メールマガジン・ゲンさんの新聞業界裏話・バックナンバー

第97回 ゲンさんの新聞業界裏話


発行日 2010.4.16


■新聞や雑誌に作品を掲載するという電話勧誘詐欺にご用心


最近、新聞や雑誌への掲載を騙(かた)る詐欺事件やトラブルが急増していて深刻な社会問題になりつつある。

当サイトのQ&Aには今のところ、それに類似した相談は寄せられていないが、遅かれ早かれ、いずれは必ずあるものと思われるので、その被害をより最小に抑えるためにも、その情報と対策をこのメルマガで一足早く公開しようと思う。

また、このメルマガを見ておられる勧誘員の方々にとっても、その情報を知ることで、地域の読者に注意を促すと同時に、セールストークとしても活用して頂けるのではないかということもある。

そうしようと思いついたきっかけは、先日、ある読者の方から、下記の情報を教えて貰ったことからやった。


独立行政法人国民生活センター 見守り新鮮情報 第81号より引用


事例1.「あなたの作品を新聞に掲載させてほしい」と電話があり、無料であることを確認して承諾した。

しかし、送られてきた書類には、掲載料9万5千円と書かれていたうえ、さらに12回掲載分の100万円を超える請求書が届いた。(80歳代 女性)


事例2.「歌人会の会報を見た。すばらしい作品だ。新聞に載せないか」と勧誘電話があった。

掲載料は24万円と高額で迷ったが、「最後に新聞に載るようなことがあってもいいか」と応じた。

掲載後、別のいろいろな業者から勧誘を受け、毎日請求されて困っている。(80歳代 女性)


と。

いずれも、そのターゲットは高齢者になっている。

高齢者にとって、新聞というのは唯一無二と言えるほど信頼のおける別格の媒体やと思う。

新聞に載ったという事実だけで、そのことは疑いの余地がないものになる。

その事がええとか悪いとかやなく、「新聞を読むことが当たり前」、「取っていないと恥ずかしい」という時代を長く生き続けてきたさかい、それが身に染みついてしもうとるわけや。

例え読まずとも、新聞が、そこにあるというだけで落ち着くという人も多い。

ワシは、その高齢者の方々が健在なうちは、まだ新聞も、その命脈を保てると考えとる。

実際、ワシらの顧客には60歳以上の高齢者と呼ばれる人たちが多いさかいな。

極端な言い方をすれば、高齢者の方々のおかげで、ワシらも何とか食いつないでいけてるという現実があるわけや。

その人たちを「新聞を騙(かた)って」騙(だま)そうとするなど断じて許しておくわけにはいかん。

徹底して、その手口を暴いてつぶす。つぶしたい。

このまま指をくわえて見ていれば、これから先も、こういった詐欺事案が増え続けるのは目に見えとるさかいな。

ただ、このメルマガでの話が直接、その高齢者の方々に届けばええのやが、残念ながら、新聞を読む習慣はあっても、インターネットをする習慣のある高齢者の方は少ないから、なかなかワシらの思いが届きにくいということがある。

そこで、これを見ておられる勧誘員の方は当然として、その他の読者の方にも、身内に高齢者がおられるという方も多いと思うので、ぜひ、ここでの情報をもとに注意と警告をして頂きたいと思う。

これらの事例は、ここ1、2年で急激に増え始め、2008年が150件、2009年には356件と止まるところを知らん勢いで増え続けているという。

被害に遭う高齢者の平均年齢は78.4歳。80歳代が51.2%で70歳代の34.9%、60歳代、9.2%。内、女性が83.3%で男性が16.7%というデータがある。

平均被害金額は約26万円で、10万円〜50万円が最も多く222件の43.7%。5万円〜10万円が218件の42.9%で続いている。

しかも、これらのデータは、「国民生活センター」に寄せられた相談事例からのもので、その実数は数倍、数十倍に膨れ上がっているものと推察できる。

ワシらが、これについてできることと言えば、今のところ、その警告と、対策を示すくらいしかないので、これから、先に挙げた事例も含めて、そうしたいと思う。


新聞や雑誌に掲載するという悪質な電話勧誘詐欺の事例とその対策集

事例は「高齢者をねらう、短歌・俳句の新聞掲載への電話勧誘」より引用


事例1.「あなたの作品を新聞に掲載させてほしい」と電話があり、無料であることを確認して承諾した。

しかし、送られてきた書類には、掲載料9万5千円と書かれていたうえ、さらに12回掲載分の100万円を超える請求書が届いた。(80歳代 女性)

【対策】

「あなたの作品を新聞に掲載させてほしい」と個人へ電話がかかってくるものは詐欺まがいのものが多いと考えて、まず間違いない。

また、それが「広告として掲載しないか」という類のものであっても同じや。

基本的に新聞社が個人への広告掲載を依頼することはない。新聞社が広告依頼するのは企業と相場が決まっとるからな。

こういったものをいくら送りつけてこようと無視すればええ。支払う必要は一切ない。

支払わずにいれば、いくらでも闘えるが、払ってしもうてからでは、それを取り返すというのは至難の業になるさかいな。


事例2.「歌人会の会報を見た。すばらしい作品だ。新聞に載せないか」と勧誘電話があった。

掲載料は24万円と高額で迷ったが、「最後に新聞に載るようなことがあってもいいか」と応じた。

掲載後、別のいろいろな業者から勧誘を受け、毎日請求されて困っている。(80歳代 女性)

【対策】

この事例に『掲載後』とあるのは、実際にその掲載料を支払ったから、その新聞に載ったということなのやろうか。

この事例だけの説明やと、そうなるが、これに関しては、もう少し詳しい情報が必要やと思う。

『実際にその掲載料を支払った』から、その新聞に作品が掲載されたというのが本当やったとしたら、大変な問題になる。

「新聞社も一枚噛んでいるのか」となるさかいな。

それは考えにくいし、新聞社がそうする必要性もメリットもほとんどないと思う。

念のため、ハカセが数社の新聞社にそういう可能性があるのかと問い質したところ、予想どおり異口同音に「そんな勧誘をすることはありません」という返答やった。

たいていの新聞社では、俳句や短歌などのコンテストで作品を募集しているケースが多く、毎回、相当数の応募があり、その中から優秀な作品が選ばれて掲載されることは普通にある。

但し、その場合は、規定の賞金、もしくは賞状、景品がその入賞者に渡される。

当然のことながら、入賞者から金銭を受け取るということなどあり得ん話や。

あれば、それは不正ということにつながり、大問題に発展するさかいな。

『掲載後、別のいろいろな業者から勧誘を受け、毎日請求されて困っている』というのは、他の電話詐欺同様、その名簿が作られ出回っているということやろうと思う。

あるいは、同一業者、グループが、複数の人間を使い、そう思わせているかやな。

電話詐欺というのは、ヤクザの資金源になっとるというケースが多いから、そのしつこさは新聞勧誘の比やないと思う。

狙われたら最後、かなり辛いことになる。

こういう場合は、自宅電話に「非通知着信拒否」、「特定電話番号の着信拒否」などの機能があれば、それをして、なければ導入することや。

それでもダメな場合は、思い切って電話番号を変えて、電話帳への掲載を拒否するという方法もある。


事例3.掲載を勧誘され断ったのに、書類が届いた。90歳代の母は老人施設に入所中。

突然「俳句の趣味がおありですね。上手な俳句を作られますね。雑誌を発行しているので掲載しませんか」と電話があった。

掲載料が85,000円と高額で、俳句サークルに投稿した句を調べたらしく不審だと思い断ったが、取りあえず書類を送ると一方的に電話が切れた。

後日、申込書、振り込み用紙等が届いた。電話で断っているのに強引すぎる。(90代 女性)

【対策】

『雑誌を発行しているので掲載しませんか』という勧誘は昔からあり、そこが本当に雑誌を発行していて、その掲載が確かなら、その行為自体には特に法律的な問題はない。

『掲載料が85,000円と高額』というのも、その雑誌のシステムがそうやと言うのなら、依頼する方にも選択の余地があるわけやから商行為の範囲内と考えられる。

『後日、申込書、振り込み用紙等が届いた。電話で断っているのに強引すぎる』というのは、無視してほっとけばええ。というか、嫌なら相手をする必要はない。

そういう業者は、ダメもとでやっているケースが多いから、それで何人かが引っかかれば儲けものくらいにしか考えとらんわけやしな。

程度の悪い業者やとは思うが、無視し続ければ、それ以上は何もできんはずや。


事例4.強引な勧誘で契約、思い直して断るも解約できないと言われた。

俳句を雑誌に投稿したのがきっかけで、「新聞に作品を載せないか」と勧誘の電話がかかってきた。

新聞に作品が載るのはうれしいと思い乗り気になったが、代金が18万円と高額なのに驚き断ったものの、強引に勧められ断りきれず契約した。

2日後、やっぱり高いと思って断ったが、すでに掲載枠が取ってあり解約できないと言われた。(60歳代 女性)

【対策】

これは先にも言うたように、新聞社が関知しないと言うてるものに『掲載枠が取ってあり』ということなど、絶対にあり得ん話で、詐欺行為と断定して間違いのない事案やと思う。

当たり前やが、詐欺行為の契約など成立するはずもないから、そんなものに従う必要は一切ない。

そう言うて断ればええ。

それでも、しつこく迫るようなら、新聞社や警察に、その業者を詐欺的行為で通報、摘発することや。

それで墓穴を掘るのは、その業者の方やから、気持ちで負けんかったら簡単に撃退できるはずや。


事例5.有料の契約をしたものの、掲載されたか確認できない。

「新聞に俳句を掲載しないか」と勧誘され契約したところ、その後6社の広告業者から電話で勧誘されFAXで送られてきた広告掲載申込書に署名、押印し、有料の契約をした。

ところが、掲載日を過ぎても4社が掲載紙を送ってこない。掲載料の20万円は支払済みなのに約束が違い、納得できない。(80歳代 女性)

【対策】

先に『新聞社が関知しない掲載の勧誘は詐欺行為』やという意味のことを言うたが、『広告掲載』となると詐欺行為の話は怪しくなる。

これに関しても『基本的に新聞社が個人への広告掲載を依頼することはない。新聞社が広告依頼するのは企業と相場が決まっとるさかいな』と言うたが、新聞社が個人ではなく、企業、業者にその広告枠を売ったというのなら、話は違うてくる。

そこにどんな広告を載せるかは、基本的にはその業者の自由ということになるさかいな。

もちろん、例えそうであっても、新聞社がその内容をチェックするべきやとは思うが、残念ながら、そこまでの法的義務はないとのことや。

もっとも、その内容が著しく不適切かつ不法なものやと言うのなら別やが、単に一般の人が作った『俳句』を掲載しただけでは、このケースのような絡繰(からく)りがあったということは、新聞社にも分からんやろうしな。

その場合、『広告掲載』としての『俳句』を載せる契約というのは成立すると考えられる。

形の上では、個人の作った『俳句』を「広く世間の人に知らしめるお手伝いをしましょう」ということで、そのための手数料が必要という論法が成り立つさかいな。

実質的には、限りなく騙しに近いと思うのやが、表面的には「人助け」を演じとるということになる。

この手の業者は、その絡繰(からく)りを利用しとるわけやな。

ポイントは『広告掲載申込書』というものと、その業者の実態にありそうや。

『広告掲載申込書』は、自作の作品を宣伝して貰うための契約書ということになるから、その点を、しっかり認識しとく必要がある。

ワシは、そういうことを専門にする業者というのを知らんが、そこが、ちゃんとした広告業者なら、高齢者ばかりを勧誘するという道義的な面は別にして違法性に関しては弱いということになる。

こういうのは確かに騙されやすい。要注意ということになる。

ただ、『掲載日を過ぎても4社が掲載紙を送ってこない』というのは、話を聞く限り、詐欺臭いな。

『納得できない』のであれば、それなりの調査をして対応をするしかない。

その結果、詐欺要素が強いということになれば警察に告発する、あるいは損害賠償訴訟を起こす。

または、国民生活センターに相談して、その業者の実名を知らせる。国民生活センターが悪質やと判断すれば、それが広く晒(さら)されることにもなるしな。

一般ができることは、それくらいやろうと思う。

まあ、何もせんよりかは『納得できない』という思いは晴らせるやろうがな。


以上が、その主な事例と対策ということになるが、このメルマガを見られて、実際に、これに関連した被害がある、あるいはそんな事例を知っているという方は知らせてほしいと思う。

一般的な対応、対策、およびアドバイスということなら、

1.業者の説明を鵜呑みにしない。

2.しつこく嫌な勧誘は毅然と断る。

3.承諾していない、できない支払いには応じない。

4.悪質な業者は「国民センター」や警察に通報する。

ということを徹底すればええとなるが、実際の事案では、なかなかそうもいかん場合が多い。

また、同じような事案でも、それぞれの事情、状況で微妙に違うからな。

サイトのQ&Aでも、そうやが、一見同じような相談に見えても、アドバイスはそれぞれで違うてくるさかいな。

正しくは、その事案毎に対応するしかないわけや。アドバイスも当然、それに沿ったものにする必要がある。

最後に、もう一度、読者の方にお願いしたい。

こういった事案があることを、高齢者の方と接する際に、雑談や世間話を交えて話すようにしてほしいと。

「最近、こんな詐欺電話で困っておられる方が多いそうですよ」と。

できれば、一度や二度だけやなく、会う度毎(たびごと)に繰り返し話すようにして頂けたらと。

しつこいと思われるくらいに。

そうすれば、お年寄り同士の間でも、その話がネタになって広まる可能性がある。

一番の対策は、そういった事実、事案を広く世間に知らせ、認識して貰うことやと思う。

騙される、詐欺に遭(あ)う最大の要因は、その事実があるということを知らんからやさかいな。

実際、「オレオレ詐欺」などは、多くの媒体による広報活動により、周知の事実として広く知られているから、最近では激減しているという歴然とした事実があるわけやしな。

新聞を利用しての高齢者への詐欺行為を阻止するには、それと同じように周知徹底させることや。

こういった詐欺行為に高齢者の方が引っかかり、「新聞が危ない」、「新聞は怖い」と新聞に対して疑念を持たれ離れられるようになったら、それこそ終いや。

新聞の命脈も尽きる。

それを阻止するためにも、何度も言うが、ここで、その情報を広く募集して、広めるしかないということや。

それについてのアドバイスなら、いくらでもするさかい、どんな些細な情報でも寄せて頂きたいと思う。


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