メールマガジン・ゲンさんの新聞業界裏話・バックナンバー

第354回 ゲンさんの新聞業界裏話


発行日 2015. 3.20


■ゲンさんのよろず相談あれこれ Part 16


このシリーズは、ワシらの知らんところで結構話題になっとるようや。

ここに質問や相談をすれば何でも答えてくれるということで。

確かに、このシリーズだけを見れば、実に様々な分野の質問、相談に答えとるさかい、そういう印象を持たれるのかも知れんが、ワシらにも答えられんこともある。

むしろ、その方が多い。ワシらは、答えられん質問や相談に関しては正直に「この件は私どもでは無理です。専門家の方に相談してください」と、相談者の方には、そうメールで断っている。

ただ、そうしていることが一般の読者の方には分からんから、何でも答えてくれるものと思われているのやろうな。

それが迷惑やとまでは言わんが、過度な期待をされても困る。

ワシらは答えられることだけに答え、アドバイスできることだけをアドバイスしているにすぎんさかいな。

その評価は、読者の方それぞれに委ねるしかない。そして、ワシらは、どのような批判、評価であっても甘んじて受ける。

それでは始めさせて頂く。


事例1.プロパンガス会社の集金人と揉めました


相談内容


いつも楽しくメルマガを拝見しています。

先日、M県にあるプロパンガスを販売しているI産業株式会社の集金人と名乗る男の人が何の前触れもなく訪問してきて「未払いのプロパンガス料金を支払ってくれ」と、凄い剣幕で来られました。

私の家はI産業株式会社のプロパンガスを使っていないので、おかしなことを言うものだなと思って聞いていると、近所に住んでいる息子のアパートでのものだと判りました。

銀行引き落としができていなくて、それで2ヶ月ほど払っていなかったようです。

その請求は仕方ないとして、なぜ親である私の家に来てガス料金を払えと喧嘩腰で言ってくるのか判りません。まるでヤクザかタチの悪い金融屋の取り立てのようでした。

その言い方に気分を害し、「なぜ息子の未払い分のガス料金を親に請求するのか」とこちらも怒って言い返しました。息子は30歳前の立派な大人なのです。

すると、「いつ行っても息子さんには会えない。それで以前、こちらに電話したことがあるが、その時、親のあんたが払うと言っていた」と言うのです。

私は、そんな話を聞くのは始めてで電話を受けた覚えもありません。

その集金人の態度に気分を害していたので「息子に伝えとくから今日のところは帰ってくれ」と言って玄関ドアを閉めようとしたら、その集金人は足をドアの内側に入れて来ました。

まるでタチの悪い新聞拡張員のようでした。その集金人は、「代金を払ってくれるまで絶対に帰らない」と言い張るのです。

私が「警察を呼ぶぞ」と言うと、「呼ぶのなら呼べ。悪いのは料金を払わない、そっちだ」という押し問答が10分ほど続きました。

私も意地になっていましたので、力任せにその集金人を外に押し出し玄関を閉めました。

それで、やっとあきらめたのか帰って行きましたが、どうにも我慢ができなくて、I産業株式会社に電話をしました。それで、今回来た集金人がHという名前だと判りました。

「おたくの会社と私は何の関係もない。その私に30歳前の子供のガス料金を支払う義務があるのか。また例えあったとしても、足をドアに挟むようなヤクザまがいの脅しをしてもいいのか」と抗議すると、その会社の事務員らしき人がしきりに「どうもすみませんでした」と謝っていました。

私が、「そこの支店長か集金の責任者の人に、今回のことをどう思っているのか説明して貰いたいので電話を代わってくれ」と頼みましたが、支店長も責任者も留守だと言われました。

「それなら、後で必ず連絡をしてくれ」と言いましたが、その後何の連絡もないので、消費者センターに電話をしました。

すると、その消費者センターで対応に出た女の人は、「ガス料金を払っていない息子さんに問題があるのでは」と言うではありませんか。

確かに、もとは息子の料金滞納が原因かも知れませんが、私が怒って問題にしているのは、そこではありません。

「子供のガス料金の支払いの義務は私にはありませんよね」

「ありませんね」

「それを私に払え、払うまで帰らないとドアに足を挟む業者の行為に問題はないのですか」

「それについてはいけないことだと思いますが、息子さんがガス料金を払えば済むことでしょう」という耳を疑いたくなるような返事が返って来ました。

「私が怒っているのは、何の関係もない私に対する態度なのです。そちらから、このことに関して相手方の会社に、今後このようなことがないよう言ってもらえませんか。またやって来るかも知れませんので」

「それは、できません」

「なぜです?」

「何度も言うように息子さんがガス料金を払っていないからで、I産業株式会社に責任のあることではありません」

「あなたは本気で、そんなことを言っているのですか?」

「ええ」

「判りました。あなたでは話になりません」

私は、そう言って電話を切りましたが、今回のことは、その消費者センターの女性担当者の方が言うように、こちらが悪いのでしょうか? とても納得できません。

ゲンさんのメルマガやHPで、ときたま「消費者センターにも程度の悪い人間がいる」といったようなことを書かれていますが、本当にそんな人がいるとは思ってもいませんでした。

I産業株式会社に責任者か集金人に謝罪して欲しいと思っていますが、無理でしょうか?

それと、こんなプロパンガス会社との契約を息子に続けさせるのは腹が立つので変更させたいのですが、そんなことは可能なのでしょうか?

長々と愚痴ばかり並べ立てましたが、このことについてゲンさんのご意見をお聞かせください。

あの場合、どうすることが一番良かったのでしょうか?

宜しくお願い致します。


回答者 ゲン


あんたの話を聞く限り、そのI産業株式会社の集金人と消費者センターの担当者の行為、および対応は悪すぎるな。

本当に、そんなことがあったのか俄には信じ難いと言うしかない。それくらい酷く、お粗末や。

まず、I産業株式会社の集金人の場合やが、親であるあんたに息子さんの債務とされるガス料金の未払い分を支払う義務はない。当たり前のことや。

そのI産業株式会社の集金人の言い分は、『親のあんたが払うと言っていた』と約束していたということのようやが、あんたが『私は、そんな話を聞くのは始めてで電話を受けた覚えもありません』と言われている以上は、その約束は成立しない。

また、例えその約束を本当にしていたとしても「忘れていた」、あるいは「気が変わった」と言えば、書面を取り交わした約束事でもない限り、いつでも取り消すことができる。

つまり、そんな不確かな約束事には何の効力もないということや。そんな約束事を頼りに集金しにきて断られたからというて、『代金を払ってくれるまで絶対に帰らない』と言って『足をドアの内側に入れる』のは、明らかにやりすぎや。

常軌を逸していると言うしかない。

あんたは『帰ってくれ』と言うてるわけで、それに対して『代金を払ってくれるまで絶対に帰らない』と居座る行為、および『足をドアの内側に入れて』という行為は、刑法第130条に住居侵入罪、不退去罪に該当する可能性が高い。

また、その度が過ぎれば強要罪、脅迫罪になることもある。

消費者センターの女性担当者とやらの対応やが、中には、そんな人間もいとるというのは、あんたも言われるとおりメルマガやサイトで時折話していることや。

もちろん、皆が皆というわけやないとは思う。大多数の担当者は、ちゃんとしておられるはずや。実際、ワシらが懇意にさせて貰うとる消費者センターの相談窓口担当者の方も多いな。

ただ、中には報酬が安いということもあるのか、アルバイト気分でやっている人がいとるのは事実のようや。

実際、消費者センターの多くで人材難のためか全国各地で、ほぼ毎日のように非常勤嘱託職員の募集(注1.巻末参考ページ参照)が行われとるさかいな。

一定の資格さえあれば、たいていの場合雇うと言われている。まあ、実際のところは応募してみな分からんやろうがな。募集する消費者センター次第で、かなり違うやろうとも考えるしな。

アルバイト気分でやっている人間にして見れば、話を聞くのは構わないが何かのアクションをするのは嫌だというケースがあるようや。面倒やし、それでトラブルを背負い込みたくないという思いがあるのやないかな。

あんたのケースで言えば、『そちらから、このことに関して相手方の会社に、今後このようなことがないよう言ってもらえませんか』というのが、それになる。

その担当者にとっては面倒この上ないということになるし、『息子さんがガス料金を払えば済む問題』と思い込んでいるから尚更、そういう対応になるのやと思う。

「簡単に解決がつくものをわざわざ相談するなよ」というのが本音やなかったのかな。

あんたにとっては、それではなく『親のあんたが払うと言っていた』と身に覚えのないことを言われ、払う筋合いでもない人間に対して『足をドアの内側に入れて』、『代金を払ってくれるまで絶対に帰らない』と脅迫紛いのことを言われたことを問題にしているのやが、それが分かっていない。

『今回のことは、その消費者センターの女性担当者の方が言うように、こちらが悪いのでしょうか?』というのは、そんなことはない。

あんたと同じような対応をされれれば誰でも怒るし、気分を害する。

滅多に、そんなアホな対応をする消費者センターの担当者などおらんと思うのやが、今回はたまたまそういった者に当たってしまい不運やったとしか言いようがない。

他のきちんとした担当者なら、また違った結果になっていたはずや。

『I産業株式会社に責任者か集金人に謝罪して欲しいと思っていますが、無理でしょうか?』というのは、相手にその気がなければナンボ言うても無駄や。

例え殺人犯に対してでも裁判官ですら謝罪を強要することはできんのやさかいな。

もっとも、「今回のことは、一言謝ってください」と謝罪を要求するのは構わんがな。

それに応じてくれれば矛を収めれば良いし、応じない場合は、そんな相手やと考えるしかない。

『それと、こんなプロパンガス会社との契約を息子に続けさせるのは腹が立つので変更させたいのですが、そんなことは可能なのでしょうか?』ということやが、それについて息子さんも同じ意見なら、方法はある。

そのI産業株式会社との契約を他社に変更することは可能や。一般の大多数の方はプロパンガス会社の変更などできないと思うとるようやがな。

電気と同じように、そのエリアでは、同じプロパンガス会社を使うしかないやろうと。

しかし、あんたがどこのプロパンガス会社を利用しようと自由や。電気会社のような制約はない。

ただし、問題がある。それは、あんたの息子さんの場合、アパート住まいという点や。

アパートやマンションなどの集合住宅の場合、ガス会社の変更は大家さんの了解を得る必要がある。全室一括でしかプロパンガス会社を変更することができんさかいな。

変更の決定権は物件の所有者である大家さんにしかない。稀に大家さんから全面的に任されている不動産管理会社に決定権がある場合もあるようやがな。

いずれにしても入居者単独ではできんということや。そして、プロパンガス会社を変更するような面倒なことをするのは、たいていの大家さんは嫌がる。

それならダメなのかと言えば、そうでもない。

現在、原油価格の下落に伴いガソリン代と同じくプロパンガス料金も下がってなあかんはずやが、それを価格に反映していないプロパンガス会社が結構あるという。

これは、あんたの方で調べて貰うしかないが、変更先のプロパンガス会社の料金が、そのI産業株式会社より安い場合、住んでおられる住民の方と一緒に大家さん、もしくは不動産管理会社に掛け合えば変更して貰える可能性がある。

その参考になるサイトとして『一般社団法人プロパンガス料金消費者協会』(注2.巻末参考ページ参照)というのが、あるから詳しいことは、そこに問い合わせて訊いて貰えれば分かるものと思う。

結論として、『あの場合、どうすることが一番良かったのでしょうか?』については、あんたが「警察を呼ぶぞ」と言うた際、「呼ぶのなら呼べ」とその集金人が開き直ったということのようやから、その時、本当に警察に通報するのも手やったと思う。

その際、警察官に詳しい説明をすると民事の争いと思われ『警察の民事不介入』を理由に取り合って貰えない可能性があるから、あくまでも「帰ってくれ」と言っても帰らず、「ドアに足を挟む」行為をしたことで、刑法第130条に住居侵入罪、不退去罪やということをアピールする必要がある。

そう言えば、警察はその集金人を追い返すしかない。どんな事情があれ、払う意思がない場合、その支払いをさせるには裁判で訴えて勝訴するしか正当な方法はないさかいな。

無理矢理支払わせれば、それに『強要罪』も加わる。殆どの警察官なら、その程度のことは知っているから、その集金人の味方をするようなことはまずないはずや。

後は、そのI産業株式会社は、東京と大阪にそれぞれ本社を構えているということやから、そこの苦情係にでも今回のことを伝えて抗議するという方法もある。

それが、どの程度効果があるのかは分からんが、やってみる価値はありそうや。まさか、そんな行為を容認する会社もないやろうと思うさかいな。

今のところワシからアドバイスできるのは、そんなもんや。後は、どうされるか息子さんと相談して決められたらええ。


事例2.ある会社の面接について


相談内容


相談に乗ってください。現在求職中の者です。

先日、新聞の折り込みチラシの求人広告を見てH社という精密機械を製造する会社に午後1時という約束で面接に行きました。時間は午後1時、5分ほど前でした。

受付の女性事務員に面接場所を尋ねると、「少々、お待ちください」と言われ、しばらくすると、「まことに申し訳ありませんが、本日面接をする予定だった社長に急遽用事ができましたので今日のところは、お引き取りください」と言われました。

私は内心「それはないだろ。だったら、それと分かった時点で、こちらの携帯番号も知らせているのだから連絡してこいよ」と思いましたが、そうも言えず「それでは、いつだったらよろしいので」と訊きました。

すると、「それについては後日連絡しますので」ということでしたが、それっきり何の連絡もありません。

そのH社へは電車賃も使っていますし、ほぼ丸1日、それで無駄にしています。

今となっては、そんな誠意のない会社で働くつもりはありませんが、あまりにも人を馬鹿にしたやり方が許せません。

その会社の実名をネットで晒そうかとも思いましたが、最近のメルマガ『第352回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■ネットの危険 その4 ネットの晒し行為は犯罪になる?』(注3.巻末参考ページ参照)を拝見して止めました。

それ以外の方法で、そのH社になんとかギャフンと言わせることはできないでしょうか?

なんでもいいので宜しくお願いします。


回答者 ゲン


『あまりにも人を馬鹿にしたやり方が許せません』と、あんたが怒られる気持ちはよく分かるが、確定している直接の被害が『H社への電車賃』だけのようやから、請求して得られるとしても、それくらいなものやと思う。

『ほぼ丸1日、それで無駄にしています』については1日分の日当でも貰いたいところやとは思うが、それを迷惑料として請求しても、まず拒否されるやろうな。

交通費も併せて、そのH社が支払いを拒否すれば、後は訴訟するしかないが、現実的やないわな。費用対効果を考えると割に合わんさかいな。

『そのH社になんとかギャフンと言わせることはできないでしょうか?』というのは、悪いがワシらでは思いつかん。

会社側が面接をキャンセルしたらあかんという法律もないし、交通費の弁償義務もない。単にお互いの約束事が反故にされたというだけやさかいな。

世間的には「常識のない会社やな」ということになるが、言うてもそれで終わる。評判など気にせん会社なら、「蛙の面に小便」としか考えんやろうしな。

事実、そんな真似をして平気で済ましている点から見て、そのH社がそうだということを如実に物語っているように思う。

そんな会社と関わらん方がええ。ヘタに何かを仕掛ければ逆に、あんたの方が追い込まれることになりかねんしな。

泣き寝入りと言えば面白くないかも知れんが、実際そうしとく方が結果として、あんたの益になることの方が多い。

おそらく、あんたは、こういう対応をされたのは初めてやと思うが、これで得られたものも多いはずや。

少なくとも、今後、面接に行く前にいろいろとチェックするやろうからな。

最近、面接に行くと「交通費支給」と謳っている会社が多い。そういう所なら、こんなドタキャンをすることもないやろうし、例えしても交通費くらいは支払って貰える。

つまり、「交通費支給」と謳っている会社だけを選んで面接に行けばええということや。

ハローワーク経由で面接に行く場合は、さすがにこういうケースはないと思うので、ハローワーク中心に職探しをするのでもええ。

他には、『求人フェスティバル』というようなイベントに参加するのでもええと思う。こういう所へは数多くの起業が参加しているので、丸1日無駄にすることもないと思うしな。

後は、1社だけに限らず、その近くにある複数の会社へ30分か1時間おきに数社、面接するという手もある。

面接時に即決というケースは少なく、たいていは2、3日から1週間程度は採用結果の通知を待たされるのが普通や。

せやさかい、あんたの方でも複数社当たり、その中で採用通知が来た会社の中から、これはと思う会社に決定したらええのやないかな。

会社が人材を選び篩(ふる)いにかけるために面接をするのなら、面接する側も会社を吟味して選択するために面接に臨むというくらいがちょうどええと思う。

それに、その日、面接が上手くいって就職が決まっていたとしても、そんな人のことを何も考えん、配慮せんような社長のもとで仕事をしていたとしても、いずれは後悔することになる時がくると考えるしな。

それが未然に防げただけでも儲けもんやと考えとくことや。

それに失敗の数、上手くいかんかった数の分だけ、良い会社、良い職場に巡り会える確率が増すのやと考えればプラス思考にもなれるしな。

そういうことが分かっただけでも、今回のことはマイナスやなかったと思う。


今回は、これくらいにしとく。

ホンマに世の中には、いろんなトラブルがあるもんやなと、このシリーズを続けているとそう感じる。

現在、届いている相談は他にもあるが、保留扱いになっているので、それらについては話せる時が来たら話したいと思う。



参考ページ

注1.国民生活センター 各地の相談員の募集
http://www.kokusen.go.jp/shikaku/s_saiyou.html

注2.一般社団法人プロパンガス料金消費者協会
http://www.propane-npo.com/

注3.第352回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■ネットの危険 その4 ネットの晒し行為は犯罪になる?
http://melma.com/backnumber_174785_6175134/


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