メールマガジン・ゲンさんの新聞業界裏話・バックナンバー
第84回 ゲンさんの新聞業界裏話
発行日 2010.1.15
■2010年からの新聞営業講座……その2 拡材について
新聞勧誘の特殊性の一つに拡材サービスというのがある。
これなくしては、新聞勧誘そのものを語ることができんと言われとるほど重要なものや。
拡材というのは、その名のとおり、「拡張(勧誘営業)するための材料(景品サービス)」のことで、主に新規や再契約の購読客に渡すものとされている。
拡材なしでは、新聞営業は成り立たん。それが、この業界関係者共通の認識でもある。
そのルーツは古い。
新聞の普及率がまだそれほどでもなかった戦後の昭和20年代から、本格的に拡張員による新聞の勧誘が始まった。
今から、60年以上も昔のことや。
一般の企業では自社の社員が中心になって営業する。
そのための営業部というのがあり、多くの場合、そこがその企業の花形部署とされている。
ところが、新聞業界では購読者確保のための営業は、多くを業務委託という形で外部に任せる仕組みになっている。
その初期の頃において、新聞各社はその販売拡張をヤクザ組織に委託していたということがあった。
それには、当時、まだ戦後間もないという状況にあり日本全体が疲弊していて、新聞各社もその例に洩れず、その営業のための人員を確保する経済力がなかったということが大きかった。
それでも新聞を広めたいという気概だけはあった。
そこで、ある新聞社が一計を案じたというわけや。
その頃の訪問販売というのは、ヤクザ、ヤクザまがいの連中がやっていた押し売り営業が主体の時代やった。
新聞社が、そのヤクザを使うという発想も、今やったらとんでもないことやと非難されるやろうけど、その当時、それを使うのが一番、手っ取り早いと考えたわけや。
その管理を新聞社がすれば、問題はないと踏んだ。
そのためかどうかは定かやないが、ある新聞社は、その管理に元警察官僚を使っていたと聞く。ヤクザを抑えるのは警察官という発想なのやろうと思う。
短絡的と言えば、あまりに短絡的な思考やがな。
新聞各社はヤクザ組織にその営業会社を興させるよう支援した。
それには、膨大な数の営業員を使えることが可能になったということがある。
その営業会社が、いわゆる「新聞拡張団」と呼ばれとるものや。それが、全国各地で爆発的に増えた。
業務委託契約を交わせばええだけやから、その手の組織はナンボでも集まった。
それが、新聞の部数が飛躍的に伸びた一因でもあったわけや。
終戦後の昭和20年には、日本の新聞総発行部数は1400万部ほどやった。
それが、拡張団の本格的な勧誘の開始により、昭和27年には2200万部に増え、昭和40年頃には3000万部、昭和50年過ぎ、4000万部、昭和60年前後、5000万部と順調な伸びを見せた。
この背景の裏には、新聞各社の熾烈な競争がある。
どの業界でも、日本一ということを目指していた時代やったから、新聞社がそうしていたとしても、何の不思議もない。
特に新聞の場合は、その影響力が大きいさかいよけいやった。
業界人にとって、そのトップに君臨することは、天下を取るほどの値打ちがあると考えられた。
それ故に、その競争も尋常やなかったと容易に想像できる。
スタートがそれやから、どうしても、その流れを受け継ぐ拡張団の営業は脅しなどによる強引な営業が目立つようになる。
ただ、いくらヤクザでも、脅しや強引なだけでは、そうそう契約が取れるもんやない。
そこで登場するのが拡材ということになる。
これは、アメとムチを巧みに使い別けるというヤクザ特有の常套手段やった。
脅しというムチを使いながら、一方では拡材という甘いアメで誘い、徐々に購読客にそれを浸透させていった。
そして、今では新聞の購読契約をすると、その拡材サービスがあるのは当たり前という風潮が定着した。
それが、ほぼ60年近く、つい数年前まで公然と言うと語弊はあるが、少なくとも容認されたような形で続けられていたわけや。
それが、ここ5年ほどの間に大きな変化が生じるようになった。
それには、ここ10年ほど前からのインターネットの急速な台頭と共に、若い世代を中心とする新聞離れや、日本の人口の減少などにより、緩やかではあったが、それまで右肩上がりやった部数が減少に転じ始めたというのが大きいと思う。
また、そんなヤクザ任せの訪問営業が、いつまでも容認されるはずもなく、必然的に様々な法律が作られ規制されるようになったというのもある。
もちろん、その規制は訪問販売業界全体としてのものやが、新聞のそういった勧誘行為にもその責任の一端があったのは確かや。
新聞業界に関係の深い法律として、「消費者契約法」、「景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)」、「 特定商取引に関する法律」などが次々と作られ、「個人情報保護法」なども近年になって整備された典型的な法律で、勧誘員の足枷となっているもんや。
これに加えて、新聞の場合は、「新聞業における特定の不公平な取引方法(特殊指定)の公示」、俗に「新聞特殊指定」と呼ばれるものもある。
そして、何より、新聞各社が、それらの法律を遵守するという名目のもとに勧誘員に対して規制、監視を強め始めたという事が大きい。
それには、新聞勧誘の評判低下による企業からの新聞紙面への広告掲載依頼の減少傾向に何とか歯止めをかけたいという思いがあるのやと考える。
また、これ以上、ロクでもない勧誘員たちに好き放題されては、常に公正取引委員会が画策している「新聞特殊指定」外しに抗しきれんようになるという危惧もあるのやと思う。
勧誘員を締め付けて動きを規制すれば、その分、部数の獲得や維持が難しくなり、部数減がさらに加速する懸念がある。
新聞各社も長年それで部数を増やし続けてきたわけやから、それが分からんはずはない。
それでも断行しようという流れになっている。
それに抵抗する拡張団は潰そうと。
実際、ある新聞社と拡張団の交わしている「業務委託契約書」には、その契約解除の条項の一つとして「暴力団関係者との関わり合いがあったと認められた場合」というのが掲げられとる。
実際、それを理由として廃団に追い込まれた拡張団もあると聞く。
これは、当初、ヤクザ組織としてスタートした拡張団が徐々に様変わりして、現在では普通の営業会社が大半を占めてきたということが大きいと思われる。
それには、数年前から、この業界には昔ほどの旨みがなくなって、そのヤクザ組織が大量に離れていったというのがある。
事実、その経営を維持するのが、やっとという新聞拡張団が多いさかいな。
そういった組織が離れれば抵抗も少なくなるから、よけい切りやすくなる。
目に見える動きとしては、多くの拡張団がその営業員を雇う際、昔は経験者や実績のある者を優先して採用していたのが、未経験者主体の募集に変わってきたということが挙げられる。
経験者は敬遠されるケースが多くなった。
それには、過激な部数獲得競争、新聞普及率の頭打ち、若者の新聞離れ、人口の減少、長引く不況などの複合的な要因により契約の獲得が難しくなったということもあり、「爆カード」と呼ばれる業界の禁止行為が目に余る状況になったためと考えられる。
「爆カード」については、サイトのQ&Aの『NO.81爆カード廃止の取り組みについて』(注1.巻末参考ページ参照)見て貰えれば分かるが、要するに契約を取るために異常な景品サービスに走る勧誘員が増加したわけや。
ひどいのになると、「タダになりますから」とその購読料金分に匹敵する金銭を客に渡すケースや毎月の支払いはその勧誘員自身がすると持ちかけるケースなんかがある。
また、そこまでやなくても、販売店が決めた景品付与の上限をはるかに超えたサービスを平然とするケースもある。
それらを称して、「爆カード」と呼んでいるわけや。
それが原因のトラブルがサイトのQ&Aにはかなりの数あるので見て貰うたら、その実態が良う分かるやろうと思う。
それに業を煮やした、新聞社と販売店が、その手の勧誘員に対して締め付けを始め、拡張団もそれに追随したという形になっている。
ベテランほどその手口を使う確率が高いということで、拡張団が経験者をなるべく雇わず未経験者中心に採用するようになったのには、そういうわけがある。
特に、関東方面でそれが顕著になった。
2007年4月からの関東方面でのA紙とY紙による金券廃止の通達などがその最たるものや。
それが現在、徐々にその他の地方に拡がりつつある。
サイトのQ&A『NO.782 サービスの正常化規制は本当に実行されていくと思いますか??』(注2.巻末参考ページ参照)では、関西地区を中心に、中国・四国地区で活動をしている拡張員の方からの相談がそれを如実に示している。
拡材頼みの営業でやってきていた現地班はどの組織も軒並み業績が悪化し、所属する拡張員も人数が激減しているらしいです。
そんな中、9/17(2009年)の新聞に、関西地区新聞を発刊する7社が、サービスとして新聞公正競争規約で上限とされている約2000円を違反しているところに対して、早急に是正する必要があり、ルールの遵守状況を地区ごとに毎月点検する旨の共同声明が出されました。
6・8ルールに乗っ取ってやっていくということでしょうが、今までにない社側の本気の姿勢を感じています。
と、その相談者が言われていたのが、それや。
その回答のなかで、ワシは、
これに似たようなことは過去にも何度かあった。
そもそも、『6・8ルール』が作られるまでは、業界としては景品付与は原則禁止やったわけやさかいな。
形の上では、それが規制されたというより、緩和されたわけや。
もっとも、その頃は、サイトの『拡張の歴史』(注3.巻末参考ページ参照)でも言うてるとおり、かなり行き過ぎた状態になっていたから、その法律を作ることにやっきになった新聞社各社からの販売店への通達が、その規制と受け取った者は多いやろうけどな。
しかし、その手のものは、たいてい、その時々のかけ声倒れであまり効果があったとは言えんかったものはかりや。
多少、効果があったと考えられるのは、その当初だけと違うかな。
今回もそうなるかどうかというのは何とも言えんが、あんたの言われる『6・8ルールに乗っ取ってやっていくということでしょうが、今までにない社側の本気の姿勢を感じています』というのは、ワシとしては、もう一つ信用できんという思いにはなる。
と言うてたが、どうもその予測は甘かったようで、ここにきて、かなり徹底され始めとるようや。
ある新聞社の山陽地方では、拡材としてタオル1本しか持たされんというケースもあると聞く。
まあ、それは行き過ぎた特殊なケースやと思うが、業界で『6・8ルール』と呼ばれる新聞専用の景品表示法を厳守させようという動きが本格化しとるのは確かやと思う。
それには、新聞社が快く思わんということもあるが、それ以上に経営の苦しい新聞販売各店が、そうする以外に生き残る術がないと考えたというのが大きいのやないかと考える。
部数減に歯止めがかからず、折り込みチラシの依頼も減少傾向が続く現状では、できるだけ景品サービスの出費は抑えたいと。
新聞各社、販売店、拡張団などがそれに足並みを揃えるのなら、所属の勧誘員はそれに従わざるを得ない。
まあ、それでなくとも『爆カード』と呼ばれるようなアホな契約は取ってくるべきやないわな。
もちろん、そんな真似をしとるのは、ごく一部やとは思うけど、そのおかげで勧誘員全体が、こういった締め付けに遭うわけや。
ワシがメルマガやサイトで常に、そういった行為を批判、糾弾してきたのは、それを恐れたからやった。
これに対して、「そんなんやったら契約は取れん」と嘆く向きが多いが、工夫次第ではいくらでも、それに合わせることはできると思う。
今回、『2010年からの新聞営業講座……その2 拡材(景品・サービス)について』と題して話すことにしたのは、それを分かって貰うためやさかいな。
普通に仕事をする場合、勧誘員は拡材に金をかけることも用意する必要はない。
拡材は販売店が用意するものやからやな。勧誘員は、その指示を守ればええわけや。
ただ、それだけやとサービスが激減することになり客から異論や不満が噴出し、「それなら新聞はいらん」と断られるケースが実際にも多いと思う。
それを回避するには、金をかけずに客を喜ばせ、納得させる方法を考え、気に入るサービスを提供すればええということになる。
そんな便利な方法があるのか?
ある。
それについては、このメルマガやサイトで過去、幾度となくその話をしているはずや。
今回は、それらをここにまとめて紹介するので、その参考にして頂けたらと思う。
ただ、個人として勝手にそうするというのが難しいというものもあるので、そういう場合は、その販売店の経営者と相談してほしい。
その協力が不可欠やというのもあるさかいな。
まあ、あまり金をかけずに客を効果的に確保できる方法やと言えば、無視されることはないとは思うがな。
金をかけずに済む拡材サービス方法のあれこれ
1.経験を役立てる。
新聞の勧誘員になる者の多くは、他の仕事からの転職やと思う。
高校や大学からの新卒者の就職希望というのも皆無やないかも知れんが、他企業と比べれば極端に少ないはずや。
他の仕事からの転職の場合、その仕事の内容次第でその経験を活かせる場合がある。
それを考え、利用する。
ワシは以前、建築の仕事に携わっていて、それを活かせた経験が実際にある。
それでこの方法を思いついた。
旧メルマガ『第14回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■ゲンさんの拡張実践Part2 経験を役立てろ』 の中でそのことに触れている。
この中で、大型台風のあった翌日、ある民家の主人が強風で飛んだガレージの波板を直そうと悪戦苦闘していた現場に遭遇したという話をした。
住宅リフォーム会社を経営していたワシにとって、その波板を直す程度は造作もないから、手伝って喜ばれた。
そのとき、その客が謝礼をしたいということやったが、押し問答の末、結局、以前講読していた新聞をワシの勧誘する新聞に切り替えてくれるということで落ち着いた。
このことでワシは、その経験を新聞勧誘に活かせるのやと知った。
これは、ワシ自身にとっても金のかかることやなく、客も業者に頼むより格安に上がったということで喜んで貰えたから、今回のテーマには持ってこいの方法やと思う。
これの活かし方については、それぞれの前職での経験、習熟度によっても違うが一考の価値はあるはずや。
それが可能ならば、極端な話、通常の拡材などなくても勧誘できると思うさかいな。
2.オリジナリティのある拡材を用意する。
多くの新聞販売店が嫌う拡張合戦に突入するのは、同じ景品・サービスで競争しようとするからやと思う。
その場合は、その多い少ないでサービスの善し悪しにはっきり差がつくから、どうしてもその競争がエスカレートしやすい。
現在の状況は、まさしくこれやと思う。
オリジナルティがあって、他があまりしないサービス、手に入りにくい希少価値の高いサービスであれば、例えそれが安価なものであっても効果的な場合が多い。
その実例を紹介する。
●ネズミ獲り機。一般ホームセンター価格で千円前後。
これは、サイトのQ&A『NO.15 サービスの景品について教えて下さい』 で話したもので、なかなかユニークなものやった。
ある販売店からこのネズミ獲り機を持って行けと言われた。
当初、こんな物は拡材の役に立たんやろう思うて渋々持って行って拡張したわけやが、ワシが行った家で、話し込んでる内にその家がネズミに悩まされとると言い出した。
結果、そのネズミ獲り機でネズミが捕れたら、新聞の契約をしようということになった。
翌日、あんまり期待もせんとその家に行くと、なんとでかいドブネズミが罠にかかっていた。
それで、その家とは難なく契約できた。
ワシは試しにとその近辺をネズミ獲り機だけで営業をかけてみた。今度は、ネズミを捕まえた実績があるから強気や。
すると立て続けに10軒ほど契約が取れた。皆、ネズミに悩まされてたわけや。
ワシはその販売店の所長を見直すと同時に大事なことをこのことで教えて貰うた。
拡材は、必要な時に必要な人間に用意するもんやと。
▼ネズミ捕獲かご 角型ネズミ捕り販売参考サイト
http://store.shopping.yahoo.co.jp/kaiteki-club/013.html
●しめしめ45 文具 一般ホームセンター価格二千円前後。
これは、ある読者に教えて頂いた情報や。
新聞やケーブルを簡単に束ねられるというふれ込みの代物で、その他にも結構利用価値のあるものやと思う。
▼【文具王】気分は“必殺仕事人”!? 新聞やケーブルを簡単に束ねられる「しめしめ45」参考サイト
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20091119/1030320/?P=1
ここで言いたいことは、購読者が役に立ちそうな商品を探すということや。
その目で探せば、それぞれがオリジナリティのあるものを探せるのやないかと思う。
3.特定の場所でしか入手できないもの
メルマガ『第9回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■営業の雑談に使えるUSJの話』(注4.巻末参考ページ参照)の中で、「すぱいだぁ麺」というカップ麺を紹介したことがある。
これは、USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)のテーマパーク内にある『アメージング・アドベンチャー・オブ・スパイダーマン・ザ・ライド』というアトラクション横のショップで売っていたキャラクター商品の一つや。
さすが大阪人の考え出した、こてこてのオヤジギャグ的発想の商品やがこれは受ける。
そう直感した。
哀しいかな、ワシには、いつどこで何をしていても営業員としての性(さが)を捨て切れんという因果な性分がある。
その因果な性分が、これを拡張の拡材に使うたらどうやと考えさせた。
その「すぱいだぁ麺!!」はスパイダーマンの絵柄入りの細長い箱に3個入って900円。
単に食うだけやと高い気もするが、拡材にするのなら手頃な価格や。
カップ麺自体は、どこにでもありそうな醤油味で、そこそこ美味い。しかも、ナルトの模様がスパイダーマンになっとるのがふるっていて面白い。
それを帰りがけに20ケースほど買った。
後日談やが、僅か3日でそれがなくなった。その分、すべてで成約になった。
今更やが、拡材は何も金をかけるだけが脳やないとつくづく痛感した。
いかに客受けのする物を探し出すかやと。
もっとも、そのアトラクションの内容を身振り手振りで面白おかしく話す雑談の技量も多少は必要やと思うがな。
現在は、これに加えて「スヌーピー」のオリジナルカップ麺「すぬーどる」というのも発売されとる。
こちらも、オリジナルデザインの紙ケースに4個入りで販売価格は900円(税込)とのことや。
これらは、そのUSJのショップでしか売ってない商品やが、入手できれば、その効果は高いと思う。
関東方面なら、ディズニーランドなどのキャラクター商品なんかがええのやないやろうか。
他にも、その気になって探せばいろいろ見つかるはずやと思う。
4.狙いの客の趣味に合いそうなものを用意する。
ワシは、マンションのオーナーとか管理人と懇意になる場合が多い。もちろん意図的にそう仕向けとるわけやけどな。
その際、もっとも効果があったのが書籍やった。
事前に雑談などで好きな書籍を聞き出し、古本屋などで探して拡材代わりにするわけや。
これは値段以上に喜ばれる。上手く行けば100円程度で落とせる可能性すらあるさかいな。
もっとも、そのために金はかからんでも、それを探さなあかんから手間暇はかかるけどな。
しかし、その値打ちはある。
これを、一般読者、特に見込み客用に見つけてくるというのも手やないかと思う。
趣味というのも広いから、いろんな角度から探せるのやないかな。もっとも、高いものは極力避けてな。
5.100円ショップや激安ショップを活用する。
現在、デフレ傾向にあるから、探せばいくらでも安い商品が見つけられると思う。
また、基本的に金券以外の商品の場合、その100円ショップや激安ショップというのがあるために、いくらでも金銭的なごまかしは可能やというのがある。
景品表示法に規制されとるのは金額の上限であって、その商品の販売価格は査定の対象になっていない。
例え市販価格が1万円のものでも、それを千円、二千円で仕入れることができれば、それで通る。
ちなみに、販売店で使用している洗剤などの主力商品は、それらの企業との交渉で一般よりも安い価格で仕入れとるケースが多い。
そのためもあって、商品での景品サービスが景品表示法違反になりにくいというのがあるわけや。
今回、問題になっている「上限とされている約2000円を違反とするルール遵守」についても、その明確な線引きがされていない。
それをするかどうかは別にして、その抜け道はあるということになる。
6.いろいろな情報を拡材にする。
新聞が必要ない。無駄なことには金を使いたくない。そんな新聞離れが顕著な人間にも、必要なものは必ずある。その必要なものを拡材にしたらええ。
例えばパチンコ好きな客の場合、その攻略法などの情報が、それに当たる。
その確かな情報データを調べたものを拡材に使うわけや。
この場合、拡張員は胡散臭いと思われとることを逆手に取ることができる。
拡張員がパチンコをしてると言うたら、まずほとんどの人間が納得するし、信用するわな。
パチンコに関してはプロ並みの腕を持っとると言うても疑われることはまずない。
ここでは、客の胡散臭いというイメージが、その面に関してはプラスに作用しとるわけや。
それで相手が興味を示せば、出来るだけ近所のパチンコ屋の情報と確かな攻略法の情報をセットで、拡材として使う。
その人間が、その情報の価値を支払う新聞代以上やと認めたら、驚くほど簡単に購読契約をする。合理的な人間ほど決断は早い。
これは、パチンコだけに限らず、釣りとかゲーム等何でもええ。
これの利点は、その情報の原価が分かりにくいという点にある。定価もない。
それには金がかかってないと言えば、そうなる。
つまり、その情報を教えたというだけでは拡材過多の違反には問いにくいということや。
そして、それはその客が値打ちを認めさえすれば、それでええわけやさかいな。
これも応用の広いものやと思う。
他にも探せば、まだまだあるとは思うが、今回はこの程度にしとく。
基本は、その値段が安くても客に喜ばれそうな物、役立ちそうな物、付加価値のありそうな物を見つけるということや。
今までは売り込む側の論理があまりにも優先していたと思う。
これだけサービスするからええやろうと。得するやないかと。
言うておくが、サービスとは、する側がその価値を決めるものではなく、受ける側が判断するものや。
いくらビールを大量に渡そうが、飲まん者には何の価値もないし、一年分の洗剤にしても、洗濯せずクリーニングにばかり出している独身者にとってはいらん物や。
それが分からんと、この拡材(景品・サービス)が効果を生むことはないやろうし、無駄な競争に歯止めがかからんのやないかと思う。
喉元過ぎれば熱さを忘れる。
うるさく言われる、規制されている当初は守れても、日が経つと忘れられ、また元に戻る可能性は高い。
過去がそうやったように。
哀しいかな、人間は真にその必要性を認識せん限り、いくら強制されても守れん者は守らんのやないかという気がする。
変に規制しすぎると地下に潜るだけやないかと。
最後に読者にひと言。
ここに掲げた以外でも、効果的な拡材、およびその方法、考え方などがあるという方は教えて頂きたいと思う。
多くの知恵を出し合って考える。危機を乗り越える方法はそれしかない。
参考ページ
注1.NO.81爆カード廃止の取り組みについて
注2.NO.782 サービスの正常化規制は本当に実行されていくと思いますか??
注3.拡張の歴史
注4.第9回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■営業の雑談に使えるUSJの話
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