ゲンさんの勧誘・拡張営業講座

第2章 新聞営業の実践についての考え方

拡張タイプ編 


その11 データ尊重タイプ


データ尊重と言うても、それに振り回されるのはあかんが、使いこなせたらそれなりに威力がある。

ただ、これについては、この業界に古くからあるものと、このタイプの人間が独自で新しく作っとるものとがある。

古くからあるデータに「過去読」と呼ばれとるものがある。この業界で言う「データ拡張」というのは、この過去に購読していた客を、再度、客にすることが主な狙いになる。業界用語で「起こし」と呼ばれとるものがそうや。

これは、データとして、各販売店が独自にそれぞれ持っている。大抵は、それにランクがついとる。比較的簡単に、落とせると踏んだものは、その販売店でカードにすることが多い。

拡張員に廻ってくるデータは、それが上手くいかんかった難しい客の場合がほとんどや。古参の拡張員は、それでも有り難いデータやと思う。一度、その新聞を購読したという事実は、再度、それが可能やと考えられとるからや。

実際に、販売店の従業員があかんかった過去読者でも、カードにすることは結構多いからな。この過去読者の特徴として、一応は過去に購読してたということで、断るにせよ、話くらいは聞く客が多い。

できる拡張員の間では、話さえ聞いて貰えれば、カードを上げて当たり前という思いが強い。このあたりの考え方が販売店の従業員と拡張員との違うところや。プロとセミプロの違いということになる。もっとも、セミプロの中にも、プロを凌駕する者は多いがな。

古参の拡張員は、この中から、交代読者を顧客としとる場合が多い。つまり、過去読者を交代読者へと考えを切り替えさせることがポイントやと言うてもええ。

単に「過去読」を起こすというだけではしんどいということや。交代読者のメリットを知らせて、それを納得させられる話術を含めたテクニックが必要になる。古参の拡張員にはそれがあるということや。やり方はそれぞれやけどな。

販売店の従業員には基本的にそれはできん。交代読者を確保するということは、他の新聞を購読することを容認することやからな。

各自で持っている、あるいは作っている、データ、情報というものは、その「過去読」データとは違う。あらゆるものをデータとして活用する。その重要度は、人によって捉え方もそれぞれや。

ある者には重要であっても、他の者にはそれほどでもないということがある。そのデータなり情報が重要かどうかというのはその人間の捉え方で決まる。

例えば、Oという客がA紙の長期購読者やというデータがあるとする。その他の拡張員にとっては、狙い目となるか、敬遠する対象になるかのどちらかになる。

普通、狙い目と判断したものだけが、その拡張員にとっては重要なデータであり、情報となる。どうせあかんと敬遠し、判断した者には、何の対象にもならんということや。

ただ、このデータを重視するタイプは、そのあかんというデータも、データとして記録しとる。その客に、どういう理由で断られたか、あるいは問答無用やったかということまでをデータとして残す。

データ尊重タイプは何でも、とにかく良く記録に残す。中には、ホテルのベルボーイ並に、客の顔やそれに付随したあらゆること記憶しとる者もおるが、そういう特殊能力を持ち合わせとるのは少数や。普通の人間には無理や。それができとると錯覚しとる者は多いがな。

このタイプの特徴は、とにかく何でも、こまめにメモするということや。例えば、マンションを叩くとする。そのときの状況を部屋番毎に必ず克明に記録しとる。

空き部屋もあれば、留守もあるやろ。インターフォン・キックでけんもほろろに断られることもある。文句を言われることも珍しくない。その部屋の主が、どこの新聞を購読しとるか分かることもある。

例え、客と話ができなくとも分かったことはすべて書き留める。話が僅かでもできれば、それも書く。玄関口に入れても断られた場合は、目についたものは記録に残す。

そういう癖を徹底してつける。そうすれば、次に同じ所を叩く場合には確実に役立つ。それが、数を重ねれば重ねるほど、顕著になる。

ただ、これは、それができる者にしか無理なことやがな。強制してやれと言うてもできん者はできん。それは、ええ方法かも知れんと考える程度ではあかん場合が多い。

資質というか、性質のようなものが必要になる。自分がそれに向いとるタイプかどうかを知るには、日記を必ずつけられるかどうかで、ある程度、判断できる。それすらできん者には、まず無理やと思う。

テータを重視するには、そのデータを作れなどうしようもない。特に営業は、その営業マン特有のデータでなかったら役には立たんからな。

データは、あくまで自分の足と耳目で作る。それが基本や。


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