メールマガジン・ゲンさんの新聞業界裏話・バックナンバー
第8回 ゲンさんの新聞業界裏話
発行日 2008.8. 1
■MDN醜聞の波紋
過去の長い新聞の歴史の中には新聞社の失態、醜聞と言われる誤報記事やねつ造記事の類は数多くあった。
サイトへもそれを弾劾するかのような質問や意見が、たまに寄せられてくる。
その都度、ワシは、
誤報という間違いは、人間が関わっとる以上、あり得ることやと思う。
新聞やからあってはならんという意見は良く分かるし、ワシもその通りやと思うが、哀しいかな人間にミスはつきものや。
残念ながら、人間が関わるすべての現場でこれを回避することは不可能やと思う。これからも、新聞に限らず、こういう人的ミスは続くのは間違いのないことや。
ただ、新聞社は、それらの誤報に対しては、その過ちを認めて謝罪しとる。謝れば、それで済むというものでもないが、その姿勢は評価できるのやないかな。
過ちは即ち改むるに憚ることなかれ。という教えがあるように、本当の過ちとは、それを改めんことやと思う。それからすれば、まだましやということや。
と言うてきた。
しかし、昨今、ネット上で大きな問題になっとるM新聞社の英文サイト「Mデイリーニューズ(MDN)」上にあるコラム記事の存在を知ったことで、それも言い辛い雰囲気になった。
そのコラム記事には、日本についてのおよそあり得んような醜聞記事が全世界に向けて、さも事実であるかのようにおもしろおかしく掲載され続けてきたという事実が発覚したからや。
実に、2001年4月から2008年6月までの7年以上の長きに渡って、それが行われていたという。
これは新聞社が引き起こした過去のどんな不祥事よりも大きな出来事やないかと思う。
当のM紙の『英文サイト問題の経緯』と題した報告書には下記のような説明がある。
その一部を抜粋する。
掲載された記事には「料理、獣、悪徳とその愛好者」というタイトルで異常な性的嗜好(しこう)の話を取り上げたもの(07年9月)や、「古くから伝わる米の祭りでは、お肌に効果がある洗顔クリームが評判を呼んでいる」とい
うタイトルで日本の伝統的な祭りを性的な話題に結びつけたもの(05年12月)などが含まれていた。
エクアドルやベラルーシなど外国で日本人観光客が違法ツアーに参加しているという記事(03年7月)もあった。いずれも事実の裏付けもないまま翻訳して記事化していた。
未成年者の性に関する記事などを不適切に取り上げたり、翻訳元に掲載されている数字を算出根拠などを明確にせずに使用して誤解を招いたり、数人の女性のコメントから成り立っている雑誌の記事を「日本人女性の間で増えている」
といった表現で一般化するケースも確認した。
また、防衛政策を美少女キャラクターが登場する漫画で紹介しているという月刊誌記事を07年7月に取り上げた際、導入部の防衛省の説明に「真珠湾攻撃と南京大虐殺で世界に名を知らしめた政府省庁の後継」と加筆したケースが
あった。担当記者は「美少女とのギャップを浮かび上がらせるために書いた」と語った。
その手のものが他に2907本もあるという。
このM紙の発表以外のものも一応、紹介しとく。
ただ、悪いが一部のタイトルだけに止めさせて貰う。そのすべてを紹介する気にはとてもなれんさかいな。
それでどんなものか想像はつくと思う。
「小汚いパンティをはき続けるギャルから悪臭が立ちこめる」Reek rises as gals stick with stinky panties(2001年6月20日配信)
「ファストフードは女子生徒たちを性の激しい過食状態におとしいれる」Fast food sends schoolgirls into sexual
feeding frenzy(2002年6月19日配信)
「看護婦のトンでもない生活」Nothing trivial about livelihood of nurses(2003年3月14日配信)
「日本は増加するナイジェリア人たちの『楽園』となりつつある」Japan becoming 'paradise' to growing numbers
of Nigerians(2005年12月17日配信)
「日本の新しい国民的娯楽?パンティのぞき見」Japan's new national pastime? Panty peeking (2006年5月31日配信)
「風俗で働き、汚れていく教師たち」Teachers come not-so-clean on their sexy moonlighting
jobs (2006年9月16日配信)
ほとんどがこんな感じで、程度の悪い下ネタ中心のゴシップものが多かった。
こういうのは週刊誌にありがちなタイトルや。
実際、そのネタ元の記事は、月刊誌、一般週刊誌、写真週刊誌、男性向け週刊誌、女性向け週刊誌、夕刊紙の約30種から勝手に引用、または話を膨らませたものが多いということらしいがな。
その手の媒体で掲載された記事なら、読者も半ば誇張された胡散臭い話と承知で読む場合が多いから、同じような内容であっても、これほど問題になることもなかったやろうと思う。
少なくともその媒体自体がやり玉に挙げられることも、ほとんどなかった。
書く方は書く方で、その手の記事は単におもしろかったらええ、興味を引けたらええということでそうするだけのことやさかいな。
もっとも、そういう所に掲載された記事の内容を巡り、訴訟沙汰になるというのは良く聞く話ではあるがな。
また、ハナから話題性アップの狙いで掲載する側もそれを覚悟、あるいは計算の上でそうするのやという話もあるというのも聞く。
ワシなんかも暇なときにその手の週刊誌の記事を見ることがあるが、そういうものを読んでも「アホなこと書いとんな」くらいにしか考えんしな。
ある読者の方から、この件について意見が寄せられた。
その部分だけ抜粋して紹介する。
私が個人的に興味ありますのは、根も葉もない日本文化のゴシップが、どういう意図でもって作られたのか? という彼らの動機についてです。
昔、学生時代に、Cスポーツという、プロレス関係の話題が満載の新聞に、芸能関係の根も葉もないゴシップ記事がたくさん載っていて、嘘とわかっていながら、読み物として楽しんだ経験はあります。
今もそういうスポーツ紙があるのかどうは知りませんが、もしかしたら、海外のタブレット紙に至っては、日本よりも、もっとその割合が多いのかもしれません。
仮に、その手の読者が増えれば、媒体としての広告収入が上がるという素地があったというのなら、そういう記事を載せ続けたというのも、あながちわからないわけではありません。
ただ、そうだとすると、裏を返せば、そういった"ちっぽけな収入"のために会社の名誉ばかりか、新聞本紙の顧客までをも無くしている結果を招いたわけで、なんとも情けない話としか言いようがありません。
この方の意見は、まさにそのとおりやとワシも思う。
あくまでも、ゴシップ記事の洒落としてのものやったら良かったのやが、それが日本の三大新聞社の一つであるM紙のコラム記事として世界に堂々と発信されたというのなら話は違うてくる。
それを受け取る日本の事情にうとい外国の方は、M紙のネームバリューにより、その内容が胡散臭い話とは考えず、日本というのはこんな国やと思うてしまうさかいな。
そう受け取られても仕方ないような「日本の……」という具合に、一般論として書いとるものが目立つからよけいやと思う。
それでも、それが事実ならまだ仕方ない。
せやけど、それらの記事は何の裏付けを取ることもなく垂れ流されたもので、その上に誇張した表現まで加えられていたというのでは救われん。
一応、「記事は雑誌記事にもとづく」という断り文句があるにはあるが、その引用先の月刊誌からその掲載内容についてクレームをつけられとるという事実があるというのでは話にもならんわな。
やってた人間もそうやが、それに気づかず見逃していた、あるいは許していたM紙の管理責任は重い。
単なる失態で済む問題やない。
この方の『彼らの動機について』という疑問に関連して、時折、サイトの特別回答者をお願いしている元新聞記者のBIGINさんに、この件のご意見を伺ったので、それを紹介したいと思う。
M紙の件ですが、ちょうど検証記事がアップされてました(注1.巻末参考ページ参照)ので、これを前提に感じたところを書きます。
「そういう記事が書かれた経緯などをその記者さんの立場では、どうだったのか」というのがお尋ねの件ですが、
○Mデイリーニューズは紙媒体がなくネットのみ
○担当記者は外国人記者で編集長のような立場
ということであり、あまりに住む世界が違いすぎて、正直、推測もできません。
検証記事をざっと読んでも、よく分かりません。
「広告収入を上げよう」などの戦略的な動機があるとも思えません。
検証記事では、担当記者は常にMDNに関心が集まることを意識していた。
「母国での就職難のため来日した。仕事を失うことに恐怖感があり、MDNを閉鎖する言い訳を誰にも与えたくない」とも考えていたという。
「性的な話題を取り上げるとユーザーの反応がよかったので、そういう話題を取り上げた」とも述べている。
とあります。
しかし、だからといって、こういう問題視されるような記事を流しますかね。
会社に隠れてコソコソやるような部類のことではないですから…。
やはり、「担当記者が性的な話題をおもしろがることを心配する声もあった」とあるように、記者のそもそもの資質が大きな原因のような気がします。
こういう記事を書いても誰も何も言わなかったので、さらに調子に乗ったんじゃないでしょうか。
少なくとも、「M紙」の看板を背負ってるという意識は皆無だったと思われます。
個人的にいちばん気になるのは、会社がノーチェックだったということです。
検証記事にも少しありますが、普通の紙面作りは、
現場記者が原稿作成・出稿(→キャップ=現場しきり記者のチェックor支局デスク=支局次長のチェック)→本社デスク=部次長のチェック→整理部記者による見出し作成と紙面割り付け→校閲部記者と関係者全員によるゲラ刷りの最終チェック→降版・印刷
という手順を踏みます。
ネットで配信される記事については、校閲部チェックが入るのかは知りませんが、少なくとも本社デスクがチェックした上で流しているはずです。
要は、絶対に原稿がいろいろな人の目に触れるシステムで動いているわけです。
Mデイリーニューズがノーチェックだったというのは,信じがたい話です。
その理由を推測すると、
1.紙媒体がなく、ネットのみだった。(紙媒体情報をネットに載せるという流れなら,確実にチェックが入るはず)
2.M新聞本社が「Mデイリーニューズ」という媒体に関心も期待もしていなかった。(作る側読む側の規模は僅少であり、大したもうけが出てるとは思えない)(紙媒体廃刊後に将来へのわずかな展望とプライドで名前だけ残したようなもの?)
3.英文なので、簡単にチェックできない。
といったところでしょうか。
紙媒体ではちょっと考えられない状況です。
M新聞本社的には、デイリーニューズがへましても、大した影響はないだろうと思ってたんでしょうね。
問題が発覚した後も、KYなようですが…。
というものや。
今回のことは大袈裟に言えば、新聞業界始まって以来の大不祥事やと思う。
今更、いくらあれは間違いでした、誤報でしたと訂正したところで、一度そういう情報に触れた人にその認識を改めさせることは不可能に近いやろうからな。
当然のように、ネット上ではその悪い情報の方が拡がっとる。
新聞社は得てしてインターネットに関しては軽く考えるきらいがあったようやが、今回のことでその認識を大きく変えるきっかけにはなるやろうと思う。
それほど、この事件の波紋は大きいと言える。
それが故に当のM新聞社も、その非を公に認めてM新聞紙上の一面やWEBサイト上で謝罪しとるわけや。(注2.巻末参考ページ参照)
ワシの持論で言えば、謝って反省しとるのやから、それでええやないかと普通はなるのやが、事これに関しては、とてもやないがそう言う気になれん。
新聞にありがちな単なる誤報、ねつ造というレベルをはるかに超えとるさかいな。
BIGINさんが最後に言われた「問題が発覚した後も、KYなようですが…」という部分やが、それはワシも気になっていた。
謝罪文の中に時折、あれ? というような文面がところどころに出てくる。
『過去の記事を転載しているサイトなどが判明すれば、事情を説明し、訂正や削除の要請を続けていきたいと思います』とあるのもその一つや。
謝罪文の中に、こういう文言がなぜ入るのか理解に苦しむ。
現在、その過去データを調べるのはかなり苦労するとハカセも言うてた。
当のMDNのそのコラムの閉鎖と過去ログがすべて削除された上に、他サイトにもそう働きかけをしとるというのでは、この件について調べる方法が絶たれ、限定されてしまうことになるわけやさかいな。
その意味で言えば、M紙の思惑が成功しつつあるのかも知れんが、報道機関としてそれでええと考えとるのやとしたら、これはこれで怖い話やと思う。
穿った見方をすれば、証拠隠滅に奔走しとるとも受け取れるさかいな。
今だけ謝っていれば、いずれ忘れ去られる。証拠さえなくなればそれで済む。
ワシには、その意図が見え隠れして仕方ない。
新聞社の隠蔽体質を今更ながらに垣間見たような気がした。
しかし、ネットというのは、これはこれで一筋縄にはいかんところがあるというのも、今回のことで認識を新たにしたがな。
インターネット上には、キャッシュというのが残る。それを回収し、構築すれば元の内容がある程度復元できる。
また、海外のフォーラム、ブログなどで引用・転載されていた記事を集めることもできるさかい、それらをすべて消去することは不可能に近い。
それらを集めたサイトというのも存在する。
もっとも、そのM紙がそう広言しとる以上、そういうサイトの存在をここで明かすわけにはいかんがな。
ワシらの個人的意見やが、過去の過ちを過ちとして認めるのなら、そういうものを消去すべきやないと思う。
むしろ、新聞業界全体のこれからの教訓のためにも残すべきやと考えるのやが違うやろか。
取りあえずは、そういうサイトのおかげで、ハカセもかなりの数の関連記事を知ることができたということや。
当初、ハカセはその原文と和訳の幾つかを公開するつもりやったようやが止めたという。
もちろん、そのM紙の強制に近い要請のあることを恐れたからやないで。
万が一、そんなものがくれば、ハカセは意地になっても抵抗するやろうからな。
もっとも、このメルマガに書いてしまえば、その内容を削除しようにもどうにもならんのやけどな。
このメルマガを受け取ることになる個人のメールボックスにまでは、どんな力も及ばんさかいな。
ハカセが止めたという理由は、単にそれがあまりにも酷い内容で読むに耐えんものやったというだけのことや。
読者の気分を損なうことを恐れたからにすぎん。
それ以外にはない。
先に挙げたタイトルだけでも、どうしようかと迷うてたくらいやさかいな。
ただ、これに関しては、M紙発表のものだけでは説得力が弱いということで掲載したわけや。英文のタイトルと日付込みでな。
『インターネット上には、今回の処分とは全く関係のない複数の女性記者、社員個人の人格を著しく誹謗(ひぼう)・中傷する映像や書き込みが相次いでいる。M新聞はこうした名誉を棄損するなど明らかな違法行為に対しては、法的措置を取る方針でいる』
という一文も気になる。
これを書いた人間はよほど腹に据えかねたのやろうが、それはこういう謝罪文に挿入すべき内容やないやろうと思うがな。
これがあるがために、その謝罪の意志が薄れ、伝わりにくくなったのやないかと考えるのはワシらだけやないと思う。
人によれば反感を持つことも考えられる。
もちろん、そういういわれのない誹謗中傷に対して我慢しろと言うつもりはない。
悪いことは悪いと主張すればええ。
しかし、そうするのなら、その場を選んでせな、その効果が得られんどころかマイナスにすらなりかねんということを良う考えとかなあかんわな。
警告のつもりやとは思うが、そういう真似をする人間にそれは何の警告にもならんと思うで。
却って煽ることになるのやないかと危惧するくらいや。
インターネットの掲示板などの書き込みには、人に対して配慮する気持ちのない人間が多いのはワシも感じる。
そこまで言うかというのが多い。
今回のように、そうすることが正義やと、はき違えとる人間がいとるのも事実や。
はっきり言うが、何の罪もない人を貶(おとし)め誹謗中傷する正義というのは絶対にない。
ただ、その場合、M新聞社の意志として本気でそうするつもりなら、黙ってそうすればええだけのことやったと思う。
『名誉を棄損するなど明らかな違法行為に対しては、法的措置を取る方針でいる』ということ自体は、誰からも文句を言われることのない正当な行為なんやさかいな。
人に対してあらぬ誹謗中傷をし、それが法に触れることになるというのであれば、それなりの処罰を受けるのは当たり前のことや。
ただ、例えそうであっても、それを主張する場所を間違えたらあかんと思う。
それにより、さらなる窮地を招きかねんさかいな。
最後にもう一つ。
今回の事は表面的な謝罪で茶を濁して貰うては困るというのが、ワシの正直な気持ちや。
実際にそのM新聞を売って生計を立てとる販売関係者からの悲痛な叫びが、このサイトにも届いてきとるさかいな。
こういう問題があると、必ず現場の人間が、そのとばっちりを食う羽目になる。
あるM新聞拡張員さんから、
今日、叩いて(訪問)いたらお客さんから『お前ところの新聞社、ネットで大問題になっているからいらん』と言われました。
「どういうことですか」と聞くと、Hなネット記事をM紙がのせてるということでした。
その人には「そんなことも知らんのか」と言われましたが、ボクたちにはそんなネットの記事なんか見ないから分かりません。そんなに暇でもありませんし。
ボクらは一生懸命営業しているのに、つまらない問題は引き起こさないでもらいたいものです。
というのを頂いた。
あるM新聞販売店の方からは、
この頃、キャンセルや留押しができなくなっています。原因は、本社のネット記事にあると思われます。
示し合わせているのでは? と思うくらいネット記事のことを話題にされ契約を断る口実にされています。
いくら私たちが日頃、評判を大事にしていても、これではどうにもなりません。
どうにかならないですかね。
という意見が寄せられとる。
また、未確認情報ながら、この期にM紙の客を奪えという他紙拡張団の動きも活発化しとるという情報も届いとる。
これは、拡張の世界にはありがちなことやとワシも思う。
弱っている相手を叩けが鉄則の世界でもある。相手の落ち度がこちらの優位という考え方やな。
情けをかけて弱っている相手を食えなんだら、自分が食われる立場にならんとも限らんさかいな。
弱肉強食の世界や。
営業というのは、そういう非情な面がある。甘い世界やない。
ワシらのサイトは、M新聞関係の拡張員や販売店関係者の方たちに懇意にして頂き、協力して貰っているから、よけいそれが気にかかる。
その人たちには、今回のことに関して何の責任もない。
しかし、結果として最も被害と影響を被るのは、その人たちになるわけや。
そんな理不尽な話はないで、ほんま。
新聞社は、世間に謝った後は、その彼らにも謝罪すべきやと思う。
もっとも、それを期待しても無駄かも知れんがな。
過去にも新聞社の失態が幾つかあり、それで現場のワシらが煮え湯を飲まされる羽目に陥ったことがあったが、その新聞社からワシらへの謝罪というのは一切なかったと記憶しとる。
この騒動の波紋は他にもある。
この問題が大きくなった直後、M紙のWEBサイト上から多くの企業の広告が一斉に消えたという現象が起きた。
残ったのは、M紙関連の広告だけやったという。
ヤフーにアド・ネットワークというのがある。
複数のメディアサイトをネットワークして広告受注を請け負い、広告を配信するサービスのことをいう。
そこにM紙のWEBサイトも参加していたが、その他の広告主企業がネットユーザーから抗議を受けていることをヤフーに伝えた。
それにより、その広告の配信が一時的に停止されたことで、自社のみの広告だけしかなくなるという事態に陥ったわけや。
もちろん、これも前代未聞のことや。
この動きは、ヘタをすると新聞本紙にまでおよびかねん。新聞本紙から広告主がすべて逃げ去ったら大変なことになる。
まさに死活問題や。
いくら、M紙に不動産資産を中心とした数千億円という豊富な資金力や有力テレビ局を保有していて、今すぐの経営危機はないとは言うても、その広告主に逃げられたら、じり貧状態になり、いずれは廃業、縮小に追い込まれるのは目に見えとるさかいな。
今回の新聞紙面上やWEBサイト上で過去にないほどの謝罪をしとるのもそういうことからやろうと思う。
それで、やっと事の重大さに気づいたというところやろうな。
この事件の構図は、担当外国人記者にすべてを任せていてチェック機能がまったくなかったことによる暴走やったということになる。
まあ、何を書いても本社や上司からクレームがなければ、それで良しとしてさらに過激にエスカレートしていくのはありがちなことやとは思う。
実際、そのベテランの外国人記者も「読者を引き付けようとして、元の雑誌記事にない個人的な解釈を盛り込むケースもあった」と証言しとる。
さらに、「我々がやっている引用は許容範囲だ。単なる翻訳でなく、解説や説明も入れているから」と正当化していたと言う。
どうしようもない。
ただ、どういう理由からであれ、それらを包み隠さず公表したというM新聞社の真摯な姿勢が見えるのは評価できる。
但し、それはいくらワシらにそう見えても仕方のないことではあるがな。
この事件が許され、容認されるか否かのジャッジは、あくまでも一般読者に委ねるしかないのやさかいな。
それにしても頼むから、二度とこんなアホな事はせんといてや。
参考ページ
注1.英文サイト出直します 経緯を報告しおわびします
http://www.mainichi.co.jp/home.html
注2.2008年7月20付けM新聞紙面記事
http://www.mainichi.co.jp/20080720/kensyo1.pdf
書籍販売コーナー 『新聞拡張員ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集』好評販売中
ホームへ
メールマガジン『ゲンさんの新聞業界裏話』登録フォーム及びバックナンバー目次へ