メールマガジン・ゲンさんの新聞業界裏話・バックナンバー

第87回 ゲンさんの新聞業界裏話


発行日 2010.2. 5


■新聞世論調査の仕組みとその信頼度について


先月末の午後2時頃。

ハカセの自宅に1本の電話がかかってきた。

その子機が書斎にある。その時間帯、自宅にはハカセしかおらんから、出るか出んかはハカセが決めるしかない。

いつものクセでその表示画面を覗き込む。

「非通知」になっていたら絶対に出ない。そういうのには何かのいかがわしいセールスの勧誘か、詐欺電話の類が多い。

出ても時間の無駄やし、かなりの高確率で喧嘩になるだけで何の益もない。

たまに町内会とか学校の保護者会の関係者が個人情報云々を気にしてとかで、その非通知にする人間もいとるという。

いずれにしても、そういう輩の電話には、ハカセは一切出ない。無視する。

自分の電話番号も知らせられないような人間にロクな奴はいないというのが、その理由や。他人に電話をかける資格はない。

その表示画面の番号通知には、「03……」となっている。

東京からか……。ハカセに心当たりはない。

関東方面に知り合いがおらんというのやなく、今は身内も含めて個人的な連絡は携帯電話にかかってくる事が多く、その辺りから自宅の固定電話にかかってくる事自体が珍しい。

用心気味に「はい、もしもし」と、だけ言う。

本当は名前を言うべきなんやろうが、こういうのは間違い電話の可能性が高いということで、日頃からハカセはそうしとるのやと言う。

もちろん、その表示画面が知人の場合は「もしもし白塚です」と言って出るというがな。

「恐れ入れます、○○新聞の全国世論調査にご協力頂きたいのですが、よろしいでしょうか」

「それは構いませんけど、お宅は誰に電話をしているのか分かっておられるのですか」と、言葉使いは丁寧やが、若干、険の含んだ口調で質問をする。

普通、ハカセの「もしもし」という応対だけやと、相手は「白塚さんのお宅でしょうか」と念を押すもんやが、それがない。

いきなり用件を切り出してきた。

「いえ、まことに申し訳ありませんが、私どもはランダムに電話をかけさせて頂いてますので、そちらのお名前は存知上げません」という返事が返ってきた。

「RDD」というのがある。

RDDとは「ランダム・デジット・ダイヤリング(Random Digit Dialing)」の略で、コンピューターで無作為に数字を組み合わせて番号を作り、電話をかけて調査する方法のことやという。

この方式だと、ハカセのように電話帳に番号を掲載していない人間にも、その調査依頼ができるため、電話帳から番号を調べる方式より偏(かたよ)りが少なくて済み、調査の対象が選びやすいということらしい。

この新聞社では重要な世論調査は、その方式でするのやと。

以前は面接方式と言うて、直接、各家庭に押しかけて調査するケースが多かったが、最近は電話での聞き取り調査が主流やという。

固定電話の番号は、「市外局番」−「市内局番」−「家庭用番号」の計10桁の数字になっている。

その新聞社では地域を特定できる「市外局番」−「市内局番」の番号をリストにして保存している。

調査に使う電話番号を実際に作る場合、そのリストの中から、調査対象地域や電話帳への掲載度合いなどに偏(かたよ)りが出ないように工夫した上で、上8桁までの番号を無作為に選び出す。

さらに、残りの下2桁、00〜99の数字をランダムに選び10桁の番号を作る。

ただ、こうして作った電話番号の中には、使われていない番号も含まれるため、自動判別コールシステムというもので篩(ふるい)にかけ、残った番号を調査用に使うのやという。

それで、その都度必要な番号が選び出される確率は数万分の1程度になる。

日本は世界でも類を見ないほどの世論調査大国と言われている。

内閣府の調べによると全国で実施された対象者が500人以上の世論調査は、毎年1200回前後もあるという。月平均100回になる。

新聞、テレビなどのマスメディアはもちろん、政府や自治体などの公的機関、大学などの学術機関、企業や民間調査機関といった具合に多種多様な組織がその調査をする。

そのいずれもサンプル調査といって、地域や年齢、性別などの偏向をなくすために、それぞれの代表と言える比率の調査対象人を選び出す。

その結果が概(おおむ)ね一般世論の意見を反映していると広く一般にも認知され、考えられている。

極端に数字信仰の強い日本では、特にその数字が重要視され、政治ですらその動向で左右されることが多い。

それほど日本において世論調査の結果には絶大な影響力があるということや。

全国世論調査の場合、その数、2000〜3000人程度が一般的やから、それに当たる確率が数万分の1程度になると言うたわけや。

それが月100回あったとしても数百分の1、年にしても数十分の1の確率にしかならん。

多くの人がその対象になっていないため、世論調査の実態というのはあまり知られる事もなく、その信憑性に疑いを挟む人も多い。

特に、新聞、テレビなどのマスメディアはその世論操作をしていると。

世論操作があるのかどうかは定かやないが、ハカセもその世論調査には懐疑的な一人やった。

もっとも、ハカセの場合は、過去その経験がないから「私の意見は何も反映されていない」という単なる僻(ひが)みによる不満やったがな。

そのハカセのもとに、その電話がかかってきた。

ハカセは、正直、「面白い」「ついにきたか」と考えた。

もっとも、ハカセを相手にせなあかんことになった、その調査員にとっては歓迎できる対象やなかったとは思うがな。

面倒な相手という意味では、いくら経験豊富な辣腕(らつわん)調査員でも手を焼くはずや。

とにかく、ハカセは理屈っぽい。納得せんと先に進めんという因果な性分がある。

また、何か事があると、常にそれをネタにしようとする思いが強いから、根掘り葉掘り質問するクセが身に染みついている。

普通、そういう人間は嫌がられる。

しかし、こういった調査員は、それを承知しても、そういう人間と付き合わなしゃあない。

まさか逆ギレして「あなたのような人のご意見は必要ありません」とも言えんやろうしな。

拡張員が、ヤクザと知らず、その手の関係者の家に勧誘に行ったようなもんや。

あきらめるしかない。

その不幸な調査員とハカセとの間の悲劇とも喜劇とも言えん、やり取りを今から紹介する。

まあ、滅多にそういうことはないかも知れんが、万が一、その世論調査の電話でもかかってきた場合の参考になるようなら、そうしてくれたらええ。

「ご協力、頂けるでしょうか」

「いいですよ」

「それでは、そちらのお宅には固定電話はこの番号のみですか」

「そうですが……。何でそんな質問を?」

自宅に2本の固定電話を持っている世帯の場合、1本しかない世帯に比べて電話がかかってくる確率は2倍になるため、得られた回答結果に対して数値を2分の1にする必要があるのやと言う。

その調整をするために聞くのやと。

つまり、固定電話が2本引いてある人間の回答は半分の値打ちしかないということになるわけや。

ちなみに、最初にかけた段階で法人につながった場合は、すべて排除することになっているという。

「しかし、それはお宅の聞き取り調査だけで選別するわけですから、固定電話を2本引いてあっても、1本だと言えば、そうなるわけですよね」

「ええ、まあ、そうですが……」

この頃になって、やっと、その調査員はハカセが普通の男やないということに気がつき始めたようや。

僅かながら、その受け答えに戸惑いが見える。

もっとも、この程度の突っ込みをする者は他にもおるやろうがな。

「ご家族に有権者の方は何人おられますか」

「私と妻の二人だけですが」

「失礼ですが、ご主人と奥様のご年齢は?」

「私が56で、妻が48ですけど」

「えっ? ご主人が56歳?」

初めて電話でハカセの声を聞いて、その歳を知るとたいていの者が驚く。

「お若いですね」と。「まだ、2、30代の方と思いました」と。

まあ、本人を前にして、さすがにその言葉は出んやろうが、声だけは昔から若く聞こえることが多かったという。

もっとも、ハカセ本人はそれであまり得をしたことがないから喜んではいないようやがな。

何かの理由で、新聞社や販売店、警察および役所などに電話した場合、対応に出た担当者によれば、ハカセを若い人間だと勘違いして適当にあしらわれることが多いという。

それで良く揉めることがあるとボヤいとるさかいな。

それは、この調査員にも言えることで、ハカセがそう答えると若干やが、声のトーンが少し緊張気味になって、より丁寧な口調に変わったという。

「そうですか、それでは、ちょうど50代の男性の回答が少ないので、ご主人にご協力願えませんでしょうか」と、その調査員。

まさか、受話器の向こうで「気をつけ」をしとるとも思えんが、そんな風に改まった感があったという。

この調査員は、おそらくコンピータの画面を前にして、何かのデータと見比べながら電話しとるのやろうと思う。

これは、後日知ったことやが、電話がつながったら、調査の趣旨を説明した後、その世帯に住んでいる有権者の人数を聞き、それが複数だった場合、簡単な操作をするとゲームソフトにありがちなサイコロがパソコンの画面に現れて振られる。

それに出た目で調査対象を決めることがあるという。

今回のように二人の場合は男が奇数で女が偶数という具合になるらしい。有権者の数が多ければそれに応じた目で決めるのやと。

回答者の構成比が総務省発表の人口の実態構成比と同じようにとの配慮から、そうするのやと。

それとは別に、ある年齢の対象者が少ないとき、今回の調査員が言うとおり、それではなく例外的に電話に出た人間をその対象にするケースもある。

ただ、基本はコンピュータ・サイコロによる選別やという。

これは、電話に最初に出た人間だけをその対象にすると、在宅率の高い主婦や高齢者の回答が多くなってしまい年齢層に偏(かたよ)りが表れ正確な調査にならんからやということのようや。

それで、選ばれた人間が例え不在の場合でも、一度決めた対象者は変えず、時間を変えて最大6回まで、しつこく電話をかけるのやという。

回答者の構成をできるだけ「有権者の縮図」に近づけるために、というのがその理由ということになっている。

また、「興味がないから答えたくない」などと断られても、同様に再度、依頼の電話をする場合もあるという。

一度の電話では調査の趣旨を十分理解して貰えないということも結構多く、少しでも回答を集めることで、より正確な調査になると。

まあ、ワシの想像では、そうする裏にはその調査員に割り振られたノルマのような数字があるからやないかという気がするがな。

それをクリアするために、そうするしかない。そう考えた方が納得する。

もっとも、そんなことは新聞社あたりは認めんやろうが、それなりの理由がないと普通はそこまではせんやろうと思う。

一口に世論調査と言うても、結構、いろいろと大変で、面倒な配慮もしとるわけや。

「それでは、早速ですが質問を始めさせて頂きます。まず、鳩山内閣を支持しますか。支持しませんか」

政治に関しての世論調査で、最初にこの質問をする場合と、最後、もしくは中間にする場合がある。

それにより、同じ人間でも答が大きく違うケースがある。

この後、首相や党の幹事長などの疑惑に対しての質問が続くわけやが、それについて答えた後で「鳩山内閣を支持しますか。支持しませんか」と聞かれても、その回答が違うというのは十分考えられることやさかいな。

前者は、そのときの思いをストレートに言えるけど、いろいろ悪い面について回答した後では「支持します」という意見は言いにくくなるから、当然、支持率は下がる傾向になる。

各新聞社、各メディアで微妙に支持率が違うというのは、そういうことが大きな要因としてあるようや。

世論調査の質問内容は、その各新聞社、各メディア任せやから、どうしてもそうなる。

ワシとしては、この質問者のように、この質問に関してはあまり予断のない早い時期にした方がええと思う。

「以前の自民党の内閣よりかは、多少の問題があるにしても事業仕分けなどの開かれた部分を感じるので、頑張っているという印象はありますね」

「それでは支持されるのですね」

「支持という積極的なものではなく、現時点では、以前よりかはマシというところですね」

「それでは、どちらかというと支持すると」

「まあ、そんなところです」

ちなみに、このときの内閣支持率は42%やった。

「次に、現在、どの政党を支持していますか」

「私は決まった政党の支持はしません。その時々によって違います」

「それでは、今年の夏に、参議院選挙があります。仮にいま投票するとしたら、比例区ではどの政党、またはどの政党の候補者に投票したいと思いますか」

「仮の話とすれば民主党ですかね」

「それでは、現時点では民主党支持でよろしいですね」

「なぜ、そうなるわけですか。投票するから民主党支持者とは限らないでしょう。単に他に選択肢が今のところないというだけのことですから」

質問者にすればなるべく早く結論づけなあかんというのは良く分かる。

それにはイエスかノーで聞くのが一番手っ取り早いと。

ところが、ハカセのようなヘソ曲がりは素直にそうと答えない。

それには普段から二者択一で決めるということをあまりせず、どちらにも良い面もあり悪い面もあると考えるクセが身についとるからやと思う。

決めるにしても、そのどちらがよりマシか、自分の考えに近いかということでしか物事を判断せんから、結果として答を出すのが遅くなる。

本人は、至って真面目にそう答えとるわけやが、その質問する人間にとっては扱いにくい、やっかいな相手という風に映る。

屁理屈の多い人間やと。

まあ、それは「当たらずといえども遠からず」ではあるがな。少なくとも、黙っておられん性質なのは確かや。ひと言多い。

「それでは、どちらでもないと?」

「いえ、一応、民主党支持としといてください」

「……」

それまで、よどみなく進んでいた質問者の声が、一瞬、途絶えた。

その間、ハカセには「どっちやねん」という心の声が聞こえてきたという。

この支持率についての調査結果は、「民主党36%」、「自民党16%」、「公明党3%」、「共産党2%」「社民党1%」「みんなの党1%」、「国民新党1%」、「改革クラブ0%」「新党日本0%」「その他の政党0%」、「支持政党なし36%」、「答えない・分からない4%」ということやった。

「次に鳩山首相の資金管理団体の偽装献金問題について伺います。鳩山首相は、この問題の責任を取って辞任するべきだと思いますか。辞任しなくてよいと思いますか」

「これについてメディアが騒いでますが、この問題は分かりやすく言えば、政治にかかる金銭を親に出して貰っていたというだけのことでしょう? 言えば身銭を切って政治活動をしていたということになります。確かにウソの記載は良くないことですが、それで誰かに迷惑がかかったということでもないと思うのですが」

この後、「どこかの企業から賄賂を貰って便宜を図っていたというのなら問題もあるでしょうがね」と続く。

まあ、親から多額の金を貰っていたということになれば生前贈与ということになり、その場でその税金を納めてなかったらあかんわけやけど、それが責められなあかんほどのことかと言えば懐疑的になるとハカセは言う。

それはちょうど、新聞の景品、サービスを渡しすぎて「景品表示法」に触れる違法行為やないかと責められる事に似とると思う。

景品やサービスの渡しすぎで顧客に迷惑がかかることは考えにくい。

ワシらも長いこと、サイトでQ&Aをやっとるが、その景品の貰いすぎは困るという相談はほとんどないさかいな。

あるのは、解約する段になって、解約するのならその貰った物を返さなあかんと知った際、それが高額なため「それは困る」という程度のものやが、それは論外やと言うしかない。

その約束で貰ったものなわけで、それを返すのが嫌なら、その約束を守ればええだけの話やからな。

もっとも、それを貰える、貰えないということで、不公平やと不満を漏らす人はおられるがな。

ただ、これについても、貰えないからそうなるだけで、貰っていれば当然やが、その不満が出ることもない。

「景品表示法」に違反しているケースが多いとはいえ、新聞の場合は、ここ何年もその違反で摘発された販売店は一件もない。

摘発する側の公正取引委員会ですら、その程度の事は、ほぼ容認しとるのやないかとさえ思える。

もう摘発する気もないと考えられるくらいの状況やないかと。

むしろ、それを取り締まられる側の新聞社や販売店組織の方が、「それをするな」と締め付けとるくらいや。

新聞社にとっては実質的な値引き行為と受け取るし、販売店組織は、自身の経営を守るためには無駄な出費は避けたいと願う。

その利害が一致して、全国的に「景品の正常化運動」というのが業界で拡がりつつある。

その大義名分が「景品表示法に違反しない」ということやないやろうか。

もちろん、世の中にはルールがあるから、それを守る必要はある。

ただ、そのルール違反も「ごめんなさい」で済む問題とそうでない問題があるということやないやろうか。

その点で言えば、「鳩山首相の資金管理団体の偽装献金問題」というのは「ごめんなさい」で済む問題やと思うがな。

実際に鳩山首相は、自身が悪いと思えば比較的あっさりと「ごめんなさい」と言う人で、遅いながらもその税金の支払いにも応じているという。

当の税務署が「それで良し」ということなら、これはそれで終わったことやないかなとワシも思う。

この問題を鬼の首を取ったかのように責め立てる野党の方に何か奇異な感じがするがな。

国民を味方につけていると勘違いしとるようにしかワシには見えん。

ちなみに、この問題の世論調査の結果が後日分かった際にでも、「辞任するべきだ30%」、「辞任しなくてよい59%」になったということや。

これに関しては、まあ妥当な国民の感情、判断やないかと思う。

ちなみに、ハカセの意見も「辞任しなくてよい」というグループに入れられた。

ただ、この後「鳩山首相は、偽装献金問題について、すべて秘書にまかせており、母親からの資金提供も、まったく知らなかったと説明し、謝罪しました。この説明に納得できますか。納得できませんか」と続いた調査では、「納得できる16%」、「納得できない77%」という結果になっとるがな。

ハカセの回答も「納得できない」やった。

普通に考えて、いくら金持ちやからと言うても、数千万、億単位の金が親から出ていて「すべて秘書にまかせており、母親からの資金提供も、まったく知らなかった」というのは通らんやろうと思う。

母親も「子供のため」やから出すわけで、それに対する会話がひと言もないというのは、そこまで応援しようという親子の間では、とてもやないが信じ難い話やわな。

どう考えても、イメージダウンを防ぐために「知らんかったことにしとこう」というのがミエミエやさかいな。

そんなことをする必要はなく、正直に「親から政治の活動資金を出して貰うた」でええと思うのやがな。その方が、よっぽど納得できると思う。

何でもそうやが、正直に話すことが一番信じられやすいということや。ウソっぽい話は信じられんだけやなく、その人間性まで疑われる。

結局、その方が大きなマイナスイメージになるんやが、それを回避するためには「正直に話せ」とアドバイスのできる人間が取り巻きにおらんのかいなと思う。

それでは鳩山首相の個性を殺すことになると考えるがな。

「民主党の小沢幹事長の政治資金問題で、小沢さんの元秘書の石川衆院議員らが逮捕されました。この問題をめぐる小沢さんのこれまでの対応に納得できますか。納得できませんか」

これはどう見ても保身に走っとるしか映らんわな。

小沢幹事長は「彼らが何かの間違いで記載しただけだろ」と言っているが、日本でトップクラスと言われる政治家がそんな抜けたことをするとは考えにくい。

また、その小沢幹事長に断りや報告もなく勝手に何億もの金を動かすことなど無理やし、そんな根性を持っているような人間は日本には存在せんはずや。

まあ、これは正直に話すといろいろボロが出そうやから言いたくない気持ちは分からんでもないが、国民の立場からすれば、「それはあかんやろう」と言うしかない。

事実、この調査結果でも「納得できない88%」が圧倒的に多く、「納得できる」は僅か5%にすぎんかったさかいな。

これが正直な多くの国民の気持ちやという気がする。

予断やが、このメルマガを書いている最中に、「小沢幹事長不起訴」というニュースが飛び込んできた。

結局、これで小沢幹事長が法律で裁かれる可能性は少なくなったわけや。

この件の本丸は大手ゼネコンからの賄賂があったかなかったかということやと思うが、検察の面子をかけて徹底した捜査した捜査にも関わらず、その証拠が見つからなかったというのは、実際にもそれがなかったという可能性が高い。

普通、その関係者が3人も逮捕されていれば、なかなかそれを隠し通せるもんでもないしな。

もちろん白とも言い切れんが黒でもない。まさにグレー、灰色決着やと思う。

これにより、ハカセが調査を受けた段階より民主党の支持率は下がるやろうとは予測できる。

それがええか、悪いかとなると、独裁的な政治を避けるという意味では、それでええと個人的には考える。

この問題がなければ、おそらく今年の参議院選挙でも民主党の圧勝やったやろうからな。

政治はバランスが大切で去年の総選挙のように、一方だけに傾くというのはあかん。良うない。

数の論理とやらで、強行採決連発という場面だけは見たくないさかい、それが起きんような均衡を保ってほしいというのが正直な気持ちや。
 
続けて「小沢さんの政治資金問題をめぐる、鳩山さんのこれまでの対応に納得できますか。納得できませんか」という質問があった。

ハカセの回答は「終始庇(かば)うような言動をしたのは頂けないが、総理としては仕方のない対応だったと思います」やった。

気持ちは納得できんが、その心情はある程度理解できると。結局、この回答は「納得できる」に組み込まれた。

「新年度予算案についてうかがいます。選挙での公約を盛り込んだ結果、一般会計の総額は過去最大の92兆円になり、国の借金である国債の発行額は、過去最大の44兆円になりました。この予算案をどの程度評価しますか」

これについては「あまり評価できない」と、ハカセは答えた。

予算が増えたのは、選挙での公約を盛り込んだ結果だけやなく、それにプラス今までの分をそれ以上に各省庁が要求した部分も多い。

確かに事業仕分けでいくらかは削ったが、その数はあまりにも少なかった。

まあ、時間がなかったという事、初めての試みやったという側面は考慮できるが、それだから仕方ない、国民が納得すると思って貰っては困る。

その意味を込めての「あまり評価できない」や。

はっきり言うて、税収が落ちているにも関わらず、使う予算がそれよりもはるかに多いというのでは話にならんと思う。

一般家庭でも、収入が減れば、それなりの生活をする、しようとするのが普通や。またそうせなあかん。

使う側の言い分をそのまま聞いていたら金みたいなものナンボあっても足らんわな。

ない袖は振れん。税金は必要な順番からしか使えんということを徹底してやるべきやったと思う。

いずれにしても、借金は減らす方向に持っていかな、この国の未来はないやろうと考えるがな。

今までの自民党政権がそうやったように予算は使いきらな損やという考えの役所や人間は、この時代には必要ないと思う。

一朝一夕には変え難いというのは分からんでもないが、もう少し、それを大きく変える姿勢を見せてほしかったというのが正直な気持ちや。

せっかく、政権交代したのやから、変えるのなら今が最大のチャンスなわけやさかいな。

これが2、3年してからと考えとるようなら、悪いがこの先の結果は、以前の自民党政権時と大差ないことになるという気がする。

「最後の質問です。日本に永住している外国人が、地方選挙で投票できるようにする法案の、国会への提出が検討されています。永住外国人に地方選挙権を与えることに賛成ですか。反対ですか」

これは正直言うて、難しい問題やと思う。

その永住外国人の質にもよる。一口に外国人と言うても、いろいろおるからな。

基本的に、日本で日本のためになる仕事をし、日本のためを考えてくれるのなら、その権利を与えるのもええと思う。

しかし、日本を敵視しているような意識の強い「北の国」の人間となると疑問符がつく。

ワシの個人的な思いで言わせて貰えば、選挙権が得たいのなら、「日本国籍」を得ることやと考える。

それなら何の問題もない。

日本国籍を得るには厳しい条件があるということやが、そのハードルを今より下げるというところから始める方がええのやないやろうか。

いきなり「永住外国人に地方選挙権」というより、日本への帰化意識を永住外国人の方々に持って貰うということや。

日本国籍を得、選挙権を得たいのなら、自国を捨てて、日本のために尽くす。そのくらいの覚悟が必要やと思うのやがな。

ハカセもワシと同じで、この問題はすぐには答が出ないとして「その他のどちらでもない」としたという。

この結果は、「賛成60%」、「反対29%」、「その他11%」やったという。

ただ、この数字が、本当に「永住外国人に地方選挙権」に与える是非についての意見を反映しとるのかとなると、この問題に関しては、いささか懐疑的ではあるがな。

これからの議論次第では大きく変わる可能性があると思う。

以上で、その世論調査は終わった。

正直言うて、今回聞かれたような事を日頃から常に考えとる人間というのは少ないと思うから、いきなりそう質問されても戸惑う人も多いはずや。

そうそう適確に、質問された内容に答えられるもんでもない。

たいていの質問は択一式やから、そのどれかに無理にでも分類されやすい。

せやから、それがどこまで正確に国民の意識を反映しとるのかという問題はあるが、普段考えていたよりも実際に遭遇した世論調査というのは、それなりに真剣にしているのやなというのは伝わってきた。

もっとも、その結果を信用するかどうかは各個人が判断するしかないとは思うがな。


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