からゲンさんの勧誘・拡張営業講座
第２章 新聞営業の実践についての考え方
拡張パターン編
その７ 特別拡張についての考え方
特別拡張。別名、特拡。その名の通り特別な拡張や。これは、更にいくつかのパターンに細分化される。主に応援拡張、集中拡張なんかや。これらをまとめて特拡と言う。
応援拡張というのは、新聞社や他の団からの要請で、地場エリア外の地域に拡張に行くことがある。ほとんどが、単発やが、場合によったら、定期的にする場合もある。
地場エリアというのは、拡張団は個別に拡張範囲というのが決められている。決めるのは新聞社や。販売所の配達範囲みたいなもんやと思うてたらええ。
ただ、配達所の配達範囲と違うのは、同じ新聞であっても同一地域で複数の拡張団が存在することや。
これは、拡張団同士で競わせ部数を伸ばそうという新聞社の意図でそうなっている場合と、単に拡張員の独立による場合の増殖とがある。
せやから、拡張員は、他新聞の拡張員との競争だけやなく、同じ新聞の他団の拡張員とも争わんとあかん。もちろん、自団の拡張員ともな。
つまり、拡張員は回り総て敵という状況で拡張しとるということになる。もっとも、営業の仕事自体にそういうことは多いがな。
拡張員は自分の上げた契約しか意味がない。新聞社が部数を増やそうが、団が成績を伸ばそうが自分の成績が悪いとどうにもならん。せやから、どうしても拡張員は自分本位になりやすい。
通常、地場エリア外の拡張は禁止やが、この特拡だけは、例外ということや。
応援拡張で行くのにも、いろいろある。少人数であったり大人数だったりする。地域も近場から遠征まで様々や。個別の事情で違うから決まり事のようなものもない。
拡張団も成績が総てや。成績が極端に悪ければ、解散、団長の交代ということもある。その成績を一時的にでも上げようと思うたら、大人数の方がてっとり早い。
応援を依頼する方はそう考える。そのための応援ということが多い。
応援拡張というのは、主に団同士の助け合い的な要素が強いが、集中拡張は販売所の援護のためという意味合いが強い。
これは、地場エリア内の場合が多い。成績の悪い販売所や成績を伸ばしたい販売所が、個別に要請する。ワシらの団も、月に２，３度はこういうことがある。
専拡以外の団員ほとんどが、その販売所に投入される。大抵は１日や。当然、大人数になる。ワシとこの団で言えば、一度に４０名以上になる。
この特拡というのは、販売所や団側からいうとその日の契約カード確保には効果的やが、客の評判も悪くトラブルも多い。
もっとも、拡張自体がもともと評判は悪いんやが、この特拡は特にトラブルが起き易いから、さらに拡張嫌い、勧誘嫌いの人間を増やす。
この特拡で叩いてると「あんたで今日、５人目や。ええ加減にせえよ」と客が怒り出すことがある。
拡張員は、同じような地域に集中する事が多い。特に同じ団やと、情報が偏る傾向にある。あまり、足を踏み入れんようなバンクやったら尚更や。
誰かが、取り分けベテラン辺りがそういう情報を漏らすと、その地域に集中し易い。それで、同じ家に何度も入れ替わり立ち替わり拡張員が訪れるということになる。当然、怒った客とトラブルになり易い。
ワシは、こういう所では、人の寄りつきそうでない地域を意図的に廻る。そして、そのことは誰にも言わん。
ワシは基本的に、そのバンク内やったら、どこで拡張しても上がるカードに差はないと思うとる。大邸宅の家を叩こうと、安アパートであろうとな。差が生じるとすれば、それは、叩く拡張員の心の差や。
大邸宅の家が難しくて、安アパートの勧誘が簡単やと思うてる拡張員は、そういう拡張しか出来ん。良きにつけ悪しきにつけ思い込みがそうさせる。
そして、拡張員の多くが、そういう傾向が強い。安アパート、マンションに集中する拡張員が多いというのは、業界の常識になっとる。
せやから、一般的には一戸建ての多い住宅街には拡張員も少ない。高級と言われるような所には尚更にな。
本当は、どこで拡張しても同じや。ワシはむしろ、どちらかと言うたらこういう地域の方がええ。
まず、拡張員の訪問することの少ない地域は、拡張員に対してそれほど悪い印象がないから、応対に出易いということがある。従って、話くらいは聞く客が多い。
ただ、どこの地域でも、住人のタイプは千差万別やから、それぞれに対応したトークや勧誘方法が分かっとらんかったら、どうもならんがな。
慣れとらん者はそれがあるから敬遠しがちになる。それで、実際にカードが上がるんやから、ええやないかと言われたら、その通りやから、それでええと思う。
せやけど、一歩上を目指そうと思うたら、更に、違うタイプの客にチャレンジしてみるべきやないかとワシは考えるがな。
特に、こういう特拡での場合は、そういうチャレンジのし易い場やと思う。まあ、人それぞれで考えたらええことやけどな。
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