ゲンさんの勧誘・拡張営業講座

第1章 新聞営業の基本的な考え方

法律・規則編


その2 刑法についての考え方


刑法第130条に住居侵入罪、不退去罪というのがある。

住居侵入罪とは、正当な理由なく他人の住居や管理する建造物に無断で入り込むことや。不退去罪と言うのは、帰ってくれ、出て行ってくれと要求されたにも関わらず、それらの場所から退去せん場合の罪ということになる。

三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処するとある。

この場合の正当な理由というのは、そこの住人および管理者に訪問を知らせるために住居や建造物に入ることやな。

新聞の勧誘自体は違法行為やない。中には、新聞の勧誘は違法やと喚く人間も実際におるがな。

帰ってくれと言われて居座ったら、不退去罪になる。

良う断られて簡単に引き下がったら営業の仕事なんか出来んと言う者もおるが、その人間は、ちょっと、勘違いをしとる。

確かに、押しの弱い営業員は仕事が出来ん。どんな客でも断りは入る。仕事の出来る者はそれを翻意させる。それなら、少々帰れと言われて帰ったら商売にならんやないかと言うのやろうけどせやない。

客に帰れと言われんような営業をしたらええんや。嫌な思いをさせんかったら、話くらいは聞く人間は多い。話が面白ければよけいにな。

この話が面白いというのも、良う誤解する人間がおるけど、喋っとる人間が面白いだけやあかん。客が面白がるようでないとな。おやじギャグの寒いのは、相手の気持ちまで冷やすだけや。

帰れと言われたら、そこで粘ってもええ結果が出ることは少ない。「帰れ」という言葉には必ず怒りの感情があるからな。相手を怒らせたら営業マンは失格や。

これだけは断言出来るが、相手を怒らせて大成した営業マンはどの世界にもおらん。それを心得とったら、居座ることもないやろと思うがな。


刑法第159条に私文書偽造等というのがある。

勝手に他人名義の契約書を作ったり、契約書を改竄することや。残念ながら、これをやる拡張員も多い。こんなのは、弁解の余地なしや。悪意以外何物もないからな。

この罪は、やってる拡張員が考える以上に重い。三カ月以上五年以下の懲役に処するという規定や。悪いことは言わん。こういうことを、軽く考えてやってる奴は止めといた方がええ。


刑法第222条に脅迫罪がある。

こんなのは論外やが、実際に未だにやっとる人間もいとる。このサイトのQ&Aでの相談もある。

一応、説明すると、相手の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加えるような言動をして脅迫することや。これは、相手自身やなく、親族を脅すと言うても同罪になる。

昔は、殴るぞとか怪我さすぞ、殺すぞという直接的な言葉でしか取り締まれんかったようやが、今は、暴力団の存在をほのめかしたり、刑務所帰りやと言うだけでもあかん。

関西の極道は良う人を脅すとき「大阪南港の冬の水は冷たいで」とか「生駒の山中は寂しいやろな」というような間接的な脅し文句を言うてたが、今は、状況次第ではこれでも引っ張られる。

要するに、相手を怖がらせるような言葉は脅迫罪になると認識しとかなあかんということや。

特に拡張員は、その存在が一般の人間にとってはヤクザと同一視されとる場合が多いから、迂闊なことを言うたらあかん。

ワシの知っとる奴は、その家に行って「新聞」と言うただけで、警察を呼ばれたことがあった。顔が恐かったという理由らしい。そいつは元来気のええ奴なんやが、初対面やとそんなことは誰にも分からんわな。

ワシは、そいつに、ただでさえ人に恐怖心を起こさせる顔をしとんのやから、無愛想にしたらあかん。笑えと忠告したが、その男の笑うた顔はもっと不気味やったな。

可哀想なくらい笑える話やけど、どうしようもないがな。ただ、そいつは「新聞」と言うただけでカードになることがあるんやけど、それも脅迫になるんかなと悩んどった。さすがのワシも、その時は言葉に詰まったな。

つまり、この男のようなケースは特別やとしても、それだけ、拡張員という存在は怖がられることがあるんやということを認識しとかなあかんということや。

言葉は選んで言わなあかんし、客を怖がらせず楽しい雰囲気にするように心がけなあかん。


刑法第246条に詐欺罪がある。

拡張員に騙されたという話は良う聞く。嘘をついて契約を取ったという話は枚挙に暇がないと言うてもええやろ。

せやけど、この客と拡張員との間での新聞購買契約では、刑法上の詐欺罪は成立しにくい。この拡張員が契約する時のサービスが問題の大半なわけやが、常識的に見て過剰なサービスは、それ自体が違法なわけやからな。

詐欺罪が成立する条件には、人を欺いて財物を交付させた者という規定がある。騙して金品を出させることや。

新聞契約の場合は、客には新聞代だけの請求しかせん。拡張員が契約したからと言うて新聞代が倍になるわけやない。

客に実質上の損失はない。得せんかっただけや。但し、騙しによる契約は無効にはなる。それで済むことになる。よほどのことがない限り、客と拡張員との間で詐欺罪が適用されることはないと思う。少なくともワシは、そういうケースは知らん。

ただ、拡張員と販売所や団との間では、詐欺罪は成立する。典型的なのがてんぷらの架空契約や。これは、明らかに騙して、販売所や団から金銭を取るんやから、弁解のしようがない。

因みに、この場合の量刑は、10年以下の懲役刑となる。せやけど、これも、よほど悪質でない限り告訴されることもないけどな。少々のことは、それ相当のペナルティ程度で済む。せやから言うて、こんなことばかりしとったら、ろくなことにはならん。

こういうことまで、せなあかんほど、拡張の仕事で追い込まれるのやったら、そういう人間は何ぼ頑張ってもあかん。拡張には向いてないということや。早めに辞めた方が利口やで。


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