ゲンさんの勧誘・拡張営業講座
第2章 新聞営業の実践についての考え方
拡張トーク編
その3 ユーモアトークの考え方
客を楽しい気分にさせ、笑いを誘う。客をそういう雰囲気に持って行けば有利やということは誰でも分かると思う。
せやからと言うてそれだけに拘ったトークをして、空回りしたらどうしようもないことになる。空回りの原因は、自分本位な考えから起きる。
何でも自分本位ではあかん。相手があってのトークということは総てに共通する重要な要素や。
自分が面白いことは他人も面白いとは限らない。逆に自分ではつまらないと思うことが受けて笑いを誘う場合もある。
無理に、何か面白いことを言おうと構えるとそういう空回り状態に陥り易い。特に拡張員は気ぃつけな、その存在自体が笑いとは縁遠いから、普通やったら笑える話でも受けん場合がある。
相手にその態勢が出来てないからな。例えば、いかついヤクザがいきなり「犬の糞をフンだ」と言うても笑える人間がどれだけおるやろか。
そのヤクザはギャグのつもりやから笑うて欲しいわけや。しかし、聞く方は下手に笑えん。相手が相手だけにな。それと同じことやと心しとかんとあかん。
ワシは良う笑顔を作れと言う。普通、にこやかに話す人間を嫌う者は少ない。相手に警戒心を起こさせんことが肝心や。
笑いもせん拡張員が中途半端なギャグを飛ばせば、いかついヤクザと同じで相手を怖がらせるのが関の山やからな。笑わせるのと怖がらせるのとではえらい違いや。
これは、ある程度、資質というかその人間のキャラクターによっても左右される。性格も含めてな。
その雰囲気を出せん者にユーモアトークは難しいと思うてた方がええ。その雰囲気を簡単に出せる者は、客と自然に会話も弾み笑いも出とる。
このユーモアトークというのは簡単やと考える者にとってはどうということもないが、難しいと捉える人間には容易なことやない。
それが難しいと思う者でも、客の笑いを誘うことは出来る。誰にでも通じるウイットに富んだユーモアというのはそうはないが、簡単な挨拶程度のトークに軽いユーモアを含ませることはそれほど難しいことやない。その気なら誰でも出来る。
例えば「今日は特別、寒いですね。私の頭は特に冷え性気味ですから、たまりません」と自分の薄い頭髪をさりげなく話題にする。自虐的な話はユーモアになりやすい。
「この頃、雨が良く降りますね。『勧誘員、殺すに刃物はいらぬ、雨の3日も続けばそれで済む』と私らの業界では言いますけど、洒落になってないから怖いですよ」と、これも自虐的要素もあるが、相手によっては同情も引ける軽いユーモアや。
これらは、爆笑とまでは行かんが、軽い笑いはその話し方次第で誘える。そして、最初のつかみの段階でさりげなく使うことが肝心や。ユーモアトークはなるべく最初に言う方がええ。
極端な話、すべての挨拶にユーモアを織り交ぜてもええくらいや。ただ、これも、何度も言うがそれを言う人間のキャラクターによっても違うし、話す者の好みよっても変わる。
初期段階では、話易い話題を自分で探した方がやりやすいやろと思う。季節、流行の話題、事件、事故なども総てそのための材料になる。どんなことでも使い方次第でユーモアトークになると思えばええ。