新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.1325 勧誘員の自腹の購読料を貰った場合罪に問われるでしょうか?


投稿者 K.Mさん 投稿日時 2015. 3. 4 AM 2:59


初めまして。私は都内に住む大学生です。

ゲンさんの記事は大変分かりやすいため参考になるものが多く、有り難く思っております。

去年の4月にY新聞の勧誘の方に「毎月3000円自分が払うので、3ヶ月だけ」と持ちかけられたので契約し、その方は仰ったとおりのことをしてくれました。

その後も10〜12月に同じ内容で契約を結び、そして現在は4月からの3ヶ月間の契約を既に結んであります。ですがこのことを親戚の叔母に話すと、「それは賄賂であるから受け取った側も罪に問われる」と返されました。

また最近訪れたA新聞の勧誘の方にはこのことを嗅ぎ付けられ、断るようにと釘を刺されました。さらにその上で10月からの3ヶ月間の契約を結びました。

特典の米を強引に押し付けられ返そうとしても断られたり、前述のことにつき後ろめたさもあり、根負けしてしまいました。現在クーリングオフを検討中です。

そこで2点お聞きしたいのですが、このように勧誘員からのお金を受け取った場合、私も何らかの罪に問われることになるのでしょうか。

また、もし今の状況でA新聞の勧誘を断った場合、これも私が罪に問われる事態となりうるのでしょうか。

なお、ゲンさんの記事を読んでいて、今更ながら割安で新聞を読んでいた自分に羞恥し、これからはお金を受け取らず自分でちゃんと払っていこうと思います。


回答者 ゲン


『Y新聞の勧誘の方に「毎月3000円自分が払うので、3ヶ月だけ」と持ちかけられたので契約し、その方は仰ったとおりのことをしてくれました』というのは、結果的に新聞代がタダになったわけやが、それだけであれば、あんたには何の罪もないと思われる。

何かの物を『タダにするので、あげましょう』、『ありがとう頂きます』というのは、世間一般にはありがちなことや。こういうのを法律用語で『譲渡契約』、または『無償の売買契約』と言う。

ただ、その勧誘員の場合は『新聞を正規の価格で売らなければならない』という職業任務に違反して販売店に損害を与えていると考えられるさかい、背任罪に問われる可能性のある犯罪行為やがな。

なぜ、その勧誘員は、そんなリスクを抱えてまで新聞代金をタダにして契約を取ろうとするのか。

契約をあげられないと拡張団(勧誘営業会社)の上司に責められるからとか、成績が悪いとプライドが傷つき格好がつかないといったこともあるやろうが、そうすることで実質的な利益が得られるためというのもある。

特に関東方面に、その傾向が強い。

すべての新聞販売店というわけではないようやが、関東では3ヶ月契約の報酬が1契約につき、1万5千円以上貰えるケースが多いという。

これには複雑な事情が絡み合っているので詳しく説明すると長くなるさかいここでは省くが、一言で言えば『部数至上主義』の為せるワザということになる。

それにしても、たった1つの契約の報酬が、売り上げる商品より多いという歪な仕組みになっているような業種は新聞業界の他にはないやろうと思う。

朝夕セット版の新聞代金は3ヶ月分で約1万2千円、統合版の場合は約9千円やから、そういう販売店に出入りしている勧誘員にとっては、例え新聞代金をタダにしても某かの利益が出て成績をあげたと評価されるということで、昔からそれをする者が後を絶たんという実態がある。

これに関して新聞社や新聞販売店、および新聞拡張団では、そういった行為が発覚すると、その勧誘員の販売店への出入り禁止、あるいは解雇といった厳しい姿勢で臨む場合が多いと聞く。

それには、1999年7月21日、公正取引委員会により『新聞業における特定の不公平な取引方法(新聞特殊指定)』として告示されたことの影響が大きいからやと言われている。

その違反行為として、第1項に『日刊新聞の発行業者は、直接、間接を問わず、地域、相手により異なる定価や定価を割り引いて販売すること』、第2項に『新聞の個別配達をする販売業者(新聞販売店)が、直接、間接を問わず、地域、相手により異なる定価や定価を割り引いて販売すること』というのがある。

その当時でも、新聞代がタダというのは、さすがに少なかったが『値引き』して新聞を売っていたケースは全国的に多かった。

それが原因で、新聞業界は9年前の2006年に、その『新聞特殊指定』の見直し寸前にまで追い込まれて大変な騒ぎになったことがあった。

旧メルマガ『第85回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■新聞特殊指定について』で、その詳しい経緯を説明しているので見て貰えれば分かると思う。

結局、その時は有力な政治家への働きかけが功を奏して『新聞特殊指定』の見直しは先送りされ事なきを得たようやがな。

その『新聞特殊指定』の見直しがされると、新聞の生命線でもある『再販制度』が高い確率で廃止され、新聞業界は完全にアウトになるという危機感から、業界としても必死にならざるを得んかったわけや。

新聞業界は、またぞろ、その問題がいつ起きるか戦々兢々としとるさかい、勧誘員のそういった不正には厳しい態度で当たっているとのことやが、契約をあげることが第一義とされている『部数至上主義』の新聞業界にあって、どこまでそれが徹底されているかとなると、はなはだ疑問ではあるがな。

本音と建て前の違う人間も業界の中にはいとるということや。未だに、こういった問題がなくならんこと自体が如実にそれを物語っている。

その新聞販売店からあんたに、その契約の確認の電話があったはずや。表向きは契約をして貰った『お礼』やが、実際はその契約の真偽を調べる意味合いの方が大きい。それ故、業界ではそれを『監査』と呼んでいる。

おそらく、その勧誘員からは『販売店には、このことは黙っていて欲しい』と頼まれとるやろうから、あんたは普通の契約をしたとして、その販売店にはそう答えたのやないかな。

その場合、あんたが、その勧誘員が『そうすることで、新聞代金以上の多額の報償金を得る』ことを知っていた場合、その勧誘員の詐欺行為、背任行為に荷担していたと見なされ、詐欺幇助、共同正犯に問われる可能性もある。

もっとも、そんな説明をわざわざする勧誘員がおるとも思えんから、あんたが事前にそのことを知っていて意図して、そうしたとは考えられんがな。単に、ご自身が得をすると判断しただけのことやと思う。その意味では悪質性は皆無や。

そうだとすれば違法性は殆どないと考えられる。警察や検察もそのように判断するはずや。この件で摘発されるようなことは、まず考えにくい。

事実、あんたのようなケースで起訴された事例は皆無やさかいな。同様の事案は、それこそ山ほどあるにもかかわらず。

『このことを親戚の叔母に話すと、「それは賄賂であるから受け取った側も罪に問われる」と返されました』というのは、その叔母さんの思い違いや。そういうのは賄賂とは言わん。

賄賂罪とは、贈賄先が公務員(法律上のみなし公務員規定により、公務員として扱われる民間人を含む)であることが要件になっている。

ただし、公務員身分のないものが、共犯として加担した場合は、その身分なき者についても収賄罪が成立するとされてはいるがな。

あんたは、まだ大学生やから、当然のことながら収賄罪に問われることはない。その点を、その叔母さん知らんのやろうな。

法人の責任者や従業員が、他者から利益供与を受けていて、そのことが組織の方針、および趣旨に反する場合は、収賄罪ではなく背任罪が適用される。叔母さんは、こちらの方と勘違いされたのやないかな。

もっとも、その勘違いも的外れなものやけどな。

『また最近訪れたA新聞の勧誘の方にはこのことを嗅ぎ付けられ、断るようにと釘を刺されました』というのは、業界の者としてはしたらあかんことやと認識しとるさかい、そう言うたのやないかと思う。

当然やが、業界のルールは一般の人にとっては関係のないことやさかい、それに従う謂われはない。

そのY新聞の勧誘員も叔母さんと同じく、勧誘員が罪に問われるのやから、それを受け取った者も同じように罪になると勘違いしたのやろうな。あるいは、あんたにそう思い込ませようとしただけなのかも知れんがな。

あんたにすれば、弱みを握られたと考え仕方なく契約したのやろうと思う。

今までの話でも分かるように、あんたの行為に対して違法性を問うことは難しいさかい、それが弱みになることはないと言うとく。当然のことながら脅しの材料にもならん。

基本的に契約は当事者同士が納得すれば成立するという大原則がある。それについて第三者が口出しできるものやない。

意見を述べるという分には構わんが、それをネタに脅して新たな契約を迫るというのは以ての外や。そんなことをすれば、その行為自体が違法性を問われかねん。

『このように勧誘員からのお金を受け取った場合、私も何らかの罪に問われることになるのでしょうか』というのは、その可能性は限りなく低く、『もし今の状況でA新聞の勧誘を断った場合、これも私が罪に問われる事態となりうるのでしょうか』に及んでは、そんなことは絶対にないと断言してもええ。あり得んことやと。

『現在クーリングオフを検討中です』ということで、その契約が嫌で納得できないのなら、迷わず、そうされることを勧める。

クーリング・オフというのは、理由の有無を問わず、またその理由を知らせることもなく消費者側から一方的に契約の解除ができるという便利な法律や。

ただ、クーリング・オフができる期間というのは限られている。新聞契約の場合、契約書を受け取った日から8日間以内に、契約相手である新聞販売店に文書で通知する事と法律で決められている。

念のため『ゲンさんのお役立ち情報 その8 クーリング・オフについての情報』で、その詳しい説明をしているので確認して頂きたいと思う。

この文書によるクーリング・オフの通知の便利なところは、そのことに販売店側の人間が一切異論を挟めないという点や。下手に「何でクーリング・オフをしたんや」と、あんたに文句を言って翻意さにようとすれば、それ自体が違法行為になるさかいな。

これほど後腐れのない便利な法律もないということや。

『なお、ゲンさんの記事を読んでいて、今更ながら割安で新聞を読んでいた自分に羞恥し、これからはお金を受け取らず自分でちゃんと払っていこうと思います』というのは業界の人間としては有り難いと思う。

ただ、『割安で新聞を読んでいた自分に羞恥』などする必要はないと言うとく。

商品をタダにするとか安くすると言われたら、誰でもそれに飛びつくもんや。もちろん、ワシも例外やない。たいていの物なら喜んで貰うし、買う。そんなことを恥じやと考える必要はない。

とはいえ、一度「新聞はタダ」やと思い込んでしまうと次から金を出してまで買う気が失せるのは事実で、それで購読客が減ることの方を業界の人間として恐れるさかい、こういうのは良うないと事ある毎に言うてるわけやけどな。

あんたのように『これからはお金を受け取らず自分でちゃんと払っていこうと思います』というような人は稀や。

何度も言うが、あんたに関しては何の落ち度もない。落ち度があるとしたら、そんな勧誘員の口車に乗ってしもうたことくらいやが、それにしても違法性を問われるほどのことでもないと思う。

今回の問題は、そんな勧誘を仕掛けた勧誘員が100%悪い。そんな事案や。


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