ゲンさんの勧誘・拡張営業講座

第1章 新聞営業の基本的な考え方 
     
人間関係構築編


その7 雑談から入れ


客との無駄とも思える会話の中に営業のためのヒントがある。雑談やな。この雑談というのは営業員にとっては重要や。

成約出来るかどうかは、はっきり言うて、客と雑談が出来るかどうかにかかっとると言うても過言やない。

ワシは、客にアプローチをかける時は、まずこの雑談をするように持っていくことにしとる。初めから新聞の勧誘一本に絞ることはせん。

ワシが、この営業の仕事の好きな理由が、人と会話が出来るということや。特に雑談が好きや。雑談というものはバカに出来ん。

相手の客も、自分とは全く別の人生を歩んで来とるし経験も違う。当然、ワシの知らんことを知っとる。雑談からそういう話を知ることが出来る。

人間関係を作るということに主眼を置くなら、この雑談はなくてはならん。雑談が人間関係を作ると言うてもええ。逆に雑談の交わせん者に人間関係は作れん。

どの世界の営業も間違いなくこの雑談の上手い人間が成功しとる。このことが分かっとれば、自ずとアプローチの仕方が分かる。

評判の悪い営業は、売り込むことに主眼を置き過ぎる。売り込もうとばかりするから売れん。

売ることだけを考えるあまり拡材、サービスをアピールするしかなくなるわけや。そういう拡張員をうっとうしいと思い、胡散臭いと感じる客が多い。

ワシは良う立場を変えて考えろと言うが、それが出来んのやな。自分が客やったらと考えるだけで、簡単に分かるはずなんやけどな。

誰でも生まれながらの拡張員なんかはおらん。拡張員をする前は、この客の立場やった者がほとんどや。せやから、その客の気持ちは分かるはずなんやが、それが、自分の仕事となると分からんようになる者が多い。

それが何故かという答えは簡単や。自分だけのことや、売り込む側のことしか考えんから分からん。

営業は当然やけど、相手がおって初めて成立する仕事や。客がおらんことには仕事にならん。それが分かっとれば、一方通行の営業にはならんはずなんやけどな。

しかし、残念ながらこの稚拙な営業を繰り返す拡張員は多い。ワシがこういうことをしとる奴に、何でやと聞くと、その方法しか知らんと言う。

これを見て心当たりのある人間は聞いてほしいが、そういう状態になったら、一度、営業から離れて客と雑談を交わすことを主眼に置いてみたらええ。必ず、何が必要なのか見えて来るはずや。

新聞営業は、商品説明をそれほど必要とせん希な営業や。新聞自体を知らんという客は皆無と言うてええからな。どの新聞もそれほど大差ないというのも良う知っとる。惰性や慣れで購読しとる人間が大半や。

せやから、売り込む拡張員を気に入って貰えれば、勧誘出来る確率は高くなる。そのためには、人間関係を作ることや。

その人間関係を作るために必要なのが、この雑談をするということや。但し、雑談をするには、そのネタを仕入れとかんとあかん。それも、客が面白がるネタでないと意味がない。

完璧を目指したら、経験とセンスが必要になるから一朝一夕ちゅう訳にはいかんけど、せめて、雑談から初めようと思いさえすれば、今まで見えてなかったものが見えてくるはずや。

叩く前に、その家の情報を手に入れようと考える。良く観察すれば、いろんなことが分かる。

乗ってる車のタイプ、飼ってる犬、干してる洗濯物、子供の有無、玄関の様子など、雑談に使えるネタはいくらでもある。

他の人間関係構築編で言うた方法すべてに共通して言えることやけど、知識として知っとくだけやなしに実践せんと意味がない。

これまで、基本的な考え方と言うことで話して来た事柄は、すべてワシの経験と実践に基づいての話や。

それを取り入れるかどうかは、これを読んどるあんた次第やけどな。


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