メールマガジン・ゲンさんの新聞業界裏話・バックナンバー

第418回 ゲンさんの新聞業界裏話


発行日 2016. 6.10


■桝添東京都知事の弁明で新聞のイメージが悪くなりませんか?


ある読者の方から、


いつも楽しくメルマガを拝見しています。

今、桝添東京都知事の話題が連日報道されていますが、第三者だという桝添知事側の弁護士二人による調査結果の中に「2年前と3年前の正月に家族と宿泊した千葉県内のホテルで開いた会議に元新聞記者の出版社社長が同席した」という報告がありました。

もし、これが本当だとしたら、「元新聞記者の出版社社長」が関わっていたというだけで新聞のイメージが悪くなりませんか?

また、今回騒がれている桝添東京都知事の問題について、どう思われますか?

お暇なときでよろしいので、ご意見をぜひお聞かせください。


というメールを寄せて頂いた。

『第三者だという桝添知事側の弁護士二人による調査結果の中に「2年前と3年前の正月に家族と宿泊した千葉県内のホテルで開いた会議に元新聞記者の出版社社長が同席した」という報告』については、


http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160606/k10010547751000.html より引用

舛添知事 調査結果「新たに不適切な支出」


 東京都の舛添知事の政治資金などを巡る一連の問題で調査を依頼された弁護士は、いずれも違法性はないとしつつも宿泊費や美術品などの購入費の一部に趣味や家族のためと見られてもやむをえない不適切な支出があったなどととする調査結果をまとめたことが分かりました。

 東京都の舛添知事は、政治資金などを巡る一連の問題について、第三者に調査を委ねるとしてこれまで具体的な説明を行わず、先月25日から元検事の弁護士2人による調査が行われていましたが、調査結果がまとまり、都議会の正副議長や各会派の幹事長に説明を行いました。

 関係者によりますと、調査結果では、舛添知事が関係する政治団体の支出について、政治資金の使途に制限はないためいずれの支出も違法性はないとしつつも、一部に不適切な支出などがあったと指摘しています。

 この中では、19件の宿泊費のうち、新たに、4年前に栃木県日光市のホテルに支払った8万円余りと、6年前に山口県下関市のホテルに支払った7万円余りなど4件合わせて43万円余りについて、主な目的は家族旅行と解釈するのが合理的だなどとして適切とは言えないとしています。

 また、2年前と3年前の正月に家族と宿泊した千葉県内のホテルで開いたとする会議については、「相談相手である元新聞記者の出版社社長とそれぞれ数時間と、1時間程度面談していた」としていますが、「全体としてみれば家族旅行と判断するほかない」などとしてこれらも不適切だったとしています。

 さらに、インターネットのオークションなどを通じて購入していた美術品や書籍などについても、違法性はないものの趣味や家族のための購入と見られてもやむをえないなどと指摘し、一部に不適切な支出があったとしています。


という報道の中ではっきり語られている。

『もし、これが本当だとしたら、「元新聞記者の出版社社長」が関わっていたというだけで新聞のイメージが悪くなりませんか?』ということやが、この程度で新聞のイメージが損なわれることなどないと思いたいが、『元新聞記者の出版社社長』とやらの関わり方次第では、批判の対象にされんとも限らんさかい何とも言えん。

あまり公にはされていないが、新聞記者と政治家が公私に渡り付き合いがあるというのは、よく聞く話や。

これに関しては新聞記者の仕事上、政治家と親しくすることで情報を得やすくするためというのがあるから、ある意味、必然的なことやと思う。

ただ、それは癒着と見られることもある。特定の政党や政治家に阿(おもね)った記事を書いていると。実際、そう誤解されるケースも多い。

『今回騒がれている桝添東京都知事の問題について、どう思われますか?』と問われれば、一般の人たちと同じような批判的なコメントに終始するやろうと思う。

正直言うて、世間でこれだけ叩かれている人間に対して、さらに追い討ちをかけるような真似は、あまりしたくない。

ワシらが、そうせずとも、あちこちで、それこそ袋叩きの目に遭うとるわけやしな。

ただ、読者からの質問に対して答えないわけにもいかん。

今までが、そうやったように、世間的に大きな問題についてワシらが、どう考えとるのかが知りたいと思われる方も多いさかいな。

それにはワシらの視点が常に一般の人たちと違うところにあるからやと思う。普通とは違う見方をすると思われている。要するに変人の思考やな。

それで良ければという前提で話させて頂く。

桝添都知事が過去に出版した書籍は単著で53冊、共著6冊、訳著6冊、論文13冊と多い。

普通、正月の2日にわざわざ会って会議か話し合いかは分からんが、そこまでする『元新聞記者の出版社社長』であれば、過去に桝添都知事が出版したことのある出版社の社長やと考えるのが妥当やさかい、該当する人はそれほど多くはないはずや。

実際、多くのメディア、報道関係者は該当すると思われる人物に問い合わせているというが、そのすべてで、その事実が否定されているということもあり、今のところどこの誰かは特定されていない。

現時点では、そんな人物などいなかったのやないかという見方が支配的なようやがな。

もっとも、その一方で『元新聞記者の出版社社長』と具体的な表現をしているところから実在する人物やと見る向きもある。

まあ、ワシらは前者の『そんな人物などいなかった』と見とるがな。具体的な表現をすることで信憑性を持たせるために言っているだけやと。

真実は、「会議費」として家族で泊まった宿泊費を計上した手前、引っ込みがつかんようになり、嘘の上に嘘を塗り固めた結果、ここまでの事態、騒動になったのやと考える。

家族で泊まった宿泊費が「会議費」として発覚した最初の段階で「それは間違ってました」と素直に謝って「記載ミス」として訂正しておけば、ここまで拗れた問題にはなってなかったやろうと思う。

もっとも、それ以前に家族で泊まった宿泊費を政治資金で落とそうした、せこさに原因があるわけで他にも同様のことが数多く発覚しとるから結局は同じやったかも知れんけどな。

今回の桝添都知事の疑惑の大半は、本来個人的に支払うべき支出を政治資金や東京都の経費に計上していたことにある。

桝添都知事側の立場で考えれば、「落とせる経費は何でもええから落とせ」という程度のことやったのやろうと思う。

これは、自主申告をして税金を払っていたことのあるワシには、よく分かる。

法律に違反していなければ、それでええやろうと考えてギリギリの線で処理したい気持ちになるのも理解できる。

実際、払わんでも済む税金なら払いたくないというのが納税者の偽らざる気持ちやさかいな。

しかし、税金を払う側ではなく、その税金から給料や経費を貰う立場の人間が、それをするのは許されん。しかも、それが自治体のトップ、知事ともなれば尚更や。

今回の問題は、まさにそこで、その点について東京都民、国民が怒っているわけや。

現在、東京都議会で桝添都知事への追求が行われている。

ただ、当初は議席の過半数を占める自公の議員による追求は緩いと思われていた。特に、強い調査権限を持つと言われる百条委員会の設置に消極的やったという。

現時点で都議会が桝添都知事を辞任に追い込むことのできる最善の手が、百条委員会の設置だと見られている。

百条委員会で証言を拒否したり、嘘の証言をしたりすると、禁固や罰金に処せられるという規定があるからだと。

前東京都知事の猪瀬直樹氏が、医療法人から5千万円を受け取って追及された問題で、百条委員会の設置が決まった直後に辞任したということがあったさかい、今回の桝添都知事の場合もそうなる可能性が高いと言われている。

ただ自公の議員にとって舛添都知事に今辞められては困るという理由で、百条委員会の設置には消極的やという話が洩れ聞こえてきている。

実際、自公の議員の中から、

「桝添都知事を辞任に追い込んで選挙になった場合、自公には擁立できる候補者が見当たらず、野党がどんな候補を立てるかわからないので、すぐに辞めさせるわけにもいかない」

「自民党と公明党は知事選で舛添氏を応援した経緯があるから、百条委員会の設置に賛成反対のどちらでも批判される。本会議より前の議会運営委員会で百条委員会の設置を止めないと拙い」

「舛添知事が7月18日より前に辞めると、4年後の知事選は7月24日から9月6日のオリンピック期間中と重なる。これを避けるためにも、今の時点で桝添都知事に辞められては困る」

という声が上がっていて、それが主流を為していると。

ただ、ここにきて、自公の議員の中にも百条委員会の設置もやむを得ないと主張する声が増えている。桝添都知事を辞任に追い込むのもやむなしと。

それについての報道記事がある。


http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016060890070246.html より引用


 東京都の舛添要一知事による政治資金流用などの問題で、都議会の代表質問が七日あり、与党の公明党が「知事失格だ。出処進退は自ら決めるべきだ」と舛添氏の進退に言及した。

 自民党も「期待を裏切られた」と厳しく追及し、過半数を占める自民、公明が明確な強硬姿勢に転じた。野党の共産党は「辞職するべきだ」と強い調査権限を持つ百条委員会の設置を主張した。

 この日は民進党(旧民主)を加えた四会派が質問した。舛添氏は「不徳の致すところ」「反省している」などと繰り返し頭を下げ、知事続投に理解を求めた。

 各会派は、舛添氏が六日に公表した弁護士による調査結果を「説明が不十分」とし、家族旅行で泊まった千葉県木更津市のホテル代を政治資金で支出した問題などを追及。

 舛添氏が当初「政治活動」としたホテルでの関係者との面談について、相手の氏名や領収書の内容などを問いただしたが、舛添氏はこれまでの会見以上の説明は避けた。

 最大会派の自民(五十六人)の神林茂氏は「知事とともに力を合わせ進むはずだったが、期待は裏切られた」と批判。「身を切る決断が必要だ。これまでも警告を発してきたが、知事(の姿勢)が変わらないなら、警告に代わる措置を講ずる用意がある」と迫った。

 公明(二十三人)の上野和彦氏は、公用車での神奈川県湯河原町の別荘往復を「完全なルール違反。誤りを認めて経費を返却するべきだ」とし、「知事はもう失格だ。出処進退は自ら決めるべきだ」と訴えた。

 共産(十七人)の和泉尚美氏は「知事にとどまるのは許されない。疑惑の全てを明らかにし、速やかに辞職するべきだ」と述べ、百条委員会設置を各会派に呼び掛けた。

 民進(十四人)の小山有彦(くにひこ)氏は「未来の都政を語る資格はない。不適切な政治資金の返金や別荘売却がけじめにはならない」と批判した。

 議員席からは「早く辞めた方がいい」「責任を取りなさい」「理解できないよ」など激しいやじが飛んだ。一般傍聴席は約百九十人で満席となった。

 八日は一般質問、九日からは総務委員会が開かれる。


潮目が変わるという言い方があるが、現在の状況は、まさにそれやろうと思う。

当初、自公が桝添都知事を辞職に追い込むはずがないと考えていて、のらりくらりと質問を躱してやり過ごし、時が過ぎ去るのを待つ作戦を立てていたようやったが、そのアテが外れつつある。

それには、自公の議員たちが、それぞれの支援者から予想外の突き上げを喰らっているからやと言われているからや。

ここで対応を誤れば、来年の都議会選挙で落選するかも知れんという危機感を抱いた議員も多いと聞く。

所詮、桝添都知事に辞めて貰っては困るという理由などは、自身の票を失うことイコール次回の選挙での落選以上に大きな問題でもないしな。

『桝添都知事を辞任に追い込んで選挙になった場合、自公に擁立できる候補者が見当たらない』のであれば、擁立できる候補者を探すか、どうしても見つからないのなら立候補者の中から選んで応援すればええだけの話や。

そんなことを理由にする方が、おかしいと気づかなあかん。

『自民党と公明党は知事選で舛添氏を応援した経緯があるから、百条委員会の設置に賛成反対のどちらでも批判される』というのも、どちらが、よりダメージが少ないかを考え選択すれば答えは自ずと出るはずや。

現在、世論の大半は『桝添都知事の辞任』に傾いている。その流れに逆らって都民の支持をなくす方がダメージとしては大きいと思うがな。

『舛添都知事が7月18日より前に辞めると、4年後の知事選は7月24日から9月6日のオリンピック期間中と重なる』から困るというのであれば、選挙前に立候補者が「今回の知事選に限り任期より前に辞職してオリンピック開催時での選挙の混乱を避けたい」とアピールすれば、票も得やすいのやないかと思う。

もっとも、誰かが、それを言い出せば他の立候補者も同じ事を言うやろうから、結果としてそれほど心配せんでもええのやないかと考えるがな。

少なくとも、そんなことを理由に舛添都知事の延命に手を貸す方が、都議会自公にとってマイナス要素が大きいと思う。

また、自公の対応次第で目の前の参議院選挙への影響が出ることも十分考えられる。都議会自公と政府与党の自公とは違うという者もいるが、一般市民、国民には同じとしか映らんさかいな。

日本の選挙は、風といったイメージに左右される場合が多い。現時点での民意を掴んだ者が勝つ。反対に民意に逆らった者は負ける。

それからすれば、今回の舛添都知事問題は政局の大きな転換期になるかも知れんという気がする。

とはいえ、舛添都知事問題の内容はアホらしいほど「せこくてケチ臭い」がな。

そんなもので政局が変わるということには納得できんが、結果としてそうなる可能性は大やと思う。

これで自公の人気が落ちて議席を減らすことにでもなれば、当事者は泣くに泣けん気持ちになるやろうな。冗談やなく、そうなる懸念は大きい。

舛添都知事に汲むべき要素は何もないが、ここまで民意を盛り上げた功績は大きかったのやないかと思う。

政党のバックアップや議席の数を、いくら頼りにしていても政治家は、その時々の民意を失えば終いや。

今回のことで、改めてそれがよく分かった。

おそらく、今までの流れからして、舛添都知事は、例え百条委員会が設置され、どんなに追いつめられても自ら辞職することは現時点では考え辛いが、問題はそこやない。

今回の最大の問題は与党である自公が、どう動くか。野党がどこまで攻め切れるか。有権者の目は、そこに注がれることになるやろうと思う。


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