安で請け負うのです。

また近年、子供の誘拐や殺人など恐ろしい事件も相次いでいます。

子供の毎日の迎えも、共働き家庭の多い現状では、かなりの負担です。

クラスごとに父兄たちが持ち回りでやったとしても、これもまた人数ごとに割り振ったとしても、小学校の6年間、やはり負担を負います。

その集団下校の送り代行を請け負うのです。

(送り代行については男性だと心配する父兄も多いと思うので、女性の方がいいかもしれませんね。)

また、近年下校時で無く、帰宅後、遊びに行った先で事件に巻き込まれた子供もいました。

そこで、新聞販売店による、見廻り隊の登場です。

もちろんお金をもらってやるのです。

子供のいない家庭でも、空き巣や強盗、ひったくりに遭ったりするのですから。

こう考えていくと無数にありますよね。

「困った事があったら、しめたと思え」

ユダヤの諺(ことわざ)です。

しめたという言い方はちょっと悪いですが、困っている事は無数にあるのですから、人助けになれば皆から感謝されます。

このように、この不況を乗り切るには、新しい試みを試して見るのも一つの方法かと思います。

店をたたむ前に、人事を尽くして天命を待つ、ありとあらゆる事をやってみるのです。

ここまでくると、ゲンさんや博士の「おいまてよ。そんなに便利になっちまったんじゃ、俺達、新聞拡張員の出番がないじゃないか。新聞販売店は復活しても、俺達は廃業か」

という言葉が聞こえてきそうですが、ちょっと待ってください。

ここでも、新しい扉が開くのです。

まず、こんなに便利な新聞販売店になるのですから、今までより格段にセールスがやり易くなります。

『新聞拡張員ゲンさんの嘆き』にあった「蛇蝎のごとく忌み嫌われた稼業」ではなくなり、有り難いと感謝される仕事に変わり、それと共に、セールスするのも新聞購読だけに絞る必要はなくなるんです。

まず本業の新聞購読に伴うサービスで感謝されていますから他のものも勧めやすくなるんです。

例えば、東日本大震災に伴う原発事故以降、放射線による水が危ないという事で、お金を出して水を買う家庭が増えています。

そこで、定期配達の水、宅配の高齢者用お弁当、また野菜やコメ、トイレットペーパー、紙おむつ、生協、置き薬、何でもいいのです。

また、サービスとして、新聞を取ってくれた家庭に、それらのサービスを毎月1ヶ月ずつ、無料でつけるのです。

もちろん、その逆もあり。いい宣伝になるのですから企業にとっても悪くない話です。

人間、魚心あれば水心、何かサービスされれば、「じゃあ、悪いから付き合いで、そっちも半年または1年だけとるよ」という事に発展するかもしれません。

今より生活が便利になり、その家庭に役立つものならば、決して高い買い物ではありません。

むしろ、知らずに苦労していたところに、新しい情報をサービス付きで知らせてもらえるのですからこんな有り難い事は無いはずです。

また、ネットのお陰で新聞業界は危うくなっていますが、それを逆手に取るのです。

ネットで調べますと、現在Y新聞の場合、新聞購読料(税込4037円、夕刊の無い統合版地域は、税込3093円)、Y新聞プレミアム(A新聞のデジタル版と似たような仕組み)新聞購読料+月額150円(税抜き)、

A新聞の場合、ダブルコース 新聞購読料(税込4037円、夕刊の無い統合版地域は、税込3093円)+デジタル版(税込1000円)、デジタルコース デジタル版  1ヶ月3800円税込。

ということですが分けずに、紙面版、デジタル版合わせて、4037円にして新聞にオプションをつけるのはどうでしょう。それも無料で。

2ちゃんねるや、ツイッター、LINE、フェイスブック、ブログと、みんな自分の意見をどこかで言いたくて言いたくて、うずうずしている人が多いこの昨今、毎日の新聞記事についての意見、または分かりやすい解説(漫画の解説とかも面白そうですね!)など募集して、新聞購読者だけが見れるようにするのです。

そうすれば、新聞を読まない事には参加できませんので、新聞を購読する事になる訳です。

また、一つの新聞だけに意見を言うのでは飽き足らず、「全新聞をとって、俺は意見を言いまくる」なんて人も現れるかもしれません。

そしてついでに課金制度にして、いい意見や、分かりやすい、また面白い解説に対して、読者から課金してもらい意見を投稿した人も儲かるという仕組みはどうでしょう。

また、人気のある意見や解説者のブログなどもリンクすれば、お互いの利益になりますし、新聞購読者にとってもいいブログに巡り合えるチャンスですね。

選挙時期や大事件勃発の際など、さぞや意見が飛び交う事でしょう。

また、ネット上にもある人生相談コーナーのようなものを設けて、全国から解答を募集しても喜ばれるのではないでしょうか。

今回のA新聞の事で、

『第330回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■新聞の実像……その10 新聞販売店の現状についてのアンケート結果』(注2.巻末参考ページ参照)によりますと、

『こういった不祥事があると、いつもその煽りを食らって泣きを見るのは現場で営業しているワシら末端の者たちと相場が決まっている。

ワシらには、どうしようもない手の届かんところで、やられていることに対して責任はないとは思うのやが、一般の人は当たるところがないのか、勧誘に行ったワシらに苦情や文句を言い立てる人が多い。

ボロクソに言われて挙げ句、「解約する」とか「おたくの新聞なんか読まない」と追い返される。』

とありましたが、まさにそういった厳しい意見も募ることにより、思いを吐き出しまくった新聞購読者はすっきりし、新聞業界の向上にも一役買うことになるのではないでしょうか。

そう、ここで何より大切なのは、新聞社や新聞販売店、新聞拡張会社、国や企業に対する辛辣な意見などを、シャットアウトしない事です。

それでは、まったく意味がありませんし、それがあるからこそ、世の中の向上に役立ち、喧々諤々(けんけんがくがく)意見が飛び交うからこそ、盛り上がるんですよね!

・・・・と、思いのまま、書き連ねましたが、素人の思いつきですので、お役に立つかどうかは分かりません。

ヘレンケラーの言葉のように「あきらめずにいれば、あなたが望む、どんなことだってできるものです。

ベストを尽くしてみると、あなたの人生にも他人の人生にも思いがけない奇跡が起こるかもしれません。」

という言葉を胸に、私自身も、もうひとつのドアを開けてみます。

どうぞ、ゲンさんや博士の業界の方達もあきらめず、新しいドアを開けて素晴らしい未来に繋がる事を願っています。
                           敬具


というものや。

『例えば、高齢家庭でしたら、新聞を配る時、ちょっとした挨拶を交わし、安否確認をする』ということについては、

今から5年前の2009年9月4日発行の当メルマガ、『第65回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■ある新聞販売店の取り組み その1 哀しき孤独死をなくせ』(注3.巻末参考ページ参照)で実際に、その取り組みをしている新聞販売店の紹介をしたことがある。

それより1年半ほど前に発行した旧メルマガ『第189回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■新聞販売店員奮闘記 その1 集金秘話』(注4.巻末参考ページ参照)で、当時その販売店の従業員だったジロー氏という方が、ご自分の父親と同じ年格好のある独身男性購読者の死を目の当たりにされたという話をした。

その時、ジロー氏は自分にも独身男性購読者が亡くなられた責任の一端があったのやないかと悩まれていた。助けることができたのやないかと。

その方法として、独身年配者を見廻る必要性を当時の店長に訴えたとのことやが、聞き入れて貰えなかったという。

その考えずっと温められていて、ご自分が店長に抜擢された時、実行されることにしたわけや。

また、その1年後の2010年9月3日発行のメルマガ『第117回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■新聞販売店による高齢者見守りサービスへの取り組みと、その問題点』(注5.巻末参考ページ参照)で、

他の新聞販売店関係者の方からの問い合わせに答える形で、そのジロー氏の取り組みを中心に、高齢者見守りサービスの具体的な方法について話したことがある。

その部分の抜粋や。


新聞販売店による独居老人の見守り対策サービスの心得


1.独居老人、独身者専用の名簿を作る。

ジロー氏の販売店では、実配部数1800部のうち独身者は実に950部で半数以上あり、そのうち50歳以上の独身者は730人もいたことが分かった。

まずは、その独身者の購読者本人から聞き取り調査をする。

万が一の場合の連絡先、携帯の電話番号、勤め先、病気の有無、趣味などをその集金時、もしくは止め押し(継続契約依頼)時に雑談がてらといった気楽な感じで聞き出すようにするという。

特に、過去に心筋梗塞や脳溢血などの急性の疾病に罹って発作などを起こした経験、糖尿病などの慢性疾患で気を失って倒れたことなどがあれば洩らさず書き留める。

それを尋ねると「なぜ、そんなことを聞くのか」と訝(いぶか)る人もいるから、その場合はその説明をする。

ジロー氏の場合は正直に、「実は以前、こんなことがありまして……」と、独身の購読者の方が亡くなられたことがあったという件を話して、「販売店として、その防止に努めたいので」と説明するという。

その経験がなければ、『第189回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■新聞販売店員奮闘記 その1 集金秘話』(注2.巻末参考ページ参照)の話を引用するのでもええのやないかと思う。

そして、「そういう病歴のある方で、新聞の配達時に前日の新聞が取り込んでなく、連絡が取れなければ異変があったと考え、救急(119番)に通報することもありますので」と伝える。


2.新規勧誘時にも、情報の収集を義務付ける。

出入りの拡張員、従業員の勧誘時にも、その趣旨を説明して、例え、契約が取れなくても、「当店では、こういった試みをしています」とアピールし、1.の情報を多く集めさせる。

これをさせるのは、サボリ防止にもなる。

勧誘に廻らず、どこかの喫茶店やパチンコ店で日長(ひなが)サボッていて、「今日は1日中、頑張って廻りましたけどダメでした」と、いけしゃあしゃあと言う勧誘員も中にはおるさかいな。

それが、この情報を取らせることで、サボリにくくなる。

また、勧誘員の方も、例え、その日、坊主(契約ゼロ)でも、それをすることで仕事をしていたとの言い訳に使えるからメリットもあるということで、結構、真面目に廻るのやという。

加えて、無理な勧誘も減る。実際、ジロー氏の販売店では、これを義務付けするようになって、客とのトラブルが極端に減少したというさかいな。

しかも、軒並み成績が向上したと。

その取り組みの目新しさと真摯な姿勢に共感を呼ぶというのもあるが、それ以上に、各勧誘員が真面目に廻るということが大きいのやないかとジロー氏は言う。

ワシも、それは同感や。

昨今、契約の獲得をするのが厳しい状況になっとるのは確かやが、その反面、どこまで真面目に仕事をしとるのかとなるとハテナマークがつくことも多いさかいな。

昔も今もそうやが、勧誘員たちの成績を上げるためには、いかに真面目に仕事をさせることができるかという一点に尽きるのやないかと思う。


3.従業員、アルバイトを問わず、朝刊の配達時には前日の夕刊、朝刊が、夕刊の配達時には朝刊が取り込まれていない場合、必ず責任者への通報を義務付けさせる。

具体的には、その場で電話をかけさせる。尚、ポイント制などを導入して、その通報に対して某かの報酬を与えるというのも効果があると思われる。


4.従業員にはエリアを決めて、その連絡のあった家に配達終了後、確認させる。その際、必ず契約者と連絡を取るということを徹底させる。

まずは電話で確認し、それでもだめな場合はその家に行って確かめさせる。


5.僅かでも異変を感じたら店長、所長などに連絡し、その指示を仰ぐ。

連絡を受けた店長、所長は、あらゆる手段を講じ、どうしても本人と連絡がつかない、緊急性を要すると判断した場合は、なるべく早く救急(119番)に連絡する。


と。

ワシらが、メルマガで話したからというわけでもないとは思うが、現在、多くの新聞販売店で、こういった高齢者に対する取り組みが行われるようになっている。

それには、それぞれの自治体の協力も得ているとのことや。

その成果とも言える出来事が、2014年8月19日の報道にあった。


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140819-00000035-at_s-l22 より引用

新聞手付かず「異変」察知 配達員が高齢者救助に貢献 富士宮


 SHC富士宮南部新聞販売センター(富士宮市神田川町)の配達員、佐野幸子さん(58)=同市野中=がこのほど、市内の配達先民家で新聞がたまった状態に異変を察知し、家の中で倒れていた1人暮らしの80代男性の発見・救助に貢献した。

 市消防本部よると、男性は脱水症状とみられ、命に別条はないという。

 佐野さんは14日夕、男性宅を新聞配達に訪れ、ポストに3日分の新聞が手付かずで残っているのを不安に思った。

 窓を開けて声かけしたところ、男性が床に横たわっていた。近隣住民の協力で119番し、駆け付けた救急隊に引き継いだ。

 同センターと市は、独居老人の安否確認などで協力する「地域見守りあんしん事業協力に関する協定」を結んでいる。

 佐野さんは男性とあいさつや世間話を交わす関係を構築していた。「今後もできる範囲で地域の安全安心を見守り続けたい」と言葉に力を込める。

 佐野さんは勤続20年のベテランで、300世帯を担当している。渡辺秀和店長(42)は「明るくて優しい人柄と、熱心な仕事ぶりのおかげ」と佐野さんの功労をたたえた。


と。

つまり、この投稿者の、『例えば、高齢家庭でしたら、新聞を配る時、ちょっとした挨拶を交わし、安否確認をする』という部分についての提案はすでに実行されているということや。


この時、一般家庭と高齢家庭と一緒に配っていたのでは、挨拶と安否確認に時間を取られるので高齢家庭専用と分けて配達すれば時間にも影響せず、効率的かと思います。


というのはアイデアとして悪くはないが、実効性という点では難しいと言う外はない。

この投稿者の方が『一般家庭と高齢家庭と一緒に配っていたのでは、挨拶と安否確認に時間を取られる』と言っておられるのは、一般家庭と高齢家庭とを比べた場合、一般家庭の読者の方が圧倒的に多いと考えておられるからやないかと思う。

高齢家庭だけなら少ないだろうから、専属の配達員に任せれば簡単に廻れるだろうと。

一般の人が普通に考えれば、そうかも知れん。

しかし、現実には高齢家庭の方が、むしろ多いというデータがある。

ある新聞販売店が実施した購読者の年齢調査では実に7割以上が60歳以上だったというさかいな。

もちろん、地域や調べる新聞販売店毎で若干違うやろうが、他でも概ねこの線に近い結果が得られるものと思う。

その理由は、新聞購読者層で最も多いのが60歳以上の高齢者の方々やからや。

60歳以上の高齢者層の新聞購読率に限って言えば、少なくとも9割は悠に超えているものと考える。

現在、60歳以上の日本の高齢者人口は3,186万人やさかい、その9割として、2,867万人強が新聞購読者という計算になる。

ABC(日本ABC協会)調べによる2013年の新聞の購読部数が46,999,468部ということになっている。約4,700万部やな。

ただ、これには押し紙を含む配達されない「余剰紙」もカウントされているから、それを差し引いた実際に配達されている部数は、約3700万部程度と推測する。

約3700万部中2,867万人の高齢者が新聞を購読しているものと計算すると、約77.5%ということになる。

先の『ある新聞販売店が実施した購読者の年齢調査では実に7割以上が60歳以上だった』ということと、符号する。

もっとも、これは机上の計算で独身の高齢者のみと限定すれば、その数字はもっと下がるやろうが、とにかく数字上も圧倒的に高齢者を含む家庭が多いということには変わりがないわけや。

そういう状況で、高齢者の家庭だけを少人数で廻るというのは不可能やわな。

しかし、これについてもすでにクリアされている。

それは、『第65回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■ある新聞販売店の取り組み その1 哀しき孤独死をなくせ』(注1.巻末参考ページ参照)の中で、


ヤマダ販売店では、ジローが店長になった1年ほど前から、前日の新聞を取り込んでない家があったら、必ずその家の主に声をかけるようにと指示をしてあった。

中略。

これだけの人数を常に見守るというのは、ジローを含めて5人の従業員スタッフだけではとても無理な話や。

どうするか。

考えた末、アルバイトを含めたすべての配達員に「前日の新聞を取り込んでない客はすべて店長のオレに知らせろ」と指示した。

そして、4人の専業員には「その場で必ず声をかけろ」とも念を押した。

普通、どんな家でも新聞は必ず取り込む。そのままなのは何らかの事情がある場合に限られる。

それには単にその日、たまたま外泊したとか、旅行などに行って休止の連絡を忘れたとかということも考えられるが、スドウのように倒れて深刻な状況に陥っているというケースもあるはずや。

その最終確認はジロー自らがするから、とにかく報告しろと。


と言うてるのが、それや。

『前日の新聞を取り込んでない客』に限定すれば、けっして多い数字にはならんと思う。一般的な規模の新聞販売店であれば少人数で対応できるはずや。

そして、この方法なら、わざわざ『一般家庭と高齢家庭』を別けて配達する必要がないと思う。

次の、


買い物を代行する。

要は、お年寄りが困ってお金を払って便利屋さんに頼むような事を、月何回までは無料、それ以上は格安で引き受けますよ、というようなサービスを開始するのです。

もちろんこうしたサービスは高齢家庭だけではありません。

この不況の中、共働き家庭はどんどん増えています。

買い物、家事、育児と、特に主婦には重く負担がのしかかっています。

そこで、新聞屋さんのサービスの出番です。

また近年、子供の誘拐や殺人など恐ろしい事件も相次いでいます。

子供の毎日の迎えも、共働き家庭の多い現状では、かなりの負担です。

クラスごとに父兄たちが持ち回りでやったとしても、これもまた人数ごとに割り振ったとしても、小学校の6年間、やはり負担を負います。

その集団下校の送り代行を請け負うのです。

(送り代行については男性だと心配する父兄も多いと思うので、女性の方がいいかもしれませんね。)

また、近年下校時で無く、帰宅後、遊びに行った先で事件に巻き込まれた子供もいました。

そこで、新聞販売店による、見廻り隊の登場です。

もちろんお金をもらってやるのです。

子供のいない家庭でも、空き巣や強盗、ひったくりに遭ったりするのですから。


というのはアイデアとしてはアリやと思う。

現在、密かに他の業種との併業を考えておられる新聞販売店経営者もいるさかい、そういう人たちにとっては一考の余地のある提案やないかな。

『買い物、家事、育児』業務および『集団下校の送り代行』、地域の『見廻り隊』について、もっと煮詰めて考えれば実行可能な提案になるものと思う。

日本広しといえども新聞販売店ほど地域に密着した仕事はないさかい、その利点を利用せん手はない。

さらに、


例えば、東日本大震災に伴う原発事故以降、放射線による水が危ないという事で、お金を出して水を買う家庭が増えています。

そこで、定期配達の水、宅配の高齢者用お弁当、また野菜やコメ、トイレットペーパー、紙おむつ、生協、置き薬、何でもいいのです。

また、サービスとして、新聞を取ってくれた家庭に、それらのサービスを毎月1ヶ月ずつ、無料でつけるのです。

もちろん、その逆もあり。いい宣伝になるのですから企業にとっても悪くない話です。

人間、魚心あれば水心、何かサービスされれば、「じゃあ、悪いから付き合いで、そっちも半年または1年だけとるよ」という事に発展するかもしれません。

今より生活が便利になり、その家庭に役立つものならば、決して高い買い物ではありません。

むしろ、知らずに苦労していたところに、新しい情報をサービス付きで知らせてもらえるのですからこんな有り難い事は無いはずです。

また、ネットのお陰で新聞業界は危うくなっていますが、それを逆手に取るのです。


と、続く提案もなかなかのものや。悪くはない。

ただ、『サービスとして、新聞を取ってくれた家庭に、それらのサービスを毎月1ヶ月ずつ、無料でつけるのです』というのは、気をつけな景品表示法に抵触するおそれがある。

その法律との兼ね合いで過度なサービスはできにくいとは思うがな。

加えて、現在は全国的に「正常化の流れ」とかで景品サービスを抑え気味にしている新聞販売店が多いさかい、限られた地域、販売店になるものと考えられる。

『いい宣伝になるのですから企業にとっても悪くない話です』というのは、企業側が無料で景品を提供するということかな。

それは考えにくい。もし、そういうことになったら半端やないくらいの量の商品が必要になるさかいな。宣伝効果を大きく超えた赤字出費になりかねん。

現時点でも、新聞の景品用の商品については洗剤を中心とした多くの企業が宣伝効果を期待して破格の値段で提供しとるということやから、それ以上望むのは難しいのやないかと思う。

『人間、魚心あれば水心、何かサービスされれば、「じゃあ、悪いから付き合いで、そっちも半年または1年だけとるよ」という事に発展するかもしれません』というのは考えられることや。

実際、サービスの多寡で契約する人も多いさかいな。新聞営業は、その点を衝いた勧誘を長く続けていたという歴史がある。

「サービスしますから契約してください」と。

もっとも、新聞にサービスは付きものと考えている人も多いさかい、どんなにサービスしようが「そんなものか」と考える人もいとるがな。

ただ、この投稿者の方が言われるようなサービスをすることで『今より生活が便利になり、その家庭に役立つものならば、決して高い買い物ではありません』と購読者に思って貰えるのなら、それに越したことはないけどな。

次に、


2ちゃんねるや、ツイッター、LINE、フェイスブック、ブログと、みんな自分の意見をどこかで言いたくて言いたくて、うずうずしている人が多い昨今、毎日の新聞記事についての意見、または分かりやすい解説(漫画の解説とかも面白そうですね!)など募集して、新聞購読者だけが見れるようにするのです。

そうすれば、新聞を読まない事には参加できませんので、新聞を購読する事になる訳です。

また、一つの新聞だけに意見を言うのでは飽き足らず、「全新聞をとって、俺は意見を言いまくる」なんて人も現れるかもしれません。

そしてついでに課金制度にして、いい意見や、分かりやすい、また面白い解説に対して、読者から課金してもらい意見を投稿した人も儲かるという仕組みはどうでしょう。

また、人気のある意見や解説者のブログなどもリンクすれば、お互いの利益になりますし、新聞購読者にとってもいいブログに巡り合えるチャンスですね。

選挙時期や大事件勃発の際など、さぞや意見が飛び交う事でしょう。

また、ネット上にもある人生相談コーナーのようなものを設けて、全国から解答を募集しても喜ばれるのではないでしょうか。

今回のA新聞の事で、

『第330回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■新聞の実像……その10 新聞販売店の現状についてのアンケート結果』(注2.巻末参考ページ参照)によりますと、

『こういった不祥事があると、いつもその煽りを食らって泣きを見るのは現場で営業しているワシら末端の者たちと相場が決まっている。

ワシらには、どうしようもない手の届かんところで、やられていることに対して責任はないとは思うのやが、一般の人は当たるところがないのか、勧誘に行ったワシらに苦情や文句を言い立てる人が多い。

ボロクソに言われて挙げ句、「解約する」とか「おたくの新聞なんか読まない」と追い返される』

とありましたが、まさにそういった厳しい意見も募ることにより、思いを吐き出しまくった新聞購読者はすっきりし、新聞業界の向上にも一役買うことになるのではないでしょうか。

そう、ここで何より大切なのは、新聞社や新聞販売店、新聞拡張会社、国や企業に対する辛辣な意見などを、シャットアウトしない事です。


と言われておられることやが、提案としてはええと思う。

新聞社が真剣に取り組めば、効果が上がるかも知れんが、ワシの感触では現時点の新聞各社の体質では、まず実現せんやろうと考える。

特に『ここで何より大切なのは、新聞社や新聞販売店、新聞拡張会社、国や企業に対する辛辣な意見などを、シャットアウトしない事です』ということに耳を貸すほど、新聞各社が寛容になるとはとても考えられんさかいな。

基本的に新聞各社は自らの失態については隠蔽する体質になっている。隠せるものなら、とことん隠す。

つい最近のA新聞のケースのように誤報や不祥事を表沙汰にせなあかんようになることの方が、むしろ異例なわけや。

もともと、新聞各社はネットの批判や意見を無視することで、ここまできたという側面がある。

この10年間、ワシらはメルマガ誌上で新聞社に対して提案や提言、苦言を数多くしてきたが、それについて新聞各社は反論もしなければ同調したこともないのが実態やった。

完全に無視された格好になっている。

ただ、ワシらのメルマガは新聞社関係者の人たちも読んでおられるということやから、分かって貰える人には届いているとは思う。

これだけでも十分やが、この投稿者の方は、後日、さらに次なる提案を送って来られた。


早々にご返信頂き、恐縮です。まさか、博士から直接ご返信頂けるとは、思って居らず、嬉しさ反面、戸惑って居ります。

一読者の意見にも耳を傾けて頂き、ましてや、メルマガの題材に取り上げて頂けるなんて、光栄です。

ヘレンケラーのお話に、あまりにも感動し勇気を頂いたものですから、思いのまま書き連ね、メールを送らせて頂きましたが、

しばらくして冷静になり、素人の私が、しょーもない思いつきだけで、エラソーに、余計なお節介だったんじゃないかと、実は後悔して居りました。

一笑に付されているのか、いや怒り心頭なんじゃないのか、果ては、メルマガを配信拒否されるんじゃないか、

顔から火が出る思いとはこの事、ああ、やめとけばよかった・・・いや待てよ、案外ちょっとだけ掲載されたりして・・・・等々、ありとあらゆる思いが頭の中をぐるぐる駆け巡っておりました。

ちなみに、(性懲りもなく、またまた素人の思いつきをば失礼いたします。)

新聞読者の意見や解説に対しての課金制度の付け足しなんですが、課金のお金は、新たに徴収するのではなく、毎月の新聞購読料のうち、100〜200円位をそれに充てるのはどうでしょう。

(この不況ですから、新たに徴収は無理でしょう。)

この意見には100円とか、今回は自分で選んだ幾つかの意見に20円ずつとか、この解説は、しょーもないけど面白いから5円とか、それぞれの読者が決められると楽しいかもしれませんね。

極端に言えば、一人1円の課金でも、1億人すれば(平成26年9月1日時点(概算値)日本総人口1億2704万人】)1ヶ月1億円です。

(有り得ませんが、計算しやすいところで)

新聞の意見解説長者とかも生まれるかもしれませんね。それがまた、新たな新聞購読者を引き込む事になる訳です。

それで、お金儲けにもなり、自分の名前も知れ渡るとなれば、宝くじ買うよりいいですものね。

結構、皆、夢中になるかもしれませんね。

そうそう、宝くじで思い出しましたが、新聞にはテレビ欄や記事で等でスポーツ関連の事が出ますよね。

その新聞独自のスポーツくじ(totoのようなもの)を、サッカーに限らず、すべてのスポーツでやると楽しいし、視聴率も上がるかもしれませんね。

スポーツのような神聖なものにお金をかけるなんてというなら、サッカーや競馬は神聖じゃないのかという話になっちゃいますものね。

こうして考えていくと、本当に無数にあるんですよね。

新聞社は情報化社会の先駆けなのですから、どんどん新しい事にチャレンジしてほしいですよね。

殿様商売のままでは、驕(おご)る平家は久しからずです。

とにもかくにも、ゲンさんと博士のメルマガファンとしましては、いつまでも、お二人のメルマガを続けてもらいたいのです。

ですから、新聞業界にも元気でいてもらわなくては困るんです。

そして、経済も皆の間で循環しお互いに助け合っていける世の中を作っていければ嬉しいですね。

顔から火が出ると言いながら、またまた意見を書いてしまいました。少しばかり認めて頂いたことで、いい気に、いや勇気が出たようです。

私ももっと自信を持って頑張ります。

ゲンさんたち新聞業界の方達も絶対あきらめず、新しい扉を開けてくださいね。


先にも言うたが、課金については新聞社がその気にならん限り、販売店や拡張員レベルではどうしようもない。

もっとも、その提案をここで示しておくだけでも何も言わんよりかはマシかも知れんがな。

『素人の私が、しょーもない思いつきだけで、エラソーに、余計なお節介だったんじゃないかと、実は後悔して居りました』というようなことは考える必要はない。

アイデアとか提案というものは、ふとした思いつきで浮かぶことも多いし、専門家やからといってええ考えが出るとも限らん。

素人目線やからこそ、気がつくことも多いしな。

今回『読者からの提案』と銘打って、新しくシリーズ化しようと考えたのは、まさに素人目線でのアイデアが寄せられることを期待したからや。

できれば、新聞販売店や新聞拡張団がやれそうな提案の方が有り難い。

新聞販売店や新聞拡張団の方々は、このメルマガを読んでおられる人も多いから、「おっ、この方法は使えるな」と感じて貰えれば実行に移す人もおられると思うしな。

新聞社の場合はどんなに素晴らしい提案であっても、ワシらがそれについて語れば苦言と受け取られかねん。

まあ、苦言は苦言でも構わんとは思うが、それが新聞社に届くかどうかは何とも言えんということや。

ともあれ、新聞業界に対する提案、アイデアのようなあれば今後も募集するので、よろしくお願いしたいと思う。

ためになりそうなアイデア、提案はここで掲載させて頂くさかい。



参考ページ

注1.第331回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■苦境を乗り切るために……その1 「元気を出しなさい」ヘレン・ケラー
http://melma.com/backnumber_174785_6105570/

注2.第330回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■新聞の実像……その10 新聞販売店の現状についてのアンケート結果
http://www3.ocn.ne.jp/~siratuka/newpage19-330.html

注3.第65回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■ある新聞販売店の取り組み その1 哀しき孤独死をなくせ
http://www3.ocn.ne.jp/~siratuka/newpage19-65.html

注4.第189回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■新聞販売店員奮闘記 その1 集金秘話
http://www3.ocn.ne.jp/~siratuka/newpage13-189.html

注5.第117回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■新聞販売店による高齢者見守りサービスへの取り組みと、その問題点
http://www3.ocn.ne.jp/~siratuka/newpage19-117.html


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