メールマガジン・ゲンさんの新聞業界裏話・バックナンバー

第430回 ゲンさんの新聞業界裏話

発行日 2016. 9. 2


■小池百合子新東京都知事の評価について教えてください


遅ればせながら、今回の送信者の方の相談について回答したいと思う。


相談内容 小池百合子新東京都知事の評価について教えてください


ゲンさん、ハカセさんに質問なのですが、先週の日曜日の東京都知事選挙で291万票という大量の得票で当選した小池百合子新東京都知事について、どのように評価されていますか?

『第424回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■週刊文春に掲載された鳥越都知事候補に対する醜聞記事の信憑性とは?』(注2.巻末参考ページ参照)では、鳥越候補に、かなり肩入れされていたようなので、この結果には、さぞがっかりされておられるのではないかと思います。

忌憚のないご意見、ご感想を聞かせていただけませんか?

よろしくお願いいたします。


というものや。

『鳥越候補に、かなり肩入れされていたようなので』というのは違う。

あの回のメルマガの中で、『断っておくが、ワシらは、鳥越氏の支援者でも何でもない。関西人やから、都知事選には大した関心はない』と言うてたはずや。

ただ、あの時は週刊文春の記事の内容が、おかしいと感じたさかい、その論調に終始するあまり、『鳥越候補に、かなり肩入れされていた』と思われ勘違いされたのやろうと思う。


7月21日に発売された『7月28日号週刊文春』には『被害女性の夫が怒りの告白! 鳥越俊太郎都知事候補「女子大生淫行」疑惑』というタイトルがつけられていた。

この記事を読んだ感想は、一言で言うと「期待はずれ」以外の何ものでもなかったというのが、ワシらの率直な印象やった。

今をときめく週刊文春が、この佳境とも言える都知事選挙戦の最中に有力候補者の鳥越氏を糾弾する記事を載せるからには、それ相当の有力な情報を持っているものと考えて期待していたんやが、見事に肩透かしをくらった格好になっ
た。

この記事の内容では、全面否定している鳥越氏サイドと法的に争った場合、かなりの高確率で週刊文春側が負けるやろうと思う。

ここで、週刊文春の記事の全文を記載して、事細かに反論すれば、ワシの言うてる意味がよく分かって貰えるのやが、著作権の関係で、それはできんさかい、疑問のありそうな個所のみを抜粋して検証してみることにした。

すると、当初、考えてた以上に多くの疑問点やおかしな個所が目立つことに驚いた。一言で言うて、かなり杜撰な記事や。

まず、腑に落ちないのは情報提供者が、被害者とされる女子大生ではなく、この女性の旦那で有名私立大学関係者、永井一晃と名乗る(仮名・30代後半)男の話だけを鵜呑みにして記事を書き、肝心の被害女性(記事ではA子)とや
らの取材を週刊文春側は一切していないという点や。

つまり、又聞き取材を情報源にしているわけやな。それも伝聞だけで具体的な証拠は何も示していない。記事を読む限り、確かな裏取りが行われているようには見えない。

そのため、随所に矛盾した個所が目立っている。

例えば永井氏の話として記事では「ある日、鳥越さんは、とりわけ気に入った女子学生を別荘に連れ込んで、強引にみだらな行為を行っていたんです」とあるが、A子自身は、キスを強要されただけやと言っている。

それにも関わらず、どうしてA子は、鳥越氏が『とりわけ気に入った女子学生を別荘に連れ込んで、強引にみだらな行為を行っていた』と断定できたのやろうか。

考えられるのはA子が、そのことを知っていた場合か、永井氏がその手の噂を知っていたくらいのことや。

本当に、鳥越氏が『強引にみだらな行為を行っていた』ような人間なら、二人きりになった時点で、キスをしただけでA子を解放したとは、とても思えんがな。

また、鳥越氏に、そういった悪い噂があると知っていたと言うのなら、どうして二人だけで、A子は鳥越氏の別荘に行ったのか。また、それをどのようにして証明できるのか。

それについては永井氏の証言だけで具体的な裏付けや証拠は一切示されていな
い。

記事には、その日はA子の誕生日やったとある。それを口実に鳥越氏がA子を
別荘に誘ったのだと。

この時、A子はバージンで恋人の永井氏がいたことになっている。それ故、そ
の事件を知って永井氏が激怒したと記事にはある。

そんな状況下で、恋人のいるA子が、果たして、いくら相手が有名人やと言うても女癖が悪いと承知の上で、のこのこと鳥越氏の別荘にたった一人でついて行くやろうか。

大きな疑問が残る。

記事では、鳥越氏が「何もしないから」と言ったというが、普通の感覚ではA子のような行動を取ることなど考えにくいわな。

しかも、結果として未遂に終わった事が14年経った今でもトラウマとなって心に大きな疵を作っていると言っている。

その鳥越氏が今回の都知事選に出て来たことが許せないと。

もし、この永井氏とA子が本気で、そんなことを考えて14年も前のキスをしただけの事件を暴露したのやとしたら、彼らの精神状態を疑いたくなる。

その程度のことで、そこまで深い恨みを抱く人間というのは異常者やないかと。

まだある。この事件の後、永井氏とA子、鳥越氏の3人は話し合いの場を持ち、鳥越氏が詫びて、「今後一切、テレビの出演を降りる」と言ったという。

ここで示談が成立したと永井氏が言っているわけや。

これは、想像やが、「テレビを降りなければ、この事をバラすぞ」と永井氏とA子側が鳥越氏を脅したと考えられる。

もちろん、これは脅迫罪に該当する。それを永井氏自らが喋っている。

しかし、現実には鳥越氏は、その後もテレビ出演を続けている。

本当に、永井氏の言うとおりだとしたら、鳥越氏は常にテレビに出続けていたわけやから、その時に「約束を破った」として、この事を暴露してなあかんかったのやないかと考えるが、永井氏は、そんな行動を起こしていない。

さらに永井氏が関わっていたあるイベントの仕事に偶然、鳥越氏が出演すると決まった時、「出演をキャンセルしてほしい」というメールを鳥越氏に送り、実際に出演がキャンセルしたという。

これも事実なら、永井氏は、ここでも脅迫罪、強要罪に該当する犯罪を犯していることになる。もっとも、そのメールが本当に存在していたという証拠は何も示していないさかい実際には罪に問えないやろうがな。

さらに、鳥越氏の仕事の妨害をする行為は、業務妨害罪に該当する。

今回の知事選の場合は、名誉毀損罪プラス、先にも言うたように公職選挙法上の選挙妨害罪に当たるものと考えられる。

もっとも、鳥越氏の行為が実証できれば、多少はその罪が軽減、あるいは免除
になるかも知れんが、鳥越氏が一切を否定している状況では、それはないやろ
うと思う。

客観的に記事を読めば、永井氏やA子の言うてることの方がおかしいし、矛盾だらけに見える。

また、週刊文春もタイトルに『女子大生淫行』という文言をなぜ使ったのかが、良う分からん。

「淫行」というのは、18歳未満の青少年が性行為の対象となった場合に使われる言葉や。それが発覚すれば地方自治体の淫行条例に触れ、逮捕され処罰される。

しかし、A子は、この時、20歳の大学2年生やった。本来「淫行」などという言葉を使うべきやないと思うがな。立派な大人として扱わなあかん。

もっとも、それ以前にキスしただけやと『性行為の対象』にすらならんから、
それだけでも「淫行」にはならんわな。

その程度のことは、週刊文春の記者は知っているはずや。それでも「淫行」という言葉を使い、あたかも犯罪性があるかのように見せている。

この記事の問題点は、まさにそこやないかと思う。是が非でも、鳥越氏に汚名を着せ、都知事選挙で不利に導くために仕掛けられた陰謀やないかと。

この記事が出る前から、対抗陣営(これについては詳しい記述は避けるが)は、「鳥越氏が女子学生をレイプした」という記事が出るものとばかり思っていたようで、実際に「鳥越は強姦魔」というプラカードを用意し、選挙戦で使う予
定にしていたという情報が、ネット上にある。

実際に、ワシらは、その「鳥越は強姦魔」というプラカードを見たわけやないが、拡散するSNS上にあるとのことやから探せば、すぐ見つかるものと思う。

なぜ、そんなことができたのか。考えられることは一つ。組織ぐるみの罠、トラップが仕掛けられていたからや。そうでなければ、「鳥越は強姦魔」というプラカードなど事前に用意できるはずなどないさかいな。

ところが、実際は「キスをしただけ」という報道で終わっている。これでは、さすがに「鳥越は強姦魔」プラカードは使えんわな。彼らの気落ちした姿が目に浮かぶようや。

今回の週刊文春の記事には、がっかりしたが、ぎりぎりのところで踏み止まったとも言える。

それには、やはり永井氏の証言だけに頼り、大した裏取りをしていないことに後ろめたい思いがあったからやないかと考える。最後に「疑惑」という文言をタイトルに付け足したのも、そのためやという気がする。

とはいえ、鳥越氏側の告訴に対抗するためには、永井氏の証言が真実やと証明できん限り十中八九、週刊文春側の負けは濃厚やと思う。

そして、現時点で、永井氏の証言の信憑性を証明するのは限りなく難しいと言う外はない。

あまりにも時が経ち過ぎているさかいな。そもそも、こんな時を狙って、14年も前の不確かな出来事を持ち出すこと自体に無理があったわけやけどな。

しかし、現在、週刊文春に記事が載ったというだけで鳥越氏側にとっては、大きなマイナス要因になる。

殆どの人間は、ワシらのように記事の内容を一言一句検証することなどせんさかいな。週刊文春に記事が載ったというだけで、それが真実であるかのように一人歩きしてしまう。

例え、鳥越氏が言うように「事実無根」であったとしても、この都知事選において大打撃を被るのは避けられんやろうな。


と言うた。

ワシらは、あくまでも週刊文春の記事に対して異論を唱えただけで鳥越氏の肩を持つつもりは端からなかった。

しかし、読者の方にそう受け取られたとしたら、それは、こちらの言い方、書き方が悪かったと謝るしかない。

特にハカセは「物書きは理解して読んで欲しいと考えるのではなく、理解して貰えるような書き方をすべきだと考えています。誤解されるような記述があれば、それはすべて書き手の責任です」と日頃から言うてることでもあるしな。

結果として、この時に『週刊文春に記事が載ったというだけで、それが真実であるかのように一人歩きしてしまう。例え、鳥越氏が言うように「事実無根」であったとしても、この都知事選において大打撃を被るのは避けられんやろうな』と言うたとおりに鳥越氏は選挙で惨敗した。

そして、鳥越氏の惨敗後、何事もなかったかのように報道はピタリと止まった。まるで、選挙の敗残者に対しては報道する価値などないとでも言わんばかりに。

実際、今更、鳥越氏を叩いたところで誰も興味を示さんやろうしな。そんな報道記事など売れないから追っかけ記事など掲載しないというのが正直なところやないのかと思う。

もっとも、鳥越氏の敗因は、このことだけではないとは思うがな。

それ以上に、小池百合子氏の選挙戦略の方が強烈で巧みやったと考えている。

自民党員でありながら、自民党および自民党東京都議連と真っ向から対立し、都知事に立候補するという思い切ったことをした。

「パラシュート無しで崖から飛び降りる」、「都議会の冒頭解散をする」とセンセーショナルな発言で、自民党および自民党東京都議連に喧嘩を吹っかけるような形になったことが多くの有権者の関心を買い、支持を受けた。

結果、291万票余りの得票で、2位の自公が推薦する増田寛也氏に約112万票もの大差で、ぶっちきりの当選を果たしている。

ちなみに、鳥越氏は134万6千票余りで3位やった。こちらは小池氏とはダブルスコアという惨敗やった。

『小池百合子新東京都知事について、どのように評価されていますか?』ということやが、評価というのは今後の活躍次第やと思う。

まだ何もしないうちに評価しろというのは難しい。

ただ、8年前に橋下徹氏が大阪府知事に初当選した時と同じような期待感は感じられる。

小池知事は数多くの都政改革案を提唱している。そのうちの一つである「築地市場の豊洲移転」問題について、


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160831-00000056-jij-pol より引用



築地市場の豊洲移転延期=新時期は来年2月以降―安全性懸念、小池都知事が表明


 東京都の小池百合子知事は31日、都庁で臨時に記者会見し、11月7日に予定されていた築地市場(中央区)の豊洲新市場(江東区)への移転について、延期する方針を正式に表明した。

 新たな移転時期は来年2月以降になるとの認識を示した。

 延期判断の理由としては(1)安全性への懸念(2)巨額で不透明な費用(3)情報公開の不足―を挙げ、有識者で構成するプロジェクトチームを設け、過去の経緯を検証するとともに、延期に伴い必要となる対策の立案に着手すると表明。

 小池氏は「都民や市場で働く皆さんにとって、移転が本当に納得するものなのか考えた」と述べた。

 豊洲新市場の敷地をめぐっては、土壌汚染の問題がかねて指摘されていた。小池氏は、地下水の最終調査結果が判明する来年1月より前に移転が予定されていることを問題視。「法律上は問題ないが、食の安全は生活者の視点を大切にしたい」と語った。

 新市場に投じた事業費は約5900億円で、当初見込みから約1500億円膨らんだ。特に建設費は当初計画の3倍近い2752億円に増大。

 小池氏は、一般的な市場の建築費が1坪当たり50万〜60万円なのに対し、豊洲は220万円だとして「人件費や資材が高騰しているのは分かるが、これが適正なのか明らかにしないといけない」と強調した。

 築地市場の跡地には、都心部と湾岸部や2020年東京五輪・パラリンピックの選手村を結ぶ都道環状2号を整備する計画だが、移転延期で五輪開催までに工事が間に合わない可能性もある。

 これについては「どのような方法であれば(五輪開催までの完成が)実現できるのか、複数の案を検討する」と述べるにとどめた。 


と報じられている。

『小池百合子知事は31日、都庁で臨時に記者会見し、11月7日に予定されていた築地市場(中央区)の豊洲新市場(江東区)への移転について、延期する方針を正式に表明した』というのは、至極真っ当な判断やったと思う。

しかも、最近まで環境大臣を努めていた小池氏なら尚更やわな。

『地下水の最終調査結果が判明する来年1月より前に移転が予定されていることを問題視』は当然で、そもそもベンゼン汚染など明らかな土壌汚染があり、いくら土壌改善工事をしたとは言え、決められた『地下水の最終調査結果』を待たず移転させるというのは、どう考えてもおかしな話や。

地下水の最終調査結果が判明して、100%安全が確認され、東京都が『安全宣言』を出してから、豊洲新市場の工事を計画し、着工するというのが当然の流れやないのかと思う。

それを都民や多くの築地市場関係者の知らないところで勝手に進められていたというのは納得のできる話やないわな。

また『新市場に投じた事業費は約5900億円で、当初見込みから約1500億円膨らんだ。特に建設費は当初計画の3倍近い2752億円に増大』しているというのは異常や。

これについては、


http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160901-00049600-gendaibiz-pol より引用

小池都知事の前に立ちはだかる「ドンと利権」の深い闇 はたしてメスはどこまで届くのか


「ドン」の権勢、いまだ衰えず

「都政刷新」を掲げる小池百合子都知事が、改革の象徴として選んだのは築地だった。8月31日の記者会見で、11月7日に予定していた築地市場(中央区)の豊洲市場(江東区)への移転延期を表明した。

 小池都知事が重視するのは、築地移転や東京オリンピックなど巨額予算が計上されるビッグプロジェクトで、当初予算が2倍、3倍と膨張することだった。

「お豆腐じゃあるまいし、1兆、2兆と予算が膨らむなんて……」

 これは2兆円を超すといわれる東京オリンピック関連予算への不満だが、築地移転にしても計画額から4割増の5884億円に達している。資材高騰や人手不足など仕方がない面はあるものの、問題はそれが公にされていないこと。

 誰がどのように意思決定し、どのような過程を経て予算増が決まったのか――。それがまったく見えないとして、9月1日、都政の情報公開を進め、東京オリンピックの招致過程まで含めた調査を行うための「都政改革本部」をスタートさせた。

 * * *

 1999年、都と市場の団体が作る「築地市場再整備推進協議会」が、移転整備の結論を出して以降、築地はさまざまな勢力によって翻弄され、方向性もスケジュールも二転三転してきた。

 最終的に制するのは力が強い者であり、彼らが握っているのが利権である。

 東京都利権の所在を示したのが、8月24日に開かれた「都議会のドン」こと内田茂都議(77)の「政治活動40年を祝い励ます会」である。

 菅義偉官房長官、二階俊博幹事長ら大物政治家、石原伸晃経済産業相、丸川珠代五輪相などの閣僚や国会議員、市長に区長、都議、区議、市町村議、都庁幹部、各種業界団体幹部など約2000名が集まったパーティーは、内田氏の権勢を示すと同時に、利権構造の奥深さも伝えた。


かつての「宿敵」も駆けつけた

 利権は一朝一夕に築けない。人間関係の集積であり、票とカネと仕事のバーターである。

 政治家と官僚と業界が、それぞれに水面下で手を握り、ある時はケンカしながら事業を推進、その信用を築くには時間が必要で、内田氏はドンの座を揺るぎないものにするのに40年の歳月を要した。

 また、都議会の義理人情が支配する古めかしい風土を、私は本コラム(東京都政、その「巨大利権」と知られざる歴代のドンたち)で伝えたが、内田氏のパーティーでもそれが確認できた。

 パーティー会場の正面に、かくしゃくとした姿を見せていたのは92歳の藤井富雄氏。都議会公明党のボスで国会議員が束になっても敵わない実力者だった。内田氏の前の「ドン」で、その姿を目にした内田氏が、真っ先に駆け寄って頭を下げ握手を求めたのが印象的だった。

 さらに話題だったのが、宿敵だった浜渦武生元副知事が、姿を見せて祝ったこと。小池氏とは家族ぐるみのつきあいで、都知事選では小池陣営に姿を見せたことから「内田との怨念対決」とハヤす向きもあったが、両者の“激突”は11年も前のこと。浜渦氏を百条委員会にかけると内田氏が脅して副知事辞職に追い込んだ。

 しかし、以降、関係を修復し利権を分け合う“大人の関係”が続いており、それを証明する出席だった。

 
築地移転問題の経緯

 築地移転は、その浜渦氏から始まっている。

 石原慎太郎氏に心酔、学生時代から石原氏を担いできた浜渦氏は、99年、石原氏が都知事になると副知事として都庁に入って権勢を振るい、ビッグプロジェクトも手がけるようになった。

 その最初が築地移転である。当初、移転候補地の豊洲は、芝浦工大の誘致など街づくりが計画されていたが、01年4月、浜渦氏が持ち主の東京ガスを説得する形で移転用地約37ヘクタールを確保した。

 東京ガスの都市ガス製造工場跡地で、ベンゼンなどの土壌汚染が指摘されていたものの、改良工事を行えば大丈夫という専門家の意見を得て計画を推進。

 市場内反対派の存在、09年に移転反対の旧民主党が都議会で勝利、と曲折はあったものの、石原都知事と内田氏が率いる都議会自民党が、仲卸業者の懐柔、民主党都議の一本釣りなどあの手この手を使って工作、11年度予算に経費を盛り込んで、豊洲移転にこぎ着けた。

 そこには、ビッグプロジェクトを願う業界の思惑もあった。築地移転は東京五輪とセットであり、16年招致活動の際には、移転跡地約23ヘクタールにプレスセンターと国際放送センターの2棟を中心としたメディアセンターを建設することになっていた。

 16年招致に失敗して20年招致に成功。築地のメディアセンター構想はついえたものの、晴海の選手村と新国立競技場を結ぶ環状2号線は、五輪のスムーズな運営には欠かせないとして建設工事に拍車がかかり、11月7日の築地移転は、市場内がルートの一部のため、20年東京五輪から逆算したスケジュールだった。

 それが、都民の目にふれる形で行われたとはいい難い。


小池都知事の前に立ちはだかる「ドンと利権」の深い闇 はたしてメスはどこまで届くのか

突破するのは容易ではないが…

「政」「官」「業」のトライアングルが、内田、浜渦の両者に代表される大物たちの調整によって機能、予算案が作成され、スケジュールが決定、業界の不満を吸い上げる形で不足があれば上乗せされる。

 内田氏のパーティーは、「築地」に代表される東京都事業に関与する者たちの集合体である。それぞれが汗を流し、票とカネと仕事をバーター。このインナーサークルに入らなければ“恵”は得られない。

 豊洲市場の本体建設工事は、14年2月13日、入札が行われて、青果棟を鹿島JVが約259億円で、水産仲卸売場棟を清水・大林JVが約436億円で、水産卸売場棟を大成JVが約339億円で落札した。

 落札率は99%を超え、限りなく100%に近いから談合が確実視される。それは、スーパーゼネコン4社が、仲良く汗をかき、調整役の内田氏や浜渦氏など石原氏周辺に挨拶を欠かさなかった証明である。

 小池都知事がメスを入れる改革は、こうした世界である。

 右腕となる都政改革本部リーダーの上山信一慶応大学教授は、国交省官僚、米コンサルタントのマッキンゼー共同経営者、米ジョージタウン大学教授などを歴任した再生のプロで、橋下徹前大阪市長のブレーンとしても知られる。

 その上山氏が公言しているのは、徹底した情報開示。会議の様子などはオープンにし、情報や資料は可能な限りネットで公開。「密室での調整や談合」を許さない。

 因習や慣習に反することが多く、都議会や都の役人の反発は必至。自分たちの権益が犯されるからで、そこを突破するのは容易ではないが、小池都知事は、「築地から始める」と宣言したのである。


という報道記事がある。

また、週間文春のWEBサイトには、


http://shukan.bunshun.jp/articles/-/6462 より引用

“都議会のドン”が役員の会社 豊洲新市場の工事も受注


“都議会のドン”といわれる内田茂都議(77)が役員を務める会社が、築地市場の移転先となる豊洲新市場の電気工事を受注していたことがわかった。8月17日(水)発売の週刊文春で詳しく報じる。

 内田氏は、落選中だった2010年から地元・千代田区に本社を置く東光電気工事の監査役に就任。内田氏の所得等報告書、関連会社等報告書を総合すると毎年数百万円の役員報酬を受けているとみられる。

 築地市場の移転を巡っては、自民党東京都連の幹事長だった内田氏が都議会対策を仕切り、2012年3月、移転に関する予算案が都議会特別委員会で可決され、大きく進展した。

 予算成立を受け、都財務局は豊洲新市場関連工事の入札を実施。2013年12月、新市場の管理施設棟の電気工事を約37億9000万円で落札したのが、東光電気工事を中心とするJV(ジョイントベンチャー)だった。

 東光電気工事は、複数の東京オリンピックの施設工事も受注しており、内田氏が復活当選する2013年までは700億円前後だった売上高は、2014年には約1000億円へと急成長している。


真価が問われる小池知事

 地方自治法第92条の2では、地方議員が自治体の事業を請け負う企業の役員を兼ねることが禁じられている。さらに、同法127条では、前項に違反した場合、議員を失職することが定められている。

「ただ、失職させるには、議会で出席議員の3分の2以上の同意が必要であると定められており事実上、空文化しています」(自民党都議)

 内田氏、東光電気工事は以前、小誌の五輪施設受注に関する取材に対し、口利きを否定。今回、豊洲新市場の受注について確認を求めたが、回答はなかった。

 東京都の小池百合子新知事は、築地市場の移転問題について、選挙戦の最中に「一歩立ち止まるべきだ」と述べていた。16日に築地市場、豊洲新市場を視察した上で、結論を出すとしており、決断が注目される。


という記事もある。

これらの記事が正しかった場合、一大スキャンダル事件に発展するものと思われる。

小池知事は、『有識者で構成するプロジェクトチームを設け、過去の経緯を検証』して、自らブラックボックスと表現する都議会の闇を暴こうとしている。

是非、やって欲しいと思う。今後次第ということにはなるが、小池知事には期待したい。

『小池百合子新東京都知事について、どのように評価されていますか?』の質問の答えなら、現時点では期待感の多い人やというところやな。



参考ページ

注1.NO.1095 緊急告知 返信不可エラーのメールについて』
http://siratuka.sakura.ne.jp/newpage10-1095.html

注2.第424回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■週刊文春に掲載された鳥越都知事候補に対する醜聞記事の信憑性とは?』
http://melma.com/backnumber_174785_6396279/


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