ゲンさんの勧誘・拡張営業講座

第2章 新聞営業の実践についての考え方 

拡張パターン編 


その4専属拡張についての考え方


専属拡張。通称、専拡と言う。これは、特定の販売所だけの拡張をする。これをする拡張員は2種類や。

一つは、その販売所が独自のルートで雇う、一匹オオカミ的な拡張員。もう一つは、販売所が指定もしくは、拡張団の推薦で送り込まれる拡張員のことや。

いずれも、客や販売所の評判はええ。受けのええ人間でないと続かんと言うてええやろ。専拡で問題やトラブルを起こす者は馘首か出入り禁止にすぐなるからな。

専拡になる者は、その辺を良う心得とるベテランが多いから、そんな人間はまずおらん。しかし、受けがええからと言うて悪さをせんのかと言うとそうでもない。

する奴も希にやがいてる。普通の拡張員の出来んことをする。その代表的なんが「ヌキ取り」や。簡単に説明しとく。

拡販区域の他の新聞を配達直後に、その家から抜きとるんや。客が一番怒るのは不着と呼ばれる不配のときや。

文句を言う客はまだええ。販売所から飛んで行って、ちょっとしたサービス品を持って頭を下げたら収まることが多いからな。

せやけど、文句の言えんようなおとなしい客も多い。当然、怒ったままや。そこに、日を置かず、その専拡が新聞を手に出向く。それで、契約を取る。これは、その地元専門やから出来ることや。もっとも、これは専業もやっとる奴がおるようやけどな。

しかし、何でもそうやが、悪いことはそう上手く行くもんやないし、続かん。手口がバレればアウトや。もちろん、一度でもそんなことがバレたら専拡は馘首や。

専拡は待遇もええし、仕事も他の拡張員に比べたら楽や。ワシもこれをしてた時期があるから良う分かる。信用されたら、出勤時間は自由やし、カードが監査されることもまずない。あっても、形だけや。

他の拡張員と比べたらおいしい立場ということになる。一般の拡張員から見たら妬まれる存在や。そんな立場をつまらん欲でなくすようなアホは少ない。

それに、そんなことまでして、カードを上げなやっていけんような拡張員はこの専拡になること自体が難しい。販売所が欲しがるのは、腕のええ拡張員なんやからな。

本来、販売所もこういう拡張員だけ確保出来たら、他の拡張員なんか来店して欲しいはないんやが、この新聞勧誘業界はこれでなかなか複雑なことがあるんで、団の受け入れを正面切って拒否し辛いんや。

販売所も新聞社からの指示したノルマを常にクリアしとる優良店ならある程度の意見は言えるが、そんなところは極一部しかない。

表面上は、販売所が拡張員を要請するということになっとるが、現実は、新聞社の意向で拡張員が振り分けられとるのが実状や。

新聞社の担当からの要請を無視することは、ほとんどの販売所には出来ん。どんな悪辣な拡張員であろうと、新聞社の意向を無視して、それで成績が悪ければ改廃に追い込まれることもあるから受け入れなしゃあない。

せやから、販売所がそんな悪辣な拡張員の入店を防ぐ手立ては、監査しかないことになる。監査により不正が発覚すれば、その程度にもよるが、その拡張員を入店拒否出来る。これには、新聞社も拡張団も文句は言わん。

そして、監査の他に有効なのが、この子飼いの専拡を持っとることや。子飼いの一匹オオカミは当然やとしても、団から派遣されとる専拡でも、販売所側に立った行動をすることが多い。

専拡はベテランが多いから、当然、大抵の拡張員の手口は熟知しとる。その見破り方もお手のものや。専拡にしても、他の拡張員の入店はなるべくして欲しいないから、そうなるのは当然なんやけどな。

もっとも、相手が同じ団の拡張員やったら、表面立ってそういうあからさまなことはせん。まあ、しかし、専拡を送り込むような団は、その販売所に他の拡張員を入店させるような日程は組まんように手を打っとる所がほとんどやと思うから、そういう心配をすることもないがな。

この専拡が心がけなあかんことは、販売所の信用をなくさんようにすることや。せやけど、この専拡になるような人間はそういうことは百も承知やと思う。そういう、人間に忠告すること自体が僭越やわな。


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