ゲンさんの勧誘・拡張営業講座

第2章 新聞営業の実践についての考え方

拡張トーク編 

その7 経験トークの考え方


経験トーク。ワシはこれで結構、客に気に入られることが多い。人の経験は聞く人間にとっては面白い場合がある。話に花が咲けば、営業は九分九厘成功や。

これは、雑談トークの延長やというくらいに考えてくれたらええ。ただ、雑談トークよりも客を惹きつけられる可能性のあるトークや。

基本的には、自分の経験を語る。何か面白い拡張話でもあれば、それを使う。普通の一般人にとっては、勧誘、拡張の世界はまだまだ知られてないことばかりや。その話でも、持って行き方によれば、十分にトークとして成り立つ。

客にも、いろいろおるから、相手に自分の人間性さえ気に入って貰えたら、意外と拡張話を面白がって聞いてくれる場合も結構ある。

それは、このサイトにメールをくれる読者からもある程度、伺い知ることが出来る。サイトの訪問者には、拡張員を初め新聞関係者の人もかなりいとるが、やはり、一般読者の方が圧倒的に多い。

その理由の大半は興味本位やと思う。どんなことでもそうやが、知らん世界の話というものは面白いと感じる人間が多い。

ワシら拡張員にとっては日常でも、他の世界の人間には非日常や。しかも、その日常と非日常は一瞬やが接点を持っとる。しかし、普通、その接点は、契約ということでもない限り、ふれあうことはない。

拡張員にとっては仕事でしかないんやが、一般にとっては、予期せん迷惑な訪問者と捉えることが多い。しかし、そんな一般客でも、人により、相手の拡張員次第では、話くらい聞く姿勢を示すことがある。

人は、話が面白そうやったら、つい聞いてしまうもんやということを知っておいて損はない。

「ご主人のように、こうして話を聞いて貰えるだけでも、ほっとしますよ。時には、ひどいめに遭う時もありますしね」

「ほう、どんな?」

「以前なんか『新聞屋です』と言うたとたん、風呂の湯を頭からぶっかけられたことがあります。しかも、今日みたいなこんな寒い日にです」

「へぇー……」

この時の話はメルマガ『第6回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 拡張員の災難』に収録しとるから見て貰うたら分かる。

こういう、話をすると、大抵はその話にのめり込んで来る。この話には、悪徳拡張員の手口なんかも紹介しながらその対処法も言うとるから、結構、面白がる人がいとる。それに、僅かやが、同情も引く内容や。

以前に、拡張はどんなことでも武器になると言うたが、こういう災難でも、話のネタにしてトークのプラスにするくらいの気持ちがあった方がええ。

因みに、人が面白がる話というのは、こういう災難話か、自虐的な話が多い。逆に嫌がるのは、自慢話や。その辺は、良う考えて話せんと上手く行かんやろと思う。

そして、その条件に合いそうな話やったら、何も自分の経験やなくてもええ。そうは言うても、人を楽しませるほどの作り話も、そう簡単に出来るもんでもないけどな。

自分の経験話の方が当然やけど話やすい。しかし、人に話すほどの話がないというのなら、日頃から人の話を良う聞いておくことや。

その中で、これは面白いということの一つや二つは必ずあるはずや。それを自分用にアレンジして話を作る。この話を作る時は、実際に声にして話す練習をする。

そうすることで、トークの練習にもなる。頭の中だけで、面白い話が出来上がっていても、ぶっつけ本番で話すというのは、結構、難しいもんや。慣れんとな。

逆に慣れたら簡単に話は出来る。せやからと言うて、断っとくけど、嘘や騙しの話はあかんで。ここでの話は、客に楽しんで貰うためのもんや。

それで、契約に持っていくということやから、くれぐれもはき違えんといて欲しい。  


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