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第438回 ゲンさんの新聞業界裏話


発行日 2016.10.28


■拡張の群像 その18 拡張員の意地、一寸の虫にも五分の魂


「一寸の虫にも五分の魂」という昔から言い古された、ことわざがある。

どんなに小さくて虫のように弱い存在であっても、それ相応の思慮や意地、考えがあるさかい、侮ったり、軽んじたりすべきではないという喩えに使われることが多い。

また、自身の意気込み、心意気を相手方に強調する時にも、よく引用されることわざや。

ヨシオも拡張員が世間から蔑まされ、嫌われているということは承知している。迷惑がられ、相手にされないことも多いと。

ヨシオのような比較的真面目な拡張員にとっては理不尽なことやが、そう見られても仕方のない悪質な連中がいるのは事実やから、ある程度仕方ないとは思う。

しかし、世の中には、そんな悪質な拡張員をも遙かに凌駕するあくどいモンスター新聞購読者が存在するのも、また事実や。

それについては前回のメルマガ『第437回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■新聞販売店物語 その21 客に引っ掛けられた、ある専業員の怒り』(注1.巻末参考ページ参照)で過去の数多くの事例をまじえて話したが、今回も似たようなものや。

その日、ヨシオは入店先の新聞販売店で拡張していた。「案内」には女性専業員のハルコがついた。ハルコの運転する車で回っていたのである。

「案内」というのは業界人にとっては常識的なもので説明するまでもないとは思うが、このメルマガは業界以外の一般の方が数多く見られているので、知らない方のために一応説明しとく。

新聞販売店の従業員が、拡張員を任意の地域に連れて行って指定した客を勧誘させるやり方のことを「案内拡張」と言う。別名、「ひも付き拡張」とも呼ばれている。

新聞販売店が、この「案内拡張」をさせる主な理由に、現読や購読契約済みの読者の訪問を避けるためと、拡張員の監視をさせるためというのがある。

また、案内人に拡張の勉強をさせるためもある。

案内人は販売店で把握している現読、約入りの家を避け、新規、もしくは過去読の家を拡張するよう拡張員に指示する。

その日は、比較的順調で3枚の契約カードがあがったこともあり、予定の時間より少し早いが終わりにすることにした。

その帰りの車中、「拡張員さんたちも変なお客と出会って嫌な思いをしたことがありますか?」とハルコが突然、話を振ってきた。

「そりゃ、ありますよ。拡張員と分かっただけでホロクソに言われて追い返されることなんか日常茶飯事ですからね。一々気にしていたら身が持ちませんよ」

ヨシオはハルコが年上ということもあり、そう言った。

「そうですか……」

「何かあったんですか?」 

ヨシオは、ハルコの沈んだ様子に訝りながら、そう訊いた。

「実は、何度行っても無茶苦茶な暴言を吐かれ、全然お金を払ってくれないお客がいて困っているんです。おそらく女だと思って舐めているんだと思うんですが」

「それやったら店長か主任に頼んで行って貰ったら?」

「店長に言っても、それは、あなたの仕事だとしか言わないし……、ヨシオさんだったら男の人で、押しも強そうだから、代わりに集金をお願いできないかしら………」

ハルコが、そう言ってきた。

「良いですよ。今日はハルコさんのおかげでカードもあがりましたし、時間も余っていますので、早速今から行きましょう」

ヨシオは、集金くらい簡単なものだと思い、気軽にそう答えた。

集金を頼まれるケースは、ワシも何度かあるし、引き受けることも多い。普通、それで問題が起きることは殆どない。

ハルコの言うように女だとバカにして、からかい半分にそんなことを言う客がいるのも確かや。そんな客なら男の集金人が行くだけですぐに払ってくれるケースも多いな。

払えない場合でも次回の集金日に一緒に支払う、もしくは日を決めて支払いの約束をして貰うことくらいはできる。

それであれば、ハルコも販売店の店長に面目が立つはずだ。

ただ、厳密に言えば、拡張員の場合、正式な集金委託業務は販売店の店長などの責任者から依頼されたものでなければならない。当然、その場合は某かの成功報酬が支払われるのが普通や。

この場合は、ハルコからの個人的な依頼ということで、報酬は度外視していたし、入店すれば、その販売店の従業員と同じ身分で営業できる上、客には拡張員か、店の従業員かなど、分かるはずもないから問題はないだろうと踏んだということもある。

ただ、その販売店がヨシオの集金行為については関知していないと言えば指示外の業務行為ということになり、それを理由に揉める場合もある。

そのことがヨシオには若干引っ掛かったが、それ以上に世話になったハルコのためになりたいという思いの方が強かったので引き受けることにした。

もっと言えば、女だからというだけで、そんな態度に出る人間が許せないという気持ちもあった。

その家に行くと、門の前に小学生くらいの子供がいた。その家の子供だという。

「こんにちは、お母さんいる?」

「いるよ。お父さんも」

「そう、ありがとう」

ヨシオは、そう言うと、門から玄関口まで歩いて行き、中から母親らしき声も聞こえたので「ごめんください、アライさん。Y新聞販売店の者ですが……」と大きめの声で呼んだ。

すると、「何や?」と言いながら、いかつい不機嫌そうな感じの男が玄関を開けた。

「先月分の新聞代を頂きに参りました」

「いつもの、おばはんは?」

「今日は私が代理で来ましたので」

「せやから、何やねん。帰って、いつもの、おばはんに直接取りに来いと言うとけ」

「お客さん、何か勘違いされていませんか。新聞代は、うちの販売店に支払って貰うもので、特定の集金人に払うものではありませんよ。私も代理として、こうして領収証も持って来ているんですから、このまま手ぶらで帰ることはできません」

「ボケェ、お前のような糞生意気なガキに何で払わなあかんねん。ごちゃ、ごちゃ言うてんと、さっさと帰れ!」

「今日はダメということでしたら、いつだったら払って貰えるんですか。店にも、そう報告する必要がありますので、支払って頂ける日時を教えてください」

ヨシオは意地になっていた。ここで引き下がるわけにはいかないと。

「何やて、えらそうに。タカが新聞屋の分際で何ぬかしとんねん。こっちは客やぞ」

アライの物言いにヨシオはカチンときた。

「あなたもお客として威張りたいのなら、まず新聞代を支払ってからにしなさいよ。今日払えないのなら、払える日時を指定するのが筋と違いますか?」

言葉つかいこそ丁寧だが、多少腹が立っていたということもあり、ヨシオは、つい強めの口調で、そう言った。

それが、さらにアライの怒りを買ったようや。

「お前、何を訊いて来たんか知らんけど、こっちが15日に来いて言うたのに、あのおばはん来んかったや。俺は、その日、どこにも行かんと、ずっと待ってたんやで。それやのに、来てもロクに謝りもせえへんかったから、今日は新聞代なんか払う気になれん、出直して来いて言うただけや。それのどこが悪いちゅうねん」

「それは、おかしいですね。うちの人間は、約束した15日に寄せて貰ったけど、留守にされておられたと言ってましたよ」

「アホ、その時は、たまたま出かけとっただけや」

「そうですか。その後も何度来ても留守だったと、うちの人間が言ってましたけど。それに、先ほど、お宅は『どこにも行かんと、ずっと待ってた』と仰ってませんでしたか?」

ヨシオは、ハルコから「確信は持てませんけど、居留守を使われたようです。家の中で人の気配がしましたので」と言っていたということもあり、そう強気に言ってみた。

「このボケっ! 喧嘩売っとんのんか?」

「とんでもない。それでは、どうしても今日の集金は無理だと言われるんですね?」

この一言が、相当気に障ったようで、アライは「ちょっと、待っとけ!」と言うや否や財布から1万円札を取り出し、それを、くしゃくしゃに丸めて玄関先から道端に向けて投げ捨て、「新聞代が欲しかったら、それを拾え!」と、大声で怒鳴った。

「それは、あなたが勝手に投げ捨てたのですから、あなたが拾えば良いじゃないですか。私どもは、乞食ではありませんので投げ捨てられたお金など拾えませんし、拾う義務もありません」

ヨシオは、毅然として、そう言った。

すると、アライは、何を思ったのか「何で、家に勝手に入ったんや。不法侵入罪で訴えるで」と捲(ま)くし立ててきた。

「どうぞ、お好きに。言っておきますが、このケースで不法侵入罪なんか成立しませんよ」

刑法第130条に住居侵入罪というのがある。これが一般的に不法侵入罪と言われているものや。

住居侵入罪とは、正当な理由なく他人の住居や管理する建造物に無断で入り込むことを言う。

これを住居人や所有者の許可がないといけないと勘違いしている人がいるが、必ずしも住居人や所有者の許可を必要とはしない。『正当な理由』さえあれば問題ないというのが法律の解釈で、裁判所の判例にも、そうある。

ヨシオの場合は、その家の子供の確認を取り、玄関口で来訪を知らせた上で、その家の主人、アライと会っている。

しかも、ヨシオには未払い分の新聞代を請求に来たという正当な理由がある。

どこをどう突いても違法性の欠片など微塵もない。

ただ、ヨシオは、このアライに、そんな説明をしても分からんやろうと思い、「もう、よろしいわ。今日は、これで帰りますので」と告げた。

その時、「待て!」と後方で叫ぶアライの声が聞こえたが、無視して、さっさと門から出て行った。

家の外では、ハルコの乗った乗用車が待機していたが、いつの間にか、アライを始め、その家の家族総出で、乗用車の前と後ろに立ち塞がり行き手を邪魔して動けなくしてしまった。

そして、怒り狂ったアライが怒鳴りながら、明らかに暴力沙汰に及ぼうとヨシオに迫ってきた。

ヨシオは、こんな程度のことで、こんな気の触れたような男と喧嘩するのもバカらしいし、ハルコに危険がおよぶ恐れがあると考え、携帯電話を取り出し警察に通報した。

「今、警察に電話しました。すぐに来ると言ってますので、それまで待ってください」

ここまで来たら、客でも何でもない。ただの無法者だ。そのつもりで対処するしかないとヨシオは考えた。こうなった以上、出るとこへ出るだけだ。そう腹を括るしかないと。

「おもろいやないか。警察が来たら不法侵入罪で逮捕して貰うさけ覚悟しとけ」

ヨシオは、まだそんなアホなことを本気で考えとるのかと思ったが、もうこれ以上、アライに付き合うつもりはなかったので、その後、再三に渡り暴言を吐かれても一切無視して相手にしなかった。

間もなく、パトカーに乗った警官が二人やって来た。

警官は、双方から一通りの事情を1時間くらいかけて訊いた後、「ご主人、こちらの方については不法侵入罪には問えませんし、車の行く手を塞いだというのは感心しませんよ」と優しく説き伏せたこともあり、納得したような素振りをアライが見せた。

このアライの行為は厳密に言えば法に触れる。罪名は威力業務妨害罪。

威力業務妨害罪とは、刑法第234条に「威力を用いて人の業務を妨害した者」と規定されている。

威力というのは、業務中の人に対する自由意思や行動を妨害、制圧する行為のことを言う。

アライの場合、複数の人間により業務中であるヨシオとハルコの妨害を目的として威圧的に「車の行く手を塞ぐ行為」をしたのは歴然としているため、この法律が適用される可能性が高い。

しかも『怒り狂ったアライが怒鳴りながら、明らかに暴力沙汰に及ぼうと迫ってきた』ことによりヨシオおよびハルコの身に危険が迫ったということも、この犯罪が成立する大きな要因になる。

ただ、これについて事件化するかどうかは、それぞれの警察署の裁量権に任されている。

一般的には、アライが暴力団関係者で凶器を手にして危害を加えた、あるいは加えようとした事実でもない限り、この程度の揉め事では、そこまでの罪に問うような動きを警察がすることは、まずない。

アライ宅で起きた集金を巡り口論による揉め事だけでは刑事事件にはならない。民事になる。

したがって民事不介入の原則を重視する警察は関与したがらない。この場の二人の警察官もそうだった。

「車の行く手を塞ぐというのは感心しませんよ」と警官が言ったのは、暗に「これ以上、揉め事を収めないのなら威力業務妨害罪の適用もありますよ」と仄めかしていたわけや。

それにより『納得したような素振りをアライが見せた』ことで、アライたちに引き下がるよう要請し、事を収めるつもりや。

ただ、それでは通報した被害者側が納得しないケースもあるので、ヨシオたちには、こっそり『何かあれば言ってください』と耳打ちし、警官が如何にも力になるかのような一言を添えてフォローしていた。

これは、なるべく事件化させないための半ばマニュアル化された警察官の一般的な対応である。

要するに「まあ、まあ」と言って双方に納得させて引き下がらせることが、この場に駆けつけた警察官の仕事なわけや。

とにかく、その場は、それで収まった。

ヨシオは、予定どおり早めに仕事を切り上げ、販売店に寄り「引継ぎ」と呼ばれる成果の報告をして帰宅した。

しかし、それでは収まらなかったアライが、その後、販売店の店長に電話してきたという。

アライの剣幕に困った店長が、ヨシオに連絡してきた。

「それでしたら警察と話はついていますので、店長から警察に確認してみてくださいよ」と告げた。

「警察から電話はあった」

「それでしたら僕の言うことに間違いないと分かったでしょ」

「内容まで詳しくは聞いてないけど、アライさんと、あんたが言い合いになったことは分かった。セールスが客と揉めるのは困るんや」

「仕方ないでしょ。僕は揉めたくて揉めたわけではありませんし、お宅の専業さんのハルコさんが困っていらしたから力をお貸ししただけですので」

「それは分かるが、このままでは収まりそうにないから何とか私の顔を立ててアライさんに謝ってくれんか?」

「仕方ないですね……」

ヨシオは気乗りしなかったが、雇われの身では仕方ないかと一旦はOKの意思表示をした。

しかし、その後、店長から信じられないような言葉を聞き、一気にその気が失せてしまった。

「そうか、悪いな。アライさんは、今日の午後8時までにあんたに謝罪させに来させろと言うてるんや」

「午後8時までに? そんなの今からでは、とても無理ですよ」

午後8時には後1時間もない。その頃には、ヨシオは自宅でくつろいでいて好きな酒を飲んでいた。

家から販売店までは70キロメートル以上離れているし、今すぐ行ったとしても悠に2時間程度はかかり、どんなに急いでも午後9時は過ぎる。

あのアライのことやから、いくらこちらが、その誠意を見せたところで「遅刻」を理由に、また文句を言うのは目に見えている。そんな所にバカらして行けない。

しかも今すぐ行くには飲酒運転しなければならない。そんなことはできないし、するつもりもなかった。

「謝罪させたら今回のことは堪忍してやると言うてはるさかい、頼むから一言謝ってくれんか。それで事が丸く収まるさかい。せやなかったら、本社に通報して裁判沙汰にすると言うて聞かんのや」

「嫌です。僕は何も謝らなあかんような悪いことなんかしてないんですよ。そもそも、アライさんが新聞代をちゃんと払っていれば、こんなことにはなっていないのと違いますか? 新聞代を払わず、こっちの態度が悪いとか何とか言って難癖をつけて逆切れしているだけではありませんか」

「それは、そうかも知れんが、私の立場も分かって欲しいんや」

「大丈夫ですよ、店長。アライさんが、このことを本社に通報しても本社もバカじゃないですから取り合いませんよ。例え本社から確認の連絡があっても、こちらに非はないわけですから、そう言えば分かって貰えるはずです。それに裁判沙汰にするとか言っているようですが、裁判沙汰になって困るのはアライさんの方ですよ」

ヨシオは、そう言って店長の要請をきっぱり断ったが、店長は、それでもしつこく「どうしても来てくれな困るんや」と言うばかりやった。

店長との会話で、どうやら店長自身がアライにヨシオと一緒に謝りに行くと言ってしまっていると分かった。また、警察にも「店の方で処理します」と言ったらしいことも。

しかし、何と言われようと、行けないものは行けないと言ってヨシオは、その要請を断った。

その後、ヨシオから、


昨日、販売店の所長から電話がありまして・・・

お客様から私自身が謝罪に来たら許してやる! みたいなことを言われたみたいなのですが・・・

すごい、いちゃもんを付けられているのですが、わたしはそのお客に謝罪するつもりはありません。

その理由も所長に伝えたのですが・・・

所長の顔を立てて頼みます! とか言われ、その時は・・・OKしたのですが、よく考えるとこんな理不尽な事をする客に謝罪する必要なしと思いましたので、今回は謝罪するのはやめとこうと思います。

警察の出動になったお客なのでほんとに一般常識がないのと、もしも何かがあれば大変なことになります。

ただ、所長は本社に言われたり相手が民事訴訟するぞ! みたいに言ってるのでビビってるだけです。

所長が私自身が解決します! みたいなことを言ってしまい、わたしを連れていき謝罪させようとしています。

私自身はそのつもりはまったくありません。

その場合はこの店での拡張はできないでしょうか?

この場合にどういうような対応をとればいいのでしょうか?

よろしくお願いします。


という相談メールが届いた。

それに対して、


回答者 ゲン


『私自身はそのつもりはまったくありません』ということで謝罪するのが嫌なら、その意志を貫けばええ。

何人であっても望まない謝罪は強要される謂われはない。謝罪するか、どうかは、あくまでも、その人自身が判断して決めることや。

まあ、謝罪とは、その人が本当に「悪いことをした」、「申し訳ない」という反省の気持ちがなかったら意味がないさかい、当然と言えば当然やがな。

例として適切やないかも知れんが、例え裁判所の判事であっても極悪非道な殺人が確定している被告に対してでさえ「謝罪」しなさいとは絶対に言わんさかいな。

せいぜいが「反省しなさい」という程度や。

ただ、反省しないことで起こり得るリスクについては考えておく必要はあるがな。

今回の場合で言えば『その場合はこの店での拡張はできないでしょうか?』という可能性などが、そうや。

基本的に入店禁止の判断は受け容れる販売店側にあるとされとる。それが正当か、どうかの判断も、その販売店に委ねられる。

基本的に、拡張員の入店は受け容れ側の販売店の要請があった時に行われるとなっている。もっとも、その状況は各地域、新聞社、販売店毎で違いはあるがな。

その販売店が該当の拡張団に特定の拡張員の入店を拒否されたら、拡張団はそれに従うのが普通や。

とは言うても、今回のようなケースは明らかに客の方が、おかしいさかい入店を拒否する理由としては弱いがな。

しいて言えば「単にお客とトラブルになったから」という漠然とした理由しかない。まあ、それでも、この業界は、それで通用するようなところがある。

事の善悪、正邪に関わらず。そうなるリスクを承知であれば謝罪を拒否されたらええ。

そのことで職を失う危惧が生じると判断されるのなら、嫌でも謝罪するという方法もある。

いずれを選んでも構わんとワシは思う。あんた次第や。


と回答した。

冒頭で「一寸の虫にも五分の魂」という話をしたが、この業界において拡張員個人の立場は、その虫に匹敵するくらい弱い。

大多数の経営サイドの業界関係者なら、下っ端の拡張員が謝って済む問題なら謝るべきだ、謝らせるべきやという意見が多いやろうと思うが、「一寸の虫にも五分の魂」の精神を貫くのは人として間違ってはいない。

ただ、何度も言うが、そうするにはそうすることによる被るリスクを背負う覚悟がいるということや。

『この場合にどういうような対応をとればいいのでしょうか?』については、謝罪の意志がないのであれば、あんたの正当性をとことん主張するしかない。

主張するのは所属の拡張団、販売店、新聞本社の責任者たちで構わない。

あるいは、ワシらのサイト、メルマガで、こうした形で公開すれば、その意志を表明することはできる。

ただ、それによる効果は、あまり望まん方がええと言うとくがな。

何事においても、自身の意志を貫くというのは簡単なことやない。例え100%正しいとしても、人の評価や見方にはいろいろある。

ヨシオを支持する人もいれば、拡張員としては軽率な行為やったと否定的な見方をする人もいるといった具合にな。

この場合の選択肢は二つ。

「一寸の虫にも五分の魂」で自身の信念を貫くか、店長の顔を立てて敢えて悪者の汚名を被り謝罪するか。

いずれの道を選ぶにせよ、後悔せんようにすれば、それでええと思うがな。



参考ページ

注1.第437回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■新聞販売店物語 その21 客に引っ掛けられた、ある専業員の怒り』
http://melma.com/backnumber_174785_6437154/


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