新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.1326 田舎から上京して新聞販売店で働こうと思うのですが


投稿者 Rさん  投稿日時 2015. 3.10 PM 0:37  


新聞の仕事をするようになってから、ここをたまに見ています。

いま田舎で新聞配達の仕事をしています。日本海側の田舎で、余り働く場所がなく夜の掃除の仕事と朝刊配達をしています。

もうすぐ43歳になりますが、思いきって上京して新聞販売店で働こうと思うのですが、こちらと違いバイクの乗車経験がないのと、集金業務と営業の経験がないので、少し躊躇しています。

あと、田舎の閉鎖的な人間関係がイヤで上京してやり直したい思いもあります。

ゲンさん、よろしくお願いいたします。


回答者 ゲン


『思いきって上京して新聞販売店で働こうと思うのですが、こちらと違いバイクの乗車経験がないのと、集金業務と営業の経験がないので、少し躊躇しています』と言われておられるところからすると迷っておられるようや。どうするか、決めかねていると。

もっとも、せやからこそ、ここに相談されたのやろうがな。

『田舎の閉鎖的な人間関係がイヤで上京してやり直したい思いもあります』というのが、どの程度のものなのか分からんさかい決めつけたことは言えんが、『閉鎖的な人間関係』という点だけを考えれば、田舎であろうと都会であろうと、それほど大差ないと思う。

田舎であるとか都会だからという区分けより『閉鎖的な人間関係』に陥るのは、その人の性質や考え方に由来する部分の方が大きいように感じるがな。

『閉鎖的な人間関係』に陥る人の特徴として、『人付き合いで好き嫌いが激しい』、『怒りっぽく感情をコントロールできない』、『自己顕示欲が強い』、『独善的な思考に陥りやすい』、『劣等感、または優越感が強い』、『妬み、嫉みが強い』、『物事に拘る』、『他人を許せない』といったことなどが挙げられる。

つまり、それらにより孤立することで、『閉鎖的な人間関係』に陥ってしまったと考えるのやな。

もちろん、あんたがそうなのかどうかは、これだけの相談文の内容から判断することはできんが、もし心当たりがおありなら、上記の部分を直さない限り、どこに行っても同じことの繰り返しになるやろうと思う。

ワシの個人的な意見やが、俗に『村社会』と言われる田舎特有のコミュニティのあり方こそが、人間本来の姿やという気がするがな。

人間に限らず、集団で生活する動物はすべて排他的やと思う。異形、異物を極端に嫌う。争いもそこから生まれてきた。

人の場合、他者を排斥し仲間内で結束することで生き残ってきたという厳然たる歴史がある。その結果、村が生まれ国が誕生した。

広い狭いの違いはあっても、人の世界が閉鎖的やというのは紛れもない事実やと思う。

そう考えれば『閉鎖的な人間関係』に悩む必要はないのと違うやろうか。多かれ少なかれ、どこに行っても起こり得ることやさかいな。

そうはいうても、どうしても東京に行きたいと言われるのであれば反対はせんがな。人生は、その人のものやから、好きなように納得される選択をされるしかない。

ただ、『ゲンさん、よろしくお願いいたします』と、ワシの助言、およびアドバイスが知りたいということのようなので、ワシなりの考えを今から話す。参考になるようならそうして欲しい。

『バイクの乗車経験がないのと、集金業務と営業の経験がない』という条件で、新聞販売店での働き口を探すのは、いくら東京方面とはいえ少し難しいかも知れんな。

『バイクの乗車経験がない』とのことやが、免許証は持っておられるのかな? 新聞販売店の募集では、最低でも『要原付免許』 というのが多いから、免許証がない時点で面接すら危ういのやないかと思う。

もっとも、中には自転車での配達可というところもあるから、それなら可能かも知れんがな。

例え免許証を持っておられるとしても、新聞販売店での交通事故発生率が結構高いさかい、『バイクの乗車経験がない』のであれば無理してバイクに乗られるのは勧められん。

あんたには言うまでもないことやと思うが、新聞というのは紙で軽いというイメージがあるが、これが結構な重量になる。それも荷台だけやなく、前かごにも積むことが多いから安定感には著しく欠ける。

原付バイクの最大積載重量は30キログラムやが、東京方面の新聞配達員の多くは、その重量をはるかにオーバーした新聞を積んで走ると聞く。それには新聞だけやなく折り込みチラシの量が多いということも関係しとるからやけどな。

明らかな積載違反をしているとはいえ、その程度で摘発されて反則キップを切られたという話は聞かんがな。ただ、慣れない者が無理をすると危ないのは確かや。

もっとも、バイクの運転に慣れた者でも危険なことには変わりないがな。

新聞配達時と重なる早朝、スピードを出して走る車が多く、特に運送会社のトラックなどが、その時間帯に集中するし、また、早朝時には点滅信号が多いというのも、危険に拍車をかける。

中には赤信号でも平気で突っ込んでくるバカもいとる。それで事故に巻き込まれることがある。

別に脅かすわけやないが、『日本海側の田舎』と言われている地域と東京では交通事情がかなり違うさかい、事故に遭遇する危険が高いということは覚悟しておいた方がええ。

『集金業務と営業の経験がない』というのは、やる気さえあれば何とかなるかも知れん。もちろん、向き不向きがあるから何とも言えんがな。

あんたが、それらの業務をするのが不安なら、自転車で配達のみ可能な新聞販売店を探されることや。

その場合、アルバイトでの配達ということになるさかい、一般の専業のように住む場所は用意して貰えんやろうから、ご自分で住む所を確保されるしかない。

ご自分で住む所を確保されて仕事を探されるのなら、あまり問題はないとは思うが、それが難しくて新聞販売店での住み込みを希望されるのなら、専業しか選択肢はないやろうと思う。

そうなると、先に挙げた危険と働き先の条件を良う吟味する必要がある。

あんたとは違う理由で新聞販売店に勤めたいという相談が、『NO.1066 新聞販売店の面接についてアドバイスをお願いします』 にあるのやが、その人も自転車でしか配達をしたことしかないと言われていた。

その時の回答の一部を抜粋する。


新聞販売店の面接で、その履歴書の志望動機欄に、『バイクの乗り方を覚えれば必ず貢献できると思います』という記述はまずいな。それやとバイクにまともに乗れるのかと誰でも心配するさかいな。

中略。

つまり、それだけ他の業種に比べて事故を起こす可能性の高い仕事で『バイクの乗り方を覚えれば』てなことを言うような危ない人間を雇うような気になるかということや。

他に応募者がおらんかったら、それでも採用するということはあるかも知れんが、いれば、そういう人間は真っ先に排除される。

せやさかい、本当にそこに採用されたいのなら、その部分の記述はない方がええということや。

念のために聞くが、バイクの免許は持っておられるのやろうな。新聞販売店で正社員になろうというのなら、それがなかったら、それも排除される理由になりやすいさかいな。

バイクの免許があるのなら乗っておられたこともあるやろうから、わざわざそれを広言せんでも、雇われた後からでも、ちょっと練習すればすぐに慣れると思う。

せやさかい、バイクの免許さえ持っておられるのなら、そんな記述はせず、『以前、新聞配達のアルバイトをしていた経験があるので、今度は正社員としてやっていきたいと思いました』で、ええと思う。

面接の第一義は、そこで仕事するためのアピールをすることや。正直でありたいというのはええが、それで自信のなさが出るようではあかん。

そんなことは、採用する側の立場で見れば、すぐ分かることやと思う。嘘を書くというのはあかんが、少々のことは自信ありげにしていた方が採用されやすい。そう考えとくことや。

それに、どんな仕事でも最初はみな初心者やねんから、それほど気にする必要はない。要は勤め出してから、どれだけ頑張れるかということに尽きるさかいな。


と。

この相談者の場合は、面接についてのアドバイスということやったので、そう答えたが、あんたの場合は、上京して新聞販売店に勤めること自体を悩んでおられるので、それに付け加えさせて貰う。

一口に新聞販売店と言っても、いろいろある。約束をきちんと守る所もあれば、良い加減な販売店もある。

あんたの場合は遠方ということもあり、そう何度も面接に行く余裕はないやろうと思う。

こうすれば、確実に間違いのない新聞販売店を選べるという保証はできんが、それでも「しもうた、こんな店やったとは思わんかった」と後悔せずに済む方法ならいくつかあるので、それをこれから知らせる。

1.メールでのやり取りを中心に探す。

あんたの場合やったら、インターネットでの求人情報やアルバイト情報雑誌の求人広告を頼りに探されるしか方法がないやろうと思う。

その場合、求人広告の文言を鵜呑みにせず、何度でも根気よくメールで確認することや。

きちんとした販売店であれば丁寧に嫌がらず対応してくれるが、ええ加減な販売店やと「取り敢えず面接に来てくれ。詳細はその時に決めよう」の一点張りで大した説明をせん場合が多い。

あるいは、メールでのやり取りを嫌い電話だけで済まそうというのも要注意や。電話での会話は証拠が残らんという安易な気持ちになり、ええ加減なことを言う者もいとるさかいな。

もっとも、その会話を録音しておけば後で争えるが、そんな相手と関わるだけでもつまらんと思う。

そういうのは総体的に後悔するケースが多いので、最初の段階で、そういった対応をする販売店は除外しておいた方がええやろうな。

心配せんでも東京には新聞販売店は無数に存在するさかい、根気よく当たれば必ず、あんたが良さそうやと思える店と出会えるはずや。

2.面接先は、できるだけ複数探す。

面接先は、なるべく多い方がええ。メールでのやり取りで、ある程度詰めた話をしていても実際に面接すると違うということもあるさかいな。

また、その面接先が100%雇うとは限らんということもある。断られることもあれば、即決しなくて後日結果を知らせるというケースもある。

そういったことを加味すると、『日本海側の田舎』から東京に行くまでかかる時間と費用が、どの程度かは分からんが、最低でも5、6店舗の面接を受けるくらいの準備をしておいた方が無難やと思う。

これは一般の仕事を探す時にも言えることやが、面接先の決定に依存するのやなく、数多くの面接をして採用してもええという返事を貰うた所から選別して決めた方がええと思う。

当然やが、面接先は複数の応募者の中から決めるのが普通や。それに合わせて律儀に一店舗ずつ面接して返事を待っていたんでは、いつになるか分からんさかいな。

面接先が複数の応募者の中から選んで決めるのであれば、こちらも数多くの面接先の中から決めるという姿勢で臨むことや。それが失敗を最小限度に抑える秘訣やと思う。

間違っても、メールのやり取りだけで安心して一店舗だけに決め、その相手先を確認せずに行くことだけは止めておかれた方がええと言うとく。

失敗したと後悔されるのは、たいていがそういうケースやさかいな。ましてや、求人広告の甘い言葉だけを信じて行くのは愚の骨頂やで。分かっておられるとは思うが。

3.基本的な条件は、必ず押さえておく。

給料、労働時間、休日、保険を含めた福利厚生は当然として、あんたの場合やったら『集金業務と営業の経験がない』ということやから、それをしなくも良いのか、しなければならないのかといったことは、必ず確かめておくことや。

もちろん、自転車での配達が可能か、どうかもな。

4.不安要素をなくしておく。

事故が起きた時の対処とか、誤配や遅配のペナルティといった、あんたが不安に思うようなことはすべて聞いて確認しとくことや。どんなに細かなことでも聞いて確認しといて損はないと思う。

以上が、ワシからのアドバイスや。

ただ、助言やアドバイスは参考にするもので最終的には、あんたがどうするか決めるしかないがな。

ワシがいくらええとか悪いと言うたとしても、そのとおりとは限らんし、ええと勧めた販売店が実は最悪やったということも考えられんことでもないさかいな。

単に長年の経験から、あんたの話を聞いて、こういう店ならほぼ大丈夫やろう、もしくはこんな販売店は要注意やなという程度のことしか伝えられんしな。

何でもそうやが新しく事を起こす、違う地域で心機一転を図るというのは相当な覚悟と思いがなかったらできることやないと思うさかい、じっくり落ち着いて考えられることを勧める。

「急いては事をし損じる」という昔からのことわざもあることやしな。

その上であんたが、どんな結論を下そうと、ワシらはその意思を尊重する。その結果がどうなろうと、困ったことが起きたら、またここに相談されたらええさかいな。


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