ゲンさんの勧誘・拡張営業講座

第2章 新聞営業の実践についての考え方 

拡張パターン編 

その6  張り付け拡張についての考え方


張り付け拡張。これは主に入居勧誘のことを言う。その名の通り、そこに1日中張り付いて勧誘拡張することや。

こういうのは、新築のマンションなどの入居に合わせてする場合が多い。その地域のほとんどの新聞販売店から勧誘員が送り込まれて来る。専業の場合もあるが、多くは拡張員や。

マンションの規模によりけりやけど、場合によれば各新聞販売店から大人数を繰り出し、壮絶な顧客争奪戦になる。血の雨の降る寸前のことは何ぼでもある。

これは、期間が限られとる。長くても1週間程度や。普通、新築のマンションは建設中から入居者が決まっとることが多いから、大抵はそれで入居決定者の8割方は入る。

この入居は言わば、引っ越しやから成約率は高い。当然、目の色を変えて拡張合戦が行われるということや。

しかし、これもいろいろで、中にはその地域で協定を結んでルールを取り決めしとる所もある。拡材抑止のためや。こういう所では、表向きは大人しく拡張しとる。

拡張団とその現場との距離の関係もあるが、大抵は泊まり込みの態勢で当たる。この拡張だけは朝、遅くとも9時くらいには現地に集合する。

新人も一度この拡張に参加すると、嫌でも積極性が身に付く。遠慮してたり尻込みしてたら仕事にならんからな。

早い者勝ちか言うとそうやない。拡張の掟は上げた者勝ちや。その客に何番手で勧誘しようが、カードを上げた者の物になる。

ただ、暗黙のルールとして、客と勧誘しとる拡張員に割り込んで勧誘したらあかんということがある。一人の客には一人の拡張員が順番にというやつや。

しかし、中には敵対しとる販売店、拡張団というのが出会すことがある。その場合はルール無用という事態も起こる。

拡張団の優劣がはっきりしとれば、ヤクザの世界と一緒で優先権は自然に決まるが、拮抗している場合は一触即発の危険な状況になる。

マンモスマンションで入居者が大挙して押し寄せ、拡張員より客が多い場合は、当然やけど、争う暇もなく勧誘が開始されるが、逆のケースやと客の取り合いになる。

はっきり言うて、こういう場合の客は悲惨や。意気揚々と新居に引っ越して来たと思うたら、その瞬間にあっという間に拡張員に取り囲まれるんやからな。

順番に行儀良く来るような所は、熱心な新聞屋が多いなで済むが、目の前で喧嘩を始められたら堪ったもんやない。それであげくの果ては、そこの総ての新聞を交代で取らされる嵌めになるというのもあるからな。

新聞恐怖症になる人間も実際いてる。罪な仕事や。

ここでの心得と言うことなら、押しの強さやろな。大抵の住人は、どこかの新聞は取ろうとは思うてる。

この新聞しかあかんと思うてる人間は別やが、大半はどこでもええという感じや。新聞の選択が始まるのは、そこに住んで落ち着いてからや。

新聞は地域により勢力や人気度がかなり違う。例えば、購読部数日本一やというY新聞でも、総ての地域で日本一かというとそんなことはない。

ワシの拡張しとる地域では、その他の新聞扱いやからな。ここでは、その大新聞も三流になる。

新聞に対して客は、当然やけど、今まで住んでいた地域での思いが強い。しかし、住み始めるとそういうことも分かって来る。分かって来ると人気のある新聞に替える読者が目立つ。人気のないのは、やはり将来的には不利や。

しかし、転居ではそれはまだ分からんから、大新聞は大新聞で通る。この東海に関して言えば、関西、関東方面からの客が狙い目になる。

東海はC新聞が強いから、名古屋あたりからの転居は避けた方が無難や。各新聞拡張団はそういうことを考慮しながら客に当たる。

客の見分けは、主に自家用車のナンバープレートで判断する。関西方面やと、Y・A・S・Mの各新聞拡張団が群がる傾向にある。

せやから、大人しく、ぼそぼそ言って来る拡張員よりも、強引にでもぐいぐい迫ってくる拡張員とつい契約してしまう。こういう奴は、客に考える隙を与えず攻めるからな。

こういう所で良うカードを上げるのは、このタイプやな。それがええかどうかは何とも言えんが、この拡張は積極的な人間に向いとることだけは確かや。


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