メールマガジン・ゲンさんの新聞業界裏話・バックナンバー

第60回 ゲンさんの新聞業界裏話


発行日  2009.7. 31


■マイナーワーカー同盟座談会 その5 解散総選挙について


衆議院が2009年7月21日、ついに解散した。選挙は8月18日公示され、8月30日投開票することに決まった。

やっと、選挙が行われる。長かった。それが大多数の人たちの気持ちやないかと思う。

ワシら、マイナーワーカー(下層労働者)にとっては、唯一とも言うてええほど、その思いをぶつけられる機会が、その選挙やと言える。

それもあり、急遽、お馴染みの「マイナーワーカー同盟座談会」を開催することになった。

まあ、たまたま全員が暇やったということもあったんやがな。

場所は、いつもの「カポネの店」。

参加者も、新聞拡張員のワシ、売れない物書きのハカセ、古紙回収業者のテツ、そして流行らないスナックのマスター、カポネといつもの変わり映えせんメンバーが集まった。

ワシらのいずれも政治的なバックボーンとか、政治思想というものは何もない。

支持政党というものもなければ、特定の政治団体との付き合いや関係もない。

俗に言うところの浮動票というやつ。その時々の思いで投票する。

しかし、この浮動票は、たった4票やが、恐ろしくうるさい。好き放題のことを言う。

今回は、かなり過激な発言もあるが、国民の一人としての正直で忌憚のない意見、個人的なものやということを、はじめに断っておく。

もっとも、いつも好き放題の事を言うてるわけが、今回はさらにそれがヒートアップしとるということや。

いつにも増して、辛辣な言動が多い座談会やった。

まあ、投票の参考になるかどうかは何とも言えんし、ワシらにはそれを誘導するつもりもないから、ご用とお急ぎでない方は、しばらくの間、付き合ってほしいと思う。

それなりに面白いし、ひょっとすると、それぞれに役立つ話もあるかも知れんさかいな。

少なくとも雑談のネタくらいにはなるのやないかという気はする。

特に営業される方は、これからの1ヶ月間、この選挙の話題で持ち切りになるはずやから必見? かも知れん。

「ところで、今回の総選挙は、政権選択選挙と言われていますが、これについてはどう思われます?」と、議事進行役のハカセが早速という感じで話を向けた。

「政権交代はあってええのやないかな。というより、ここらで一度、政権は変わるべきやないかと思う」と、テツが口火を切った。

そして、テツにしては珍しく演説気味に熱く語り出した。

現在の日本の政治状況は、誰が見てもええとは言い難い。

国の借金はもうすぐ1000兆円に達すると言うし、いらん箱物建設などの明らかな税金の無駄使いが多すぎる。

そして、官公庁の役人による汚職事件や天下りという特権意識があまりにも目立つ。まさに、役人天国や。

それに関わる企業の談合事件や政治家の不正な献金問題もな。ウジ虫のごとく臭い輩が、その利権に群がる。

これも腐った役人がおるから、そうなる。

古今東西、政治が腐敗するときには必ずと言うてええほど、この役人絡みの不祥事が多発するものと相場が決まっとる。

歴史がそれを証明しとる。

それも長期政権になればなるほど、その末期の腐敗はひどいものになる。こうなると、もう救いようがない。

時の権力の崩壊と転覆。そして、新たな権力者の登場。

世界の長い歴史の中で幾度となく繰り返されてきたのが、それや。

現在の日本で言えば、自民党中心の長期政権がそれに当たる。

ほぼ、すべての政権がそうであったように、その自民党にしても、その結成当時の初期の頃には、世のため、人のためにと身を投げ出すような気概に満ちた素晴らしい政治家も数多く存在していたはずや。

しかし、哀しいかな人間の世界は、どのような政権であろうと長期化すればするほど腐っていくもんや。

そうテツは力説する。

「今の自民党すべてが腐っているというのは、少し言いすぎなような気もしますが。現在でも、自民党の中にも素晴らしい議員さんもたくさんおられると思いますよ。私としては、政党より選挙は人物本位で選びたいですね」と、カポネ。

「確かに自民党にもええ議員もおるやろ。せやけど、どんな素晴らしい議員であっても、政党の決めた政策には公然と反対できんわけやから、今回のように政権選択ということになったら、政党主体で選ばな、政治は変わらんと思うがな」と、テツ。

「私も、今のままの自民党政権がいいとは思いませんが、そうかと言って、その対抗馬と目される民主党というのも、どうなんでしょうか」と、カポネ。

民主党は、まだ政権与党になったことがない。そのことに不安を感じている有権者は多い。

長く野党にいたためか、与党の政策には何でも反対してきたというイメージが強いさかいな。

期待半分、不安半分という、未だにどっちつかずの人も結構多いのやないかというのが、カポネの言い分や。

「政権交代を促進させるのなら、今のところ民主党しか、その可能性はないと思うのですが」と、ハカセ。

「まあ、そういうことになるな。これは、どっちがええと言うより、どちらの方がよりマシかという選択やと思うな」と、ワシ。

どの政党にも一長一短はある。それは仕方ない。

ただ、今回の場合は与党自民党の欠点と野党民主党の失点比べのようなところがある。

それを論じて突き詰めれば、結局は、どっちもどっちということになるのかも知れんが、それで済ませてはあかん。

一票を投じるということは、嫌でもそれぞれが、その選択をする必要があるわけやさかいな。

中には、「無投票という意志表示をする」という人もおられるとは思う。

ワシらは何事においても、どうするかは人それぞれやと言うてるが、事、選挙に関しては、その「無投票」という意志表示ではあかんと言いたい。

選挙というのは国民の義務やなく権利や。

人権の象徴でもある。それを行使することでしか、自らの生活を良くしたり変えたりすることはできんと思う。

それが分からず、「どうせ誰が国会議員になっても、総理大臣になっても世の中は変わり映えしない」と言って投票せん者に、その政治を批判する資格はない。

無投票は、どんな政治をされても「信任します」と宣言しとるのと同じやさかいな。そんな者に、「政治が悪い」とは言えんわな。

ところが、政治が悪いだの世の中が悪いだのとボヤく人間ほど選挙に行っとらん者が多いという現実がある。

心得違いも甚(はなは)だしいと言うしかない。

つまり、無投票というのは与党に投票したのと同じ結果になるわけやが、それが分かってない人が、この国にはあまりにも多い。

無投票が静かな抗議と勘違いしとるわけや。

日本では、今まであまりにも選挙に関心のない人間が多すぎた。

政治が悪い方向に行っとる最も大きな原因は、それなのやが、それに気づく人が少ない。

昭和の頃までは、国政選挙の投票率は70%以上あった。これでも、ワシは不満やった。何で後の30%の人間は選挙にいかんのかと。

言い忘れたが、ワシは選挙権を得てから、ただの一度も選挙に行くのを欠かしたことがない。

まあ、それが当たり前のことなんやが、それが誇れるという寂しい現実があるのも確かや。

その投票率が、平成になり60%前後まで落ち込んだ。

それも若い人ほど顕著や。20代の若者の投票率は30数%しかないというからな。

反対に60代になると80%前後もの投票率がある。しかも、この格差は当分、続きそうや。

言うまでもないが、それで選ばれた国会議員によって法律は作られとる。

それも、たいていは数の論理とかで与党の法案を多数決で決めとるのが現状や。

特に現与党の自民党のやり方は、それがあまりにも露骨や。

いくら野党が反対しようが、世論がおかしいと反発しようが、参議院で否決されたものでも3分の2という多数決の論理で次々と新しい政策、法律が作られてきた。

本当の意味で、国民の民意、支持を得た多数決で決められとるというのなら、それも、民主主義の範疇やから仕方ないが、実状はちょっと違うと思う。

過去において、政権与党への得票率は平均して45%ほどや。

机上の単純計算やけど「投票率60%×得票率45%=27%」という計算が成り立つ。

つまり、国民の27%が選んだ与党の議員によって、政策や法律が決められとるということになる。

27%が過半数を占め、残り73%が少数派になり、その27%の決定に従わなあかんと。

何でそんないびつなことになるのか。簡単なことや。40%が選挙に行ってな
いからそうなるわけや。

つまり、本来は批判票であるはずの無投票という行為そのものが、その与党自民党に与した形になっとるという現実に早く気がついてほしいということや。

本当の意味での国民の総意による決定というのなら、民主主義の国に住む人間としては、あきらめもつく。

そのためにも、得票率100%は無理にしても、せめて80%以上はほしいと思う。

また、選挙にそのくらい関心を持つ国民でないと、政治は良うはならん。

その点、今回は、かなりの投票率が見込まれると予想されるという。おそらくは、過去、最高になるのではないかと。

その多くが与党への怒り、あるいは与党支持の人たちのお仕置きの意味のこもった投票やと考えられている。

当たり前やが、政治は国民のためにせなあかんものや。

しかし、現在の与党の政策は、とてもそうは思えんものばかりやからな。

国民の税金で食うとる政治家や官僚、役人の優遇は、なかなか見直そうとはせん。その無駄遣いたるや目を覆いたくなるほどやさかいな。

そんなものを認める一般国民はまずおらんやろうと思う。

今回の国民の怒りがどの程度なのかにより、これからの政治が大きく変わるような気がする。

それが政権選択につながる可能性は大やと。

与党にとって壊滅的な大打撃を被れば、やはり政治そのものを真剣に考え直さなあかんと考えるはずや。

国民の怒りはバカにできんと。

反対に、大した負けやなかったら、国民の怒りはこんなものかと思うのやないやろうか。

投票率が低ければ、おそらく組織票をアテにしとる与党に利するやろうし、高ければ、その怒りの声が大きいということになる。

今までのように組織票をアテにしとるだけではあかんと、与党の政治家に知らしめる必要がある。

国民の支持を得な国会議員にはなれんのやという、当たり前のことを。

本来、選挙による審判とはそうあるべきものやと思う。

それができれば、日本の政治は大きく変わる可能性がある。

ただ、問題がまったくないわけでもないがな。

野党第1党である民主党に政治を任せると判断しても、自民党とどこがどう違うのか、というのがはっきりせんということがあるからや。

民主党のリーダー、最高幹部たちは過去において、その自民党の関係者やった者が多いわけやから、その政治を引きずる可能性は否定できん。

それ故に民主党に任せても、結局、同じやないかという懸念を抱いとる国民がおっても不思議やないと思う。

しかし、現実的に自民党政治にノーを示すのなら、民主党しか任せるしかないのも、また事実や。

ええか悪いかはやらせてみて判断するしかない。悪ければ、次の選挙では反対の事が起きるだけのことやしな。

ただ、民主党の言うてる事で評価できるのは官僚を徹底的に叩くという点や。

「脱官僚政治」と謳っている。

これは、どう転んでも今の自民党には無理や。もっとも、選挙用にそうするとは言うかも知れんがな。

しかし、いくら選挙用にそうするとは言うても、今までできんかったものが急にできるわけがない。

「官僚を使いこなす」などと言うて、国会でその作文を読まされとるようでは、どうしようもないわな。

もっとも、民主党にしても、どこまでそれができるのかという懸念はある。

あるが、それでも今の自民党よりかはマシやと思える。

今回は、公平に見て民主党に利がありそうやが、その次を期すためにも、その官僚と決別するには、自民党にとってもええ機会やと思う。

何しろ、官僚は政権を失った議員には鼻もひっかけんと言うさかいな。

すでに、民主党有利とみるや、その民主党の有力議員にすり寄っとるという節操のなさや。

それが、高級官僚とよばれる人間たちの実態やと思う。

ここで言うとくが、官僚のすべてが悪いと言うてるわけやないで。その中のごく一部の特権階級を指して言うてることやさかいな。

どこの世界でもと言うと語弊があるが、官僚の中にも素晴らしい人間はいとるはずや。そう思いたい。

いずれにしても、人を鍛えるのは不遇の時やと思う。

それに耐えられたら、また自民党の復活もある。今まで見えんかったものも見えるやろうしな。

そのときになって、初めて日本に2大政党が誕生することになると思うのやがな。

あるいは、その二大政党があまりにも頼りないとなれば、将来的には第三の勢力、政党の台頭も考えられる。

日本は、政治後進国やと言われて久しいが、その政治を育てるのは、その国の国民にしかできんことや。

それを皆が自覚せん限り、日本の国が良うなることはないと断言する。

政治が二流と言うことは、とりも直さず、ワシら国民が二流ということを意味するわけや。

それではあかんというのは、誰にでも分かるわな。

ワシは、多分に楽観論者かも知れんが、民主党も新たに政治を任されれば、それなりに使命感に燃えそうな気がする。

かつての自民党がそうやったようにな。

ただ、何度も言うが、それが続きすぎると必ず腐敗が生じてくるのもまた確かやと思う。

理想的なのは、適度にその政権が交代することや。

今度の選挙は、そういったことの端緒になる可能性が大やという気がする。また、そうなってほしいと願う。

浮動票という言い方は好きにはなれんが、その不動層こそが、その時々で正しいジャッジを下せるのやと考える。

政治家は、組織票を持つ企業や団体には優遇措置やら、政策を示す事で、おもねることはできても、この浮動層には、そのやり方は通用せんわけやからな。

また、自らが支援する政党を持っている人も、あかんときは、あかんという意志表示をする必要がある。

それが、長い目で見れば、結果的には、その支持政党を育てることにもつながると思う。

それが、ワシの昔からの変わらん信念でもあった。

それについては、2年前の参議院選挙の前、旧メルマガ『第155回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■選挙と拡張員』(注1.巻末参考ページ参照)で、似たような内容の話をしたことがある。

そして、ワシの予想どおり、そのときは民主党の圧勝という結果になった。

もっとも、今度もそうなるとは限らんがな。

選挙まで、後1ヶ月ある。その間、何があるか分からんさかいな。

ちょっとした出来事で風が変わるという事も十分考えられるしな。

「私は、各党のマニフェストが重要な選考基準になると考えているのですが」と、カポネ。

「確かに、それを重視される方は多いようですが、どうでしょうか。私は、その昔、マニフェスト、その当時で言う選挙公約の文面を作成していたことがありますが、それを作る側から言わせて貰えば、所詮は票集めの広告文にすぎないと思いますけどね」と、ハカセ。

「そう言えば、ハカセは若い頃、選挙事務所で活動していたことがあるとか言うてたな?」と、ワシ。

「ええ、知り合いが大阪府の府会議員に立候補したことがあるので、その応援をしていたことがあります。もう30年以上も昔の話になりますが」

通常、まだ二十歳代前半の若者が選挙事務所で活動していたというと、そのボランティアの応援スタッフという風に見られがちやが、実際にその選挙事務所を仕切っていたのはハカセやったという。

その頃、「選挙屋」と呼ばれる「選挙参謀」というのが、どこの陣営にもいてた。

もっとも、その多くは金で動く「選挙ゴロ」というロクでもない連中やがな。

それでも、事、選挙に関しては豊富な知識と戦略を持っていたから欠かせん存在として見られていた。

何でも今は「選挙屋」とは言わず、「選挙プランナー」「選挙コンサルタント」と呼ぶらしいがな。場合によると「選挙オーガナイザー」とも言うらしい。

こう呼ぶことで値打ちが上がり、格好良く思われる、また誇れるということなのやろうと思う。

もっとも、どんな呼び方になろうと、その中身が大して変わるとも思えんがな。

その知り合いの候補者、サカシタには、その「選挙屋」がおらんかった。というより、雇えんかったわけや。

「選挙屋」の多くは候補者を勝たせることで、より多くの利益を得ることができる仕組みになっとる。成功報酬というのがバカにならんわけや。

つまり、勝てる候補には凄腕の「選挙屋」がつくケースが多いが、勝てる見込みのない候補者には、そういう職業「選挙屋」は見向きもせんという。

集まってくるのは、その当面の報酬目当ての人間だけやが、その報酬さえ満足に払えんかったから、その連中にも相手にされんかったという。

そこで、そのサカシタはハカセに泣きついてきた。

事務所を手伝ってほしいと。

そのサカシタは、ハカセの高校の先輩やった。

その高校ではハカセはそれなりに有名やったという。

ハカセは、高校時代、大阪府の弁論大会に出て三位になったことがあり、そのときの弁論内容を録音したものが、その高校で長く教材として使われていたということや。

加えて、その頃、その時代にはありがちなことやったが、ハカセはその高校の仲間たちとロックグループを組んでいて、地元のラジオ局や万国博覧会の跡地で良くコンサートをやっていたのやという。

ハカセの担当は、ボーカルとベースギター。爆発的やないが、その辺りでは、そこそこは人気を博していたらしい。

まあ、ハカセの声の良さと歌の巧さなら、一度その歌声を聞けば誰でも、それと納得するとは思うがな。

「ゲンさん、それは止めませんか。いくらそんなことを言っても、そんな話、このメルマガでは誰も信用しませんよ」と、ハカセ。

まあな。その頃は、いくら若い女の子に騒がれていたほどの容姿をしていたとしても、今はその見る影もないほどの「おっさん」に変貌しとるわけやしな。

かろうじて、その声が、そうと錯覚させる程度や。

ちなみに、その仲間たちも、今は漬け物屋の大将やったり土建屋の親方やったりしとるという。

府会議員の選挙というのは市単位で選ばれるから、その地元に密着しとる者で、そこそこ知名度のある者が陣営にいてた方が有利ということになる。

それもあり、「お前を男と見込んで頼む」という言葉に絆(ほだ)され、簡単に引き受けたということや。

「後で聞いたら、いろんな人に散々断られて、どうしようもなく、お鉢が回ってきただけだと知りましたけどね」

まあ、いくらその辺りでは有名やったとは言え、所詮は選挙の素人の若造にスタッフになってくれと声をかけるくらいやから、そのサカシタの本気度も推して知るべしやったんやが、いかんせんハカセは若すぎた。

「このとき、本当の意味で、政治の裏側を覗いたような気がしました。もっとも、それと気がついたときは遅かったですがね」と、ハカセは当時のことをそう笑いながら振り返る。

当初は、ただの手伝い程度のつもりで行ったのやが、そのお粗末さに驚いたという。

サカシタは、表向き、その当時の第2党である社会党と共産党の両方の推薦を受けていたということやったが、その両方からの応援は誰も来ていなかった。

サカシタが独自に雇ったアルバイトが数人だけやったと言う有様やった。

サカシタの対抗馬は、自民党の現職議員、ハットリという男で、地元でも名士として知られていたから圧倒的に有利と目されていた。

最初(ハナ)から勝負にはならんかったわけや。

しかし、ハカセは劣勢であればあるほど却って燃えるのやと言う。

また、その当時には、それなりの自信もあったと話す。やり方次第では、どうにかなると。

まず、ハカセが取りかかったのは、その選挙公約を作ることやった。

今回のような総選挙では、党毎のマニフェストで戦うわけやけど、その当時は、候補者は独自の選挙公約を掲げて戦っていた。

それを作るわけや。

「要するに、いかに書けば票が得られやすいかという広告文ですね」と、ハカセ。

膏薬(こうやく)というのがある。

皮膚外用剤の一種で、皮膚または粘膜に塗ったり貼り付けたりして、その保護と殺菌を目的にした貼り薬のことや。ちなみに絆創膏(ばんそうこう)も、その種類になる。

塗り薬やから、膏薬(こうやく)はその時だけのものでそう長くは効き目がない。

その当時、その膏薬(こうやく)と公約(こうやく)は、そんなものやと語呂合わせのように揶揄(やゆ)されていた。

また、選挙公約など守られるはずがないとか、公約は破られるためにあると、公然と言い放つ候補者や選挙関係者すらおったと、ハカセは言う。

一般の有権者にすら、その意識があったくらいやさかいな。

選挙時の公約と米つきバッタの如き候補者の低姿勢は誰も信用してなかった。

それでいて、特にひんしゅくを買うということもない。却って、それが常識やという空気すら、あったわけや。

「本当は、ここで私の作った、その選挙公約の内容を披露すればいいのでしょうが、それは堪忍してください。今にして思えば、よくぞあんな美辞麗句と嘘八百を並べられたものだと自分でも恥ずかしくて堪りませんからね」と、ハカセ。

まあ、ここでは、ええ加減なものやったということが分かって貰えたらええと思う。

ハカセがその応援をし始めたことで、その陣営に変化が起き始めた。

その当時クロダという現役の大阪府知事がおったのやが、なぜかその陣営から応援が送り込まれて来るようになった。

そのとき、大阪府の知事と府会議員は同時選挙が行われていたからというのもあったが、それまで、おざなりにされていたサカシタの選挙事務所が俄に活気づいてきた。

ハカセが、サカシタの応援演説を盛んにするようになって日を追う毎に聴衆が、それらの会場に集まりはじめたというのが大きかったようや。

その訴える内容と独特の話し方に感動したという人まで現れ始めたという。

ついには、ハカセはいつの間にか、クロダの応援演説をやらされる羽目にまでなっていたと話す。

結局、そのクロダは二期めの知事になり、サカシタは落選した。

しかし、その負け方は、当初予想されていた大差というものやなかった。

自民党の現職議員ハットリが獲得した2万票に対して、サカシタは8千票近くも集めたという。

これは異例の多さやった。予想外の健闘と言える。

「それには、私が高校の同級生や後輩たちを活動員として無理矢理、引っ張り出したというのが大きかったでしょうね」

その数、実に総勢50名に及んだという。そのほとんどが無報酬で尚かつ、手弁当持参やった。

ハカセは、人に頼むのが上手い。というより、ハカセに頼まれると、そうせなあかん、断れんという気持ちになる。

ワシが、まさにそれやったさかいな。

ワシは、自慢やないが、人を自分のペースに巻き込むことはあっても、滅多に人に巻き込まれることはない。そう自負もしてた。

そのワシが、気がつけば、いつの間にか、サイトやメルマガに協力させられとるくらいやからな。

ワシが、誰かに振り回されたという相手はハカセが初めてやった。

人使いも荒い。荒いのやが、不思議とそのときはそう感じさせんわけや。

人徳というのか、とにかく得な雰囲気を持っとる男やと思う。何とかしたろうという気になるさかいな。

それに騙された? 同級生や後輩たちも多かったということやろうと思う。

「でも、一番騙されたのは、結局、私でしたね」と、ハカセ。

早い話が、サカシタは共産党員で、完全なアテ馬やったというのが、その選挙後に分かったという。

当選するつもりなど最初からなかった。目的は、その地域での票読みにあった。

なぜそんなことをしたのか。

それは、その後の市会議員選挙の票読みのためやったという。

結局、そこの共産党は、その選挙で三人立候補させ全員が当選した。ちなみに、それまでの議員は一人やったということや。

そのときには、ハカセはすでに協力はしていなかったわけやが、名簿とか多くの資料を残していたから、それを使われたという。

さらに、ハカセもまだ協力しているかのようにも装われていたとも話す。

余談やが、そのサカシタはその選挙の後、党の幹部に抜擢されたという話や。つまり、アテ馬の報酬というやつやな。

清廉潔白やと思われている共産党ですらそうやった。もっとも、そのサカシタのケースが特殊やったのかどうかは、ハカセには分からんかったがな。

「それが選挙だと思いましたね。綺麗とか汚いとか言ってられるような甘い世界ではないということです。目的のためなら、手段は選ばない、選んでいられないということではないでしょうか」

選挙に従事しとる者の考えとは、そんなものやと。

そこで踊らされて、さして書きたくもないものを書かされた。必死で人に訴え語りかけた。

その悔いが深かったということもあり、それ以降、再三に渡り、選挙の応援依頼があったが、ハカセはすべて断ったという。

「そのときの経験から言っても、マニフェストの文面を作成する人間は、票集めのためという一点しか考えてないと思いますね」

「ということは、民主党のマニフェストも?」と、カポネ。

「民主党に限らず、今日発表するという自民党のマニフェストにしてもすべてそうだと思いますよ」と、ハカセ。

そこには耳障りのいい話しか出て来なくて当然やと言う。

「まったく信用するなとまでは言いませんが、話半分くらいに考えていた方がいいのではないでしょうか」

「よくテレビなどでは、マニフェストが出揃ってから討論しようというニュース番組がありますが」と、カポネ。

「新聞も含めて、マスコミでは、それでしか比較できないから、そう言うだけではないでしょうか」と、ハカセ。

しかし、そうしても、あまり意味がないのではないかと、ハカセは言う。

「過去のマニフェストの検証は与党のものでしかできんけど、お世辞にも、それが実行されとるとは言えんしな」と、ワシ。

「オレは、今まで自民党に入れることが多かったけど、今回その気になれんのは、その検証とか反省の弁がほとんどないからや」と、テツ。

国に1000兆円近い借金を作った事や役人の不祥事が横行しているのは、あきらかに与党である、自民党、公明党の怠慢、あるいは管理不行き届きやと思うが、それに対して国民にはまったくと言うてええほど謝罪がない。

「それどころか、民主党のマニフェストには財源の裏付けがないと、堂々と攻撃しとる。情けない。そんなことを今の与党が言う資格はないやろうと思う。実際問題として、毎年、赤字国債の発行、つまり借金でしか財源を確保してないんやからな」

「それについては、ワシも同感や」

莫大な借金を作った張本人が、他者にその政権担当能力や金の集め方や使い道を非難する資格はないわな。

もし、それができるとしたら、その借金がなぜそこまでに膨らんだのかという、やむを得ない理由とやらを国民につまびらかに説明してからやが、それは未だに何もない。

おそらく、これからも自民党政権が続く限りはないやろうと思う。

7月29日、自民党が前回の総選挙で掲げたマニフェストの計120項目の内、「達成」のA評価が55項目、一方、「取り組み中」のB評価は65項目で、「未着手」のC評価はゼロやったという新聞発表があった。

「ワシは、この記事を見た瞬間、完全に自民党は終わったなと思うたな」と、ワシ。

自己評価で45.8パーセントの達成率があるからええやろうみたいな感じで堂々とそれを発表するというのは、ハカセの言う「話半分」をそのまま実証しとるようなもんやと思う。

また、それくらい達成してたら、むしろ誇れることやと考えとるフシすらある。

この手の自己採点というのは、どうしても甘くなりがちや。

その裏には、それを発表することで、ええイメージを国民に植え付けたいという気持ちが働くさかいな。言えば、選挙戦略の一環なわけや。

その甘い自己採点で半分近く達成しとるから、ええやろうという神経を疑う。

他をすべて、「取り組み中」のB評価にして、「未着手」のC評価はゼロというのは論外や。そんなもの口でそう言えばいくらでも言えるさかいな。

少なくとも政権を担当した与党の吐くべき言葉やないと思う。

選挙のマニフェスト(選挙公約)というものは、その政権担当期間中において、100パーセント実行可能なものでないと意味がない。

厳しいのかも知れんが、その総選挙で掲げたマニフェストの計120項目の内、一つでも実行不能なものがあれば、国民には「ごめんなさい」と謝るべきやと思うが、違うやろうか。

その点、例え口先だけにしろ、「マニフェストを実行できんかったら責任をとる」と宣言した民主党の代表の言葉は評価できる。

かつて、そこまで言い切った与党のトップはおらんかったさかいな。

もっとも、その責任の取り方が『代表を辞めたらええやろう』というのでは寂しいとは思うがな。

「ところで、最近ネットの掲示板などを見ていると、マスコミによる民主党への誘導があるかのようなことが盛んに言われてますが、その点は、どうなのでしょう」と、カポネ。

「それはないやろう。まあ、新聞やテレビで自民党が散々叩かれとるから、そう思いたい人間もおるのやろうがな」

確かにもマスコミの力は大きい。そこで報道されたことは大きな影響力を持つ。それで勝敗を決することもあるさかいな。

ただ、それは過去において、自民党を利するケースもあったわけや。

前回の「郵政解散総選挙」が、そのええ例やったと思う。

4年前には、その自民党は上手くマスコミを使った選挙戦略で大勝した。

当然のように、そのときにはマスコミによる誘導などと言う者は誰もおらんかった。

今回、それができんからと民主党寄りの偏向報道やと言うのは、どう考えてもおかしいやろうと思う。

そういう人間は世論を操作する悪玉としてマスコミを叩きたがるが、そんなもので左右されるほど一般人はバカで愚かやないと考えるがな。

たいていの人は、おかしなマスコミの報道には敏感や。ちょっとした間違いでもあれば、テレビ局や新聞社に苦情が殺到するのが普通やさかいな。

むしろ、マスコミの方が一般世論に迎合しとる結果が、それやと思う。

視聴率を稼ぐ、また新聞を売るためには、それに迎合する方が最も都合ええわけやさかいな。

ニュースを作る際、新聞記者が真っ先に考えるのは、その事件、出来事がニュースバリューになるものかどうかという点や。

早い話が一般ウケするかどうかが、ニュースになるかどうかの分かれ目になるわけや。

その時々で、マスコミは世論の動きを気にする。それがために、何か事ある毎に、あるいは定期的に、その世論調査というのをしとるさかいな。

前回の選挙では世論が自民党に流れ、今は民主党、そして次はどこへ流れるかマスコミ自身にも分からんというのが本当のところやろうと思う。

「それに、私も良く感じることですが、ネットでは俗に『工作員』と呼ばれるいろんな掲示板サイトへの書き込みをする専門の部隊というのがあるようですから、あまりネットの掲示板で政治について書かれているようなものはアテにならないと思いますよ」と、ハカセ。

ネットは確かに情報の宝庫ではあるが、逆にその情報操作をこれほどしやすい媒体もないと思う。

実際、その『工作員』をアルバイトとして雇っている組織もあると聞くさかいな。

ネットの掲示板の多くは中傷合戦花盛りやから、まともな神経の持ち主は、そういうのは見るだけでウンザリするはずや。

もっとも、そういうのが好きな人もいとるのかも知れんがな。

ただ、少なくとも、そこで語られている政治に関しての事はあまり情報としても信憑性の高いものやないと思う。

その点、迂闊なことを言えば、苦情が殺到すると考えるマスコミの報道の方が、信じるに値すると思うがな。

まあ、それは、それぞれで判断すればええことやけどな。

「皆さんの話を総合すると、どうやら、今回の総選挙は民主党に分があるということですね」と、ハカセが、そろそろという感じで締めにかかる。

「まあ、どこにでもありがちな結論やが、そうなるかな」と、ワシ。

「私は、正直、まだ決めかねてます。考えが古いのかも知れませんが、やはり一番に重要視したいのは、その人物ですから」と、カポネ。

「オレは、今回は民主党やな。自民党には出直して貰いたいという願いを込めてな」と、テツ。

まだ、これから熱い選挙戦は1ヶ月続く。

どこが勝つ負けるとは断言できんが、これを見ておられる人で、総選挙に関して何かご意見があれば、是非、寄せて頂きたいと思う。

但し、名指しで批判するのだけは止めてや。それ以外であれば、サイトで取り上げさせて貰うさかい。

そして、最後に一言。

ぜひ、選挙に行ってほしいとお願いする。それからでないと何も始まらんさかいな。



参考ページ

注1.第155回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■選挙と拡張員


私の意見 民主党政権には反対です

投稿者 匿名希望さん 女性 会社員 投稿日時 2009.8.24 PM 1:12


まず、はじめに断っておきますが、私は特定の政党の党員でもなければ、支持政党もありません。ゲンさんたちと同じく無党派層と言われる者ですが、現在のマスコミや民主党が訴える「政権交代」に乗せられてはいけないと考えております。

私は今の自公連立政権や官僚政治がいいと思っているわけではありません。また、適度に政権交代はあってしかるべきだとも思います。

しかし、現段階において民主党に政権を取らせるべきではないと思うのです。

まずマスコミの報道に関して、ゲンさんの意見については少し首を傾げました。


そういう人間は世論を操作する悪玉としてマスコミを叩きたがるが、そんなもので左右されるほど一般人はバカで愚かやないと考えるがな。

たいていの人は、おかしなマスコミの報道には敏感や。ちょっとした間違いでもあれば、テレビ局や新聞社に苦情が殺到するのが普通やさかいな。

むしろ、マスコミの方が一般世論に迎合しとる結果が、それやと思う。

視聴率を稼ぐ、また新聞を売るためには、それに迎合する方が最も都合ええわけやさかいな。


とのご意見についてはごもっともだと思います。

しかし、現在インターネット上で言われているマスコミの最大の問題点は「重要な事実を報道しない」ということだと思います。

たとえば、先日NHK中継の党首討論会にて総理が発言した、ネット上で言うところのいわゆる「民主党国旗切り刻み事件」などはわかりやすい例だと思います。

民主党の集会で日本の国旗・日の丸を2枚切ってつないで民主党の党旗を作って掲げたという事件ですが、これに怒ったネットユーザーがさまざまな掲示板にてスレッドを立ち上げたり、関連動画が動画サイトに多数投稿されましたが、この事件に関して報道したマスコミはごくわずか、しかもほんの申し訳程度だったと思います。

日本人なら誰でも日の丸を切られれば、不快に思うはずですが、民主党の代表は謝罪とは思えない発言をした上に「既に終わったこと」として批判した総理を逆に批判するという行動に出ています。

政治家が国旗を切り刻むこと自体、信じられないことですが、次期総理とも言われている人物の発言とは思えません。

多くのネットユーザーが民主党政権に不安を抱く理由が、この例に代表されるように、日本国を否定するかのような民主党の国家観・主権概念・外交・安全保障政策というものだと私は理解しています。

民主党代表は今年の4月にインターネットの生中継にて「日本列島は日本人だけの所有物ではない」との発言があり、多くのネットユーザーがこの発言に日本の危機を感じました。当然、ほとんどのマスコミは報道しないため、多くの国民は知りません。

ほかにも民主党が結党以来の悲願として掲げる「永住外国人への地方参政権付与法案」や「人権擁護法案」等国民の反感を買うであろう憲法違反のいわゆる『闇法案』『裏法案』もマニフェストから外し、マスコミは一切報道しません。マニフェストから外したといって、絶対に法案成立させないという保障もありません。

総理の漢字読み間違いを大報道し、闇法案の存在や党の代表が二代続けての政治資金不正を「大きく報道しない」というマスコミの偏向は、確かにあると私は思います。

私は、この問題はマスコミの体質にあるとも思うのです。

多くの指摘があるのですが、マスコミは広告税導入を阻止し、テレビの電波利用料引き下げたいがために(現総理は広告税を導入する方針。また政権を取ったら電波利用料を引き下げると民主党議員がテレビ番組で発言)、自民党のどんな小さなことでも大報道し、民主党の問題は極力小さな報道にしているとの指摘があります。

また、ゲンさんが仰るように、多くの掲示板で罵詈雑言・誹謗中傷合戦が行われているのも事実ではありますが、中にはこういったマスコミが隠す闇法案の内容に危機を感じ、真面目に活動している方々も多くおられます。

こういう人たちは感情論だけでなく、きちんと事実や根拠を述べた上で、発言・批判をしています。こういう人の意見には納得できる部分も多くあり、一緒くたにするのはどうかと思いました。

はじめにも書きましたが、私は自民党支持者ではありません。天下りや渡りなども廃絶すべきだと思いますし、政権交代はあるべきだとも思います。

しかし、そういったことよりも日本国家・外交・安全保障といったものは、国家の基本で最重要視されるべきものであり、日本という国があってはじめて政策があるのだと私は思います。

防衛費を削る方針で、「アメリカは第七艦隊だけいればいい」と言ってみたり、国旗を切っても平気な今の民主党にそういう考えがあるか?というと残念ながらそうではないと思わざるを得ません。(北朝鮮貨物検査法案も審議拒否し、廃案にしたのは民主党です。)

今、私が望むことは「政権交代」よりも「国家の尊厳・生命の安全」です。

日本がそういうことに本気で取り組む政党だけになったときにはじめて政権交代を望みます。

しかし、今の日本、とりわけマスコミ報道を見ていると、「国家の尊厳・生命の安全」よりも何が何でも「官僚政治の打破」だ「政権交代」だ、という調子で、私のように考える者がマイノリティーとなっています。(右翼だとも言われます。)

総理がCMで訴える「日本を考える夏」になったらいいと思うのですが、果たして今の日本人は本当に自分の頭で世の中のことを考えているのだろうか・・・と思う次第です。なんとなく政権交代がいいと思っている人が大多数のような気がします。

思想信条の自由、表現の自由が認められているのですから、どんな考えがあろうと考え自体を批判するつもりはありませんし、私の考えが正しいと言うつもりも毛頭ありませんが、もっと日本人に「政権交代」よりも、身近に迫っている近隣諸国の脅威や安全保障、日本の国家というものについて考えて欲しいと思い、僭越ながら意見を述べさせていただきました。

(私の考えが間違っていたら、そのときは訂正いたします。)


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