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第377回 ゲンさんの新聞業界裏話


発行日 2015. 8.28


■続ゲンさんの新聞勧誘営業講座 その3 新聞勧誘の第一歩


今回から、いよいよ実践編に移りたいと思う。

新聞勧誘において最も難しいことは何か?

こう問われると、殆どの勧誘員が「ドアを開けさせて話を聞いて貰えるようにすることだ」と言う。

営業する上で話を聞いて貰えず、門前払いされるというのは致命的なことや。

しかし、その致命的なことが、この新聞勧誘には多い。

それには、前回の『第376回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■続ゲンさんの新聞勧誘営業講座 その2 新聞勧誘営業の基本的な考え方』(注1.巻末参考ページ参照)でも言うたが、ただ漠然と訪問するだけでは客と話せるようになるのは難しい。

今回は、その難しい条件を少しでも良くする方法について話したいと思う。


新聞勧誘の第一歩 話を聞いて貰える確率を上げるために気をつけたいこと


1.留守宅は除外する。

留守宅ばかり叩いて(訪問)も時間の無駄やというのは誰にでも分かるわな。

そうは言うても「留守宅かどうかはインターフォンを押して叩いて見な分からんやないか」という意見もあろうかと思う。

確かに、それも一理あるし否定はせんが、それでも叩く前に留守宅と察知できればもそれに越したことはない。

その方法なら、幾つかある。

ただ、その方法をここで公開してええものかどうかは、少し迷うところではあるがな。

その家が留守宅かどうかを見分けることの得意な連中がいとる。空き巣狙いや。

その空き巣狙いの手口が留守宅か、そうでないかを探る有効な手段になるのやが、それを話すのはまずいのやないかという気になるさかいな。

それもあり、ここでは勧誘する側だけの視点ではなく、防犯の観点からも言及してみたいと思う。

それには新聞勧誘員自身も他人事ではないからや。防犯に対する知識を知っておいて損はない。

独身者の勧誘員の場合、仕事中は当然のことながら留守をしているわけやから、空き巣狙いの被害に遭う可能性もあるわけやさかいな。

侵入する前に、7割超の空き巣狙いが侵入方法と逃走経路を把握するために入念な下調べをすると言われている。

その確認に、ワシら新聞勧誘員を装うケースが多いとのことや。つまり、新聞勧誘員の押すインターホンを無視して居留守を使うと、留守と疑われるかも知れんということやな。

そういう家は狙われやすく、結果として空き巣狙いが留守やと思い侵入し、住人と遭遇することで、居直り強盗に転じるケースも結構な比率であるようや。

せやから、多少面倒でもインターホンにはなるべく出られることを勧める。

スマホアプリの中には外出中でも、そのインターホンに応答することができるものもあるとのことやから、それを利用するのも手やと思う。

まあ、その場合はワシらの新聞勧誘はたいてい、断られることになるとは思うが、その方が新聞勧誘員にとっても有り難い。

留守宅やと確認するためには2、3度インターホンを押して待たなあかんさかい、すぐ応答してくれた方が、時間の節約、短縮にもなるさかいな。

その分、一軒でも多く他の家を叩くことができる。

その他には、電気や水道、ガスメーターの確認というのもある。これは検針員を装えば、庭の中であっても比較的容易に立ち入ることができる。

そして、それらしい格好と仕草をしていれば空き巣狙いと疑われることはまずないという。実際の空き巣狙いに、そういうのが多いと聞くさかいな。

水道やガスメーターは回っていなくても分かりにくいが、電気メーターの回り具合で留守か、そうでないかの見当がつきやすい。

留守の時は冷蔵庫の電気を使うとるくらいでメーターは、ゆっくりとしか回らんが、現在のように夏場なら、エアコンなしで室内には居辛いから、誰かが在宅していれば電気メーターの回転は半端やないくらい速いしな。

家族内で鍵の隠し場所を決めているというのもありがちやが、それも危ない。

ここで具体的には言えんが、鍵の隠し場所はパターンがほぼ決まっているさかい、比較的簡単に見つけやすい。

ワシら新聞勧誘員は、例えその隠し鍵を見つけても空き巣狙いやないさかい、「ああ、ここは留守やな」で済むが、空き巣狙いに、その鍵が見つかってしまえば大変やわな。

家の前とか玄関口などの外から見えやすい所にゴミを出し放しにしておくというのも留守宅と分かりやすい。

ゴミの収集日は、各自治体によって出す日が決まっているため、それには出せず、旅行などで家を数日空ける場合、仕方なく家の前や玄関口に出してしまう人がいる。

その場合、物置や倉庫があれば、その中に入れる、ない場合でも外から見えにくい場所に置いておくことを勧める。できれば旅行中は消臭処理をして家の中にでも入れておく方が無難や。

さらに日中、雨戸が閉まりっ放しの状態や玄関口や庭の手入れ、掃除が行き届いてない家も留守と見られる可能性が高い。

共稼ぎ世帯では、なかなか雨戸を開けておくとか、玄関口や庭の手入れや掃除をするというのは難しい面もあるさかい、その場合は、防犯カメラなどを設置しておくのも効果的や。

これはダミーでも構わんが、万が一の時には本物の方が犯人を特定して捕まえるにはええと思う。

一般的に、そこまで用心している家には空き巣も入らんということやさかい、ダミーであれ本物であれ、それなりに効果があるはずや。

ワシら新聞勧誘員は一般から不審者扱いされ、警察に通報されるというケースも希にある。

その場合、防犯カメラを設置している家を叩いたのを覚えていれば、「その防犯カメラを見て貰えば真っ当な勧誘行為をしていると分かるはずや」と言うて身の潔白を証明するのに都合もええしな。

新聞が溜まっているというのも留守と知られる最も多いケースや。

これは長期に旅行して留守にする際、新聞販売店に「休止依頼」をしていないからやが、例え2、3日でも留守にするのなら必ず新聞販売店に、「休止依頼」の連絡はしておいた方がええ。

郵便物の溜まり具合でも留守と分かる。特に、郵便や宅配便の不在者表が外から見えれば、致命的やさかいな。

洗濯物を夕方5時以降になっても取り込んでいない家も留守の確率が高いと見られる。

家の駐車場に車が停まっていない、自転車がないというのも、それがないと不便な地域についても留守と判断される材料になる。

現在、問題になっている放置空き家については一目瞭然に、それと分かるから説明するまでもないわな。

事ほどさように、外からその家の様子を見るだけで、ある程度、留守宅かどうかの判断ができるということや。

明らかに留守と分かる家は叩かんようにすれば、その分、時間の節約になる。

それが結構、バカにならん。

例えば、留守宅を叩く場合、インターホンを押して、しばらく待つという行為を2、3度繰り返すわけやが、その際、かかる時間が一軒当たり2分だとすれば、50軒の留守宅を叩けば単純計算で100分かかる計算になる。

実際には2時間くらい時間のロスが生じると考えといた方がええ。これは新聞勧誘員にとっては大きい。その時間のロスが防げるのなら、そうしといた方がええわな。

それに、こういうことを何年も続けていると、その家の前に立つだけで、留守か在宅しているかが分かるようにもなるしな。

もっとも、それについては多分に感覚的なものやさかい、どうすれは、それが分かるようになるとは言えんがな。

敢えて言えば、経験の積み重ねが、それと教えてくれるというところかな。
 

2.ドアオープンのためにできること。許されること。

繰り返すが、新聞勧誘にとって最も難しく、重要なのは『ドアを開けさせて話を聞いて貰えるようにすること』や。

インターホン越しにセールストークを駆使して、落とせれば、それに越したことはないが、それだけに頼っていたんでは残念ながら、新聞勧誘は厳しい。

よほどのことでもない限り、新聞勧誘と聞くだけで「結構です」と言って「インターホン・キック」しようと決めている人が多いさかいな。

それには、直接顔を合わせて話を聞いてしまうと断りきれない、断る自信のない人が多いからや。

それもあり、成約率を高めるのは直接の面談に持ち込むしかないというのは、この業界に携わる者の常識になっている。直接会って勧誘できれば成約できる確率も上がると。

そのためには、どうしたら良いのか。その方法を説明する。

例え、相手の客から姿は見えずとも満面の笑みを浮かべ、明るくほがらかな声のトーンで話すように心がけるだけで、ドアを開けて貰える確率がかなり違ってくる。

その際、「こんにちは(今晩は)、○○さん、○○新聞の者です。以前、お約束の物をお持ちしました」と、はっきり言う。

特に『こんにちは(今晩は)、○○さん』の部分は大きめの声で、『○○新聞の者です』というのは流す感じでもええ。

そして、最後の『以前、お約束の物をお持ちしました』の部分をはっきりと言う。

しっかりした挨拶があるだけで、「この人は礼儀正しいな」と思うて貰えるし、名前を呼ぶことで親近感を与えられるさかいな。

『お約束の物』というのは、何も本当に約束していなくても良い。一方的な約束でも構わない。

ワシは、例え「インターホン・キック」されたとしても、最後には必ず「分かりました。それでは今回は帰ります。しかし、次回寄せて頂く際には、○○さんの気に入る条件とサービスを考えて来ますので、その折りには話を聞いてやってください」と言うておく。

たいていの客は、こう言えば「帰って貰える」ものと考えるさかい、それに対して否を唱えるケースは少ない。というか、そんな勧誘員の最後の言葉など耳に入ってないのが、普通や。

しかし、こう言うておけば、『以前、お約束の物をお持ちしました』と言うても嘘にはならん。

客の方でも「そうやったかな」と考えやすい。そのタイミングを逃さず、勧誘トークに持ち込むわけや。

インターホンを押すと同時にノックをするというのも効果がある。そのノックも中央より、やや下方を叩く。

下の方を叩くと、近所か知り合いの子供でも来たのかなと勘違いしてドアを開ける場合がある。

客の勘違いを誘うのは汚いやないかという意見があるかも知れんが、ノックをするのに下の方を叩いたらあかんという決まりはないから、法的にはセーフや。

もっとも、ひんしゅくを買う可能性はあるけどな。

せやから、ドアオープン後は、間髪入れず勧誘トークに全力を傾けるようにすることや。

どさくさに紛れてと言うと語弊があるが、少々のことはごまかすのも手やと思う。

目的は、あくまでもドアを開けさせることにあり、その後は、きちんとした勧誘をすれば特段問題はないと考えるさかいな。

その客のためになりそうなことがあれば、迷わず知らせる。そういうのは、それと気をつけていれば結構、いろいろ見つかるもんや。

具体的には、その家の洗濯物が風に吹かれて地面に落ちているというケースなんかが、そうや。

その場合、「奥さん、お宅の洗濯物が落ちてますよ」と、インターホン越しに知らせれば応答してドアを開けてくれる確率が高くなる。

開けてくれれば、相手には「親切な人」と思われるさかい、その後の勧誘が楽やわな。


3.自身のアピールポイントを強調する。

訪問販売の営業で商品を売り込む場合、その営業マンの存在が大きな要素となる。

同じ商品を売り込むのにも、良く売る者とあまり売れない者とに、はっきり色分けされる。

特に、新聞営業の場合、その差は歴然としたものになる。契約を上げている者は常にその数字を維持できるるが、できない者は、いつも成績が悪い。

その差は何か。それは、客に気に入られているか、どうかという点に尽きると思う。

欲しい商品やサービスであっても気に入らん営業マンからは買いたくないし、逆に、必要のない物でも、気に入った営業マンだとつい買ってしまう場合がある。

営業の場合、話術とかテクニックが重視されると考える者が多いようやが、それらはあまり大きな要素にはならん。

むしろ、話術やテクニックの稚拙な営業マンの方が成績がええということが結構多いもんなんや。

それよりも客に気に入って貰うことの方に神経を傾けることや。それが、契約をあげるための一番の近道になるとワシは思う。

どんな営業でも、自分自身を気に入って貰える客を多く確保している営業マンがその業界のトップに君臨しとるはずや。

新聞営業にも同じ事が言える。客に気に入られるには、まず自分自身をアピールせんとあかん。

そのためには、自分の武器となるものを、何でもええから探してみることや。

それには自分がどんな人間かまず把握する必要がある。

風貌。雰囲気。性格。服装。社交性。特技。話術。経験。年齢。人生観。趣味。知識など、どんなことでも用い方次第で有効な武器になる。

それを自覚することや。

自分の武器を探すと言うても、すぐには難しい問題やと思う。

ワシ自身について話すから、参考にできる部分があれば、そうして貰えればええ。

ワシの容姿風貌は殆どの人間に安心感を与える。これは、自己分析ではなく、今まで、多くの人間から得た評価や。昔から、人には信用されることが多かった。

他人からの評価は大きい。見かけは大きな武器になる。それを利用せん手はないわな。

「自分は人に信用されやすい」と思い込むことができる。

不思議なもので、そう思い込むと妙な自信めいたものが自然に生まれてくる。そして、その自信が人間を育てるとワシは思うとる。

ただ、人から信用を得やすい風貌、雰囲気を身につけることは、努力とか訓練で身につくもんやない。

いくら、そんな人間になれるよう目指そうとしても、もともとその資質のない者には無駄や。

心配せんでも、どんな人間にも必ず取り柄はある。長所も欠点もあるのが人間や。

そして、営業の武器とは長所ばかりを使うことやない。欠点も使い方によれば立派な武器となる。

武器は無数に存在する。問題はそれを見つけられるかどうかや。

それぞれが特有の武器を見つけて、それに合った独自の営業法を駆使すれば、トップ営業マンの道は近いと思う。


4.見切りの大切さ。

新聞勧誘の正否は最初の数秒で決まると言われている。

それを大きく左右するのが、見た目の第一印象や。

人には相性のようなものがある。俗に言う「虫が好かん」相手に対しては敬遠したくなるし、「ウマが合う」人間となら、いくら話しても苦にならん。

その相性の善し悪しは人によって大きく違う。

それは新聞勧誘員と客との関係についても言えることで、「ウマが合う」人間同士が出会えれば契約して貰える確率が高まるし、反対に「虫が好かん」相手なら、少々条件が良くても断るのが人間や。

今更な話やが、新聞勧誘に絶対というものはない。こうすれば絶対に契約が取れるというものもない。

ある新聞勧誘員と契約した客が、同じ新聞で同じ条件を提示した他の新聞勧誘員と契約するかと言えば、必ずしも、そうはならん。

そこに人間が介在する以上、どうしても相性の問題がつきまとうわけや。

その相性を少しでも良くするには、「客を持ち上げおだてる」、「客の言うことは否定しない」、「客の気分を害さない」といった勧誘方法がある。

基本的には「自分を殺す」ことが重要になるが、「虫が好かん」と第一印象で決めつけられると、それをひっくり返すのは、まず無理や。

営業は、よく粘ることやと教えられるが、いくら粘っても「虫が好かん」と思われてしまえば、どうにもならん。

人は好意を寄せてくる人間は敏感に、それと感じ取るが、反対に嫌う相手に対しても、それとすぐ分かる。

そのあたりの見極めについては難しいものがあるが、「これは脈がないな」と判断すれば、なるべく早めに切り上げることや。

少なくともワシは、そうしとる。

営業は、自分にとって簡単な相手を選んでするもので、難しい人間を落とすものやないというのが、ワシの考えやさかいな。

「いける」と思えるか、「こら、あかん」と感じ取るかで、押すか、あきらめるかすれば良いと。

もちろん、第一印象だけが、すべやないということもある。度々会っているうちに、うち解け懇意にして貰えるというケースもあるしな。

そのへんの見切りの付け方が重要やということやな。


今回は、ここまでにしとく。

今更やが、新聞勧誘については、いろいろなことがある。不法行為をしないという前提で言えば、どの勧誘方法が正解で、どの方法がダメだということはない。

どんな方法でも結果として成約にこぎつけることができれば、それが正しい勧誘方法とということになるしな。

ただ、難しいのが、その方法が一つではないということや。正解を導き出す勧誘方法は、いくらでもある。

それについては、これから追々話すさかい分かって貰えるものと思う。



参考ページ

注1.第376回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■続ゲンさんの新聞勧誘営業講座 その2 新聞勧誘営業の基本的な考え方
http://archive.mag2.com/0000265583/index.html


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