ゲンさんの勧誘・拡張営業講座

第1章 新聞営業の基本的な考え方 

拡材編 その1 拡材とは


拡材というのは、新規新聞購読者へのサービスや。新聞営業には、これなくしては語れんというほど重要な物となっとるもんや。

拡材なしでは、ワシら拡張員の仕事は成り立たん。拡材の存在が、ワシら拡張員を生み、拡張員が拡材の存在を広めた。その結果、世界一の新聞普及率を誇るようになった。

しかし、同時にその拡材の存在が新聞を衰退させ、ワシら拡張員を締め付け始めとるんや。
日本の新聞営業は、そういう形態で長年続けて来たから、今更どうしようもないんやがな。

拡張の歴史」でも紹介したが、倒産したイギリスの新聞社デイリー・ヘラルドの辿った同じ道を日本の新聞各紙が歩んどる。このままやと、いずれそうなる。

どうすれば一番ええのか。答えは簡単。拡材なしでも売れる新聞を作ることや。

Y新聞にしかない面白い切り口の紙面にし、A新聞でしか読めない話があり、S新聞でしか知ることが出来ない世界の存在や、M新聞でしか味わえない感動が伝わる。

そんな、新聞にすれば読者もしっかり固定するやろうと思う。拡材なんかいらんはずや。せやけど、現実はそこまで差別化されとらん。どの新聞も同じに見えてしまう。

全国紙で唯一、独自性を全面に出しとんのが、N紙や。ここだけは、拡材なしでも売れるし、購読者のほとんどが読んどると思う。

経済情報専門紙や。しかも、主な一般のニュースも網羅されとる。これだけがあればええという根強いファンがおる。

このN紙は恐らく最後まで生き残ると思う。例外やな。他はあかん。

はっきり断言出来るけど、日本ではほとんどの読者が新聞なんかまともに読んどらん。それやのに、新聞の普及率は世界一やと言う。それを、支えとんのは、ワシら拡張員であり拡材や。

せやけど、こんな不自然なことがいつまでも続くわけはない。続くわけはないと分かっていても、続けなあかんのがワシら拡張員や。

ただ、ワシらも変わらなあかん処に来とるのは間違いない。そもそも、何で拡材みたいなのが存在するようになったのか。

それは、昔の拡張員に営業能力がなかったことと、新聞読者が何も考えず拡材を当たり前のこととして受け入れ、まともに読みもせん新聞を購読することが当然という社会とのせいやと思う。

ワシらの若い頃は「お前、新聞も取ってへんのか。新聞くらい買うて読めよ」と良う言われたもんや。拡張員にやないで。普通のおっちゃんにや。

日本人は、当然とか当たり前、皆がという言葉に弱い。せやから、読みもせん新聞を買うことで、アホやと思われんようにし、貧乏臭いという批判を避けてたというわけや。

今でも年輩の人間には、こういう考えから抜け切れん者がおるが、若い人間には通用せんようになっとる。無駄な物には金をかけん。合理的な考えや。

こういう人間に、昔ながらの拡材一本攻撃を仕掛けても成功する確率は低い。それを知らんとごり押しをするからトラブルんや。

もともと、昔の新聞の拡張団は、営業能力のないヤクザに勧誘させとったんやから、営業能力を問題にしても始まらんかったやろうけど、今は時代が違う。

拡張員も営業力のない奴は滅ぶしかない。今、そのことを痛感しとるのは、何を隠そう拡張員自身なんや。変わろうとする者だけが生き残る。自然の摂理や。

拡材は営業の道具でありアイテムや。営業のために拡材を使うんで、拡材で営業するんやない。これが、良う分かっとらん拡張員が多いから、拡材で営業する。

つまり、ビール券や洗剤を頼りに営業するんや。それで、契約がとれることもある。せやけど、それは数ある営業法の一つと考えなあかん。

拡材で釣れる人間は確かにおるが、すべてがそうやない。拡材で釣れる人間だけを捜して勧誘するのやったら、それでもええ。徹底すれば、それなりに効果がある。ワシも、初心者にはそう教えることが多い。

しかし、時代の変貌に気が付いているのなら、それに合わせた営業法も考えとかんとあかん。相手によって使い分ける営業法というのが必要になって来る。

新聞が必要ない。無駄なことには金を使いたくない。そんな新聞離れが顕著な人間にも、必要なものは必ずある。その必要なものを拡材にしたらええ。

例えばパチンコの攻略法などの情報。今はこれもそこらに氾濫しとるから、一時ほどの高値やなくなっとるが、それでもまだ必要な人間には値打ちのあるもんや。

これの確かな情報データと拡張員の経験を付加したものを拡材に使う。拡張員は胡散臭いと思われとることを逆手に取るんや。

拡張員が、パチンコ屋で良うさぼってパチンコをしてると言うたら、まずほとんどの人間が信用するわな。パチンコに関してはプロ並みの腕を持っとると言うても、頭から疑われはせんやろ。実際、仕事もあんまりせんとそれだけで食うてるような奴もおるさかいな。

それで相手が興味を示せば、出来るだけ近所のパチンコ屋の情報と確かな攻略法の情報をセットで、拡材として使うんや。

その人間が、その情報の価値を支払う新聞代以上やと認めたら、驚くほど簡単に購読契約をする。合理的な人間ほど決断は早い。

これは、パチンコだけに限らず、釣りとかゲーム等何でもええ。ただ、自分が拡張員やということを忘れずにな。

例えば、何ぼ詳しいと言うたかて株式情報なんかを持ちかけても、拡張員やと信用されんで。下手したら、新手の詐欺かなんかと勘違いされて通報されるかも知れん。人間には分相応というものがある。

もっとも、その相手と人間関係が出来上がって信用されとるんやったら別やがな。

拡材は、ビール券や洗剤などの目に見える物品だけに拘ったらあかん。臨機応変に対処する必要がある。そのためには、いろんな情報を知ってなあかん。

ワシが何度も良う言うてる、拡材は必要な時、必要な人間に、必要なものを用意するもんやということの意味を考えて欲しい。


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