メールマガジン・ゲンさんの新聞業界裏話・バックナンバー
第440回 ゲンさんの新聞業界裏話
発行日 2016.11.11
■トランプ米国大統領誕生による日本の新聞業界への影響は?
10月9日の夕方、テレビのニュースを見て本当に驚いた。
何と、大方の予想を覆し、あのトランプ氏が大統領選挙に勝利したというやないか。
アメリカの新聞やテレビなどのメディアの大半が、クリントン氏の勝利を予想していた。それは日本も同じやった。
その衝撃は、今年の6月23日に行われたイギリスの国民投票によってEU離脱が決まった時以上やった。
まさか、そんなことが起きるとは……。それが正直な気持ちや。予想外のことが起きたと。
その日の夜以降、複数の読者の方々から、
「トランプ氏が、まさかのアメリカ大統領になってしまいましたが、これについてゲンさん、ハカセさんの感想を聞かせてください」、
「トランプ米国大統領誕生による日本の新聞業界への影響は、どの程度あると考えられますか?」、
「世界はこれからどうなるのでしょう?」
といった内容のメールが異口同音に寄せられた。
ワシらは二人とも政治に関してはズブの素人やさかい、アメリカの大統領が誰になって世界がどうなるかてなことなんか分かるわけがない。また分かったようなことを言うつもりもない。
本来なら、「そんなん知りまへんがな」と言いたいところやが、『日本の新聞業界への影響は?』と質問されると、そういうわけにもいかんという気にはなる。
ワシらは基本的に、新聞業界に関する、あらゆる質問、相談事にも答えるという姿勢を長年貫いてきとるさかいな。
日本の政治については時折、このメルマガでも話すことがあるので、そういった質問をされて来られるのやと思うが、期待されるような返答ができる自信は、まったくない。
最初に逃げを打つようで申し訳ないが、それで良ければ話したいと思う。
トランプ氏については新聞やテレビなどで散々報じられているのを見るくらいで、それ以上の事は読者の方々と一緒で、それほど詳しくは知らん。
そこで新聞記事やテレビ報道、およびネット上の情報などから分かったことを、まずは列挙する。
本名、ドナルド・ジョン・トランプ(1946年6月14日生まれ、満70歳 )。米国の実業家、作家、不動産ディベロッパー。
現在、不動産会社トランプ・オーガナイゼーションの会長兼社長、カジノ・ホテル運営会社トランプ・エンターテイメント・リゾーツの設立者で、数多くのホテル、ビルを所有する不動産王と呼ばれている。
1987年以前、および2001年から2009年にかけては民主党員で、同党のクリントン元大統領夫妻に過去10回に渡って献金していた。
また1999年から2001年までの間、アメリカ合衆国改革党に所属し、2001年の大統領選に同党から立候補しようとしたが断念。
この頃から大統領になりたいという意欲はあったようやが、トランプ氏自身は政治家や公職、軍隊経験がゼロというアメリカ大統領の候補者としては異例の存在とのことや。
2015年6月16日、トランプ・タワーの会見場で2016年アメリカ合衆国大統領選挙に共和党から出馬することを表明。
その後、予備選で勝利し共和党の大統領候補となるが、数々の暴言で物議を醸したことで一躍話題の人になる。
「すべてのイスラム教徒のアメリカを拒否するべきだ」、「メキシコ人は麻薬や犯罪を持ち込む」、「メキシコは問題のある人間を米国に送り込んでいる。彼らは強姦犯だ」、「アメリカとメキシコに万里の長城を築く。その費用をメキシコに持たせる」、
「マケインは英雄ではない。捕まったからこそ、英雄になったのだ。 捕まらなかった人の方が、私はいいと思う」、「おい、そんな小汚い子供より、俺を助けろ!! 金ならいくらでもやるぞ!!」、
「移民なんかくそくらえ」、「貴様!! 俺を誰だと思ってるんだ! 不動産王のトランプ様だぞ!!」、「どわははは、世界は俺を中心に回っているんだ!」、「世界同時株安は中国、お前らのせいだ!」、
「不当な扱いを受けたらやり返せ。やり返すことは目には目をではない! 単なるフェアである。よし、ためらわずに反撃しよう。それは当然のマナーなのだ。すなわちウィンウィンという奴だ」、
「たとえ私がニューヨーク5番街の真ん中でだれかを撃っても、選挙の票は失わない」、
「ヒラリー・クリントンが夫を満足させられていないのに、なぜ彼女は(自分が)アメリカを満足させられると思っているのか?」、
「(リンゼー・グラム上院議員から「間抜け」と呼ばれたことに腹を立て、グラム氏の携帯番号を読み上げる) これが(グラム氏の)正しい電話番号かは知らない。 試してごらん。優柔不断なヤツだが、話し相手にはなるだろう」、
「日本人はウォール街でアメリカの会社を買い、ニューヨークで不動産を買っている。多分、マンハッタンを自分たちのものにしたいんだな。日本人と競り合っても勝てる見こみはない。どうみても彼らはこちらをコケにするためだけに法外な金額を払っているとしか思えない」、
「日本の安倍は、米経済の殺人者だが、やつはすごい。 地獄の円安でアメリカが日本と競争できないようにした」、
「日本から、何百万台もの車が、ひっきりなしに輸入されてくる。アメリカは、日本に何か買わせたか? 牛肉を輸出した、だが日本は買いたがらない。これは貿易不均衡だ」、
「(もし中国などが日本を攻撃したらどうするかという質問に)アメリカが一歩引いても、日本は自ら防衛できるだろう。日本は中国との戦争に勝ち続けた歴史がある。 なぜ、アメリカは日本を守ってやっているのか? ご存知の通り、日米安保条約は心憎い。なぜなら、他国がアメリカを攻撃しても、日本はアメリカを助けなくてよい。なのに、他国が日本を攻撃したら、アメリカは日本を助けなければならない」、
といった具合に枚挙に暇がないほど多い。
最近では「有名人なら女を思うままにできる」、「ミスコンテストで優勝した後に体重が増えた女性を「ミス子豚」と呼ぶなど女性蔑視発言も多く、女性の反感を買った」といった報道があった。
それらの影響もあり、米国の政治専門紙ザ・ヒルの調査によれば、2016年10月までに米国の発行部数上位100紙のうち民主党候補のクリントンを支持した新聞が17紙あったのに対し、トランプ支持を打ち出した新聞は1紙も存在しなかった。
女性蔑視発言によるトランプの失速が明らかになって以降、トランプ批判に踏み切りクリントン支持を打ち出すメディアは急増しており、
歴代大統領に関する資料を収集するカリフォルニア大学サンタバーバラ校のプロジェクトが同じく上位100紙を対象に行った調査では、クリントン支持33紙、ジョンソン支持3紙、トランプ支持は0紙やった。
その主な内容や。
エコノミスト紙は、「なぜトランプ氏は危険なのか」という題の社説を掲載、トランプの政策の変遷や政党遍歴、ポピュリズムや外交政策を批判している。
ニューズウィークは、トランプについてアドルフ・ヒトラーと同じデマゴーグであり、自画自賛が激しく、傲慢で具体性もないのに詭弁を弄して民衆の支持を集める人物であるとする記事を掲載した。
ハフィントン・ポストは、「トランプの発言は初めから醜かった(ugly)」「トランプは女性蔑視主義者だ」、「トランプは人種差別主義者」、「トランプの好きにはさせない」、「彼の発言は面白くない。不快で危険だ」と非難している。
共和党系保守紙ナショナル・レビュー(英語版)は、ドナルド・トランプとテッド・クルーズの2人を共和党への脅威として辛辣に批判し続けており、「反トランプ」特集を組んでいる。
タブロイド紙デイリーニューズの黒人記者は、トランプが2度離婚していること、牧師に罪を告解した経験がないこと、人種差別的とされる発言が多いことなどを挙げ、キリスト教徒のふりをしている紛い物であると批判した。
トランプへの支持を表明したジェリー・ファルウェル(米バージニア州のリバティ大学学長)に対しても「南部の保守的な白人キリスト教徒はいつも人種差別的である」とした上で、トランプのことをファルウェルのような保守派のキリスト教徒に愛される人間ではないとした。
ニューヨーク・タイムズは、1月30日、民主党のヒラリー・クリントンを「近代史上、最も能力の高い大統領候補」と称賛する一方で、共和党トランプを「経験もなければ、安全保障や世界規模の貿易について学習することへの興味もない」と評した。
ウォール・ストリート・ジャーナルは2月22日の社説で、トランプ支持を見直さなければ得体の知れないものに真っ逆さまに飛び込むことになると訴えかけ、民主党が党内の社会主義者(バーニー・サンダース)を「甘やかさなかったように」、共和党支持者も反トランプ票を1人の対抗馬に集めることが望まれるとした。
ワシントン・ポストは2月25日の社説でトランプの大統領就任阻止を訴えた。
トランプが1100万人に上る不法移民を強制送還すると発言した点に触れて、「スターリン政権かポル・ポト政権以来のスケールの強制措置」であると批判し、「良心ある共和党指導者がトランプ氏を支援できないと表明し、指名阻止のためにできることをする時だ」と訴えた。
10月13日には、トランプについて「偏見に満ち、無知で、嘘つきで、自己中心的で、執念深く、狭量で、女性蔑視で、財政面で無頓着。民主主義を軽蔑し、米国の敵に心を奪われている」と強く批判した上で、「根気があり、困難にめげず、決然とし、しかも賢明」なクリントンへの支持を表明した。
キリスト教有力紙クリスチャン・ポスト(英語版)は、トランプを「ミソジニスト(女性差別主義者)であり、なおかつ遊び人である」として、「女性と少数派を貶めている」と批判、トランプを落選させるよう有権者に呼びかけた。
フォーリン・ポリシー(英語版)には、軍にテロ容疑者の家族、疑わしい市民に対する拷問を命じるとするトランプの発言に反対する50人の共同声明が掲載された。
彼らは「我々の知る有力な法律家は皆それらを違法だと考えている」として、トランプに違法な命令を出すような約束をやめるように呼びかけた。
また米国の大統領が戦争犯罪を行うよう命令しても米軍は法的職業上の義務として拒絶するとした。
フィナンシャル・タイムズは、トランプがウィスコンシン州の予備選で敗北すると、投票者がようやくトランプの欠点に気がつき始めたのかもしれないというかすかな希望が見えたとし、有権者に共和党の大多数がトランプに反対する流れに今から続いても決して遅くはないと呼びかけた。
ボストン・グローブは、2016年4月10日、「共和党はトランプを阻止せよ」と題する社説とともに「トランプ大統領」の統治下を想定した架空の記事を掲載してトランプが掲げ批判した。
米国最大手紙USAトゥデイは、2016年9月29日、行き当たりばったりで人種偏見的思想を持つトランプを、確定申告もしない嘘つきであるとして、「米国が大統領に求める性格、知識、堅実さ、誠実さを欠く」トランプは大統領に相応しくないと論評した。
政治的中立を謳う同紙が大統領に対する支持・不支持を明確にするのは1982年の創業以来初のことだという。
老舗雑誌アトランティック(英語版)もトランプを「主要な政党の候補者としては、大統領選挙史上、最も不適格だ」として政治的中立の立場を52年ぶりに取りやめ、クリントン支持を表明した。
長年共和党支持を打ち出してきたテキサス州の最大手紙ダラス・モーニングニューズは、トランプを「党のほぼ全ての理想と相いれない。党員でも保守主義者でもない」と批判。
「大統領になる資格はなく、投票に値しない」として不支持を表明し、第二次世界大戦後初めて民主党候補であるクリントンの支持を表明した。
アリゾナ州の最大手紙アリゾナ・リパブリックも、創刊時の紙名が「リパブリカン」(共和党員)である共和党支持の新聞であるが、トランプを「保守でもなく、大統領になるべきでもない」として1980年の創刊以来初めて民主党候補を推薦した。
他にも挙げたらキリがないくらい多くの新聞メディアが、トランプ氏の批判を行っている。
このようなメディアの逆風と、少ない選挙資金で指名争いの首位を保ってきた逆説的な状況については、マスコミ誌上でも多くの分析があり、全体としては主流政治家への不満の他、支持者の見識不足と結論づける論調が多い。
尚、数少ない新聞メディアによる支持表明の例としては、ニューヨーク・ポストがあり、日韓核武装論やメキシコ国境への万里の長城建設といった政策を「新人らしいミス」と一蹴しつつも、「不完全だが、可能性に満ちている」として支持を表明しているケースもある。
日本でも、アメリカとほぼ同様で、大方の新聞がトランプ氏を批判している。
発行部数が世界最大の読売新聞は、3月3日の社説で、「トランプが中国・日本・メキシコなどを打ち負かすと発言したり、偉大な米国を取り戻すといった単純なスローガンの繰り返しによって危うい大衆扇動をしている」と評し、トランプを支持する動きを「反知性主義」と断じた。
朝日新聞は、トランプが「米国と世界を覆う難題」に冷静に取り組まず「社会の分断」を煽ってきたと言い、トランプは国民の鬱屈する心情に「扇動的」に訴えかけており、「自由主義の旗手を自負する大国」の指導者に相応しくないとした。
また米国の強みは流入する移民とともに成長することであるとした上で、米国では白人が着実に減っている反面、中南米系とアジア系が増えているのだから「人種的な意識があるならば時代錯誤である」として、米国民に「移民を排し、外国を責め、国を閉じ」ても何も解決しないので「グローバル」で優秀な指導者を選ぶように期待するとした。
毎日新聞は、トランプがメキシコとの国境に壁を作って移民を締め出し、イスラム教徒の入国も禁じる訴えをしていると紹介したうえで、世界がこのような発言で息苦しくなっているとし、共和党にそれでよいのかと疑問を投げかけ、トランプには、「暴言や下品なパフォーマンス」を慎むべきだとした。
中日新聞は、「移民やイスラム教徒に対する無用の憎悪をあおり喝采を浴び」る「ポピュリストの手法」によるトランプの躍進に世界の憂慮が深まっていると指摘した。
日本経済新聞は、トランプが支持を集める背景を理解すべきとした上で、トランプが「人種差別的な発言」を繰り返しているとした。
またトランプの「極端な主張」は必ずしも保守主義を体現しておらず、そのような主張に共鳴する支持者の姿を見ると、歯止めがきかなくなった「大衆迎合主義の危うさ」を感じるとし、米国社会の分裂がトランプや他の候補の政策によって高まれば日本が不満の捌け口にされる恐れもあると指摘した。
産経新聞は、『トランプ現象は「痛快だから」では済まぬ』と題する記事を掲載。
トランプの政治姿勢について「貿易で日本、中国、メキシコを打ち負かすと連呼」していて、「日米同盟の意義」を理解していない、「有無を言わせず通商紛争を仕掛けるかのような」内向きで独善的な姿勢であるとして、トランプの躍進に不安を覚えるとした。
普通、これほど多くの新聞メディアに、ここまで叩かれたら、まず選挙に勝つことはできない。
しかし、現実にはトランプ氏は大統領選挙に勝利し、次期大統領に決まった。
まさに、あり得ないことが起きた歴史的な事実として、おそらく後世にまで、この出来事は語り継がれるやろうと思う。
そして、同時に、多くの人たちは最早、新聞紙面、テレビ報道だけの論調には左右されなくなったということを如実に示してしまったと言える。
一般的に、たった一つでも不祥事が公になれば、それでその人間の政治生命が絶たれる場合が多い。
それが、事、トランプ氏に限っては当て嵌まらなかったのは、なぜなのか?
現在、アメリカでは仕事に就けない白人層(プア・ホワイト)たちの間で深刻な政治不信に陥っていると言われている。
その人たちを中心に、政治経験のない実業家であるトランプ氏の暴言と呼ばれている発言について、「歯に衣を着せない主張」と良いように捉え、「世の中を変えてくれるのはトランプ氏しかいない」と期待したからやという。
そのため、その人たちにとっては暴言は不祥事などではなく、むしろ小気味の良い主張として聞こえるのやろうと思う。
新聞メディアがトランプ氏を叩けば叩くほど、却って既存の政治を支持している悪しき存在と捉えたのやないかと。政治と同時にメディアも信用されなくなりつつあると。
もちろん、それだけが理由やないと思う。
現在、民主党政権が8年続いたことで、そろそろ共和党の大統領が誕生しても良いと考えた人たちも大勢いたはずや。
今回の選挙選を見ても共和党の地盤が強い州でトランプ氏は確実に票を伸ばしていたさかいな。共和党支持者にとってトランプ氏は、痩せても枯れても共和党の代表やったということや。
言い方は適切やないかも知れんが、阪神タイガースのファンの中には何があろうと、絶対に巨人の応援などしないと言う人たちがいるのと似ているのやないかと思う。
それに引き替え、アメリカでは仕事に就けない白人層(プア・ホワイト)たち
の多くは、もともと民主党支持者だったわけで、その人たちに政治不信感を抱かせた結果が、僅かな差でヒラリー氏が負けた要因になったのやないかとワシらは分析しているがな。
まあ、事はそれほど単純やなく他にも様々な要素があってのことやとは思うが、いずれにせよ選挙でトランプ氏が次期大統領に決まったことだけは動かし難い事実や。
その反面、トランプ氏を嫌っている人たちもアメリカ国民の半数近く存在していることでもあり、これからの政局運営、世界情勢を考えた場合、本当に政治経験が皆無なトランプ氏で大丈夫なんかいなという危惧は捨て切れん。
ただ、トランプ氏の勝利宣言を聞いた時、ひょっとしたら、そんな危惧は必要ないのやないかという気にはなったがな。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161109-00010000-logmi-pol より引用
【全文】大統領当確、トランプ氏の勝利演説「この国にアメリカンドリームを取り戻す」
11月8日に行われたアメリカ大統領選。日本時間の9日16時ごろ、共和党のドナルド・トランプ氏が当確しました。その直後に行われた、勝利演説の全文書き起こしです。
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ヒラリー氏からのお祝いの言葉
ドナルド・トランプ氏:みなさん、お待ちいただきありがとうございます。長らくお待たせしてしまい申し訳ありません。
(会場歓声)
ありがとうございます。
つい先ほど、クリントン氏からお電話をいただきました。彼女から私たちの勝利についてお祝いの言葉をいただきました。
私も彼女の感動すべき努力に対して賞賛をお送りしました。
(会場拍手)
この選挙期間中、彼女はとても長くとても熱心に活動をしていました。私たちは彼女の努力を無駄にはせず、この国に還元していく責任があります。
今こそ、私たちは分裂をひとつに統合し、共和党や民主党を含めたこの国に存在する政党が一緒になり、1つの組織となる時です。
(会場拍手)
私はこの国に住むすべての人の代表となることを誓います。私のことを支持しないという選択をとった方々にも、この国の統合に向けて助力を頂けるようアプローチしていきます。
はじめにお話したように、私たちはキャンペーン(宣伝活動)をしていたのではなく、輝く未来を信じて、この国を愛する数百万人にも及ぶ人々の活動による偉大で重要なムーブメントを起こしていたのです。
この国は、政府が人々のために奉仕することを願っている、宗教、信念や人種の違う様々なバッググラウンドをもつすべてのアメリカ人によって構成されています。
全員が一丸となって行動し、アメリカンドリームを取り戻すという喫緊の課題に着手します。
美しくて偉大な夢を
私は、今まで自分の人生をビジネスに費やし、溢れんばかりの世界中の人々のポテンシャルを目の当たりしてきました。そして今、そのポテンシャルをこの国のために使いたいと考えています。
それはとてもすばらしいことで、忘れられていた我々アメリカ人のポテンシャルに気づくことでしょう。
まずは、私たちの都市を再生します。高速道路や橋、トンネル、空港、学校、病院などインフラを再整備するために、数百万人の人々を再生の立役者として投入します。
この18ヵ月間の長い旅で、すばらしい方々との活動を通してたくさんのことを学びました。
そして、そのすばらしい才能を国民のみなさんに還元できるよう、国家成長のプロジェクトを促進していきます。
私たちはすばらしい経済計画を持っています。経済成長を2倍にし、世界で一番の経済大国にすると同時に、わが国と進んでいい関係を築こうとする国々すべてとうまくやっていきます。
その国々といい関係を築き、いい規制関係も築いていきます。大きすぎる夢もなければ、偉大すぎる挑戦もありません。私たちがしようとすることはすべて実現可能なのです。
アメリカはもう最良の国という立場以外に甘んじることはありません。私たちは、わが国の運命を再生させ、大きくて勇敢で思い切った夢を抱くべきです。そして、再び私たちは美しくて偉大なことを夢に描いていきます。
われわれアメリカの利益を優先して考える一方、公平に取引するということを世界中の委員会に伝えたいです。
すべての人々、すべての国々と、敵意もつのではなく同じ絵を見て、衝突するのではなくパートナーとして活動していきます。
歴史的勝利を支えたメンバーたち
そしていま、この歴史的勝利を支えてくれたメンバーにこの場を借りて感謝の意を示させてください。
まずは、目の前にいる私の両親です。すばらしい両親です。私は彼らからたくさんのことを学びました。また、この場にいる姉のマリアンとエリザベスにも感謝しています。どこにいるのでしょうか? 彼女たちはとてもシャイなんです。
そして、弟のロバートです。ロバートはどこにいますか? 彼もステージにいる予定だったのですが、まあいいでしょう。そして、今は亡き兄のフレッドにも感謝しています。こんなにすばらしい兄妹、家族のもとで生まれて、私はとても幸運です。
長男のダン、妻のメラニアにも感謝しています。そして、長女のイヴァンカ、次男のエリック、次女のティファニー、三男のバロン。政治的なことというのは、不快でタフなものです。このようなタフな戦いをサポートしてくれた愛する彼らにとても感謝しています。
また、私たちを支えてくれたメンバーにもとても感謝しています。今回とても多くの方が支援してくれました。
ここにいるメンバーを見てください。キャリアン、クリス、ルーディー、スティーブ、デイビッドなど、とても優秀な方々です。彼らにも特別な感謝の意をお送りします。
また、元ニューヨーク市長のジュリアーニ氏にもとても感謝しています。彼は、私たちと各地に渡り歩き、数々の会議を共にしてくれました。
ニュージャージー州のクリス・クリスティー知事もすばらしい活動をしてくれました。ありがとう、クリス。そして、上院議員のジェフ・セッションズ。偉大な男です。
もう1人、私の友人で偉大な男がいます。もともとは競争相手でしたが、民主党と幾度となく交渉をしてくれた人物です。それは、ベン・カーソン氏です。どこにベンはいますか?
ともかく、マイク・ハッカービーもここのどこかにいますが、彼はすばらしい男です。彼と家族のサラ、どうもありがとう。大佐のマイク・フリン。どこにいますか? そしてもう一人大佐のケロッグ。私たちには200人を超える大佐や将官がいて、このキャンペーンをサポートしてくれました。とても特別な人たちです。
次の大統領を誇りに思ってもらえるように
私たちは22人の栄誉賞受賞者もいます。私を信じてくれた特別な人で、私は以前彼と仲がよくないというレポートを読みましたが、私は1秒たりとも彼に変な気持ちを持ったことはありません。
彼はスターです。誰だと思いますか? レインスを紹介します。レインスと言いました。わかります、わかります。ここにいるすべての人を見てください。レインスはスーパースターです。本当にそうです。彼はもっともよく働く人で、私もそうしてきました。
レインス、来て、ここに来てください。何か一言、お願いします。
レインス氏:紳士淑女のみなさん、こちらが次の大統領ドナルド・トランプです! ありがとう。ありがとう神様。
トランプ:すばらしい男性です。共和党全国委員会との関係もこの成功のためには大切なものでしたので、信じられないほどすばらしい人々にあったことを言わなければなりません。
シークレトサービスの人々もその中の1人です。彼らは屈強で、賢く、鋭いので、私は彼らに変なことをしたくありませんが、言います。私が席を立ち、手を大勢の人々に降りたい時、彼らは私を引っ張り席に戻したことがありましたが、彼らはすばらしい人々です。シークレットサービスにも感謝します。
今晩ここにきている、ニューヨークの法執行機関にも感謝します。才能のある人々が集まっていますが、残念なことに時に正当な評価を受けないことがあります。私は彼らに感謝しています。
歴史的な出来事と言われますが、本当にそうではありません。私たちはすばらしい任務を果たさなければなりません。失望させないことを約束します。私たちはすばらしい任務をやり遂げます。
みなさんの大統領になることを待ち望んでいます。そして2年、3年、4年、また8年間、できればみなさんが私たちのために協力したいと言ってくれることを願います。みなさんが、私の成し得ることに対し、誇りに思ってくれるようになるでしょう。本当にありがとう。
そしてキャンペーンが終わって、私が今言えることはこの活動に対する仕事は、本当に始まりにすぎないということです。アメリカの人々のために即座に任務に取り掛かり、次の大統領をみなさんが誇りに思ってくださるように努めます。必ず誇りに思うはずです。
もう一度、本当に光栄です。すばらしい夜でした。すばらしい、2年間でした。この国を愛しています。
ありがとうございます。
というものや。
選挙中からトランプ氏の言動は選挙のためのパフォーマンスの一環で実際の人物像とは違うのやないかと噂されていたが、この勝利宣言を聞く限り、あながち、それは的はずれやなかったなという気になった。
あの暴言王と言われたトランプ氏の面影は微塵も感じられんかったさかいな。実に謙虚な演説やったと思う。
選挙中、およびトランプ氏が勝利確実となった時は、「トランプ・ショック到来」などと恐れられ、アメリカはもちろんのこと、日本を含む世界中の株式市場が下落し、大混乱に陥いる様相を見せていたが、この勝利宣言直後から、まったく逆の展開を見せ始めた。
ニューヨーク市場では、トランプ氏の公約のインフラ整備や金融の規制緩和への思惑から、ニューヨークダウは大幅に上げ、日経平均株価は一時千円以上値を下げていたのが、現在は、それ以上の値上げ幅で推移している。
円相場も1日で3円近く円高が進んだが、現在は1ドル105円から106円と、かなりな円安になっている。
全体として、落ち着いたというより、むしろ好景気の到来が来るのやないかと感じられるほどや。
もちろん、トランプ氏の勝利宣言だけで安心することはできんがな。いつ何時、暴言王の顔を見せるかも知れんしな。
ワシのトランプ氏に対する印象やが、ワンマン経営者に多い性癖の持ち主やないかという気がする。
自分に味方する人間に対しては面倒見が良く、敵対する人間には敵意を剥き出しにするタイプやないかと。
世界の中で、最も慌てていたのが、日本の政府やと思う。当初、日本政府はヒラリー氏が100%次期大統領になるものばかりと考え、トランプ氏側とは殆ど接触していなかったというさかいな。
選挙中のトランプ氏の発言どおりやとしたら日米同盟にも亀裂が入りかねんし、TPPに至っては推進派であったはずの共和党の議員の間ですら、ほぼ絶望的になったという声が漏れ聞こえとるくらいやからな。
TPPと言えば、昨日の10日、衆議院で、ほぼ強行に採決された。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161110-00000044-mai-pol より引用
<TPP>衆院を通過 承認案と関連法案、本会議で可決
環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の承認案と関連法案は10日、衆院本会議で自民、公明、日本維新の会の各党などの賛成多数で可決され、参院に送付された。採決では共産党が反対し、民進、自由、社民の野党3党は退席した。
TPP反対のトランプ氏が米大統領選で勝利したことでTPPの発効は困難な情勢だ。
それでも、政府与党が早期承認にこだわるのは、政権の重要課題と位置付けて衆院特別委員会で採決を強行した経緯もあり、方針転換は難しいためだ。11月30日までの国会会期を延長して承認を確実にする構えで、11日に参院で審議入りする予定だ。
自民党の二階俊博幹事長は記者団に「米大統領選によって日本の方針を変更すると言ったことはない」と述べ、今国会で承認を目指す方針に変わりがないことを強調した。
野党側は反発しており、民進党の蓮舫代表は記者会見で「米国が批准しなければ発効しない仕組みなのに、なぜ我が国だけが急ぐのか理解ができない」と述べた。
TPP採決をめぐっては、自民党の鈴木憲和衆院議員(山形2区)が「前回衆院選でTPP反対を訴えたため」との理由で退席。川崎二郎元厚生労働相は「体調不良」で退席した。
TPPの採決に先立ち、民進、共産など4党は、失言を繰り返した山本有二農相の不信任決議案を提出したが否決された。維新は出席したまま採決を棄権した。
ナンセンスという意味をなさないこと、無意味であること、ばかげていることを意味する言葉があるが、これがまさに、それやろうと思う。
トランプ氏は明確に大統領就任時にはTPPを破棄すると断言しているわけで、それに間違いはないやろうと思う。
まあ、これもオバマ大統領の政策を引き継ぐと見られていたヒラリー氏が次期大統領になると考えていたからやと思うがな。
ヒラリー氏も民主党そのものがTPPには反対の立場を取ってはいたが、説得すれば何とかなると考えていたようやしな。
まあ、TPPについては、『第184回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■TPPの参加により新聞の再販制度は守られるのか?』(注1.巻末参考ページ参照)で否定的な意見を言うとるので、ワシらとしては良かったのやないかと考えとるがな。
『トランプ氏が、まさかのアメリカ大統領になってしまいましたが、これについてゲンさん、ハカセさんの感想を聞かせてください』ということやが、なってしもうたものは仕方ないと思う。
物事は、良くも悪くも実際にそうなってから考えて対処するしかないというのが、ワシらのスタンスでもあるしな。
まあ、敢えて言えば、結構、面白いのやないかなというのが感想やな。ひょっとすると、希代の名大統領になるかも知れん。もちろん、その逆も大いにあり得るがな。
まずはお手並み拝見といったところかな。
『トランプ米国大統領誕生による日本の新聞業界への影響は、どの程度あると考えられますか?』という点については、景気もさほど悪化する動きもないようやから、実質的な影響は、あまりないやろうが、それでもトランプ氏を新聞紙上で否定ばかりしてきたツケは、いくらかあるかも知れん。
それは、日本の新聞メディアの分析力、先見の明のなさを露呈した結果でもあるさかいな。新聞の信用が落ちれば、ある程度の影響が出るのは間違いないと思う。
『世界はこれからどうなるのでしょう?』と訊かれても困る。
これに答えるとしたら「なるようにしか、ならんわな」と言うしかない。すべては今後次第ということになる。
吉と出る凶と出るか。神のみぞ知るということやな。できれば吉であって欲しいが……。
参考ページ
注1.第184回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■TPPの参加により新聞の再販制度は守られるのか?』
http://siratuka.sakura.ne.jp/newpage19-184.html
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