ゲンさんの勧誘・拡張営業講座
第2章 新聞営業の実践についての考え方
拡張パターン編
その5 連勧拡張についての考え方
連勧拡張。通称、連勧。これは、グループで勧誘するやり方や。他の拡張パターンは、販売所や新聞社の意向は無視出来んが、これだけは拡張団単独で勝手に決めることが出来る。
この連勧には、メリットとデメリットがはっきりしとる。せやから、拡張団によっても、採用しとる所としてへん所といろいろや。
メリットは、サボリ防止になる。グループで仕事するわけやから、サボるということが出来ん。
拡張員は、ワシ自身のことを棚に上げて何やけど、良うサボる。ちょっとでも、金に余裕があれば、仕事なんかせん奴が多い。
そういう奴には、ノルマがどうとか関係ない。怒られてもその時だけ辛抱したら終わりやくらいにしか考えとらん奴が大半やからな。
ほとんどの拡張団が頭を悩ましとるのが、このサボリや。まさか、一人づつ付いて廻るわけにはいかんからな。一応は、拡張員を信用せなしゃあない。
しかし、グループで仕事させると、自分一人だけサボるということは出来ん。その中の古株は特にサボれんし、ええとこを見せなあかんと気張る。
この連勧の場合、車で移動しながらというのが一般的や。つまり、常に行動を共にする拡張をそう呼ぶ。
ある特定の地域で解散して、集合時間を決めとるような場合は連勧とは言わん。これは、自由拡張の部類に入る。地域と時間以外は個人の自由が優先されるからや。
連勧の場合は、マンション、アパートなどの建物に全員で勧誘することも多い。その場合、次の場所への移動は全員が揃わんと行かん。常に同一行動が連勧の基本や。
この行動の背景には、情報を基にしとるということがある。販売所からの過去読を主体とした情報、拡張団内部の拡張員による情報なんかやな。ある意味、データ拡張と言えなくもない。
因みに、連勧の場合、上げたカードは基本的に全員で分配することになっとる。上げた者のカードにはならん。
これは、全員で同じ情報を元に同一地域を勧誘するから、そこで上がったカードは、そこに行った人間がたまたま運が良かっただけという考え方からや。
上げた者勝ちやったら、古株は自分だけ有利な客を狙い、新人にカスを廻すことがあるから不公平になるというんで、そういう約束事になった。
それでも、実際は、その分配法でもよう揉めとる。同じ条件のカードが人数分上がれば問題ないけど、この分配が原因で団員同士、殺し合い寸前の喧嘩沙汰というのは、そう珍しいことやない。まあ、余程のことがない限り、拡張員の喧嘩が表沙汰になることはないがな。
デメリットは、このことも含めたトラブルが発生しやすいことや。
強引な勧誘になることが多い。例えば、情報リストの人間がおるマンションやアパートに狙いをつけた場合、そこに全員で乗り込むことがあるから、極端な話、隣同士で勧誘しとるということも起きる。
そんな時、ひとりの時なら対面よりも1本のカードが大事やいうことで、低姿勢の場合が多いが、隣の声が聞こえているか、仲間に聞かれていると感じた拡張員は、見栄を張るんや。情けない所は見せたぁないちゅうてな。
強引な勧誘は当然、揉める。それで、決裂したら暴言も吐くし、玄関口を蹴飛ばす奴も出て来る。拡張員の悪評の見本みたいになるわけや。実際、この拡張でこの手の苦情やクレームは多い。
ワシ個人としては、あまり好きなというか得意な拡張やない。しかし、拡張員は、それを命じられたらその拡張をせんとしゃあない。
せやから、ワシはこの拡張をする時は、カードを上げることより、他の拡張員の仕事を見ることの方に重点を置いていた。
やはり、他の人間の拡張は、良きにつけ悪しきにつけ勉強にはなる。長所は取り入れるようにしたらええし、悪い所は反面教師にしてたらええ。
新人の内は役に立つことも多いと思う。皆、取り敢えずは真面目に仕事するからな。リーダーの指示には逆らわんようにしてた方が無難や。
リーダーは大抵、その中の古株や。古株はやはりそれなりに情報量を持っている。せやから、その情報を吐き出させるためにも、誉めまくり、よいしょしといたらええ。それが、カードに繋がる。