メールマガジン・ゲンさんの新聞業界裏話・バックナンバー
第375回 ゲンさんの新聞業界裏話
発行日 2015. 8.14
続ゲンさんの新聞勧誘営業講座 その1 新聞勧誘の心得
「十年一昔」と昔から言われ続けているが、現在の10年は過去のどの時代より物事の移り変わりが早くなっている。
10年前は最新のOSやったWindowsXPも今では過去の遺物になっているし、10年前は世界でも類を見ないほどの機能を備えていた日本の携帯電話も今ではスマホに取って代わられ、「ガラケー(ガラパゴス携帯)」と呼ばれ持っていること自体、バカにされるようなところがある。
ちなみに、ワシとハカセは未だに、その「ガラケー(ガラパゴス携帯)」の愛好者やがな。
それらの影響もあって、ネットの世界もこの10年の間に大きく変わった。
ワシらがHPを開設した11年前は、多くの個人、企業がそうしていた。ワシらのサイトも、その意味では当時、時代の最先端を行っていたと言えなくもない。
その後、ブログやツィツターが生まれ、さらにフェイスブックやラインといったSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が当たり前の時代になっている。
10年前までは電車の中や歩きながら携帯電話をいじっている人間は皆無に近かったが、今や大半の人間がスマホを片手に操作しているのが普通になっている。
ワシら昔の人間からすると、まるで『世にも奇妙な世界』にでも紛れ込んだような気になる。
ただ、それを批判するつもりはないがな。それも時代の流れと承知しているさかいな。
もっとも、スマホを歩きながら、あるいは自転車や車に乗っていて操作中の事故が絶えんが、そういった事さえなかったらという注釈付きではあるが。
基本的にワシらは人に迷惑さえかけへんかったら何をしても構わんと考えとる。
逆に、年輩者が時折、「マナーが悪い」として電車の中などで若者がスマホを操作していることに対して注意しているのをたまに見かけることがあるが、それはあかんと思うとるくらいや。
まあ、それは昔からあった電車内での根拠のない「携帯電話使用禁止」の張り紙のせいやとは思うがな。
現在、携帯電話を電車内で使用することによる不具合はないと科学的に証明されているため、そういった注意書きもなくなりつつある。
過去には携帯電話を使うことで電子機器や心臓病患者が装着しているペースメーカーの誤作動が生じると信じられていたが、それは根も葉もない間違った情報だと判明している。
しかし、年輩者の多くは一度、刷り込まれたマナー違反に対して融通が利かんため、つい注意してしまうのやろうと思う。
マナーについて人を窘(たしな)める場合は正しい根拠に基づいた上でする必要がある。闇雲に注意をすれば、ええというもんやない。
そんなことを言うと、「電車の中で携帯電話で話されるのは迷惑や」という声が聞こえてきそうやが、それは携帯電話でなくても隣の者同士で話している場合も同じことや。
たいていは、隣同士の人たちが話しているくらいで「うるさいから黙ってくれ」とは言わんもんや。
それをマナー違反と捉える人が圧倒的に少なく、マナー違反と決めつける者の方が、ひんしゅくを買う場合が多い。
よほど耳元で大きな声を出して喋っているのなら「うるさいから黙ってくれ」と言っても筋は通るが、隣の人同士が小声で話しているのと同じ声のトーンであれば、携帯で話しているからという理由だけでマナー違反に問うのは違うのやないかと考える。
過去のマナー違反が、今のマナー違反になるとは限らんさかいな。この事は時の流れが、そう変えさせつつある、ええ事例やと思う。
それと同じように、ワシらは11年前、サイトを開設した時、『ゲンさんの勧誘・拡張営業講座』(注1.巻末参考ページ参照)で新聞勧誘のあり方について、
その当時の感覚で良かれと思ったことを掲載し、それを参考にするよう言い続けてきたが、現在の状況に合わせて時の流れと共に変更せなあかん部分も多いのやないかと考えるようになった。
時代に即した新聞勧誘営業方法が必要やないかと。
そこで、これから何回かに分けて『続ゲンさんの新聞勧誘営業講座』と銘打って、それに取り組み、このメルマガ誌上で話すことにしたわけや。
ただ、過去のものをすべて変更するというわけやないので、重複する部分も多いとは思うが、それは分かって頂きたい。
その部分だけを除外して説明することなどできんさかいな。
取りあえず、今回はその第1回として『新聞勧誘の心得』について話すことにする。
続ゲンさんの新聞勧誘営業講座 その1 新聞勧誘の心得
はじめに
新聞勧誘とは、訪問販売に属する営業行為になる。今更な話やが簡単なものやない。
それは訪問営業全般についても言えることやが、人から歓迎されることなど殆どなく、多くは嫌われる仕事やからや。
その中でも新聞勧誘は最悪の部類に属するという認識を持つ必要がある。
営業というのは多くの職種で最も重要な仕事として認識され脚光を浴びるのが普通やが、新聞の場合はメジャーな存在でありながら、その仕事ぶりが良い意味で表に出ることは殆どない。
それどころか、新聞業界そのものが新聞勧誘の実態に関し、タブー視して隠す傾向にある。
そのため業界における新聞勧誘員の地位は低い。それに伴い一般社会からの評価も悪く嫌われているのが実状や。
もちろん、それにはそれなりの理由があるわけやが、新聞勧誘に携わる者は、まずその事を覚悟して取り組む必要があると言うとく。
それが、どんなに理不尽だと感じることがあってもや。
ただ、そうした部分を乗り越えて契約が得られた時の喜び、達成感には格別なものがあると言うとく。
そのための一助になればとの思いを込めて精一杯語らせて頂くつもりや。
その1 新聞勧誘の心得
1.人間関係を作れ
こういうと何か難しい事のように捉える人がおられるが、要するに訪問する客に気に入られ、嫌われんようにしろということや。
営業とは、人が人を説得し、物品を売り込む仕事や。それ以外に何もない。
相手が欲している物を売って買って貰うのは、それほど難しくはない。しかし、買う気がない物をその気にさせて買わせるには、それなりの方法、技術が必要になる。
そのための方法は、いくらでもあるが、ワシはその中でも『人間関係を作る』ことが最善の方法やと昔から信じて、それを推奨してきた。
ただ、『人間関係を作る』というのは時間がかかるものと思われている人がいるようやが、人が人を「気に入った」、あるいは「気にいらん」と認識するのは、ほぼ一瞬で決定するもんや。
時間など、あまり必要としない。
人が人を判断するには「出会って3秒〜5秒」もあれば十分だと言われている。
これはアメリカの心理学者、アルバート・メラビアンが1971年に提唱した『メラビアンの法則』に由来するもので、人物の第一印象の殆どは視覚情報と聴覚情報から得られているとする概念のことを指す。
『メラビアンの法則』によると、人が初対面の相手を判断する場合、「見た目」、「表情」、「仕草」、「視線」などによる視覚情報が55パーセント、「声の質」、「話すスピード」、「声の大きさ」、「口調」などの聴覚情報が38パーセントを占めるという。
両方で実に93パーセント。それを3秒〜5秒の短時間で直感的に相手の善し悪しを判断しているわけや。
営業員からすると意外に思うかも知れないが、「言葉の意味」、「話の内容」といった言語情報は残りの7パーセントほどしかないとのことや。
勧誘トークに磨きをかけることが不必要とは言わんが、それよりも第一印象を良くする工夫に腐心した方が、ええのは確かや。
ここでワシの言う「人間関係を作れ」というのには、如何にして第一印象を良くして「感じの良さそうな人」、「話くらい聞いてみても良いか」と思わせるための方法も含まれていると理解して貰いたい。
当たり前やが、第一印象が悪ければ、勧誘営業は、ほぼ絶望と考えてもええくらいやさかいな。
反対に、最初のつかみで気に入って貰えれば高確率で上手くいく可能性が大なのは間違いないからな。
そのつかみが成功した先に「信用」、「信頼」といった個人的な関係が生まれるものとワシは信じている。
そして、最終的に顧客と人間関係が出来上がり、「信用」、「信頼」を勝ち取った営業員は間違いなく成功すると自信を持って言える。
その方法を話し出すと多すぎるので、他の回で詳しく説明するが、ここでは、単に第一印象を良くするために人間関係を作ることが必要だと知っておいて頂きたい。
2.現状を知れ
新聞勧誘営業の現状を把握している人と、そうではない人との差は大きい。
基本的に訪問営業はインターホンを押して出てきた客に物品を売り込む仕事やが、訪問した先の家が留守、あるいは在宅していてもそのインターホンに出ないで居留守を決め込むか、出ても面談に応じないというケースが多い。
中でも、「結構です」、「新聞はいりません」と、インターホン越しに断られる場合が大半を占める。俗に言う「インターホン・キック」というやつや。
概ね9割程度は相手にされなくて普通だと考えておく必要がある。「インターホン・キック」が多くて当たり前だと。
そのことを認識していないと、訪問する毎に、ことごとく断られることにより意気消沈してやる気が失せてしまいやすいが、知っていれば「この仕事は、こんなものだ」と割り切り、続けていくことができる。
また、それぞれの新聞社や販売店、新聞拡張団の事情を知ることも重要やし、勧誘する地域や客層の違いを把握もしておいた方がええ。
勧誘する時間帯、および季節、天候などの諸条件などの諸条件によっても違いがあるということを知っておくべきや。
そういった情報はワシらのもとに数多く届けられているので、それに関しても伝えていきたいと思う。
3.基本を知れ
これも今更な話やが、営業をするには基本的なことを知っておく必要があると言うとく。
営業テクニックの習熟は無論のこと、心構え、忍耐力、意欲などの精神面を鍛え強くすることも重要やし、創造力、創意工夫のできる柔軟な思考力の向上も大切な要素になる。
営業の第一義は物を売ること、契約をして貰うことや。
そのための方法は無数にある。一つの方法がダメでも別の方法が必ずある。
このシリーズが進めば、そういったことも分かって貰えるとは思うが、多くの人は基本的なことを学ぶのは嫌がる傾向にあるようや。
「そんなことは常識やないか」、「今更な話は必要ない」と、つい考えてしまうんやな。
しかし、何事においても基本ほど大切なものはない。基本を知らん者は絶対に大成しない。そして、基本は繰り返し根気よく続けな意味がない。
ただ、基本だけでは、それ以上にはなれないのも、また事実や。基本を熟知した上で、その基本から離れた発想をすることも必要や。
もっとも、基本ができてないのに高度な技術を欲しても身につかんがな。これはすべてに共通する真理やと思う。
4.己を知れ
自分を知ることほど大切なものはない。しかし、それが実は一番難しい。
誰でも自分を知ったつもりになっているが、意外に気がつかないことも多いからや。
人には実際より高く自分を評価するナルシスト・タイプと自分の評価を低く見積もる自虐タイプがいるが、いずれも誤った自己評価にしかならない。
誤った自己評価では、当然やが正しい自分を知ることなどできない。
自分を正しく認識することで客観性が生まれる。客観的に自分の評価ができれば、様々な場面で、どう行動することがベストなのかということが自ずと分かってくる。
「彼を知り己を知れば百戦殆(あやう)からず」という有名な孫子の教えがあるが、まさにその通りやと思う。
敵を知って自分を知っていれば必ず勝てるというのは営業の世界でも言えることや。
新聞勧誘営業の場合、『敵』とは『客』になる契約対象者のことを指すが、自分がどんなタイプの人間かということを客観的に知っていれば、その『敵』をどう攻めれば良いのかが分かるはずや。
また、そうなるように解説していきたいと考えている。
5.タブーを知れ
ここで言うタブーとは新聞勧誘員としてしたらあかんことや。
さすがに現在では、その昔主流やった「喝勧」のような人を脅して契約を取るといった者は激減しているが、それでも皆無になったわけやない。
一部に残っているという話も未だに届けられるさかいな。
加えて「引っかけ」や「騙し」、「てんぷら(架空契約行為)」といった業界での禁止行為も同じように、なくなったわけやない。
むしろ今は、そういった行為が表に出せん分、巧妙化する傾向にある。そういったことも暴いていきたいと考えている。
人間は良い意味でも悪い意味でも、その方法を進化させる生き物や。
当たり前やが、やったらあかんことは、やったらあかん。
現在は、そのための法律が11年前とは格段に整備されとるから、そういった事を中心に話していきたいと考えている。
6.勧誘営業を知れ
『続ゲンさんのゲンさんの勧誘・拡張営業講座』と銘打っておきながら、この項目を最後に持ってきたのには、それなりの理由がある。
ワシらのもとには「勧誘営業について教えて欲しい」というメールが数多く届けられてくる。
同然のように、「手っ取り早く勧誘のテクニックが知りたい」、「どうすれば契約が取れるのか、その方法を教えて欲しい」といった類のものばかりや。
それは仕方ない。それを望んでいるのもよく分かるし、そういった質問、相談をされる方が現在、契約が取れなくて切羽詰まった状況に置かれているというのが分かるさかいな。
ただ、勧誘営業についての心構えができていないうちに、一足飛びにテクニックだけを知っても上手くはいかない。
物事には、それなりに段階というものがあるからや。それを知って頂く意味で、この項目を後回しにしたわけや。
けっして疎かに考えとるわけやない。ワシは、その方法を20年以上も日々考え続け実践してきたから、それに対する思い入れも強い。
事に当たるには心構えが重要で、それなくして、どんな営業テクニックも身に付くことはないと言うとく。
以上が、このシリーズを始める前に言いたかったことや。
次回からは、より実践的な項目に移っていきたいと考えているので期待して頂きたいと思う。
参考ページ
注1.ゲンさんの勧誘・拡張営業講座
http://siratuka.sakura.ne.jp/newpage9.html
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