メールマガジン・ゲンさんの新聞業界裏話・バックナンバー
第76回 ゲンさんの新聞業界裏話
発行日 2009.11.20
■新聞業界、その奇妙な物語 その1 届けられた前日の日付の新聞
「また、今日も入っている……」
午前7時。
ユキオはマンションの1階にある郵便受けから取り出した、その朝刊を片手に呟いた。
一体、誰がこんなバカげたことを続けているのか……。
ここ一週間ほど立て続けに新聞が投函されていた。
ユキオは新聞の契約もしてなければ講読もしてない。また、そのつもりもない。
一週間前、初めてその新聞が投函されたときは、その新聞販売店の配達員が間違えたのやろうという程度に軽く考えていたが、その翌日も続いたことで、ちょっと心配になった。
その販売店に連絡しようかとも思ったが、それはすぐに考え直した。
インターネットで確か、これと似た事例を見た記憶があったのを思い出したからや。
ヘタに連絡をすると契約していたことにされ、トラブルに巻き込まれるおそれもあると。
ユキオは、早速、パソコンに向かい調べた。
『契約してない新聞の投函』というキーワードで検索すると、その一番上に『NO.239 契約していないのに新聞が投函されます』(注1.巻末参考ページ参照)というページがヒットした。
ちなみに、これは当サイトの『新聞勧誘・拡張なんでもQ&A』のページの一つで、ワシが回答したものや。
「やはり同じようなことがあるんやな」と、ユキオはそう考えながら、それを読んだ。
それには、
できれば早めに、その新聞を入れとる販売店に「もう、勝手に新聞を入れないでください」とでも言うて連絡しとくことや。
とあり、その理由として、
これを早めにしとかんと、いつまでもそのままにしといたら、数ヶ月後に本当に新聞代の請求をしにくることも考えられる。
新聞を読んでたやないかという既成事実ということでな。
実際、あまり長期やと、黙ってた側の落ち度を問われることになる。
契約は認められんやろうが、それまで投函されてた新聞代を払わなあかんことにもなりかねんからな。
とあったので、「それは拙い」と思い、急いで新聞を投函した新聞販売店に連絡することにした。
ただ、その投函先の新聞販売店の連絡先が分からんかったが、それもそのページに、
販売店の所在や連絡先は、タウンページでもインターネットの検索サイトからでも分かると思う。
それでも、分かりにくかったら、新聞社の苦情受付センターにでもあんたの所の住所を言えば、その販売店に伝えてくれるはずや。
その際「いきなり勝手に新聞を投函されて迷惑してます。どこに言えばいいのか分からず、やっとここを見つけましたので……」と言えばええ。
と、記載されていたので、翌日、新聞社のWEBサイトで知った苦情受付センターに電話をした。
すると、その日の夕方、インターフォンが鳴り、その販売店の店長、ヨシモトと名乗る男が、その新聞を受け取りに来たと告げた。
ユキオのマンションは、オート・ロックで外部からの無許可での出入りは禁止されとるので、1階ロビーのエントランス・ホールで、その男と会った。
そして、今朝の分と合わせて3日分の朝刊を手渡し、「今後、こういうことがないようにしてくださいね」と伝えた。
「どうも、申し訳ありません。当方の配達員が間違えたようで……、お詫びと言っては何ですが……」と、そう言いながら、店長のヨシモトは、映画の無料鑑賞券を2枚渡してきた。
「僕は何も、そんなつもりで言ったんではありませんから……」と、ユキオは、それを受け取るのをためらった。
「いえ、これは、こちらのお詫びの気持ちなんで」と、そのヨシモトに無理に押し渡され、仕方なくという感じで受け取った。
このとき、正直に言うと、ユキオには儲かったという気持ちがあったのは確かやった。
それに間違いやったと言うとるのやから、この後はその新聞の投函もないはずと、安心したというのもあった。
「あれっ? これは今日、配達された新聞ですか?」と、ヨシモトが一番新しい日付の新聞を指し示して、そう言った。
「そうですけど」
「おかしいですね。これは、昨日の日付の新聞ですよ」と、ヨシモトが言う。
そう言われて見れば、確かに昨日の日付になっていた。
他のを確認すると、それらもユキオが言ってた日とは1日ずつ、ズレた前日の日付の新聞やった。
「今日の分は、ありませんか?」
「今日の分と言われても、それで全部ですけど……」
「なるほど、そういうことか」と、ヨシモトはそれまでの低姿勢やった対応を一変させた。
「最近、ワシら新聞販売店の同業者にたかる若い者がおるとは聞いとったが、これがその手口かい!!」と、その形相も恐ろしげに変わって恫喝してきた。
「い、一体、ど、どういうことです?」
ユキオは、何がどうなっているのか、わけが分かず、狼狽(うろた)えた。
「どういうことかやて? ヘタな芝居はやめとけや。これは、うちが配達した新聞と違うで」
「僕には、な、何のことか分かりませんけど……」
「ええか、これが本当にうちで配った新聞やったら折り込みチラシが入っとるはずなんや。それが入ってへんというのは、おかしいやないか」
そう言われてみると、確かに配達された新聞には、その折り込みチラシは最初から入ってなかった。
もちろん、そうやからというて、ユキオにはそれが不自然なことやと知る由もない。新聞を購読したことが、ないのやからな。
「おそらく、この新聞は、お前がどこからか持ってきたものやろ?」
「そんなバカな。何で僕がそんなことをする必要があるんです?」
「その映画の無料券や。それが狙いと違うのか。お前にそれを渡したときの嬉しそうな顔は普通やなかったで」
「そんな、言いがかりです!!」
ユキオは、そう抗議した。
確かに、得をした、儲けたと思うたのは事実や。
それが自然に顔に表れたと言われれば、そうかも知れんが、そんなことは誰にでもあることやないのか。
それに、ユキオからその映画の鑑賞券は要求したわけやなく、ヨシモトが無理矢理押しつけてきたものや。
それで、そう言われたら、たまったもんやない。「言いがかりや」と言いたくもなる。
ヨシモトは、そのユキオの抗議に対しては、一瞥して続けた。
「最近、その手の被害があるという話は良う聞いてんねん」
ヨシモトの店が所属する地域の新聞協力会の会合で、最近になって若者による苦情が多くなっとるというのが話題になったばかりやった。
その大半が、今回と同じように「契約もしてないのに新聞が勝手に入れられて困っている」と、新聞社の苦情センターに通報されたことによるものやという。
そういった苦情があれば、新聞社の苦情係は該当の販売店にその事を伝える。伝えられた販売店は、それを無視することはできん。
当然やが、苦情が多ければ、それだけで新聞社からの評価が下がるということになる。
それを恐れる新聞販売店は、そういった苦情があると相応のサービス品を持って行って平謝りに謝るケースが多い。
それが急増していた。
明らかに販売店側の落ち度やミスなら仕方ないが、「どうも、そうすれば、高額なサービス品が新聞販売店から届けられるというような事が、まことしやかにインターネット上の情報にあるそうなんですよ」と言う他店の店長の話をヨシモトは聞かされていた。
つまり、それを狙った若者の恣意的な通報やないかということや。
その真偽のほどは、ワシらにも良う分からんが、ヨシモトの言を裏打ちするような情報は寄せられている。
新聞社の中には、その苦情を電話代行会社に委託しとるケースがある。
過去、その電話代行サービスの仕事に携わっておられたという人から寄せられたメールに、
ゲンさん、ハカセさん、いつも楽しくメルマガを読ませてもらっています。
私は、つい最近まである全国紙の電話代行をしている会社で働いていました。
その内部事情をお知らせします。
一般の人が新聞の苦情を通報するとき、その地域の新聞販売店に言うよりも、新聞紙面の下の方に掲載されている新聞社のフリーダイヤルに連絡する方が効果的だと思います。
そこに電話をすると私が所属していたような電話代行会社につながる確率が高くなります。
そこで、苦情の通報を受けると、「担当の販売店に念のためにその件について確認してみますので、名前と住所をお聞かせ願いますか」と、マニュアルどおりの返答をします。
通報者から事情を聞いた上で、販売店に落ち度があると判断した場合、必ずその対処をするようにと、当該の販売店に対してきつめに通告します。
もちろん、言葉の上では「お願いします」と丁寧な口調では言いますが。
私たちが電話代行業者であることを知っている新聞販売店さんは少なく、あくまでも新聞社の苦情センターからの電話だと彼らは思っているようです。
私たちのような会社では各販売店へのクレームをポイント制にして管理しているので、かなり強い権限を持って指導できる立場にはなっています。
あまりにもクレームが多い販売店に対しては、私たちの報告をもとに新聞社から業務改善命令やペナルティなどが通告されます。
それでも改善されず、ひどいと判断された場合には販売店契約を解約させるなどの処置が執られることもあると聞き及びます。
Q&Aなどでも、相談者が新聞社に通報するとすぐに、販売店の人がその通報者のところにやってくるというケースが多いようですが、それが大きな要因だと思います。
私たちが指示するわけではありませんが、普通、通報者へは低姿勢で粗品やサービス品などを持って行って穏便に済ましてもらえるようにお願いしているようです。
しかし、私たちは通報者の言い分ばかりを真に受けるということもしません。
明らかに言いがかりではないかというケースや誤解もありますからね。
その場合は、そのマイナスポイントの加算は免除します。
というのがあった。
その情報どおり、ヨシモトも当初は平身低頭に謝っていた。
しかし、どうもそれは販売店のミスやなく、通報者、この場合はユキオの意図的な言いがかりだと思ったので、強気になって態度を豹変させた。
その情報にもあるとおり、販売店側に理のあることなら、新聞社からのマイナス査定は避けられる。
そういうことやと思う。
ワシでも、前日の日付の新聞、それも折り込みチラシ抜きの新聞が投函されているという話だけを聞くと、それはあり得んやろうと考え、そのクレームの主を一応疑う。
新聞販売店の立場から言えば、そんな間違いをする方があまりにも面倒やし、またそうする意味がまったくと言うてええほどないさかいな。
当たり前やが、そうするためには、その配達人はわざわざ前日の新聞を残しておいて、翌日の配達時に持っていくということをせなあかん。
しかも、その新聞をユキオのマンションのポストに間違いなく入れとるわけや。
3日連続でそれがあるということは、配達員がしているとなると、そうするしかないわけや。
しかし、何のために?
販売店はおろか、その配達員にもそうするメリットが何もないのやないかと思う。
少なくとも、ワシには何も思いつかん。
あるとすれば、ユキオへの個人的な恨みや嫌がらせなんかが考えられるが、そうするのなら、投函するのは別に当日の新聞でもええわけや。
と言うより、むしろその方が、後で「間違えて配りました」という言い訳もできるし、とぼけやすいからな。
それに、そうすることが嫌がらせになるのかという疑問も湧く。果たして、嫌がらせをしようという人間が、そんなことを考えてするやろうかと。
普通、そういうことをされた人間は黙ってないから新聞社や販売店に文句を言う確率が高い。
このユキオのように。
そうなると、当然の事ながら、その配達員に責任が被ってきて、ほぼ間違いなく叱責されることになる。
今回の件にしても、ヨシモトはその配達員に対して叱責している可能性が高いと思う。
その配達員が、そうすることで標的であるユキオに与えられるのは良くて「気持ちが悪い」という精神的な負担くらいなもので、実害と言えるようなものはさして何もない。
それに比べて自身が被るダメージが桁外れに大きいというのは分かり切ったことやと思う。
それは「天に向かって唾を吐く」行為以外の何物でもない。
明らかに自分にハネ返ってくると分かり切った事を敢えてする者がいとるのかということや。
よほどのバカならいざ知らず、そんな間尺に合わんことをするというのは普通では考えにくい事やと思う。
それなら、他紙の配達員による、その配達人への嫌がらせという線はどうか。
近隣の新聞配達人、従業員同士というのは、仲のええ場合もあるが、勧誘などでぶつかり合うこともあってお互いが敵視しているというケースも多い。
配達時、相手のちょっとした仕草に腹を立て敵愾心を燃やす場合もある。
良くあるのが、年下とか新顔の癖に顔を見ても挨拶もせんというケースや。
せやからと言うて、その他紙の配達員が、ヨシモトの店の配達員を貶(おとし)めるためにそうしたと仮定するのも、かなり無理があるとは思う。
そうするためには、その他紙の配達員は、ヨシモトの店の新聞を確保しとかなあかんということがあるさかいな。
さらに言えば、狙いの配達員に罪をなすりつけるのなら、折り込みチラシは入っていた方がええ。
その方が、その販売店の仕業やと思わせる意味でも効果がある。また、それがあれば、その販売店も違うとは言い辛い。
今回の件にしても、ヨシモトが豹変したのは、その折り込みチラシが入ってなかったからやさかいな。
折り込みチラシが入っていれば、前日の日付の新聞というだけやと、おそらくヨシモトは何も言わず、そのまま引き上げていたはずやと思う。
折り込みチラシというのは、同じ新聞社系列の販売店毎でも違うということが結構多い。
大手のスーパー、量販店の折り込みチラシなら、その地域の販売店のほとんどに配布されるやろうが、個人商店や会社のチラシやと販売店により持ち込まれる所と持ち込まれん所とがある。
せやから、その折り込みチラシの状況を見るだけで、その販売店を特定することが、ある程度、可能になる。
同一地域の同系列の新聞販売店であっても、すべての折り込みチラシがまったく同じもので同じ数量になっているという確率は極めて少ないさかいな。
同業者がそれを知らんかったというのは考えにくい。
その折り込みチラシが入ってないということは、その販売店自体の存在自体を隠蔽しとるとも言えるわけや。
相手を陥れようとする者が、わざわざそんなことをする必要はないわな。むしろ、逆にその折り込みチラシを入れたままの方がその効果は高い。
もっとも、それは嫌がらせで行われたことやと無理矢理こじつけた前提での話やけどな。
本当にその他紙の配達員が嫌がらせをするのなら、ユキオのような無読者に対して、そんな面倒なことをするより、その配達員が配達している既存の配達先の家から新聞を抜き取れば済む話や。
その方が手っ取り早いし、効果も高い。しかも、実利も伴う合理的なやり方やと思う。
限りなく悪質ではあるがな。
そうすれば、その家の人間は、その販売店に「不配」として文句を言うやろうから、その配達員は確実に叱責され、評価が下がる。
加えて、その事実を抜き取った人間は知っとるわけやから、その家に新聞の勧誘に行くこともできる。
気分を害しとると思われるその客からやと、比較的容易に契約を取ることが可能になる。
実際に、そういうケースも、まれにあるさかいな。
そう考えれば、考えるほど、ユキオの言うてる事の方が怪しいとなるわけや。
それよりも、通報者が意図して某かのサービス品をせしめるために、そうしたと考えた方がはるかに自然やとなる。
そうやとすれば、前日の新聞を手に入れるくらいは、その新聞を購読しとる知人にでも頼めば簡単にできる。
その新聞を貰うよう頼んだ先では、その折り込みチラシが必要やったというケースもあるから、それをする方は、特に折り込みチラシが入ってなくても問題はないと考えて、それを抜いた新聞でもええとなる。
特に素人さんなら、そう考える可能性が高い。
それらの事から、ヨシモトは、『サービス品狙いの苦情を新聞社に通報する若い連中がいる』と聞いていたことで、即座にそう思い至ったわけや。
ふざけた真似をすると。
結局、ヨシモトはユキオに渡した映画の無料鑑賞券を返させ、「もう、こんな真似をせんとけよ」と、威圧気味に念を押して引き上げて行った。
収まらんのはユキオやった。
勝手に新聞を入れられた挙げ句、それはお前の自作自演で、押しつけられた映画の無料鑑賞券を狙った犯行やと決めつけられたんでは、たまったもんやない。
こういうのを理不尽と呼ばずして、何を理不尽と言うのかと思うた。
しかし、配達ミスではなく、販売店の預かり知らん事やと断言されると、一体誰が何の目的で前日の日付の新聞をわざわざ入れたのかと考えた場合、それも不安になった。
ユキオは、その怒りと不安に苛まされるのも我慢できんという思いから、サイトのQ&Aに相談メールを送ることにした。
はじめまして。いつも楽しく、また参考にさせていただいています。
実は……。
(中略)
というようなことがあったのですが、ゲンさんはどう思われるでしょうか。
そして、今後、新聞の投函が止まない場合、一体どうしたらいいのでしょうか。
腹立たしいのと情けない思いと心配とで、とても複雑な心境です。
どうか宜しく、ご解答をお願いします。
翌日、その回答を送った。
ただ、その回答の中には、今までの文中でワシが説明した部分も含まれているので、それを除外した部分だけを、ここでは書き添えとるので、念のため断っておく。
実際の回答は、もう少し長文になっとると。
回答者 ゲン
話を聞く限り、奇妙やと言うしかないな。
その新聞販売店の店長とやらは思い込みの激しすぎる人間のようやが、そう言いたい気持ちは分からんでもない。
ワシも業界の販売店事情から考えると、そこの配達員が、その新聞をわざわざ配達したという風には思えんさかいな。
その一番の理由は、そうすることでその販売店なり配達員なりが得をするとは、とても考えられんからや。
何かの出来事について考える場合、そうすることで誰が得をするのか利益を得られるのかという視点で範囲を絞って推理すれば、比較的簡単に真相に近づける事が多い。
普通、未契約の新聞が投函されるのは「てんぷら(架空契約)」というケースが大半なわけやが、その販売店には身に覚えがないと言う以上、それはあり得んわけや。
そうなると、当たり前やが、その販売店は集金することなんかできんわけやからな。
「てんぷら(架空契約)」をしている販売店が、その集金を自ら放棄するようなことを言うはずがない。
それに、金を貰うつもりで新聞の投函をしてたのやったら、当日の新聞、それもチラシ入りの新聞やなかったらあかんし、そうしとるはずや。
前日の日付の新聞を配って金にしようと考える販売店は、日本広しといえども皆無やろうと思う。
絶対と言うてもええくらい、あり得ん話や。
しかも、それをその店長のように自ら暴くような真似をするわけもない。
あんたは、その店長が許せんという気持ちなんやろうが、少なくともその店長は悪意があってそう言うたわけやないと思う。
誤解したためやというのは間違いないやろうがな。
そう考えて、気分も悪いやろうし許せんかも知れんが、分かるようやったら分かってやってほしいと思う。
ただ、裏を返せば、あんたはその新聞が投函されることで、その代金を支払う心配はなくなったと言える。
新聞販売店には宅配制度というのがあって、その新聞銘柄の配達は、その店長の店からしかできんと決められている。
せやからこそ、新聞社の苦情係も、その販売店に連絡して、その店長が来たわけや。
つまり、他の店の人間が「実はうちで配達した新聞やから、その代金を払ってくれ」と言うて来ることは100%ないということや。
その点では安心してええ。
後は、誰が何の目的で、それをしとるのかということになる。
ここからはワシの想像になる。
あんたへの嫌がらせ、あるいは配達人への他店からの嫌がらせ以外やと、単なる通行人の仕業ということもあり得る。
普通、オートロックのマンションで1階にある郵便受けには、外部から新聞なり郵便物が入れられるようになっとるはずや。
ということは、朝、そこを通る誰かが前日読んだ新聞を差し込んで行ったということも考えられる。
自身の家に新聞が溜まるのを嫌いゴミ捨てのつもりなのか、他に理由があってのことかは知らんがな。
しかし、そう考えるのも無理がある。
それが何であんたの郵便受けなのかということやと思う。
それやったら、当然やがそこには同じような郵便受けが並んどるから、別にあんたの所やなくても他のどこでも良かったわけや。
3日間も同じ所に間違いなく入れるというのは、どう考えても意図してそうする以外にはないと思う。
それに、いくら朝早くにそうしたとしても、その現場をそこの住人に見られる恐れもあり、それで咎められるかも知れんというのも普通は考えることや。
また、何より単にゴミ捨て感覚でそうする場合、通勤途中なら駅のゴミ箱、散歩中ならその地域のゴミ集積場に投げ捨てる方が、よほど安心で合理的やないかと思う。
たいていの人間なら、真っ先にそれを考えるはずや。
後、考えられるのは、そうすることで、誰かがあんたに対して何らかのメッセージを発しているということくらいやが、それはワシには見当もつかんことやから、悪いけど分からんとしか言いようがない。
これは参考として聞いて貰えればええが、新聞というのは読むだけやなく、単なる紙としても結構使い道のあるもんやから、残しておけば何かと便利に使えることもあるのやないかと思う。
これについては、旧メルマガ『第31回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■古新聞の利用法?』(注2.巻末参考ページ参照)というのがあるから見て貰えれば分かるはずや。
ここは視点を変えて、得をしたから貰うておこうと考えるのはどうやろうか。
もっとも、そのうち投函がなくなって、その新聞が役立つほどには集まらんかも知れんがな。
どう考えても、それをする方も日課にするとは考えにくいさかいな。
いずれにしても、あんたにとっては気持ちのええもんやないかも知れんけど、今のところ実質的な被害はなさそうやから、しばらく様子を見るのも手やと思う。
楽観的すぎるかも知れんが、そのうちそれはなくなるという気がするさかいな。
どうしてもと言うのなら、張り込んでその現場を押さえるという方法もある。その正体が掴めれば、その対処もしやすいやろうしな。
ただ、それをどうするかは、あんた次第や。
ワシとすれば、勧めることもなければ、止めておけとも言うつもりもないさかいな。
いずれにしても、今後も続きそうやったら、また連絡してくれたらええ。
もっとも、ええアドバイスができるかどうかは現状では何とも言えんがな。
その後、その新聞の投函が、一週間続いとるということや。
本来なら、その結末を待って、このメルマガで話すことが多いのやが、この段階で話したのは、果たしてこれには、その結末があるのかと考えたからや。
ユキオへの回答の中でも言うたが、その現場を押さえることくらいしか対処法はなさそうやが、後日、そのユキオからは、今のところ、そうするつもりはないという返事があったさかい、それは望めん。
結末が分かれば、そのときには必ずこのメルマガ誌上で伝えるが、それがいつになるかは何とも言えんというのもある。
ただ、答えのない推理クイズとして、それまでの間、考えるというのも、それなりに面白いのやないかとは思うがな。
参考ページ
注1.NO.239 契約していないのに新聞が投函されます
注2.第31回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■古新聞の利用法?
書籍販売コーナー 『新聞拡張員ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集』好評販売中
ホームへ
メールマガジン『ゲンさんの新聞業界裏話』登録フォーム及びバックナンバー目次へ