ゲンさんの勧誘・拡張営業講座
第1章 新聞営業の基本的な考え方
法律・規則編
その3 民法についての考え方
民法上の原則では、いつでも契約の中途解約は出来るということになっとるが、実際には「中途解約は出来ない」という項目の入った契約を明記しとる契約書が多い。この場合は、正当な理由がなければ中途解約は出来んということになっとる。
民法による新聞購読の場合、この契約による揉め事が大半と思われるので、ここではそのことを中心に話す。
第4条に未成年者と契約するには、原則として法定代理人(親権者)の同意が必要で、同意のない行為は、取り消すことができるというのがある。但し、例外として、未成年の既婚者や本人が未成年やないと告知しとる場合は、この限りではないとなっている。
独身の若者、大学や専門校の一、二回生はそれに該当する場合があるから、取り消しやと言われたら、諦めるしかない。法律の決まりには逆らえんからな。
しかし、実際には、彼らの多くはそのまま新聞の購読をしとる。せやけど、拡張員に不安を覚えたらそれを理由に取り消しをしてくることもある。
サイトのQ&A NO.32の相談者も、そういうケースやったから、取り消すことが出来るとアドバイスしたがな。
ここで、契約の取り消しが出来るというだけで、こういう人間と契約したらあかんということやない。ここでも同じことが言えるんやが、相手に嫌な思いさえ、させへんかったら、ほとんどは何の問題もなく購読しとるからな。
第96条に詐欺や脅迫により契約の意思表示をした場合は取り消すことが出来るとある。
当たり前過ぎて解説の必要もないやろ。拡張員の騙しの場合は刑法の犯罪としては難しいと言うたが、民法上の契約解除は問題なく出来る。騙されたという証拠は必要やけどな。脅迫は刑法にも触れるし、民法上の契約解除も文句ない。
法律的なこと以外でも、被害者がこういう輩に対抗する手段はいくらでもある。Q&A NO.33でも一部その対処法も記しとるから参考にして欲しい。
そして、くれぐれも念を押すが、こんなアホなことはしたら、自分で自分の首を絞めるだけやということを拡張員は分からなあかん。
第113条に代理権を持たない者が、その他人の代理人としてした契約は、その本人がその契約を認めない場合は無効となるとある。
例えば、留守番をしているお年寄りが、息子の名前で新聞の購読契約をした場合、その息子からそれは承諾していないとクレームがあれば、その契約は無効になるということや。
こういうのは結構多い。この場合も法律的には諦めるしかない。せやから、契約をする場合は、その家の決定権者とするようにせなあかん。
中には、そういうことを承知で、その年寄りの名前で契約を迫る拡張員もおるが、これも、トラブルとなり易い。
もちろん、それでもその家からクレームがなければ問題ないが、あれば揉めるし、最終的には契約解除になるケースがほとんどや。ワシもそういうのは良う見て来た。
本当に賢い営業員は、揉め事は起こさんし、回避するように普段から心がけとる。揉めても構わんという姿勢の者は明日のことを考えてへん奴やから、先はないわな。これは、営業以外でも言えることや。
この民法は、解釈にさまざまな違いが現れることが多い。法律はあくまで一つの目安やから、ただ単に暗記なんかで思い込まん方がええ。法律の専門家ですら意見の分かれることは珍しいないからな。ケースバイ、ケースやと思うてた方が無難や。
せっかく頑張って取った契約を、法律違反やと指摘されるのは詰まらんことや。そうならんように、法律全部やなくても、せめて新聞勧誘に関係あると思われることくらいは知っておいた方がええ。
その上で、客とのコミュニケーションを考え、慎重な言動を心がけることや。そして、やったらあかんと思うたことは止めるように普段から注意しとくことやな。
民法を盾に契約解除をする客は、ほとんどの場合、怒っとるか嫌な思いをしたからやと思う。こういう客をなだめて翻意させるのは普通は難しい。こんな場合は、素直に反省して次にその経験を生かすように考えなあかん。
間違うても、自分の落ち度を棚に上げて客が悪いとは思わん方がええ。次に生きる経験とはならんからな。反省の積み重ねが経験になる。ただの体験は単なる出来事でしかないんやで。