メールマガジン・ゲンさんの新聞業界裏話・バックナンバー

第70回 ゲンさんの新聞業界裏話


発行日  2009.10. 9


■その心の叫びを伝えるためにできる事


新聞業界の片隅でメシを食うてる者の一人として、最近の業界の先行きを憂いずにはおられんという気になる。

このままでは、この業界に明日はないと。

「何をタカが拡張員風情が知った風なことを言うてんねん」と思われる向きがあるかも知れんが、それくらいは許されるやろうと考えている。

週に一度の新旧のメルマガを5年間続けたことで、少しずつではあるが、各方面にその存在が認知されるようになった。

その時々において、そこそこ反響があったものも多い。説得力があり面白いと。

それには過去、多くの業界関係者の方から貴重な情報を寄せて頂いたということが大きいと思う。

現場の生の声をもとにしとるということもあり、今やワシ一人のボヤきだけやなく、多くの業界関係者の代弁ができたのやないかと少なからず自負もしている。

普通なら、どのメディアにも取り上げられず、誰にも知られることのないまま終わったような話も多いさかいな。

世に問うという大袈裟なものやなくても、人に自身の思いを伝えられるのは素晴らしいことやと思う。

その気持ちで、このメルマガに取り組んできた。これからも、それに変わりはない。

近年、この業界に危機感を抱いている関係者の方が急増しとるためか、よけいそうした声が多く届くようになっている。

そうした声を一人でも多くの読者に知らせていきたいと思う。

ただ、その声が新聞社の上層部へ届くかどうか、響くものになるかどうかは怪しい限りではあるがな。

それでも言わずにいとるより言うた方がええ。そういう事やと理解してほしい。

そして、今回の話もその一環やと。

新聞社には一般購読者に対して新聞を売るためのノウハウや営業力がないというのは折に触れ常々言うてるが、それは仕方のないことやと思う。

新聞社自ら新聞購読客獲得の営業を放棄して、それを新聞販売店や新聞拡張団に丸投げするシステムを構築してしもうとるわけやさかいな。

放棄したものに、その能力がないというのは当たり前と言えば当たり前の話や。

それでも、そのシステムが機能しとるうちは、まだ良かったが、今のように著しい部数減や経営状態の悪化が顕著になっとる現状では仕方ないと済ますわけにもいかん。

新聞社の経営難は、そのままワシら末端の者に影響するからな。

新聞販売店、新聞拡張団の減少となって表れとるのが、それや。現実に多くの業界人がその働き場所を失いつつある。

これを時代の趨勢(すうせい)と捉えている評論家もいとるようやが、それだけやないとワシは思う。

どんなに厳しい状況にあろうと乗り越えられん危機というのはないはずや。

道は必ずある。その思いがワシには強い。

しかし、肝心要(かんじんかなめ)の舵取り役である新聞社のトップに営業能力、経営能力のない人間が君臨し続けとると聞くと、それはないやろうという気になる。

堪忍してほしいと。

新聞社には営業や経営に長けた人間がおらんのかというと、そうでもない。

新聞社にも営業部、販売部という部署があり、そこにはそれなりに優秀な人材が多いと思う。

それは、その彼らが書き顕した幾多の本を読めば分かる。「なるほど」という記述が数多くあるさかいな。

しかし、そうした部署から新聞社の経営トップに就任したというケースは、ワシの知る限りほとんどない。

昔から、多くの新聞社では「編集部」が花形とされ、発言力も強く、そこの出身者が経営者になるという道が約束されていたという。

事実、大半の新聞社のトップがそうやというさかいな。

新聞社の「編集部」は、いかにして他紙より早く特ダネ記事を掲載できるのかを至上の命題として、その紙面を作ることに腐心しとる連中ばかりやという。

その是非は、この際、置いといて、そのために自身の生活を含め、あらゆるものを犠牲にしている人間に他の事を修練する余裕などないやろうというのは、ワシにでも分かる。

当然の帰結として、営業や経営には疎(うと)くなる。関心を寄せることもないと言うた方がええかも知れん。

疎くなるが、その部署が権力を持つが故に、そのトップに君臨するという喜劇とも悲劇とも言えん状況になっとるわけや。

昔のように黙っていても広告収入が苦もなく確保できていて、部数もほぼ飽和状態と言われるほど維持していた時代なら、まだそれでも良かった。

新聞の売れ行きなど気にもする事も、営業や経営など考える必要もなかったからな。

「良きに計らえ」で何の問題もなかった。

しかし、今はそれではあかん。

部数は毎年、確実に落ち込み、新聞紙面の広告収入も激減していて、多くの新聞社が紙面で赤字計上を発表しとるに至っては尚更や。

こういう状況であれば、一般の企業なら、その経営手腕に長けた経営者に交代するケースが多いが、新聞社にはその兆候すら見えん。

もちろん、新聞社も現在の状況に手を拱(こまね)いているのやないとは思う。それなりに手を打って、策を嵩じとると信じたい。

しかし、悲しいかな、それが伝わって来ん。

新聞紙面の広告収入が激減して、新聞社の営業担当者たちや販売担当者たちが難儀しとるという話は伝わってきとるがな。

ちなみに、新聞社の営業員というのは新聞紙面の広告を確保と関連の書籍を販売するのが、その主な仕事とされとる。

今から2年前の2007年8月10日、サイトのQ&Aに『NO.437 新聞社の営業実態について』(注1.巻末参考ページ参照)で、某新聞社に勤務されておられるという人から相談が寄せられたことがあった。

それは、


新聞の拡張もそうですが、新聞社なので広告の獲得や出版物の販売ノルマが課せられます。

もし、出来なかったら出来るまで嫌がらせをされることもあり、それが苦しくて架空の契約をして自腹を切って払っているというのが今の現状です。

自腹で払えとまで言う始末です。

私は、営業ではありませんが多額の自腹を切って精神的に追い込まれ病気になり退職する人を見てきました。

それを会社側は、知っていて精神的に弱い人間と片付けます。それは、法的に許されるものなのでしょうか?

不思議なことに、ノルマを達成しない人は誰一人いません。

ノルマを達成する人は、あらゆるやり方で契約をごまかして達成するしかないのです。実力により正しい契約でノルマを達成している人は、誰一人としていないのです。

出来なかった人は、精神病になり退職する。また、現在100万円の自腹を切って病気になっている人がいます。

どうにかできないものでしょうか?


という俄には信じ難いような衝撃的な相談やった。

その頃でも、新聞社の広告収入が激減しとるというのは、ある程度知っていた。

しかし、ここまで酷い状況やとは正直、想像もしてなかった。

それに対して、ワシは、


ワシ自身、30数年間営業に携わってはきたが、新聞業界に関しては拡張員としての経験しかない。

勧誘の現場についてなら、そこそこアドバイスはできるが、新聞社内部の事情については憶測でしか分からんから、そのあたりの事は多少割り引いて聞いてほしい。

『広告の獲得や出版物の販売ノルマが課せられます』というのは、営業の仕事なら、それは当然やと思う。

しかし、『もし、出来なかったら出来るまで嫌がらせをされることもあり、それが苦しくて架空の契約をして自腹を切って払っているというのが今の現状です。自腹で払えとまで言う始末です』というのは、かなり衝撃的な話やな。

俄には信じがたいというのが正直な印象や。

どんな営業も楽なものはない。

契約を上げられん営業マンに対しては、その上司も甘い顔はできんから、きつめに叱責するというのは普通にある。

嫌がらせの種類や程度にもよるが、ネチネチと小言を言われるとか、成績を上げられんかったらクビやと宣告されるというくらいは、営業の世界には良くある。

せやからと言うて『それが苦しくて架空の契約をして自腹を切って払っている』というのは、いただけん話やけどな。

はっきり言うが、それは、それをする人間が悪い。

ワシら拡張員の世界でも、その日のメシ代にも事欠いた末、てんぷら(架空契約)を上げる奴がおるが、それと同じや。

確かに同情の余地はあるかも知れんが、けっしてほめられることやない。

それに、その行為は、厳密に言えば、詐欺罪と文書偽造罪に該当するものや。

架空契約を上げるということは、本来貰えるはずのない営業報奨金を得ることにつながるわけや。

これは、立派な詐欺になる。契約書の偽造については今更説明するまでもないわな。

自腹を切るからええやろうというのは、自分勝手な論理ということになる。

どんな理由があれ、法律違反を犯した事実は消えん。良くて情状酌量の余地があるくらいや。

仕方なく犯罪を犯すというのは、この人間の社会ではいかなる事情があれ認められることやない。

それは分かるやろ?

厳しいようやが、その営業員は根本的なところで勘違いしとるとしか、ワシには思えん。

営業というのは自らの生計を立てるための仕事なわけや。

その仕事で自腹を切って尚かつ不法行為までせなやっていかれへんのやったら、そんな仕事は、さっさと辞めた方がええ。

そんなもの仕事でもなんでもないさかいな。

ワシは、不法行為を働く拡張員には、いつもそう言うてる。

「お前はこの仕事には向いてない」と。

ただ、『自腹で払えとまで言う始末です』というのは問題やけどな。

これは絶対に言うたらあかん言葉や。

今日び、どんなにあこぎな拡張団でも「てんぷら(架空契約)をしてでも契約を上げてこい」とは言わんで。

てんぷら行為を見逃すことはあるかも知れんが、あってもその程度や。

それを承認したり推奨したりする団は、ほとんどないと思う。少なくとも表向きはな。

その上司が、そう命令して、架空契約行為に走った、走らせたというのなら、事情が違うてくる。

これは、詐欺教唆に問われる可能性があるさかいな。

ただ、それを実証するのは、かなり難しいとは思う。

特に他の部署にいる第三者やというあんたの立場では、そのすべてが伝聞証拠でしかないと思うからよけいや。

おそらく、あんたは、その営業員の一方的な話しか聞いてないやろうからな。

もっとも、その上司に「そんなことを本当に言わはりましたんか?」と聞くわけにもいかんから、そこまで確かめろというのも酷な話やけどな。

それを実証するとしたら、その営業員自身が、その上司と差し違えるくらいの気持ちが必要になる。

先にも言うたように、その営業員自身も法律違反に問われる可能性があるわけやさかいな。

『多額の自腹を切って精神的に病気になり退職した人』が民事裁判でも起こして、その因果関係が証明されたら、あるいは、その上司を追い込むことができるかも知れん。

但し、できてもその程度までやと思う。

例え、裁判所でその主張が認められたとしても、その言動の責任は、それを言うた上司だけが被ることになるはずや。

新聞社の上層部にまでその責任がおよぶことは、まずないやろうなという気がする。

『自腹で払え』というのが、業務命令として書類として残っているというなら別やが、そんなものはないやろうからな。

言うた言わんの世界は、その証拠がなかったら、ただの水掛け論にしかならん。

その上司が「そんことを言うた覚えはないで」と言えば逃げられる可能性は高い。

反対に、その営業員が行ったという架空契約の不正行為というのは、その偽造契約書やデータが残っとる限りは否定のしようがない。

「それは、営業員が勝手にやったことや」とされる可能性はかなり高いやろうと思う。

今のままやと、例えリスクを承知で訴えても勝てる見込みは限りなく低いのやないかと言うしかない。

これが、新聞社以外の他企業での話なら、新聞やテレビなどのメディアが叩く可能性も考えられるが、新聞社内部に対しては、他の新聞社は疎かテレビ各社も扱う可能性もほとんどないやろうから、問題になる事すらないと思う。

『多額の自腹を切って精神的に病気になり退職する人を見てきました。それを会社側は、知っていて精神的に弱い人間と片付けます』というのも、客観的に見たらそういう事になる。

もっとも、それを会社側の人間が広言するのは問題やとは思うがな。

人として言うべき事やない。それだけを見ても、その新聞社の体質と程度が知れる。

その追い詰められ方がどんなものなのかは、実際にそれを体験したわけやないから何とも言えんが、ワシら拡張員にも似たようなケースはある。

拡張団にもよるが、契約が上げられんかった拡張員が悲惨な状況に置かれるのはありがちなことや。

ビンタをされるという団もあるし、地べたに長時間正座させられる団もある。

その反省の弁を大声で他の団員の前で言わされるケースも珍しいことやない。

およそ恥ずかしいという行為は一通り味あわされる。

しかし、それでも、それを苦にして精神を病んだという拡張員は、皆無とは言わんが、極端に少ない。少なくとも、ワシの知る限りはおらん。

もっとも、拡張員と新聞社の営業員を比較するのはどうかとは思うがな。

新聞社に入社する人間の多くは、一流ないし、そこそこの有名大学を卒業したばかりの者が多い。

つまり、学歴はあるが、世間の荒波に揉(も)まれたことがない連中なわけや。

そういう人間が、あんたの言うたような状況に置かれたら、それに対処する術がないというのも良く分かる。

それに対して拡張員は、それまで他の世界で、散々揉まれてきた人間が大半や。

学校を卒業してすぐこの世界に飛び込んだ人間の方が珍しいくらいやさかいな。

拡張員は、ええ意味でも悪い意味でも図太い者が多い。

その違いがある。

ただ、あんたの言う実態が大半の新聞社にあるというのなら、これはかなり深刻な事やと思う。

ここ数年来、新聞社の広告収益は年々下降線気味やというのは聞いて知っている。

ある新聞社の場合、その収益は、30年以上前と同じレベルにまで下がってきたというさかいな。

これまでの営業が通用せんようになったという話も良く聞く。

もっとも、ワシから言わせれば、新聞社は殿様営業で、待ってさえいれば広告依頼があったという時期が長かったから、急に落ち込んだ場合の備えというか心構えがなってなかったと思うがな。

部数さえ伸ばせば勝手に広告収益は増えるもんやと思うとったというのもあるやろうからな。

部数至上主義というのは、そういう背景から生まれたものやと考える。

ところが、バブル崩壊以降、経費の節約を余儀なくされた多くの広告主は、その新聞の広告効果に疑問を持つようになった。

結果、広告主の多くは、テレビ広告は全国ネットのものばかりやなく、ローカル局、BS局など比較的安価な媒体に流れるようになったわけや。

あるいは、広告そのものを自重するようになった。

『ノルマを達成する人は、あらゆるやり方で契約をごまかして達成するしかないのです。実力により正しい契約でノルマを達成している人は、誰一人としていないのです』というのが本当なら、正に末期的状況というしかないな。

どう考えても、そんなことが長続きするはずがあらへんしな。

どんな営業のやり方をしとるのかは知らんが、そんなことをせずとも他に必ず道はあるはずやと思う。

『どうにかできないものでしょうか?』ということなら、まず、その営業方法を当事者が真剣に考え直すことが先決や。

必ず打開策があると信じてな。

営業さえ順調に伸びていれば、すべての問題が解決するはずや。

まあ、営業に関しては、これでも一家言はあるつもりやから、その事情も含めて質問して貰えればアドバイスくらいはできると思う。

もっとも、聞かれんことには答えるつもりはないがな。

そういうのは、ただのお節介にしかならんと思うし、その人の身にもつかんさかいな。

今のあんたにできることは、そういう状態に陥った仲間に「お前は営業には向いてないようやから、大ケガせんうちに辞めた方が無難やで」と忠告するくらいやないかなと思う。

どのみち、それしかできんという人間は、最後には破滅するしかないわけやから、辞めるという選択肢を早めに示唆するというのも、一つの親切になると考えてな。

ただ、そうするのなら慎重にせなあかんで。そういう動きを上層部に察知されたら、あんたの身も危うくするさかいな。


と答えた。

それが2年前のことやった。

現在は、その頃よりさらに厳しい状況になっとるというのは容易に想像がつく。

従来からの不況に加えて、去年、2008年に起きたアメリカ発のリーマン・ショックによる百年に一度と言われる世界規模の大不況に日本も巻き込まれとるさかいな。

それによって日本社会におよぼされた影響は計り知れないくらい大きいものやった。

もっと言えば、深い傷、爪痕(つめあと)として残ってしまったわけや。

このメルマガの『第27回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■人の恨みを買う怖さを知るべし』(注2.巻末参考ページ参照)でも触れた派遣社員や期間従業員たちの大量リストラが敢行されるという大変な状況にまでなったのが、その典型やと思う。

それが行われた時期というのが、年末の押し詰まった頃で多くの人たちが寒空の中に住む場所もなく放り出される事になった。

まったく悲惨と言うしかない。

また、某大手自動車メーカーのトップが新聞やテレビなどの広告費を削減すると発表したことも大きかった。

それにより、他企業も当然のようにそれに倣(なら)うようになったというさかいな。

今や企業が不況下でする事、できる事はリストラと広告費削減というのが半ば定着した観すらある。

まずは、それから手をつけると。

どんな手段を講じようとネガティブな発想から未来が切り開かれることは絶対にないのやが、安易にそれに飛びつく経営者が多いわけや。

どちらがよりマシかという選択は、単にどれだけ延命できるかというのを論じることでしかない。

いずれ命運の尽きる考え方や。それが分かっていない。

当事者は否定するかも知れんが、新聞社はこの状況を打破する方法について無策としか言いようがないほど目立った行動は何もしていない。

少なくともワシにはそう見える。

もっとも、この非常時に、旧態依然とした営業や経営の素人が経営のトップでいる限りは、いくらそれを憂いてみても詮ないことではあるがな。

上が変わらな下は変わらん。

これは、どの業界のどの業種にも共通して言えることやと思う。

ある元新聞社の役員さんが、「現在の経営陣はナイヤガラの滝に落ちる寸前に屋形船の中でどんちゃん騒ぎの宴会をしているようなもの」という比喩を書いている本を読んだことがあるが、それやと救いはない。

当たり前やわな。

危機を危機と捉えてなかったら、危機感など抱くはずもないからな。その対策など考えもつかんわけや。

まあ、一度、そのナイヤガラの滝にでも落ちれば変わるかも知れんが、それでは遅い。

特にワシら末端の者は堪ったもんやない。

上はあかんかったら方向転換すれば済む場合もあるが、下はその影響をもろに被って再起不能になる者が続出するのは目に見えとる。

世の中の仕組みに共通して言えることやが、負担やしわ寄せは弱い立場の人間に向かうようになっとるさかいな。

上のミスは下の生活を奪う。その事を肝に銘じてほしい。

しかし、そうは言うても、それが分からん新聞社のトップにそれをどうしたら分からせることができるかというのは難しいがな。

手っ取り早いのは、新聞社の内部から不祥事を暴露して経営者を追い込むという手がある。

個人的には、あまり勧められんし、ほめられたやり方やないとは思うがな。

他の企業が不祥事を起こせば新聞は必ず叩く。

しかし、同業は叩かん、叩いて来んかったという歴史があるから、同業他社に暴露してもあまり意味がない。

今まではそう思われていた。

それが、ここにきて新聞業界にも変化が起き始めてきた。

その変化は些細な暴露記事から始まった。

ある全国紙が地方紙の記者の行状を紙面で告発する。すると、その地方紙は全国紙の不法行為をその紙面で晒す。

その手のことが、ここ数年小さな争いとして繰り広げられてきた。

その争いが表面化しつつあるという情報が寄せられた。

それについては、まだ詳しくこのメルマガで言えるような状況やないが、昔ほど新聞社同士のもたれ合いがなくなってきとるのは確かやとだけ言うとく。

当時、『NO.437 新聞社の営業実態について』での回答では触れんかったが、今、同じような相談があれば、反目する新聞社の確かな情報なら、取り上げる可能性もあると言うつもりや。

また、こういう事が本当に行われているとしたら一社だけとは考えにくいし、特定の人間だけそういう目に遭うているという事もないやろうから、他にもあるはずやと思う。

さらには新聞社が取り上げずとも、新聞社に敵対する週刊誌がネタにするということも考えられる。

週刊誌の中には新聞を目の敵、もっと言えば怨敵とさえ考えとるところもあるようやから、そのネタ次第では飛びつく可能性はある。

インターネット上での暴露というのもあるが、それは勧めるつもりはない。

そういうのは掲示版に多いと思うが、実際問題としてそういう場所にいくら真実の訴えをしたところで新聞社が脅威に感じることは少ないと確信する。

もともと、新聞社にはネットの論調は無視するというのがあるさかいな。

ただの噂話、与太話と一蹴されたら、そのソースの信用度から言うて世間にそれと知られるにはほど遠いと思う。

ブログなどの暴露でも、よほど名の通ったブロガーでないと注目されることもあまりないという気がするしな。

もっとも、無名のブロガーであっても相当の筆力があり説得力があれば、その情報次第では日の目を見ることも期待できるかも知れんがな。

ただ、掲示板にしろブログ記事にしろ、そのファン以外にはまだまだ発信力が弱いという気がする。

まあ、それ以前に新聞社で働く人間が、そういう媒体にその情報を教えるとも思えんがな。

人の心理とは微妙なもので、いくらその世界で冷遇された、辛い目に遭うたと言うても、その職場を悪し様に罵倒されるのを嫌がるケースは多い。

そう考えれば、自ずと効果的な暴露先も限られると思う。

サイトのQ&Aの『NO.778 団がしている悪質な法律違反のリークをしたいのですが』(注3.巻末参考ページ参照)の中で、ハカセが、


『その効果的な方法などがありましたら、ぜひ教えてください』ということですが、やはり、新聞、テレビ、週刊誌といったマスコミ関係に知らせてニュースとして取り上げらて貰うことが一番効果的な方法ではないでしょうか。

中略。

あなたが掴んでおられる情報次第ということにもなりますが、よほどのネタ(情報)でない限り、一般の人が週刊誌の本社編集部に連絡をしたくらいでは飛びつく記者さんは少ないのではないかと思います。

私の知る限り、本社に詰めておられる週刊誌の記者さんたちは常に自身の担当ネタを抱えていて、それに奔走しているというのが実状ですので、それと関係ない話だとどうしても、後回し、おざなりにされかねません。

ただ、週刊誌の記者さんの中にもいろいろおられまして、「外部記者」と呼ばれる契約記者の方の中には、常にそういった情報のアンテナを張り巡らせている方が存在します。

そういう方でしたら、内容次第では興味を持たれる可能性はあると考えます。もっとも、そういう方に一般の人が接触するの無理だとは思いますが。

よほどのネタ(情報)というのは抽象的な表現ですが、それは持ち込む週刊誌側、あるいはその外部記者さんたちの判断により違うことなので、どのネタ(情報)が重要視されるのかは何とも言えません。

その判断基準は、その事が多くの人の耳目を惹く事件や報道になるという点にあると言えます。犯罪の大きい小さい、悪質か否かだけで判断されるということでもありません。

例えば、日本では年間1300件ほどの殺人事件が起きているわけですが、そのうち新聞やテレビ、週刊誌に取り上げられるのは、ごく一部にしかすぎません。多くは、新聞紙面に体裁程度の記事が掲載されて終わりです。週刊誌に至っては掲載される殺人事件の方が珍しいくらいでしょう。

ところが、有名人がちょっとした喧嘩をして傷害事件を起こした、あるいは接触事故を起こしたというだけでも大きく取り上げられることがあります。

一般人なら起訴されるかどうかも怪しい覚醒剤の所持程度の事案でも有名芸能人だと連日のように報道して大騒ぎされているのが実状ですからね。

殺人事件に比べたら覚醒剤の所持程度の事案は軽いというのは誰にでも判断できることですが、現実には、その有名芸能人による覚醒剤の所持報道の蔭で多くの殺人事件の報道がおざなりにされているということが起きています。

例え、報道されたとしても小さく扱われて埋没しているわけです。

それがいいか悪いかに関係なく、その判断を新聞、テレビ、週刊誌といったマスコミは冷淡に下すということをご承知おきください。

あなたのネタも、そうなるかも知れないと。

当サイト宛てにメールなどで、週刊誌の記者、ジャーナリストの方々から、時折、「何かいい情報はありませんか」という問い合わせをされて来られることがあります。

中略。

ですので、取り上げられるかどうかの保障は何もできませんが、こちらにそのリークされたいという情報を知らせて貰えれば、その内容次第では、その週刊誌の編集者、およびジャーナリストの方々を紹介させて頂くことはできます。

口幅ったいようですが、先のような経緯から私どもからの紹介に対しては、それなりに関係者の方も対応して頂ける可能性は高いかと思います。

保障はできませんが。

ただ、私どもとしましても、どんな情報でもご紹介するというわけにはいきません。

その情報に信憑性がないと、こちらの信用もなくしますので、念のため寄せられた情報を吟味させて頂くこともあります。

もし、それでよろしければ、そちらの言われる『悪質な法律違反』とやらの情報をお知らせください。

リークに値する情報と判断すれば、そうさせて頂きますので。

『私の個人情報は守られるのでしょうか?』というのは、当方に関しては保障します。情報提供者の許可なく他に洩らすことは絶対にありません。

その週刊誌の記者、およびジャーナリストの方々も情報源の秘匿には、それこそ命を賭けて守るという信念の方々ばかりですから、その点では大丈夫だと思います。

ただ、それらは、私どもの手を離れる事ですので、私どもでは保障はできません。あくまでも情報提供者の方が、それと信用されるしかありません。


と言うてたような方法もある。

誤解せんといてほしいが、ワシらは何も積極的に暴露やリークをしろと言うてるわけやないで。

はっきり言うて、ワシらがそれに首を突っ込んでも何の益もないさかいな。

サイトの方針として、そのリークの内容を公表することもせんしな。もっと言えば、ワシらが動いたことすら誰にも分からんやろうと思う。

ただ、止むに止まれん事情と思いのある方の役に立てればという観点から、そういう方法もあるということを言うてるだけのことにすぎん。

ハカセは、それに正義があるのなら助力しようと言うてるわけや。

その心の叫びを伝えるために。



参考ページ

注1.NO.437 新聞社の営業実態について

注2.第27回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■人の恨みを買う怖さを知るべし

注3.NO.778 団がしている悪質な法律違反のリークをしたいのですが


参考意見

NO.788 新聞社の体質変更は不可能では?


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