メールマガジン・ゲンさんの新聞業界裏話・バックナンバー
第51回 ゲンさんの新聞業界裏話
発行日 2009.5.29
■新聞折り込みチラシ減少の裏側とその打開策を探る
新聞の折り込みチラシが以前と比べ激減していると訴える販売店が増えた。
「これではやってられん」と。
それには、この長引く不景気の影響で今まで折り込みチラシを入れていた各企業が経費節減のために控え気味にしているからやというのが、もっぱらの見方やった。
果たして理由は、それだけやろうか。
新聞販売店にとって、この折り込みチラシというのは昔から、重要な収入源やった。
各新聞販売店毎、および折り込みチラシのサイズや紙質によっても違うが、平均すると1枚当たりの折り込みチラシ配布料金3円前後というのが業界では一般的とされとる。
その収入のほとんどは、その依頼を受けた販売店に入る。
もっとも、それ専門の仲介業者や新聞社の専門業者が関係しとるというケースもあるから、すべてがそうとは限らんがな。
当然やが、間に入る業者や組織があれば、その分、実入りも減るさかいな。
そういった例外はあるとしても、一応の目安として、その折り込みチラシによる販売店の収入の程度を考察してみたいとは思う。
ただ、折り込みチラシの量は、それぞれの新聞販売店によって大きく違うし、その詳しいデータもないから、一概には言えんが、便宜的にサイトに過去寄せられた情報などを総合して判断すると、平均して1日、15枚程度という数字に落ち着く。
部数3000部を扱う販売店が業界の平均とされとるから、それで計算すると、
3000部×15枚×3円=135,000円が1日分となり、
135000円×30日=4,050,000円が1か月分の折り込みチラシの収入ということになる。
机上の計算にしろ、平均的な販売店で月400万円ほどもあるというのは小さな額やない。
いかにその増減の影響が、各新聞販売店にとって大きなものかが分かる。
それが激減したと嘆いとるわけや。
その原因の一つと目されとるものに電子チラシというのがある。
これについては、5年ほど前の7月30日、サイトのQ&Aに寄せられた『NO.17 拡張員の嫌がる効果的な断り文句を教えて下さい』(注1.巻末参考ページ参照)の中で、また3年前の7月21日には、旧メルマガ『第102回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■電子チラシの脅威?』(注2.巻末参考ページ参照)において触れたことがある。
前者では、その断り文句として、
せやけどしつこい拡張員の中にはインターネットではチラシが入らないから、地域のスーパーなんかの安売り情報が分からないと突っ込む者がおるが、最近は、インターネットでも地域のチラシは入ると言う。
これは事実で、現在は大都市に限られているが、スーパー各店のチラシがインターネットでも見られるようになっとる。その画面をプリントアウトすれば、チラシと同等の割引サービスを受けることも出来るらしい。これは、すぐに全国展開されるはずや。
これで、チラシの欲しい新聞購読層が減少するかも知れんな。新聞取らんでもチラシが見られるんやからな。ワシらの仕事も少しずつ、やりにくくなるちゅうことや。
と言うてた。
言えば、少なくとも5年以上も前から、電子チラシは存在していたということになるわけや。
後者では、その電子チラシの脅威について、
従来の電子チラシは、全国展開、あるいはチェーン展開しとる大型スーパーなどのHP上に、新聞の折り込みチラシと同等の内容のものを表示してあるというものやった。
今回の試みは、それをサーバー化して、数多くの加盟店を募り、そこに消費者の関心を集めようというものや。
まだ、どれだけの加盟店が参加するかは未知数やが、それが、大規模なものになったと想定するとそれなりの効果が望めるとは思う。
業者側の利点は、クリック回数の多い部分や閲覧回数を知ることにより、掲載品目のどの商品が消費者の興味や関心を惹いとるのかが分かることにあるという。
それが、分かれば商品の販売戦略上、かなり有利や。
業者によっては、結果としての売り上げデータと同じくらい、この消費者の関心度に注目する所もあると聞く。
例え、そのときは売れんかったとしても、関心度の高い商品は、やり方次第では必ず売れるからな。
店内の棚割や配置転換への判断材料にもなる。
それが、今までの紙のチラシだけやったら分からんかった。その具体的なことがクリック回数で把握可能になるということや。
消費者の利点も多いと説く。
今までの新聞への折り込みチラシは、近場の店舗という限定された範囲内だけのものやった。
このシステムやったら、折り込みチラシが入らんような遠方の店舗情報も知ることができるという。それを望む消費者には朗報ということになる。
さらにこの電子チラシは、ユニークな付加価値を持たせることが可能やという。
例えば、電子チラシの「カレー用肉」という表示をした部分をクリックすると、それに関係した、ジャガイモ、タマネギ、ニンジンなどの野菜やカレールーについての特売情報も同時に表示されるようになるという。
電子チラシの配信先も、パソコン上のHPだけやなく携帯サイトも視野に入れとる。
むしろ、こちらの方がメインになるかも知れん。
と話した。
これだけを見る限り、新聞の折り込みチラシは近いうちに電子チラシに取って代わられそうで、かなり危機感を抱いていたが、結局、その試みは一部での拡がりを見せただけで終わったようやった。
その当時、ワシ自身、勧誘する際に客から、この事を話題にされる、あるいは断り文句として聞いたというような経験もなかったし、サイトへもそういった情報は皆無やった。
そういう情報が、この業界で流れるのは異常に早いさかい、ワシらに知られることなく世間に浸透するとは、とても考え辛い。
実際、それが評判になり、企業にとっても効果ありと認知されとったら、この3年間のうちに新聞の折り込みチラシは壊滅的な打撃を被っていたはずやと思う。
もちろん、多少の影響はあるやろうが、それが今日の折り込みチラシ減少に直接、影響しとるかとなると、疑問符がつくのは確かや。
それには、その電子チラシ業者にしても、それを軌道に乗せるのは容易やなかったろうとは想像できるからや。
それは、彼ら電子チラシ業者が関係しているIT業界そのものが、ここ近年、急激な落ち込みを見せているためやと思う。
現実に、一時、あれほど隆盛を誇っていたIT業界の倒産が相次いでいるさかいな。
現在、ネット上で稼ぐというのは困難やというのが大方の見方になりつつある。
加えて、電子チラシ業者の多くは、その加入企業を集める際、高額の入会金を募るというのも影響しとる。
それを集めてからでないとスタートすら切れんという業者もあるくらいやと。
業者側とすれば当然なことなのやろうが、利用する企業側としては二の足を踏むケースが多くなる。
今日び、たいていの企業では自社のHPくらいはどこでも持っているし、そこで商品の販売や広告を打っているのが普通や。
家電業界やスーパーマーケットのHPなら、新聞の折り込みチラシと同じものをそこに掲載しとるから、よほどの集客力がある電子チラシ業者でないと、その費用をかけてまで依頼する意味がないわけや。
当初は、その目新しい試みに賛同していた各企業も、その集客力に疑問を持つようになったという。
その電子チラシが成功するかどうかは、その集客力にかかっているわけやが、それらの業者には訪問客のカウンターすら設置してない所が多く、その実態が掴みにくいというのがある。
確かに、それらの業者ではHPの体裁は立派やが、それだけで判断するのは危険やと思う。
いくらHPの体裁が立派であっても、それだけで訪問客が増えるということにはならんさかいな。
ある読者から、それに関すると思われる胡散臭そうな業者について教えて頂いたことがある。
その読者からのメールや。
「○○広告」というサイトの主旨を読みましたが、いったい、どれだけの一般人がわざわざ広告だけを見に来るのか? という疑問が湧きました。
過去に見た広告の中で、記憶に残っているものであれば、手がかり(商品名とか、掲載企業名など)のキーワードを頼りに、ネットで検索すれば目的のものに行き当たるはずです。
需要として可能性があるのは、さしずめ、日頃から新聞を読んでいる人で、かつ、「広告そのもの」(広告のデザインなど)に興味がある場合に、改めて閲覧する場合や、会社や図書館などに置いてある新聞で見た広告について、家に帰ってから改めて閲覧したいという動機くらいしか思いつきません。
利用者の立場からすると、こんなサイトが話題になるほど流行るとは思えないのです。
おそらくこのサイトが生まれた背景には、新聞広告への業界の危機が関係しているのでしょうけど、だとしても、どういう経緯で(誰の後押しで)作られたサイトなのかを見極めないとコメントのしようがありませんよね。
これに対して、ハカセが返答したものがある。
私もこのサイトの閲覧には疑問を感じます。
SEO TOOLS(注3.巻末参考ページ参照)というのがあります。
ここでのデータや結果は、正確性において多少難があるかも知れませんが、当該のサイトのレベルを知る上では結構、役に立つページだと思っています。
ここの「分析するサイト」という欄に、その「○○広告」のURLを入れ、「SEOキーワード欄」にこのサイトのメインのキーワードと思われる「新聞の紙面広告」を入れて検索すると、総合評価として、19/170の「E」という結果が表示されます。
ちょっと自慢めいて嫌なのですが、同じように、「分析するサイト」欄に当サイトのURL(http://www3.ocn.ne.jp/~siratuka/) を入れ、「SEOキーワード欄」に「新聞拡張員」と入れて検索すると、90/170の「A」という結果が表示されます。
つまり、この結果から、当サイトに比べても、この「○○広告」というサイトは、閲覧者を呼び込むようにはなっていないということが分かります。
この「○○広告」というサイトにはアクセス・カウンターなどはありませんので、その確かなことは言えませんが、ほとんどアクセスはないと見ていいのではないかと思われます。
正直言って、不特定多数を呼び込むことで成立する電子チラシ・サイトが、当サイト以下の集客力しかないという評価では、まったく話にならないと考えます。
私が思いますに、このサイトは、閲覧者を呼び込むためというより、その広告主を募るということが最大の目的のサイトではないかという気がします。
その業者を募る方法は、おそらく個別の訪問による営業、もしくはダイレクト・メールなどによるものかと推察します。
そのために、サイトの体裁だけは、それらしく見栄え良く整えていると。
そう考えれば納得がいきます。
つまり、広告主から、その広告費を得ることで成り立っているようにしか見えないということです。
もちろん、これからの成長がないとは言い切れませんので、詐欺とまでは言いませんが、少なくとも、SEO的なアクセスアップをしていないサイトというのだけは確かなようです。
こういうのが、結構多いという。
もちろん、そうやないのもあるやろうけど、この手のいかがわしいサイトが存在するのも、また事実や。
それに、これは他の詐欺サイトと違って、それと見破る、あるいは実証するのは難しいと思う。
もともと、サイトには掲載料という名目での料金設定をしているだけで、その集客やアクセスを保証しとるわけやないさかいな。
こういう胡散臭い業者が紛れ込むのが、ネットの最大の欠点やと言える。
当たり前やが、こういうのがあれば、その電子チラシ業界そのものの信用を落とすことになる。
すべての企業が、そんなものにいつまでも惑わされ、騙されることはないから、そういうのは自然に淘汰され消えていくことになる。
この数年間、その電子チラシが伸び悩んでいるというのも、それが大きな理由やないかと思う。
しかし、今回、また同じ読者の方から教えて頂いた情報には、少なからず危機感を覚えずにはいられないものやった。
それは、先の電子チラシとは違い、折り込みチラシそのものを宅配しようという試みやからや。
その寄せて頂いた情報を抜粋して紹介する。
日経ビジネス 2009年5月18日号13ページ
http://business.nikkeibp.co.jp:80/article/topics/20090514/194700/ より引用
「チラシだけ宅配」広がる リ○ルートが東京都区部にまで拡大
普段、新聞記事は流して読む程度だが、テレビ欄と折り込みチラシだけは欠かせない――。そんな消費者を狙ったリ○ルートの新サービスがじわりと拡大している。
新しいサービスは「タウンマーケット」。これまでも同じ名称でスーパーなどのチラシをインターネット上で閲覧できるサービスを手がけていたが、「ネットだけでは、見ることのできない人も出てくる」(リ○ルート広報部)として、実物のチラシを宅配するサービスを始めた。
配布を受けるには会員登録が必要だが、入会金や配送料などの費用はかからない。登録すれば毎週金曜日に、ヤ○ト運輸のメール便で自宅に宅配される。
チラシのほかに1週間のテレビ番組表をまとめたフリーペーパーが入っており、番組の紹介のほかタレントのインタビューや料理番組で紹介されるレシピ、星占いなども掲載する。
チラシは新聞に折り込まれているものとほぼ同じ。
現在の会員数や発行部数についてリ○ルート広報部は「チラシの宅配は事業化に向けた調査をしている段階で、詳しい内容は答えられない」としており、大規模な宣伝活動などはしていない。
しかし、登録希望者が増えてくれば、今後、配布対象地域を広げる可能性がある。
スーパーの販促策は従来、新聞の折り込みチラシによる特売情報が中心だった。だが消費者の節約志向が進んだことで、チラシなどの販促費を削る代わりに徹底した安売りをするディスカウント店が台頭してきた。
イ○ンは従来型の折り込みチラシだけでは販促効果が高まらないと判断。新会社は携帯電話を使って、一人ひとりの生活の状況や購買動向に合った情報を提供する。
携帯で見る特売サイトが人気
単にチラシの販促効果が薄れているということだけではない。同じ情報でも消費者の情報源が多様化しているため、提供方法などでより工夫を凝らす必要が出てきている。
企業業績の悪化で雇用や給与の状況は厳しさを増すばかり。消費者の財布のひももさらに固くなりそうで、小売業など商品を販売する側にとっては難しい環境が続くことになる。
効果的な販促策を探る動きはますます強まりそうだ。
というものや。
今回、これを紹介したのには、これを知らせて頂いた読者の方が、
このような動きが新聞業界以外のところで起きている変化について、どれだけの販売店関係者が、最新動向を傍受しているものなのか、部外者としては興味のあるところです。
たとえば、次の動向も、関係者には無視できないはずです。
それは、私の住む地域で、少しずつ、無料のタウン誌の発刊が増えているという事実です。(全国的に、そういう傾向があるのかもしれません。)
競争が激しいせいか、人通りの多い場所にそれを置くだけでなく、個別宅配をウリにする業者まで現われています。
特筆すべきは、その出版社が、宅配(投函)要員を、誌面において広く一般から募集している点です。
これは、個別宅配の業務の上では、広い意味で、新聞販売店のライバルが出現したのと同じことと思いました。
販売店は、「毎日、戸別に情報を配っている」という優位性を、じわじわと失いつつあることも自覚していないといけないと思いました。
と、言うておられたからや。
ワシらも、このメルマガ誌上で、販売店関係者の方にこの件をどう考えるか問うてみたいと思う。
この読者が指摘されるように、折り込みチラシのみの配達という発想は、個人的には、販売店にとっては脅威になると考えるさかいな。
新聞を購読する理由の一つに、その折り込みチラシがほしいからというのが結構ある。
特に主婦層にそういうのが多い。
その折り込みチラシがタダで自宅まで配られるというのは、それを欲している人にとっては魅力的やと思う。
現在のところ、その無料配達で、どの程度の集客力が期待できるかという手探りの段階やという。
『「チラシの宅配は事業化に向けた調査をしている段階で、詳しい内容は答えられない」としており、大規模な宣伝活動などはしていない』というのは、そういうことやろうからな。
今のところ、関東の一部で試験的に行われとるにすぎんが、これが全国展開されると、新聞の部数減がさらに進行する危惧は大きい。
この事実にいち早く気がつき、対策を講じる販売店は救われるかも知れんが、何も知らず安閑と従来どおりのやり方に終始する所は、いざそれがスタートすると泣きを見ることになるのやないかと思う。
かなりの客を奪われると予想されるさかいな。
それなら、その対策とは何か。
これから、それについて話す。
新聞販売店では、その折り込みチラシは企業側から依頼してくるもんやと長く考えられてきた。
事、折り込みチラシに関してだけは、待ちの営業に徹してきたわけや。
それではあかん。
これからは、新聞を売り込むのと同じくらいの営業をするという気構えと熱意が必要になる。
この業界では、この折り込みチラシを積極的に確保するための営業に力を入れとる販売店が少ない。
まあ、今までは待っていれば持ってくると考え、それが長く当たり前とされてきたから無理もないがな。
ただ、少数であっても、その折り込みチラシの営業に力を注いでいる販売店は、ワシの知る限り、成長しとる所が多いという事実がある。
この折り込みチラシの営業について、過去のメルマガ『第99回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■新聞を売るということ』(注4.巻末参考ページ参照)でも触れたことがある。
その部分や。
東海で8割強というダントツのシェアを誇るC新聞の強みの一つに、折り込みチラシの量の多さというのがある。
そのシェアがあるため、多くの企業は、C新聞にそのチラシを入れたがる。
せやから、この東海では、たいていの地域でC新聞は常に他紙の倍以上の折り込みチラシが入っとるのが普通や。
そのチラシの量に慣れると、他の新聞では頼りなく感じてしまう。
せやから、せっかく確保できた客もすぐC新聞に戻るということになりやすい。
ただ、これは、他紙の販売店の姿勢も悪いと思う。
ワシの知る限り、各企業への折り込みチラシ依頼の営業をしてない販売店が圧倒的に多いからな。
それには、どうせ、営業しても、断られるのがオチやと思い込んどるフシがあるようや。
しかし、これは、しっかりしたトークをすれば、それほど難しいことやないと思う。
シェアの多い新聞だけに何でチラシを企業が入れたがるのかということを良う考えてほしい。
「より多くの客に行き渡るから」という答えが、その業者から返ってきたとしよう。
あるいは「経費節減を考えたら、部数の少ない新聞へのチラシをカットするのは当たり前や」と言われたとしよう。
「確かにC新聞にチラシを入れられれば8割のお客にはそのチラシが配られることになりますが、それではこの地域の残り2割のお客さんを切り捨てることになるのですよ」
「その2割のお客さんが、どうして、お宅のその商品を買わないと言い切れるのですか? そのチラシを見なかったら、その2割のお客は、その商品が分からないわけですから、絶対に売れませんよ」
「しかも、うちのように、お宅のチラシを常には入れていなければ、お宅の会社、ひいては商品についても馴染みが少ないということになります。これは、お宅のような会社では大きな損失ではないでしょうか」
「確かにC新聞さんには、多くのお客さんがおられます。他の会社からのチラシもたくさん入っています。しかし、だからこそ不利だということが分かりませんか。お宅のチラシは、その大勢の中の1枚に過ぎないわけですよ」
「ところが、うちだとチラシが少ない分、C新聞さんに入れるよりかは確実に目立ちますから、より効果的だと思います。それを考えれば、どちらがお得か、お分かりになるでしょう?」
こう説けば、たいていの企業は、なるほどなとなる。
そういう営業ができんから、勢いチラシの量も減ってきて、よけいC新聞との差がつくだけのことになるのやと思う。
その差を埋める努力をしてへんのやからな。
何年か前、店主のヤナギダにそれを言うと、早速、ワシにその企業のチラシを取って来てくれとなった。
それで、その折り込みチラシが増え出すと、実際に購読客も増えるということなってきたわけや。
客が、ワシらの新聞を断る大きな理由の一つに、その折り込みチラシの量というのがあるが、それが増えれば「断る理由」もその分なくなるからな。
部数が増えれば、それほど営業しなくても自然にチラシ依頼も増えてくる。
現在では、このバンクでは、そのC新聞と変わんくらいの折り込みチラシが入っとる。
そのメルマガを発行した当時の3年前までは、まだ、それほどの危機感がなかったから、単なるエピソードの一つとして話したにすぎんかったものや。
今こそ、その折り込みチラシの営業に力を注ぐべきときやと思うのやが、どうやろ?
先ほど、客にはタダで、そのチラシを配布すると言うたが、当然のことながら、その原資は企業から徴収する仕組みになっとるわけや。
ただ、それがいくらかというのは企業秘密ということで探れんかったが、新聞販売店の折り込みチラシ代金が基本になっとるのは、ほぼ間違いないと思う。
つまり、企業にとっては、その折り込みチラシを入れるのは、配布専門業者に頼む方がええのか、地元の販売店の方がええかのかという選択の問題ということになるわけや。
つけ入る隙と活路があるとすれば、そこや。
そのためには、新聞販売店を選択する利点を積極的にアピールするしかない。
配布専門業者は宅配便を使うということやが、実際に客に届くスピードは新聞販売店の方が勝る。
ほとんどは希望日の午前6時頃までには届くさかいな。
折り込みチラシ代金の交渉や融通は、配布専門業者に比べればしやすい。
おそらく配布専門業者では、一度値段の設定をすれば、それを崩すことはできにくくなるはずや。
不特定多数の企業からの注文を受けて、そうするわけやさかいな。
その点、新聞販売店は、個別の企業と交渉することが可能やから、その販売店次第での融通が可能になるということや。
加えて、「新聞を購読して頂いたら」ということで部数を伸ばせる可能性まである。
実際、ワシがその折り込みチラシを依頼する際には、「新聞の契約をして頂ければ、初回分は無料にさせて頂きますし、今後の料金も格安にしますので」という営業トークを使うとるさかいな。
それが結構、功を奏することが多い。特に、小規模の零細企業が狙い目や。
もちろん、大型スーパー、家電量販店などへも効果があると思う。
そして、何より、新聞販売店には、拡張員も含め、そのための豊富な営業スタッフがいとるというのも大きい。
もっとも、拡張員の選抜にはそれぞれの販売店で慎重にせなあかんかも知れんが、幸い、現在はスーツ着用、身分証携帯というのが拡張員として当たり前のスタイルやから、そういう企業への飛び込みも問題ないやろうと思う。
これも、利点の一つになるが、実際、多くの企業で営業を経験しとるという拡張員も多いさかい、その気にさえなれば、その専門組織まで作ることは可能やと考える。
つまり、配布専門業者が成立するのなら、折り込みチラシ専門の営業会社が成立するという理屈や。
それを業界関係者で作るという手もある。
単にこのまま放置し、されるがままの状況になるより、打って出る方が得策やと思うのやが、どうやろうか。
これを見られて、ご意見のある方は、ぜひ知らせて頂きたいと思う。
ピンチはチャンスに変えることができる。
ありふれた表現やが、そこにこそ真実があり、活路がある。
そう考えることができるかどうかで、すべてが決してしまうさかいな。
参考ページ
注1.新聞勧誘・拡張なんでもQ&A NO.17 拡張員の嫌がる効果的な断り文句を教えて下さい
http://www3.ocn.ne.jp/~siratuka/newpage10-17.html
注2.第102回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■電子チラシの脅威?
http://www3.ocn.ne.jp/~siratuka/newpage13-102.html
注3.SEO TOOLS
http://www.seotools.jp/
注4.第99回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■新聞を売るということ
http://www3.ocn.ne.jp/~siratuka/newpage13-99.html
書籍販売コーナー 『新聞拡張員ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集』好評販売中
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