メールマガジン・ゲンさんの新聞業界裏話・バックナンバー
第83回 ゲンさんの新聞業界裏話
発行日 2010.1. 8
■2010年からの新聞営業講座……その1 拡張の心得について
去年の2009年12月1日に『特定商取引に関する法律の改正法』が施行された。
これについては、『第3回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■『特定商取引に関する法律』の改正案成立について』や『第79回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■『特定商取引に関する法律』改正法は業界にとってのチャンスになる?』(注1.巻末参考ページ参照)でも触れとるので、詳しく知りたい方はそちらを見ておいてほしいと思う。
この法改正により、今まで曖昧な判断がなされていた「宅配便です」「古紙回収の者です」といった俗に「ひっかけ」と呼ばれる昔ながらの勧誘方法が完全に違法と判断されることになったわけや。
その根拠になるのが、その改正法第3条ノ2第1項の、「勧誘の意志の確認」で、
販売事業者又は役務提供事業者は、訪問販売をしようとするときは、その相手側に対し、勧誘を受ける意志があることを確認するよう努めなければならない。
というものや。
その身分を明らかにした上で、「これから、新聞の勧誘をさせて頂きますけど、よろしいでしょうか」と確認してからでないと勧誘したらあかんということになり、その目的をはぐらかせるような言動が禁止された。
これは努力規定ということになっていて、これに違反したとしても、特に罰則規定が設けられてはいないという理由で、当初、業界内には楽観論も流れたようやが、それは甘い判断やと言うしかない。
実際、勧誘の現場では、その違反行為を理由として契約が簡単に解除されたケースがすでに幾つかあると聞くさかいな。
努力義務とは言え、その手の勧誘は明らかな違法行為になるのは間違いないから、それがあるだけで、その契約の解除理由には十分なわけや。
そして、その事実を新聞社の苦情センターに言えば、ほぼ確実にそれを認める判断を下し、その販売店にそれなりの指示をするようマニュアル化されとるという。
そのため、ただでさえ厳しい勧誘がよけい難しいものになったと嘆く勧誘員の方たちも多い。
「これからどうしたらええのか」と。
特に「ひっかけ」を多用している人たちにその傾向が強い。
ワシも、その法律の施行前までは、「ひっかけ」のような勧誘は感心せんとは言うてたが、「止めておけ」とまでは言えんかった。
ただ、「先のないやり方やから止めといた方がええで」と言うに止めていた程度や。
その頃は、ワシもまさか法律でそれが禁じられるようになろうとは考えてもなかったが、先のないやり方は通用せんということが証明された形になったわけや。
もっとも、そう言うだけでも、それをやっとると思われる拡張員から「そんな甘いこと言うてたら拡張の仕事なんかできるわけがない」、「ガタガタ能書きたれんなや」という批判的なメールが送られて来るがな。
まあ、そのやり方がベスト、あるいはそれしかないと思うてのことやろうから、ある意味、必死なのは分かるが、ワシらにそれを言うてもどうなるものでもない。
気の弱い人間ならそれで萎縮するということもあるのやろうが、ワシらのような古狸が、そんな言葉一つで左右されることもないから、どんな罵詈雑言を浴びせかけても意味はない。
無駄や。
ワシなんかは少々の文句や脅しの言葉は、それこそ「カエルの面にションベン」程度でしかないし、ハカセに至っては「よほど辛い状況なのでしょうね」とその相手を同情しとるくらいやさかいな。
ワシからはそんな彼らに何も言うことはないし、相手にするつもりもない。好きにすればええ。
言うとくけど、ワシは何もすべての人に分かってほしいなどとは考えてない。
そんなことは絶対と言うてもええくらいあり得んことやさかい、分かって貰える人にだけ分かって貰えたらそれで十分や。
もっとも、ハカセはそんな人たちのメールにも一々丁寧に返信しとるようやがな。
「そんな人たちの中には、勘違いされている方もおられます」とハカセは言う。
最近の傾向なのか、その人の性質なのかは良う分からんが、そこに書かれていることを最後まで読まず、あるいは流して読み飛ばし、あまり理解することなく言うてくるケースが多い。
もっとも、それにはハカセの書く文書量が他のサイトやブログに比べて多いということもあるのかも知れんけどな。
例えそうやとしても、文句を言いたいのやったら、せめてそこに書かれとることくらいちゃんと読んでからにしろと言いたいが、まあ、それをするくらいの人なら、そんな節度のないメールを送ってくることもないやろうから言うても詮ないことではあるがな。
ただ、ハカセがそうすることで、中には「まさかメールが返ってくるとは思っていなかったので驚きです」と言われ、そこから理解を示して頂くようになり、後に貴重な情報を送ってくれるようになった人もおられるのやという。
敵視には無視というのも確かに一つの方法やが、ハカセのように、どんな関わり合いであってもそれを活かそうとするのも意義深いことやとは思う。
ワシには、できんことやがな。
拡張で、常に冷淡な態度、言動に晒され続けとるワシらのような者にとっては、敵視する人間は「ほっとけ」としかならんさかいな。
それで済ませてはそれまでやから、このハカセの姿勢には学ぶべき点があるとは思う。
「私の場合は単に好奇心が旺盛なだけで、そう言われる裏側に何があるのかと考えてしまい、そうするだけのことですけどね」と、ハカセ。
そうすることで百に一つでも、その未知の部分が分かれば儲けものやと。それが物書きの習性なのやという。
比較的ベテランの業界関係者に多い事に、その拡張団、新聞販売店で教えられた事、培ってきた事、知り得た事がこの業界のすべてやと思われているケースがある。
それ故に「拡張の仕事は特別や」と考え、勘違いしている人がおられるわけや。
拡張というのは、言うまでもなく「新聞を売る」ための営業なわけやから、何も特別なものやないのやが、それに気づかんのやろうな。
そして、それが嵩じるあまり世間一般の営業の考え方をも否定するようになり、他業種の営業法を勉強しようという意欲に著しく欠けるようになってしまうわけや。
それではあかん。
言うておくが、できる営業員というのはどの世界、業界でも、それはそれは研究熱心な人たちが多いもんなんや。
このメルマガの読者にしても何も新聞業界関係者の方たちだけが見ているのやなく、実に多方面に渡る営業関係者の人たちも数多く見ておられる。
保険業界、住宅リフォーム業界などの訪問販売業界の人は言うに及ばず、証券業界、医療関係の営業の方々も参考になるというメールを頂くことみあるさかいな。
これは何もワシの営業理論がええというより、僅かでもその役に立ちそうなものがあれば逃さないという貪欲さの現れやと思う。
そんな拡張員も皆無やとは言わんが、残念ながら少ないと言うしかない。特に他業種と一線を画しとる古くからの拡張員はな。
この業界は総体的に閉鎖的な世界やと思う。
それは大いなる勘違いから生まれたものに、ほぼ間違いない。
それでも、それが通用するうちは、まだ何とかなったのやが、時代遅れになった今では、そんなものに固執していてはどうしようもない。
いつの時代でもそうやが、時流に乗れん、適合できんものは滅ぶしかないさかいな。
サイトに『ゲンさんの勧誘・拡張営業講座』(注1.巻末参考ページ参照)というのがあるから、本来はそれを良く見てほしいと言うのやが、そこには「やる気のある人」だけに対してという前提のためか、その勘違いしている人への配慮に欠けていたきらいがあったようや。
加えて、それはすでに4年以上も前に書き示したもので、その頃と今とでは業界の状況も大きく変化しとるから、その幾つかは実用に即してないと感じているというのもある。
本来なら、それらを書き直せばええのやが、それよりも、このメルマガを見てくれている人が多いことから、ここでその補足と続編の意味を込めて「2010年からの新聞営業講座」と題したものを始める方がより効果的やないかと考えたわけや。
2010年という、ちょうど区切りがええと言うのと、去年の12月1日に『特定商取引に関する法律の改正法』が施行されたということで、新しい営業論を展開するには、ええ機会やと思うさかいな。
その第1回目が今回の「その1 勧誘の心得について」ということになる。
ただ、これについては建築屋で25年、拡張で15年の計40年以上と長く営業に携わってきたワシにとっては当たり前すぎるから、今更敢えて言うほどのことやないと考えとったのやが、勘違いしとる人にはここから話すしかないという結論に達したわけや。
分かっている人には当たり前すぎる事ばかりが並ぶが、再認識するという意味もあるので見て頂けたら、それなりに得られるものもあるのやないかと思う。
それでは始める。
拡張の心得について
1.拡張は営業だと認識すること。
「新聞の拡張は客に取らせる(講読させる)ことや」と考えている古いタイプの拡張員がいる。
そのためには何でもアリやと考える。そこに無理が生じてトラブルの原因となり、結果、自身の立場を危うくしてその行動範囲を狭めることになる。
負のスパイラル(連鎖)に陥る人の多くがそれやと思う。
これを純粋に「営業」だと思えば、「取らせる」のやなく「取って頂く」ということに考えが自然に向くはずや。
この差は大きい。
「取らせる」ためにできることは少ないが、「取って頂く」ためにするべきことは数限りなく存在するし、その方法をいくらでも編み出せるさかいな。
2.拡張は精神的(メンタル)なもので左右される仕事だと認識すること。
サイトのQ&Aに拡張について相談して来られる拡張員の方の中に対して回答した際、「抽象的などこにでもあるよるな精神論の回答ですね」と言われたケースがあった。
その方は非公開を希望されたから、その詳しい内容の記述は避けるが、その人に向けたワシの回答の一部を紹介する。
『上の人がみんな給料15万貰ってて良い方だと知った。以前は50万ぐらい稼ぐ月もあったらしいが、だいたい周りに成功している人がいないとだめだね。新聞の営業はだめだね』という現実を、その目で見ていれば、そういう疑問を感じられるのも無理ないとは思う。
たいていの拡張団には、飛び抜けた成績を誇るトップ拡張員というのがおるのやが、それがおらんというのは、ある意味、あんたにとっては不幸やったと言うしかない。
『1日3件取れることもあればゼロの日も。平均1日1.5件ぐらいかな。それでも上の人は君は凄いと言うし、嘘を言ってるようには思えない』というのが実状なら、はっきり言うて、そこの拡張団で続けていても、今以上に成績が伸びることはないやろうと思う。
あんたの言われるとおり、『新聞ではどうやっても、コンスタントに収入を得て成功するのは難しいでしょう。どう考えても稼げないのです』という結果にしかならん可能性の方が高い。
そして、そう考えておられる限りは、そこで終わる。
何でもそうやが、限界というのは、その人間自身が作り出すものやと思う。
その考え方を変えん限り浮かぶ瀬はない。
という部分で、先の『どこにでもあるよるな精神論の回答ですね』と返信して来られたのやと思うが、これなんかも勘違いの最たるものやと思う。
拡張に限らず営業職というのは、正にその精神を駆使することで成り立つ仕事なわけや。
勢い、その精神的(メンタル)な部分に左右される事が多くなる。
「あかん」と考えた時点で、いくら頑張ってもロクな結果を得られることはない。
反対に、「やれる」「いける」と思込めば、傍目からはどんなに厳しいと思えるような状況でも成約につながる可能性が高くなる。
そんなものや。
それを精神論云々ではダメだと考えるようでは、いくら続けても物になるわけがないというのが、ワシの持論でもある。
裏を返せば気持ちの持ち方次第で営業力はいくらでも向上するということや。
それだけは間違いのない真理やという自信がある。
3.拡張時の姿勢に気をつけること。
具体的には、そのバンク(販売店の営業エリア)に入った瞬間から営業モードにし、客と接するときは常に背筋を伸ばして緊張感を保つように心掛けとくことや。
これはそれほど難しいことではなく目線を常に前方に向けさえすれば、自然に背筋の伸びた姿勢になる。
人はその姿勢によって気持ちが大きく違うてくる。
背筋をシャンと伸ばせば気持ちもビシッとするし、反対にだらしない姿勢、服装、態度やと気持ちもそうなる。
当然、発する言葉や会話もな。
同じ言葉を発していても、その違いが雲泥の差となって表れる。
「こんにちは。○○新聞から来ました○○という者です」と、姿勢を正して明るくはっきりと言えば、それだけで確実に相手に与える印象度がアップする。
良く、新聞の勧誘と思われるだけで玄関口に出て来てくれんとボヤく人間が多いが、そういうのに限って、だらしないと思われる姿勢で客と接している場合が多い。
普通に考えて、印象の悪そうな営業員やと感じたら、誰も玄関を開ける気にはならんさかいな。
確かに、営業そのものを嫌っている人は多いから、それと知られるだけで敬遠して出て来ない場合も多いが、すべての人がそうやと言うわけでもない。
かなりの人は、覗き穴、インターフォンのカメラなどで、その勧誘員を観察して出るか出ないかの様子を窺っているケースが多いのが実状やと思う。
第一印象が良ければ確実に出てくる確率は上がる。
また、その姿勢が正しければ実際の会話に入っても会話がキビキビしてメリハリもつきやすく、トークに迫力も出て説得力が増すという効果が期待できる。
この説得力というものは、何も言葉だけではなく、その声の調子からにじみ出てくる人間性も影響すると知っておいてほしい。
同じ言葉発していても違うというのは、そういうことやと。
4.相手(客)の立場に立って考えること。
拡張員に限らず、これの苦手な営業員は多い。
契約を上げたい一心で、どうしても自分本位になりやすいというのは分かるが、それでは結果として成約にこぎつけられる確率は低い。
特にワシらのような訪問営業の多くは何のアポイントも取らずにいきなり相手宅に押しかける仕事や。
その一点だけでも相手の都合を無視して、その時間を奪うとることになる。
それを「わざわざ来とんのやから話くらい聞けよ」という姿勢と態度では、ひんしゅくを買わん方が不思議なくらいやと思う。
最低限度、迷惑をかけるのが拡張の仕事やという認識を持っていれば、そういう態度にはならん。
何事も相手の立場に立って、その目線で見れば理解できることも多い。
そのためには、その相手に自分を置き換えて考えるという訓練を常にすることや。
もっとも訓練と言うても、拡張員になる前は、たいていその一般人やったはずやから、そのときの気持ちを思い起こせばそれでええんやけどな。
それがあれば、目の前の客には、どういったアプローチが有効かというのは自ずと見えてくるはずやと思う。
ところが、それが自分の仕事となった途端、契約ほしさにそれを忘れて見えんようになってしまうケースが多い。
5.第一印象を重要視すること。
一般的な営業の指南書では最初の10分間で、その相手(客)とうち解けろと教えとるが、残念ながら新聞営業には、そんな余裕は与えられん。
また、他業種のように名の通った企業名さえ言えば信用されるということもない。
事、新聞営業に関して言えば新聞社のブランド名は、ほとんど役に立たんと言うてもええくらいや。
新聞の営業そのものが多くの場合、マイナスイメージでしかないさかいな。
普通にやっていたんでは「新聞の営業に来ました」と言ってから、「結構です」と断られるまでに、ものの数秒ほどしかかからん。
『3.拡張時の姿勢に気をつけること』のところで『かなりの人は、覗き穴、インターフォンのカメラなどで、その勧誘員を観察して出るか出ないかの様子を窺っているケースが多いのが実状やと思う』と言うたとおり、玄関のインターフォン、あるいはノックをした瞬間から、その勝負は始まっていると心得とくことや。
常連の客にならいざ知らず、新規の客に対しては最初の出会いがすべてを決すると言うても過言やない。
その一瞬に自分自身を売り込むことに全力を傾けるしかない。
ただ、そうは言うても、そのことに意識を集中するあまり堅くなりすぎてもあかんがな。
具体的には、最初にジョークを交え笑いを取ることが効果的な場合が多い。あるいは言葉巧みに雑談に誘い込むかやな。
要するに、まず客とうち解けるように心掛け、売り込むのはその後くらいでええと考えることや。
ジョークについては『第167回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■ゲンさんの拡張ジョーク集 Part1』および『第175回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■ゲンさんの拡張ジョーク集 Part2』、『第68回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■新聞の勧誘ユーモア&ジョーク集 Part 1』(注3.巻末参考ページ参照)あたりが参考になるやろうと思う。
雑談に関しては、『第13回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■ゲンさんの勧誘実践Part 1 雑談から』や『第188回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■ゲンさんの話し方教室 その3 雑談の切り出し方について』(注4.巻末参考ページ参照)なんかが役に立つはずや。
それらを参考にすれば、それぞれで面白いものを作ることができると思う。
極端なことを言えば、相手を笑わせることが成約に最も近づける方法やということや。
6.常に笑いを絶やさないこと。
この笑うことの効用は、『新聞勧誘・拡張ショート・ショート・短編集 第3話 命の笑い』(注5.巻末参考ページ参照)の中でも言うてるが、相手への印象度が高まるだけやなく、笑う人間の気持ちも良くなり、自然に気持ちがええ方に昂揚して積極的になれる。
また、その笑顔を向けられるだけで、その相手側にはドーパミンという快感を伴う脳内物質が分泌されることが科学的にも実証されているから、人のためにもなるわけや。
さらに、笑う人間自身の健康にもええ。
人は笑うことで身体の毒素の大部分を吐き出すと言われている。
その毒素の多くはストレスというもので、これが溜まると、ありとあらゆる病
気を引き起こす要因となる。
うつ病などの精神疾患は言うに及ばず、癌や生活習慣病の脳卒中、心臓病、糖
尿病なども、そのストレスが大きく影響する。
ストレスが溜まると免疫力が低下して病気になりやすい体質になるというのは、今や医学の面からだけでなく世間一般の常識になりつつある。
高価な薬を用いずとも、「笑い」でそれらの病気を予防、改善できるというの
やから、笑わな損やわな。
本来は心底面白くて笑うのが一番ええのやが、例え作り笑いやったとしても相手にはええ影響が出やすいから、無理してでも「笑う」ということは常に心掛けおくべきやと思う。
7.人間関係の構築と継続に留意すること。
新聞勧誘は新聞を売り込むな。それよりも、自分を売り込め。
これが、ワシの基本的な考えや。ワシの究極の目標は「あんたに頼まれたらしゃあないな」と客に思わせることやさかいな。
そのためには、その客に信頼されなあかん。そのための方法は無尽にある。
このメルマガやサイトでは常にその話をしとるから、一々引用はせんが、暇なときにでも見て貰うたら分かって頂けるのやないかと思う。
また、この『2010年からの新聞営業講座』シリーズで今後も、そのことに触れる機会もあると思うので、それなりに期待して貰うてもええがな。
この人間関係の構築というと、瞬間的に拡張しているときにだけ、そういう雰囲気に持っていくと思われている人もいとるが、それだけでは不十分や。
例え、その客から契約が取れ、拡張員の手を離れたとしても、その付き合いを継続していれば「紹介」して貰えるということも起きる。
契約が取れたら終わりという考えでは、そういう客は絶対に得られん。
ワシ自身、この「紹介」して貰うということで、ここまでやって来られたと言うても過言やないさかいな。
新聞販売店からは、ひんしゅくを買う場合もあるが、交代読者の確保はそういう考えから推奨しとるわけや。
特定の新聞のみを長期講読しとるような読者も、その考えで相当数、その交代読者に移行させたという自負もあるしな。
当たり前のことやが、人間同士、ええ付き合いを続けていて損はないということや。
8.覚悟を決めること。
拡張員の風評は最悪と言うてもええくらい悪い。
拡張員が来たというだけで、毛嫌いされることも多いさかいな。
拡張員は世間から嫌われ蔑まされとるということを、まず認識しとかんとあかん。
それは、この仕事をどんな事情からにせよ自ら選んだ以上、仕方のないことやと。
いくら、ワシは何も悪いことなんかしてへんでと言うても、世間の認識がそうである以上、どうしようもない。
それに耐えるというのもええが、それより、そんなものやと覚悟を決めることやと思う。
そうすれば、ある程度の罵声や冷淡さには我慢できるやろうし、自分はそうやないと相手にアピールもしたくなるから、自ずと熱のこもったトーク、説得になりやすい。
それが相手には情熱として伝わることがある。
心配せんでも世の中は、そう捨てたものやない。
昔から「捨てる神あれば拾う神あり」という諺(ことわざ)にもあるとおり、分かって貰える人は必ずいる。
そう信じることや。
9.不法行為には手を染めないこと。
不法行為、違反行為に走る者は、総じて安易にそうするケースが多い。
それが契約を得る近道やと勘違いしてな。
しかし、それは先の『特定商取引に関する法律の改正法』に代表されるように、そうすることで様々な法規制が作られ、結局はその不法行為、違反行為に走る者自身に跳ね返ってくるわけや。
実際、この業界では、そういった人間の追い出しが本格的に始まっているし、ベテランの再就職も厳しい状況にあるのが現状やさかいな。
こういうことを、このメルマガやサイトを始めた5年ほど前に言うてたときには、「何を言うとんねん。そんな甘いことで拡張ができるか」と業界関係者から非難されたこともあったが、今は、そのときに言うてたとおりになりつつあるということもあり、理解を示してくれる人も多くなったと思う。
要は、客に対して迷惑はかけない、一歩進んで客のためにできることは何かないかと考えるようにすることや。
そうしておけば不法行為、違反行為とは縁遠くなり、どんな法規制が布かれようと怖がる必要はないさかいな。
以上が、ワシの思いつく拡張する際の心得というやつやが、大体これくらいのことが分かっていればええ。
もちろん、これ以外にも重要なこと、心掛けることは幾つもあるが、それはこれから、おいおい加えていくつもりやさかい、楽しみにして頂ければと思う。
参考ページ
注1.第3回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■『特定商取引に関する法律』の改正案成立について
注2.ゲンさんの勧誘・拡張営業講座
注3.第167回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■ゲンさんの拡張ジョーク集 Part1
第175回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■ゲンさんの拡張ジョーク集Part2
第68回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■新聞の勧誘ユーモア&ジョーク集Part 1
注4.第13回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■ゲンさんの勧誘実践Part 1 雑談から
第188回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■ゲンさんの話し方教室 その3 雑談の切り出し方について
注5.新聞勧誘・拡張ショート・ショート・短編集 第3話 命の笑い
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