メールマガジン・ゲンさんの新聞業界裏話・バックナンバー

第339回 ゲンさんの新聞業界裏話


発行日  2014.12. 5


■今だから言える話 その1 私の店はこうして改廃されました


数年前、サイトにある相談が寄せられた。

その相談者の方からは、


色々と参考になるご意見あるがとうございます。また、大変勉強になります。

今回の件をQ&Aに掲載との連絡を頂きましたが、まだゴタゴタが片付かずにいますので、もう少ししてから(1年位)にしてください。お願いします。


と言われていた。

1年後にQ&Aに掲載するのも変な話やから時期が来れば、このメルマガで取り上げようと思うてた。

事実、そのつもりで『第41回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■マイナーワーカー同盟座談会 その2 新聞の闇と戦う人々』(注1.巻末参考ページ参照)の中で掲載の予告もしていたしな。

しかし、話の内容が内容ということもあり、ワシらの方で勝手に気を遣い、いつの間にか数年が経ってしまい、掲載し忘れていた。

それには、その後、相談者の方からの連絡がなかったということもあるが、日々、数多く寄せられる相談や情報に埋没して忘れていたということが大きい。

ただ、このまま埋もれさせてしまうのは勿体ないという気がするので、今更やが話そうと考えたわけや。

数年前のある日、1通のメールが届いた。


はじめまして太郎(H.N)と申します。

わたしはメルマガ『第158回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■押し紙裁判の波紋』(注2.巻末参考ページ参照)の記事の内容にあったのと同じような状況に苦しみ、結果、経営難に陥り店を改廃された経営者の1人です。

もちろん自分の未熟さによる自己責任も否定しませんが、もっと早くにこのページをみていれば・・・

とにかく新聞社と各都道府県担当者の裏は嫌というほどみてきました。

近年は便利な物もあって、小型で長時間録音できるレコーダーがあり、3年前から様々な会議や担当者、その他、会の役員の話が150時間分録音されてます。

紙、女、金、汚れたその内容は今回の裁判なんてママゴトに思える程、強烈で、新聞社にとって原爆投下ほどの威力があるものです。

故にどうしたものか悩んでおります・・・そんなものを世に出していいものかどうか・・・


というものや。

これに対してハカセは、すぐに返信した。


『新聞拡張員ゲンさんの嘆き』のサイト管理者、白塚博士と申します。

大変なご経験をされたとのこと、ご心中、お察し申し上げます。

『新聞社にとって原爆投下ほどの威力があるものです。故にどうしたものか悩んでおります・・・そんなものを世に出していいものかどうか・・・』

と言われておられることですが、どうされるかは太郎さんのお気持ち次第です。

当サイトには、太郎さんと同じような方が他にもおられます。現在、その方は、押し紙に苦しめられ裁判を起こすつもりにされています。

太郎さんが、その新聞社および担当者から受けた仕打ちが許せない、あるいは『紙、女、金、汚れたその内容』が社会正義に反して憤られておられるのでしたら、その情報をメディアに暴露するという方法もあります。

もっとも、当の新聞社やテレビ、ラジオ局では握り潰される可能性が高いでしょうから、その他のメディアでないと効果はあまり望めないとは思いますが。

暴露されたいのでしたら、それ以外のメディアを選択されることが賢明です。

ネットメディア、新聞業界の曝露問題に興味のある大手月刊誌や週刊誌、有名なジャーナリストなど、探せばいろいろあります。

彼らにその情報を知らせることで、その内容次第では記事にする場合もあるでしょう。

その反面、太郎さんが特定され、様々な不利益、リスクを伴う危険性がありますので曝露を依頼するメディアは慎重に選ばれることをお勧めします。

一般的には、大手月刊誌や週刊誌の編集者、有名ジャーナリストであれば、プライドを持って情報提供者の個人情報は守るはずです。

もっとも、裁判を起こされるおつもりでしたら、相手方に太郎さんの個人情報は知られてしまうので関係のない話にはなりますが。

今のところ、そこまでのお考えはないけれど、その内容を世間の人に知らしめたいということでしたら、当サイトに、その情報をお知らせいただければ、太郎さんの個人情報が特定されない形で、内容を、サイトやメルマガ等で公表していくこともできます。

当サイトをご覧になっておられれば、お分かりでしょうが、私どもでは投稿者の個人情報は徹底して守っていますので安心してください。

ただ、当サイトは暴露目的のサイトではありませんので、当該新聞社名や担当者などの個人名を公表もするつもりはありませんから、その点は、ご了承していただくことになります。

おそらく、太郎さんから頂く情報は、現役の販売店経営者の方々への参考になるのではないかと思います。

あるいは新聞各社への警鐘、警告になるものと考えます。

当サイトの狙いもそこにありますので。

まず、それらのことを踏まえられた上で、どうされたいのか再度、メールしてくださればと思います。

いずれを選択された場合でも、お力にはなりたいと思いますので。


相談者の方から、すぐに返信が届いた。


早速ご連絡頂きまして誠に恐縮です。

本当にもう少し早くにこのHPを見ていたら、もっと違った結果が私にもあったかも知れませんね。

全てを失った今は何を言っても・・・です。

前回記しました通り、経営難に陥り、その資金繰りの奔走中に私の妻が何も事情が分からないまま担当者の指示で私の名前を使って代筆させられ、引き継ぎ書が作成していました。私が戻ってきた時には、もう後の祭りでした。

おまけに私の携帯に担当者からメールで次のような文面が届きました。

(所長に振り込まれる○月分の○○からの自動振り替え入金分と○○業界新聞の手数料は押さえましたので所長には入りません)

2つで約100万円です。9月1日で店をやめたことになっていますので8月分までは私の取り分で、私に支払いが有る無しに関わらず不当な行為ではないでしょうか?

ましてや私が不在のまま代理(妻)と委任状もなしに店を引き継いでしまうなんて信じられません。

今、手元にあるのは妻が受け取った仮引継ぎ書だけです。それも私が引き継いだ時の金額の70%の代金でです。

拡材も保有カードも設備も当時より増えているのにです。車やバイクを含めた店にある様々な備品代も仮引継ぎ書には驚くほどの低価格で新聞社に買い取られることになっていました。

これにはビックリです。こんなことが許されるのでしょうか?

私としましては、今後の身の振り方も含めて考え中です。この度は貴重なご意見を頂き、大変参考になりました。また、何かありましたら宜しくおねがいします。


これについては、相談者からの質問も含まれているのでハカセからQ&Aの回答をして欲しいという依頼がワシにあったので、それに応じた。

結局、保留扱いでサイトへの掲載はしていないが。


回答者 ゲン


大変な経験をされたとのこと、ご心中お察しする。

ワシも昔、経営していた住宅リフォームの会社をつぶした経験があるから、あんたの気持ちは多少は分かるつもりや。

とは言うても、あんたのような理不尽な目には遭うてないから、その無念さは察するしかないがな。

せやけど、あんたの話を聞いとると、ワシまで怒りを覚えてくる。

あんたの留守中に『私の妻が何も事情が分からないまま担当者の指示で私の名前を使って代筆させられ、引き継ぎ書が作成していました』というのは、俄には信じ難い話やが、実際にそういうことが行われたのやとしたら大問題や。

当たり前やが、こんな事が許されるはずはない。

『私が戻ってきた時には、もう後の祭りでした』ということやが、それが事実なら、その点だけでも法的に争うことができるのやないかと思う。

法的に妻の承諾だけで有効な契約は、民法第761条の「日常の家事に関する債務の連帯責任」くらいなものや。


夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責に任ずる。

ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。


とあるのが、それや。

奥さんに書かせたというその引き継ぎ書というのは、それからしても無効になる可能性があるのやないかと思う。

ちなみに、ここでいう「引き継ぎ書」というのは、業務委託契約の解除に伴う経営権の売買契約書のことや。

要するに、店の権利を売り渡すための契約ということになる。その書面を契約者の留守中、奥さんに代筆させるなど以ての外や。絶対にあってはならん。

当然やが、これは夫婦の日常の家事に相当する契約やないというのは歴然や。つまり、奥さんだけの判断で交わせる類の書類やないということになる。

その担当者は、どういう事情があれ、その契約者であるあんたを除外して、その契約書を作成するようなことをしたわけや。

しかも『私の妻が何も事情が分からないまま』というところから察すると、かなり強引に、そうさせたフシが見受けられる。

おそらく、これは、その担当者の判断だけやなく、その直属の上司による指示があったものと思われる。

これは訴えれば、その経営権の売買契約そのものを無効にすることができる可能性が高い。

そうなれば、同じ改廃になるにしても、そこまでの酷い条件を甘んじて受け容れる必要はなくなるはずや。

ただ、この件に関しては新聞社の上層部の指示があったとは考えにくい。また、そこまで腐ってないと信じたい。

一般論やが、こういう理不尽なことというのは、現場の人間が独断で行うというケースが結構多い。

実際、こういう話を新聞社のトップにぶつけると「そんなことはあり得ない」という返事が返ってくることがままあるさかいな。

そういうのが新聞社の内部調査で発覚して左遷された担当者がおるというのも、洩れ聞こえてくる。

『所長に振り込まれる○月分の○○からの自動振り替え入金分と○○業界新聞の手数料は押さえましたので所長には入りません』というメールが、その担当者名であったとのことやが、

これも、あんたが『不当な行為ではないでしょうか?』と思われとるとおり、違法性はかなり高いと考えられる。

当たり前やが、このメールにあるような「差し押さえ」をするには、それなりの法的手続きを踏んで裁判所の決定がなかったらできんことや。

今日び、どんなあくどい金融屋でも、そのくらいのことはするで。

まして、この入金分には、その新聞社とは組織的に直接関わり合いのない業界新聞の手数料ということのようやから、勝手にその金を押さえるというのは話にもならん。

この件に関してもメールという証拠がある以上、言い逃れはできんやろうと思う。訴えでれば、その金額を取り戻すことも可能やないかと考える。

『今、手元にあるのは妻が受け取った仮引継ぎ書だけです。それも私が引き継いだ金額の70%の代金でです。拡材も保有カードも設備も当時より増えているのにです』というのも、訴えてみる価値は十分ある。

『備品代も仮引継ぎ書には驚くほどの低価格になっていました』というのも勝手に、その担当者の判断でできることやない。

まず、その備品を新聞社に売り渡すどうかを所有者であるあんたに確認する必要がある。

売り渡すことに、あんたが同意した場合でも、あんたの立ち会いの下、それなりの業者による査定が必要になる。

それがあってその値段やというのなら、まだ分からんでもないが、そんなものはないようや。

しかも、その現場にも、あんたの同席や確認を受けずに、奥さんの署名だけで処理しとるという。

開いた口が塞がらんというのは、こういうことを言うのやろうと思う。

これは不法、違法というレベルをはるかに逸脱しとると言わざるを得ん。無法者のすることや。

寝ている病人の布団を剥ぐ行為に匹敵する。悪質な闇金屋のやる手口や。

小説や映画、テレビドラマの世界の話やというのならまだしも、現実にそういうことが平然と行われとるというのは、何度も言うが、本当に信じ難いことや。耳を疑う。

これらのことは、その担当者の言い分を聞いてないから、片手落ちの判断になるかも知れんが、裁判に訴えるだけの条件は揃うとるように思う。

ただ、そうするかどうかは、あんた次第やがな。

裁判をするにしても、現実的には、金も時間もかかることや。おそらく、今のあんたの状況では、それもなかなか踏み切れんことやと思う。

もっとも、その無念を晴らしたい、理不尽さを正したいということであれば、裁判以外の方法もないわけやないがな。

ただ、今はそういうことを考えるよりも『私としましては、今後の身の振り方も含めて考え中です』と言われておられるように、先に生活の目処をつけることを考えた方が得策やとワシも思う。

少し落ち着かれてから判断されても、それほど遅くはないしな。

ただ、民事で裁判を起こされるつもりなら、時効との兼ね合いもあるから、あまり遅いと手遅れになるというのは考えとかなあかんがな。

余談やが、メルマガ『第158回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■押し紙裁判の波紋』(注2.巻末参考ページ参照)の中で、

『この後、これに続く販売店が現れることも十分考えられるから、さらに拡がりを見せることになるかも知れん』と、押し紙裁判の拡がりを示唆したが、それが現実になりそうな雰囲気が漂うてきたのは事実や。

あんた以外にも、まったく同じような内容で、その裁判の検討をされておられるという人もおられるさかいな。

今までは、このサイトには、あんたのような相談が寄せられることがなかったが、これからは増えそうな予感がする。

『もう少し早くにこのHPを見ていたら、もっと違った結果が私にもあったかも知れません』と、あんたが言われとるように、他の新聞販売店経営者の方がおられる可能性は考えられるさかいな。

何でもそうやが、問題は一人で抱え込んだらあかん。人間、追い込まれると、ロクなことを考えんし、ええ結果にならんもんや。

誰かに相談することで何かのヒントくらいは掴めるかも知れんしな。

少なくとも、迷っておられる人には、そういうのも結構大きな意味を持つ場合がある。

それで救われる人生もある。ワシらはそう信じて、このQ&Aを続けとるわけや。

落ち着かれて、どうされるか決められたら、また知らせてほしいと思う。


この回答を送った後に冒頭のメールが届いたわけや。それで保留扱いにした。

最後に、


ご配慮頂きまして本当に有難うございます。

今後とも何か変化、進展等ありましたらご相談させてください。よろしくお願いします。


というメールが届いて、それっきりになった。

おそらく、その方は裁判には踏み切らず、前を向いて生きていくことを選択されたのやろうと思う。

それについてはワシらが、どうこう言う問題やない。

ワシらは基本的には、その人の判断を尊重する主義やさかいな。ワシらはアドバイスはするが強制するつもりは毛頭ない。

あくまでも決めるのは相談者ご自身や。ワシらのアドバイスが、その手助けになれば、それに勝る喜びはない。

今まで非公開や保留扱いしてきた相談は数百に達している。まあ、10年もやっていれば、そういうことにもなるやろうがな。

非公開のものには触れるつもりはないが、保留扱いになっているものについては、今後も『今だから言える話』としてシリーズ化していきたいと思う。



参考ページ

注1.第41回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■マイナーワーカー同盟座談会 その2 新聞の闇と戦う人々
http://www3.ocn.ne.jp/~siratuka/newpage19-41.html

注2.『第158回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■押し紙裁判の波紋』http://www3.ocn.ne.jp/~siratuka/newpage13-158.html


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