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第411回 ゲンさんの新聞業界裏話
発行日 2016.4.22
■熊本地震で見えてきた問題点 その1 多発型連続地震化について
またもや大地震が起きた。それも今回は過去に前例のない多発型連続大地震で、いつ終わるとも知れない状態やという。
いつもは今後の見通しを発表する気象庁ですら、その予測ができないと言って匙を投げた格好になっている。
場合によれば、今の状況が長期化する可能性があると。そうなれば、当然のように被害が増大する。
そんなことは信じたくはないが、現実に熊本県を中心とした九州で起きている。いや起きつつあると言った方が良いのかも知れない。
ちょうど一週間前の2016年4月14日午後9時26分頃、熊本県熊本地方を震源とする、マグニチュード6.5、最大震度7の大地震が発生した。
さらに、その28時間後の4月16日午前1時25分頃には、同じく熊本県熊本地方を震源とする、マグニチュード7.3、最大震度7(当初震度6強と発表されたが訂正)の大地震が発生した。
これまでの常識では1度目の大地震が発生した後は、それよりも小さい余震が続くものと考えられていたが、今回のケースは2度目の方が規模的には大きいということで、便宜的に4月14日午後9時26分頃の地震を前震、4月16日午前1時25分頃の地震を本震と呼ぶことにしたという。
もちろん、こんなことは前例のないことや。少なくとも日本で地震計による地震観測が始まった1872年以降、始めてのことやという。
大地震に分類される「烈震」の震度6弱以上の揺れが、前震、本震の他に4月19日までに計5回発生し、「強震」とされる震度5弱以上の揺れに至っては計10回も観測されている。
本来なら、大きな地震が発生したという大ニュースになるレベルの規模が、1週間足らずのうちに合計で17回も発生している計算になる。
しかも、それらの震源地は一定していない。大部分が熊本県熊本地方やが、その中でも微妙に移動し、熊本県阿蘇地方から、ついには大分県中部地方にまで移動している。
タチの悪いことに、これらには熊本地震による余震以外にも、それぞれが独立した震源地を持つ個別の地震が発生しているという。誘発的に地震が発生し続けていると。
そして、今後も同レベルの震度を伴う地震が発生する確率が、かなり高いものと気象庁でも会見で認めている。
それも今後は九州だけやなく、四国、近畿、果ては関東方面にまで延びる可能性があると予想している専門家も多い。
その根拠は、今回起きている地震が中央構造線断層帯に沿って発生しているからやと言う。
中央構造線断層帯とは、地震を引き起こす原因とされる活断層が集中している地域のことや。
活断層のずれが地震を引き起こすことは広く知られているが、その活断層の集合体が帯びとなって九州、四国、近畿、関東方面まで連なっているというのは一般ではあまり知られていない。
ワシらも今回初めて、そんなものがあると知った。
現時点では、その活動は九州のみに止まっているが、中央構造線断層帯に沿って地震域が拡がる可能性があると言われている。
いつ終息に向かうのかすら分からない先の見えない多発地震の引き金を、今回の熊本大地震が引いたことになるかも知れないと。
そういうのは、あくまでも予想、予測の域で終わって欲しいし、現実には何も起きないことを祈りたいが、如何せん素人のワシらには、それが当たるとも外れるとも言い切れん。
ただ、今から400年前の古文書に、今回と同じようなパターンで熊本地方に地震が連続して起き、それが関東にまで及んでいるとの記述があるという。
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20160419-00000007-jnn-soci より引用
400年前の地震と類似?古文書に予測の手がかりは
今回の熊本地震は、観測史上、例を見ない形で震源地が移動しているといわれています。予測の難しい今後の地震活動ですが、歴史にその手がかりを探すことはできるのでしょうか。
被害の大きかった場所の1つ、熊本県西原村。村は、今回、大きな揺れを引き起こした布田川断層帯の上に位置しています。
住民男性が見せてくれた村の郷土誌にはこう書かれていました。
Q.布田川・日奈久断層が1200〜1500年前ごろに活動していたと?
「予測してあったな。布田川断層を抱えているので、この辺りは大地震に見舞われるという認識はみんな持っていたと思う」(住民男性)
断層があると認識しながらも、「まさか来るとは思わなかった」といいます。
「古文書を見直すと、観測史上、例がないことではなく、よく観測されている可能性があることがわかった」
歴史研究家の磯田氏は、今回の熊本地震と似た事例がおよそ400年前に起きたと指摘します。
「卯の刻より大地震い、午の刻にいたり、城楼崩壊す」
磯田氏の調べた古文書によりますと、1619年3月17日、熊本県八代地方で地震が発生。余震が長期間続いたといいます。
また、このときは、熊本だけではなく、現在の大分県に当たる豊後地方も大きく揺れたとの記述があります。
「今回のように、最初の揺れではお城は残っているが、余震活動が活発で、どんどん建物を壊していくという様子が、約400年前の地震でも同じような傾向がある。熊本の地震が大分に波及、もしくは同時に大分で起きるということが、このとき(400年前)も起きた可能性が高い」(国際日本文化研究センター 磯田道史准教授)
今回、熊本城は被害を受けましたが、400年前も、たび重なる地震によって熊本城が崩れたといいます。
Q.被害状況や市民生活の変化は?
「熊本城の天守閣の石垣がバラバラと落ち、中に殿様の家族を置いておけない。地震屋をつくるんだと。要するに避難所」(国際日本文化研究センター 磯田道史准教授)
不気味な類似点が他にも見られます。熊本で地震が起きた8年前、1611年には、東北地方で大きな地震が起き、津波に襲われていました。熊本の地震の後、1633年には、現在の神奈川県、小田原地方で地震が起きています。
「熊本県から大分県にかけての地震活動は現在もまだ活発に続いています」(気象庁の会見)
揺れが続き、かつ震源地が広い範囲に拡大している今回の地震。他の地域での地震を誘発する可能性はあるのでしょうか。
「今動いたところの両サイドというのは動きやすくなっている」(高知大学 防災推進センター 岡村眞特任教授)
活発な揺れが続く今回の地震。今後、警戒すべきポイントはあるのでしょうか。
「今、非常に地震を起こして活発に動いている、これを中央構造線、活断層系という」(高知大学 防災推進センター 岡村眞特任教授)
地質地震学が専門の岡村氏は、中央構造線に注目。この付近では地震はどこでも起き得ると指摘します。
中央構造線とは日本列島を貫くように横たわる全国有数の活断層の1つで、一連の地震を引き起こした布田川断層帯と日奈久断層帯も延長線上にあります。
「緊張がずっとあったのに1か所だけトンッと(緊張を)取ってしまうと、そこへ向かっていろんなものが動いてくる。それが新しい誘発地震になるが、それがどうも少し見えてきている」(高知大学 防災推進センター 岡村眞特任教授)
地震大国・日本。いつ、どこで地震が起きるかの予測は、非常に難しいといわれます。
茨城県鹿嶋市の鹿島神宮に「要石」と呼ばれる石があります。古くからナマズが地震を引き起こすと信じられてきましたが、要石は、そのナマズを押さえ、地震を鎮めるとして大切にされてきました。
地震はいつか起きる、その前提での対策が必要です。
というものや。
『不気味な類似点が他にも見られます。熊本で地震が起きた8年前、1611年には、東北地方で大きな地震が起き、津波に襲われていました』というのは、5年前の東日本大震災による津波が、まさにそれと被る。
ということは『熊本の地震の後、1633年には、現在の神奈川県、小田原地方で地震が起きています』についても的中する可能性があると考えられる。
東日本大震災以降、日本は地震の活性期に入ったとの見方を示していた専門家が多くいたが、どうもそれが現実性を帯びて来たようや。疑いの余地が少なくなったと。
この記事の最後に『地震はいつか起きる、その前提での対策が必要です』とあるのは、まさにそのとおりやろうと思う。
しかもそれは『いつか起きる』というより、『いつ起きてもおかしくない』レベルに達していると。
今回の熊本地震発生時における政府の対応についての記事がある。
http://news.livedoor.com/article/detail/11422702/ より引用
安倍官邸が最初の地震の後、熊本県の支援要請を拒否! 菅官房長官は震災を「改憲」に政治利用する発言
「事は一刻を争う」「被災者救助、支援に万全を期す」
安倍首相は今日4月16日、昼前に開いた非常災害対策本部会議で関係各省を前にこう宣言。
菅義偉官房長官も会見で、自衛隊を現在の2千人から2万人に増やすことを決定したと胸を張った。
これを受けて、ネットではいつものごとく、ネトサポ、ネトウヨによる「さすが安倍首相の対応は迅速」「菅直人首相や民主党政権とは全く違う」などと、称賛の"やらせ"書き込みが拡散している。
まったく、冗談も休み休み言ってほしい。今回の熊本大地震に対する安倍政権の対応はとてもじゃないが「迅速」と呼べるようなシロモノではない。
首相は今頃になって「事は一刻を争う」などと偉そうに言っているが、当初は地元の要請をはねつけ、その結果、被害をさらに拡大させた形跡があるのだ。
そもそも、14日、1回目の地震が起きた時点で、熊本県では行政機能がマヒしている地域がいくつも出てきており、同県の蒲島郁夫知事は政府に対して、主導的に災害対策に取り組んでもらえるよう「激甚災害の早期指定」を求めていた。ところが、政府はこれを取り合わなかった。
ちなみに、東日本大震災であれだけ対応の遅れが指摘された菅政権は地震発生の翌日、激甚災害の指定を閣議決定しているが、安倍政権は今日16日昼の時点でもまだ、指定していない。
自衛隊の増派についても同様だ。知事側は最初から大量派遣を求めていたにもかかわらず、政府は当初、2000人しか出さなかった。
そして今日未明、マグニチュード7.3の大地震が起き、被害の大きさを知ってから、ようやく増派を決定したのである。
「被災者の救出が遅れているのは、1回目の地震で行政機能が麻痺していたところに、2回目の地震が起きて、安否確認や救出が満足に行えていないから。政府が熊本県の求めに応じて、1回目の地震の直後からもっと積極的に動いていたら、もう少しこの混乱を防げたのではないかと思います」(熊本県庁担当記者)
その後も、安倍政権は不誠実きわまりない対応を続けている。そのひとつが、安倍首相自身の現地視察見送りだ。
安倍首相は、昨日の政府会合で「現場を自らの目で確かめ、被災者の生の声に接し、今後の対策に生かす」と意気込んでいた。ところが、マグニチュード7.3に達する大地震が起きるや、視察を見送ってしまったのである。
官邸は、現地視察を取りやめた理由を「被害の全容把握や被災者支援に万全を期す必要がある」といっているが、そんな理由は成り立たない。
というのも、今日午前、与野党幹部が会って週明けのTPP国会審議を行うと確認しているからだ。
政界からも「震災対応に万全を期すならTPP審議だってできないはず。それをやれるくらいなんだから、現地視察はできたはずだ」と疑問視する声が出ている。
「視察取りやめは、マグニチュード7.3の大地震が起きて、安倍首相がさらに大きな地震が起きるかもしれない、と怖じ気づいたからでしょう。
安倍さんは東日本大震災、福島第1原発事故のとき、菅直人首相(当時)の対応を手厳しく批判しました。
しかし、菅さんのほうがまだ、自分で危険な場所に行っただけマシ。安倍さんは被害対策を地方に丸投げし、首相公邸に籠もりっきりですからね」(全国紙政治部記者)
安倍首相だけではない。やはり今日現地入りする予定だった石井啓一国交相は九州新幹線の脱線現場などを見て回るはずだったのに取りやめた。
結局、政府が派遣したのは、災害担当の松本文明内閣府副大臣だけ。しかもこの副大臣、蒲島県知事と面会するなり、「今日中に青空避難所というのは解消してくれ」と切り出し、知事から「避難所が足りなくてみなさんがあそこに出たわけではない。余震が怖くて部屋の中にいられないから出たんだ。現場の気持ちが分かっていない」と怒鳴り返されるという失態を演じてしまった。
「蒲島知事は政府の後手後手の対応に相当、怒っていますからね。怒るのも無理はありません」(前出・熊本県庁担当記者)
これだけでも信じがたい対応だが、安倍政権は、現地の要望を無視しただけでなく、当初、この地震を政治利用しようとしていたフシがある。
1回目の地震の翌日夜、菅官房長官が記者会見で、熊本地震を引き合いに出して、憲法の新設項目として非常時の首相権限を強化できる「緊急事態条項」の必要性を主張した。
記者から「予想もしなかった大きな地震が発生した。早急な緊急事態条項の必要性をお考えか」と水を向けられると、菅長官は「今回のような大規模災害が発生したような緊急時において、国民の安全を守るために、国家、そして国民みずからがどのような役割を果たすべきかを憲法にどのように位置付けていくかということについては、極めて、大切な課題であると思っている」と述べたのだ。
改めて言うまでもないが、災害時の政府対応は、災害対策基本法が定める首相の「災害緊急事態の布告」でもって主導的に行うことが十分可能で、事実、東日本大震災の被災地に、政府の災害対応についての法改正が必要かどうかをアンケートしたところ、ほとんどの自治体が「必要がない」という回答を寄せている。
菅官房長官の発言は明らかに「話のすり替え」であり、今回の地震を政治利用しようとしたとしか思えないものだ。
「しかも、このやりとりは、シナリオがあったとしか思えないようなスムースなものだった。おそらく、菅官房長官とべったりの安倍応援団メディアの記者と事前にすり合わせをして、質問させたんでしょうね」(前出・全国紙政治部記者)
さらに、今日16日午後になって、今度は中谷元防衛相が「米軍の支援受け入れ検討」を表明し、防衛省や自衛隊にも検討を命じたが、これも、露骨な政治利用らしい。
というのも、この米軍の支援については、今日午前の会見で、菅官房長官が「動員を拡大し、現地で活動することができるようになり始めているので、自衛隊で対応できる」と否定していた。
それが、一転、受け入れに動いたのは、安倍首相周辺が強く「受け入れろ」と言ってきたからだという。
「安倍さんの周辺は、世論誘導のチャンスと考えたようです。米軍が救援に協力する映像を流させ、イメージアップし、集団的自衛権行使や米軍基地辺野古移転問題で国民の支持をとりつける。現実には、時間が経った後に、言葉や地理に不案内な米軍がきても、現場が混乱するだけで、自衛隊内部でも反対意見が根強いんですが......」(防衛省担当記者)
この期に及んでも、頭の中は、国民不在の"謀略政治"。安倍政権にはせめてこういう非常事態の時くらいはくだらないことに頭を使うのはやめて、国民の生命、安全確保だけを考えることを強く望みたい。それこそ、「事は一刻を争う」のだ。
この記事を読まれて、読者の方々は、どういった印象、感想を持たれたやろうか。
ワシは、正直、安倍首相、自民党政府が、ここまで酷いとは思うてなかった。もうちょっとマシな対応をするやろうと信じていた。
この記事に、『安倍首相は、昨日の政府会合で「現場を自らの目で確かめ、被災者の生の声に接し、今後の対策に生かす」と意気込んでいた。ところが、マグニチュード7.3に達する大地震が起きるや、視察を見送ってしまったのである』というようなことは、日本のトップとして最低で恥ずかしいことやと考えなあかん。
『菅さんのほうがまだ、自分で危険な場所に行っただけマシ』とあるように、あれだけ東日本大震災後の初期対応や福島第一原発事故対応の拙さを指摘され、各方面から叩かれていた当時の民主党、管直人首相の方が、自身の命をかけて動いていた分、数段評価できると思う。
地震が怖いと言うて逃げるような首相がいたんでは、どうしようもない。少なくとも、国民にそう思われたら終いや。指導者の資格などない。
それでは口でいくら『事は一刻を争う』、『被災者救助、支援に万全を期す』などと聞こえの良い建前論を並べても何の説得力も生まんわな。
『やる』と一度口に出して公言したことなら、何があっても『やり遂げる』べきや。最初から逃げ腰なところを見せるべきやない。
それは首相やからということやなく、人としてもあかんことや。有言実行ができてこそ他人から信用され、評価されるのやと思う。
指導者には、特にそれが望まれる。
人間の本性は何か事が起きた時に、どう行動するかで分かるし、決まるもんや。
それが一国のトップともなれば多くの国民が、その動向に注視しているわけやから、よけい心せなあかん。
それが安倍首相には分かっていない
この記事に、『ネットではいつものごとく、ネトサポ、ネトウヨによる』、『称賛の"やらせ"書き込みが拡散している』ということについては、いつかこのメルマガで話したいとは思うてた。
安倍首相は、殊の外、ネットに力を入れている。麻生副総理もそうや。ネット上では、彼らは若者にそこそこ人気がある。
それはええ。悪いとは言わん。しかし、そのことを利用して安倍首相や自民党政府を賞賛する『やらせの書き込み』をさせているのは、どうかと思う。
ワシが、『やらせの書き込み』と断定しているのには、それなりの理由がある。
安倍首相や自民党政府の関与を伏せた、ある組織が、そうした『ネトサポ、ネトウヨ』といった連中をアルバイト感覚で使っているという話を聞いているからや。
つまり、金を払って政府与党を賞賛するような『書き込み』をさせているというものや。その金の出所が税金やったら大問題に発展するが、まだそこまでには至っていない。
今のところ、その情報は一方通行で真偽のほどを確かめているわけやないさかい、もっと詳しく調べてから、いずれ、このメルマガ誌上で話したいと考えとるがな。
もちろん、そんな金に釣られて政府与党を賞賛する『書き込み』をしている『ネトサポ、ネトウヨ』ばがりやないやろうがな。
中には、本気で安倍首相や自民党政府を信じ切って、発信している人たちもいるはずやとは思う。
そんな人たちも『ネトサポ、ネトウヨ』として一括りにされるのは可愛そうな気がするけどな。
発言自体は、言論の自由が保障されとる国なわけやから、安倍首相や自民党政府をいくら賞賛しようと構わんと思う。それに茶々を入れるつもりはない。
ただ、政府、およびその関係者が『やらせの書き込み』をさせているのやとしたら、責められなあかんことや。
それは言論操作、思想操作につながるさかいな。絶対に許されることやない。
熊本地震の問題点は、他にもいろいろある。
○避難所に使える建物が足りない。
○倒壊の恐れから建物内で眠れない人たちが車中泊を余儀なくされているが、その駐車場が不足している。
○車中泊が原因のエコノミークラス症候群による死者の急増が深刻な問題になっている。
○備蓄食料の不足、および救援物資の配分が適切に行われていない。
○長期に渡り、水道、電気、ガスなどのライフラインが寸断されている。
○道路や橋が各地で崩落しているため交通網が遮断されている。そのため物資が届きにくい。
○過去の震災の経験が活かされていない。特に行政にそれが言える。
○地震に便乗した火事場泥棒紛いの犯罪が横行している。
○太陽光発電を取り付けた建物の倒壊による危険が懸念されている。
○昨日からの大雨で熊本市や周辺を流れる主要な川の堤防にクラック(亀裂)と地盤沈下が計100カ所以上発見され、堤防の決壊による洪水の危険が高まっている。
○震源地のすぐ近くにあるにも関わらず川内原発を停止しようとしない、あるいは中央構造線断層帯上にある四国愛媛の伊方原発の危険を殊更低く見積もろうとする政府の不可解な姿勢。
等々、他にも挙げたらキリがないくらい多くの問題を今回の熊本地震は露呈させている。
そのすべてを、ここで話すのは、とても無理やから、しばらくの間、推移を見守りながら、東日本大震災の時がそうだったようにデータと情報を集めた上でシリーズ化して取り上げて行きたいと考えている。
それには当然、新聞業界の実状も併せて話すつもりや。中越地震や東日本大震災の時もそうやったが、今後も地震に関連した多くの出来事が発生するものと思う。
いずれも喫緊の問題ではあるが、こんな時こそ、多くの人々の英知が結集されることを望む。
ワシらが、それらについて話す時には、取り越し苦労やったという結末がベストなんやが、どうやろ。
ここで今回、熊本地震によって、ご家族が被災されたという古くからの読者の方から当サイトのQ&Aに相談があったので、ワシの回答と併せて、その一部を抜粋して知らせたいと思う。
NO.1376 ゲンさんSOSです
投稿者 1972さん 投稿日時 2016. 4.19 PM 9:17
ゲンさん、ハカセ大変ごぶさたしております。
さて、私がゲンさんにメールをするときは決まって人生に迷い、行き詰まったときなんですが、今回メールをしましたのは現在ニュースになっている熊本地震の件なんです。そうです私は熊本県出身なんです。
現在、私の家族は被災しまして、車中生活を余儀なくされています。
中略。
ただ不幸中の幸いでなんとかこの揺れにもかかわらず自宅はまだ倒壊を逃れており、地震がおさまればまだ元通りの生活に戻る可能性も多少なりと残っています。
中略。
何より痛いのが現在は家に住めないため、叔父や姪と一緒に行動しなければならないということです。
もし家に住めなくなれば私も帰るべき家がなくなる。そしてコミュ障の私にとって一番の苦痛は叔父や姪と顔をあわせなくてはならないことです。
家が復旧するにしてもまだかなりの時間がかかりそうです。まぁ今後のことは連休に帰省して話し合うつもりではいますが。
さて今後の私についてはいやでも自立せざるをえないでしょう。今までは食事については母が料理したものを冷凍して送ってもらっていましたが、そんな甘えも通用しなくなりました・・・・
今回の地震でいきなり自立を迫られてしましました。まだ今のいやでしかたがない契約社員の仕事を続けていますが、もういっそう辞めづらくなったような気がして、正直へこんでいます。
ゲンさん、私の今後とるべき道としては、
○仕事を辞めて実家に帰って家族と厳しい生活をする
○今の契約社員の仕事をいやいや継続する(これはこれで先はないと思いますが)
どんなもんでしょう?
今まで人生の岐路に立たされた時にゲンさんのご意見に救われてきましたので、勝手ながら今回もゲンさんの忌憚なきご意見を拝聴したくメールをした次第でございます。
どうぞ今回もすばらしきアドバイスを宜しくお願いします。
回答者 ゲン
まず最初に熊本地震により『現在、私の家族は被災しまして、車中生活を余儀なくされています』とのこと、お見舞い申し上げると言わせて頂く。
『コミュ障の私にとって一番の苦痛は叔父や姪と顔をあわせなくてはならないことです』と言われておられることが、もう一つ、ワシには理解できん。
『コミュ障』とは、他人とうまくコミュニケーションが取れない障害ということで、あんたとは、かれこれ8年ほどの付き合いになるが、そう言われると、そうなのかなと納得はできる。
しかし、『コミュ障』とは一般的に他人に対して抱く心因性の拒否反応で、家族や親族に対するものはあまりないと聞く。
もっとも、『叔父や姪』という人たちとは、あまり顔も会わせず疎遠になっているというのであれば、あんたの中では『他人』と認知して、そういう事態になっておられるのか、あるいは、ワシらには言えんような事情が、その『叔父や姪』という人たちとの間にあるのかは窺い知れんがな。
本来なら、そういうことがあると聞かされても「中には、そんな人もおられるのやな」と考えてスルーする。
あまり立ち入るようなことは言わない。言いたくもない。誰を好きになろうと嫌いになろうと、それはその人の自由ということでな。
ただ、今回のように未曾有の大災害で苦しんでおられる親族の方を、そういう風な見方をするのは、どうかと思う。どんな事情があるにせよ、あまり関心はできん。
百歩譲って、あんたが深刻な『コミュ障』やったとしても、震災で苦しんでおられる親族と行動を共にすることが苦痛になるなどと言うべきやないと思う。
まあ、あんたはワシへの気安さから、つい本音が出たのかも知れんが、人として、それは間違っていると言うとく。
人は、こういう時こそ、助け合わなあかん。未曾有の大災害の前では、個人のそうした悩みなど、ちっぽけなものやと知って欲しい。
人は人のためにできることをしなければいけない。それこそが、人として生まれた者、すべての義務であり使命やと考える。
それができるか、できないかで、その人の値打ちが決まる。人の本性は、そいうところに表れる。ワシは、そう思う。
確かに、ワシには『コミュ障』の苦痛とやらは分からん。ワシのような人間には縁のないものやしな。
その苦しみの分からん者が言うのも何やけど、それがどんなに苦しいものでも、目の前で苦しんでおられる人がいるのなら何をおいても助けてあげるべきや。
『コミュ障』やからとか『ニート』やからとかといった言い訳で逃げたらあかん。それは、病気でも何でもない。ただの卑怯者、臆病者のすることやと思う。
今までのあんたの相談は、あんた個人の問題やったから、目の前の問題から逃げようが、立ち向かおうが、それはあんた自身で決めれば良かった。
あんたがどのような選択をしようと、それなりに尊重してきたつもりや。
もっとも、あんたはワシが考えていた以上に、ベストの選択をしたと思うとるがな。実に立派やったと。
しかし、今回の『一番の苦痛は叔父や姪と顔をあわせなくてはならないことです』というのだけは賛同できん。
もし『コミュ障』とやらが病気の範疇にあるものなら、今こそ、その病気を克服できるチャンスやと捉えて欲しい。天が、あんたに課した試練やと考えて。
人助けを強要するつもりは、さらさらないが、人がそうできる環境に置かれたというのは、それなりに意味のあることやと思う。
もちろん、人にはできる事と、できない事がある。できない事を無理にするのは良うないが、できる事はするべきや。まずは、そこから始めて欲しいと思う。
『さて今後の私についてはいやでも自立せざるをえないでしょう』と、あんたが自覚されとるのなら問題はない。
人は、そう考えた時、すでにそのことは成っているもんなんや。つまり『自立せざるをえないでしょう』と考えた時点で、自立しとるということや。
『今までは食事については母が料理したものを冷凍して送ってもらっていましたが、そんな甘えも通用しなくなりました』ということやが、ええお母さんやな。
ワシやハカセは母親の愛情を知らずに育ってきとるから本当に羨ましいと思う。お母さんを大事にせなあかんで。言わんでも分かっているとは思うが。
今そのお母さんが困っておられるのやから、今度はあんたが、お母さんのために何をしてあげられるのかを考える時やないのかな。
『○仕事を辞めて実家に帰って家族と厳しい生活をする』というのも『○今の契約社員の仕事をいやいや継続する(これはこれで先はないと思いますが)』ということに関しても、基本は、あんたに何ができるかを考えることで分かると思う。
あんたのお母さんが、どんな人なのかは良う分からんが、あんたの話を聞く限りは、今の状態を継続する道、つまり『『○今の契約社員の仕事をいやいや継続する』ことを望まれるのやないかと思う。
ただ、未曾有の地震でお母さんたちも不安に思っておられるやろうから、当面は『実家に帰って家族と厳しい生活をする』のでも構わないと思う。
幸い、あんたの仕事は役所勤務やから、一般の会社よりも、その点は考慮して貰えるのやないかな。それなりの休暇は認めて貰えるはずや。
それで一連の連続地震が収まるまで家族と生活を共にすることやと思う。
そうすることで、特に、お母さんにとっては心強く感じられると思うがな。また、強くなった、あんた自身を見せてあげることや。
親孝行は、できる時にせなあかんで。せやないと、ワシらのように一生悔いを残したまま生きて行かなあかんようになるさかいな。
いずれにしても『今後のことは連休に帰省して話し合うつもりではいます』ということのようやから、ご家族とじっくり話し合って決められたらええと思う。
そう回答した後、相談者の方から、
ゲンさん、いつもながら厳しくも温かくするどいご指摘ありがとうございました。
ゲンさんのおっしゃる通り、母親は今の仕事を継続することを望んでいます。
それなら、今の仕事を限界まで続けるしかないと思っています、
叔父や姪についても、これを機に考えてみるつもりでいます、出来る範囲でやっていこうと。
このたびはご意見ありがとうございました。
という返礼メールが送られてきた。
熊本地震の現場に置かれた人の苦悩も知らず、偉そうなことを言い過ぎたかなと思うてたが、この返礼メールで救われた気がした。
この読者は『現在、私の家族は被災しまして、車中生活を余儀なくされています』と、さらりと言われておられるが、そうしなければならない心情というのは察するにあまりある。
今までの地震のように、本震の後の余震であれば、さほど大きな揺れにはならないという安心感で避難所内に止まろうと思えるかも知れんが、次々に大きな地震の揺れが襲ってきて、いつ倒壊するのか分からん恐怖に晒された状態では、おちおち寝ることもできんやろうと思う。
ただ、車中泊は車中泊で、エコノミークラス症候群による死の危険がつきまとう。
どちらか選択すれば良いと言えるような状況やなくても、どちらかを選ばなあかんわけや。
そういう状況に置かれたことのないワシには、とても偉そうなことを言えた義理やないのやが、このメルマガを一緒に書いているハカセは違う。
ハカセは生まれた大阪府豊中市で1995年1月17日、午前5時46分52秒に発生した『阪神・淡路大震災』を経験している。
その時、ハカセはお父さんを捜すために神戸市長田町の火災現場に行き、無数の焼死体と対面したという。
その時の様子は『第18回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■長かろうと短かろうと、それが人生』(注1.巻末参考ページ参照)の中で話とるが、それなりの震災の地獄を見てきとる。
せやから言えるというものでもないが、震災時の苦労、苦悩が分かるのは事実や。
また、このメルマガを始めて以降、スマトラ沖地震や中越地震、そして東日本大震災を経験された読者の方から送って頂いた無数の情報から知り得たことも多いので、敢えて偉そうなことを言わせて貰ったわけや。
今後も予告したとおり、熊本地震に関連した話をして行きたいと考えている。
読者の方にお願いがあるのやが、熊本地震に関するご意見や感想、また現地での思いがあれば是非、教えて頂きたい。
最後になるが、この場を借りて、今回の熊本地震で犠牲になられた方々に哀悼の意を表したいと思う。
参考ページ
注1.第18回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■長かろうと短かろうと、それが人生
http://siratuka.sakura.ne.jp/newpage19-18.html
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