メールマガジン・ゲンさんの新聞業界裏話・バックナンバー
第35回 ゲンさんの新聞業界裏話
発行日 2009. 2. 6
■拡張の群像 その2 我、「敢えて天下の先たらず」とす
人は、他人より秀でることを望み、それを人生の目標にすることが多い。
スポーツ選手ならスーパースターになりたいと願い、芸能人ならトップスターを夢見、物書きなら文豪を目指す。知識人ならノーベル賞に憧れる。
政治家になり総理大臣になりたい……という無謀なことを考える人間は今の日本には少ないやろうな。
例え、運良くなれたとしてもあまり尊敬してくれへんしな。
それどころか、ヘタに漢字の読み間違えでもしようものならボロクソにこき下ろされるのがオチやさかいな。
ワシらの子供の頃は、「末は博士か大臣か」というのが最大のステータスやったんやが、今はそんなのは完全に死語になっとる。
逆にバカにする対象にしかなっていないさえ思える。哀しいことやがな。
せやから、その引き合いにするのなら、アメリカの大統領ということになるのかも知れんが、こちらはいくら人種の垣根が取り払われたと言うても日本人ではとてもなれそうもないから、それを言うても、まったく現実味がないわな。
いずれにしても、そこまで大きな志を持てんという一般人でも、サラリーマンなら出世を望むことはできるし、自営業者なら大企業、有名企業の経営者になる夢くらいは持てる。
そして、営業員なら好成績を上げて高給取りになることもその範疇に入るやろうと思う。
当然ながら、ワシら拡張員にも同じことが言える。
拡張員も、そうなることを望む者は多いのやが、実際、そうなったらなったで悩みを抱えることも多い。
人には、嫉妬心というものがある。妬(ねた)みと言うた方が分かりええかな。
この業界で、その対象にされると相当辛いことになる。
サイトにあるメールが寄せられた。
こんにちは、初めてメールさせて頂きます。
元拡張員のタカナシと申します。
拡張員ゲンさんのHPを拝見しました。
拡張員……。
正直、あの仕事は辛い仕事でしたので、ゲンさんはどうして長く続ける事ができたのだろうなと、興味深く拝読致しました。
その中で、『ゲンさんの勧誘・拡張営業講座』(注1.巻末参考ページ参照)というページで、なるほどなるほどと頷ける箇所が沢山あり、大変勉強になりました。
私の拡張員時代の考えと同じ考えで営業してくださってる方がいて、なんだかとても嬉しくなりました……。
タカナシは、拡張の営業を始めた当初、「どうして、こんなに嫌われるんや?」と日々、悩んだという。
ドアをノックすれば、露骨に嫌な顔をされ、新聞屋と分かれば蔑まされた視線を向けられる。
また、明らかに怯えとる者さえおった。
タカナシにとって、そんな経験は今までなかったことやから、まさに地獄のような毎日やったと話す。
もっとも、それが拡張の仕事の特徴でもあるんやが、何も知らずこの世界に飛び込めば誰でも面食らうし、戸惑う。
それはワシも、まったく同じやったしな。
ワシの場合もタカナシと同じで、営業そのものは素人やなかった。名の通った建築屋で20数年の営業キャリアがあったさかいな。
そのワシも、この仕事を始めた頃は、さっぱりあかんかった。
ワシは契約が上がらんのは、どうしてかと考えた。
建築屋時代の営業を引きずっていた。
ワシはそれしか知らんかったから仕方ないんやが、建築屋の営業はお客様第一で考える。なるべく客の都合を優先する。
即決出来るに越したことはないが、それだけに拘(こだわ)る必要もない。
落ちる客なら時間をかけてもええ。大金を使わせる営業はそれでも価値があるさかいな。
建築屋の営業は、客とのコミュニケーションを重視し、その受けを良うしようと考えることから始める。
しかし、この新聞営業は、それだけではあかんと気づいた。
ドアホンキックがあるのは、建築屋の営業も一緒やから、どうということはなかったが、どうもその質が違う。
建築屋の場合も、大金が絡むケースが多いということもあり、好意的に接してくれるとは言えんが、少なくとも、ワシらに対しては建築の専門家と思うてくれるから、見下すような態度を見せる客は少なかった。
特に、ワシは、その風貌で信用されやすいということもあって、それなりに話には良う耳を傾けてくれたしな。
名前の通った建築屋の役職を刷り込んだ名刺を渡して話をするから尚更やったと思う。
新聞営業は違う。
そのことに気がつくのに3日もかかった。
新聞営業は、聞く耳を持って貰える客を探し当てることが、その第一歩となる。
その客と巡り会うまでに100人かかろうが200人かかろうが、ただひたすら出会えるまで叩き(訪問)続けるしかない。
客とのコミュニケーションを重視し、その受けを良うしようと考えるのはその先の話やった。
そして、新聞営業では、客から嫌がられる分、建築屋当時の営業よりはるかに高次元の笑顔と印象の良さが必要やというのも知った。
そのために、恥も外聞も捨て、昼間、公園のど真ん中で大笑いの訓練を毎日してたほどやさかいな。
ちょっと想像したら分かるやろうけど、大の男が公園のど真ん中で大笑いをしている姿なんか不気味な光景以外の何ものでもないで。
当然のように、人は怪訝そうな顔をして遠巻きに離れるわな。そこだけドーナッツのようにぽっかりと穴が開く。
今思い返せば、良う警察に通報されんかったもんやと思えるくらいや。
よほど恵まれた者かラッキーな者以外は、この仕事を始めた直後は、なかなか契約が上げられず焦ったのやないかと思う。
タカナシもその例に漏れず、当初はカードが思うように上げられなんだ。
そうなると、団の方からは、毎日のように突き上げられ、ろくでもない拡張員たちからは「そんなやり方しとったらあかん! 喝勧せんかい!」などと、強要されることも、しょっちゅうやったという。
タカナシは、体格も良く押し出しの利きそうな威圧感があったというのも、その理由のようやった。
しかし、タカナシには、数多くの営業畑を経験してきたことによる営業のプロとしての誇りとポリシーがあった。
その誇りから、そんな真似はできるかとの思いが先に立ち、染まるようなことはなかった。
それについては、
その中で、『ゲンさんの勧誘・拡張営業講座』(注1.巻末参考ページ参照)というページで、なるほどなるほどと頷ける箇所が沢山あり、大変勉強になりました。
私の拡張員時代の考えと同じ考えで営業してくださってる方がいて、なんだかとても嬉しくなりました……。
ということからも窺い知ることができる。
『ゲンさんの勧誘・拡張営業講座』に書かれていることは、確かにワシのオリジナルな部分も多いが、基本的には、多くの営業の世界で培われているノウハウと共通するものが多いと思う。
ベースには、ワシ自身が建築屋で長年に渡り会得した極意のようなものがあるさかいな。
タカナシは、それでも、自分の営業経験や営業スタンスを崩してたまるかと心の中で反発ししていた。
お前らとは違うんやと。
当時の拡張員としては珍しく、毎日きちんとスーツを着て出勤することを心がけた。
比較的同じバンクに入るのが多い団というのもあったが、笑顔と丁寧な言葉遣いで少しずつ客の信頼を得るようにもなっていった。
その甲斐あって半年後には、「おっ、タカナシさんか、いいよ。ハンコ持ってくるから待ってな」と、客から言われるまでなった。
そうなると、成績も飛躍的に伸び、仕事も楽しくなる。
月々の給料も手取りにして50万円ほどになり、団の中で誰よりも羽振りが良くなった。
それがあかんかったと思う。
タカナシが今まで経験してきた営業会社では、営業ができる=営業マンの目標にされるというのが常識やったということもあり、当然のように拡張の世界もそれと同じかと思い、天狗になっていた部分があった。
しかし、拡張の世界はそうやなかった。
タカナシは、それを痛感することになる。
ある日。
いつものように拡張で、何度か契約を貰ったことのある見込み客の交代読者と交渉してたときのことやった。
「あら、タカナシさんね、ご苦労さま。今日はサービス何くれるのかしら?」
と、いつものように和気藹々(わきあいあい)とした雰囲気で話していたところへ、班長のイソザキが何の前触れもなく、いきなり乱入してきた。
そして、「奥さん、早くしてくれへんかな、わしらも忙しいんや。さっさとハンコ持ってきて、契約してんか」と、まるで極道(ヤクザ)のような口調でまくし立てた。
そう言われた、その客は、怯えと怒りを露わにし、「帰ってください!もうお宅の新聞なんて絶対読みません! 帰って!」と、喚きながらタカナシたちを追い返した。
「班長、なんてことを、せっかく契約しかかっていたのに……」
タカナシは、当然のようにイソザキに非難の目を向け抗議した。
「何や、ワレ、その目は。オノレがさっさとせんのが悪いのやないけ。班長のわしに指図でもしようちゅうんかい」
逆に、そう凄まれた。
「いえ……」
タカナシには、それ以上、何も言えなんだ。
拡張団の多くは、上下関係の規律に厳しい所が多い。上に逆らうことは、この世界では御法度とされいる。
もっとも、そうは言うても、この班長のイソザキという男のやり口は拡張団の中にあっても異常と言うてもええ行為やがな。
普通、班員が上げた成績のいくらかは班長の実入りになるから、こんなアホな真似をするようなことはまずない。
しかし、それはそれだけでは終わらんかった。
その日は、その後も、班長のイソザキとその配下の班員たちが、どこでどうタカナシの行動を嗅ぎつけるのか、行く先々に現れて、悉(ことごと)く邪魔をしに現れた。
そのとき初めてタカナシは、それが妬みによるものやと気がついた。
人より契約が上がり金も稼げるということで有頂天になりすぎていたのやと。
確定申告に行ったり、新しいスーツを購入したりと、この業界の人間からは贅沢に見える行動をしていた自分がうかつやったと。
確かに、そういうこともそうされる一因としてあったかも知れんが、ワシにはもっと別の要素があったのやないかという気がする。
このタカナシの言うとおり、普通の営業会社であれば、成績のええ者、稼げる者は、羨望の眼差しで見られると同時に憧れの対象にもなる。
また、営業会社自体が、そういう人物を作り上げたがるから大事にもされる。
他の営業員にしても、そういうトップ営業マンを尊敬する傾向にあるから、その教えを請う、また見本とされるケースが多くなる。
ほとんどの営業の世界では、その道で名の通ったスーパー営業マンというのが存在することでも、それが分かる。
ところが、この拡張の世界は少し様子が違うてくる。
他の営業のように、業界全体に名の通ったスーパー拡張員というのが存在しにくいという土壌がある。
事実、そういう人間をワシは知らん。
名が知れているとしても、それはほんの極一部の狭い範囲のみというケースでしかないと思う。
この業界では、稼げる者と稼げん人間の差が極端に開くというのはそれほど珍しいことでもない。
一方で羽振りのええ人間がおるかと思えば、一方では食うにも困る人間がいとるという具合や。
食うに困る人間は、どうしても羽振りのええ人間を妬むようになる。自分が不甲斐ないからやとは考えん。
これが、羽振りのええ人間が班長であるとか団の上層部、古株というのなら、まだそれほど問題は少ない。
当たり前やが、そんな人間に今回のような妨害行為をしたらタダでは済まんさかいな。
問題は、後から入団してきた者に対する古株連中の対応にある。
その中の成績が悪いか中途半端な奴が、こういうことを考えやすい。
その要因の一つに「たかり」というのがある。
これは、ワシ自身も何度か経験があるが、古株の中には、新人がカードを多く上げとると「一本回してくれ」と平気で言う輩がいとる。
それだけ上げとんのやから、一本くらいええやないかという考えや。
要するに、人が必死で上げたカード(契約)を寄越せということやが、この業界には心やすい者同士のカードの貸し借りというのを平気でする連中がおるのもまた事実としてある。
そういう連中は、当たり前のようにその延長やと考える。それで仲間になれとの含みもある。
ワシも事によれば、そうする場合もあるが、それにしたところでよほどの事情でもない限り、そんな一方的な要求はまず断る。
「何、考えとんねん、アホか」とな。
もっとも、ワシはどこの団に行っても、それなりに一目置かれとったさかい、たいていはそれで終わってたがな。
万が一、このタカナシのような露骨な真似をする人間がおったら、泣くことになるのはその人間やったと思う。
それでもワシの分からんところで隠れて結構、いろいろやられていたとは良う聞いたがな。
まあ、ワシの場合はさておき、このタカナシのケースでは、それを根に持たれた可能性があるということや。
あるいは、ストレートにそう口に出さずとも、「あのガキ、自分だけええ目さらしやがって」と考える情けない者の仕業ということも考えられる。
サイトのQ&Aに『NO.148 友人の拡張団の問題について』(注2.巻末参考ページ参照)というのがある。
その質問の中に、『その人は一月に相当契約も取るらしく、送って行った人の拡販が不調の時くらい一本でも礼として譲ってくれてもいいのにと、団員の中で不満が出て』という件(くだり)がある。
それに対してワシは、
『その人は一月に相当契約も取るらしく、送って行った人の拡販が不調の時くらい一本でも礼として譲ってくれてもいいのにと』というのは、頂けん考え方や。
これは、まったく送り迎えとは関係のない話やからな。
その友人の拡張団の中では、もっともな話なのかも知れんが、他でそんなことは言わん方がええで。
誰も同情はせんし、ええようにも思われんはずや。
それに、このことがあるだけで、A男の常識がないというイメージまで消えてしまう。
送り迎えの礼としてカードがほしいだけと違うのかとなるわけや。
その友人に伝えたってほしいが、本気でそんなことを考えとるから「思うように拡販できない悩み」ということになるのやとな。
成績が上がらんのは、多くはその人間の考え方に原因がある。
営業の仕事は、受け身では絶対と言うてええほど成績は上がらん。
カードを譲れというのは、その受け身の考え方の最たるもんや。棚ぼた待ちやから、もっとたちが悪いかも知れん。
そんな考えを払拭せな、カードなんか上がるはずがない。
その友人も、1年も拡張員しとるのやから、1本のカードを上げる苦労も知っとるはずや。安易に考えたらあかん。
と、少しきつめの回答をした。
残念ながら、先にも言うたように拡張員の中には、余分にカードを上げとるのやから一本くらい寄越してもええやないかという考えの者がいとるのも確かや。
それを如実に表した質問やったと思う。
もう一つ、考えられる要素に、「つぶし」というのがある。
ここに登場した、班長のイソザキという男が、普段からタカナシ以上の成績を上げとるのなら、こういう問題は起きてなかったかも知れんという気がする。
班長というのは班員の誰よりも成績を上げていて当たり前という立場にある。
それが、班員の方が常に好成績を上げていたのでは、その班長としての立場、面目が立たん。
団長はじめ上層部からも責められる材料にもなり、ヘタをすると自身の立場が脅かされると考える。
このとき、イソザキはそういう状況に追い込まれていた可能性が高かったのやないかと思う。
単なる妬み程度で、そこまでするというのも考えにくいしな。
それが、今回のような露骨な「つぶし」につながったのやないかと思う。
もっとも、根性のねじ曲がった人間はどこにでもおるさかい、単にそれだけの男やったのかも知れんがな。
いずれにしても、実にくだらんゲスの考えやと言うしかない。
ワシが、このタカナシと同じことをされたら、おそらく泣き寝入りなんかせず、問題を大きくしていたはずやと思う。
どんな理由があれ、契約をつぶしたのは確かやから、どう見ても班長のイソザキに分がない話になる。
一本でも契約のほしい団にすれば、そうすることは完全な背信行為とも言えるさかいな。
まともな団長なら、そのイソザキを責めるはずや。
もっとも、喝勧とか置き勧、てんぷら行為を是認しとるような団では、それを否定する方がおかしいという見方が、当時の考え方の主流やったさかい、必ずそうなるとも言えんかったかも知れんがな。
そこの団長が、そのイソザキの側についてしまえば、もうどうしようもない。
裏を返せば、その確信があったからこそ、そこまでの露骨な妨害ができたと言えんでもない。
そんな状態が1ヶ月近くも続いたという。
そうなると、当然のように手の施しようがないほど自分のバンクがボロボロになってしもうたとタカナシは嘆く。
心やすかった客でさえ玄関も開けてくれんようになったし、顔を見ても「やっぱり、お宅らは所詮、拡張員ね」とまではっきり言われる始末やった。
当然、成績もがた落ちで以前のように稼ぐこともできんようになった。
身も心も精魂尽き果てた。
結局、タカナシは、この仕事を続けていく事ができんと考え、辞めることにしたという。
メールには、その事情を話した後、
こうして私の拡張員人生は、終わりを告げました。
ゲンさんのような、まともな感覚の拡張員が多数在籍する職場なら、違った結果になったんだろうにと、残念な気がしました。
あの世界の人間関係って難しい、やなやつばかりだなと思いましたが、このホームページを見たら、まともな人もいるんだなと、少しほっとしました。
これからも、ゲンさんの活躍を応援しております。
それでは、失礼致します。
と、締めくくられていた。
ワシも、こんなことで、この業界にとって有能な人材を失ったのは、ほんまに残念で痛いことやったと思う。
もっとも、そのタカナシにとって、あのまま拡張員を続けいた方が良かったのかどうかは何とも言えんがな。
現在は、違う営業の世界で頑張っとるということやから、結果的にはそれで良かったとも言える。
ワシは、このタカナシほど露骨な真似をされたことはないが、それでも、人の妬み嫉(そね)みが、やっかいやというのは痛感しとる。
露骨な真似は、その証拠がはっきりしとるさかい、まだ対処しやすい。
ところが、陰(いん)に隠(こも)った奴のやることは、その尻尾が掴みにくい分、たちが悪い。
今は、携帯電話という便利なものがあるからええが、10数年前までは使っている者はほとんどなく、客との連絡は、もっぱら拡張団の事務所の電話を介していた。
ワシの基本は、客とのコミュニケーションを取ることやったから、それが最も有効な営業手段ということになる。
客からワシに電話があれば、団の事務員、もしくは上層部がポケベルを鳴らし、それを知らせてくる。
ところが、たまたまそのとき、事務所にいた奴がその客からの電話を受け、ワシに知らせずあろうことか、自分でそれをカード(契約)にした者がおった。
そいつは客に、ワシに頼まれてきたと平気言うたとのことや。
あるいは、ワシの上げたカードのデータを事務所のパソコンなどから盗み見して、さも偶然に訪れたフリをしてワシから頼まれたと客にええ加減なことを言うて横取りされたというケースもあった。
それらは、偶然、たまたま訪問した結果やったと言われれば、その確かな証拠がない以上、またそいつが口を割らん限りはどうしようもない。
また、自慢げに仲間に上げたカードの自慢話をするのも、この世界では厳禁や。
そういう話を覚えていて先回りするような人間もおるさかいな。
特に、成績がええと思われる者とか、それを誇示しとるような人間へは、その妬みも絡み、よけい狙われやすい。
残念やが、この世界でトップになっても、あまりええことはないということや。
それが未だに、この業界からスーパースターが生まれてない大きな要因かも知れんと思う。
老子の有名な教えに「敢えて天下の先たらず」というのがある。
人の先頭に立たない謙虚さの美徳と処世術について語った、簡単やが意義深い教えでもある。
一言で言えば、この仕事を長く続けていく秘訣というのは、それに尽きる。
トップに立つようなことはせず、そこそこ稼ぐくらいの気持ちが一番ええとワシは思う。
ワシは営業の仕事は好きやが、がむしゃらに稼ぎたいというほどでもないさかい、その方が性に合うとるということもあるしな。
日々、のんびり暮らしていければええという願いの方が強い男や。
加えて、目立つことが嫌いな性格というのもある。
それに今更目立つまでもなく、このメルマガやサイトのおかげで「ゲン」という仮の名が、そこそこ有名になっとることでもあるしな。
ワシのような男の考え方でも勉強になったとか役に立ったと言うて貰えるだけで十分満足や。
これ以上は、何も望むものはない。
敢えて望むことがあるとすれば、この平穏な日々がこれからも長く続くようにと願うことくらいや。
ただ、厄介事とかトラブルの方が、勝手にやってくるというのがワシの今までの人生やさかい、いつまで平穏でいられるかは甚だ疑問ではあるがな。
参考ページ
注1.ゲンさんの勧誘・拡張営業講座
http://www3.ocn.ne.jp/~siratuka/newpage9.html
注2.NO.148 友人の拡張団の問題について
http://www3.ocn.ne.jp/~siratuka/newpage10-148.html
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