メールマガジン・ゲンさんの新聞業界裏話・バックナンバー

第402回 ゲンさんの新聞業界裏話


発行日 2016. 2.19


■報道の危機……その4 電波停止発言の波紋は新聞報道にも関係する?


以前から、そうやったが、ここに来て安倍内閣による報道規制が、さらに露骨になっている。

その典型的なのが、2月8日の衆院予算委員会での高市早苗総務大臣の発言や。


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160208-00000059-asahi-pol より引用


高市総務相、電波停止に言及 公平欠ける放送に「判断」


 高市早苗総務相は8日の衆院予算委員会で、放送局が政治的な公平性を欠く放送を繰り返したと判断した場合、放送法4条違反を理由に、電波法76条に基づいて電波停止を命じる可能性に言及した。

「行政指導しても全く改善されず、公共の電波を使って繰り返される場合、それに対して何の対応もしないと約束するわけにいかない」と述べた。

 民主党の奥野総一郎氏が放送法の規定を引いて「政権に批判的な番組を流しただけで業務停止が起こりうる」などとただしたのに対し、高市氏は「電波法の規定もある」と答弁。

 電波停止などを定めた電波法76条を念頭に、「法律は法秩序を守る、違反した場合は罰則規定も用意されていることで実効性を担保すると考えている」と強調した。

 そのうえで高市氏は、「私の時に(電波停止を)するとは思わないが、実際に使われるか使われないかは、その時の大臣が判断する」と語った。

 放送法4条は放送の自律を守るための倫理規範とされてきたが、高市氏はNHKの過剰演出問題で、行政指導の根拠とした。

 この点についても「放送法の規定を順守しない場合は行政指導を行う場合もある」との考えを重ねて示した。

「政治的な公平性を欠く」の事例については、「国論を二分する政治課題で一方の政治的見解を取り上げず、ことさらに他の見解のみを取り上げてそれを支持する内容を相当時間にわたり繰り返す番組を放送した場合」などと列挙。

「不偏不党の立場から明らかに逸脱していると認められるといった極端な場合には、政治的に公平であるということを確保しているとは認められない」とした。


この高市早苗総務大臣は、以前このメルマガで無茶苦茶な論法をかざす御仁として紹介(注1.巻末参考ページ参照)したことがある。

ちなみに、その発言のあった2013年6月当時、高市早苗氏は政調会長をされていた。自民党の三役と呼ばれる要職である。

ちなみに、その発言とは、


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130618-00000097-jij-pol  より引用

野党、高市氏の辞任要求=自民からも批判


 自民党の高市早苗政調会長が原発再稼働をめぐり「原発事故で死亡者が出ている状況ではない」などと発言した問題は18日、与野党に波紋を広げた。

 野党各党は高市氏の辞任要求を含め激しく反発。与党内からも東京都議選や参院選への影響を懸念し、批判の声が上がった。

 民主党の細野豪志幹事長は衆院議員会館で記者団に対し、政府が認定した福島県内の「震災関連死」が1400人近くに上ると指摘した上で、「この数字を踏まえることができない人は政権を担う資格がない。与党の政調会長失格だ」と述べ、辞任を促した。

 海江田万里代表も党の会合で「自民党幹部の発言には、命を軽んじる発言が多く見られる」と批判した。

 日本維新の会の橋下徹共同代表(大阪市長)は市役所での会見で、「死亡者が出ていなくても、精神的被害など計り知れない被害がある。今の日本では原発推進は目指すべき道ではない」と指摘した。

 みんなの党の江田憲司幹事長は国会内での会見で「高市氏は即刻、政調会長、政治家を辞めるべきだ」と強調した。

 共産党の市田忠義書記局長は東京都内の街頭演説で「高市氏は福島県民の前で(同じことを)言えるのか。こんな人物に政党幹部を務める資格はない」と切り捨てた。

 一方、自民党の小泉進次郎青年局長は国会内で記者団に、「被災者の立場、苦しい環境に思いをはせ、国の責任を踏まえた上で発言しなければならない」と苦言を呈し、同党の溝手顕正参院幹事長も会見で、「人が死ぬとか死なないということと(再稼働問題を)一緒にすることはない」と述べた。

 公明党幹部も「被災者の実態が分かっていない」と批判した。

 高市氏は同日、国会内で菅義偉官房長官と会い、自らの発言について釈明した。 


というものや。

この発言は政府与党内からも批判を受け、当時の新聞、テレビ報道で散々叩かれていた。その報道により辞任すべきという意見が世論の大半を占めた。

結局、高市早苗氏は政調会長の職を辞することはなく居座り続けた。

もっとも、その結果、この発言が原因で政府与党主導による原発の再稼働が3年以上延びたがな。

その時、高市早苗総務大臣は、今回発言したように『放送局が政治的な公平性を欠く放送を繰り返した』と受け取ったのやないかという気がする。あまりの叩かれようでな。

その意趣返しとして、こういう発言をしたのやないかと。穿った見方かも知れんが、そう思えてならん。

まあ、百歩譲って、そうやないにしても、この御仁は自身の発言が、どういう意味を持つか、よく理解されておられないようや。

馬鹿とまでは言わんが、思慮が足らん上に魂胆があまりにも見え透いていると言わざるを得ない。

放送法というのは、戦時中の「大本営発表」のように政府や軍部による権力側の一方的な報道を阻止する狙いで戦後間もない1950年に制定されたものや。

放送法第1条第2項には『放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること』とある。

つまり、放送の自律や表現の自由の確保を原則としていて、そのたの外圧、特に権力の筆頭である政府の介入は認められないと捉えるべきやと思う。

それを裏づける規定が、放送法第3条(放送番組編集の自由)にある。

『放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない』というのが、それや。

『法律に定める権限に基づく場合』というのは、放送法第4条(国内放送等の放送番組の編集等)で、


一 公安及び善良な風俗を害しないこと。

二 政治的に公平であること。

三 報道は事実をまげないですること。

四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。


と定められている。

これを盾に高市早苗総務大臣は『放送局が政治的な公平性を欠く放送を繰り返したと判断した場合』と言うてるわけや。

『一 公安及び善良な風俗を害しないこと』というのは、公序良俗と呼ばれとるもので、これには明確な法律違反が伴うさかい、刑事罰として処罰される。

『二 政治的に公平であること』が、政府にとっての一番の問題点やろうと思うが、そもそも『政治的に公平』とは何か。

ワシには、「政府のやることには批判するな」という風にしか聞こえん。「一方的に政府に対する批判的な放送ばかりしていたら、処罰するぞ」と。

それが本音やろうと思う。しかし、それは独裁者の考えることや。

新聞も含めて報道機関には国家権力を監視する役目を担うという大きな使命がある。となれば、政府に対する批判的な報道が増えるのは当然や。

公平に報道しろと考える方がおかしい。政府が批判されることを嫌ったら、その時点で終いや。

批判される事、もしくは批判されると予想されるからこそ、そうならないようにしようと考えるのと違うのかと思う。

要は批判されるようなことをしたり言うたりせな、ええだけの話や。

そうすることが本当の意味で良い政治に結びつくものと信じる。批判の芽を摘むことやない。

もっとも、そのことを分かっていれば今回のような高市早苗総務大臣の発言は生まれなかったやろうがな。

まあ、暗黙裡に恒常的にテレビ局に対して総務省側が、その手の脅しをかけとるとは聞くがな。役所にありがちな権力誇示の一環として。

そのことを伝え聞いた高市早苗総務大臣が、さして深く考えもせず発言したというのが、本当のところやないかという気がする。

ワシが『馬鹿とまでは言わんが、思慮が足らん上に魂胆があまりにも見え透いていると言わざるを得ない』という所以が、そこにある。

電波法第76条に、

『総務大臣は、免許人等がこの法律、放送法 若しくはこれらの法律に基づく命令又はこれらに基づく処分に違反したときは、三箇月以内の期間を定めて無線局の運用の停止を命じ、又は期間を定めて運用許容時間、周波数若しくは空中線電力を制限することができる』

とあるさかい、その権限と判断を下す権利が総務大臣である自分にあると言うてるわけや。

一見すると、そうかなと思いがちやが、それは断じて違う。

政府機関に、そんな権限が生じれば『戦時中の「大本営発表」のような政府や軍部による権力側の一方的な報道を阻止する』ことなんかできんようになるし、同じ過ちを繰り返す危惧が大やさかいな。

放送、報道の自由、独立性など、ないに等しくなる。

まあ、現在の自民党政府は報道を牛耳ることで、世論を政府の意のままに誘導したいのやろうがな。その魂胆は見え見えや。

高市早苗総務大臣は『放送局が政治的な公平性を欠く放送を繰り返したと判断した場合』と言うとるが、その判断を下す権限はない。

当たり前やが、そんな判断を総務大臣が自由に下せるのなら、放送法など、あってないのも同じやさかいな。

そもそも総務省は許認可の是非を判断する役所で、一度認可したものは法律に違反しない限りは取り消すことはできん。

事実、過去において電波を止めたという例は皆無やさかいな。

放送法に関しては、放送法第4条(国内放送等の放送番組の編集等)を守る手段として、放送法第6条(放送番組審議機関)で『放送事業者は、放送番組の適正を図るため、放送番組審議機関を置くものとする』と決められている。

それには『BPO(放送倫理・番組向上機構)』というのがある。

問題が生じれば、そのBPOで審議し、放送事業者に意見や指導するなどして現在でも十分に機能している。

政府が介入する余地や必要はまったくないし、してはならない。

その程度のことも分からず『放送局が政治的な公平性を欠く放送を繰り返したと判断した場合、放送法4条違反を理由に、電波法76条に基づいて電波停止を命じる可能性』に言及したという。

もっとも、それがおかしなことやと分かっているからこそ『私の時に(電波停止を)するとは思わないが、実際に使われるか使われないかは、その時の大臣が判断する』と言って逃げたのやろうがな。

つまり、高市早苗総務大臣は、本気で『電波停止を命じる』ことなんかできるとは考えておらず、そう言うことで各放送局による政府への批判発言を抑えることが狙いやったと思われる。

せやからこそ、これだけの大騒ぎになっているわけや。その意図が、あまりにも見え透いとるさかいな。

今回の問題の伏線は、去年、2015年11月6日、BPOが発表した意見書にあった。


http://www.bpo.gr.jp/?p=8322  より引用

NHK総合テレビ『クローズアップ現代』"出家詐欺"報道に関する意見


 NHK総合テレビ『クローズアップ現代』(2014年5月14日放送)と、その基になった『かんさい熱視線』(同年4月25日放送 関西ローカル)は、寺院で「得度」の儀式を受けると戸籍の名を変更できることを悪用した"出家詐欺"が広がっていると紹介。

 番組で「ブローカー」とされた人物が、演技指導によるやらせ取材だったと告発したのに対して、NHKは「過剰な演出」などはあったが「事実のねつ造につながるいわゆるやらせは行っていない」との報告書を公表していた。

 委員会は、NHK関係者のみならず、番組で紹介された「ブローカー」「多重債務者」に対しても聴き取り調査を行った。

 その結果、2つの番組は「情報提供者に依存した安易な取材」や「報道番組で許容される範囲を逸脱した表現」により、著しく正確性に欠ける情報を伝えたとして、「重大な放送倫理違反があった」と判断した。

 その一方で、総務省が、放送法を根拠に2009年以来となる番組内容を理由とした行政指導(文書での厳重注意)を行ったことに対しては、放送法が保障する「自律」を侵害する行為で「極めて遺憾である」と指摘した。


もっともな意見やと思う。

特に『総務省が、放送法を根拠に2009年以来となる番組内容を理由とした行政指導(文書での厳重注意)を行ったことに対しては、放送法が保障する「自律」を侵害する行為で「極めて遺憾である」と指摘した』のは、誰が見ても完全な越権行為やったと言うしかない。

しかし、政府は、それを認めようとはせず、すぐに反論している。


http://www.asahi.com/articles/ASHCB5KPHHCBUTFK00L.html  より引用

首相、BPO意見書に反論「法規違反に対応は当然」


 放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会が6日に発表した意見書で、NHK番組「クローズアップ現代」の過剰演出問題をめぐる高市早苗総務相や自民党の対応を批判したことが、10日の衆院予算委員会で取り上げられた。

「番組介入許されない」 BPO、強い姿勢見せる

 高市氏は文書による厳重注意の根拠として、「報道は事実をまげないですること」とした放送法第4条などの規定を挙げている。

 この点について、意見書は「放送事業者が自らを律するための『倫理規範』であり、総務相が介入する根拠ではない」と主張。同法が保障する放送の「自律」を侵害した、としている。

 安倍晋三首相は10日の予算委で「単なる倫理規定ではなく法規であり、法規に違反しているのだから、担当官庁が法に則(のっと)って対応するのは当然」とBPOに反論した。

 さらに意見書が「政権党による圧力」とした自民党情報通信戦略調査会の事情聴取についても、「NHK予算を国会で承認する責任がある国会議員が、事実をまげているかどうか議論するのは至極当然だ」と語り、正当性を強調した。


ワシらのスタンスとして反対意見も必ず示すことにしているが、現在の自民党政府、および安倍晋三首相の主張では、そうすればするほど、あまりにも稚拙すぎる発言ばかりが目立つ。

議論の体をなしていないと。それに気づかない、気づこうとしない自民党国会議員が、あまりにも多いと。

どうして、そこまで、ありとあらゆる法律の解釈を自分たちの都合の良いように考え、変えられるのやろうかと思う。

記憶に新しいところでは、去年2015年10月1日、強行可決された「安全保障関連法案」について、実に1万人近い憲法学者の方々が『戦争行為を禁じた憲法第9条に照らせば明らかな憲法違反』と言っているにも関わらず、自民党政府の解釈では「合法」として押し切ったということがあった。

しかも、その当時、自民党政府自身が国会に招いた憲法学者3人全員が、その場で「安全保障関連法案」は「憲法違反」だと明確に指摘していたのにである。
 
当時の世論調査でも国民の8割超が「安全保障関連法案」に反対という結果が出ていたし、連日のように大規模な抗議デモが起きた。

その中心は自主的に集まった主婦やサラリーマンなどの一般市民たちである。組織だった先導者など皆無に近い。

これは日本の長い歴史の中でも殆どなかった珍しいことやった。

そんな声を自民党政府は簡単に無視した。

そんなことができるのは独裁国家以外にはない。今や日本は、自民党政府により独裁国家に変貌しつつあると言うても過言やないと思う

その背景には、圧倒的多数の議席を持っているということがあるからや。そのため何をしても許される。やれると考えている。

次に自民党政府が狙うのは「日本国憲法の改正」で、それが成れば事実上、日本は自民党、および安倍晋三首相の独裁国家になり果てるのは、ほぼ間違いないものと思う。

民主国家の憲法とは政治家が暴走するのを防ぐためのもので、政治家が自分たちの都合の良いように変えるべきやない。

本来は国民の側から、「この憲法の条文はおかしいから変更、改正すべき」という声が上がって初めて議論されるものやなかったら、あかんと思う。

そんな根本的な論理すら分からず、自民党政府は強引に憲法改正を押し進めようとしている。そして、どうやら、近い将来、それができると確信しているようなところがある。

今回の高市早苗総務大臣の『電波停止』発言も、それを見越してのことやと考えれば納得がいく。

独裁国家が、真っ先に考えることは報道規制やさかいな。それがしたくての発言やろうと。

実際、自民党政府は、そう受け取られても仕方ないことをしている。

2015年4月18日の報道記事に、


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150418-00010001-doshin-pol  より引用

強まる「政治圧力」 自民、テレ朝とNHK聴取 報道萎縮の懸念


.「おわびはしたのか」と質問

 自民党は17日の党情報通信戦略調査会にテレビ朝日とNHKの幹部を呼び、報道番組の内容について事情を聴取した。

 第2次安倍政権以降、政府・自民党が放送法を盾にテレビ局に注文を付ける事例が目立つ。

 安倍晋三首相の力の源泉でもある世論の支持に、大きな影響を与える報道に神経をとがらせる政権。

 野党や識者は「政治圧力だ」と批判を強めるが、安全保障関連法案の審議や憲法改正議論もにらみ、さらに関与を強める可能性もある。

「(番組で)名前が出た人に、おわびはしたのか」。調査会会長の川崎二郎元厚生労働相は17日の会合で、テレビ朝日の福田俊男専務にこう質問した。

 自民党が問題視するテレビ朝日の番組「報道ステーション」は3月27日の放送で、コメンテーターが自身の番組降板に関して菅義偉官房長官らから「バッシングを受けてきた」と発言。

 質問は菅氏への謝罪要求にも取れるが、川崎氏は会合後の記者会見で「事実関係を聞いただけ」と否定した。

 45分間にわたったこの日の会合で、多重債務者による詐欺を取り上げた番組「クローズアップ現代」でのやらせが指摘されたNHKへの聴取は約10分。大半は政権批判の内容が問題視されたテレビ朝日への質疑に費やされた。
.
 安倍政権とメディアの動き

「政権党の広報機関に」

 こうした自民党の対応に、維新の党の柿沢未途政調会長は記者会見で「呼び出して問い詰める場を設定するのは、非常に不適切だ」と批判した。

 与党からも「介入と受け止められないよう、慎重な対応が必要だ」(公明党の井上義久幹事長)との声が出る。

 放送法は、公共の電波を使う放送局の社会的影響の大きさを踏まえ、公平・公正な報道を求めている。自民党が「事実と異なる報道は放置できない」と聴取の正当性を主張する根拠にもなっている。

 だが、政権与党による特定の番組内容への調査は報道の萎縮につながるとの懸念は根強い。

 上智大の田島泰彦教授(メディア法)は「(両局幹部を)呼ぶこと自体が力関係を背景にした圧力」と指摘。

「日常的に行われると自由な放送は非常に制約され、政権党のある種の広報機関になる」と危惧する。

 元NHKプロデューサーの永田浩三・武蔵大教授は「自民党の揺さぶりは続く。報道機関は自民党ではなく、国民に味方になってもらうため、自ら襟を正さなければならない」と話した。


というのがある。

その結果と思われるが、テレ朝ではその後、自民党政府に対して批判的なコメントを繰り返していた古賀茂明氏を番組から降板させ、

また同じく辛辣な論調を繰り返し、自民党政府与党の関係者から嫌われていた古舘伊知郎キャスターも今年の3月末で降板するという事態になった。

また、23年間に渡りNHKの看板報道番組「クローズアップ現代」のキャスターを務めてきた国谷裕子氏が3月17日を最後に降板させられることが決まった。

これらの異例とも言える突然の降板劇は、明らかに自民党政府の圧力がかかったからやと推察できる。

いずれのケースも表向きは自民党政府与党の圧力ではなく、あくまでもテレビ局側の編成の事情という形になってはいるがな。

茶番以外の何ものでもない。ワシには、テレビ局が自民党政府与党の圧力に屈したとしか見えん。

こういう形で民主主義が徐々に崩壊していくのやろうと思う。

その結果、世界で唯一とも言える日本の平和憲法が変えられ、政府が絶対的な力を持つようになれば、70年前の太平洋戦争の悪夢が再び再現しないとも限らない。

現時点で違うと言えるのは、70年前はアメリカとの戦争が主体やったが、次はそのアメリカと共闘して、他国との戦争になるやろうということや。

いずれにしても今のままの独裁的な政治では、そうなってもおかしくはないということや。

今なら、まだそれを阻止することができる。しかし、そのチャンスは限られる。

それは選挙しかない。今年は参議院議員選挙がある。その場で「独裁的な政治」は断固として受け入れられないという意思表示をする必要がある。

諸悪の根元は、あまりにも偏りすぎる議席数にある。

そら、強行採決することができるほどの議席数を与えられれば、現自民党政権でなくても勘違いする。

前民主党政権の時も同じやった。圧倒的多数の議席を確保したが上に、初めての政権奪取で舞い上がって失敗し、結局、国民から見放された。

現自民党政権が圧倒的多数の議席を確保しているのは、その反動のせいが大きいわけやが、そろそろ民主党が嫌いやから自民党に投票するしかないという感覚を国民は捨てた方がええと思う。

確かに現在の民主党には政権を担えるだけの能力はない。期待ができんのも、よく分かる。その思いはワシも同じや。

ただ、政権の暴走を止める野党の一つとしてなら、まだそれなりに存在価値はあるのやないかと思う。もちろん、それ以外の野党も同じやがな。

ワシらは自民党が特別嫌いというわけやない。政権を取っていても一向に構わないと考えとる。

ただ極端な権力の集中につながるような議席を与えるべきやないと言うてるだけや。

世の中、すべての事について言えることやが、バランスというものが最も大切やと思う。

ワシらは政権与党と野党との差が拮抗していることが最も望ましい状態やと考えとる。少なくとも強行採決が許されるほどの議席を政権与党に与えるべきやないと。

今のままの状態が続けば、本当に新聞やテレビの報道は萎縮して、政府の言いなり、御用報道に成り下がる。

すでに一部の新聞、テレビ局はそうなっているという意見も聞く。

新聞やテレビの報道が制限され萎縮すれば、やがて言論の自由そのものが規制され脅かされることになるのは目に見えている。

ワシらには何の力もないが、声くらいは上げることができる。あかんと思うことは、これからもあかんと言い続けるつもりや。



参考ページ

注1.第263回 ゲンさんの新聞業界裏話  ■自民党の危険な原発再稼働政策を阻止するには
http://siratuka.sakura.ne.jp/newpage19-263.html


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